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今回借りた5冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「手当り次第」でしょうか♪<市立図書館>・ブロークン・ブリテンに聞け・歴史・小説・人生・小川洋子の陶酔短篇箱・回転木馬のデッドヒート・猫のつもりが虎<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【ブロークン・ブリテンに聞け】ブレイディみかこ著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より EU離脱、広がる格差と分断、そしてコロナ禍ー。政治、経済、思想、テレビ、映画、英語、パブなど英国社会のさまざまな断片から、激動と混沌の現在を描く傑作時事エッセイ集。<読む前の大使寸評>2020年刊10月刊行の本なので、当然として新型コロナに対するイギリスの対応が載っているので興味深いのです。<図書館予約:(12/9予約、副本11、予約30)>rakutenブロークン・ブリテンに聞け************************************************************【歴史・小説・人生】浅田次郎著、河出書房、2005年刊<「BOOK」データベース>より中国・新選組・見栄っ張り東京人。自作・男気・愛国心…。浅田次郎はじめての対談集。名匠・浅田次郎のこれまでの人生、小説、そして歴史と世の中の動きを、大きく細かく掘り下げる、魅力のエッセンス。ファン待望の一冊ついに登場。<読む前の大使寸評>腰巻を見ると、「浅田次郎はじめての対談集」とのことで・・・これは期待できそうでおます。amazon歴史・小説・人生************************************************************【小川洋子の陶酔短篇箱】小川洋子編著、河出書房新社、2014年刊<「BOOK」データベース>より魅惑の16本と小川洋子のエッセイが奏でる究極の小説アンソロジー集!【目次】河童玉(川上/弘美)/遊動円木(葛西/善蔵)/外科室(泉/鏡花)/愛撫(梶井/基次郎)/牧神の春(中井/英夫)/逢びき(木山/捷平)/雨の中で最初に濡れる(魚住/陽子)/鯉(井伏/鱒二)/いりみだれた散歩(武田/泰淳)/雀(色川/武大)〔ほか〕<読む前の大使寸評>短篇16本それぞれに、小川洋子の解説と短篇の語り口がセットされるという構成になっています。やや古風な作品が多いが、それが小川洋子の好みなんでしょう。rakuten小川洋子の陶酔短篇箱************************************************************【回転木馬のデッドヒート】村上春樹著、講談社、1985年刊<「BOOK」データベース>より現代の奇妙な空間ー都会。そこで暮らす人々の人生をたとえるなら、それはメリー・ゴーラウンド。人はメリー・ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒートを繰りひろげる。人生に疲れた人、何かに立ち向かっている人…、さまざまな人間群像を描いたスケッチ・ブックの中に、あなたに似た人はいませんか。【目次】はじめに・回転木馬のデッド・ヒート/レーダーホーゼン/タクシーに乗った男/プールサイド/今は亡き王女のための/嘔吐1979/雨やどり/野球場/ハンティング・ナイフ<読む前の大使寸評>追って記入rakuten回転木馬のデッドヒート************************************************************【猫のつもりが虎】丸谷才一著、マガジンハウス、2004年刊<「BOOK」データベース>よりズボンとベルトの歴史的背景を論じ、スカートをはいた男の性的放縦に驚く。モスクワの冬のアイスクリームの甘さをうらやみ、テニスの“ラヴ”と“Love”の関係を研究し、そしてグレタ・ガルボの足の大きさについて語る。知的好奇心に溢れた「話の種」が満載。【目次】ベルトの研究/男のスカート/冬のアイス・クリーム/絵を買ふ/提案三つ/批評の必要/驢馬の耳/ある日のこと/あの大阪の運転手/ガルボ伝説/故郷の味/四十八手/ポルトガルの米料理/歴史的抒情/夜中の喝采/エジプトの女王/日本デザイン論序説<読む前の大使寸評>パラパラとめくったら・・・和田誠さんの挿絵とコラボした構成が絵本のようで、ええわけです♪rakuten猫のつもりが虎************************************************************図書館大好き465
2021.01.31
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川越宗一『熱源』(6/08予約、副本33、予約676)現在228位・ブレイディみかこ『ワールドサイドをほっつき歩け』(9/19予約、副本13予約218)現在111位・小川洋子『密やかな結晶』(10/8予約、副本4、予約59)現在29位・ショーン・タン『内なる町から来た話』(11/3予約、副本3、予約35)現在19位・池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(11/29予約、副本33、予約644)現在527位・NHKスペシャル取材班『やばいデジタル』(12/23予約、副本3、予約18)現在13位・多和田葉子『星に仄めかされて』(1/05予約、副本5、予約20)現在13位・内田樹『コモンの再生』(1/05予約、副本2、予約21)現在20位・出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記:(1/06予約、副本5、予約58)現在48位・三浦しをん『マナーはいらない』(1/9予約、副本11、予約58)現在43位・村上春樹『一人称単数』(1/27予約、副本26、予約301)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・椎名誠『遺言未満』:図書館未収蔵・桐野夏生『日没』・平松洋子『買えない味』・『ラガナ一家のニッポン日記』・オードリー・タン 自由への手紙・オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る・高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!』・「仮住まい」と戦後日本・頭木弘樹『食べることと出すこと』:図書館未収蔵・小野正嗣『多和田語の世界』:図書館未収蔵・本村凌二『馬の世界史』・柏耕一『交通誘導員ヨレヨレ日記』・藻谷浩介『進化する里山資本主義』・多和田葉子『文字移植』:図書館未収蔵・山内 一也『ウイルス究極の寄生生命体 (NHK人間講座)』・高野秀行「怪獣記」・キネマ旬報(ありがとう、和田誠さん)・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・つげ義春『ガロ 1968 前衛マンガの試行と軌跡』・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・内澤旬子『ストーカーとの七00日戦争』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・「月夜のでんしんばしら」谷川雁、C.W.ニコル:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』<予約分受取:11/05以降> ・浅田次郎『大名倒産(上)』(2/01予約、11/05受取)・小野正嗣『踏み跡にたたずんで』(11/3予約、11/05受取)・チャン・ガンミョン『韓国が嫌いで』(7/03予約、11/10受取)・多和田葉子×徐京植『ソウル-ベルリン玉突き書簡』(11/29再予約、12/5受取)・白川静さんに学ぶ これが日本語(12/14予約、12/17受取)・山本文緒『日々是作文』(12/23予約、1/05受取)・紗倉まな『春、死なん』(6/14予約、1/05受取)・浅田次郎『大名倒産(下)』(3/17予約、1/13受取)・小川洋子『ことり』(1/19予約、1/22受取)・ユヴァル・ノア・ハラリ『緊急提言 パンデミック』(11/14予約、1/22受取)・ブレイディみかこ『ブロークン・ブリテンに聞け』(12/9予約、1/30受取)***********************************************************************【熱源】川越宗一著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/08予約、副本33、予約676)>rakuten熱源【ワールドサイドをほっつき歩け!】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2020年刊<「BOOK」データベース>よりEU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての著者解説編。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/19予約、副本13、予約218)>rakutenワールドサイドをほっつき歩け【内なる町から来た話】ショーン・タン著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より“人間を訴えたクマ”“カエルを救う秘書”“空の魚を釣り上げた兄弟”25話のセンス・オブ・ワンダー!世界三大児童書賞のひとつ、ケイト・グリーナウェイ賞2020年受賞作!<読む前の大使寸評>マルチタレントのショーン・タンは元々、絵本作家であり・・・大使はそのイラストが大好きでおます♪<図書館予約:(11/3予約、副本3、予約35)>rakuten内なる町から来た話【半沢直樹 アルルカンと道化師】池井戸潤著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版舎・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とはー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/29予約、副本33、予約644)>rakuten半沢直樹 アルルカンと道化師【やばいデジタル】NHKスペシャル取材班著、講談社、2020年刊<出版社>よりあなたの人生は、わずか2.74GB(ギガバイト)。2020年の1年間で生み出されたデータ量は「50,000,000,000,000GB」。デジタルは、私たちの社会をさらに自由に、豊かにしてくれるーー。しかし、それが実にはかない願望であったことを、私たちはいま実感させられている。SNSの広がりは「真実」と「フェイク」の境界をあいまいにし、私たちは「フェイク」に踊らされるようになった。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/23予約、副本3、予約18)>rakutenやばいデジタル【星に仄めかされて】多和田葉子著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より世界文学の旗手が紡ぎだす国境を越えた物語の新展開!失われた国の言葉を探して地球を旅する仲間が出会ったものはー?<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本5、予約20)>rakuten星に仄めかされて【コモンの再生】内田樹著、文藝春秋、2020年刊<出版社>より天下りのマッチポンプ、地方の過疎化、アンチ・グローバル化現象……コモン(共有地)の再生が日本の活路を開く!・西部劇『シェーン』が示すコモンをめぐる原理的な主題・ベーシックインカムの成否を決定づける要素とは?・トランプ現象とアンチ・グローバリズムの流れ・マナーの悪い「幼児的」なオヤジのマウンティングについて・明治維新前の藩制度とフランスのコミューンの共通点・「自我の支配」から解放される瞑想のやり方……etc.分断を超えて、新しい共同幻想が立ち上がる希望の書。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本2、予約21)>rakutenコモンの再生【出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記】宮崎伸治著、フォレスト出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。-なぜか?私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本5、予約58)>rakuten出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記【マナーはいらない】三浦しをん著、集英社、2020年刊<「BOOK」データベース>より長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きたい人」へ。人称、構成、推敲など基本のキから、タイトルのつけ方や取材方法まで、本書タイトルにあやかって「コース仕立て」でお届けする大充実の全二十四皿。あの作品の誕生秘話や、手書き構想メモを初公開。もちろん(某きらめく一族への)爆笑激愛こぼれ話も満載で、全・三浦しをんファン必読の書…!金言ばかりのWeb連載「小説を書くためのプチアドバイス」を完全書籍化。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/9予約、副本11、予約58)>rakutenマナーはいらない【一人称単数】村上春樹著、文藝春秋、2020年刊<「BOOK」データベース>より短篇小説は、ひとつの世界のたくさんの切り口だ。6年ぶりに放たれる、8作からなる短篇小説集。【目次】石のまくらに/クリーム/チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ/ウィズ・ザ・ビートルズ/ヤクルト・スワローズ詩集/謝肉祭/品川猿の告白/一人称単数<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/27予約、副本26、予約301)>rakuten一人称単数【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。図書館予約の軌跡240
2021.01.31
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図書館で『中国文学の愉しき世界』という本を手にしたのです。だいたいにおいて中国は嫌いというか、コンプレックスを持つ大使である。・・・でも、著者の説く中国文学は何やら面白そうである。著者の読みやすい筆力が成せるんだろうね。なお、帰って調べてみると、この本を借りるのは二度目であると判明しました。で、この記事は(その6)とします。【中国文学の愉しき世界】井波律子著、岩波書店、2002年刊<「BOOK」データベース>より「竹林の七賢」をはじめとする奇人たちの奇妙キテレツな言動を支えるパトスとは?幻想と夢の物語宇宙の構造はいったいどんなもの?-練達の中国文学研究者が平易な筆致で描きだす、奇人・達人群像。自らの体験もまじえながら語る文学世界の面白さ・奥深さ。読書の快楽を堪能すること請け合いの好エッセイ集。<読む前の大使寸評>だいたいにおいて中国は嫌いというか、コンプレックスを持つ大使である。・・・でも、著者の説く中国文学は何やら面白そうである。著者の読みやすい筆力が成せるんだろうね。rakuten中国文学の愉しき世界「本との出会い」が語られているので、見てみましょう。大使の図書館通いも、ある意味「本との出会い」を求めているわけだし。p181~本との出会い 人と人とに千載一遇の出会いがあるように、人と本にも不思議な出会いがあるらしい。 わたしが中国文学にはじめて触れたのは、岩波の「中国詩人選集」によってである。いまから30余年もむかし、高校に入ったばかりのころだった。父がこの選集を予約していて、出るたびにせっせと読み、おもしろい、おもしろい、と言ったのがきっかけである。 当時のわたしは、自分ではいっぱしの「文学少女」のつもりだったから、もし読めと強制されたなら、反発して見向きもしなかったかも知れない。しかし、ひとりでおもしろがっている父を見ると、がぜん好奇心を刺激され、その「詩人選集」とやらを手にとってみた。なんだかずいぶん難しいものだったが、読みすすんでゆくうちに、パズルでも解くような快感をふと感じたりした。 わたしの父は若いころ「文学青年」であり、なんと小説まで書いていて、いまでも家には父の書いた小説が残っている。長篇小説の第一部らしいのだが、父はこの続きを書くことができなかった。祖父のたっての願いで、家業(染色工場経営)を継がざるを得なかったのである。しかし、けっきょく父はどうしても「実業」と肌の合わない人だった。 そこで40代の後半、ひどい胃潰瘍にかかって大手術をし、かろうじて一命をとりとめたのを契機に、数年がかりで工場を整理してたたみ、故郷の富山県高岡を引きはらうと、家族を引きつれ、むかしから好きだった京都に居を移して、はやばやと隠遁してしまった。1952年、わたしが小学校2年の時のことである。 以来、1980年、82歳で死ぬまで約30年のあいだ、父は趣味的生活を貫いた。いまでも隠遁とか隠者とかいう話になると、すぐ反射的に父を思い浮かべてしまうほど、その隠遁ぶりは徹底したものだった。付言すれば、わたしの母は、東京の下町の本所生まれなのだが、これまた「文学少女」であり、いまでも新刊書をチェックしては本屋通いを欠かさないほどである。要するに、両親ともどこか非現実的で奇妙キテレツだから、片方が京都で隠居だといえば、片方もそれはおもしろいとすぐ賛成する、という具合だったのだろう。 いまにして思えば、そんな父だったから、わたしに中国文学をやらせたかったのだろうが、正面からいうと反発するので、さりげなく「詩人選集」を示して、興味を持たせたに違いない。 結果的には、父の思う壺にはまってしまった(?)のだが、大学に入ったばかりのころは、第一外国語にフランス語を選んだ関係もあって、フランスの小説や文学理論を読む(むろん翻訳で)のに忙しく、中国文学にはほとんど関心がなかった。それが、二回生になり専攻を決めなければならなくなると、ふと全然ちがったものがやりたくなり、そんなときに、以前読んだ「」のことがマザマザと浮かんできたのだった。 そこでもう一度、最初から読みかえし、中国だ、これに決めたと思った。急に方向転換するのは、たぶん遺伝なのであろう。父はわたしが中国文学を専攻することには、もちろん大賛成だった。 1964年、三回生になり中国文学を専攻するようになると、すぐ中国書籍を扱う専門店に行った。そこで生まれてはじめて買った中国書が、ハンブンラン注『文心雕龍』と『紅楼夢80回校本』だった。どうしてこのふたつを選んだのか覚えがないが、きっと前者は中国古典文学理論の、後者は中国古典小説の最高傑作だというくらいは、知っていたのだろう。 買ったのはいいが、家へ帰ってパラパラめくってみてもさっぱりわからない。吉川幸次郎先生は演習の時間に、「すぐ辞書を引かずにジーッと字をみつめていなさい。漢字はもともと象形文字だから、そのうち意味が浮かんできます」と教えてくださったが、いくらみつめていても、ちっとも意味など浮かんでこない。ろくに中国語もできなかったのだから、考えてみれば当然のことではある。 しかし、こうしてほとんど無意識に買った『文心雕龍』をテーマとして、その翌年、卒論を書くことになったのだから、ほんとうに不思議である。はじめて見たとき、あまりに読めなかったのでくやしくなり、そのくやしさが深層心理にこびりついたのだろうか。 『世説新語』との出会いも縁としか言いようがない。修士課程のころだったと思うが、鈴木虎雄先生の蔵書が整理され、端本が研究室に出まわったことがあった。当時、わたしはあまり研究室に行かなかったので、行ったころにはめぼしいものはほとんどなく、一冊百円の線装本が数冊残っていただけだった。線装本といっても民国に入ってからのものである。残り物にあは福があるなどと思い、タイトルもろくに見ないでそれを買った。 それが三冊に分かれた四部備要本の『世説新語』だった。それから数年たって、ふとこれを手にとって読みはじめると、おもしろくてたまらず、夢中になったあげく小さな論文を書き、さらにこれがきっかけとなって初めての本を書くことになったのだから、つくつく奇縁だと思う。『中国文学の愉しき世界』5:植物の名を表す漢字p166~168『中国文学の愉しき世界』4:中国の美女p161~162『中国文学の愉しき世界』3:美少女戦士ムーランの物語p107~114『中国文学の愉しき世界』2:高橋和巳氏との交流p207~209『中国文学の愉しき世界』1:中国の文人画p146~149
2021.01.30
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図書館で『中国文学の愉しき世界』という本を手にしたのです。だいたいにおいて中国は嫌いというか、コンプレックスを持つ大使である。・・・でも、著者の説く中国文学は何やら面白そうである。著者の読みやすい筆力が成せるんだろうね。なお、帰って調べてみると、この本を借りるのは二度目であると判明しました。で、この記事は(その5)とします。【中国文学の愉しき世界】井波律子著、岩波書店、2002年刊<「BOOK」データベース>より「竹林の七賢」をはじめとする奇人たちの奇妙キテレツな言動を支えるパトスとは?幻想と夢の物語宇宙の構造はいったいどんなもの?-練達の中国文学研究者が平易な筆致で描きだす、奇人・達人群像。自らの体験もまじえながら語る文学世界の面白さ・奥深さ。読書の快楽を堪能すること請け合いの好エッセイ集。<読む前の大使寸評>だいたいにおいて中国は嫌いというか、コンプレックスを持つ大使である。・・・でも、著者の説く中国文学は何やら面白そうである。著者の読みやすい筆力が成せるんだろうね。rakuten中国文学の愉しき世界植物の名を表す漢字が中国と日本では別物であることが多々あるが・・・その辺りを見てみましょう。p166~168「松」と「柏」は縁起が悪い 最近、小学生向きの植物図鑑を買った。わたしの勤務先の国際日本文化研究センターは、京都西南の郊外、桂坂にあり、バス停からセンターまでは、両側にさまざまな樹木や草花が植えられた、ゆるやかな坂道になっている。 通勤の往き帰り、しばしば道端に咲いている花に目をとめるのだが、悲しいかな、町育ちの私にはなんの花かわからないものが多い。桜や梅、カーネーションにタンポポくらいなら知っているけれど、ちょっと変わった花になると、さっぱり見当がつかないのである。 ついこのあいだから、坂道のわきに紫色の可憐な花が咲いており、どうしてもその名を知りたくなって、とうとう植物図鑑を買いに走った。買いたての植物図鑑で調べてみると、その花はフデリンドウもしくはハルリンドウというらしい。「野山の草花」という項目に入っているから、植えたのではなく、自生したものなのだろう。興に乗って植物図鑑をめくっているうち、桂坂のそこここに、いまを盛りと咲きこぼれている白い花がユキヤナギであることも知った。こうして知らない花の名称一つ一つ確かめていると、世界が少しずつ開けてゆくような、楽しい気分になる。 紀元前六世紀末、孔子が編纂した中国最古の詩歌集『詩経』には、めずらしい動物や植物を歌いこんだ作品が多い。このため、孔子は弟子たちに向かって、ちゃんと『詩経』の勉強をすると、「多く鳥獣草木の名を識る」、つまり自然に執りや獣、草花の名称もたくさん覚えられると教えたりしている。 わたしもいちおう『詩経』を読み、ここに出てくるめずらしい動植物の名前も、知識としては知っているけれども、さて、その実物がどんなものかという段になると、これまたほとんど見当もつかない。先生の教えどおり、一所懸命、『詩経』の勉強にはげんだ孔子の弟子たちの場合は、どうだったのだろうか。孔子を祖とする儒家は学術第一主義だとされるから、もしかしたら彼らも知識肥大で、実物とはとんと無縁だったのかも知れないと、自分にひきくらべ、つい意地悪く思ったりする。 それはさておき、中国と日本では、同じ名をもつ植物が、実はまったく別のものをさすケースがしばしばある。また、植物に対して抱くイメージも、ずいぶん異なる場合がある。たとえば、日本では長寿の象徴とされる「松」がそうだ。中国でも「松」と「柏」は、たしかに変わらぬ志の比喩として用いられはするけれども、その実、松も柏も墓地に植えられる樹木にほかならず、総じてあまり縁起のいいものではない。ちなみに中国の「柏」はヒノキの類であり、日本の「柏」とは異なるものだ。同名異物の絶好の例だといえよう。 などと偉そうなことをいうものの、実はわたし自身、情けないことにヒノキと柏の判別もおぼつかないありさまなのだ。せっかく植物図鑑を買ったのだから、ありふれた草花や木々だけでも、名称と実物を一致させたいものだ。『中国文学の愉しき世界』4:中国の美女『中国文学の愉しき世界』3:美少女戦士ムーランの物語p107~114『中国文学の愉しき世界』2:高橋和巳氏との交流p207~209『中国文学の愉しき世界』1:中国の文人画p146~149()
2021.01.30
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図書館で『中国文学の愉しき世界』という本を手にしたのです。だいたいにおいて中国は嫌いというか、コンプレックスを持つ大使である。・・・でも、著者の説く中国文学は何やら面白そうである。著者の読みやすい筆力が成せるんだろうね。なお、帰って調べてみると、この本を借りるのは二度目であると判明しました。で、この記事は(その4)とします。【中国文学の愉しき世界】井波律子著、岩波書店、2002年刊<「BOOK」データベース>より「竹林の七賢」をはじめとする奇人たちの奇妙キテレツな言動を支えるパトスとは?幻想と夢の物語宇宙の構造はいったいどんなもの?-練達の中国文学研究者が平易な筆致で描きだす、奇人・達人群像。自らの体験もまじえながら語る文学世界の面白さ・奥深さ。読書の快楽を堪能すること請け合いの好エッセイ集。<読む前の大使寸評>だいたいにおいて中国は嫌いというか、コンプレックスを持つ大使である。・・・でも、著者の説く中国文学は何やら面白そうである。著者の読みやすい筆力が成せるんだろうね。rakuten中国文学の愉しき世界男性にとっては興味深い、中国の美女について、見てみましょう。p161~162中国の美女 二つのタイプ 歴史や物語にあらわれる中国の美女には二つのタイプがある。一つは、紀元前五世紀の末、春秋時代の越の国の美女西施を原型とする痩せ型であり、いま一つは、八世紀、かの唐代の美女楊貴妃を代表とする豊満型である。 西施には、呉越の戦いのさなか、越王句践の意をうけて呉王夫差に仕え、その美貌によって夫差を骨抜きにし、越に勝利をもたらしたという伝説がある。 『荘子』に、おもしろい話がみえる。病んだ西施が苦しげに眉を顰める(ひそめる)さまが、あまりのも凄艶だったので、醜女がならば自分も、と真似をした。すると、ただでさえ怖い顔がいっそう恐くなり、見る者はアワを食ってみな逃げ出した、というものである。 「顰(ひそみ)にならう」という言葉の典拠になった話だが、西施の美貌が繊細の極、病的な傾きをもっていたことが読みとれる。 これ以後、紀元前一世紀末、前漢王朝末期の亡国の美女趙飛燕が、皿の上で踊れるほど、極端な痩身だったとされるなど、美女の系譜において、痩せ型が圧倒的に優勢であった。 この美的基準が転換したのは、唐代である。白居易が『長恨歌』の冒頭で、「温泉、水滑らかにして 凝脂に洗ぐ(そそぐ)」と、楊貴妃の肌を「凝脂(凝固した脂肪)」にたとえ、賛美したことからもあきらかなように、豊満型美女がにわかに脚光を浴びるようになる。花にたとえれば、西施や趙飛燕は透明感のある芙蓉か梅、楊貴妃は濃艶な牡丹だ。この美意識の変化は、唐王朝がもともと勇壮な北方異民族の系統であることからきたものだろう。 ちなみに、十八世紀中頃、清代中期に著された中国古典小説の最高傑作『紅楼夢』に、林黛玉と薛宝釵(セツホウサ)という二人のヒロインが登場する。林黛玉は西施を意識して「ビンアル」と仇名されるように、痩せ型病身の美少女であり、薛宝釵はむっちりとした白い腕をもつ豊満型である。中国古典文化のエッセンスを凝縮した『紅楼夢』において、美女の系譜もみごとにアウフヘーベンされたというべきであろう。『中国文学の愉しき世界』3:美少女戦士ムーランの物語p107~114『中国文学の愉しき世界』2:高橋和巳氏との交流p207~209『中国文学の愉しき世界』1:中国の文人画p146~149()
2021.01.30
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図書館に予約していた『ことり』という本を、待つこと3日でゲットしたのです。この本を『歓待する文学』というNHKテキストで、小野正嗣さんが高く評価していたので、即、図書館に予約していたものです。【ことり】小川洋子著、朝日新聞出版、2012年刊<「BOOK」データベース>より世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。<読む前の大使寸評>この本を『歓待する文学』というNHKテキストで、小野正嗣さんが高く評価していたので、即、図書館に予約していたものです。<図書館予約:(1/19予約、1/22受取)>rakutenことりややネタバラシになるのだが・・・この小説のラストシーンを、見てみましょう。p246~249<13> ようやく高速道路の高架下までたどり着き振り返ると、畑の向こうに、木立に囲まれた丘がぽつんと見えた。その中で男たちが必死になって繰り広げている会のことなど一切構わず、ただ静かに緑をたたえ、そこに横たわっていた。コンクリートの橋脚にもたれて腰を下ろし、小父さんは咳き込みながら少しでも息を鎮めようとした。小父さんを見送るように、丘の上空で一つの小さな点が曲線を描いていた。それがメジロかどうか確かめる術はどこにもなかった。 農道脇の民家に頼んでタクシーを呼んでもらい、途中路線バスを乗り継いでようやく家に帰り着いた時にはもう、午後の遅い時間になっていた。メジロは窓辺でお利口に待っていた。 「僕を一人にして、どこへ行っていたんです? 心配するじゃありませんか」 と言って責めるように、あるいは小父さんの顔を見てほっとうるように、鳥籠中を飛び回って羽毛を舞い上がらせた。小父さんは隣に腰を下ろし、水を一杯飲み干し、鳥籠を撫でた。 掌の傷口は血が固まり、窪みに砂がこびりついていた。シャツをめくると肘には痣ができ、ズボンの膝は泥で汚れていた。 「ひどい目にあったよ」 小父さんはつぶやいた。胸の動悸がまだ治まっていないような気がした。脈のリズムに合わせて頭の痛みが波を打って響いていた。 「でも、平気だ」 風は止み、雲が流されてうっすらと光が戻り、離れの廃墟を照らしていた。朽ちてゆくばかりの離れは少しずつ形を変え、蔓に絡め取られ新しい種を宿し苔に覆われて、むしろ生き物に近づこうとしているかのようだった。 見る角度によっては、輪郭が本を読む父親の背中に似ていなくもなかった。濃い緑の新芽を茂らせて木々は高くそびえ、自由に枝を伸ばし、外の世界からこの小さな家を守っていた。朝、掃除をする暇のなかったバードテーブルには、リンゴの皮の切れ端が散らばり、それを二羽のヒヨドリが嘴の先で転がして遊んでいた。 「ピーヨ、ピーヨ」 甲高く、ツンと尖って潔い鳴き声が、時折光の中を交差した。その鳴き声の軌跡が、空に一筋浮かび上がって見えてきそうだった。 そこにいるのは小鳥と小父さんだけだった。背後には母親の写真と、お兄さんの作った小鳥ブローチがあり、目の前には廃墟があった。それですべてだった。 小父さんはいつまでもメジロと一緒にぼんやりと庭を眺めていた。鳴き合わせの会の風景は既に遠くかすみ、ほとんど幻と同然のようだった。幻なのだから、もし男が怒鳴り込んで来たら、という心配に惑わされる必要もなかった。 少しずつ日は西に傾いていった。気づかないうちにヒヨドリは去り、リンゴの皮はすっかり干からびて色を失い、離れの半分は影に覆われようとしていた。 「チィチュルチィチュルチチルチチルチィー、チュルチチルチチルチュルチィー」 何の合図もきっかけもなく、メジロがさえずった。白い輪っかの中の瞳が小父さんを真っ直ぐに見つめていた。 「私のためになど、歌わなくていいんだよ」 鳥籠に顔を寄せ、小父さんはささやいた。 「明日の朝、籠を出よう。空へ戻るんだ」 耳を澄ませているとお兄さんの声が聞こえてくるような気がした。その声が頭の痛みをそっと包み込んでくれた。小鳥のさえずりがそばにある限り、他の余計な言葉を何一つ聞かなくても済んだ。ポーポー語だけが寄り添ってくれていた。 西日が庭を満たしていた。日が沈むまでもうしばらく間がありそうだった。お兄さんの声をもっとよく聞こうとして小父さんは、鳥籠を胸に抱き寄せ、その場に横たわった。 「少し、くたびれたみたいだ」 メジロは止まり木を飛び降り、小父さんのすぐ耳元に近寄ってきいた。 「ひと眠りするよ。そうすればすぐ元気になる」 再びメジロは歌いだした。小父さんのためだけに捧げる歌を、鳴り響かせた。 「大事にしまっておきなさい。その美しい歌は」 そう言って小父さんは二度と目覚めない眠りに落ちた。小父さんの胸の中ではいつまでもメジロはさえずり続けていた。この小説は言語学的ファンタジーでもあるが、タイトルにあるように鳥の本だったのです。・・・で、鳥の本あれこれR8に収めておきます。『ことり』2『ことり』1()
2021.01.29
