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フランス映画史上屈指の傑作として名高い『天井桟敷の人々』が、5/5にHDニューマスター版でDVD発売。今回は、HDニューマスター版のDVDと、名作50本を1年に亘り上映しているTOHOシネマズ“午前十時の映画祭”について、ご紹介します。 まずは、作品紹介から。『天井桟敷の人々』(1945年/仏/モノクロ)は、19世紀のパリを舞台に、愛と自由と誇りを持って生きるフランス人の姿を高らかに謳いあげた人生讃歌です。 1945年と言えば第二次大戦の最中。マルセル・カルネ監督率いるフランス界の映画人たちは、ナチスドイツの占領下にありながら、ナチにひるむことなく、国内に留まって本作を製作。フランス人の真髄を描いた作品として高く評価され、1946年ヴェネツィア国際映画祭特別賞を受賞しています。 物語は第1部「犯罪大通り」、第2部「白い男」の2部構成となっています。 19世紀のパリ。“犯罪大通り”と呼ばれる下町の一角で、見世物小屋に出演している美女ガランスと、パントマイムの天才役者バチストとが劇的な出会いをし、二人は一瞬のうちに愛し合います。しかし、ガランスには自称詩人のラスネールや、美男役者フレデリック・ルメートル、そしてモントレー伯爵など恋敵が多く、一方のバチストには座長の娘ナタリーが一身に愛を捧げていました。それぞれの想いが絡み合いながらも5年の歳月が流れ…。 第1部「犯罪大通り」では、“犯罪大通り”にあるフュナンビル座の周辺を舞台に、善人や悪人、庶民や上流階級の人々、浮浪者に至るまで、様々な登場人物たちが流れるように紹介され、当時の活気に溢れたパリに生きる人々が浮き彫りにされていきます。それぞれの人物紹介とキャラクター造形は見事で、物乞いや仕立屋といった脇役までもが丁寧に描かれています。中でもナイーブな青年バチストの登場シーンは印象深く、演じるジャン=ルイ・バローの演技には全編、魅了されます。4人の男に愛されながらも運命に翻弄される女ガランスを演じるアルレッティの愁いを帯びた演技、ラスネールを演じるマルセル・エランの単純に悪人とは言い切れない深みのある演技も素晴らしく、各名優たちの個性的な演技が楽しめます。役者たちによる舞台のシーンや、タイトルにもなっている桟敷席に陣取り、野次を飛ばす庶民の姿などの風俗描写も見応えがあります。 第2部「白い男」は、5年後からはじまり、それぞれの生活の変化が描かれ、そこから新たにシェイクスピアかギリシャ悲劇のような愛憎劇が展開されます。そして、彼らには思いもよらない結末がやってきます。 詩的レアリスムを代表する一編と位置づけられている本作は、当時としては破格の予算がかけられ、オープンセットを初めとする美術や俳優たちが身にまとう衣装の美しさが圧巻です。しかし物語の中心は、あくまでも市井の人々です。彼らの中には貧しさ故に犯罪に手を染める者もいれば、貧しくとも夢を捨てずに善良に生きようとする者もいます。その多くは愛を求め、愛に生き、愛に死んでいきます。ジャック・プレヴェールによる数々の名セリフに彩られた脚本は、そんな彼らの人生を鮮やかに浮き彫りにしていくのです。これぞ、愛に生きるフランスの真髄と言える1本なのです。 そこで、DVDのご紹介です。 戦時中とは思えないほど、豪華絢爛たるセット、衣装、美術、そして名優たちによる豊かな人間模様…。HDニューマスター版では、その映像の細部までが再現され、俳優たちの顔の表情や、通りを行き交う群衆の一人一人、美術セットの隅々まで、鮮明な映像で観る事が出来ます。私は、これまでLD版でしか観ていなかったので、このDVDの映像には感激しました。名画であればあるほど、画質が悪くても、脚本や音楽や演出によって作品の良さを感じる事は可能ですが、やはり、クリアな画像で観る事によって、より作品本来の良さを体感出来るものです。役者さんの演技一つをとっても、表情などをはっきりと観る事が出来るので、彼らの演技を、これまで以上に楽しめます。また、これまで気づいていなかった細部の演出にも気づくかもしれません。ですから、ぜひ、傑作と言われているような作品は、高画質で観る事をおススメします。 ちなみに、HDニューマスター版のDVDは、各メーカーより発売されています。例えば、『天井桟敷の人々』は、販売元のSPOさんが“愛蔵版 欧州女優コレクション”の1本としてリリースした作品です。他に『ひまわり』(1970年)、『美しき諍い女』(1991年)、『若草の萌えるころ』(1968年)などが発売されています。洋画の旧作については、あまり宣伝がされていないので、欲しかった作品のHDニューマスター版が発売されているかもしれません。たまには検索でチェックしてみてください。 さらにおススメしたいのは、名画と呼ばれるクラシカル作品を映画館で観ることです。なぜなら、ソフトが無い時代の作品は、製作側もスクリーンで観る事を前提に撮っていますから、テレビ画面で観るのと、劇場のスクリーンサイズで観るのとでは、全く印象が変わってくるからです。 私の場合は、小さい頃からテレビで何回も観て来た『ローマの休日』(1953年)をDVD発売記念の劇場試写会で観た時、言葉では何とも表現出来ない感動を覚えて涙があふれたという体験があったんですね。