全11件 (11件中 1-11件目)
1
これぞロックなプロトタイプ(その1) 先日取り上げたザ・フーのデビュー盤から2曲、さらに映像で取り上げてみたいと思います。 同盤のリリースが1965年なわけですから、ロック史上、2010年代の今から見れば半世紀も前の“大昔”ということになりますが、これぞプロトタイプ(原型)といった演奏をお聴きください。 まずは、初期の代表曲「マイ・ジェネレーション」ですが、暴力的と思われる部分も含め、ロックの体現する激しさがよく出た曲です。先の記事にも書きましたが、“ロックとは何か”と訊かれたら、百聞は一見にしかずということで“こういうものですよ”と見せたくなります。 とはいっても、当時のザ・フーの本領はこの「マイ・ジェネレーション」だけでは不十分かもしれません。キース・ムーンの激しいドラミングをはじめ、彼らの演奏の凄さは、次の「オックス(The Ox)」の演奏に一層如実に表れています。 もちろん、彼らの演奏はずっとこのままだったのではなく、進化していきます。ちなみに、私自身は『トミー』や『フーズ・ネクスト』辺りの彼らのサウンドの方が好みです。とはいえ、上記2曲にはロックの原型がぎっしり詰まっているという点で実に魅力的だし、進化した(し過ぎた?)後のロックしか頭の中のイメージが浮かばないという人にも、一度立ち止まって見ていただきたいものです。[収録アルバム]The Who / My Generation (The Who Sings My Generation)(1965年) 【楽天ブックスならいつでも送料無料】マイ・ジェネレイション +12 [ ザ・フー ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2014年09月29日
コメント(0)
デビュー作からの名ナンバー2曲 音楽好きならよくある話。突然“あの曲が聴きたい”と思い立つと、いてもたってもいられない。頭の中では記憶の中にあるその曲が巡りはじめ、たまたまその音源がすぐに見当たらなかったりした日には、妙なフラストレーションを抱え込んでしまったりするわけです。 今朝、何の前触れもなく急に聴きたくなったのが、イーグルスのファースト作(参考過去記事)。お目当ては、有名ヒット曲の「テイク・イット・イージー」や「魔女のささやき」ではなく、少々マイナーな「哀しみの我等(Most Of Us Are Sad)」というナンバー。“私たちの大半は悲しいのだけれど、前向きに行くしかない”といったシンプルな歌詞を、シンプルで美しいメロディにのせたといった感じのナンバーです。 CDを探し出してきて上記の曲を聴いていたら、今度はもう一つ別の曲が聴きたくなってしまいました。同盤の“隠れ名曲”あるいは“裏名曲”とも言えそうな「ピースフル・イージー・フィーリング(Peaceful Easy Feeling)」です。オリジナルの演奏と、何十年も経ったあと(2018年のライヴ)の演奏をあわせてお聴きください。 [収録アルバム]Eagles / Eagles(イーグルス・ファースト)(1972年) 【楽天ブックスならいつでも送料無料】イーグルス・ファースト [ イーグルス ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2014年09月26日
コメント(0)
80年代、甘いフェイスの若者による好印象盤 コリー・ハート(Corey Hart)は、1962年カナダはケベック州出身の歌手、シンガーソングライター。1980年代にシーンに登場し、当時、カナダ出身の男性シンガーとしては、その甘いマスクで、ブライアン・アダムスとともに全米やその他世界各地で人気を博した。 現在もライターとして曲を様々なアーティストに提供しているということだが、80年代の甘いルックスと適度にロックしているヴォーカルは、若い女性の人気の的だった。そんな時期の彼の代表作の一つが1986年にリリースされた本作『フィールズ・オブ・ファイア(Fields of Fire)』ということになる。 本作からのいちばんのヒット曲は、6.「好きにならずにいられない(Can’t Help Fallin' In Love)」で、カナダで1位、全米で23位を記録した。もちろんこの曲は、60年代初頭にエルヴィス・プレスリーがヒットさせたナンバーのカバーで、コリー・ハートの代表曲でもある。 他には1.「アイ・アム・バイ・ユア・サイド」もヒット(カナダ6位、全米18位)したが、個人的な好みでは、シングル・カットされながらもさほどヒットしなかった3.「テイク・マイ・ハート」が結構いい。べったりしたバラードでもなく、そうはいいながらも聴き手に語り掛けるようななかなかの好曲。この手の聴き手へ語りかける感じの歌い方は、最近の音楽では何だか失われつつある(言い換えれば、時代遅れ?)という気がするのだけれど、ぜひ聴き継がれ、受け継がれて欲しいと個人的には感じる。