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図書館に予約していた『ことり』という本を、待つこと3日でゲットしたのです。この本を『歓待する文学』というNHKテキストで、小野正嗣さんが高く評価していたので、即、図書館に予約していたものです。【ことり】小川洋子著、朝日新聞出版、2012年刊<「BOOK」データベース>より世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。<読む前の大使寸評>この本を『歓待する文学』というNHKテキストで、小野正嗣さんが高く評価していたので、即、図書館に予約していたものです。<図書館予約:(1/19予約、1/22受取)>rakutenことりお兄さんの意味不明の言葉あたりを、見てみましょう。p16~23<2> お兄さんが自分で編み出した言語で喋りはじめたのは、11歳を過ぎたあたりの頃だったので、小鳥の小父さんが物心ついた時には既に、その言語は完成され、揺るぎない地位を確立していた。つまり小父さんはお兄さんが、両親や近所のおばさんやラジオのアナウンサーが喋っている、誰にでも通じるごく当たり前の言葉を口にするのを、一度も聞いたことがなかった。 よその子供に比べれば、多少ゆっくりとしたペースではあったものの、ちゃんと言葉を覚え、字を書く練習にも取り組んでいたお兄さんが、どういうきっかけからか無口な数ヶ月を過ごしたのち、不意に意味不明の言葉を喋り出した時、母親は驚きうろたえた。脳の発達途中に起こる一時的な混乱で、知恵熱みたいなものに違いないと、自らを納得させてみたり、大人をからかうちょっとした冗談だろう、明日になればすっかり元通りだと、ことさら楽観的に考えてみたりした。しかし母親の願いは叶えられなかった。いつまで経っても“正しい”言葉は戻ってこなかった。 もちろんあらゆる努力がなされた。検査入院、精神分析、薬物投与、言語訓練、断食療法、転地療養・・・。お兄さんは嫌がらず、母親をはじめ大人たちの指示に素直に従った。クレヨンで家族の絵を描き、苦い粉薬を飲み、電流を流す必用があると言われれば黙って頭を差し出した。けれどお兄さんがそうしたのは、治りたいからではなく、母親をこれ以上がっかりさせないためだった。(中略) 母親にとって一つ希望の光が差したのは、弟にだけは兄の言葉が通じていると気づいたときだった。兄の言葉が変わってしまったあとも、兄弟は以前と同じように顔を突き合わせ、二人だけの遊びに熱中していた。そこに混乱は見られなかった。 「なぜ分かるの?」 母親は何度も弟に尋ねた。しかし弟はもじもじするばかりで何も答えられなかった。 なぜ分かるのか。母親が死に、お兄さんが死んだあとになっても時折、小父さんはその問いについて考えてみたが、やはり適切な理由は思い浮かばなかった。そもそも分かる、というのがどういうことなのかがあいまいだった。(中略) とにかく“両方”の言葉が分かる弟のおかげで、家族四人の会話はいびつながらもどうにか成立した。弟が果たしたのは通訳と言えるほど明確な役目ではなく、時折出現する会話の空洞に小さな梯子を掛ける程度のことだったが、それでも母親の不安を和らげるには十分だった。(中略) 言語学者はぼそぼそとはっきりしない声で喋る、ほとんど腰の曲がりかけた老人だった。三人を歓迎していないのは明らかで、母親が手土産の菓子箱を差し出しても、面倒そうな表情を見せるばかりだった。呼吸器の病なのか、時折、喉が破れるような気味の悪い咳をして小父さんをびっくりさせた。 しかしすぐさま小父さんは、研究室のテーブルにセットされた録音装置に心を奪われ、言語学者の愛想の悪さも恐ろしい咳のことも忘れてしまった。それはかつて彼が観たどんな機械よりも魅惑的だった。思わず回してみたくてたまらない気持ちにさせる大小さまざまなつまみ、怯える昆虫の触覚のように左右に触れる針、秘密めいた曲線を描くテープ。何もかもが小父さんを虜にした。 言語学者は絵の描かれたカードをお兄さんに見せ、それが何かを答えさせた。 「スプーン」「天道虫」「麦藁帽子」「ラッパ」「キリン」 お兄さんは自分の言語で答えた。 言語学者によって何度繰り返しめくられてきたのだろう。カードはどれも色あせ手垢で薄汚れ、裏側はセロテープで何重にも補強されていた。天道虫は片脚をまがれ、ラッパの口からは何か奇妙な染みが噴き出し、キリンの首は折れ曲がって、打ちしおれた様子になっていた。 それはあまりにも簡単すぎるテストだった。もちろんお兄さんは全部正解したが、正解だと分かるのは小父さん一人だった。ウーム 何やら言語学的ファンタジーの様相を呈してきたなあ。多和田葉子のパンスカが霞むほどやでぇ。『ことり』1
2021.01.29
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図書館に予約していた『ことり』という本を、待つこと3日でゲットしたのです。この本を『歓待する文学』というNHKテキストで、小野正嗣さんが高く評価していたので、即、図書館に予約していたものです。【ことり】小川洋子著、朝日新聞出版、2012年刊<「BOOK」データベース>より世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。<読む前の大使寸評>この本を『歓待する文学』というNHKテキストで、小野正嗣さんが高く評価していたので、即、図書館に予約していたものです。<図書館予約:(1/19予約、1/22受取)>rakutenことり冒頭の語り口を、見てみましょう。p3~5<1> 小鳥の小父さんが死んだ時、遺体と遺品はそういう場合の決まりに則って手際よく処理された。つまり、死後幾日か経って発見された身寄りのない人の場合、ということだ。 救急隊員、警察官、民生委員、町内会長、役人、清掃業者、野次馬。さまざまな人間が入れ替わり立ち寄りやって来、ては、各々定められた仕事を為した。ある者は遺体を運び出し、ある者は消毒液を調合し、またある者は連絡先の手がかりを求めて状差しの葉書をめくった。野次馬たちでさえ、がやがやとした噂話で、その場に立ちこめる陰気な空気を多少なりとも紛らわせる役目を果たした。 彼らのほとんどが、小鳥の小父さんの顔をよく知らなかった。多少顔を見知っていても、親しく口をきいたことのある人はいなかった。小鳥の小父さんの家がこれほど大人数の訪問を受けるのは、その時が初めてだった。 遺体を発見したのは新聞の集金人だった。郵便受けに新聞が溜まっているのを不審に重い、門から庭伝いに家の南側へ回ったところで、開け放たれた居間の窓辺に倒れている小父さんを発見した。 いくらか腐敗ははじまっていたが、もがき苦しんだ様子はなく、むしろ心から安堵してゆっくり休んでいるように見えた。ありふれたシャツにズボン姿で横向きになり、両足を軽く曲げ、背中を丸めていた。ただ一つ、集まった人たちを驚かせたのは、遺体が両腕で竹製の鳥籠を抱いていることだった。鳥籠の中では小鳥が一羽、止まり木の真ん中に大人しくとまっていた。 「鳥ですね」 と最初に口にしたのは、第一発見者としての責任から、現場の片隅にたたずんで成り行きを見守っていた新聞の集金人だった。小鳥の小父さんの家に小鳥がいても何の不思議もないはずなのに、皆はその一言にはっとし、まるで生まれて初めて鳥というものを目の前にしたかのような表情を浮かべた。 たやすく掌に隠れてしまうほどの小さな鳥だった。餌箱が空になっている割には弱った様子も見せず、小首をかしげながら人々の様子をうかがっていた。死者の腕に守られ、何の不安もなく、黒い目をきびきびと動かしていた。羽は淡い黄緑を帯びていたがあくまでも色調は大人しく、目立った模様も飾りも見当たらず、小鳥、という以外、他にどんな付け足すべき言葉も必要としていなかった。 ひとときの沈黙のあと、警察官が庭から差し込む光にかざすようにして籠を持ち上げた。小鳥は二、三度羽をバタバタさせ、籠の側面につかまり、また止まり木へ戻った。底に溜まった餌の殻と、干からびたフンと、抜けた羽毛が一緒になって舞い落ちた。光を浴びてもその羽は遠慮深い色合いのままだった。 やがて、チィーチィーと短い鳴き声がしたあと、不意にさえずりが響き渡った。そこいる全員が籠の中を見やった。庭の隅々にまで染み渡る、澄んだ小川のようなその声が、本当に目の前の小さな生き物から発せられているのかどうか、確かめるような思いでじっと見つめた。 小鳥は長く鳴き続けた。そうして鳴いていれば、いつしか死んだものがよみがえると信じているかのようだった。()
2021.01.29
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『緊急提言 パンデミック』4図書館に予約していた『緊急提言 パンデミック』という本を、待つこと2ヶ月ほどでゲットしたのです。とにかく、ユヴァル・ノア・ハラリさんの有益な提言に耳を傾けようではないかと、思う次第です。【緊急提言 パンデミック】ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より【目次】人類は新型コロナウイルスといかに闘うべきかー今こそグローバルな信頼と団結を(歴史に見る厖大な犠牲者/感染症との闘い ほか)/コロナ後の世界ー今行なう選択が今後長く続く変化を私たちにもたらす(新しい監視ツール/重大な分岐点ー「皮下」監視 ほか)/死に対する私たちの態度は変わるか?-私たちは正しく考えるだろう(避けようのない運命ー死の意味/死は技術的問題に ほか)/緊急インタビュー「パンデミックが変える世界」インタビュアー道傳愛子(発展途上国とウイルスの変異/歴史の決定的な瞬間 ほか)<読む前の大使寸評>とにかく、ユヴァル・ノア・ハラリさんの有益な提言に耳を傾けようではないかと、思う次第です。<図書館予約:(11/14予約、副本7、予約28)>rakuten緊急提言 パンデミックハラリさんへの緊急インタビュー(2020年4月25日のNHK放映、インタビュアー道傳愛子)を、拝聴してみましょう。p108~111パンデミックを生き延びるために―より長い人間の歴史の中、つまりサピエンスの全歴史の名で、このパンデミックはどんな意味を持っているのでしょう? 人類はもちろん、このパンデミックを生き延びます。私たちはこのウイルスとは比べ物にならないほど強いし、過去にもこれよりはるかに深刻な感染症を何度も生き延びてきました。今回も生き延びることに疑問の余地はありません。 この感染症が最終的にどんなインパクトを与えるかは、あらかじめ決まっているわけではなく、私たち次第です。この危機がどのような結末を迎えるかは、私たちが選ぶのです。もし選択を誤り、ナショナリズムに基づく孤立主義や独裁者を選び、科学を信用しないで陰謀論を信じることを選べば、歴史に残る大惨事を招くでしょう。何百万人もの人が命を落とし、経済は危機に陥り、政治は大混乱になります。 逆に、もし賢い選択をし、グローバルな連帯や民主的な責任を選び、科学を信頼することを選べば、そのときは、たとえ死者が出たとしても、苦しみが引き起こされたとしても、後から振り返れば、この危機は人類にとって素晴らしい転回点だったことが見て取れるでしょう…ウイルスを克服した節目だっただけではなく、私たちが内なる魔物たちを打ち負かした節目だったように。 憎しみを乗り越えた時点、錯覚や妄想を乗り越え、真実を信頼し、以前よりはるかに強く、はるかに統一された種となった時点だったと思えることでしょう。―最後に一つだけお訊きしたいことがあります。コロナの世界で毎朝目覚めるたびに、あなたはどのようにして恐れを克服しているのでしょうか? コロナへの恐れを克服するために二つのことをしています。第一に、私はこの危機の間も毎日二時間瞑想しています。いや、この危機の間だからこそかもしれません。 私はヴィパッサナー瞑想をしています。もちろん、他にも多くの瞑想があります。どの方法に効果があるかはその人次第です。 瞑想が効果を発揮しない人もいるでしょうから、スポーツをしたり、さらにはセラピーを受けたりすることもできます。オンラインで受けることさえ可能です。それでも、今回のような危機に際しては、自分の心の健康のために、毎日少しばかり時間をかけることはとても重要です。それは本当に大切なのです。 第二に、私は科学に頼ることで恐れを克服しています。つまるところ、もし私たちが科学を信頼すれば、この危機を容易に乗り越えることができるでしょう。反対に、もしあらゆる種類の陰謀論に屈してしまえば、私たちの恐れが煽られるだけで、人々は不合理な行動に走るでしょう。つまり、心を開き、科学的で合理的な目で状況を眺めれば、私たちはこの危機を脱する道を見つけられるのです。ウン 科学に頼ることで恐れを克服しているのか・・・ わりと心強いインタビューでしたね♪ナショジオ2020年8月号の特集「パンデミック」が充実しているので紹介します。【パンデミック(ナショナルジオグラフィック2020年8月号】雑誌、日経ナショナルジオグラフィック社、2020年刊<商品の説明>より【特集】●パンデミックと闘い続ける人類天然痘、ペスト、コレラなど、人類はこれまで感染症の大流行をいくつも経験してきた。私たちは過去の事例に何を学び、現在の難局打破にどう生かせるのか。そして、新型コロナウイルス感染症の流行が収まった後も、今回得た教訓を忘れずにいられるだろうか●インドの聖なる川人類の拡散ルートをたどる途中、インドの旅で見えたものは、聖なる川の魅力と深刻な水の問題だった。●広島 75年目の記憶原爆が世界で初めて投下された広島。あの日から75年がたつが、核兵器の恐怖と戦争の記憶は色あせない。<読む前の大使寸評>おお 現在進行中のパンデミック特集ではないか、これは借りるしかないでえ♪amazonパンデミック(ナショナルジオグラフィック2020年8月号『パンデミック(ナショナルジオグラフィック2020年8月号』1『緊急提言 パンデミック』3:コロナ後の世界『緊急提言 パンデミック』2:「ウイルスの変異」の続き『緊急提言 パンデミック』1:「ウイルスの変異」()
2021.01.28
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<『西洋古典こぼればなし』2>図書館で『西洋古典こぼればなし』という本を手にしたのです。ラテン語で書かれた「クマのプーさん」が興味深いのです。【西洋古典こぼればなし】柳沼重剛著、岩波書店、1995年刊<「MARC」データベース>より文化と文明を分けて考える根拠は何か。古典期の音読の習慣はいつ、どのようにして黙読へと移行したのか…。研究の途上にふと感じた疑問や興味をきっかけに、言葉の語源や来歴を探索するエッセイ集。<読む前の大使寸評>ラテン語で書かれた「クマのプーさん」が興味深いのです。amazon西洋古典こぼればなし「外国人が日本語を学ぶとは如何なることか」、が述べられています。p134~138ワタシハアナタヲアイシテイマス 昭和49年に、国際交流基金で日本へ来たイタリア系アルゼンチン人ドメニコ・ラガナ氏が、日本語について書いた文章はどれもみなおもしろい。 そもそも彼が国際交流基金の招聘を受けることになったのは、アルゼンチンで日本語の勉強を熱心にやっていたからだが、彼が日本語の勉強に夢中になったきっかけというのがちょっと変わっていて、「ブエノスアイレスの、混んだ電車の中で、吊り革にぶらさがりながら、眠気とたたかっているうちに、ぼくのそばの席に座っている若い日本女性が、日本の雑誌を読んでいるのが見えた。しとやかな感じの、清楚な身なりをした、18、9歳の娘だった。ぼくは急に眠気が消えてしまって、娘と雑誌をかわるがわる見つめた。…ぼくは魅せられたように、娘のしなやかな指や、小さな抽象画のような文字のぎっしりつまった雑誌のページを眺めつづけた。…車窓を流れる、灰色がかった街の景色をぼんやり眺めているうちに、日本語を覚えてみようか、という考えが頭に閃いた。そして、翌日から日本語の勉強をはじめた」(『ラガナ一家のニッポン日記』)。 この文はラガナ氏が書いた日本語そのままであって、日本人の誰かが、彼のスペイン語を日本語に訳したものではない。彼の日本語が今やいかに完璧であるかということの、何よりの証拠である。 しかし、彼の勉強法も変わっていて、まず会話からは入らなかった(ただし言葉の音声面をいい加減にしたということではない)。もっぱら読み書きにより、頼りは文法書と辞書であった。 日本へ来てから、そういう勉強をしていたころのある日、彼は下宿で、幸田文の『流れる』を読もうとした。以下はその時の悪戦苦闘ぶりを綴った彼の文章である(『日本語とわたし』)。とくにおもしろいのは、この幸田文の文章は、日本人にとっては不思議でもなければむずかしくもない、考えるまでもなくすっと分かってしまう文章だのに、これを読み解こうとしたラナガ氏には、ついに投げ出さなければならなかったほど難解な、というか、手のつけようのない文章だったということで、しかも、彼にとって、どこがどういう風に分からなかったかが詳しく書いてあるので、いっそう有益である。さて、 「このうちに相違ないが、どこからはいっていいか、勝手口がなかった」 一見、予想していたよりずっとわかりやすい文体のように思われた。センテンスは短いし、漢字も少ない。 ふたたびゆっくり読んでみると、「この」、「に」、「ない」、「が」、「どこ」、「から」、「いい」、「か」、「なかった」という単語の意味が大体わかったし、おぼろげなイメージが、夢の断片のようにツカミドコロナク、頭に浮かんできた。 漢和辞典を引いて、「相違」と「勝手口」の読み方がわかってから、和英辞典で意味を調べてみた。 「相違」に当る英語が見つかると、「は」も「が」もついていないのを不思議に思ったが、あまりこだわらず、次に「うち」の意味を調べた。「うち」という単語には、「内」、「中」、「裡」、「間」、「裏」、「家」、「自分」、「打ち」、など、いろいろな意味があるが、「勝手口」が出ているので、「家」にちがいないと思った。(中略) 何回も辞書や入門書をめくったあげく、整理してみると、次のような、もやもやした印象が頭に残った。「ある場所に家が一軒(あるいは数軒)在る。その家は現在では、何か別なもの、おそらく別の家と相違していない(あるいは、昔とは変わらない)。だれかがだれかにむかってこう質問する。だれかが(あるいはだれが)、あるいは何かが(あるいは何が)どこから入って良いか、と。飛躍。過去には、勝手口が無かった。」 失望して、本を閉じた。…「これでも(日本語は)人間の言葉か」と言った同僚の顔がふいに思い出されて、いよいよ気が滅入ってきた。しかし、閉じた本に目をやると、またやってみたい衝動に駆られた。 読んで行くうちに、わかろうとすればするほどわからなくなった。疑問が続々と起こった…。 物に憑かれたように、夜明まで読みつづけた。しかし、全て徒労に終わった。日本語がえがいていた世界は、不思議なくらいアイマイなものだった。その世界をさまよっているうちに、あらゆる幻覚が次から次へと起こり、ものの輪郭がはっきりしてきたかと思うと、豹変したり、ぼやけたり、あとかたもなく消えたりした。 あきらめて、本を本棚にしまった。頭がヒリヒリ痛んでいた。 ウーム、文法書と辞書だけを頼りに日本語を学ぶと、こんなにも難しいのか・・・たまらんでぇ。『西洋古典こぼればなし』1()
2021.01.28
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図書館で『西洋古典こぼればなし』という本を手にしたのです。ラテン語で書かれた「クマのプーさん」が興味深いのです。【西洋古典こぼればなし】柳沼重剛著、岩波書店、1995年刊<「MARC」データベース>より文化と文明を分けて考える根拠は何か。古典期の音読の習慣はいつ、どのようにして黙読へと移行したのか…。研究の途上にふと感じた疑問や興味をきっかけに、言葉の語源や来歴を探索するエッセイ集。<読む前の大使寸評>ラテン語で書かれた「クマのプーさん」が興味深いのです。amazon西洋古典こぼればなしラテン語版「クマのプーさん」が出てくるあたりを、見てみましょう。p167~170ラテン語版『クマのプーさん』など あの『クマのプーさん』にラテン語版があることをご存じだろうか。“Winnie ille Pu”というのだ。『プー横丁にたった家』のラテン語版もある。“Domus Anguli Puensis”という。このほか『ピーター・ラビット』(Fabula de Petro Cuniculo)もあるし、『メアリー・ポピンズ、AからZのお話』(Maria Poppina ab A-Z)もある。 『不思議の国のアリス』のラテン語版を神保町の古書店で売っていて、1万何千円という値がつけてあったという話を聞いたこともある。これ以外にもあるかもしれないが、私が知っているのは今のところこれだけである。 これらはいずれもイギリスで出版されているが、結構売れているようで、版を重ねて今でも手に入る。このうち(『アリス』を除けば)『クマのプーさん』がいちばん古く、もっとも、古いといってもそんなに古いわけではなくて、それなら言い直して、いちばん早く出た。1961年である。 これに刺激されたのか、次の年には『メアリー・ポピンズ』が出た。『ピーター・ラビット』はいつ出たのか分からないが、私がこの本を、ロンドン大学での海外研修を終えて帰国した廣川洋一さんから、おみやげとして頂戴したのが、1978年のことである。(中略) それにしても、『クマのプーさん』をラテン語でというのは、かなり奇妙なことに思われるのではないだろうか。何でまた、といぶかしまれるだろう。その宣伝文句にいわく、「プーは世界中の人々に愛されている。プーを可愛がってくださる方々が、彼がローマ人になりすまして登場するのを歓迎してくださるように期待する」。何もプーにローマ人になってもらわなくてもいい、と言われそうだ。 『メアリー・ポピンズ』の宣伝文は、「ただラテン語を学ぶ人々にだけでなく、あらゆる時代のこの物語の愛読者の方々にも、これはすばらしい魅力たっぷりの本である」。ラテン語にしなくても(あるいは、しない方が)、この本は魅力たっぷりだと言う人も多いにちがいない。 ヨーロッパにおいてラテン語は、ちょうど昔の日本で漢文が占めていた地位を占め、漢文が果していた役割を果しているのだと私は思っているが、すると、『クマのプーさん』や『ピーター・ラビット』をラテン語に訳して本にするというのは、一昔前なら巌谷小波の、今なら松谷みよ子の童話を、漢文に訳して出版するのに当たるわけだが、そんな本はないし、そんなことを企画する人もいない。 ということは、日本の知識人における漢文よりは、ラテン語の方がヨーロッパの知識人に、今なお広く深く浸透しているということになるだろう。 オックスフォード大学で、理科系の学生に対しては、ラテン語を入学の必須条件からはずすという決定をして大いに世間を騒がせたのは、ちょうど私が英国留学中の1959年のことで、その後、文科系でも必須科目からはずされ、かくてラテン語学習は確実に衰退して今日に及んでいるのは事実だが、それでもなお、ラテン語はヨーロッパ人の教養の証しになっている、あるいはラテン語で遊ぶ技術を心得た人が今も大勢いる、ということでもある。 ラテン語は、たくさんの漢字の熟語を使って書いた文のような感じのする言葉であり、さらに、日本語はたいていは人、さもなければ生き物を主語においてものを言う言語であるのに対して、ラテン語の書き言葉は、無生物、時には抽象的な概念を主語において文を書く傾向の強い言語である(ラテン語から大きな影響を受けつつ発展した英語の散文にもこの傾向が見られる)。 だから例えば、日本語で「彼女は人がいいので、みんなから好かれる」と言うところを、ラテン語だと、「彼女の人物の良さが人々を引きつける」と書くだろう。「彼は祖国を愛していればこそ、そう振る舞ったのである」は、「彼のその振る舞いは、彼の愛国心の発露である」となる。 ウン、ラテン語に関して、その構文や、教養としての位置づけがなんとなく分かったのです(よう知らんけど)♪
2021.01.28
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図書館で『文豪と食』という本を手にしたのです。漱石は蕎麦、芙美子はうどんというのが、いかにもというか、東西の対比が表れているでえ。文豪の食道楽や偏愛的味覚が載っているうようで・・・面白そうである。【文豪と食】長山靖生著、中央公論新社、2019年刊<「BOOK」データベース>より子規が柿を食した時、聞こえたのは東大寺の鐘?潔癖症の鏡花は豆腐を豆府に!鴎外は肉食を弱肉強食の闘争に譬え、独歩は和洋折衷・官民融和の理想を重ねた。江戸っ子の漱石は蕎麦、西国出の芙美子はうどんと好みは生まれも反映、美食の追求かと思えば偏食に拘る者も。露伴、荷風、谷崎、芥川、久作、太宰など食道楽に収まらない偏愛的味覚を探る。<読む前の大使寸評>漱石は蕎麦、芙美子はうどんというのが、いかにもというか、東西の対比が表れているでえ。rakuten文豪と食泉鏡花の「湯どうふ」を、見てみましょう。p159~161<湯豆腐「湯どうふ」> 昨夜は夜ふかしをした。 今朝…と云うがお午ごろ、炬燵でうとうとして居ると、いつも来てさえずる、おてんばや、いたずらっ児の雀たちは、何処へすっ飛んだか、ひっそりと静まって、チイチイと、甘えるように、寂しそうに、一羽めじろが鳴いた。 いまが花の頃の、裏邸の枇杷の樹かと思うが、もっと近い。屋根には居まい。じき背戸の小さな椿の樹らしいなと、そっと縁側へ出て立つと、その枇杷の方から、斜にさつと音がして時雨が来た。 椿の梢には、つい此のあいだ枯萩の枝を刈って、その時引残した朝顔の蔓(つる)に、五つ六つ白い実のついたのが、冷く、はらはらと濡れて行く。 考えてもみたが可い(いい)。風流人だと鶯を覗くにも行儀があろう。それ鳴いた、障子を明けたのでは、めじろが熟と(じっと)して居よう筈がない。透かしても、何処にもその姿は見えないで、濃い黄に染まった銀杏の葉が、一枚ひらひらと飛ぶのが見えた。 懐手して、肩が寒い。 こうした日は、これから霙(みぞれ)にも、雪にも、いつもいいものは湯豆腐だ。…昔からものの本にも、人の口にも、音に響いたものである。が、…此の味は、中年からでないと分からない。 誰方(どなた)の児たちでも、小児で此が好きだと言うのは余りなかろう。十四五ぐらいの少年で、僕は湯どうふが可いよ(いいよ)、なぞは(説明に及ばず)親たちの注意を要する。今日のお菜(おかず)は豆腐と云えば、二十時分のまずい顔は当然と言って可い。 能楽師、松本金太郎叔父てきは、湯どうふはもとより、何うした豆腐も大のすきで、従って家中が皆嗜んだ(たしなんだ)。その叔父は十年ばかり前、七十一で故人になったが、尚おその以前…米が両に六升でさえ、世の中が騒がしいと言った。 諸物価の安い時、月末、豆腐屋の払が七円を越した。…どうも平民は、すぐに勘定にこだわるようでお恥かしいけれども、何事も此の方が早分かりがする。…豆腐一挺の値が、五厘から八厘、一銭ないし二銭の頃の事である。(中略) 催し、稽古なんど忙しい時だと、ビールで湯どうふで、見る見るうちに三挺ぐらいぺろりと平らげる。当家のは、鍋へ、そのまま箸を入れるのではない。ぶつぶつと言うやつを、碗に装出して、猪口のしたじで行る(やる)。 何十年来馴れたもので、つゆ加減も至極だが、しかし、その小児たちは、皆知らん顔をしてお魚(とと)で居る。勿論、そのお父さんも、二十時代には、右同然だったのは言うまでもない。 ウーム 湯どうふは腹一杯食べるほどコスパが良かったようですね♪ でも京都の湯どうふは値が張るでえ(美味いけど)。『文豪と食』1
2021.01.27
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図書館で『文豪と食』という本を手にしたのです。漱石は蕎麦、芙美子はうどんというのが、いかにもというか、東西の対比が表れているでえ。文豪の食道楽や偏愛的味覚が載っているうようで・・・面白そうである。【文豪と食】長山靖生著、中央公論新社、2019年刊<「BOOK」データベース>より子規が柿を食した時、聞こえたのは東大寺の鐘?潔癖症の鏡花は豆腐を豆府に!鴎外は肉食を弱肉強食の闘争に譬え、独歩は和洋折衷・官民融和の理想を重ねた。江戸っ子の漱石は蕎麦、西国出の芙美子はうどんと好みは生まれも反映、美食の追求かと思えば偏食に拘る者も。露伴、荷風、谷崎、芥川、久作、太宰など食道楽に収まらない偏愛的味覚を探る。<読む前の大使寸評>漱石は蕎麦、芙美子はうどんというのが、いかにもというか、東西の対比が表れているでえ。rakuten文豪と食大使の好物でもあるうどんが出てくるあたりを、見てみましょう。p57~60<うどん「小さい花」2:林芙美子> 由の仕事は、家中の誰より早く起き出て、表戸や裏口を開けはなち、うどんのだしを煮る事でありました。朝早く船へ乗るひとや、船から降りるひとが、「うどん出来るかア」と云って入って来ますので、その客人を当てこんで早くから戸口を開けておくのです。 昆布や煮干を大きな木綿袋に入れ、五右衛門釜のような鉄釜にひたして、とろ火でいっときだしを摂るのですが、その間、土間へ水を打って、バンコ(腰掛)や台の上を拭いておくのが仕事なのでありました。 台の上には、箸たてが置いてあるのですが、ここのお神さんは客なので割箸は使わずに、洗って何時までも使える青竹色に塗った箸をつかっていました。薬味のわけぎを小さく刻んで、山盛り皿に入れて出しておいて、戸口に椅子を持ち出し、だしの煮こぼれるまで、由は此椅子に呆んやりかけているのです。 椅子に腰をかけていますと、町が谷間のように卑屈なので、海辺でありながら、何時も暗い山の町の感じでした。両方から軒が低く重なりあっているせいか、眉に煤でもついているようなうっとうしさを感じるのです。 由が此様な町を見ながら、朝々椅子に呆んやりしていると、軒下を縫うようにして、ラムネを抜いてくれた娘が学校にへ行きます。名前をひな子と云いました。由の思ったとおりやっぱり置屋の娘でありましたが、このひな子にはもうひとつ名前があって、それがあんまり変な名前なので、由は何時も気の毒に思っていました。その変な方の名前を、土方や車夫たちが面白そうに呼んでも、ひな子は別に恥ずかしがりもせずに、「」と可愛い返事をするのです。 「ひなちゃん、今日は裁縫があるんな?」 由は朝の挨拶に、ひな子の学課を訊くのが愉しみでありました。ひな子は、暫らく由の椅子のところにしゃがんで、 「しんどいがア」と荷物を由のひざの上にどかりと置くのです。 「今日は理科でのウ。春の草花を習うんじゃけど、およっしゃん、すみれの花の数ウ沢山知っとるな?」 「角力取草の事かの? わしゃ知らんが…」 「ふん、沢山あるんぞな、云おうかア、あのなあ、ふもとすみれじゃんで、それから、こすみれ、しろばすみれ、けまるばすみれ、あおいすみれ、やぶすみれ、それあらひなすみれ、ひかげすみれ、まるばすみれ、ながばのすみれさいしん、えいざんすみれ、ひめすみれ、たちつぼすみれ、つぼすみれ、こみやますみれ、どうな、ほら、沢山あろウがの」 四ツ切りの黒ずんだ洋紙を赤い木綿糸でとじた雑記帳を開いて、ひな子は、自分の描いたこれらのすみれの絵を見せるのでありましたが、どれもこれも兎の耳のようで満足なすみれの花は一ツも描いてありませんでした。 只、そのあやし気なすみれの絵に説明がつけてあるので、やっと、まるばすみれだとか、ひなすみれなぞと判るのでした。(中略) 「うちの先生、本にないのばア教えてむつかしいけエのう」 何時もの癖のように八つ口からむき出しの両碗を出して、「おおけに」と由のひざの荷物を持って立ち上がります。 「おい、おかめ、何よウしよる、学校おくれてしまうぞ」 床屋の男の子が同級生のくせにえらぶって云うのを、ひな子は、ニコニコ笑いながら、「わしと並んで行きたいのじゃろウ」と、少女のなかにありようもない嬌笑で云いかえすのでした。おおかた、父親達が置屋へ行って呼び馴れているその名前を、自分達も何時とはなく覚えて呼びよくなるのでしょう。町の男の子達は、ひな子のもうひとつの名を呼んで、「おかめおかめ」と云っておりました。 ウーム 関西風うどんの旨さが出てくるかと思いきや、うどん作りや林芙美子の奉公暮らしや学校での子ども仲間が描かれていますね。
2021.01.27
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図書館で『キャット・ギャラリー 猫の贈りもの』というアート絵本なるものを、借りたのだが・・・おお 古今東西の猫画像がいいではないか。・・・ということで猫に関する本を集めてみました。・図書館ねこ デューイ・ねこはい・猫の美術史・あっちの女 こっちの猫・作家の猫1・作家の猫2・キャット・ギャラリー 猫の贈りもの・白猫亭・ボブという名のストリート・キャットR4:『図書館ねこ デューイ』を追記***********************************************************************<『図書館ねこ デューイ』>【図書館ねこ デューイ】ヴィッキー・マイロン著、早川書房、2008年刊<「BOOK」データベース>より子ねこが、幸せをはこんできた!返却ボックスから救いだされやがて人びとを魅了した「図書館ねこ」が教えてくれたこととは?全米で注目の感動エッセイ。<読む前の大使寸評>図書館と猫のふたつの組み合わせには、大使のツボが疼くのでおます♪amazon図書館ねこ デューイDewey Readmore Books***********************************************************************<『ねこはい』>図書館に予約していた『ねこはい』という絵本を、待つこと5日でゲットしたのです。ぱらぱらとめくると、猫の絵がなかなかの味で・・・南さんの絵心に感心したのです。なお、文章のほうは5分ほどで読破いたしました。【ねこはい】南伸坊著、青林工藝舎、2013年刊<「BOOK」データベース>より世界初! 猫が作った俳句絵本!!猫だってなかなかやるらしい。四季折々の世界を猫の目から見て俳句にしたらどんな感じ?<大使寸評>ぱらぱらとめくると、猫の絵がなかなかの味で・・・南さんの絵心に感心したのです。なお、文章のほうは5分ほどで読破いたしました。<図書館予約:(12/13予約、12/18受取)>amazonねこはい猫の絵と俳句をいくつか、見てみましょう。ひだまりで まんぷくである ごーしちごいちめんの ねこじゃらしなり われひとりどろぼうと ののしるこえを おいぬいてれんたんの もえるめつきの あかあおき東京イラストレーターズ・ソサエティのShinbo Minami「ねこはい」でねこの絵が見られます。***********************************************************************【猫の美術史】デズモンド・モリス著、エクスナレッジ、2018年刊<出版社>より名画の猫はなぜそのポーズなの?動物行動学者デズモンド・モリスが古今東西の猫の絵の秘密を解き明かします。古代エジプトから、現代のストリート・アートまで猫の“かわいい! "と“なるほど! "がつまった134点を紹介します。<読む前の大使寸評>しかしまあ、よくも集めて綴った134点であり、著者の粘りはなかなかのものでおます♪<図書館予約:(10/06予約、10/11受取)>rakuten猫の美術史『猫の美術史』2『猫の美術史』1*********************************************************************** <『あっちの女 こっちの猫』2>図書館で『あっちの女 こっちの猫』という本を手にしたのです。この本の挿絵はすべてがモノクロ画像であるが・・・それがかえって佐野洋子の線描画の素晴らしさを表しているようです♪【あっちの女 こっちの猫】佐野洋子著、講談社、1999年刊<商品の説明>より猫と女を巡る佐野洋子の描き下ろし画文集。モノトーンの銅版画ながらエネルギッシュで大胆な構成とユニークなモノローグで、新しい佐野ワールドが展開する。クスッと笑えてズンと胸に響く洒落た大人の絵本<読む前の大使寸評>この本の挿絵はすべてがモノクロ画像であるが・・・それがかえって佐野洋子の線描画の素晴らしさを表しているようです♪<図書館予約:(10/01予約、10/06受取)>amazonあっちの女 こっちの猫『あっちの女 こっちの猫』1***********************************************************************<『作家の猫1』>図書館で『作家の猫』という本を、手にしたのです。『作家の猫2』という姉妹本は先に読んでいましたが・・・やっとこの本に巡り合ったわけで、まよわず借りたのです。【作家の猫】平凡社編、平凡社、2006年刊<「BOOK」データベース>より漱石の「吾輩」から、中島らもの「とらちゃん」まで作家に愛され、描かれた猫たちのアルバム。<読む前の大使寸評>『作家の猫2』という姉妹本は先に読んでいましたが・・・やっとこの本に巡り合ったわけで、まよわず借りたのです。rakuten作家の猫『作家の猫』2:池波正太郎さんちの猫たち『作家の猫』1:中島らもの「とらちゃん」***********************************************************************<『作家の猫2』>図書館で『作家の猫2』という本を、手にしたのです。わりと写真の多いビジュアル本となっています。それから・・・赤塚不二夫さんちの菊千代、米原万里さんちの無理、道理、ソーニャ、ターニャなど有名猫がみられるのが、ええでぇ♪【作家の猫2】ムック、平凡社、2011年刊<「BOOK」データベース>よりしろ、ミイ、クック、ヤン坊、ナルト、リュリ、クーちゃん…作家に愛された猫たち。【目次】加藤楸郎ーしろ、たま、ミイ/長谷川〓(りん)二郎ータロー/萩原葉子ー舞子/池部良ーミンゴ、チー、チビ/城夏子ーノン、メエ、茶目、チャコ…/武満徹ークック、すず、ノノ/佐野洋子ーミーニャ、金太、クロ、フネ/川本恵子ーゴロニャン、プカジャ、ヤン坊/田中小実昌ーミヨ、ミイ/米原万里ー無理、道理、ソーニャ、ターニャ…〔ほか〕<読む前の大使寸評>赤塚不二夫さんちの菊千代、米原万里さんちの無理、道理、ソーニャ、ターニャなど有名猫がみられるのが、ええでぇ♪rakuten作家の猫2***********************************************************************【キャット・ギャラリー 猫の贈りもの】深大寺かおる著、小学館、2003年刊<「BOOK」データベース>より人の心の中には、猫のための場所がある。名画の中から飛び出した猫、ネコ、ねこ。猫いっぱいのアート絵本。<読む前の大使寸評>おお 古今東西の猫画像がいいではないか。巻末には切り取り可能なポストカード集がついている、粋な絵本やでぇ♪rakutenキャット・ギャラリー 猫の贈りもの『キャット・ギャラリー 猫の贈りもの』2:ピカソの描いた猫、藤田嗣治の描いた猫***********************************************************************【白猫亭】宇野亜喜良著、小学館、2004年刊<「BOOK」データベース>よりLOVE?質問はひとつ、答えは1万通り。追憶の波止場にある料理店・白猫亭、宇野亜喜良が贈るラブ・ファンタジー。<読む前の大使寸評>絵本といっても、大人の絵本のような本で、猫好きにとって(また、大人にとって)たまらないわけでおます。rakuten白猫亭***********************************************************************【ボブという名のストリート・キャット】ジェームズ・ボーエン著、辰巳出版、2013年刊<「BOOK」データベース>よりロンドンでプロのミュージシャンを志したものの様々な困難に遭い路上生活者となった青年ジェームズ。人生に目的も目標も持てないままいつまでもヘロイン中毒から抜けだせずにいた。そんな彼の前に突然現れた、一匹の野良猫ボブ。ホームレスの青年と野良猫の友情物語。<読む前の大使寸評>猫好きにとってはたまらない本で・・・表紙のボブの写真がええなあ♪<図書館予約:(2/9予約、3/10受取)>rakutenボブという名のストリート・キャットちなみに、この本を原作にした『ボブという名の猫』を先日観たのです♪【ボブという名の猫 幸せのハイタッチ】ロジャー・スポティスウッド監督、2016年英制作、2018.7.03観賞<tsutaya作品情報>よりロンドンのホームレスの青年が野良猫“ボブ”と出会い、互いに支え合う日々を綴ったベストセラー『ボブという名のストリート・キャット』を映画化。美形俳優のルーク・トレッダウェイをはじめ、ジョアンヌ・フロガットら実力派俳優が好演。 <大使寸評>ボブが飼い主の青年とハイタッチするシーンが何度かあるのだが、何度見ても可愛いのだ♪それにしても薬物中毒者のカムアウトが如何に苦しいものかが、わかる映画でした。tsutayaボブという名の猫 幸せのハイタッチウン 期せずして、黒猫、白猫、茶トラのオンパレードになったやんけ♪
