July 18, 2010
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こんにちは、當間です。

子どもたちの夏休み到来を祝うかのように梅雨明け、
まぶしく強烈な陽射しが戻ってきました。

歳とともに夏が苦手になっている私は、
1週間前に夏風邪で寝込み、
一足早い夏休みのような時間を過ごしました。
体調が悪くならないと休めないというのは、よくないよね。
反省……。

体調を崩して寝込んだ週末を挟んで、ある方を
大田区内の子育て支援施設にご案内する機会がありました。

テーマはユニバーサルデザインのまちづくり。

はじめてユニバーサルデザインという言葉を耳にしたとき、
デザイン専門誌の編集長から美大の教授に転身した友人に、
具体的にはどんなこと?と訊ねたことがあります。

彼女が具体例として挙げてくれたのが「ウォシュレット」。

誰もが気持ちよく使えて、
しかも使用に当たっては、
誰も恥ずかしい思いをすることがない。
この「誰もが」というところが
ユニバーサルデザインの大切なポイント。

あらゆる人が使用することを想定した駅や空港なんて、
絶対にユニバーサルデザインの視点で設計すべきですよね。
でも、案外バリアフルで困っちゃうというのが日本の現実。

車椅子生活の父を連れてハワイに出かけたら
あちらは設備も人の対応も非常に快適で、
嫌な思いをすることなく過ごせた。
で、帰国後に、
夫が出かけるたびに設備の劣悪さに激怒する
という余計なオマケまでついてきてしまって
思わず苦笑という過去を持つ我が家です。

地下鉄の駅に何故エレベーターがつけられないのか?
構造的に無理だというのはおおよそ理解できるけれど、
だったら、道路拡張計画で立ち退きを要求するのと同様、
エレベーターの地上階部分の土地を買収すればいいじゃん。

それをやろうとしないのは何故?>東京都。
(恐らく、そんな風に考えたこともないのだろうな)

地元の福祉関係の会議でも、
高齢者、しょうがい者、子どもと分野別に討議され、
「誰もが」という視点で全面的に討議ということにはならない。

元々それぞれ専用施設に“隔離”されて過ごしていたりするので、
お互いを知り合う機会そのものがありません。

今回は 「子ども交流センター」 「こあら村」 を訪ねました。

「子ども交流センター」が出来るとき、
同じ建物の下の階には区民活動支援施設「こらぼ大森」があり、
そこに入居予定の高齢者関連団体から、
「学童さんたちとは出入り口を別にしてもらいたい」
との要求があったと聞いています。 

地元町会役員によって構成される団体が運営することとなり、
施設を利用するのは地元の子どもたちや高齢者はもとより、
同じ区民なんだからということで、
玄関も階段もエレベーターも共有になりました。

で、今ではどうなっているかと言えば、
赤ちゃんからお年寄りまでが自由に行き交い、
夕方には、音楽スタジオ利用のために
ギターを担いだ10代の若者も訪れる、
「誰もが」楽しめる施設になっています。

場を支える人々にお話を伺うと、
ここに至るまでにどれほどの努力が
積み重ねられたかを実感します。

「ここで活動する子どもや若者には、
 まず周囲への理解を得られるように、
 チラシを持って挨拶に行ったり、
 イベントにお誘いするようにと声をかけています」

まずはご挨拶から始めるのかあ。

そう言えば、親よりもご近所に顔なじみが多いうちの娘は、
「ご挨拶作戦で知り合いを増やした」と言っていました。
保育園の行き帰りに親子でご挨拶して
地域にその存在を認知していただくようにしていると
話してくれた若い友人もいたなあ。

その存在を認知してもらえると、
やがて仲間として受け入れてもらえる。

これは「子ども交流センター」そのものが
普段から心がけていることですが、
「地域には、さまざまな生活時間帯で暮らす方がいらして、
 完璧に受け入れていただくことは難しいです」。

以前 ここ でも書いた公園と煩音の話に通じるところがあるかも。

とまあ、「誰もが」受け入れてくれる施設を目指すのは
なかなか難しいようですが、
「誰もが」受け入れられる施設というのは実現できた。

設備がバリアフリーでなくちゃダメということでもないみたい。
段差がバリアと感じられるなら、人手で解決
という方法もとれますからね。
「0歳から100歳までが対象です」と謳っている
「こあら村」には手すりつきの階段がありますが、
階段がバリアになって苦情が来たという話は出ていません。

利用者が過ごしやすいようにと
アレルギーフリーな空間を目指す等、
場づくりの工夫や努力は続けています。

「運営している人自身がユニバーサルデザインな考え方だった」

もともと地域に開かれた場所をつくろうとした
「子ども交流センター」。
スタートしたときから全ての人を対象に考え、
誰もが心地よく過ごせる場づくりを目指した「こあら村」。

共に地域に受け入れられ、
多くの人に支えられながら続いている。

むしろこちらのほうにヒントがあるんじゃないかなあ。
(社会保障費の分捕り合戦やってる場合じゃないよ)





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Last updated  July 19, 2010 12:52:54 AM
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