もう一つ特にいいと思うのは、甘めのスロウ曲の10.「ジミー・レイ」。こういう曲ばかりが続くと退屈しそうだが、アルバムの流れの中ではちゃんと緩急がついている。 上記6.以外は全曲自作。アルバムを通して聴くと、少々マンネリな部分がなくはないかもしれないけれど、全体としては、(本人的にはまだまだ発展途上にある時期だったのかもしれないにせよ)、曲よしヴォーカルよしで、よくできたアルバムだと思う。[収録曲]1. I Am By Your Side2. Dancin' With My Mirror3. Take My Heart4. Angry Young Man5. Goin' Home6. Can't Help Falling in Love7. Broken Arrow8. Political Cry9. Is It Too Late?10. Jimmy Rae11. Blind Faith1986年リリース。↓プレミア付きLPですが、元のジャケット・イメージはこんな感じ。↓ 【送料無料】火のアメリカレコードポップロックハートフィールド密閉されたCorey Hart Fields of Fire 1986 EMI America Records PW17217 POP ROCK Sealed LP↓CDの中古だと、安価でいっぱい出回っています。↓ 【中古】 フィールズ・オブ・ファイア /コリー・ハート 【中古】afb下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2014年09月24日
コメント(2)
自作ナンバーで聴かせる第三作 ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)は、1979年生まれで、2002年にブルーノートから『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』(邦題は『ノラ・ジョーンズ』)でデビューした女性ジャズ・ヴォーカリスト、ピアニスト。ジャズ・ヴォーカルと言っても、ジャズべったりではなく、ポピュラー・ミュージック的要素を多分に取り入れたシンガーといった方がしっくりくる。同デビュー盤は予想を超えた大ヒットとなり、2004年にリリースされた第2作『フィールズ・ライク・ホーム』も発売5日後に100万枚(ミリオン・セラー)という売り上げを記録した。これに伴い多忙なツアーが続いた。 その後、ようやく休養期間を得たノラ・ジョーンズは、前作から3年の間隔をあけて第三作を出すことになる。それが本盤『ノット・トゥ・レイト(Not Too Late)』で、2007年初頭にリリースされた。この間、よくあるパターンとしては、多忙な日々の後の休息をとりそうなものだけれど、彼女の場合は、レコード会社も関知しないところで、自作の準備をしていたとのこと。前作までは自作でない曲が結構多かったのだが、本作では共作を含めればすべて自作曲になっている。しかもそれらの中には既に前作のツアー時に書き溜めていたものも含まれていたという。本人としては休息以上に、それほどにまで意欲いっぱいの気持ちが持続していたということなのだろう。 結果、出来上がった作品は、以前よりも曲の作者としての本人の役割が大きい。にもかかわらず、同時に、第1作、第2作の延長線にやはり位置しているようにも思う。その最大の理由は、やはり“この声の人”という点である。ソングライティングの占める比率が高くなり(その分、トム・ウェイツの影響を受けたと本人が語る“ストーリーテラー”的な部分も顔を見せている)、当初のイメージよりも“ジャズっぽさ”が一層少なくなったものの、最後は“この声の人”、つまりは、ヴォーカルが最大の魅力として継続している、というのが率直な感想だったりする。 好曲多きアルバムだけれども、いくつか曲をピックアップしてみると、1.「あなたにいてほしい(Wish I Could)」や表題曲の13.「ノット・トゥ・レイト(Not Too Late)」は、期待通りのヴォーカルの聴かせどころ。その一方、2.「シンキン・スーン」や3.「ザ・サン・ダズント・ライク・ユー」のように少し雰囲気を変えてみたり、8.「マイ・ディア・カントリー」のようにピアノ中心にシンプルに歌うものもあったり(といってもこの歌詞の内容は刺激的だけれど)と、ヴァラエティにも飛んでいるように思う。 その後の作品(2009年の『ザ・フォール』、2012年の『リトル・ブロークン・ハーツ』)を聴いてもそうだけれど、この人はまだまだ聴き続けられる作品を後世に残してくれそうな気がする。[収録曲]1. Wish I Could2. Sinkin' Soon3. The Sun Doesn't Like You4. Until the End5. Not My Friend6. Thinking About You7. Broken8. My Dear Country9. Wake Me Up10. Be My Somebody11. Little Room12. Rosie's Lullaby13. Not Too Late14. 2 Men ←日本盤ボーナストラック2007年リリース。 送料無料!!【CD】ノット・トゥ・レイト/ノラ・ジョーンズ [TOCP-70170] ノラ・ジヨーンズ 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2014年09月21日