2021.01.26
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図書館で『図書館ねこ デューイ』という本を手にしたのです。図書館と猫のふたつの組み合わせには、大使のツボが疼くのでおます♪【図書館ねこ デューイ】ヴィッキー・マイロン著、早川書房、2008年刊<「BOOK」データベース>より子ねこが、幸せをはこんできた!返却ボックスから救いだされやがて人びとを魅了した「図書館ねこ」が教えてくれたこととは?全米で注目の感動エッセイ。<読む前の大使寸評>図書館と猫のふたつの組み合わせには、大使のツボが疼くのでおます♪amazon図書館ねこ デューイ冒頭の語り口を、見てみましょう。p13~16プロローグ アイオワにようこそ 合衆国中部には、東をミシシッピ川、西を砂漠にはさまれた千六百キロほどにおよぶ台地がある。そこはなだらかな丘陵地帯で、山はない。川、小川、湖には恵まれている。露出した岩に風が吹きつけ、最初はほこりを、次に土を、それから土壌を、最後に肥えた黒い農地を作りあげた。このアイオワ州の農地は、世界で最高の農業地帯のひとつだといえるだろう。グレートプレーンズ。パンかご。心臓地帯。 アイオワの北西部では、冬には空が農場をのみこんでしまう。寒い日には、平原から薙がれこんでくる黒い雲が、鋤さながら土地を掘り起こしていくようにみえる。春にはどこもかしこもたいらで空っぽになる。 茶色の土と、土に鋤きこまれるのを待っている裁断されたトウモロコシの茎しかない。だが、晩夏にここにくると、地面が持ちあがり、風景から空を切りとろうとしているようにみえるにちがいない。トウモロコシは高さ3メートル近くになり、鮮やかな緑の葉がたくさんでて、てっぺんにはあでやかな金色の房が生えている。車で走っていくと、ほとんどそのあいだに、つまりトウモロコシの壁のあいだに埋もれることになるだろう。(中略) トウモロコシ畑の間を走り続け、リトル・スー川にかかる美しい低い橋を渡ると、アイオワ州の中心スペンサーにはいる。そこは1931年からほとんど変わっていない町だ。 スペンサーのダウンタウンは、アメリカの小さな町の絵葉書から抜けでてきたようだ。二階から三階建ての建物が軒を並べた商店街では、人々は縁石に車を停め、外に出て歩き回っている。(中略) 三つのグループの男たちが毎朝に集まってきた。老人、さらに年老いた人々、老いさらばえた人々。彼らはこの60年間、力をあわせてスペンサーを運営してきたのだ。 の角を曲がり、駐車場の向かいをグランド・アヴェニューから半ブロックほどはいったところに、灰色のコンクリート造りの平屋建てがある。それがスペンサー公共図書館だ。わたしの名前はヴィッキー・マイロン。その図書館で25年間、この20年は館長として働いてきた。 初めてのパソコン導入も、閲覧室の設置も監督した。子どもたちが大きくなり、去っていくのも見守ってきた。彼らは10年後、自分の子どもをつれて図書館のドアから再びはいってきたものだ。スペンサー公共図書館は、少なくとも最初のうちはたいした場所にみえないかもしれない。 しかし、この中部の物語におけるもっとも重要な場所であり、舞台であり、中心なのだ。わたしがスペンサーについて語ることすべては最終的に、この小さな灰色の建物と、18年以上ここに住んでいた猫に戻ってくる。 動物はどのくらいの影響力を持てるものだろう? 一匹の猫がいくつの人生とふれあえるものだろう? 捨てられていた子猫が、小さな図書館を出会いの場と観光客の注目の的に変え、アメリカの昔ながらの町に活気を吹きこみ、地域全体をひとつにまとめ、世界じゅうで有名になるなどということがありうるだろうか? アイオワ州スペンサーの愛された図書館猫、デューイ・リードモア・ブックスの物語をきくまでは、その疑問には答えられないだろう。とてつもなく寒い朝 週末のあとの返却ボックスは本でいっぱいになっているので、毎週月曜、担当者が返却処理をして棚に並べられるように、わたしはカートに本をのせておく。この特別な月曜の朝、わたしがカートを押して戻ってくると、ジーンが部屋の真ん中にたっていた。 「音がきこえるわ」 「どういう音?」 「返却ボックスからよ」 「なんですって?」 「動物よ。返却ボックスに動物がはいりこんだんじゃないかしら」 そのとき、わたしも金属製の蓋の下から低いくぐもった音をきいた。動物のようには思えなかった。むしろ、咳払いをしようとしている老人のようにきこえた。だが、老人ではないだろうと思った。シュートの入り口は十センチ足らずの幅なので、いくらなんでも狭すぎる。動物というのはたぶんまちがいないが、種類はなんだろう? ひざをつき、リスを予想しながら蓋に手を伸ばした。 まず、箱の中から凍てついた空気がたちのぼってきた。誰かが返却口に本をねじこんだまま、開けっ放ししたのだ。箱の中は戸外と同じぐらい冷たかった。箱は金属製なので、たぶんもっと冷たかっただろう。冷凍した肉も保管できそうだった。寒さに息をとめていたとき、子猫をみつけた。 箱の手前の左隅に丸くなっていた。頭をうなだれ、脚を体の下に折りたたみ、自分をできるだけ小さくみせようとしている。Dewey Readmore Books
2021.01.26
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図書館に予約していた『緊急提言 パンデミック』という本を、待つこと2ヶ月ほどでゲットしたのです。とにかく、ユヴァル・ノア・ハラリさんの有益な提言に耳を傾けようではないかと、思う次第です。【緊急提言 パンデミック】ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より【目次】人類は新型コロナウイルスといかに闘うべきかー今こそグローバルな信頼と団結を(歴史に見る厖大な犠牲者/感染症との闘い ほか)/コロナ後の世界ー今行なう選択が今後長く続く変化を私たちにもたらす(新しい監視ツール/重大な分岐点ー「皮下」監視 ほか)/死に対する私たちの態度は変わるか?-私たちは正しく考えるだろう(避けようのない運命ー死の意味/死は技術的問題に ほか)/緊急インタビュー「パンデミックが変える世界」インタビュアー道傳愛子(発展途上国とウイルスの変異/歴史の決定的な瞬間 ほか)<読む前の大使寸評>とにかく、ユヴァル・ノア・ハラリさんの有益な提言に耳を傾けようではないかと、思う次第です。<図書館予約:(11/14予約、副本7、予約28)>rakuten緊急提言 パンデミック国会ではコロナ関連法改正案について与野党で審議中であるが、休業補償や違反時の罰則が争点になっています。ちょっと頭を冷やして・・・この本で「コロナ後の世界」が語られているので、見てみましょう。p33~37コロナ後の世界 人類は今、グローバルな危機に直面している。それはことによると、私たちの世代にとって最大の危機かもしれない。 今後数週間に人々や政府が下す決定は、今後何年にもわたって世の中が進む方向を定めるだろう。医療制度だけではなく、経済や政治や文化の行方も決めることになる。私たちは迅速かつ決然と振る舞わなければならない。 だが、自らの行動の長期的な結果も考慮に入れるべきだ。さまざまな選択肢を検討するときには、眼前の脅威をどう克服するかに加えて、嵐が過ぎた後にどのような世界に暮らすことになるかについても、自問する必要がある。そう、この嵐もやがて去り、人類は苦境を乗り切り、ほとんどの人が生き永らえる・・・だが、私たちは今とは違う世界に身を置くことになるだろう。 今後、多くの短期的な緊急措置が生活の一部になる。緊急事態とはそういうものだ。緊急事態は、歴史のプロセスを早送りする。平時には討議に何年もかかるような決定も、ほんの数時間で下される。未熟なテクノロジーや危険なテクノロジーまでもが実用化される。手をこまぬいているほうが危ないからだ。 いくつもの国がまるごと、大規模な社会実験のモルモットの役割を果たす。誰もが自宅で勤務し、遠隔でしかコミュニケーションを行わなくなったなら、何が起こるのか? 小学校から大学まで、一斉にオンラインに移行したら、どうなるのか? 平時なら、政府も企業も教育委員会も、そのような実験を行うことには決して同意しないだろう。だが、今は平時ではないのだ。 この危機に臨んで、私たちは二つのとりわけ重要な選択を迫られている。第一の選択は、全体主義的監視か、それとも国民の権利拡大か、というものだ。 第二の選択は、ナショナリズムに基づく孤立か、それともグローバルな団結か、というものだ。新しい監視ツール 感染症の流行を食い止めるためには、各国の全国民が特定の指針に従わなくてはならない。これを達成する主な方法は二つある。一つは、政府が国民を監視し、規則に違反する者を罰するという方法だ。 今日、人類の歴史上初めて、テクノロジーを使ってあらゆる人を常時監視することが可能になった。50年前なら、KGBは、2億4千万のソ連国民を24時間体制で追い続けることはできなかったし、収集した情報をすべて効果的に処理することなど望むべくもなかった。 KGBは諜報員や分析官を頼みとしていたため、国民の一人ひとりに諜報員を割り当てて追跡することは、とうてい不可能だった。だが、今や各国政府は、生身のスパイの代わりに、至る所に設置されたセンサーと高性能のアルゴリズムに頼ることができる。 数ヶ国の政府が、新型コロナウイルス感染症の流行との闘いで、新しい監視ツールをすでに活用している。それが最も顕著なのが中国だ。中国の当局は、国民のスマートフォンを厳重にモニタリングしたり、何億台もの顔認識カメラを使ったり、国民に体温や健康状態の確認と報告を義務づけたりすることで、新型コロナウイルスの感染が疑われる人を素早く突き止められるだけでなく、彼らの動きを継続的に把握して、接触した人を全員特定することもできる。国民は感染者に接近すると、多種多様なモバイルアプリに警告してもらえる。 この種のテクノロジーが利用可能な国は、東アジアに限られてはいない。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は最近、通常はもっぱらテロリストとの闘いで使われていた監視技術を、新型コロナウイルス感染症患者の追跡にも使用する権限を、同国の総保安庁に与えた。 議会の当該小委員会からこの措置の承認が得られないと、ネタニヤフは「緊急命令」を出してこの方針を押し通した。監視社会といえば・・・ユヴァル・ノア・ハラリさんのインタビュー<AIが支配する世界>を紹介します。『緊急提言 パンデミック』2:「ウイルスの変異」の続き『緊急提言 パンデミック』1:「ウイルスの変異」()
2021.01.26
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<黄砂の季節にそなえて>お天気良~し♪ 今日の黄砂予測は問題ないようである。先日(1月16日)黄砂が見られたが、例年、黄砂のピークは2月~4月のようである。この黄砂にはPM-2・5が含まれていて危険な降下物であり、中国からの贈りものは迷惑このうえないのです。気象庁の黄砂情報・・・ということで、黄砂に関する記事を復刻してみます。【ここまでわかった「黄砂」の正体】三上正男著、五月書房、2007年刊<「BOOK」データベース>より知っているようで知らない「黄砂」の常識をくつがえす!!過酷な砂漠体験に挑む科学者たちの情熱とチームワーク。日中共同研究プロジェクト(ADEC)の日本側代表者による、最前線からの「黄砂」レポート。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・とにかく砂漠に関する記事が充実しているわけです。amazonここまでわかった「黄砂」の正体「第4章 ダストが発生する謎を解き明かそう!」からタクラマカン砂漠(続き)を、見てみましょう。p144~147<2002年3月、とうとう集中観測が始まった>■“砂上の楼閣”を砂漠のど真ん中に 2002年3月23日、私たちは成田を出発し、北京へと向かった。北京で和歌山大学(現香川大)の石塚正秀氏と合流し、翌24日に新疆ウイグル自治区の首都、ウルムチ市に向かった。北京からウルムチまでの経路は裁く乾燥域がほとんどで、雲がなければ窓から砂漠がよく見通せる。 私はいつもこの飛行機に乗るたびに、様々な表情を見せる砂漠を観察するのを楽しみにしていた。しかし、この日は飛行機から見下ろせる大気は白く濁っていて、地表面の様子は定かではなかった。ダストが大気の下層を厚く覆っていたからである。この時期、3月下旬ともなれば、ダストストームが頻発する季節だった。おそらくこの眼下に広がる大陸のどこかでダストストームが発生し、強風で舞い上げられた大量のダストが広がっているのだろう。 この景色は私の気持ちを高ぶらせたが、同時に、心の中では不安が拡がっていった。ダストストームは、活発な低気圧に伴って発生することが多い。私たちが集中観測する場所に、折りよくダストストームが発生してくれればいいが、低気圧の経路が若干でもそれると、せっかくたくさんの測器をそろえて待ちかまえても、観測は空振りに終わってしまう。 観測には、こうしたことはつきものだ。いままで、どれほどの研究者が不運に泣いたことだろう。私たちの観測には、たくさんの仲間の協力があった。また、すでに巨額の研究費も投下されていた。しかも、私はこの日中共同プロジェクトの研究代表も務めていたのだ。「もし、観測が空振りに終わったら」…眼下に拡がる白く濁ったダストの海を眺めながら、私の心も次第にダストの海に沈んでいった。 ウルムチ空港では、中国科学院新疆生態予地理研究所の研究仲間たちが、私たちを待っていてくれた。さっそく市中のホテルに向かうが、ホテルでは、名古屋大甲斐憲次教授のグループや、私たちと現地調査に同行することになっている㈱クリマテックの飛田さんなどと合流することができた。日本から数千キロも離れた地で同じ研究仲間に再会するのは、日本での再会とは違う格別の嬉しさがあるものだ。 さっそく日中の研究者が一堂に会して、スケジュールの打ち合わせを兼ねた夕食会が持たれた。久しぶりに会う中国の仲間たちと白酒の杯を重ねるにつれ、次第に先ほどまでの重く暗い気持ちは晴れてゆき、この1ヵ月にも及ぶ砂漠現地での調査に立ち向かう心構えのようなものが、腹の底から湧いてくるのが感じられた。苦しい砂漠の観測体験を共有した仲間というものは、国や言葉の違いを超え、よいものだなと思うのは、こういう時である。 さて、私たちのグループは甲斐教授のグループとともにウルムチを出発し、タクラマカン砂漠北部のアクスというところで観測機材の設置と自動観測の立ち上げを行なった。その後、甲斐さんたちとはそこで別れ、いよいよ目指す目的地、タクラマカン砂漠南部の策勒(チーラ)へ向かった。策勒へは、アクスから出ている飛行機で和田(ホータン)まで行き、そこからは車で移動する。(長くなるので以降割愛)『ここまでわかった「黄砂」の正体』3:タクラマカン砂漠『ここまでわかった「黄砂」の正体』2:タクラマカン砂漠のダスト『ここまでわかった「黄砂」の正体』1:砂漠や砂嵐について
2021.01.25
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図書館に予約していた『緊急提言 パンデミック』という本を、待つこと2ヶ月ほどでゲットしたのです。とにかく、ユヴァル・ノア・ハラリさんの有益な提言に耳を傾けようではないかと、思う次第です。【緊急提言 パンデミック】ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より【目次】人類は新型コロナウイルスといかに闘うべきかー今こそグローバルな信頼と団結を(歴史に見る厖大な犠牲者/感染症との闘い ほか)/コロナ後の世界ー今行なう選択が今後長く続く変化を私たちにもたらす(新しい監視ツール/重大な分岐点ー「皮下」監視 ほか)/死に対する私たちの態度は変わるか?-私たちは正しく考えるだろう(避けようのない運命ー死の意味/死は技術的問題に ほか)/緊急インタビュー「パンデミックが変える世界」インタビュアー道傳愛子(発展途上国とウイルスの変異/歴史の決定的な瞬間 ほか)<読む前の大使寸評>とにかく、ユヴァル・ノア・ハラリさんの有益な提言に耳を傾けようではないかと、思う次第です。<図書館予約:(11/14予約、副本7、予約28)>rakuten緊急提言 パンデミック「ウイルスの変異」の続きが語られているので、見てみましょう。p27~30必用なのは互いの信頼と団結 今日、人類が深刻な危機に直面しているのは、新型コロナウイルスのせいばかりではなく、人間どうしの信頼の欠如のせいでもある。感染症を打ち負かすためには、人々は科学の専門家を信頼し、国民は公的機関を信頼し、各国は互いを信頼する必要がある。この数年間、無責任な政治家たちが、科学や公的機関や国際協力に対する信頼を、故意に損なってきた。 その結果、今や私たちは、協調的でグローバルな対応を奨励し、組織し、資金を出すグローバルな指導者が不在の状態で、今回の危機に直面している。 2014年にエボラ出血熱が大流行したときには、アメリカはその種の指導者の役をこなした。2008年の金融危機のときにも、グローバルな経済破綻を防ぐために、率先して十分な数の国々を結束させ、同じような役目を果たした。だが近年、アメリカはグローバルなリーダーの役を退いてしまった。 現在のアメリカの政権は、世界保健機関(WHO)のような国際機関への支援を削減してきた。そして、アメリカはもう真の友は持たず、利害関係しか念頭にないことを全世界に非常に明確に示した。(中略) 今や外国人嫌悪と孤立主義と不信が、ほとんどの国際システムの特徴となっている。信頼とグローバルな団結抜きでは、新型コロナウイルスの大流行は止められないし、将来、この種の大流行に繰り返し見舞われる可能性が高い。だが、あらゆる危機は好機でもある。目下の大流行が、グローバルな不和によってもたらされた深刻な危機に人類が気づく助けとなることを願いたい。ウン 著者は名指しを避けているが、そのトランプさんからバイデンさんにバトンが渡され、世界はちょっとだけ希望の光を見ているのだ。『緊急提言 パンデミック』1
2021.01.25
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図書館に予約していた『緊急提言 パンデミック』という本を、待つこと2ヶ月ほどでゲットしたのです。とにかく、ユヴァル・ノア・ハラリさんの有益な提言に耳を傾けようではないかと、思う次第です。【緊急提言 パンデミック】ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より【目次】人類は新型コロナウイルスといかに闘うべきかー今こそグローバルな信頼と団結を(歴史に見る厖大な犠牲者/感染症との闘い ほか)/コロナ後の世界ー今行なう選択が今後長く続く変化を私たちにもたらす(新しい監視ツール/重大な分岐点ー「皮下」監視 ほか)/死に対する私たちの態度は変わるか?-私たちは正しく考えるだろう(避けようのない運命ー死の意味/死は技術的問題に ほか)/緊急インタビュー「パンデミックが変える世界」インタビュアー道傳愛子(発展途上国とウイルスの変異/歴史の決定的な瞬間 ほか)<読む前の大使寸評>とにかく、ユヴァル・ノア・ハラリさんの有益な提言に耳を傾けようではないかと、思う次第です。<図書館予約:(11/14予約、副本7、予約28)>rakuten緊急提言 パンデミック全人類の危機ともいえる「ウイルスの変異」が語られているので、見てみましょう。p23~26ウイルスの変異という脅威 こうした感染症について人々が認識するべき最も重要な点は、どこであれ一国における感染症の拡大が、全人類を危険にさらすということだ。それはウイルスが変化するからだ。 コロナのようなウイルスは、コウモリなどの動物に由来する。それが人間に感染すると、当初は、人間という宿主にはうまく適応していない。だが、人間の体内で増殖しているうちに、ときおり変異を起こす。ほとんどの変異は無害だ。だが、たまに変異のせいで感染力が増したり、人間の免疫系への抵抗力が強まったりする。 そして、このウイルスの変異株が人間の間で今度は急速に広まる。たった一人の人間でも、何兆ものウイルス粒子を体内に抱えている場合があり、それらが絶えず自己複製するので、感染者の一人ひとりが、人間にもっと適応する何兆回もの新たな機会をウイルスに与えることになる。 個々のウイルス保有者は、何兆枚もの宝くじの券をウイルスに提供する発券機のようなもので、ウイルスは繁栄するためには当たりくじを1枚引くだけでいい。 これはただの憶測ではない。リチャード・プレストンは著書『レッドゾーンの危機』で、2014年のエボラ出血熱の感染爆発における、まさにそうした一連の出来事を描き出している。この感染爆発のきっかけは、コウモリから人間へのエボラウイルスの感染だった。 感染者は重症になったが、ウイルスは依然として人体よりもコウモリの体内での生息に適応していた。エボラウイルスが比較的稀な病気から猛威を振るう感染症に変化したのは、西アフリカのマコナ地区のどこかで、たった一人に感染あるエボラウイルスの、たった一つの遺伝子の中で起こった、たった一度の変異のせいだった。 この変異のおかげで、「マコナ株」と呼ばれるエボラウイルスのこの変異株は、人間の細胞のコレステロール輸送体に結びつくことができるようになった。こうして、この輸送体はコレステロールの代わりにエボラウイルスを細胞内に引き入れ始めた。 この新しいマコナ株は、人間への感染性が四倍も高まった。みなさんがこの文章を読んでいる間にも、テヘランかミラノか武漢の誰かに感染した新型コロナウイルスの、たった一つの遺伝子の中で、それに似た変異が起こりつつあるかもしれない。 もしそれが本当に起こっているとしたら、それはイラン人やイタリア人や中国人だけではなく、みなさんの命にとっても直接の脅威となる。新型コロナウイルスにそのような機会を与えないことは、全世界の人にとって共通の死活問題なのだ。そしてそれは、あらゆる国のあらゆる人を守る必用があることを意味する。 1970年代に人類が天然痘を打ち負かすことができたのは、すべての国で大半の人が天然痘の予防接種を受けたからだ。たとえ一国でも国民に予防接種を受けさせることを怠っていたら、人類全体を危機に陥れていただろう。天然痘ウイルスがどこかに存在して変異を続けていたら、いつでもあらゆる場所に拡がりうるからだ。
2021.01.25
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安野光雅さんが亡くなったが(昨年12月に94歳で逝去)、安野光雅さんを偲んでこれまで読んできた本を並べてみました。・原風景のなかへ(2013年刊)・絵のまよい道(1998年刊)・読書画録(1995年刊)***********************************************************************【原風景のなかへ】安野光雅著、山川出版社、2013年刊<「BOOK」データベース>より大地の原形によりかかり、住処や農地をかたちづくり原風景を求める旅にでた。むき出しの火山、氾濫する河川、山ふところに抱かれた神社、延々と連なる棚田など、自然は驚くべき早さで様相を変えていく。日本の原風景を求めて、列島各地を訪ね歩いた、初の画文集。<大使寸評>パラパラとめくってみると、絵になる場所とエッセイの組み合わせがいいではないか♪rakuten原風景のなかへ安野光雅の絵は、司馬遼太郎の『街道をゆく』の挿絵の頃から親しんでいたが、ええなあ♪この本のエッセイのうちで、「室津漁港」を見てみましょう。p26~27 <室津漁港>より ヨーロッパに、黒一色のペンで風景を描く手法の絵がある。ペンだから細工が細かく、旅行案内のイラストなどで見たことがあるかもしれない。「絵は画面全体を見渡しながら描く」と、決まったものではないが、こうした絵は端から順に描いていくらしい。インクの乾かないところをこする心配がない。 余談だが、大家の藤田嗣治も端から順に描いたことがある、と聞いた。描きながら全体の姿を見通しているのだろう。こんなことが言えるのは、ニュルンベルグの高台でそういうペン画を描いている人に会ったことがあるからで、一度試してみたいと思っていた。その人は貴婦人と見えた。目が合っても悪びれる風もなく、微かな会釈をしたが、風景から目をはなすことはなかった。 画用紙はケント紙のようだった。左手にインク瓶を持ち、左上から順に、屋根瓦、窓枠、煙突、電柱と描いていく。煉瓦造りの家は、煉瓦のひとつひとつまで描くが、その数まで勘定しているわけではない。下書きはしない。一度描いたら消せない。ここが大事なところで「目の前の風景よりも、描いている画のほうが問題なのである」。 描いたら消せない仕事をつづけて終わりに近づくのである。勢いのある達筆の絵は失敗することがあるのにくらべ、時間はかかるが必ず終わりに近づく。 描いているうちに、家並みにつじつまの合わぬ箇所がでてきそうなものだが、こだわっていては仕事がすすまない。それでも教会の塔や銅像など肝心なところは描き忘れないから、「ニュルンベルグのどこそこあたりから見た風景」と、わかる人には、わかる仕掛けになっている。 話は変わるが、週刊誌で『絵本 仮名手本忠臣蔵』を連載中、「城明け渡しの場」の赤穂城へいってみようと姫路から播磨灘界隈をまわったとき、室津漁港にたちよった。 たくさんの家や船がかたまった漁港はニュルンベルグの貴婦人風に描くといいかもしれぬと考えたが、黒インクは持っていなかった。そこで、消すことのできる鉛筆で、消さないおきてを決めて左から順に描いた。室津漁港は何一つ残さずに描きたくなる漁港だった。いつかペンで試してみたい。ちなみに、この本の表紙の絵が「室津漁港」になっています。*********************************************************************** <絵のまよい道>図書館で借りた『絵のまよい道』という本を読んでいるのだが・・・・安野光雅さんが、わりと直球で絵画について語っています。横尾忠則もそうだが、安野さんも語ることが好きな画家なんでしょうね。【絵のまよい道】安野光雅著、朝日新聞出版、1998年刊<「BOOK」データベース>より【目次】迷路の入口付近/写実的な絵の立場/写実ではない絵の立場/倉敷のセルリアンブルー/漂白者の夜の歌/イラストレーションとファインアート/おわりに近く<大使寸評>安野さんが、わりと直球で絵画について語っています。横尾忠則もそうだが、安野さんも語ることが好きな画家なんでしょうね。rakuten絵のまよい道***********************************************************************<読書画録>図書館で『読書画録』という本を借りたのだが・・・水彩画の淡い色彩がええな~♪著名な小説の舞台を、スケッチとエッセイで織りなした絵本のような画録になっています。【読書画録】安野光雅著、講談社、1995年刊<「BOOK」データベース>より檸檬を一顆、美術書を積みあげた上にそっと置いてきた梶井基次郎のあとをたどって描く京都河原町丸善の面影。樋口一葉「たけくらべ」の吉原大門あたりから幸田文「おとうと」の向島まで、こよなく読書を愛しむ画家が描く小説の舞台。懐かしい日本の三十六の風景をスケッチとエッセイで織りなす珠玉の画文集。<大使寸評>安野さんの水彩画は、淡い色彩がええな~♪著名な小説の舞台を、スケッチとエッセイで織りなした絵本のような画録になっています。安野さんのエッセイに人柄が表れていて、これもええな~♪rakuten読書画録安野さんのエッセイに人柄が表れているが、大使好みのあたりを一つ紹介します。(「大利根月夜」という歌は、カラオケの持ち歌でんがな♪)<中山義秀『平手造酒』>p112~114より「大利根月夜」という歌がある。演歌の中でも、もはや古典に入る名作であろう。わたしにもあの歌の平手造酒を、自分のこと、という思い入れで歌うと何だか気分の良くなる年頃があった。 ~男平手ともてはやされて 今じゃ浮世を三度笠 の平手に、自分の名前を換えて歌うのである。「もとを正せば侍育ち」以下は、ざっと次のような気分となる。「もとはと言えば勝負師の出だ。何しろ千葉道場で碁を学び、師範代にまでなって、男平手よと知らぬものもなく、すれちがう娘さんはみんなふりむいたもんだ。あのころの仲間は皆、立派な碁打ちになっているのに、俺はやくざな三文絵かきだ。故郷じゃ妹が待つものを。何?世をすねた理由は何なのかと? いや、聞かないでもらいたい。武士の情だ・・・」 なりはやくざにやつれていても、まだ碁では誰にも負けないぞ、という、空想的プライドに酔うのである。あれはアウトロウの歌である(わたしは、むかし、専門棋士になるのを止めた、書いたことがある。わたしを知る人は誰も信じないが、本気にした人もある。断っておくがこれらは冗談である)。 このような替歌の実験をいちどやってみてもらいたい。きっと何ほどかの感慨を持たれることと思う。***********************************************************************安野光雅美術館安野光雅の画像
2021.01.24
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「予約本」でしょうか♪<市立図書館>・ことり・パンデミック・西洋古典こぼればなし・我的日本<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)************************************************************【ことり】小川洋子著、朝日新聞出版、2012年刊<「BOOK」データベース>より世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。<読む前の大使寸評>この本を『歓待する文学』というNHKテキストで、小野正嗣さんが高く評価していたので、即、図書館に予約していたものです。<図書館予約:(1/19予約、副本14、予約0)>rakutenことり************************************************************【緊急提言 パンデミック】ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より【目次】人類は新型コロナウイルスといかに闘うべきかー今こそグローバルな信頼と団結を(歴史に見る厖大な犠牲者/感染症との闘い ほか)/コロナ後の世界ー今行なう選択が今後長く続く変化を私たちにもたらす(新しい監視ツール/重大な分岐点ー「皮下」監視 ほか)/死に対する私たちの態度は変わるか?-私たちは正しく考えるだろう(避けようのない運命ー死の意味/死は技術的問題に ほか)/緊急インタビュー「パンデミックが変える世界」インタビュアー道傳愛子(発展途上国とウイルスの変異/歴史の決定的な瞬間 ほか)<読む前の大使寸評>とにかく、ユヴァル・ノア・ハラリさんの有益な提言に耳を傾けようではないかと、思う次第です。<図書館予約:(11/14予約、副本7、予約28)>rakuten緊急提言 パンデミック************************************************************【西洋古典こぼればなし】柳沼重剛著、岩波書店、1995年刊<「MARC」データベース>より文化と文明を分けて考える根拠は何か。古典期の音読の習慣はいつ、どのようにして黙読へと移行したのか…。研究の途上にふと感じた疑問や興味をきっかけに、言葉の語源や来歴を探索するエッセイ集。<読む前の大使寸評>ラテン語で書かれた「クマのプーさん」が興味深いのです。amazon西洋古典こぼればなし************************************************************【我的日本】呉佩珍, 白水紀子著、白水社、2018年刊<「BOOK」データベース>より甘耀明、呉明益、王聡威ら気鋭の台湾作家18名は日本に何を見たのか。ユニークな日本文化の考察から東日本大震災の体験まで。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten我的日本************************************************************図書館大好き464
2021.01.24
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川越宗一『熱源』(6/08予約、副本33、予約676)現在276位・ブレイディみかこ『ワールドサイドをほっつき歩け』(9/19予約、副本13予約218)現在132位・小川洋子『密やかな結晶』(10/8予約、副本4、予約59)現在37位・ショーン・タン『内なる町から来た話』(11/3予約、副本3、予約35)現在23位・池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(11/29予約、副本33、予約644)現在574位・ブレイディみかこ『ブロークン・ブリテンに聞け』(12/9予約、副本11、予約30)現在15位・NHKスペシャル取材班『やばいデジタル』(12/23予約、副本3、予約18)現在17位・多和田葉子『星に仄めかされて』(1/05予約、副本5、予約20)・内田樹『コモンの再生』(1/05予約、副本2、予約21)・出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記:(1/06予約、副本5、予約58)・三浦しをん『マナーはいらない』(1/9予約、副本11、予約58)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・椎名誠『遺言未満』:図書館未収蔵・桐野夏生『日没』・平松洋子『買えない味』・オードリー・タン 自由への手紙・オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る・高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!』・「仮住まい」と戦後日本・頭木弘樹『食べることと出すこと』:図書館未収蔵・小野正嗣『多和田語の世界』:図書館未収蔵・本村凌二『馬の世界史』・柏耕一『交通誘導員ヨレヨレ日記』・藻谷浩介『進化する里山資本主義』・多和田葉子『文字移植』:図書館未収蔵・山内 一也『ウイルス究極の寄生生命体 (NHK人間講座)』・高野秀行「怪獣記」・キネマ旬報(ありがとう、和田誠さん)・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・つげ義春『ガロ 1968 前衛マンガの試行と軌跡』・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・内澤旬子『ストーカーとの七00日戦争』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・「月夜のでんしんばしら」谷川雁、C.W.ニコル:図書館未収蔵・カズオ・イシグロ著『癒されざる者たち』:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』<予約分受取:9/23以降> ・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(11/13予約、10/15受取)・小野正嗣『獅子渡り鼻』(10/9予約、10/15受取)・スーザン・ネイピア『ミヤザキワールド』(10/25予約、11/01受取)・浅田次郎『大名倒産(上)』(2/01予約、11/05受取)・小野正嗣『踏み跡にたたずんで』(11/3予約、11/05受取)・チャン・ガンミョン『韓国が嫌いで』(7/03予約、11/10受取)・多和田葉子×徐京植『ソウル-ベルリン玉突き書簡』(11/29再予約、12/5受取)・白川静さんに学ぶ これが日本語(12/14予約、12/17受取)・山本文緒『日々是作文』(12/23予約、1/05受取)・紗倉まな『春、死なん』(6/14予約、1/05受取)・浅田次郎『大名倒産(下)』(3/17予約、1/13受取)・小川洋子『ことり』(1/19予約、1/22受取)・ユヴァル・ノア・ハラリ『緊急提言 パンデミック』(11/14予約、1/22受取)***********************************************************************【熱源】川越宗一著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/08予約、副本33、予約676)>rakuten熱源【ワールドサイドをほっつき歩け!】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2020年刊<「BOOK」データベース>よりEU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての著者解説編。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/19予約、副本13、予約218)>rakutenワールドサイドをほっつき歩け【内なる町から来た話】ショーン・タン著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より“人間を訴えたクマ”“カエルを救う秘書”“空の魚を釣り上げた兄弟”25話のセンス・オブ・ワンダー!世界三大児童書賞のひとつ、ケイト・グリーナウェイ賞2020年受賞作!<読む前の大使寸評>マルチタレントのショーン・タンは元々、絵本作家であり・・・大使はそのイラストが大好きでおます♪<図書館予約:(11/3予約、副本3、予約35)>rakuten内なる町から来た話【半沢直樹 アルルカンと道化師】池井戸潤著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版舎・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とはー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/29予約、副本33、予約644)>rakuten半沢直樹 アルルカンと道化師【ブロークン・ブリテンに聞け】ブレイディみかこ著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より EU離脱、広がる格差と分断、そしてコロナ禍ー。政治、経済、思想、テレビ、映画、英語、パブなど英国社会のさまざまな断片から、激動と混沌の現在を描く傑作時事エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/9予約、副本11、予約30)>rakutenブロークン・ブリテンに聞け【やばいデジタル】NHKスペシャル取材班著、講談社、2020年刊<出版社>よりあなたの人生は、わずか2.74GB(ギガバイト)。2020年の1年間で生み出されたデータ量は「50,000,000,000,000GB」。デジタルは、私たちの社会をさらに自由に、豊かにしてくれるーー。しかし、それが実にはかない願望であったことを、私たちはいま実感させられている。SNSの広がりは「真実」と「フェイク」の境界をあいまいにし、私たちは「フェイク」に踊らされるようになった。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/23予約、副本3、予約18)>rakutenやばいデジタル【星に仄めかされて】多和田葉子著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より世界文学の旗手が紡ぎだす国境を越えた物語の新展開!失われた国の言葉を探して地球を旅する仲間が出会ったものはー?<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本5、予約20)>rakuten星に仄めかされて【コモンの再生】内田樹著、文藝春秋、2020年刊<出版社>より天下りのマッチポンプ、地方の過疎化、アンチ・グローバル化現象……コモン(共有地)の再生が日本の活路を開く!・西部劇『シェーン』が示すコモンをめぐる原理的な主題・ベーシックインカムの成否を決定づける要素とは?・トランプ現象とアンチ・グローバリズムの流れ・マナーの悪い「幼児的」なオヤジのマウンティングについて・明治維新前の藩制度とフランスのコミューンの共通点・「自我の支配」から解放される瞑想のやり方……etc.分断を超えて、新しい共同幻想が立ち上がる希望の書。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本2、予約21)>rakutenコモンの再生【出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記】宮崎伸治著、フォレスト出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。-なぜか?私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本5、予約58)>rakuten出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記【マナーはいらない】三浦しをん著、集英社、2020年刊<「BOOK」データベース>より長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きたい人」へ。人称、構成、推敲など基本のキから、タイトルのつけ方や取材方法まで、本書タイトルにあやかって「コース仕立て」でお届けする大充実の全二十四皿。あの作品の誕生秘話や、手書き構想メモを初公開。もちろん(某きらめく一族への)爆笑激愛こぼれ話も満載で、全・三浦しをんファン必読の書…!金言ばかりのWeb連載「小説を書くためのプチアドバイス」を完全書籍化。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/9予約、副本11、予約58)>rakutenマナーはいらない【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。図書館予約の軌跡240
2021.01.24
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図書館で『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』というタイトルの文庫本を手にしたが・・・小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。【村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール】ナカムラクニオ著、筑摩書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より文章力をアップさせるのに、たくさんの本を読む必要はありません。好きなただ1人の作家の本を読みまくる、それで十分に筆力や文体は磨かれます。この本は、村上春樹の文章の秘密を徹底的に分析した参考書です。魅力的なタイトルのつけ方、雰囲気を変えたい時の工夫、妄想を飛躍させる方法…一緒に春樹作品の魅力を骨の髄まで味わい、言葉を綴ることを楽しみましょう。ちくま文庫オリジナル。<読む前の大使寸評>小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。rakuten村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール「第1章 村上春樹の文章を33の作法で読み解く」から「大切な何かが消える」を見てみましょう。p69~71<14 突然、大切な何かが消える> 村上作品では、いつも突然、何かが消失します。 猫が消え、妻が消え、恋人が消え、色も消える。そうやって、マジシャンのようにいろいろなものを次々と消してしまうのは、村上作品の様式美なのです。 まるで、映画やアニメーションに出てくる古典的な魔法使いのように、一瞬で、人間も消してしまいます。『ねじまき鳥クロニクル』では猫が失踪した後に妻が消え、『国境の南、太陽の西』では島本さんが箱根の別荘から消え、『スプートニクの恋人』ではすみれがギリシャの島で煙みたいに消え、『騎士団長殺し』では「私」が絵を教える少女、秋川まりえが、短篇「青が消える」では世界から青い色が、消えていきます。 このように村上作品において、女性や猫などの「突然の失踪」や「喪失感」が重要なテーマになっているのは間違いありません。そして、しばらくすると主人公がそれを探しはじめて、やがて世界の裏側に入り込んでしまう、というのが村上文学の主な展開です。 海が消えてしまうという物語もあります。「5月の海岸線」では、「僕」が12年ぶりに自分の生まれ育った街に帰り、海の匂いを探して、子どもの頃に遊んだ海岸を訪れると、海が消えています。 埋め立てられたコンクリートの間に、ひっそりと残された小さな海岸線を「」は眺めるのです。失われた原風景を探し求める自伝的ストーリーで、『カンガルー日和』に収録されている作品です。 『東京奇譚集』の中の短篇「どこであれそれが見つかりそうな場所で」では、ある日、マンションの24階と26階を結ぶ階段の途中で突然、夫が姿を消していまいます。その妻から依頼された主人公「私」は、毎日その階段を調査しますが、いくら探しても夫の行方はわかりません。村上さんが、よく使うキーワード、エレベーター、パンケーキ、階段、ドーナツなどがちりばめられた、世にも奇妙な物語です。 同じく『東京奇譚集』に収められている短篇の傑作「ハナレイ・ベイ」では、ピアニストのサチの19歳のひとり息子が、ハワイのハナレイ・ベイでサーフィン中にサメに襲われ、消えてしまう。それ以来、サチは、自分の店でほとんど休みなくピアノを弾き、息子の命日が近づくと三週間の休暇をとってカウアイ島のハナレイ・ベイに行きます。そして、毎日ビーチに座りながら海とサーファーたちの姿を眺め続けているという切ない物語です。『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』5:奇妙な名前『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』4:『騎士団長殺し』から学ぶアレンジ力『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』3:多層力『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』2:好きな作家の文体を徹底的に真似する『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』1:謎めいた長いタイトルをつける()
2021.01.23
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図書館で『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』というタイトルの文庫本を手にしたが・・・小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。【村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール】ナカムラクニオ著、筑摩書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より文章力をアップさせるのに、たくさんの本を読む必要はありません。好きなただ1人の作家の本を読みまくる、それで十分に筆力や文体は磨かれます。この本は、村上春樹の文章の秘密を徹底的に分析した参考書です。魅力的なタイトルのつけ方、雰囲気を変えたい時の工夫、妄想を飛躍させる方法…一緒に春樹作品の魅力を骨の髄まで味わい、言葉を綴ることを楽しみましょう。ちくま文庫オリジナル。<読む前の大使寸評>小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。rakuten村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール「第1章 村上春樹の文章を33の作法で読み解く」から「奇妙な名前」を見てみましょう。p46~166<9 登場人物は「奇妙な名前」> 村上作品の登場人物は、名前に「巧みな罠」が仕掛けられています。 『羊をめぐる冒険』に登場する猫は、いわし。初期の作品に必ず登場する友人は、鼠。他にも羊男、五反田くん、メイ、ワタヤノボル、加納クレタ、加納マルタ、田村カフカ、天吾、青豆、牛河、多崎つくるなど奇妙な名前ばかりです。 あえてカタカナを使うことも多く、ミステリアスな名前にしているのだと思います。読者は、謎めいた名前が気になりながら独自に解釈をして、やがて物語の迷宮から抜けられなくなるのです。 例えば、『騎士団長殺し』には、免色渉という謎めいた男が登場します。これは「色を免れる」と読むことができるので、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』との関連性を暗示しているようです。(あるいは、何か深い意味があるのでは?という疑問がわき上がります)。 しかし、最後まで読んでも結局、謎は解けません。 免色さんは、54歳の独身男性。主人公である「私」のアトリエの谷間を隔てた向かい側にある豪邸に三年ほど前から住んでおり、「私」に自身の肖像画制作を依頼した人物です。インサイダー取引と脱税の容疑で検察に検挙された過去があるらしい、と描かれています。 とは言っても『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』とは直接的な関係は簡単には見つけられません。それでも読者は気になって仕方がない。もはやこれは答えがないクイズのような感じ。そこがいいのです。 こうやって村上作品の登場人物の名前には、いつだって「扉を開けることが出来ない壊れた鍵」がたくさん仕掛けられています。一度参加すると、ゴールが無い迷路の中を歩かされ、読者は「隠された意味」を探すゲームに参加しなくてはならないのです。 それでもやはり登場人物の名前は重要です。地球を救うヒーローが「佐藤太郎さん」とか「山田花子さん」といった名前だとファンタジー感が欠けてしまいます。『ノルウェイの森』のようなリアリズム小説を描くときは、「ワタナベ」「直子」など現実味溢れる名前のほうが良いのですが、もし白い馬に乗った王子様が「中村宏さん」では、あまりにも普通すぎて、日常からの脱却に時間がかかってしまうのです。 やはり登場人物にあ、現実味がない名前がついていると、ファンタジーに違和感なく、入り込めます。少し奇妙な名前は、一瞬で非日常の世界を作り出す魔法なのです。 例えば『海辺のカフカ』の主人公は、田村カフカです。東京の中野区野方に住む15歳の中学三年生ですが、こんな名前の青年がいるでしょうか。4歳のときに母が姉を連れて家を出て以来、父親と暮らしています。そいて、誕生日に深夜バスに乗って家出をし、高松にある甲村記念図書館に住みはじめるのです。読書が好きで、名前のカフカは、チェコ語でカラスという意味があります。この時点で、物語は謎ばかり。 読者は、この「田村カフカ」という奇妙な名前を読んだ瞬間から、フランツ・カフカとの関連性を推理したり、不条理なことが起きても動揺しない、心の準備が整うのです。『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』4:『騎士団長殺し』から学ぶ「アレンジ力」『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』3:「ねじまき鳥クロニクル」から学ぶ多層力『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』2:好きな作家の文体を徹底的に真似する『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』1:謎めいた長いタイトルをつける
2021.01.23
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図書館で『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』というタイトルの文庫本を手にしたが・・・小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。【村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール】ナカムラクニオ著、筑摩書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より文章力をアップさせるのに、たくさんの本を読む必要はありません。好きなただ1人の作家の本を読みまくる、それで十分に筆力や文体は磨かれます。この本は、村上春樹の文章の秘密を徹底的に分析した参考書です。魅力的なタイトルのつけ方、雰囲気を変えたい時の工夫、妄想を飛躍させる方法…一緒に春樹作品の魅力を骨の髄まで味わい、言葉を綴ることを楽しみましょう。ちくま文庫オリジナル。<読む前の大使寸評>小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。rakuten村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール「第2章 村上春樹の文体力」から最後のテーマを見てみましょう。p179~180<47 『騎士団長殺し』から学ぶ「アレンジ力」> 村上春樹のベストアルバム的作品です。「これぞ村上春樹」というような言葉、展開がギッシリと詰めこまれています。 主人公は36歳。肖像画を描く画家です。ある日、突然妻のユズから離婚を迫られます。ユズは少し前から他の男性と浮気をしていたのです。 傷ついた「私」は、プジョー205に乗って東北を放浪する旅にでました。北は北海道まで渡り、何ヶ月も旅します。 旅から帰ってくると、行く当てのない「私」に、大学からの友人で有名な日本画家を父に持つ金持ちの雨田政彦が別荘を貸してくれます。 そんなある日、「私」に「自分の肖像画を描いてほしい」と多額の報酬とともに依頼する人が現れるのです。免色渉という、さらに金持ちの男性でした。そして、屋根裏でドン・ジョバンニのオペラの一場面を描いた「騎士団長殺し」の絵を発見する。 ここまで読んでわかる通り、これまでの村上作品の要素がすべて再利用されています。まるで歌手が昔ヒットした代表作をセルフカバーしたアルバムのようです。作者自身の作品を題材にしたセルフパロディのようにも感じます。 しかし、これはきっと村上さんの巧みな作戦です。作品を描き続けていると、自らを否定し、さらに再生することが不可欠となります。 自分が自分を超え、新しい自分をつくるための儀式として「騎士団長殺し」は書かれたのかもしれません。『騎士団長殺し第一部』から騎士団長登場のあたりを、見てみましょう。p350~351<小さくはあるが、切ればちゃんと血が出る> 「あたしは何も絵の中から抜け出してきたわけではあらないよ」と騎士団長はまた私の心を読んで言った。「あの絵は(なかなか興味深い絵だが)今でもあの絵のままになっている。騎士団長はしっかりあの絵の中で殺されかけておるよ。心の臓から盛大に血を流してな。あたしはただあの人物の姿かたちをとりあえず借用しただけだ。こうして諸君と向かい合うためには、何かしらの姿かたちは必用だからね。だからあの騎士団長の形体を便宜上拝借したのだ。それくらいかまわんだろう」 私はまだ黙っていた。 「かまうもかまわないもあらないよな。雨田先生はもうおぼろで平和な世界に移行してしまっておられるし、騎士団長だって商標登録とかされているわけじゃあらない。ミッキーマウスやらポカホンタスの格好をしたりしたら、ウォルト・ディズニー社からさぞかしねんごろに高額訴訟されそうだが、騎士団長ならそれもあるまい」 そう言って騎士団長は肩を揺すって楽しげに笑った。 「あたしとしては、ミイラの姿でもべつによかったのだが、真夜中に突然ミイラの格好をしたものが出てきたりすると、諸君としてもたいそう気味が悪かろうと思うたんだ。ひからびたビーフジャーキーの塊みたいなのが、真っ暗な中でしゃらしゃらと鈴を振っているのを目にしたら、人は心臓麻痺だって起こしかねないじゃないか」 私はほとんど反射的に肯いた。たしかにミイラよりは騎士団長の方が遥かにましだ。もし相手がミイラだったら、本当に心臓麻痺を起こしていたかもしれない。というか、暗闇の中で鈴を振っているミッキーマウスやポカホンタスだって、ずいぶん気味悪かったに違いない。飛鳥時代の衣裳を身にまとった騎士団長は、まだしもまともな選択だったかもしれない。 「あなたは霊のようなものなのですか?」と私は思いきって尋ねていた。私の声は病み上がりの人の出す声のように、堅くしゃがれていた。 「良い質問だ」と騎士団長は言った。そして小さな白い人差し指を1本立てた。「とても良い質問だぜ、諸君。あたしとは何か? しかるに今はとりあえず騎士団長だ。騎士団長以外の何ものでもあらない。しかしもちろんそれは仮の姿だ。次に何になっているかはわからん。じゃあ、あたしはそもそも何なのか? ていうか、諸君とはいったい何なのだ? 諸君はそうして諸君の姿かたちをとっておるが、そもそもはいったい何なのだ? そんなことを急に問われたら、諸君にしたってずいぶん戸惑うだろうが。あたしの場合もそれと同じことだ」ウン 村上春樹のベストアルバム的作品ではあるなあ。とにかくエンタメ性が強くて面白い作品である。【騎士団長殺し第一部・第二部】村上春樹著、新潮社、2017年刊<「BOOK」データベース>よりその年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降っていたが、谷の外側はだいたい晴れていた…。それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕れるまでは。<読む前の大使寸評>16ヵ月も待ったのか…個人的には最長待機の予約本ということになるのです。もう本屋の店頭では見かけないもんね。主人公は職業的な絵描き(肖像画家)であるが、妻から要求されて離婚に応じたのです。その後、自分が描きたいものを探すかのように、エージェントをたたんで彷徨するわけです。・・・と直球勝負のような、サマセット・モーム『月と6ペンス』を髣髴とするかのような純文学と言いましょうか。<図書館予約:(4/12予約済み、8/30受取)>rakuten騎士団長殺し第一部・第二部『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』3:「ねじまき鳥クロニクル」から学ぶ多層力『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』2:好きな作家の文体を徹底的に真似する『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』1:謎めいた長いタイトルをつける()
2021.01.23
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図書館で『本の森 翻訳の泉』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくると、取り上げている作家が多和田葉子、村上春樹、水村美苗、池澤夏樹と好きな作家が多いのが借りる決め手となりました。なお、この本を借りたのは二度目なので、この記事は(その6)としています。【本の森 翻訳の泉】鴻巣友季子著、作品社、2013年刊<「BOOK」データベース>より角田光代、江國香織、多和田葉子、村上春樹、朝吹真理子ー錯綜たる日本文学の森に分け入り、ブロンテ、デュ・モーリア、ポー、ウルフー翻訳という豊潤な泉から言葉を汲み出し、日本語の変容、文学の可能性へと鋭く迫る、最新評論集!<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると、取り上げている作家が多和田葉子、村上春樹、水村美苗、池澤夏樹と好きな作家が多いのが借りる決め手となりました。rakuten本の森 翻訳の泉翻訳における直訳と意訳が語られています。p212~215<翻訳における操作―直訳か意訳か?>■序 世界で最も古い国際語のひとつに、紀元前ニ千年紀に起源をもつとされるギリシャ語がある。旧約聖書をギリシャ語に訳した「七十人訳聖書」など、聖書をはじめとする公的文書を著す普遍言語となった。 ギリシャ語で書かれた諸種の文献は古代ローマ時代にはラテン語に、そしてイスラームが台頭してくるとラテン語はアラビア語に翻訳され、また12世紀、ルネサンスが勃興するに伴い、古代ギリシャをはじめとする各種古典文献がアラビア語から再びラテン語に訳し戻された。 また、言文一致の近代日本語は明治開国以来、西洋語の翻訳を通して作られてきた、というのは広く認められた事実だろう。現代の日本文学を代表する大江健三郎、池澤夏樹、村上春樹といった作家もみな、翻訳を通して、翻訳を接しながら文体と作品を確立してきた、ある種の「翻訳家」である。そして今、電子書籍など電子メディアの時代を迎え、その文章を英語に訳しうるか・訳しやすいかというのは、そのテクストひいては言語の存亡をかけた問題となりつつある。 翻訳はつねに新しい文化の誕生に立ち会い、新しい時代への橋渡しをしてきた、そんな側面をもつ。■1 原文に忠実か、訳文としての読みやすさか 日本の翻訳史のみならず、世界の翻訳史において、古代から現代に至るまで議論を喚起している大問題と言えば「直訳か意訳か」で、ほぼこれに尽きる感がある。 古代ローマ時代にはすでに、「この翻訳は直訳に傾きすぎている」との批判がキケロやヒエロニムスに見られた。翻訳者は二千数百年前から原文に忠実であろうとする一方、訳文としての美しさや味わいを追求し、翻訳する際に、意識的にせよ無意識にせよ、訳文にあらゆる操作を加えてきたのである。 原文への忠実さを優先するか、こなれて読みやすい訳文を重視するか。ロシア語通訳者だった米原万里流に言えば「不実な美女か貞淑な醜女か」である。また、19世紀ドイツの神学者フリードリヒ・シュライアマハーは「翻訳野さまざまな方法について」(1813年)という文章のなかで、翻訳者の二者択一についていみじくもこう書いた。 「著者をできるだけそっとしておいて著者を読者に向けて動かす」のどちらかで、両方いっぺんにやろうとする翻訳は信用できないと。 原文重視か訳文重視か。原文重視の逐語訳に関してホルヘ・ルイス・ボルヘスは、その遠い起源を「聖書の翻訳にある」としている。聖書を書いたのは精霊であるのだから、神の書いた聖典を勝手にいじりまわすのは「冒涜」であるという考えが基にある。 日本にとって、長く西洋文学は聖典のごとき存在であったため、精緻で忠実な翻訳が発達する反面、創造性については非常にストイックであると言える。ボルヘスは、ニューマンによるホロメスの逐語訳や、エドワード・フィッツジェラルドによる『ルバイヤート』の逐語訳のいささか奇異な表現にふれ、「外国風の表現のなかに美を発見する」という言い方をしている。 これは翻訳の神秘ともいえる「訳文の違和感のもつ魅力」ということだろう。読みにくく、すぐに理解しにくいところに、むしろ読み手は得も言われぬ快感を見いだす。 原文と訳文のどちらを優先するかという問題が浮上するケースで非常にわかりやすいのは、ひとつにジョークや駄洒落などその言語の特性をいかした表現の場合。もうひとつには、宗教がらみの表現である。 たとえば、preaching to the converted(改宗者に今さら伝道する)という言い回しを「釈迦に説法」と訳すのなどは日本語に引きつけた翻訳。原文は「無意味なこと、不必要なこと」を意味し、訳文は「愚かなこと、僭越なこと」という意味で、どちらも「要らぬこと」という点では意味の重なりがあるが、全体の含意はかなり異なる。 preaching to the convertedを「改宗者に伝道するがごとく無意味な」と訳すのは日本語のなかでかなり違和感があり、改宗という行為が実感としてわからない。 こういった事情から、自国の文化に引きつけた翻訳がどこの国でも多かれ少なかれ考案されてきた。しかし、この異質さを翻訳文から取り去ってしまうことへの抵抗感というのも、古今東西の翻訳者が感じてきたことなのである。『本の森 翻訳の泉』5:『エクソフォニー』で読む『文字移植』(続き)p32~35『本の森 翻訳の泉』4:阿部和重との対談p271~275『本の森 翻訳の泉』3:読書つれづれ日記2006~2007 :p71~74、p86~87『本の森 翻訳の泉』2:『エクソフォニー』で読む『文字移植』p29~32『本の森 翻訳の泉』1:対談 日本語は滅びるのか p295~298
2021.01.22