コメント(0)
いつの間にやら、アクセス数が520000を超えていました。タイムリーに更新できずすみません。 この場をお借りして、ご覧いただいている皆さんに改めて感謝申し上げます。今後とも引き続きご愛顧ください。下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2014年09月16日
コメント(0)
“これぞロック”な原点的名盤 “ロック”というものを聴いたことがない、知らない、という人がもし自分の目の前いるとすれば、どう説明すべきだろうか。“百聞は一見にしかず”ということで、実例を聴かせるのが手っ取り早い方法の一つだろう。では、どのアルバムやどの曲を最初に聴かせればいいか。そんなことを考えると、最初に聴かせるアルバム候補の上位に確実に食い込みそうなのが、このザ・フー(The Who)のファースト作、『マイ・ジェネレーション(米:The Who Sings My Generation/英:My Generation)』だと思う。 ザ・フーは1960年代半ばに登場した英国のバンド。ビートルズやストーンズと並べて“英国3大ロックバンド”とか、キンクスを加えて“4大バンド”などと数えられたりする。日本ではなぜかぱっとしない人気だが、英米では絶対的な評価を得ている。彼らのデビューには多少ややこしいきさつがあったものの、1965年初頭にシングル「アイ・キャント・エクスプレイン」、同年11月にシングル「マイ・ジェネレーション」をリリースし、後者が大ヒット。同年末に出された最初のアルバムがこの『マイ・ジェネレーション』だった。 全体を見ると、当時のデビュー盤にしてはオリジナル曲が多く(2.、8.がジェイムス・ブラウンのR&Bな影響が見えてそれはそれで面白い)、自信のほどが窺える。音の面では冒頭の1.「アウト・イン・ザ・ストリート」からファズの聴いた勢いのあるサウンドで、なるほど後々のパンクの芽生えはここにあると言うのも一理ある。内容面でも表題曲の6.にあるように、“オレの世代(マイ・ジェネレーション)”をテーマにし、自分たちは“老いる前に死ねたら本望”、年より世代は“お前らみんな消えちまいなよ”という挑発的な態度も衝撃的。 さて、冒頭の話に戻って、それじゃあ曲単位でどれを聴かせるかというと、やっぱりいちばんは表題曲の6.「マイ・ジェネレーション」、次いで7.「キッズ・アー・オールライト」となってしまうだろうか。とはいえ、これら以外では、10.「オックス」(英盤では12.)が絶対に聴き逃せない。インスト曲だが、このドラム、このギター、要はこの演奏全部こそがロックなのだ、とロックを知らない人がいるならぜひとも聴かせたい。ちなみに、英盤タイトルはそのまんま『My Generation』で、収録曲もほんの少し異なる(下の曲目は米盤に基づいたもので、英盤は12.が別の曲になって収録順が違っている)。同じく英盤と米盤の大きな違いはジャケットで、前者はメンバー4人が立った姿を上から移したジャケ写、後者はビッグベンがバックの冴えない写真(笑)。ジャケット・デザインとしては、明らかに前者に軍配が上がる。[収録曲]1. Out in the Street2. I Don't Mind 3. The Good's Gone4. La-La-La Lies5. Much Too Much6. My Generation7. The Kids are Alright8. Please, Please, Please9. It's Not True10. The Ox 11. A Legal Matter12. Instant Party (Circles)1965年リリース。↓“+12”のデラックス盤↓ 【楽天ブックスならいつでも送料無料】マイ・ジェネレイション +12 [ ザ・フー ]↓“冴えない方”(笑)のジャケット↓ The Who フー / Sings My Generation 輸入盤 【CD】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2014年09月16日
コメント(0)
INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-L)・つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-E)へ → つづき(F-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2014年09月14日
コメント(0)
ホワイト・ブルース/ブルース・ロックを代表する超名盤 ポール・バターフィールド(Paul Butterfield)は、シカゴ生まれのブルース・ロック/ホワイト・ブルースの雄(1987年に44歳で没)。1965年のデビュー作『ザ・ポール・バターフィールド・ブルース・バンド』の後、翌1966年に発表されたのがこのセカンド作にして代表作とされる『イースト・ウェスト(East-West)』である(なお、このリリースの前月には彼らの演奏を含む前年の録音盤『ホワッツ・シェイキン』もリリースされている)。 特筆すべきは、リーダーのP・バターフィールドに加え、ギタリストのマイク(マイケル)・ブルームフィールドが引き続き参加している点で、ブルームフィールドは本盤の後、ジ・エレクトリック・フラッグの結成、さらにはアル・クーパーの誘いで『スーパー・セッション』に参加と、バンドからは脱退し、独立して活動するようになる。他方、前作のシカゴ・ブルースっぽさを引っ張っていた黒人系ドラマー、サム・レイは、ビリー・デイヴンポート(この人もまたウィリー・ディクスン、マディ・ウォーターズなどブルースに関わるドラマー)に交代している。全体として、初作よりも“ブルース”から一層“ブルース・ロック”になっているという漠然とした印象があるのだけれど、このドラマー交代によるのか、はたまたM・ブルームフィールドの陰でいい味を出しているエルヴィン・ビショップの影響なのだろうか。 個人的趣味で聴きどころを挙げるならば、まずは、1.「ウォーキン・ブルース」。後に『ポール・バターフィールズ・ベター・デイズ』(1973年)に再録されているが、こちらが彼らの演奏としては元祖。元々はロバート・ジョンソンの曲だが、彼らが演ると不思議なほどカッコいい。アルバムの山場としては、LP時代のA面、B面のそれぞれを締めくくる長尺曲が聴き逃せない。前半締めくくりの5.「ワーク・ソング」は、キャノンボール・アダレイ(『ゼム・ダーティ・ブルース』に収録、参考過去記事(1) ・(2) 、その他の過去記事はINDEXからどうぞ)で知られるナンバーで、作曲は弟のナット・アダレイ。バターフィールド・バンドでのこの8分ほどの演奏では、M・ブルームフィールドとE・ビショップのギターの掛け合いが大きな聴きどころとなっている。 もう一つの長尺曲は13分越えの大作である表題曲の9.「イースト・ウェスト」。本盤のハイライトにして、クリーム(エリック・クラプトン他)やオールマン・ブラザーズ(デュアン・オールマン在籍期)など優れたジャムと並ぶ名品と言っていいように思う。最初にエルビン・ビショップのギター・ソロから始まり、続いて、ポール・バターフィールドがハーモニカを聴かせ、その後にマイク・ブルームフィールドの圧巻のギター・ソロ(このソロの出だしがまた絶妙にカッコいい)。そして終盤のギター共演がまた盛り上がる。途中、バターフィールドのハーモニカといい、ブルームフィールドのシタール風ギター・プレイといい、どこかしらオリエンタルな風情があるので、“イースト・ウェスト”というタイトルなのだろうか…。それはともかくとして、とにかく熱くて濃密な名セッションで、ブルース・ロックが好きならこれを聴かずに墓場には行けない、といいたくなるほどの大名演だと思う。[収録曲]1. Walkin' Blues2. Get Out of My Life Woman3. I Got A Mind to Give Up Living4. All These Blues5. Work Song6. Mary, Mary7. Two Trains Running8. Never Say No9. East-West1965年リリース。 EAST WEST[輸入盤]/BUTTERFIELD BLUES BAND[CD]【返品種別A】↓こちらは本盤を含む初期5枚組廉価セット↓ 【楽天ブックスならいつでも送料無料】【輸入盤】 PAUL BUTTERFIELD / ORIGINAL ALBUM SERIES (5CD) [ ポール・バターフィールド ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2014年09月12日
コメント(2)
70年代から80年代へ、過渡期の好盤 グリン(Grin)というバンドでの活動後、ニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)はソロ活動を始め、ローリング・ストーンズのギタリスト候補に挙げられるなど、ロック・ギタリストとしての存在感を確立していった(やがて80年代にはB・スプリングスティーンのE・ストリート・バンドに加入)。そんなニルスの作風は80年代にはよりポップな方向へと変わっていくが、その契機となったと言えそうなのが1979年の本作『ニルス(Nils)』とういアルバムである。 70年代を通して続けてきたロック少年そのまんまの部分と、ポップさや情緒性といった、ある種の“工夫”の部分がうまく同居している。プロデューサーにボブ・エズリン(アリス・クーパー、KISSなどを手掛けたほか、ルー・リードの『ベルリン』もプロデュースしていた)が入ったことによる変化なのかもしれない。全編を通じて好曲揃い(共作でルー・リードの名前が目立つ)だけれども、敢えていくつか挙げるとすれば、次のような曲がお勧めと言えるように思う。 まずは1.「ノー・マーシー」は、ライヴやベスト盤等でも後々常連になったナンバー。この曲と5.「スティール・アウェイ」がロック・ナンバーとしては頭一つ出ている。その一方で、本盤を聴く機会があるならば、絶対に聴き逃せないのは次の2曲。3.「バルチモア」は、ランディ・ニューマンの1977年作のカバーだが、情緒感あふれるニルスの演奏は必聴。さらに、4.「シャイン・サイレントリー」は、後々のライヴでも定番となった曲で、柔らかい“バイオリン奏法”(ヴォリューム・コントロールでアタック音を消しながらクレッシェンドする奏法)が特徴的なナンバー。この4曲以外の収録曲も全体的に強弱がついていてアルバムを通して楽しめる。 余談ながら、このアルバムにはずいぶんと思い入れがある。かつて日本国内でCD発売されたチャンスを逃し、長らくLPレコードしかなかった盤の一つだった。今年、ニルスの絶版になっていた作品群が紙ジャケCD化されてようやく手に入れた。紙ジャケ仕様のおかげで、カンフー着(?)を着たニルスがギターに跳び蹴りしているという中袋(今時の感性ではあり得ないどころか、初めてLPで見た時も「…!?、何だこりゃ?」という感じだった)まで再現されていて、なかなか笑える(大笑)。アルバムの表ジャケもいまいちな本人の上半身の写真だけれど、見かけによらず中身は好盤なので、気が向いた方はぜひお試しいただきたい。[収録曲]1. No Mercy2. I'll Cry Tomorrow3. Baltimore4. Shine Silently5. Steal Away6. Kool Skool7. A Fool Like Me8. I Found Her9. You're So Easy1979年リリース。 【送料無料】【SHM-CD】ニルス・ロフグレン/ニルス(紙ジャケット仕様) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2014年09月07日
コメント(0)
移ろいゆく80年代後半LRB、意外に好盤 1970年代半ばに当時のオーストラリア発のバンドとしては例外的に米国進出を果たし、世界的な成功を収めたリトル・リバー・バンド(Little River Band, 頭文字を略してLRBと呼ばれることもある、参考過去記事)。しかし、1980年代初頭になると“バンドの声”であったオリジナル・メンバーのグレン・シャロックが脱退し、既にオーストラリアの有名歌手であったジョン・ファーナムをヴォーカルに迎えるも、86年にはファーナムが脱退してしまう。こうして、このバンドはオーストラリア国内ですら大きくヒットしない低迷期を経験した。 そんな中、上述のグレン・シャロック(ヴォーカル)、さらには、同じく一時脱退していたデレク・ペリッシ(ドラム)が復帰し、レコード会社を替えてMCAから1988年に発売された『モンスーン(Monsoon)』でバンドはちょっとした復活を果たす。米国ではチャートアクションなしだったものの、豪国内で久々にベスト10に入るヒット(アルバムは9位、シングルカットの3.「ラヴ・イズ・ア・ブリッジ」は全豪6位)となった。 1970年代後半全盛期のオリジナルメンバーのうち、グレアム・ゴーブル(この時点までずっと在籍していた)に加えて、グレン・シャロックとデレク・ペリッシが戻ったことで、かつてのLRBサウンドらしさが一気に戻ってきた作品になったと思う(なお、後々このバンドを存続させていくことになるウェイン・ネルソンもこの時点で在籍中)。もちろん、時代に沿って洗練された部分というのもあるのだけれど、基本は曲とハーモニーで勝負する楽曲が並び、そこにロック調も取り込んだ作品が混じるといった感じと言えそう。 個人的趣向で特におすすめ曲を挙げてみたい。1.「イッツ・コールド・アウト・トゥナイト」や5.「フェイス・イン・ザ・クラウド」(この曲は先に『ノー・レインズ』に収録されていて、筆者はそっちの方がさらに好みだけれど)は、リズムよし、かつメロディよしの筆頭。スロー~ミディアム系のナンバーとしては、LRBの隠れ名曲とも言える3.「ラヴ・イズ・ア・ブリッジ」、さらに本盤収録中ではこれと並ぶ好曲の9.