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図書館で『本の森 翻訳の泉』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくると、取り上げている作家が多和田葉子、村上春樹、水村美苗、池澤夏樹と好きな作家が多いのが借りる決め手となりました。なお、この本を借りたのは二度目なので、この記事は(その5)としています。【本の森 翻訳の泉】鴻巣友季子著、作品社、2013年刊<「BOOK」データベース>より角田光代、江國香織、多和田葉子、村上春樹、朝吹真理子ー錯綜たる日本文学の森に分け入り、ブロンテ、デュ・モーリア、ポー、ウルフー翻訳という豊潤な泉から言葉を汲み出し、日本語の変容、文学の可能性へと鋭く迫る、最新評論集!<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると、取り上げている作家が多和田葉子、村上春樹、水村美苗、池澤夏樹と好きな作家が多いのが借りる決め手となりました。rakuten本の森 翻訳の泉多和田葉子著『文字移植』の続きを、見てみましょう。(その2)からの続きです。p32~35<『エクソフォニー』で読む『文字移植』>今回のはたったの2ページしかないのに、「わたし」はまだ何をどう訳せばいいのか見当もつかない、と言う。彼女の原稿は、たとえばこうだ。そして、ほとんど、いつも、彼等は、である、ひとりぼっち、友人、助けてくれる人、親戚、はいない、近くに・・・ あるいはこうだ。全く、稀に、大抵は、背景に、現れる、一匹、二匹、小さいのが、現れる、ことがある、執行猶予期間が、続いているところの、殺人的な、光景、心の外傷は、しかし、避けられはしない、それゆえに、彼等もまた、叫ぼうとしているかのように、見える、いずれにせよ、彼等の、小さな口、大きく、開かれている… 日本語としてすんなり読める訳文でないことは確かだろう。どうやら、原文(Anne Duden Derwunde Punkt in Alphabets)の単語を頭からひとつひとつ日本語の単語に置き換えているだけのようだ。ときおり、いつのまにか現れては消える小説のといっしょに、水のない河の底を歩いたりする。 「わたし」はバラバラの単語を文章にしなければと思いながら、翻訳に必要な体力と肺活量が不足していてできない。それでも少なくとも「ひとつひとつの単語の馴染みにくい手触りには忠実なのだと思うとそのことは大切かもしれない」という気もしてくるし、「ひとつひとつの単語を注意深く向こう岸へなげているような手応えを感じて」もいる。さらに、「全体なんてどうでもいいような気さえして」きて、「翻訳というのがなのだとすれば、のことなんて忘れてこうやって作業を始めるのも悪くない」と言う。 ここで『エクソフォニー』をちょっと参照。先の「誌的な峡谷」のくだりだ。その伝で行けば、翻訳者とは、自分は言語と言語の詩的な狭間にありつづけ、ことばだけを向こう岸に放る、という格好になるだろうか。 そうした峡谷を見つけられずに、ただ自分が英語と日本語の間を「行き来している」だけのわたしは、またハッとするのだった。ふつうニ言語の間を行き来することが、翻訳だと思われているが、実は訳者はうろうろせずに中立を保って真ん中にいるべきなのかもしれない。 なら、このヒロインは悪い訳者ではないんじゃないか…と思えてきた。みたび『エクソフォニー』から引けば、「わたしは境界を越えたいのではなくて、境界の住人になりたいのだ」ということか。 ところで、この小説はどんな「お話」なのかというと、聖ゲオルクが登場してドラゴンを退治し、お姫様を助けるという、中世の聖ゲオルク伝説のいわば現代版らしい。では、「わたし」の生活にたびたび入り込んできて翻訳の邪魔をする「ゲオルク」とは、何者なんだろう? とにかく「翻訳なんかやめろやめろ」と言う男で、翻訳が完成しないのは彼のせいだという。しかし「わたし」も「わたし」で、「最終地点に行き着いてしまってもう引き返せなくなり不当な決断を迫られるのも怖い」ので訳し終えられない。翻訳を完成させたくもないし、かといって中止したくもないから、ずるずるとやっていくしかない。要は、決断というものから逃げつづけているのだ。 彼女は「全体なんてどうでもいい」と言い、また別のページでは、「[訳文を]読み返すから意味が分かるか分からないかが気になるのであって読み返さずにどんどん先へ訳していけばいいのではないかとも思う」と言うので、わたしはウウムと唸った。それで、彼女はとりあえず単語だけをせっせと彼岸へ放る。 つまり「わたし」流の翻訳とは、部分部分の意味の「仮決定」と「保留」がえんえんとつづき、全体の意味決定の「繰り延べ」がどこまでも行われるという(なんだかデリダみたいになってきたが)、とんでもないものなのだ。そりゃ編集者は泣くだろう。しかし、決定も中断もなく続く保留と繰り延べが、ことばの本質的なあり方であるなら、それを引き写した「」の翻訳は、最も忠実な翻訳ということになる。なあんだ、なら悪い訳者どころか、良い訳者ではないか。 「わたし」流に言うと、まともな翻訳というのは、完成してはいけないのである。 翻訳に完成や決定稿はない。もしくは幻想にすぎない。これは、翻訳という作業に少しでも関わった人なら、誰しも思い知るところである。完遂しないことばの営みを言語化した『文字移植』は、最も忠実な「翻訳の翻訳」ということになるだろう。『本の森 翻訳の泉』4:阿部和重との対談p271~275『本の森 翻訳の泉』3:読書つれづれ日記2006~2007 :p71~74、p86~87『本の森 翻訳の泉』2:『エクソフォニー』で読む『文字移植』p29~32『本の森 翻訳の泉』1:対談 日本語は滅びるのか p295~298
2021.01.22
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『犬のしっぽを撫でながら』という本を読んでいるのだが…このところ集中的に小川洋子の本を読んだわけで、ミニブームとなっているのです。で、それらの本を並べてみました。・『歓待する文学(NHKテキスト)』5(2019年刊)・注文の多い注文書(2013年刊)・ことり(2012年刊)・とにかく散歩いたしましょう(2012年刊)・妄想気分(2011年刊)・ミーナの行進(2009年刊)・小川洋子対話集(2007年刊)・博士の本棚(2007年刊)・犬のしっぽを撫でながら(2006年刊)・海(2006年刊)・妖精が舞い下りる夜(1993年刊)R6:『歓待する文学5』、『ことり』を追記『歓待する文学(NHKテキスト)』5:『ことり』『注文の多い注文書』1:『肺に咲く睡蓮』の注文書『注文の多い注文書』2:『肺に咲く睡蓮』の納品書『注文の多い注文書』3:『貧乏な叔母さん』の注文書『注文の多い注文書』4:『貧乏な叔母さん』の納品書『とにかく散歩いたしましょう』『妄想気分』1:ミーナの行進『妄想気分』2:フランス語への翻訳者との付きあい『妄想気分』3:私の書いた本たち『妄想気分』4:小川さんの読書体験『ミーナの行進』『小川洋子対話集』『博士の本棚』1:『中国行きのスロウ・ボート』を開きたくなる時p273~275『博士の本棚』2:翻訳者は妖精だp94~97『博士の本棚』3:風の歌を聴く公園p150~152『博士の本棚』4:『中国行きのスロウ・ボート』についてp239~241『犬のしっぽを撫でながら』1:アルルの出版社p46~49『犬のしっぽを撫でながら』2:書店の役割p71~73、本を買う贅沢p175~178『海』1:バタフライ和文タイプ事務所***********************************************************************<『歓待する文学(NHKテキスト)』5>図書館で『歓待する文学(NHKテキスト)』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、多和田葉子、小川洋子、カズオ・イシグロ、村上春樹等々・・好きな作家が多く 魅力的なテキストになっています。ところで、帰って調べたら、この本を借りたのは二度目であることが判明しました(またか)。で、この記事は(その5)とします。【歓待する文学(NHKテキスト)】小野正嗣著、NHK出版、2018年刊<商品説明>より文学は私たちの心にどう入り込み、個人の生活や社会に影響を与えるのか。芥川賞作家である著者が欧米、アフリカ、中東、アジアの選りすぐりの作品を紹介。書き手がどのような土地に根ざし、どういう言語で作品を生み出したのか、それが読み手にどう作用するのかを探る。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、多和田葉子、小川洋子、カズオ・イシグロ、村上春樹等々・・好きな作家が多く 魅力的なテキストになっています。rakuten歓待する文学(NHKテキスト)第5回講座では小川洋子著『ことり』が取りあげられています。***********************************************************************【注文の多い注文書】小川洋子×クラフト・エヴェング商会著、新潮社、2013年刊<「BOOK」データベース>より【目次】人体欠視症治療薬/バナナフィッシュの耳石/貧乏な叔母さん/肺に咲く睡蓮/冥途の落丁<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると、クラフト・エヴェング商会の通信歴のような構成となっていて、写真の挿入も多く…装丁や編集が素晴らしいでぇ♪rakuten注文の多い注文書***********************************************************************【ことり】小川洋子著、朝日新聞出版、2012年刊<「BOOK」データベース>より世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/19予約、副本14、予約0)>rakutenことり***********************************************************************【とにかく散歩いたしましょう】小川洋子著、毎日新聞出版、2012年刊<「BOOK」データベース>より締切前の白紙の恐怖。パン屋での五千円札事件。ハダカデバネズミとの心躍る対面。何があっても、愛する本と毎日の散歩ですべてのりきれる…心にじんわりしみるエッセー集。【目次】「る」と「を」/ハンカチは持ったかい/イーヨーのつぼの中/本の模様替え/散歩ばかりしている/ポコポコ頭を叩きたい/盗作を続ける/長編み、中長編み、長々編み/肉布団になる/自分だけの地図を持つ〔ほか〕<読む前の大使寸評>小川洋子の著作といえば『博士の愛した数式』のタイトルを知っているだけで・・・その著作を読むのは初めてなのだが、動物好きのほんわりしたテイストが、いけるかも♪rakutenとにかく散歩いたしましょう***********************************************************************【妄想気分】小川洋子著、集英社、2011年刊<「BOOK」データベース>より異界はいつでも日常の中にある。目を凝らし耳を澄ますと入口が見えてくる。そこを覗くと物語がはじまる。創作をめぐるエッセイ集。<読む前の大使寸評>内田先生の『呪いの時代』という重厚なタイトルのエッセイ集も借りたので、もう1冊は明るく軽いエッセイ集で中和しようという魂胆があったのでおます。rakuten妄想気分***********************************************************************【ミーナの行進】小川洋子著、中央公論新社、2009年刊<商品の説明>より美しくてか弱くて、本を愛したミーナ。あなたとの思い出は、損なわれることがない――懐かしい時代に育まれた、二人の少女と、家族の物語。 <読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると…土地勘のはたらく芦屋~神戸が舞台で、本を愛するミーナのお話になっています。これは期待できるかも♪データは文庫本だが、借りたのは2006年刊のハードカバーでした。amazonミーナの行進***********************************************************************【小川洋子対話集】小川洋子著、幻冬舎、2007年刊<「BOOK」データベース>より日ごろ孤独に仕事をしている著者が、詩人、翻訳家、ミュージシャン、スポーツ選手と語り合った。キョロキョロして落ち着きがなかった子供時代のこと、想像力をかきたてられる言葉や文体について、愛する阪神タイガースへの熱い想い、名作『博士の愛した数式』秘話など心に残るエピソードが満載。世界の深みと、新たな発見に心震える珠玉の対話集。<読む前の大使寸評>小川洋子対話集ってか…目次を見ると対話者が異色で、期待できそうである♪amazon小川洋子対話集***********************************************************************【博士の本棚】小川洋子著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より本という歓び、本という奇跡。『博士の愛した数式』で第一回本屋大賞を受賞した著者が、大好きな本の数々を紹介しつつ、本とともに送る生活の幸福を伝える極上のエッセイ。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると、大使は書名も著者名も知らない洋書の数々、村上春樹の作品などが出てくるではないか…これは期待できるかも♪amazon博士の本棚***********************************************************************【犬のしっぽを撫でながら】小川洋子著、集英社、2006年刊<商品の説明>より『博士が愛した数式』の著者の痛快エッセイ。数の不思議に魅せられた著者の「数にまつわる」書き下ろしエッセイのほか野球の話、本の話、犬の話などを収録。<読む前の大使寸評>個人的な小川洋子ミニブームの一環で借りたわけでおます。rakuten犬のしっぽを撫でながら***********************************************************************【海】小川洋子著、新潮社、2009年刊<「BOOK」データベース>より恋人の家を訪ねた青年が、海からの風が吹いて初めて鳴る“鳴鱗琴”について、一晩彼女の弟と語り合う表題作、言葉を失った少女と孤独なドアマンの交流を綴る「ひよこトラック」、思い出に題名をつけるという老人と観光ガイドの少年の話「ガイド」など、静謐で妖しくちょっと奇妙な七編。「今は失われてしまった何か」をずっと見続ける小川洋子の真髄。著者インタビューを併録。【目次】海/風薫るウィーンの旅六日間/バタフライ和文タイプ事務所/銀色のかぎ針/缶入りドロップ/ひよこトラック/ガイド<読む前の大使寸評>小川洋子の初期の短編集か…期待できそうやでぇ♪なお 借りたのは2006年刊のハードカバーでした。rakuten海***********************************************************************【妖精が舞い下りる夜】小川洋子著 、KADOKAWA、1997年刊<「BOOK」データベース>より人が生まれながらに持つ純粋な哀しみ、生きることそのものの哀しみを心の奥から引き出すことが小説の役割りではないだろうか。書きたいと強く願った少女が成長しやがて母になり、芥川賞を受賞した日々を卒直にひたむきに綴り、作家の原点を明らかにしていく、珠玉の一冊。繊細な強さと静かなる情熱を合わせ持つ著者の、人と作品の全貌がみえてくる唯一のエッセイ集。<読む前の大使寸評>ちょっと古い本であるが小川洋子の原点が載っているかもと、期待するのでおます♪なお 借りたのは、1993年刊のハードカバーでした。amazon妖精が舞い下りる夜
2021.01.21
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早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?残暑厳しき折りなんて言っていたが・・・このところ秋を通り越して真冬の気配を感じる太子でおます。『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は二十四節季でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたりこの本で、大寒のあたりを見てみましょう。和暦p5<大寒>二十四節季が新たに始まる直前の節気 「大寒」は、現行の暦では1月21日ころ、第1日目を迎え、立春(2月4日ころ)に入る前日までとなっている。前節気「小寒」からは「寒」に入っており、寒明けと同時に「大寒節気」も終わる。寒が明けると、暦の上では「春」になる。 寒の入りは、前節気「小寒」から始まっているが、手が切れるほど冷たい「大寒の水」には、その清らかさのために霊力があると考えられていた。 朝の水は1年間腐らないとも言われ、容器などに汲み保管し、薬を飲むときや祝い事の料理に使う家庭も少なくないという。寒の水は、酒造や化粧水にも用いられている。 1年で最も寒さが厳しいとされる「大寒」を『暦便覧』では「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」と説明している。 また、寒の厳しい最中の鍛錬は、心身共に向上するとして、武道では「寒稽古」が行われる。加えて、「寒施行」も寒中の独特の行為だ。 これは餌の乏しい寒中に、野の動物に与えることだが、これは「放生会(ほうじょうえ)」を行う仏教の影響のようだ。ちなみに「放生会」は、殺生を戒め生き物を野に放つ仏事で、秋の季語になっている。 大寒の期間の七十二候は、次の通り。 初候は「蕗冬華(ふきのはなさく)」蕗の薹が蕾を出し始める。 次候「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」沢に氷が厚く張りつめる。 末候は「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」鶏が卵を産み始める。 寒中の微妙な気候の変化が読み取れる。二十四節季の大雪に注目二十四節季の小雪に注目
2021.01.21
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今回借りた3冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「文学」でしょうか♪<市立図書館>・中国文学の愉しき世界・文豪と食・図書館ねこ デューイ<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)************************************************************【中国文学の愉しき世界】井波律子著、岩波書店、2002年刊<「BOOK」データベース>より「竹林の七賢」をはじめとする奇人たちの奇妙キテレツな言動を支えるパトスとは?幻想と夢の物語宇宙の構造はいったいどんなもの?-練達の中国文学研究者が平易な筆致で描きだす、奇人・達人群像。自らの体験もまじえながら語る文学世界の面白さ・奥深さ。読書の快楽を堪能すること請け合いの好エッセイ集。<読む前の大使寸評>だいたいにおいて中国は嫌いというか、コンプレックスを持つ大使である。・・・でも、著者の説く中国文学は何やら面白そうである。著者の読みやすい筆力が成せるんだろうね。rakuten中国文学の愉しき世界************************************************************【文豪と食】長山靖生著、中央公論新社、2019年刊<「BOOK」データベース>より子規が柿を食した時、聞こえたのは東大寺の鐘?潔癖症の鏡花は豆腐を豆府に!鴎外は肉食を弱肉強食の闘争に譬え、独歩は和洋折衷・官民融和の理想を重ねた。江戸っ子の漱石は蕎麦、西国出の芙美子はうどんと好みは生まれも反映、美食の追求かと思えば偏食に拘る者も。露伴、荷風、谷崎、芥川、久作、太宰など食道楽に収まらない偏愛的味覚を探る。<読む前の大使寸評>漱石は蕎麦、芙美子はうどんというのが、いかにもというか、東西の対比が表れているでえ。rakuten文豪と食************************************************************【図書館ねこ デューイ】ヴィッキー・マイロン著、早川書房、2008年刊<「BOOK」データベース>より子ねこが、幸せをはこんできた!返却ボックスから救いだされやがて人びとを魅了した「図書館ねこ」が教えてくれたこととは?全米で注目の感動エッセイ。<読む前の大使寸評>図書館と猫のふたつの組み合わせには、大使のツボが疼くのでおます♪amazon図書館ねこ デューイ************************************************************図書館大好き463
2021.01.20
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川越宗一『熱源』(6/08予約、副本33、予約676)現在276位・ブレイディみかこ『ワールドサイドをほっつき歩け』(9/19予約、副本13予約218)現在132位・小川洋子『密やかな結晶』(10/8予約、副本4、予約59)現在37位・ショーン・タン『内なる町から来た話』(11/3予約、副本3、予約35)現在23位・ユヴァル・ノア・ハラリ『緊急提言 パンデミック』(11/14予約、副本7、予約28)現在7位・池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(11/29予約、副本33、予約644)現在574位・ブレイディみかこ『ブロークン・ブリテンに聞け』(12/9予約、副本11、予約30)現在15位・NHKスペシャル取材班『やばいデジタル』(12/23予約、副本3、予約18)現在17位・多和田葉子『星に仄めかされて』(1/05予約、副本5、予約20)・内田樹『コモンの再生』(1/05予約、副本2、予約21)・出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記:(1/06予約、副本5、予約58)・三浦しをん『マナーはいらない』(1/9予約、副本11、予約58)・小川洋子『ことり』(1/19予約、副本14、予約0)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・椎名誠『遺言未満』:図書館未収蔵・桐野夏生『日没』・平松洋子『買えない味』・オードリー・タン 自由への手紙・オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る・高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!』・「仮住まい」と戦後日本・頭木弘樹『食べることと出すこと』:図書館未収蔵・小野正嗣『多和田語の世界』:図書館未収蔵・本村凌二『馬の世界史』・柏耕一『交通誘導員ヨレヨレ日記』・藻谷浩介『進化する里山資本主義』・多和田葉子『文字移植』:図書館未収蔵・山内 一也『ウイルス究極の寄生生命体 (NHK人間講座)』・高野秀行「怪獣記」・キネマ旬報(ありがとう、和田誠さん)・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・つげ義春『ガロ 1968 前衛マンガの試行と軌跡』・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・内澤旬子『ストーカーとの七00日戦争』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・「月夜のでんしんばしら」谷川雁、C.W.ニコル:図書館未収蔵・カズオ・イシグロ著『癒されざる者たち』:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』<予約分受取:9/23以降> ・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(11/13予約、10/15受取)・小野正嗣『獅子渡り鼻』(10/9予約、10/15受取)・スーザン・ネイピア『ミヤザキワールド』(10/25予約、11/01受取)・浅田次郎『大名倒産(上)』(2/01予約、11/05受取)・小野正嗣『踏み跡にたたずんで』(11/3予約、11/05受取)・チャン・ガンミョン『韓国が嫌いで』(7/03予約、11/10受取)・多和田葉子×徐京植『ソウル-ベルリン玉突き書簡』(11/29再予約、12/5受取)・白川静さんに学ぶ これが日本語(12/14予約、12/17受取)・山本文緒『日々是作文』(12/23予約、1/05受取)・紗倉まな『春、死なん』(6/14予約、1/05受取)・浅田次郎『大名倒産(下)』(3/17予約、1/13受取)***********************************************************************【熱源】川越宗一著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/08予約、副本33、予約676)>rakuten熱源【ワールドサイドをほっつき歩け!】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2020年刊<「BOOK」データベース>よりEU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての著者解説編。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/19予約、副本13、予約218)>rakutenワールドサイドをほっつき歩け【内なる町から来た話】ショーン・タン著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より“人間を訴えたクマ”“カエルを救う秘書”“空の魚を釣り上げた兄弟”25話のセンス・オブ・ワンダー!世界三大児童書賞のひとつ、ケイト・グリーナウェイ賞2020年受賞作!<読む前の大使寸評>マルチタレントのショーン・タンは元々、絵本作家であり・・・大使はそのイラストが大好きでおます♪<図書館予約:(11/3予約、副本3、予約35)>rakuten内なる町から来た話【緊急提言 パンデミック】ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より【目次】人類は新型コロナウイルスといかに闘うべきかー今こそグローバルな信頼と団結を(歴史に見る厖大な犠牲者/感染症との闘い ほか)/コロナ後の世界ー今行なう選択が今後長く続く変化を私たちにもたらす(新しい監視ツール/重大な分岐点ー「皮下」監視 ほか)/死に対する私たちの態度は変わるか?-私たちは正しく考えるだろう(避けようのない運命ー死の意味/死は技術的問題に ほか)/緊急インタビュー「パンデミックが変える世界」インタビュアー道傳愛子(発展途上国とウイルスの変異/歴史の決定的な瞬間 ほか)<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/14予約、副本7、予約28)>rakuten緊急提言 パンデミック【半沢直樹 アルルカンと道化師】池井戸潤著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版舎・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とはー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/29予約、副本33、予約644)>rakuten半沢直樹 アルルカンと道化師【ブロークン・ブリテンに聞け】ブレイディみかこ著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より EU離脱、広がる格差と分断、そしてコロナ禍ー。政治、経済、思想、テレビ、映画、英語、パブなど英国社会のさまざまな断片から、激動と混沌の現在を描く傑作時事エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/9予約、副本11、予約30)>rakutenブロークン・ブリテンに聞け【やばいデジタル】NHKスペシャル取材班著、講談社、2020年刊<出版社>よりあなたの人生は、わずか2.74GB(ギガバイト)。2020年の1年間で生み出されたデータ量は「50,000,000,000,000GB」。デジタルは、私たちの社会をさらに自由に、豊かにしてくれるーー。しかし、それが実にはかない願望であったことを、私たちはいま実感させられている。SNSの広がりは「真実」と「フェイク」の境界をあいまいにし、私たちは「フェイク」に踊らされるようになった。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/23予約、副本3、予約18)>rakutenやばいデジタル【星に仄めかされて】多和田葉子著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より世界文学の旗手が紡ぎだす国境を越えた物語の新展開!失われた国の言葉を探して地球を旅する仲間が出会ったものはー?<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本5、予約20)>rakuten星に仄めかされて【コモンの再生】内田樹著、文藝春秋、2020年刊<出版社>より天下りのマッチポンプ、地方の過疎化、アンチ・グローバル化現象……コモン(共有地)の再生が日本の活路を開く!・西部劇『シェーン』が示すコモンをめぐる原理的な主題・ベーシックインカムの成否を決定づける要素とは?・トランプ現象とアンチ・グローバリズムの流れ・マナーの悪い「幼児的」なオヤジのマウンティングについて・明治維新前の藩制度とフランスのコミューンの共通点・「自我の支配」から解放される瞑想のやり方……etc.分断を超えて、新しい共同幻想が立ち上がる希望の書。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本2、予約21)>rakutenコモンの再生【出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記】宮崎伸治著、フォレスト出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。-なぜか?私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本5、予約58)>rakuten出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記【マナーはいらない】三浦しをん著、集英社、2020年刊<「BOOK」データベース>より長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きたい人」へ。人称、構成、推敲など基本のキから、タイトルのつけ方や取材方法まで、本書タイトルにあやかって「コース仕立て」でお届けする大充実の全二十四皿。あの作品の誕生秘話や、手書き構想メモを初公開。もちろん(某きらめく一族への)爆笑激愛こぼれ話も満載で、全・三浦しをんファン必読の書…!金言ばかりのWeb連載「小説を書くためのプチアドバイス」を完全書籍化。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/9予約、副本11、予約58)>rakutenマナーはいらない【ことり】小川洋子著、朝日新聞出版、2012年刊<「BOOK」データベース>より世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/19予約、副本14、予約0)>rakutenことり【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。図書館予約の軌跡239
2021.01.20