「ソウル・サーチング」が聴き逃せない。 ちなみに邦盤(かつてよくあったCDとカセットのみ追加曲というパターン)には、1978年の大ヒット曲「追憶の甘い日々(Reminiscing)」のライヴ・ヴァージョンが収録されている。これはこの年のブリスベン万博でのライヴ演奏で、これがなかなかいい。LRBが好きな向きは必聴といいたくなるほどよくできたテイクで、個人的には強く推したい。[収録曲]1. It's Cold Out Tonight2. Parallel Lines3. Love is a Bridge 4. Rhythm King5. Face in the Crowd6. Cruel Madness7. Inside Story8. Son of a Famous Man9. Soul Searching10. Great Unknown11. Shadow in the Rain12. Reminiscing(追憶の甘い日々) *日本盤ボーナストラック1988年リリース。↓レア盤になってしまっているのか…?(と思いきや、状態を問わなければアマゾンで数百円で買えるみたいですね。)↓ 【中古】モンスーン/リトル・リバー・バンドCDアルバム/洋楽下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2014年09月04日
コメント(0)
一風変わった代表盤 アメリカ西海岸を拠点とし、“70年代の最も完成された作詞家”と呼ばれたシンガーソングライターのジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)。先に紹介した『ザ・プリテンダー』と並ぶ彼の代表作と言えるのが、1977年リリースのこの『孤独なランナー(Running on Empty)』である。 何でも、1976年の『ザ・プリテンダー』の発表後、そのツアーを収めた2枚組ライヴ盤が企画されていたのだという。しかし、このライヴ・アルバムは実現されなかった。それが形を変えたものが、本盤『孤独のランナー』となったからである。そのようなわけで、この盤は、ツアーでのライヴ・テイクをはじめ、ツアー中の様々な場所で録音された曲が収められており、一風変わったアルバム作品に仕上がっている。全米3位となり、セールス面でも彼の作品としては最も売り上げたものとなった。 本盤のよさは、何よりもまず、楽曲の質の高さだと言える。1.「孤独のランナー」のたたみかけるような完成度の高いオープニングの1曲だけでも、このアルバムを手にしてみる価値はある。もちろん、1曲しか聴かないのももったいない。他にも好曲揃いで、これは聴き逃せないと思う筆者のお気に入りをさらにピックアップしてみたい。4.「ユー・ラヴ・ザ・サンダー」は、ライヴの録音日は別だけれども上記1.とあわせて聴きたいナンバー。曲の素晴らしさ・演奏の完成度という観点では、他に9.「ザ・ロード・アウト」、10.「ステイ」(後者はデビッド・リンドレー、ローズマリー・バトラーもヴォーカルをとっている)。ライヴ・テイク以外の曲の中では、6.「シェイキー・タウン」が外せない好ナンバー。 上に書いたように、ツアー中の録音場所がなかなか面白い。3.はコンサート・ホールのリハーサル室、5.や6.は宿泊ホテルの一室(イリノイ州エドワーズビルのホリデーイン124号室)、8.に至っては移動中のバス(ニュージャージー州内のどこかを移動中)の録音とのこと。とはいえ、アルバムで聴くと全然リハーサル・テイクっぽい感じもせず、完成度は高い。 ジャクソン・ブラウンのデビューは1970年代初頭だけれども、それ以前からイーグルスへの楽曲提供などソングライターとしての能力は知られていた。その才能が自己の歌・演奏と相まって花開いた時期が『ザ・プリテンダー』から本作『孤独なランナー』にかけての70年代後半だったということになるだろうか。70年代に数あるシンガーソングライターたちが歌うテーマや音楽的方向性を明確に定めきれず苦悩した中、彼の音楽はその行く末がしっかり見定められていた、そのことがよくわかる名作アルバムだと思う。[収録曲]1. Running on Empty2. The Road3. Rosie4. You Love the Thunder5. Cocaine6. Shaky Town7. Love Needs a Heart8. Nothing but Time9. The Load-Out10. Stay1977年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】 ジャクソン・ブラウン / 孤独なランナー[CD] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2014年09月01日
コメント(2)
全11件 (11件中 1-11件目)
1