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歳のせいか、このところ図書館での2度借りが増えてきたのです。これではいかん!・・・ということで、(注意喚起の意味もあり)予約分受取目録を作った次第でおます。<2015年予約分受取>24-39・日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う(12/15予約、5/2受取)・ダイオウイカは知らないでしょう(4/30予約、5/8受取)・町内会は義務ですか?(4/30予約、5/8受取)・キャプテンサンダーボルト(1/07予約、5/19受取)・だから日本はズレている(12/08予約、5/26受取)・恋するソマリア(3/3予約、6/11受取)・日本の文脈 (6/09予約、6/16受取)・イチョウ 奇跡の2億年史(12/03予約、6/21受取)最長待機記録・在日の地図(7/01予約、7/05受取)・鳥の王さま (6/06予約、7/10受取)・ヘンな日本美術史(7/05予約、7/10受取)・沢田マンションの冒険 (7/18予約、7/22受取)・イスラム国(2/25予約、7/29受取)・ベン・シャーンを追いかけて(8/17予約、8/22受取)・街場の戦争論(6/01、9/06受取)・貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告(9/15予約、9/17受取)・台湾の歓び(3/15予約、、9/19受取)・オートメーション・バカ(5/15予約、9/19受取)・対華二十一カ条要求とは何だったのか(7/05予約、9/19受取)・教団X (5/4予約、9/23受取)・飲み食い世界一の大阪(9/22予、9/27受取)・北欧女子オーサが見つけた日本の不思議(5/22予約、10/7受取)・ボクが韓国離れできないわけ(10/03予約、10/10受取)・シノワズリーか、ジャポニスムか(10/14予約、10/25受取)・潜水艦(歴群「図解」マスター)(10/06予約、10/31受取)・絵巻物に見る日本庶民生活誌(10/27予約、11/04受取)・日本語の科学が世界を変える(6/11予約、11/07受取)・かたづの!(8/24予約、11/19受取)・シェール革命再検証 (11/09予約、11/27受取)・職業としての小説家(10/27予約、大学図書館で11/27借出し)・李朝残影 : 梶山季之朝鮮小説集(11/28再予約、12/04受取)・ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ(12/01予約、12/05受取)・オールドテロリスト(7/21予約、12/13受取)・利己的な遺伝子(12/05予約、12/18受取)・反知性主義(6/22予約、12/23受取)・夜また夜の深い夜(5/12、12/23受取)・中東湾岸ビジネス最新事情(12/16予約、12/23受取)<2016年予約分受取>40-64・対話録・現代マンガ悲歌(12/22予約、1/06受取)・マグリット事典(1/07予約、1/17受取)・日本戦後史論(7/27予約、1/19受取)・ハトはなぜ首を振って歩くのか(8/13予約、1/19受取)・百代の過客(1/19予約、1/26受取)・最終定理(1/23予約、1/28受取)・忘れられた巨人(7/18予約、2/09受取)・セルデンの中国地図(2/04予約、2/09受取)・谷崎潤一郎『陰翳礼讃』(2/15予約、2/18受取)・日本語大博物館(2/28予約、3/04受取)・データの見えざる手(11/20予約、3/15受取)・電気は誰のものか(12/09予約、3/23受取)・日本の漫画への感謝(3/16予約、3/23受取)・紙の動物園(9/27予約、4/12受取)・食糧と人類(3/26予約、4/26受取)・「中国共産党」論(12/11予約、4/26受取)・美麗島紀行(2/19予約、4/26受取)・第2図書係補佐(11/29予約、5/03受取)・フラットランド(4/30予約、5/05受取)・越境者の政治史(1/29予約、5/10受取)・キョウコのキョウは恐怖の恐(5/14予約、5/19受取)・隣のアボリジニ(5/03予約、5/24受取)・小泉武夫『漬け物大全』(5/26予約、6/5受取)・南シナ海(3/01予約、6/5受取)・限界費用ゼロ社会(1/28予約、6/17受取)・かくれた次元(6/14予約、6/18受取)・江戸日本の転換点(1/06予約、7/06受取)・文体の科学(3/14予約、11/28再予約、7/07受取)・夢売るふたり 西川美和の世界(7/04予約、7/08受取)・中国と日本(1/06予約、7/21受取)・事件の地平線 (7/05予約、7/21受取)・介護民俗学へようこそ!(7/09予約、7/23受取)・長いお別れ(11/23予約、7/23受取)・勝者なき戦争 世界戦争の二〇〇年(7/22予約、7/27受取)・戦後日中関係と同窓会(7/28予約、8/02受取)・吉原御免状(8/03予約、8/06受取)・蔡英文 新時代の台湾へ(7/31予約、8/11受取)・帝国日本の生活空間(8/08予約、8/12受取)・米中百年戦争(8/13予約、8/18受取)・『言葉を離れる』横尾忠則著(8/17予約、8/23受取)・永続敗戦論(9/01予約、9/03受取)・櫻画報大全 (9/05予約、9/09受取)・沙漠の事典(9/11予約、9/16受取)・漁港の肉子ちゃん (7/07予約、9/27受取)・現代思想の遭難者たち(9/19予約、10/06受取)・謎のアジア納豆(6/11予約、10/08受取)・料理の起源(10/04予約、10/08受取)・新「ニッポン社会」入門(4/25予約、10/21受取)・ダーリンは70歳(5/11予約、10/21受取)・夜を乗り越える(7/11予約、10/22受取)・植物はすごい (10/25予約、10/29受取)・イエスの幼子時代(7/27予約、11/05受取)・絲山秋子「薄情」(10/31予約、11/05受取)・福沢諭吉の朝鮮(11/06予約、11/10受取)・観察する男(11/01予約、11/12受取)・熱風大陸(11/16予約、11/20受取)・ワイルド・ソウル(11/27予約、12/15受取)・帰郷ノート 植民地主義論(12/10予約、12/15受取)・最後の敵(12/18予約、12/22受取)・『中国人の愛国心』(12/23予約、12/28受取)<2017年予約分受取>65-111・「戦後」の墓碑銘(1/15予約、1/21受取)・バラカ(5/01予約、1/22受取)・スペース金融道(9/28予約、1/27受取)・日本人はどこから来たのか?(10/11予約、1/28受取)・世界マヌケ反乱の手引書(11/24予約、2/07受取)・村上春樹『雑文集』(2/07予約、2/11受取)・限りなく完璧に近い人々(11/20予約、2/14受取)・火星に住むつもりかい?(2/12予約、2/16受取)・世界「最終」戦争論(2/13予約、2/18受取)・「おバカ大国」オーストラリア(1/12予約、2/23受取)・属国民主主義論(10/06予約、3/02受取)・亜米利加ニモ負ケズ(3/02予約、3/05受取)・人類が消えた世界(3/04予約、3/09受取)・林業がつくる日本の森林(1/08予約、3/11受取)・イネが語る日本と中国(3/19予約、3/24受取)・本は友だち(3/20予約、3/24受取)・コンビニ人間(8/26予約、3/28受取)・ニッポニア・ニッポン(3/22予約、3/30受取)・半農半Xという生き方(3/26予約、3/30受取)・忘却された支配(11/17予約、4/04受取)・南米「棄民」政策の実像(4/07予約、4/13受取)・シュヴァンクマイエルの博物館(4/14予約、4/25受取)・漂うままに島に着き(10/27予約、4/25受取)・西加奈子「i」(1/06予約、4/26受取)・老いる家崩れる街(12/28予約、5/10受取)・戦争のグラフィズム(5/06予約、5/10受取)・トウガラシの文化誌(5/08予約、5/12受取)・知の編集術(4/24予約、5/23受取)・『英語という選択 アイルランドの今』(5/02予約、5/24受取)・人口と日本経済(12/20予約、6/02受取)・日本の「アジール」を訪ねて(1/25予約、6/04受取)・田中慎弥『宰相A』(6/06予約、6/09受取)・浅田次郎『ブラック オア ホワイト』(6/08予約、6/11受取)・南方マンダラ(5/12予約、6/16受取)・ぼくがいま、死について思うこと(6/14予約、6/18受取)・『キトラ・ボックス』(4/19予約、7/05受取)・世界史のなかの中国(6/27予約、7/05受取)・戦争まで(12/9予約、7/05受取)・フクシマの荒廃(2/02予約、7/25受取)・『暗黒神話』と古代史の旅(7/13予約、7/30受取)・『新・観光立国論』(8/9予約、8/11受取)・アンマーとぼくら(9/25予約、8/19受取) ・垣根涼介『室町無頼』(2/06予約、8/23受取)・みみずくは黄昏に飛びたつ(5/30予約、8/26受取)・トヨトミの野望(3/05予約、9/17受取)・翻訳夜話(9/08予約、9/17受取)・『恐怖の地政学』(5/28予約、10/28受取)・『日本人と中国人』(10/05予約、10/28受取)・『愛の見切り発車』(11/02予約、11/07受取)・九十歳。何がめでたい(12/14予約、11/07受取)・今のアメリカがわかる映画100本(9/25予約、11/09受取)・雨宮処凛著『不透明な未来についての30章』(11/22予約、11/26受取)・THE PIVOT-アメリカのアジア・シフト(11/23予約、11/28受取)・土屋賢二著『哲学者かく笑えり』(11/28予約、11/30受取)・船戸与一著『国家と犯罪』(12/05予約、12/08受取)・吉岡桂子著『人民元の興亡』(7/27予約、12/10受取)・ヒルビリー・エレジー(6/19予約、12/12受取)・あなたの人生の物語(6/23予約、12/16受取)・『エキタス 生活苦しいヤツ声あげろ』(12/18予約、12/24受取)・アジア辺境論(9/20予約、12/26受取)<2018年予約分受取>112-150・ウニはすごい バッタもすごい(8/20予約、1/14受取)・島田雅彦著『ひなびたごちそう』(1/11予約、1/14受取)・福岡ハカセの本棚(1/23予約、1/25受取)・自民党―「一強」の実像(7/18予約、2/01受取)・ダーウィンのジレンマを解く(1/28予約、2/03受取)・宮部みゆき『荒神』(2/02予約、2/06受取)・椎名誠著『ノミのジャンプと銀河系』(10/12予約、2/10受取)・堀江貴文著『多動力』(8/14予約、2/17受取)・ビッグデータの罠(2/15予約、2/20受取)・飯場へ(10/07予約、2/23受取)・ひとり出版社という働きかた(2/23予約、2/28受取)・ボブという名のストリート・キャット(2/9予約、3/10受取)・『今こそ、韓国に謝ろう』(8/29予約、3/14受取)・ロアルド・ダール『キス・キス』(5/08予約、5/12受取)・世界のミリメシを実食する(5/08予約、5/12受取)・『ニューギニア紀行』(5/16予約、5/22受取)・翻訳出版編集後記(5/21予約、5/25受取)・椎名誠著『ONCE UPON A TIME』(5/28予約、6/06受取)・『わたしたちが孤児だったころ』(3/25予約、6/10受取)・池内紀著「亡き人へのレクイエム」(5/27予約、6/10受取)・リチャード・ノース・パターソン『罪の段階』(6/06予約、6/10受取)・頭に来てもアホとは戦うな!(12/26予約、6/15受取)・真山仁著『オペレーションZ』(1/05予約、6/15受取)・変調「日本の古典」講義(5/13予約、6/30受取予定)・アメリカ 暴力の世紀(1/15予約済み、7/04受取)・菅ちゃん英語で道案内しよッ! (2/28予約、7/04受取)・萩野アンナ著『カシス川』(1/20予約、7/13受取)・重松清『たんぽぽ団地』(7/03予約、7/13受取)・『オンブレ』(5/02予約、7/13受取)・『熱帯雨林コネクション』(7/13予約、7/29受取)・宮本常一『日本文化の形成』(8/04予約、8/12受取)・堀田善衛『ゴヤ(3巻)巨人の影に』(8/11予約、8/17受取)・頼れない国でどう生きようか(8/15予約、8/25受取)・村上春樹『騎士団長殺し第一部』(4/12予約済み、8/30受取)・村上春樹『騎士団長殺し第二部』(4/12予約済み、8/30受取)・萩野アンナ『ブリューゲル、飛んだ』(8/24予約、8/30受取)・カズオ・イシグロ『夜想曲集』(9/09予約、9/13受取)・原田マハ著『スイート・ホーム』(4/16予約、9/16受取)・EVシフト(6/28予約、9/21受取)・野地秩嘉『食の達人たち』(9/14予約、9/21受取)・アマゾンのすごいルール(5/18予約、9/28受取)・渋谷由里『馬賊で見る「満州」』(10/01予約、10/06受取)・佐野洋子『あっちの女 こっちの猫』(10/01予約、10/06受取)・デズモンド・モリス『猫の美術史』(10/06予約、10/11受取)・円城塔『文字渦』(9/05予約、10/16受取)・サマセット・モーム『アシェンデン』(10/22予約、10/24受取)・中国古代史研究の最前線(10/22予約、10/28受取)・ミヒャエル・エンデ『モモ』:10/28バザーで購入した。・堀田善衛『方丈記私記』(10/26予約、11/02受取)・ロアルド・ダール『飛行士たちの話』(11/05予約、11/09受取)・南伸坊「オレって老人? 」(11/20予約、11/25受取)・与那覇潤『知性は死なない』(7/25予約、12/09受取)・谷川雁「極楽ですか」 (12/01予約、12/09受取)・半藤一利『歴史と戦争』(7/11予約、12/09受取)・佐藤哲也「ぬかるんでから」(12/13予約、12/18受取)・南伸坊「ねこはい」 (12/13予約、12/18受取)・高村薫「神の火」 (12/15予約、12/21受取)・原田マハ『フーテンのマハ』(8/06予約、12/21受取)<2019年予約分受取>151-207・いしいしんじ『トリツカレ男』(1/09予約、1/14受取)・装丁/南伸坊(1/13予約、1/20受取)・『ギャシュリークラムのちびっ子たち』(1/14予約、1/20受取)・莫言『転生夢現(上)』(1/18予約、1/25受取)・浅田次郎著『天子蒙塵(1)』 (1/24予約、2/02受取)・創造&老年 横尾忠則と9人の生涯現役クリエーターによる対談集(1/31予約、2/05受取)・天子蒙塵(2)(2/07予約、2/10受取)・文明に抗した弥生の人びと(2/10予約、2/13受取)・スメルジャコフ対織田信長家臣団(2/12予約、2/19受取)・加村一馬著『洞窟おじさん』(6/07予約、2/28受取)・フィールドサイエンティスト 地域環境学という発想(3/04予約、3/08受取)・山尾悠子『飛ぶ孔雀』(11/08予約、3/14受取)・陳舜臣『江は流れず』(3/08予約、3/14受取)・ねじまき鳥クロニクル・第一部(3/12予約、3/30受取)・the four GAFA 四騎士が創り変えた世界(10/13予約、4/03受取)・更科巧「絶滅の人類史」(11/18予約、4/09受取)・梅原猛『隠された十字架』(4/07予約、4/27受取)・古処誠二『ニンジアンエ』(4/26予約、4/29受取)・角幡唯介「極夜行」 (12/02予約、5/06受取)・村上春樹『羊をめぐる冒険』(5/02予約、5/06受取)・大東建託の内幕(1/06予約、5/06受取)・『闇の奥』(5/06予約、5/12受取予定)・小林ふみ子『へんちくりん江戸挿絵本』(5/07予約、5/12受取)・開高健『日本三文オペラ』(4/30予約、5/18受取)・サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』(5/15予約、5/21受取)・トランスヒューマンガンマ線バースト童話集(2/16予約、5/26受取)・ジョセフ・コンラッド『闇の奥』(5/23予約、5/26受取)・天子蒙塵・第三巻(3/25予約、6/11受取)・J・G・バラード『クラッシュ』(6/05予約、6/11受取)・池澤夏樹『科学する心』(5/11予約、6/15受取)・巨大ブラックホールの謎(5/28予約、6/22受取)・子安美智子『エンデと語る』(6/19予約、6/22受取)・E・スエンソン『江戸幕末滞在記』(6/27予約、7/03受取)・中尾佐助『農業起源をたずねる旅』(7/02予約、7/09受取)・三浦しおん「愛なき世界」(11/25予約、7/13受取)・堀江貴文「これからを稼ごう」(1/12予約、7/17受取)・大江健三郎『キルプの軍団』(7/10予約、7/17受取)・『新・日本の階級社会』(7/18予約、8/10受取)・浅田次郎『帰郷』(8/08予約、8/10受取)・多和田葉子『地球にちりばめられて』(2/18予約、8/28受取)・多和田葉子「エクソフォニー」(8/31予約、9/05受取)・『ソロモンの指環』(9/03予約、9/08受取)・リービ英雄『天安門』(9/17予約、9/21受取)・米中ハイテク覇権のゆくえ(6/30予約、9/25受取)・チャイナ・スタンダード(9/22予約、10/02受取)・五日市哲雄『もの忘れと記憶の科学』(9/24予約、10/05受取)・多和田葉子「献灯使」(12/09予約、10/13受取)・多和田葉子『容疑者の夜行列車』(10/11予約、10/17受取)・落合淳思『漢字の字形』(9/20予約、10/22受取)・阿辻哲次『漢字再入門』(10/15予約、10/22受取)・日本が売られる(2/05予約、10/26受取)・『AI VS.教科書が読めない子どもたち』(2/22予約、10/26受取)・グレゴリ青山『薄幸日和』(10/30予約、11/04受取)・はすみとしこ『そうだ難民しよう!』(11/02予約、11/07受取)・そしてバトンは渡された(4/19予約、11/15大学図書館で見っけ)・川村元気『百花』(6/14予約、11/19受取)・樹木希林『一切なりゆき』(2/27予約、12/06受取)・吉荒夕記『バンクシー』(11/27予約、12/11受取)・上田岳弘『キュー』(8/26予約、12/19受取)・有馬哲夫『原発・正力・CIA』(12/15予約、12/22受取)<2020年予約分受取>207-235・Coloring in Wadaland 和田誠カラー作品集(11/24予約、1/04受取)・与那覇潤『知性は死なない』(1/04予約、1/07受取)・金子勝『平成経済 衰退の本質』(11/17予約、1/19受取)・浅田次郎『プリズンホテル』(1/13予約、1/19受取)・橘玲「言ってはいけない中国の真実」(1/18予約、1/26受取)・伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』(7/31予約、2/02受取)・村上龍『村上龍料理小説集』(1/26予約、2/14受取)・横尾忠則『死なないつもり』(2/12予約、2/14受取)・デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』(8/20予約、3/01受取)・森絵都『カザアナ』(9/21予約、3/18受取)・雑草はなぜそこに生えているのか(3/17予約、3/22受取)・イーユン・リー『千年の祈り』(3/25予約、3/31受取)・川上弘美『某』(10/27予約、4/05受取)・満州国のラジオ放送(2/26予約、5/20受取)・劉慈欣『三体』(9/09予約、5/20受取)・呉善花『韓国を蝕む儒教の怨念』(10/02予約、5/31受取)・鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。(7/15予約、7/22受取)・門井慶喜『定価のない本』(1/12予約、7/22受取)・多和田葉子『雪の練習生』(8/01予約、8/08受取)・有川ひろ『倒れるときは前のめりふたたび』(2/18予約、8/16受取)・村上春樹『猫を棄てる』(5/31予約、8/16受取)・橘玲「上級国民/下級国民」(10/24予約、8/20受取)・サル化する世界(3/25予約、9/02受取)・浅田次郎『草原からの使者 沙高楼奇譚』(9/05予約、9/10受取)・『装丁・装画の仕事』(9/08予約、9/13受取)・メーター検針員テゲテゲ日記(7/10予約、9/18受取)・多和田葉子『雪の練習生』(8/01予約、)・森見登美彦「四畳半神話体系」(9/19予約、9/23受取)・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(11/13予約、10/15受取)・小野正嗣『獅子渡り鼻』(10/9予約、10/15受取)・スーザン・ネイピア『ミヤザキワールド』(10/25予約、11/01受取)・浅田次郎『大名倒産(上)』(2/01予約、11/05受取)・小野正嗣『踏み跡にたたずんで』(11/3予約、11/05受取)・チャン・ガンミョン『韓国が嫌いで』(7/03予約、11/10受取)・多和田葉子×徐京植『ソウル-ベルリン玉突き書簡』(11/29再予約、12/5受取)・白川静さんに学ぶ これが日本語(12/14予約、12/17受取)<2021年予約分受取>236-239・山本文緒『日々是作文』(12/23予約、1/05受取)・紗倉まな『春、死なん』(6/14予約、1/05受取)・浅田次郎『大名倒産(下)』(3/17予約、1/13受取)予約分受取目録R25
2021.01.20
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図書館で『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』というタイトルの文庫本を手にしたが・・・小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。【村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール】ナカムラクニオ著、筑摩書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より文章力をアップさせるのに、たくさんの本を読む必要はありません。好きなただ1人の作家の本を読みまくる、それで十分に筆力や文体は磨かれます。この本は、村上春樹の文章の秘密を徹底的に分析した参考書です。魅力的なタイトルのつけ方、雰囲気を変えたい時の工夫、妄想を飛躍させる方法…一緒に春樹作品の魅力を骨の髄まで味わい、言葉を綴ることを楽しみましょう。ちくま文庫オリジナル。<読む前の大使寸評>小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。rakuten村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール「第2章 村上春樹の文体力」から一つ見てみましょう。p164~166<41 「ねじまき鳥クロニクル」から学ぶ「多層力」> 村上春樹の最高傑作だと言われることが多い『ねじまき鳥クロニクル』。 複雑で重層的な物語の構造が、高く評価されています。テーマはいくつかありますが、大きく伝わってくるのは「暴力や根源的な悪との対決」です。クロニクルというだけあって全部で三部もある超長篇です。 謎に満ちていて、奇妙な登場人物ばかり。読んでいても何を意味しているのか、何を書こうとしているのか、かなり理解が難しく、読者が想像をふくらませながら読まないとついていけません。しかし、この世界の複雑な「多層性」が描かれていることが『ねじまき鳥クロニクル』における最大の魅力なのです。 物語のはじまりは、オペラと料理。台所でスパゲティーをゆでているときに、電話がかかってきます。「僕」はFM放送にあわせてロッシーニの『泥棒かささぎ』の序曲を口笛で吹いています。これらもすべて何かを暗示するかのように、言葉が紡がれています。 近所の木立からまるでねじでも巻くようなギイイ一ッという規則的な鳥の声が聞こえます。そして、「僕」と「妻」はその鳥を「ねじまき鳥」と呼んでいます。静かな世界のねじを巻き続けているのです。 まるでシュルレアリスム絵画のように、いろんなものが絡み合って謎に満ちています。それなのに読者はスラスラと何かがわかったような気になりながら面白く読み進めることができます。これは絵画の「デペイズマン」と呼ばれる手法にも似ています。ダリやキリコのようなシュルレアリスム画家たちがよく使う手法です。 あるモチーフを文脈から切り離して別の場所へ移し置くことで、画面に違和感を生じさせる表現手法です。村上さんもバラバラのように見えるキーワードを「集合的無意識」の象徴である「井戸」に放り投げて、多層的な世界観を楽しんでいるのです。「泥棒かささぎ」が出てくるあたりを『ねじまき鳥クロニクル・第一部』から見てみましょう。<1 火曜日のねじまき鳥>p11~13 台所でスパゲティーをゆでているときに、電話がかかってきた。僕はFM放送にあわせてロッシーニの『泥棒かささぎ』の序曲を口笛で吹いていた。スパゲティーをゆでるにはまずうってつけの音楽だった。 電話のベルが聞こえたとき、無視しようかとも思った。スパゲティーはゆであがる寸前だったし、クラウディア・アバドは今まさにロンドン交響楽団をその音楽的ピークに持ちあげようとしていたのだ。しかしやはり僕はガスの火を弱め、居間に行って受話器をとった。新しい仕事の口のことで知人から電話がかかってきたのかもしれないと思ったからだ。「十分間、時間を欲しいの」、唐突に女が言った。 僕は人の声色の記憶にはかなり自信を持っている。それは知らない声だった。「」と僕は礼儀正しく尋ねてみた。「あなたにかけているのよ。十分だけでいいから時間を欲しいの。そうすればお互いよくわかりあうことができるわ」と女は言った。低くやわらかく、とらえどころのない声だ。「わかりあえる?」「気持ちがよ」 僕は戸口から首をつきだして台所をのぞいた。スパゲティーの鍋からは白い湯気が立ちのぼり、アバドは『泥棒かささぎ』の指揮をつづけていた。「悪いけど、今スパゲティーをゆでてるんです。あとでかけなおしてくれませんか」「スパゲティー?」、女はあきれたような声を出した。「朝の十時半にスパゲティーをゆでているの?」「あなたには関係のないことでしょう。何時に何を食べようが僕の勝手だ」、僕はちょっとむっとして言った。『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』2:好きな作家の文体を徹底的に真似する『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』1:謎めいた長いタイトルをつける()
2021.01.19
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<『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』2>図書館で『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』というタイトルの文庫本を手にしたが・・・小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。【村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール】ナカムラクニオ著、筑摩書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より文章力をアップさせるのに、たくさんの本を読む必要はありません。好きなただ1人の作家の本を読みまくる、それで十分に筆力や文体は磨かれます。この本は、村上春樹の文章の秘密を徹底的に分析した参考書です。魅力的なタイトルのつけ方、雰囲気を変えたい時の工夫、妄想を飛躍させる方法…一緒に春樹作品の魅力を骨の髄まで味わい、言葉を綴ることを楽しみましょう。ちくま文庫オリジナル。<読む前の大使寸評>小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。rakuten村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール「第1章 村上春樹の文章を33の作法で読み解く」からもう一つ。p92~94<19 好きな作家の文体を徹底的に真似する> 村上さんは、好きな作家から徹底的に文体を学び、影響を受けたことを隠しません。29歳のとき、第22回「群像新人文学賞」に『風の歌を聴け』が選ばれ、選考委員のひとりである丸谷才一さんが「村上春樹さんの『風の歌を聴け』は現代アメリカ小説の強い影響の下に出来あがったものです。カート・ヴォネガットとか、ブローティガンとか、そのへんの作風を非常に熱心に学んでいる。その勉強ぶりは大変なもので、よほどの才能の持主でなければこれだけ学び取ることはできません」と評したのは有名な話です。 デビュー作『風の歌を聴け』は、短い章立てなど文章の構成がカート・ヴォネガット・ジュニアの『スローターハウス5』とよく似ています。 ほかにも『タイタンの妖女』『猫のゆりかご』『チャンピオンたちの朝食』などが大きな影響を与えたと思われ、村上さん自身も、「愛は消えても親切は残る、と言ったのはカート・ヴォネガットだっけ」と『雨天炎天』に書いています。そして、自分が好きな作家から受けた影響について、とにかく熱く語り続けます。これは、とても大切なことです。 「走ること」と「小説」に関するエッセイをまとめた回顧録『について語るときに僕の語ること』という作品があります。 集中力を持続させるためには体力が不可欠と考え、「走ること」を選んだ村上さんの孤独な戦いが描かれていますが、このタイトルは、村上さんが大ファンで、翻訳もしたレイモンド・カーヴァーの短編集『愛について語るときに我々の語ること』へのオマージュとしてアレンジしたもの。 「…について語る」という言葉で「テーマ」をはっきりさせ、「…の語ること」とつなげることで、「誰の意見が書かれているのか」が明確に伝わってきます。 大好きな尊敬する作家の文体を徹底的に真似したり、オマージュを捧げることで、作者もまた同じ読者から愛されるようになるのです。 また好きな作家を熱く語っている文章は、好きな気持ちが伝わり、読んでいて気持ちがいいものです。 村上さんは大好きなスコット・フィッツジェラルドについても何度も物語に登場させています。 『スプートニクの恋人』には、「あたりがまだ真っ暗で、それはかつてスコット・フィッツジェラルドが「魂の暗闇」と呼んだ時刻に近いらしい…」なんていう台詞もあります。 さらに「フィッツジェラルドはやはりアルコール中毒で、経済観念ゼロで、借金だらけで死んだ。僕の人生とはずいぶん違う。そういう人たちに比べると僕の私生活なんてマルク債の如く堅実みたいに見える」といった文章も『村上朝日堂 はいほー!』に書いています。『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』1:()
2021.01.19
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図書館で『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』というタイトルの文庫本を手にしたが・・・小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。【村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール】ナカムラクニオ著、筑摩書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より文章力をアップさせるのに、たくさんの本を読む必要はありません。好きなただ1人の作家の本を読みまくる、それで十分に筆力や文体は磨かれます。この本は、村上春樹の文章の秘密を徹底的に分析した参考書です。魅力的なタイトルのつけ方、雰囲気を変えたい時の工夫、妄想を飛躍させる方法…一緒に春樹作品の魅力を骨の髄まで味わい、言葉を綴ることを楽しみましょう。ちくま文庫オリジナル。<読む前の大使寸評>小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。rakuten村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール冒頭の「第1章 村上春樹の文章を33の作法で読み解く」から見てゆきましょう。p16~19<1 謎めいた長いタイトルをつける> 村上春樹作品は長いタイトルが多い。 一般的には文章を書くとき、「タイトルは短くてわかりやすいタイトルにしたほうが良い」と言われます。 しかし、春樹式のタイトル術は、まったく発想が正反対なのです。 例えば、代表作『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のタイトルは、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス(アリス・イン・ワンダーランド)』をオマージュとして意識しているわけですが、もうひとつアメリカの歌手スキータ・デイヴィスのヒット曲「世界の終り(The End of the World)」も物語の下敷きになっており、タイトルの一行にあまざまな情報が織り混ぜられています。 このようなタイトルのつけ方は、強い言葉をいきなり衝突させ、化学反応を起こす手法です。映画『セーラー服と機関銃』『アヒルと鴨のコインロッカー』『裸のランチ』なども同じ原理です。 この作品は、もともと「文学界」で発表された中篇小説『街と、その不確かな壁』がベースになっています。それでも、長篇として完成したときに、わざわざタイトルを長くして発表したわけですから、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』というタイトルには、相当思い入れが強かったのでしょう。 あまりに長すぎるため、刊行の際に新潮社から『世界の終り』にしたいと言われ、英語版を出す時は「『ハードボイルド・ワンダーランド』だけでどうか」とも言われた、という逸話が残されています。それでも、結果的には大ヒット。全世界で愛される村上さんの代表作となりました。 また1週間で発行部数が100万部を越える大ベストセラーになった『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』も長いタイトルです。一行に物語の重要な要素をすべて詰め込んだような印象を受けます。 発売時には「まるでライトノベルのようだ」と熱心なファンの間でも物議をかもしました。 実は、この『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』というタイトルには、ヒットする要素が、ギッシリ詰めこまれています。 これは、「主人公の名前」と「これから起きる内容」を暗示する典型的なタイトルの手法です。『ニルスの不思議な旅』『ピッピの新しい冒険』『ジョジョの奇妙な冒険』などのようにベストセラー作品のタイトルは、しばしばこのかたちです。 ほかにもヨハンナ・シュピリの『アルプスの少女ハイジ』や世界中で熱狂的に支持を得たパウロ・コエーリョの『アルケミスト 夢を旅した少年』『星の巡礼』などのタイトルが『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』と言葉の印象が似ています。 こうやってミリオンセラーとなった名作のエッセンスを凝縮して、さりげなくアレンジするのが「春樹流タイトル術」の基本構造となっています。
2021.01.19
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図書館で『歓待する文学(NHKテキスト)』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、多和田葉子、小川洋子、カズオ・イシグロ、村上春樹等々・・好きな作家が多く 魅力的なテキストになっています。ところで、帰って調べたら、この本を借りたのは二度目であることが判明しました(またか)。で、この記事は(その5)とします。【歓待する文学(NHKテキスト)】小野正嗣著、NHK出版、2018年刊<商品説明>より文学は私たちの心にどう入り込み、個人の生活や社会に影響を与えるのか。芥川賞作家である著者が欧米、アフリカ、中東、アジアの選りすぐりの作品を紹介。書き手がどのような土地に根ざし、どういう言語で作品を生み出したのか、それが読み手にどう作用するのかを探る。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、多和田葉子、小川洋子、カズオ・イシグロ、村上春樹等々・・好きな作家が多く 魅力的なテキストになっています。rakuten歓待する文学(NHKテキスト)第5回講座では小川洋子著『ことり』が取りあげられています。p64~67言葉の外に耳を澄ます いまからもう20年ほど前、フランスのパリに住んでいたころ、毎日のように近所の大きな書店に足を運んでいました。「面白い小説はある?」と尋ねると、いろいろと僕に本を薦めてくれます。 ある日、お約束のようになったその質問をすると、Yoko Ogawaがいいよ、といつもの真面目な顔つきで彼が答えました。そうかあ、じゃあ、その作家も読んでみるかなあ、と頷きながら、僕ははっと気づきました。「いや、それは日本語で読めるから」というと、彼も「あ、そうだよね」と照れたように笑いました。 小川洋子は、村上春樹と並んで、フランスでもっとも読まれている日本の現代作家だと思います。彼女の主要作品のほとんどは、フランス語に翻訳されています。今回の主題である『ことり』も2014年にフランス語訳が刊行されています。 どうして小川洋子はこんなにもフランスで読まれているのでしょうか? これまでフランスでよく読まれてきた日本の作家として谷崎潤一郎や川端康成、三島由紀夫が挙げられます。もちろん文学作品として素晴らしいからでしょう。しかしそれに加えて、読者はこれらの作家たちのなかに「日本的なもの」を見出しているように見えます。「ジャポニスム」という言葉に象徴される、ある種のエキゾシチズムのような魅力を感じているのも確かだと思うのです。 しかし小川洋子の作品を読んでいても、あまり日本的だとは感じられません。小川洋子の愛読者が気づいているように、小川洋子の作品には、語られている物語の舞台がどこの国であってもおかしくない不思議な異国情緒があります。舞台となっている土地の固有名詞から、あるいは描写されている風景や風俗から日本を舞台にしていることがほぼ明らかであっても、日本を舞台にしている小説だということを忘れてしまいそうになります。 もしかすると、人物たちに固有名があまり与えられることがないからかもしれません。もちろん全作品を見直したわけではないので、これはあくまでも僕の印象ですが、彼女の作品の印象的な人物というのは、どちらかというと外国語の響きを持つ名を持っているように思えるのです。ミーナ、リトル・アリョーヒン、ブラフマンなどなど。 今回読む『ことり』においてもまた、登場人物たちの名前も、彼らがどこに暮らしているのかも、具体的な名が提示されることはありません。 物語の冒頭で、ひとり暮らしの老人が死んでいるのが発見されます。周囲の人たちから「小鳥の小父さん」と呼ばれる男性です。倒れた彼のそばには鳥かごがあり、メジロが一匹飼われています。いったいどのような生涯を送ってきた人物なのでしょうか。小説は彼の生涯を振り返っていきます。 * * * 「小鳥の小父さん」には、「お兄さん」がいます。二人の兄弟は長いあいだ、たがいを支え合うようにして一緒に暮らしてきました。この兄がずいぶん風変わりな人なのです。11歳を過ぎたあたりから、周囲にはまったく理解のできない不思議な言葉をしゃべり出すようになります。 心配した母親は、長男を治療しようとさなざまな療法を試しますが、うまくいきません。挙げ句の果てには、相談に行った言語学者からは「単なる雑音」と言われてしまいます。しかし、弟である「小父さん」には、兄の発している音が、厳密な文法規則と豊かな語彙を持つ、洗練された言語であることがわかるのです。(中略) 兄がそれまで使っていた言語(明示されていないのですが、日本語でしょう)とこの新しい言語には共通する単語がひとつ存在します。「ポーポー」という語です。これは兄が近所の商店で買うセロファンで包まれた棒付きキャンデーのことです。弟しか理解できないこの言語で、兄が話題にすることと言えば、もっぱら小鳥のことなのです。『歓待する文学』4:小野正嗣さんのフランス体験p8~10『歓待する文学』3:J・M・クッチェーの『マイケル・K』p93~96『歓待する文学』2:村上春樹の自伝的エッセイp140~142『歓待する文学』1:雪の練習生p124~126
2021.01.18
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図書館で予約していた『春、死なん』という本を待つことおよそ半年ほどでゲットしたのです。老人の性的衝動ってか・・・なんだか怖いような本ではある。なお、タイトルの『春、死なん』は西行の「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」より取ったようです。【春、死なん】紗倉まな著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より「春、死なん」妻を亡くして6年の70歳の富雄。理想的なはずの二世帯住宅での暮らしは孤独で、何かを埋めるようにひとり自室で自慰行為を繰り返す日々。そんな折、学生時代に一度だけ関係を持った女性と再会し…。「ははばなれ」母と夫と共に、早くに亡くなった父の墓参りに向かったコヨミ。専業主婦で子供もまだなく、何事にも一歩踏み出せない。久しぶりに実家に立ち寄ると、そこには母の恋人だという不審な男が…。人は恋い、性に焦がれる―いくら年を重ねても。揺れ惑う心と体を赤裸々に、愛をこめて描く鮮烈な小説集。<読む前の大使寸評>老人の性的衝動ってか・・・なんだか怖いような本ではある。<図書館予約:(6/14予約、副本2、予約30)>amazon春、死なんあらすじは、70歳の富雄が、昔寝たことのある文江と再会し、文江に誘われてラブホテルに入って、事に及ぶ。そのあと、息子が建てた二世帯住宅の一室でDVDを観ながら自慰行為を行ったあとに、嫁の里香と孫の静香に見つかってしまう富雄であった。この小説よりも気になるのは、著者の経歴である。高専在学中の2012年に、AV女優としてデビューし、その後、映画化された小説を書くまでに至る。さらにエッセイ集『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』を出したそうである。理系女子でもあった著者が天職を見つけたようだが・・・その真摯な行動力にはお見それしました。ネットで著者のインタビューを見つけたのです。「足りなくても仕方がない」。紗倉まながAV業界で学んだ、自分の体の受け入れ方よりQ:そもそも、なぜコンプレックスを持ってしまったのでしょうか?紗倉:昔は共感能力や空気を読むことに欠けているところがあって、見た目に対する自信もなかった。周りからの評価と、自分の評価は乖離するものなのに、「絶対にここが悪い」とマイナスなところばかりに注目して生きていました。自分の欠点に意識が向きやすい性格なんです。コンプレックスに縛られているという感覚もありました。Q:視点の切り替えが、前進する力になったのですね。紗倉さんが見つけた、自身の持ち味は何でしたか?紗倉:例えば、言葉づかいとか。私の場合、話をするときにゆっくり、のったりと喋ってしまうんです。これはもともとコンプレックスで、本当はもっとテキパキと喋りたいと思っていました。 でも作品によっては、こういう喋り方のほうがテーマに合うこともある。自分の持ち味を生かせる作品に出演したとき、私のことを魅力的に思ってくれる人が増えたんです。そうやってキャリアを積み重ねていくうちに、自分が最大限輝けるタイプの作品や傾向もわかってきました。
2021.01.18
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今回借りた3冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「文章修行」でしょうか♪<市立図書館>・大名倒産(下)・歓待する文学(NHKテキスト)・村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)************************************************************【大名倒産(下)】浅田次郎著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より御国入りで初めて見る故郷の美しさ、初めて知る兄弟の情。若殿は倒産阻止を決意するが、家臣共々の努力も焼け石に水。伝家の宝刀「お断り」で借金帳消しの不名誉を被るしかないのか。人も神様も入り乱れての金策に、果たして大団円なるかー<読む前の大使寸評>人も神様も入り乱れての金策ってか・・・これはどう見ても喜劇でんな♪<図書館予約:(3/17予約、副本23、予約351)>rakuten大名倒産(下)************************************************************【歓待する文学(NHKテキスト)】小野正嗣著、NHK出版、2018年刊<商品説明>より文学は私たちの心にどう入り込み、個人の生活や社会に影響を与えるのか。芥川賞作家である著者が欧米、アフリカ、中東、アジアの選りすぐりの作品を紹介。書き手がどのような土地に根ざし、どういう言語で作品を生み出したのか、それが読み手にどう作用するのかを探る。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、多和田葉子、小川洋子、カズオ・イシグロ、村上春樹等々・・好きな作家が多く 魅力的なテキストになっています。rakuten歓待する文学(NHKテキスト)************************************************************【村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール】ナカムラクニオ著、筑摩書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より文章力をアップさせるのに、たくさんの本を読む必要はありません。好きなただ1人の作家の本を読みまくる、それで十分に筆力や文体は磨かれます。この本は、村上春樹の文章の秘密を徹底的に分析した参考書です。魅力的なタイトルのつけ方、雰囲気を変えたい時の工夫、妄想を飛躍させる方法…一緒に春樹作品の魅力を骨の髄まで味わい、言葉を綴ることを楽しみましょう。ちくま文庫オリジナル。<読む前の大使寸評>小説を書いてみたい大使にとって、村上春樹風の文章がてっとり早く身につくなら・・・おいしいことである。rakuten村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール************************************************************図書館大好き462
2021.01.17
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川越宗一『熱源』(6/08予約、副本33、予約676)現在276位・ブレイディみかこ『ワールドサイドをほっつき歩け』(9/19予約、副本13予約218)現在132位・小川洋子『密やかな結晶』(10/8予約、副本4、予約59)現在37位・ショーン・タン『内なる町から来た話』(11/3予約、副本3、予約35)現在23位・ユヴァル・ノア・ハラリ『緊急提言 パンデミック』(11/14予約、副本7、予約28)現在7位・池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(11/29予約、副本33、予約644)現在574位・ブレイディみかこ『ブロークン・ブリテンに聞け』(12/9予約、副本11、予約30)現在15位・NHKスペシャル取材班『やばいデジタル』(12/23予約、副本3、予約18)現在17位・多和田葉子『星に仄めかされて』(1/05予約、副本5、予約20)・内田樹『コモンの再生』(1/05予約、副本2、予約21)・出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記:(1/06予約、副本5、予約58)・三浦しをん『マナーはいらない』(1/9予約、副本11、予約58)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・椎名誠『遺言未満』:図書館未収蔵・桐野夏生『日没』・小川洋子『ことり』・オードリー・タン 自由への手紙・オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る・高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!』・「仮住まい」と戦後日本・頭木弘樹『食べることと出すこと』:図書館未収蔵・小野正嗣『多和田語の世界』:図書館未収蔵・本村凌二『馬の世界史』・柏耕一『交通誘導員ヨレヨレ日記』・藻谷浩介『進化する里山資本主義』・多和田葉子『文字移植』:図書館未収蔵・山内 一也『ウイルス究極の寄生生命体 (NHK人間講座)』・高野秀行「怪獣記」・キネマ旬報(ありがとう、和田誠さん)・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・つげ義春『ガロ 1968 前衛マンガの試行と軌跡』・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・内澤旬子『ストーカーとの七00日戦争』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・「月夜のでんしんばしら」谷川雁、C.W.ニコル:図書館未収蔵・カズオ・イシグロ著『癒されざる者たち』:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』<予約分受取:9/23以降> ・森見登美彦「四畳半神話体系」(9/19予約、9/23受取)・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(11/13予約、10/15受取)・小野正嗣『獅子渡り鼻』(10/9予約、10/15受取)・スーザン・ネイピア『ミヤザキワールド』(10/25予約、11/01受取)・浅田次郎『大名倒産(上)』(2/01予約、11/05受取)・小野正嗣『踏み跡にたたずんで』(11/3予約、11/05受取)・チャン・ガンミョン『韓国が嫌いで』(7/03予約、11/10受取)・多和田葉子×徐京植『ソウル-ベルリン玉突き書簡』(11/29再予約、12/5受取)・白川静さんに学ぶ これが日本語(12/14予約、12/17受取)・山本文緒『日々是作文』(12/23予約、1/05受取)・紗倉まな『春、死なん』(6/14予約、1/05受取)・浅田次郎『大名倒産(下)』(3/17予約、1/13受取)***********************************************************************【熱源】川越宗一著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/08予約、副本33、予約676)>rakuten熱源【ワールドサイドをほっつき歩け!】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2020年刊<「BOOK」データベース>よりEU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての著者解説編。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/19予約、副本13、予約218)>rakutenワールドサイドをほっつき歩け【内なる町から来た話】ショーン・タン著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より“人間を訴えたクマ”“カエルを救う秘書”“空の魚を釣り上げた兄弟”25話のセンス・オブ・ワンダー!世界三大児童書賞のひとつ、ケイト・グリーナウェイ賞2020年受賞作!<読む前の大使寸評>マルチタレントのショーン・タンは元々、絵本作家であり・・・大使はそのイラストが大好きでおます♪<図書館予約:(11/3予約、副本3、予約35)>rakuten内なる町から来た話【緊急提言 パンデミック】ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より【目次】人類は新型コロナウイルスといかに闘うべきかー今こそグローバルな信頼と団結を(歴史に見る厖大な犠牲者/感染症との闘い ほか)/コロナ後の世界ー今行なう選択が今後長く続く変化を私たちにもたらす(新しい監視ツール/重大な分岐点ー「皮下」監視 ほか)/死に対する私たちの態度は変わるか?-私たちは正しく考えるだろう(避けようのない運命ー死の意味/死は技術的問題に ほか)/緊急インタビュー「パンデミックが変える世界」インタビュアー道傳愛子(発展途上国とウイルスの変異/歴史の決定的な瞬間 ほか)<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/14予約、副本7、予約28)>rakuten緊急提言 パンデミック【半沢直樹 アルルカンと道化師】池井戸潤著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版舎・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とはー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/29予約、副本33、予約644)>rakuten半沢直樹 アルルカンと道化師【ブロークン・ブリテンに聞け】ブレイディみかこ著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より EU離脱、広がる格差と分断、そしてコロナ禍ー。政治、経済、思想、テレビ、映画、英語、パブなど英国社会のさまざまな断片から、激動と混沌の現在を描く傑作時事エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/9予約、副本11、予約30)>rakutenブロークン・ブリテンに聞け【やばいデジタル】NHKスペシャル取材班著、講談社、2020年刊<出版社>よりあなたの人生は、わずか2.74GB(ギガバイト)。2020年の1年間で生み出されたデータ量は「50,000,000,000,000GB」。デジタルは、私たちの社会をさらに自由に、豊かにしてくれるーー。しかし、それが実にはかない願望であったことを、私たちはいま実感させられている。SNSの広がりは「真実」と「フェイク」の境界をあいまいにし、私たちは「フェイク」に踊らされるようになった。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/23予約、副本3、予約18)>rakutenやばいデジタル【星に仄めかされて】多和田葉子著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より世界文学の旗手が紡ぎだす国境を越えた物語の新展開!失われた国の言葉を探して地球を旅する仲間が出会ったものはー?<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本5、予約20)>rakuten星に仄めかされて【コモンの再生】内田樹著、文藝春秋、2020年刊<出版社>より天下りのマッチポンプ、地方の過疎化、アンチ・グローバル化現象……コモン(共有地)の再生が日本の活路を開く!・西部劇『シェーン』が示すコモンをめぐる原理的な主題・ベーシックインカムの成否を決定づける要素とは?・トランプ現象とアンチ・グローバリズムの流れ・マナーの悪い「幼児的」なオヤジのマウンティングについて・明治維新前の藩制度とフランスのコミューンの共通点・「自我の支配」から解放される瞑想のやり方……etc.分断を超えて、新しい共同幻想が立ち上がる希望の書。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本2、予約21)>rakutenコモンの再生【出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記】宮崎伸治著、フォレスト出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。-なぜか?私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本5、予約58)>rakuten出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記【マナーはいらない】三浦しをん著、集英社、2020年刊<「BOOK」データベース>より長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きたい人」へ。人称、構成、推敲など基本のキから、タイトルのつけ方や取材方法まで、本書タイトルにあやかって「コース仕立て」でお届けする大充実の全二十四皿。あの作品の誕生秘話や、手書き構想メモを初公開。もちろん(某きらめく一族への)爆笑激愛こぼれ話も満載で、全・三浦しをんファン必読の書…!金言ばかりのWeb連載「小説を書くためのプチアドバイス」を完全書籍化。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/9予約、副本11、予約58)>rakutenマナーはいらない【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て図書館予約の軌跡235予約分受取目録R23好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。図書館予約の軌跡238
2021.01.17
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<中国由来の迷惑千万>外を見たら、何やら霞んでいるぞ・・・これは黄砂だろう。まったく中国由来のコロナウィルスといい黄砂といい、迷惑千万ではないか!気象庁の黄砂情報・・・ということで、ネットをめぐると以下ヒットしました。兵庫県のPM2.5と黄砂予報より■基準値の2倍で外出自粛を!中国から日本へ飛んでくるPM2.5の数値が環境基準値である『35マイクログラム』の倍の『70マイクログラム』が測定された際は、不要な外出は控えるように呼びかける暫定指針が発表されました。(1マイクログラム=100万分の1グラム)PM2.5の暫定基準値とその対応策は下記のようになっています。■PM2.5の予測が70以下の場合特に行動を制限する必要はありませんが、呼吸器や循環器に病気がある人や子ども、そして高齢者は体調と相談して行動しましょう。■Pm2.5の予測が70以上の場合不要な外出はできる限り控えましょう。高齢者や子ども、そして呼吸器系の病気がある方は特に注意して行動する必要があります。ウーム 黄砂でも外出自粛なのか・・・まったく。
2021.01.16
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図書館で上田岳弘著『ニムロッド』という本を手にしたのです。「いつもニコニコ現金払い」の大使にとって、気になる本でおます。【ニムロッド】上田岳弘著、講談社、2019年刊<「BOOK」データベース>よりそれでも君はまだ、人間でい続けることができるのか。あらゆるものが情報化する不穏な社会をどう生きるか。新時代の仮想通貨(ビットコイン)小説!第160回芥川賞受賞!<読む前の大使寸評>「いつもニコニコ現金払い」の大使にとって、気になる本でおます。rakutenニムロッドネタバレになるかもしれないが、この小説の末尾を、見てみましょう。p134~136 <*> 新規の仮想通貨は、アプリを使ってすぐに発行することも可能ではあるけれど、機能の発展性を考えると公開されたソースコードを改変した方がいい。ハードルは上がるが、社長の気まぐれに振り回されてあげているのだから、そのくらい趣味的に取り組んだってバチは当らないだろう。 1週間前からビットコインのソースコードの読み込みを始め、なんとなくの感触は掴んでいる。なんにせよ目を引く新機能と受けのいい売り文句をくっつけて広め、取引所ぬ上場させられるかどうかが勝負だ。まあ、まず無理だとは思うけど。 哲学を端的に示す暗示的な名称がいいだろう。暗示的でありつつ、響きが良いものならばなおいい。仮想通貨の現在の時価総額で一番高いものはビットコインで、二位がイーサリアム、三位がリップル。ビットコインはさすがに最初の仮想通貨だけあって、仮想通貨を代表するようなネーミングができている。あとの二つは、少し謎めいていて、しかし、どことなく未来に拓けたイメージが浮かぶ音だ。 ビットコインだけでなく、イーサリアムも、リップルも、一通貨を表す通常単位と、その価値が高騰した場合に備えて、より小さな単位をあらかじめ設けている。ビットコインは一単位がBTCで、0.00000001BTCが1satoshi。イーサリアムの場合は一単位がetherで、0.000000000000000001etherが1wei。まるで私立大学生の掛け声みたいな名前だ。 1satoshi、1wei単位で取引するほどに、それらの仮想通貨が高騰するのかはわからない。iPhone8で調べてみると、現在の1BTCは70万円ほどになっていて、通常単位でしか取引できないとなると、流動性は下がってしまうのは確かだろうから、備えあれば憂いなしと言ったところだろう。それに採掘について言えば、satoshiは既に実用されてもいる。 僕の仮想通貨の最小単位はどういう名前が良いだろう? 世界一位のビットコインがsatoshiで、二位のイーサリアムがweiなのだから、何かこう、ちょっといわくありげな、くだけた名前が良いのかもしれない。 と、そんなことを考えていると、左の視界、その下側が波打つように曇った。反射的に上を向く。すると雲一つない空の低い位置に飛行機が白い線を引きながら飛んでいるのが見えた。感情的な昂ぶりが伴わないこの涙が流れるたびに、僕はもう連絡が取れなくなった田久保紀子とニムロッドのことを思い出す。僕の頭の中で彼らとこの涙が結びついているらしい。 涙の量が普段より多い。上を向いているのに、左目から涙があふれ、それは頬の温度を奪って時間経過そのものみたいにぽたぽたと落ちていく。僕は飛行機の白い影を眺めながら、そうだ、僕の仮想通貨の最小単位をnimrodにしてはどうだろう、と思い付く。高い塔みたいに価値を積み上げる僕の新しい通貨。いつか雲を突き抜けてその塔が高くそびえたならば、その最小単位が顔を出す。nimrod、塔の上に最後に残った人間、人間の王。 僕は上空を向いたまま自分の思い付きにしばしとらわれる。それからふと我に返ると、飛行機の影はすっかりなくなっていた。この小説を読み終えたが・・・メールされてくる「駄目な飛行機コレクション」が面白かったので紹介します。【No.4】コンベアNB-36 1950年代にアメリカが開発した原子力飛行機。 墜落すると非常に恐ろしい被害が想定されるため、大統領執務室とのホットラインが設置された。【No.5】ボニーガル 1928年、レオナード・ボニーが開発したカモメ型飛行機。 「有人飛行成功のためにはできるかぎり鳥をマネすることが必要」と4年間カモメの研究をし、風洞実験や地上試験を積み重ねてつくられたが、初飛行で墜落し、ボニーは帰らぬ人となった。【No.9】航空特攻兵器 桜花 パイロットが生還できないように設計された飛行機。兵器としてみれば高性能の誘導ミサイル。ネットに『ニムロッド』の評価が出ていました。芥川賞『ニムロッド』は問う「僕たちはいつまで人間でいられるのか」より■「人類の営為が終わる」という予感〈やがて僕たちは、個であることをやめ、全能になって世界に溶ける。「すべては取り換え可能であった」という答えを残して〉第160回芥川賞受賞作、上田岳弘著『ニムロッド』の一節だ。選考委員の奥泉光は、会見で本作について「上田作品は完成度が高い」と評価したうえで、こう続けた。「私見では、人類が積み重ねてきた営為がもう終わってしまうかもしれないことへの愛惜がにじむ作品だと感じました」ところで、1年くらい前に読んだ『キュー』という小説の著者が上田岳弘だったことに、今頃気づいたのです。【キュー】上田岳弘著、新潮社、2019年刊<「BOOK」データベース>より前世に太陽と同じ温度で焼け死んだと話す少女が同級生だった「僕」は、この惑星で平凡な医師として生きていたが、いきなり「等国」なる組織に拉致された。彼らによれば、対立する「錐国」との間で世界の趨勢を巡り争っており、その中心には長年寝たきりとなっている祖父がいるという。その祖父が突然快復し失踪、どうやら私の恋人を見つけたらしい。一方、はるか未来に目を覚ました自称天才の男は迎えに来た渋い声の異郷の友人と共に、“予定された未来”の最後の可能性にかけるため南へ向かい、途中、神をも畏れぬ塔を作り重力に抗おうとしたニムロッドの調べが鳴り響く。時空を超えた二つの世界が交差するとき、すべては完成する…?<読む前の大使寸評>ぱらぱらめくってみると、テニヤン島のエノラゲイ号とか、トランプ大統領とか、シンギュラリティーなどが見られて、なにやらタイムトラベル風である。<図書館予約:(8/26予約、12/19受取)>rakutenキュー『キュー』1TD>『ニムロッド』2:自称ニムロッドの荷室仁の素性p34~36『ニムロッド』1:この小説の語り口p15~18
2021.01.16
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図書館で三浦しをん著『舟を編む』という本を手にしたのです。この本は映画化された作品でもあるが、まだ読んでなかったのです。で、遅ればせではあるが、読んでみようと思ったのです。【舟を編む】三浦しをん著、光文社、2011年刊<「BOOK」データベース>より玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていくー。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのかー。<読む前の大使寸評>映画化された作品でもあるが、まだ読んでなかったのです。遅ればせではあるが、読んでみようと思ったのです。rakuten舟を編むかなりの中抜きになるが・・・この小説のラスト部分(『大渡海』の完成祝いパーティ)を、見てみましょう。p256~259 <五、> 荒木は背広の内ポケットから、白い封筒を取りだした。「松本先生がわたしに遺してくださった手紙だ」 目でうながされ、馬締は封筒を受け取り、なかの便箋を広げた。 用例採集カードで見慣れた先生の筆跡。文字は意外な力強さで記されていた。 最後の最後に監修者としての責任を果たせなかったことを、辞書編集部のみなさんにお詫びします。『大渡海』完成の暁には、わたしはもうこの世にはいないでしょう。しかし、いまは不安も後悔もありません。『大渡海』が、言葉という宝をたたえた大海原をゆく姿がまざまざと見えるからです。 荒木君、ひとつだけ訂正します。わたしは以前、「きみのような編集者とは、もう二度と出会えない」と言いました。あれはまちがいだった。きみが連れてきてくれたまじめさんのおかげで、わたしは再び、辞書の道を邁進することができたのです。 きみとまじめさんのような編集者に出会えて、本当によかった。あなたたちのおかげで、わたしの生はこのうえなく充実したものとなりました。感謝という言葉以上の言葉がないか、あの世があるならあの世で用例採集するつもりです。 『大渡海』編集の日々は、なんと楽しいものだったでしょう。みなさんの、『大渡海』の、末永く幸せな航海を祈ります。 馬締は丁寧に便箋を畳み、封筒へ戻した。 松本先生の遺影を、先生の名が刻印された『大渡海』を、会場に集う大勢の人々の顔を、順繰りに眺める。 言葉はときとして無力だ。荒木や先生の奥さんがどんなに呼びかけても、先生の命をこの世につなぎとめることはできなかった。 けれど、と馬締は思う。先生のすべてが失われたわけではない。言葉があるからこそ、一番大切なものが俺たちの心のなかに残った。(中略) 馬締はふと、触れたことがないはずの先生の手の感触を、己の掌に感じた。先生と最後に会った日、病室でついに握ることができなかった、ひんやりと乾いてなめらかだったろう先生の手を。 死者とつながり、まだ生まれて来ぬものたちとつながるために、ひとは言葉を生みだした。 岸辺が宮本とケーキを食べている。編集部員は接待に徹し、会場では飲食をしないようにと言ったのに。楽しそうにお互いのケーキをフォークでつつきあっている。佐々木は壁際で白ワインの入ったグラスを傾け、西岡はあいかわらず軽薄な物腰で挨拶まわりを続行中である。 『大渡海』の完成を喜び、だれもが笑顔だ。 俺たちは舟を編んだ。太古から未来へと綿々とつながるひとの魂を乗せ、豊穣なる言葉の大海をゆく舟を。 「まじめ君。明日から早速、『大渡海』の改訂作業をはじめるぞ」 馬締を会場の中央へとうながしつつ、荒木が言った。その頬に、万感の思いがひとすじのきらめきとなって伝わっていたように見えたが、気のせいかもしれない。『舟を編む』2:荒木が大手出版社に入社したあたりp6~7『舟を編む』1:冒頭の語り口p3~4()
2021.01.16
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図書館で『村上春樹と私』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくると、なんか見覚えのある本だが、ま いいかと借りたのです。なお、帰って調べたら、この本を借りたのは二度目であると判明しました。・・・で、この記事は(その8)としています。【村上春樹と私】ジェイ・ルービン著、東洋経済新報社、2016年刊<商品の説明>より『1Q84』『ノルウェイの森』をはじめ、夏目漱石『三四郎』や芥川龍之介『羅生門』など数多くの日本文学を翻訳し、その魅力を紹介した世界的翻訳家が綴る、春樹さんのこと、愛する日本のこと。<読む前の大使寸評>著者のジェイ・ルービンは『1Q84』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』などを翻訳していて、世界的に知られているそうです。rakuten村上春樹と私芥川作品の『羅生門』が語られているので、見てみましょう。p154~157<村上春樹さんの序文> 出来上がった短編集の18の作品のうち、その時点まで英訳されていなかったものは9つほどであった。老人がぶつぶつ言いながら若者の作品群を鼻をつまんで無理やりに読むのとは打って変わって、まるで芥川再発見だったので、準備の段階から刊行の段階までのその仕事はたいへん面白くて、充実した経験だった。 村上さんは序文を通して英語版に大いに貢献してくださった。典型的な日本人の読者にとって、そして作家としての彼個人にとって芥川がいかに重要であるか、西洋の読者に詳しく説明してくれたのだ。その序文を読めば、この仕事のために芥川作品を時間をかけて再読し、再考してくれたことは明らかである。芥川に対する村上さんの評価に日本の読者がふれる機会を本書が提供できたことを喜ばしく思う。 長年にわたって私は『芥川全集』をときどき拾い読みしてきたが、今回読み直して芥川作品の多彩な表現にたいへん驚かされた。芥川のユーモアは私が英語訳で目にしていたものの域を越えていたし、作品世界をめぐる芥川の感覚的な描写の豊穣さは時に圧倒的である。『地獄変』の炎は、英語版“Hell Screen”でも忘れ難いものであったが、オリジナルはいっそう強烈で、息苦しささえ覚えた。 芥川は舞台設定と小説構成の巨匠と言える。そして何よりも、ヴォイスの達人である。たとえば平安時代末期を舞台とする物語の語り手は多様きわまりない。(中略) だが芥川は時として耐え切れないほど才走り、いわば日本版O・ヘンリーといった趣を見せる。成功したとは言い難い芥川作品に我々が不快感を覚えるのは、彼が技巧のための技巧を用いることに終始し、自分自身を注ぎ込むことのないまま、作家としての少なからぬ才能を濫費していると見えるためである。 自分たちが生きる世界について考えるようになったばかりの中学生たちにとって、芥川は素晴らしく刺激的な作家になりうるが、アイロニーが強すぎて、結末のどんでん返しは計算されすぎ、登場人物たちは平板すぎて、読者たちが大人になるまで持ちこたえなれないものもある。年のいった読者にとって芥川が意味を持ち続けるのは、芥川自身の心の中に自分の才気への疑念が忍び込み、あでやかな衣裳よりも募る不安の方が大きくなった時の作品だ。 英語圏では、文学に通じた者たちは(黒澤明の『羅生門』(1950年)を観たことのない人々でも)“真実は藪の中”という状況を“Rashomon”という外来英語を使って言い表す。 『ニューヨーカー』誌の1993年4月12日号に掲載された、ロズ・チャストという才気ある漫画家のという漫画には、車一台分の駐車スペースをめぐる議論についてのさまざまな場面が描かれている。 この「ラショーモン」という言葉があの映画に出てくる門の名前だと知って使っている英米人は少ないだろう。いくつかの視点から語られる入り組んだ話が短篇『羅生門』ではなく『藪の中』に由来することについても同様である。そして、映画のクレジットに原作者としての芥川という名前があがっていると気付くことも思い出すこともほとんどないと言っていい。先日に読んだ辛島デイヴィッド著『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』では、村上春樹はルービンの作風を「忠実(=逐語訳)」と捉えていると紹介しています。その辛島デイヴィッドの著書を紹介します。【Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち】辛島デイヴィッド著、みすず書房、2018年刊<「BOOK」データベース>より村上春樹と英米出版界のスペシャリストたちの冒険。A・バーンバウム、E・ルーク、L・アッシャー、J・ルービン、G・フィスケットジョン、チップ・キッド…、そして村上春樹。Haruki Murakamiの世界への飛翔までの道のりを、30余名へのインタビューをもとにたどる、異色の文芸ドキュメント。<読む前の大使寸評>内容を覗いてみると、翻訳がテーマとなっているようで・・・これが太子のミニブームにいたく響くわけでおます♪rakutenHaruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち『村上春樹と私』7:英語圏における翻訳『村上春樹と私』6:文学鑑賞と年齢の関係『村上春樹と私』5:世界中の翻訳仲間『村上春樹と私』4:アメリカでの村上講演会『村上春樹と私』3:村上作品の英訳『村上春樹と私』2:翻訳者の仕事『村上春樹と私』1:翻訳の苦労
2021.01.15
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図書館で『BOOK MARK』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくると、なんか見覚えのある本だが、ま いいかと借りたのです。なお、帰って調べたらこの本を借りるのは二度目と判明したのです。で、この記事は(その5)としています。【BOOK MARK】金原瑞人×三辺律子編 、CCCメディアハウス、2019年刊<商品の説明>より「もっと海外文学を!」「翻訳物っておもしろい!」読めば一生忘れられない。心にぐっとくる204冊。1.これがお勧め、いま最強の十七冊2.本に感動、映画に感激3.まだファンタジー?ううん、もっとファンタジー!4.えっ、英語圏の本が一冊もない!?5.過去の物語が未来を語る6.明日が語る今日の世界7.眠れない夜へ、ようこそ8.やっぱり新訳!9.顔が好き10.わたしはわたし、ぼくはぼく11.Listen to Books!12.これ、忘れてない?<読む前の大使寸評>表紙のコピーにも「翻訳者による海外文学ブックガイド」とあり、つい借りたのでおます。rakutenBOOK MARK「第8章 やっぱり新訳!」で新訳の意義を見てみましょう。p100<「第8章 やっぱり新訳!」:金原端人> 翻訳を始めてまず思ったのは、「やっぱり、翻訳は新しいものがいい!」ということでした。というのも、翻訳をしてみると、自分の文章がいかに時代や社会に影響されているか思い知らされるからです。 30年前の翻訳は、30年前の時代や社会の影響をもろに受けています。かつて、黒人英語が東北弁まがいの日本語ともいえない日本語で訳されていたころ、われわれはなんの抵抗もなくそれを読んでいました。 『不思議の国のアリス』にしても、主人公の名前は「愛ちゃん」だったり、「まりちゃん」だったりした時代があったのですが、当時の人たちは、それで納得したわけです。しかし、今時、そんな翻訳では読者にそっぽを向かれてしっまいます。つまり原作は古びないけど、翻訳はどんどん古びていくということです。じゃあ、古びて味の出る翻訳はないのか、という質問が出てきそうですが、それを話すとまた長くなるので、いずれ、そのうち。 最近、昔の作品が次々と新訳で出るようになりました。たまに、おいおい、こんなのありかよ!といいたくなるほど、新鮮な訳もあったりして、むちゃくちゃ嬉しいです。そういえば、日本の古典の新訳も評判になっています。いい時代になりました。第8章に定番の『月と6ペンス』がありました。p162<09『月と6ペンス』:金原端人> 中学校のとき読んで、すげえ、こんな小説があるんだと、心底、驚いた。なにしろ、ストリックランドという主人公が極端すぎる。40歳で仕事も妻子も捨て、パリに行って画家になろうとするんだけど、その自己中心ぶりが徹底している。まさに描くという狂気に突き動かされている男なのだ。 冷酷非常なのではない。他人がまったく目に入っていないのだ。 そんな人間は放っておけばいいのに、おせっかいで、お人好しのストルーヴェという男が世話を焼こうとする。彼も絵描きで、ろくな才能あないくせに、芸術を見る目だけは人一倍鋭く、ストリックランドの驚異的な才能に惚れこんでいるのだから、いいように利用される。あげくのはてに、ストルーヴェは妻まで引きずりこみ、物語はまったく救いのない悲喜劇へ突き進んでいく。 ここまでが前半で、後半はタヒチ島に移住したストリックランドの晩年。この小説を読み終えて、妙に感動している自分に感動してしまった。このとき、妙に感動している自分に感動する小説が、ぼくは好きなんだなと思った。くだんのフォームで『月と6ペンス』を紹介します。。【月と6ペンス】サマセット・モーム著、新潮社、2014年刊<「BOOK」データベース>よりある夕食会で出会った、冴えない男ストリックランド。ロンドンで、仕事、家庭と何不自由ない暮らしを送っていた彼がある日、忽然と行方をくらませたという。パリで再会した彼の口から真相を聞いたとき、私は耳を疑った。四十をすぎた男が、すべてを捨てて挑んだこととはー。ある天才画家の情熱の生涯を描き、正気と狂気が混在する人間の本質に迫る、歴史的大ベストセラーの新訳。<読む前の大使寸評>歴史的大ベストセラーとやらをまだ読んでいないので(読んだかもしれないが記録が残っていないので)・・・新訳で読んでみるか。rakuten月と6ペンス『BOOK MARK』4:ショーン・タン著『ロスト・シング』p42『BOOK MARK』3:『ブラッカムの爆撃機』p100『BOOK MARK』2:BOOK MARKの成り立ち p1~3『BOOK MARK』1:『宇治拾遺物語』p152~153、『星の王子さま』p154
2021.01.15
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図書館で上田岳弘著『ニムロッド』という本を手にしたのです。「いつもニコニコ現金払い」の大使にとって、気になる本でおます。【ニムロッド】上田岳弘著、講談社、2019年刊<「BOOK」データベース>よりそれでも君はまだ、人間でい続けることができるのか。あらゆるものが情報化する不穏な社会をどう生きるか。新時代の仮想通貨(ビットコイン)小説!第160回芥川賞受賞!<読む前の大使寸評>「いつもニコニコ現金払い」の大使にとって、気になる本でおます。rakutenニムロッド自称ニムロッドの荷室仁の素性が出てくるあたりを、見てみましょう。p34~36 <*> 「ニムロッド?」 「そう、荷室さん。会社の先輩」 「荷室だから、ニムロッド?」 夕方五時に、田久保紀子と上野駅前のさくらテラスで晩御飯を食べている。彼女が選んだのは一階にある鶏の丸焼きを出す店だった。ガラス越しに見える街を行きかう人々は、コートを着ている人も、シャツ1枚の人もいた。そして多くの人が防毒用みたいにマスクを付けている。春が近づく気候の定まらない季節だ。 彼女はそのまま出張でシンガポールに発つ。成田空港直通のスカイライナーの時間まで食事をしようということになり、僕は会社を早引けして上野で落ち合った。鶏が焼きあがるまで40分程度かかるらしく、着席してすぐに頼んだ。 「ニムロッド」は会社の先輩である荷室仁の自称だ。会社のメールアドレスも、@の前がnimrodとなっている。ニムロッドはもともと東京本社にいて、僕と同じシステムサポート部隊で働いていた。年齢は確か僕より一つ上。独特な言語センスを持っていて、そういえば原因不明のシステム停止を「心臓麻痺」と呼び始めたのも彼だった。ニムロッドが東京からいなくなっても、言葉だけが残っている。名古屋勤務になったのは、彼が鬱病になったことがきっかけだった。 個人差があるとはいえ、うちの会社の勤務実態はそうブラックな方ではないと思う。ニムロッドの鬱にしても、おそらくは過労のせいというわけではない。もっとも、ニムロッドの仕事内容を全部把握してはいないし、過労から鬱を発症するメカニズムに詳しくもないのだけれど。 ただ僕の所見を述べるとすれば、それまでどちらかと言えば溌剌と働いていたニムロッドは、ある日突然会社に来なくなった。彼はほとんど有休を使っていなかったので、年間の二十日が丸々残っていた。それを全部使いきっても、まだ彼は復帰できなかった。(中略) ニムロッドが作家を目指していて、新人賞の最終選考に三回連続で残っては落選していることも、本人から聞いて知っている。傍目から判断できることではないけど、そうしたことが心理的なダメージになっていたりもしたのか。最後に落選したのは鬱になる1年前のことで、それが特に大きな打撃になったのは間違いないと思う。 一緒に飲む度、彼は自らの有りあまる才能について面白おかしく語るのが常だったのに、最後の落選以降、小説や才能といったことについてまったく話さなくなった。こないだの「駄目な飛行機コレクション」のメールで知らされるまで、僕は彼が新しい小説を執筆していることも知らなかった。 ニムロッドは二十日間有休を取り、その後3ヵ月は休職扱いとなった。ニムロッドが「駄目な飛行機コレクション」を語っています。p44~45 <駄目な飛行機コレクション No.8>BAEニムロッドAEW.31976年に始まったイギリス空軍のニムロッドを早期警戒機(AEW)にするプロジェクト。機首と尾部に大型レーダーを搭載し、周囲の警戒を行う仕組みであったが、開発費用の面よりアメリカ製ボーイングE-3早期警戒管制機の導入が決定され、AEW.3は失敗作となった。 今回の駄目な飛行機は「BAEニムロッドAEW.3」だ。ニムロッド? 僕のニックネームと同じ名前だね。親近感を覚えてしまう。僕のは勝手に名乗っているだけだけど、イギリス軍はどうしてこの名前を付けたんだろうね? 「BAEニムロッドAEW.3」の元になったホーカー・シドレー コメットは旅客機だった。それが対潜哨戒機、つまり潜水艦探知用のBAEニムロッドとして空軍で運用されるようになり、さらに空軍はBAEニムロッドに探索用大型レーダーを無理やりくっつけて、空中目標を探知できる早期警戒機に改造しようとした。(中略) でもね、自分の名前も含まれていることだし、僕はこのニムロッドシリーズの肩を持ちたい気分なんだ。14日のsankeibizによれば「ビットコイン最大26%下落」とのこと。https://sankeibiz.jp/macro/news/210113/mcb2101130859013-n1.htm…仮想通貨ビットコインが11日にかけての取引で急落し、仮想通貨バブルが崩壊するのではないかとの懸念が強まっている。・・・・気をつけましょうね。『ニムロッド』1
2021.01.14
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半藤一利さんが12日午後逝去されたそうです。以下に、日刊ゲンダイ記事と、「半藤一利あれこれR2」という復刻記事を付けて、半藤一利さんを悼むものとします。半藤一利さんが語っていた「日本のいちばん長い日」誕生秘話より「日本のいちばん長い日」や「ノモンハンの夏」など、昭和史を題材とした作品で知られるノンフィクション作家の半藤一利さんが12日午後、老衰のため東京都内の自宅で死去した。90歳だった。同氏は日刊ゲンダイ連載「喜怒哀楽のサラリーマン時代」では10回に渡り、文藝春秋時代を振り返っている。1965年に代表作「日本のいちばん長い日」が誕生するまでのエピソードを再編集して掲載する。(以降省略)***********************************************************************<半藤一利あれこれR2>デジタル朝日の連載コラム(歴史探偵おぼえ書き)をアトランダムにスクラップしているのだが・・・この際、これまで読んできた半藤さんの著作を並べてみようと思ったのです。・『「勝札」が輝いていた時代』(2019年記事)・『歴史と戦争』(2018年刊)・『文士の遺言』(2017年刊)・『昭和史をどう生きたか』(2014年刊)・『そして、メディアは日本を戦争に導いた』(2013年刊)・『愛国者の条件』(2006年刊)R2:『文士の遺言』を見直し***********************************************************************<『「勝札」が輝いていた時代 半藤一利』>デジタル朝日の連載コラム(歴史探偵おぼえ書き)で面白い記事があったので、見てみましょう。またスクラップと電子データの重複保存となったが・・・まあ いいか。2019年7月20日「勝札」が輝いていた時代 半藤一利より<「勝札」が輝いていた時代> 太平洋戦争も末期のこの国の惨憺たる様子は、これまでもうあきれるほど読者諸兄姉は読まされたことであろう。本土決戦に狂奔する軍部と、無理やりそれに従わせられる国民。軍部は勝つ意思も自信もなく、ただ戦うために戦う、戦いつづけることが目的になっていた。そのために国民を道連れにすることに何のためらいも、やましいところもなかった。 ――なんて話が、今回の主題ではなく、少しのんびりした事実を。すなわち宝くじの話である。いまになるとほとんど知る人はなくなったが、宝くじの前身とされる「勝札(かちふだ)」が政府のキモ煎りで、日本勧業銀行本・支店などで売りだされたのが、昭和二十年(1945)七月十六日。一枚十円で、この日から発売されて締め切りは、なんと、一カ月後の八月十五日ときたもんだ。 各新聞がにぎやかに発売を報じたが、ここには読売報知(現読売新聞)を長く引用する。「一等に当れば十万円、籤(くじ)運が悪く全然当らなくても勝ち抜くための献金となるこの勝札の抽籤(ちゅうせん)は売出締切十日後の八月廿五日、麹町区内幸町勧銀本店で一般公開して行はれる。第一回売出二億円(二千万枚)で十万枚一組に一等十万円一本、二等一万円九本、三等千円九十本、四等五十円九百本、五等十円一万九千本計二万本の当り籤があるから五本に一本は必ず当るわけ」 さてさて、売り出し締め切りの八月十五日に、天皇放送があって戦争は終わってしまう。勝札の抽籤ははたして行われたのであろうか。貧乏性ながら気になってならなかった。調べてみたら確かに、きちんとやられていた。敗戦後の八月二十五日に本店ではなく勧銀長野支店で。さりながら、十万円に当たった一等当選者のなかには不明のままの人もいたらしい。空襲で焼き殺されてしまったのか、と悪い想像をしている。 宝くじを何べんも欲をだして買ってみたが、いっぺんもいい目をしたことがない私は、一等十万円はいまの額にするといくらぐらいになるか、余計なことが気になってならない。日銀の企業物価指数で計算すると、二千百万円ほどになるそうな。もっとも十年ほど前の計算であるが。 とにかく勝札の名が象徴しているように、地図の上からは抹消され、そのころ空襲もなくなった東京には、勝利を信じてののどかな日々が訪れていたらしい。三月十日の空襲で焼けだされて、東京から新潟県に疎開していた私には存じないことであった。 漫談家で随筆家の徳川夢声が七月二十二日の日記に浅草のことを書いている。「他に何もなきこの興行街に、若き産業人たちが、地下鉄や都電を満員にしてやってくる。そしてガツガツと(映画や芝居を)二ツも三ツも見て行くのである。あわれふかき風景である」と。***********************************************************************【歴史と戦争】半藤一利著、幻冬舎、2018年刊<「BOOK」データベース>より幕末・明治維新からの日本近代化の歩みは、戦争の歴史でもあった。日本民族は世界一優秀だという驕りのもと、無能・無責任なエリートが戦争につきすすみ、メディアはそれを煽り、国民は熱狂した。過ちを繰り返さないために、私たちは歴史に何を学ぶべきなのか。「コチコチの愛国者ほど国を害する者はいない」「戦争の恐ろしさの本質は、非人間的になっていることに気付かないことにある」「日本人は歴史に対する責任というものを持たない民族」-80冊以上の著作から厳選した半藤日本史のエッセンス。<読む前の大使寸評>おお 半藤日本史のエッセンスってか・・・なるほど、既刊本からの短文を集めた構成になっています。<図書館予約:(7/11予約、12/09受取)>rakuten歴史と戦争『歴史と戦争』2:西郷隆盛をどう見るか『歴史と戦争』1:昭和十五年あたり***********************************************************************<『文士の遺言』>図書館で『文士の遺言』という本を手にしたのです。ウン 歴史探偵と呼ばれた半藤さんの薀蓄が・・・ええでぇ♪【文士の遺言】半藤一利著、講談社、2017年刊<「BOOK」データベース>より「歴史探偵」が薫陶を受けた作家たちの知られざる思想、苦悩、その素顔!あの戦争・戦後とは何だったのか?知られざる作家の肉声、創作秘話が炙り出すもう一つの「昭和秘史」!!<読む前の大使寸評>ウン 歴史探偵と呼ばれた半藤さんの薀蓄が・・・ええでぇ♪rakuten文士の遺言『文士の遺言』5:阿川文学p188~191『文士の遺言』4:合理的な戦略戦術p72~74『文士の遺言』3:丸谷才一論p175~179『文士の遺言』2:満蒙関連のお話しp78~81『文士の遺言』1:司馬さんの謎p82~85***********************************************************************【昭和史をどう生きたか】半藤一利著、東京書籍、2014年刊<「BOOK」データベース>より特攻に最後まで反対した指揮官の戦後。従容として孤島に身を殉じた将官からの手紙。空襲の空に凧を揚げていた少年。「阿部定事件」で中断した国会。反安保デモの終った夜…。史上例を見ない激動の時代に生きた人間たち、そして自分自身。「半藤昭和史」の対話篇、刊行なる。【目次】ふたつの戦場ミッドウェーと満洲ー澤地久枝/指揮官たちは戦後をどう生きたかー保阪正康/なぜ日本人は山本五十六を忘れないのかー戸高一成/天皇と決断ー加藤陽子/栗林忠道と硫黄島ー梯久美子/撤退と組織ー野中郁次郎/東京の戦争ー吉村昭/戦争と艶笑の昭和史ー丸谷才一/無責任論ー野坂昭如/幕末から昭和へ熱狂の時代にー宮部みゆき/清張さんと昭和史ー佐野洋/戦後六十年が問いかけるもの(辻井喬)<読む前の大使寸評>半藤さんの対談相手の12人が、なかなかのメンバーである。かの今次大戦に対して、行け行けどんどんの人が含まれていない人選がいいではないか♪rakuten昭和史をどう生きたか昭和史をどう生きたか(その1):満州国の成立過程昭和史をどう生きたか(その2):撤退と組織***********************************************************************【そして、メディアは日本を戦争に導いた】半藤一利, 保阪正康著、東洋経済新報社、2013年刊<「BOOK」データベース>より軍部の圧力に屈したのではなく、部数拡大のため自ら戦争を煽った新聞。ひとりよがりな正義にとりつかれ、なだれをうって破局へ突き進んだ国民…。昭和の大転換期の真相を明らかにし、時代状況が驚くほど似てきた“現在”に警鐘を鳴らす。【目次】序章 いまなぜジャーナリズム論か/第1章 戦争報道と商業主義/第2章 テロと暴力賛美の歪み、その内側/第3章 国際社会との亀裂の広がり/第4章 国家の宣伝要員という役割/第5章 暴力とジャーナリズム/終章 現在への問いかけ<読む前の大使寸評>戦中派が語るジャーナリズム論だけに・・・苦渋の歴史が見えるようです。rakutenそして、メディアは日本を戦争に導いた『そして、メディアは日本を戦争に導いた』2:昭和初期の総合雑誌は啓蒙主義『そして、メディアは日本を戦争に導いた』1:半藤さんの「40年周期説」***********************************************************************【愛国者の条件】半藤一利×戸高一成著、ダイヤモンド社、2006年刊<「BOOK」データベース>より教育が変われば、国も変わる。その覚悟はできているのか。日本人よ、気分に流されるな。「国のため」より立身出世、能力主義より官僚主義、国際感覚より「栄光ある孤立」、国民との約束よりも外圧…純粋な愛国心を歪め、国家を危うくするものの正体。【目次】巻頭対談 愛国心を教えることは可能なのか/第1章 愛国を論じる前に/第2章 「美しい国」づくりに必要なこと/第3章 日本海軍の人づくりに学ぶ/第4章 国家の命運を握る先見性/第5章 国家と軍が誤る時/第6章 なぜ昭和の海軍は破綻したのか/第7章 再軍備を語る前に知っておくべきこと/第8章 日本は歴史から何を学ぶか<読む前の大使寸評>この本の副題が「昭和の失策とナショナリズムの本質を問う」となっているように・・・安倍さんの危うさを問う意味でも、時宜を得た本ではないかと思うわけです。rakuten愛国者の条件『愛国者の条件』2:海軍あって国家なし『愛国者の条件』1:硬直した思考で計画された戦艦大和
2021.01.14
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2本立て館で観た映画を集めてみました。ま~個人的な鑑賞目次みたいなものです。R20:6月~2021年1月鑑賞分を追記・男はつらいよ…2021.1.11・ブルース&ブルース、伝説に触れる…2020.12.24・我が子への大きな愛2020.8.30・ナチス、ユーモアとミステリー2020.8.04・英国社会の人生賛歌2020.7.02・アートで変革2020.6.13・力強いエスプリ2020.5.29・あなたがいない世界を2020.2.19・二人の天才2019.8.27・日本の名匠×世界の巨匠2019.7.15・は人生を変える!2019.6.18・恐るべき才能2019.5.14・すばらしきミュージカル映画2019.2.08・年末特集#3:イタリアにてH30.12.26・大女優を偲んで・・・H30.11.24・穏やかに自己貫徹H30.10.18・雨降って・・・H30.10.03・ニクソン政権×パルシネマH30.8.22・彼らをつき動かすものH30.7.21・覚悟をもった嘘!H30.6.28・時空を超えて・・・H30.5.24・今年一番の「衝撃」と「温もり」H30.4.14・静と動・・・H30.3.16・【年末】掘り出し物特集H29.12.25・家族の歴史H29.10.04・子供たちのためH29.6.29・ヨーロッパの景観H28.11.18・噂と真実・・・H28.11.7・人生いたるところに青山ありH28.9.8・暑中お見舞い2本立てH28.8.15・新春の2本立てH28.1.1・仲間と家族、大切なのは絆・・・ H27.11.24・行動すると、何かが・・・ H27.11.03・使命を背負う者は・・・H27.10.04・家族以上の絆H27.8.04・初老向け二本立て映画H27.3.28・生きた証H26.10.30・不良老年2本立てH26.09.20・文芸2本立てH26.8.14・離婚の危機を乗りこえたH26.3.09・頑張るフランス女H26.2.06・大晦日に2本立て館へH26.1.5・豪華2本立てを観たH25.9.28・屋根裏部屋のマリアたちH25.4.24・「キリマンジャロの雪」と「星の旅人たち」H24.12.20・全天候型ロボジーと自称しているのでH24.8.11・マーガレット・サッチャー鉄の女の涙H24.7.8・ゴーストライターH24.4.11・ハートロッカー2010.09.07・グラントリノ2009.08.14・ナイロビの蜂(The Constant Gardener) 2006.09.21以降、折りをみて追記予定。 この鑑賞目次をつらつらと眺めてみると・・・2018年の書き込みが突出して多いのです。なんでやろ?と思うのだが、映画の数が増えたせいでもあるだろうし、何といっても大使が暇になったせいでしょうね。
2021.01.13
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本屋の店頭で『文芸春秋(2020年8月号)』を、手にしたのです。ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、嫌韓記事も充実しているので、手元不如意の太子も・・・久々に買い求めたのです。いい記事を見つけたので、久しぶりに再読したのです。【文芸春秋(2020年8月号)】雑誌、文芸春秋、2020年刊<商品の説明>より◆経済再生大臣に迫る 国と自治体の役割の違いとはコロナ第一波の総点検総力あげて第二波に備えよ▼西村康稔×聞き手:田原総一朗◆出でよ「乱暴」なリスクテイカー▼冨山和彦【コロナに想う】●全国の〝昭和酒場〟へ応援に行きたい▼吉田 類●再び上演する喜び そして師・蜷川幸雄の言葉▼藤田俊太郎●この時代に狩猟採集生活が持つ意味とは▼千松信也<読む前の大使寸評>ウーム 今月号は読みどころがたくさん載っていて、嫌韓記事も充実しているので、手元不如意の太子も・・・久々に買い求めたのです。amazon(2020年8月号)新型コロナの第三波のピークにさしかかっているが・・・磯田道史さんの連載「感染症の日本史4」の続きを見てみましょう。p142~143 <1820年のパンデミック>■営業自粛 今回の新型コロナで一番困っているのは、観光業や飲食業ですが、似たような現象は当時もありました。 麻疹の大流行で「街道沿いの茶屋や旅籠屋は、大方店を閉めて休業した。それゆえ甚だ寂しい様子だ」と「至享文記」にあります。今とまったく同じ光景が二百年前にも見られたのです。馬琴もこう記しています。 「初冬1ヵ月は、江戸中の湯屋も浴るもの多からざりしかば、風邪流行に付、夕七時早仕舞といふ札を出し置きたり」(「兎園小説余禄」) 「七時」は、午後4時。そんな早く湯屋(銭湯)が閉まる現象が起きました。感染症による「時短営業」も既にあったのです。客は湯あがりに夜風に吹かれて体を冷やし風邪にかかりたくない。感染対策もあって人々が気温が高い昼間に少ししか銭湯に行かなくなり、「時短営業」になっていたのでしょう。■すでにあった給付金 さらに馬琴は、「この折窮民御救ひの御沙汰ありて」と、当時すでに“定額給付金”があったことまで記録しています。 「麹蔵町会所へ、裏借家(裏長屋)の町人を召し呼ばれ、一人につき御米五升、女は四升、三歳以上の童には三升ずつ、下されるとの聞こえがあった。文化のたんぼう風の折には、銭で一人につき二百五十文ずつ下されたそうだが、この度は米で下される。借家であっても、表店で渡世している者や召使いは男女ともに(給付対象から)除かれるという」 「文化のたんぼう風」のときは金銭の給付だったが、今回は、米の現物支給で、男は五升、女は四升、三歳以上の子供は三升の給付米を配った。裏長屋の江戸っ子に、金銭で給付すると、すぐに酒にして飲んでしまうかもしれません。米で支給するようになっています。 また一種の“所得制限”もありました。「借家でも表店」は、その日暮らしの裏長屋の庶民とは違う、と考えられ、給付されませんでした。 ちなみに「二百五十文」は、「1万2500円」くらいで、少ない気もしますが、行商や露店などで暮らしていた江戸庶民を救済するのが目的でしたから、この金額なのでしょう。麻疹の罹患期間を考えて、米五升など、半月たらずの当座の生活費用を渡しているように思います。 いずれにしても、今日、「給付は必要か否か」という議論がなされていること自体、江戸時代よりも遅れているわけです。 歴史学者としての反省でもありますが、医学史は「患者史」にならず、ともすれば「医者史」、さもなくば単なる「病気史」になりがちです。とくに感染症については患者中心の総合的な「医療生活史」の視点が重要です。 パンデミックの影響は、今も昔も、暮らしのあらゆる面に及び似た現象が繰り返されるからです。 感染症の大流行は、経済活動にどんな影響を与え、時の政権はどんな対策をしたか。差別は起きたか。そういった点の歴史研究が、いまこそ必要と痛感しています。ウーム 江戸時代の窮民対策が今より進んでいた面もあったようですね。菅さんと都知事の窮民対策キャッチボールを見るにつけ、「サッパリでんがな」の思いがするのです。『文芸春秋(2020年8月号)』4:1820年のパンデミックp136~139『文芸春秋(2020年8月号)』3:日本よ、「鎖国」するなp128~131『文芸春秋(2020年8月号)』2:習近平の「台湾併合」極秘シナリオp184~186『文芸春秋(2020年8月号)』1:柳錫さんの韓国レポートp168~169()
2021.01.13
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図書館で『BOOK MARK』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくると、なんか見覚えのある本だが、ま いいかと借りたのです。なお、帰って調べたらこの本を借りるのは二度目と判明したのです。で、この記事は(その4)としています。【BOOK MARK】金原瑞人×三辺律子編 、CCCメディアハウス、2019年刊<商品の説明>より「もっと海外文学を!」「翻訳物っておもしろい!」読めば一生忘れられない。心にぐっとくる204冊。1.これがお勧め、いま最強の十七冊2.本に感動、映画に感激3.まだファンタジー?ううん、もっとファンタジー!4.えっ、英語圏の本が一冊もない!?5.過去の物語が未来を語る6.明日が語る今日の世界7.眠れない夜へ、ようこそ8.やっぱり新訳!9.顔が好き10.わたしはわたし、ぼくはぼく11.Listen to Books!12.これ、忘れてない?<読む前の大使寸評>表紙のコピーにも「翻訳者による海外文学ブックガイド」とあり、つい借りたのでおます。rakutenBOOK MARKp31<2章 本に感動、映画に感激:三辺律子> 原作本と映画。当然、相性がよさそうに見えるけれど、これがなかなか一筋縄ではいかない関係です。「想像の世界を映像で見られる!」 「キャラクターのイメージが違う」というような喜びや不満から、「原作と映画とどっちを先に読む/観る?」といった永遠の課題まで。 今回は、本も映画もとびきりおもしろいものを選びました。読みたいもの、観たいものを探すのはもちろん、ああでもないこうでもないと本や映画のことを話すきっかけにしてもらえたら、嬉しいです。 海外小説を紹介したい! とちょっとむこうみずに始めた「BOOK MARK」も、無事二号を発刊することができました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。翻訳した岸本佐知子さんが『ロスト・シング』の原作本を語っています。p42<09 『ロスト・シング』:ショーン・タン著> 少年が海辺で出会った「迷子」を家に連れて帰る。ところが両親に「捨ててこい」と言われ、困った彼は「迷子」が幸せに生きられる場所を探して街じゅうを歩きまわり、ついに・・・。というあらすじだけだと犬か猫みたいだが、この「迷子」、巨大な赤いダルマストーブとヤドカリを合体させたような、何とも奇天烈で、ほかのどんな生き物とも似ていない、でも妙にかわいい奴だ。 映画版『ロスト・シング』は、超凝り性の原作者が自分で監督を務め、10年もかけて作りあげただけあって、おそるべき完成度の高さで、その年のアカデミー賞短編アニメーション部門まで獲ってしまった。 絵本は端っこでこっそりやっている遊びが楽しめて素晴らしいが、映画は映画で、動き、色、音、すべてがまさに動く絵本ともいうべき再現度の高さに感動する。 特に「迷子」が最後にたどり着くユートピアのシーン、原作では見開き一つだが、映画は数分にわたってみっちり描かれていて圧巻だ。 あと、「迷子」がハサミの先に付けている鈴のチリンチリンという音が、無性にかわいい。マルチタレントのショーン・タンは元々、絵本作家であり・・・大使はそのイラストが大好きでおます♪『BOOK MARK』3:『ブラッカムの爆撃機』p100『BOOK MARK』2:BOOK MARKの成り立ち p1~3『BOOK MARK』1:『宇治拾遺物語』p152~153、『星の王子さま』p154
2021.01.12
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今回借りた3冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「翻訳」でしょうか♪<市立図書館>・村上春樹と私・本の森 翻訳の泉・BOOK MARK<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)ところで、帰って調べたところ今回借りた三冊とも、以前借りたことのある本でした(汗)************************************************************【村上春樹と私】ジェイ・ルービン著、東洋経済新報社、2016年刊<商品の説明>より『1Q84』『ノルウェイの森』をはじめ、夏目漱石『三四郎』や芥川龍之介『羅生門』など数多くの日本文学を翻訳し、その魅力を紹介した世界的翻訳家が綴る、春樹さんのこと、愛する日本のこと。<読む前の大使寸評>著者のジェイ・ルービンは『1Q84』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』などを翻訳していて、世界的に知られているそうです。rakuten村上春樹と私『村上春樹と私』7:英語圏における翻訳『村上春樹と私』6:文学鑑賞と年齢の関係『村上春樹と私』5:世界中の翻訳仲間『村上春樹と私』4:アメリカでの村上講演会『村上春樹と私』3:村上作品の英訳『村上春樹と私』2:翻訳者の仕事『村上春樹と私』1:翻訳の苦労************************************************************【本の森 翻訳の泉】鴻巣友季子著、作品社、2013年刊<「BOOK」データベース>より角田光代、江國香織、多和田葉子、村上春樹、朝吹真理子ー錯綜たる日本文学の森に分け入り、ブロンテ、デュ・モーリア、ポー、ウルフー翻訳という豊潤な泉から言葉を汲み出し、日本語の変容、文学の可能性へと鋭く迫る、最新評論集!<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると、取り上げている作家が多和田葉子、村上春樹、水村美苗、池澤夏樹と好きな作家が多いのが借りる決め手となりました。rakuten本の森 翻訳の泉『本の森 翻訳の泉』5:『エクソフォニー』で読む『文字移植』(続き)p32~35『本の森 翻訳の泉』4:阿部和重との対談p271~275『本の森 翻訳の泉』3:読書つれづれ日記2006~2007 :p71~74、p86~87『本の森 翻訳の泉』2:『エクソフォニー』で読む『文字移植』p29~32『本の森 翻訳の泉』1:対談 日本語は滅びるのか p295~298************************************************************【BOOK MARK】金原瑞人×三辺律子編 、CCCメディアハウス、2019年刊<商品の説明>より「もっと海外文学を!」「翻訳物っておもしろい!」読めば一生忘れられない。心にぐっとくる204冊。・これがお勧め、いま最強の十七冊・本に感動、映画に感激・まだファンタジー?ううん、もっとファンタジー!・えっ、英語圏の本が一冊もない!?・過去の物語が未来を語る・明日が語る今日の世界・眠れない夜へ、ようこそ・やっぱり新訳!・顔が好き・わたしはわたし、ぼくはぼく・Listen to Books!・これ、忘れてない?<読む前の大使寸評>表紙のコピーにも「翻訳者による海外文学ブックガイド」とあり、つい借りたのでおます。rakutenBOOK MARK『BOOK MARK』3:『ブラッカムの爆撃機』p100『BOOK MARK』2:BOOK MARKの成り立ち p1~3『BOOK MARK』1:『宇治拾遺物語』p152~153、『星の王子さま』p154************************************************************図書館大好き461
2021.01.12
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