それから、今まで観たつもりになっていた旧作をリバイバル上映などで観るようにしたのですが、その結果、これまでテレビ画面サイズで観たつもりになっていた作品は、正確には、観たことにはならないんじゃないか?ということに気づいたんです。 『ローマの休日』は、テレビで観ても勿論、素晴らしい作品なのですが、ヘップバーンの顔がスクリーンいっぱいにアップになった時、その美しさとスターオーラに圧倒されました。現代はスターシステム自体が崩れてきていますから、昔のスターのオーラとは違うというのもありますが、それ以上に、スターをスター然として撮る監督の演出技術も、現代とは違うのです。映像の構図やフレームも、当然、スクリーンの大きさに合わせているので、テレビ画面では効果が半減してしまいます。 そこで、次にご紹介するのがTOHOシネマズで開催している“午前十時の映画祭”です。2010年2月~2011年1月まで、1年に亘り、名画50本を全国25館で上映しています。それも、すべてオリジナル・ニュープリント版の高画質で観る事が出来るのです。上映タイトルと上映期間は、各劇場によって異なりますが、私は先日、『天井桟敷の人々』を観て来ました。これが、実はHDニューマスター版のDVDよりも高画質で、バチストの衣装の布地や、エキストラさんの顔までわかるくらいの鮮明さでした。50本の中には、ソフト時代のカラー作品もありますが、観るならぜひ、リアルタイムで見逃した作品をおススメします。『アラビアのロレンス』(1962年)、『北北西に進路を取れ』(1959年)、『ウエスト・サイド物語』(1961年)といったロケ効果や映像センスの高い作品がおススメです。今度は『ライトスタッフ』(1983年)を観に行こうと思っています。まずは劇場で観て好きになって、それからDVDやBlu-rayを買う。これが映画ファンの王道スタイルかな、と思うこのごろです。 次回は、6/4にDVDが発売されるベストセラー小説の映画化『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009年/スウェーデン=デンマーク=ドイツ)をご紹介します。
2010年05月31日
『スター・ウォーズ』(1977年)初演から22年の時を経て公開された『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)。当時、日本でもペプシコーラのボトルキャップやフィギュア、グッズを集めたりと、一大ブームが巻き起こりましたが、皆さん、覚えていますか? 『ファンボーイズ』(2008年)は、1998年、オハイオ州に住む「スター・ウォーズ」オタク4人組が、末期ガンで余命わずかの友人に『エピソード1』を観せるため、ルーカス・フィルムの本拠地“スカイウォーカーランチ”に侵入しようとする汗と涙の友情冒険ストーリーです! 日本では劇場公開が危ぶまれていましたが、熱心な『スター・ウォーズ』ファン=ファンボーイズ&ガールズたちの署名活動により、4/24~5/7に渋谷シアターTSUTAYAにて限定公開が実現し、5/12にDVDが発売されました。公式ブログによると、4/23の前夜祭には、全国のファンボーイズ&ガールズたちが集結し、みんな『エピソード1』公開時のようにコスプレに身を包み、大いに盛り上がったようです。 私は4/24(土)に仲間と総勢6人で劇場に足を運びましたが、客席には白髪交じりの旧3部作ファンが圧倒的に多くて、公開初日にも関わらず、若者の姿はまばらでした。当時、あれほど騒いでいた新3部作ファンは、一体、どこに行ってしまったのでしょうか-。世代による映画への愛の温度差を、こんな所にも感じてしまいます。 小学生や高校生の時に熱狂した映画を大人になっても好きでいてはいけないの?大人になったら忘れてしまえるの?いいえ、『ファンボーイズ』の主人公たちは違います! 『ファンボーイズ』を作ったのは、大人になった今も『スター・ウォーズ』を愛するスタッフ・キャストたち。全編に、『スター・ウォーズ』シリーズのパロディとオマージュが散りばめられ、本家『スター・ウォーズ』の出演者たちや、豪華俳優陣がカメオ出演。ファンによるファンのための映画に仕上がっています。 見所はいくつかありますが、まずは出演者から。 主人公の4人組を演じるのはサム・ハンティントン(エリック)、クリストファー・マークエット(ライナス)、ダン・フォグラー(ハッチ)、ジェイ・バルシェル(ウィンドウズ)の若手俳優たち。おデブで汚い系のダン・フォグラーは、おばかコメディ『燃えよ!ピンポン』(2007年)の主役も務め、本作でもお下劣おばかネタを担当。ジェイ・バルシェルはクリント・イーストウッドの傑作『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)でジムの練習生を演じ、端役ながら良い味を出していた俳優。今回は、PCから離れないオタク少年を熱演。 紅一点、皆のお守役ゾーイを演じるのは、米TV『ヴェロニカ・マーズ』『HEROS/ヒーローズ』でブレイクしたクリステン・ベル。『ヴェロニカ・マーズ』撮影中にも関わらず、監督たっての希望で出演が実現したとのことで、ほぼ全裸に近いあのレイア姫のコスプレ姿は必見。 オリジナル・メンバーの中では旧3部作でランド・カルリシアン男爵を演じたビリー・ディー・ウィリアムズが判事役で登場し、ここぞというシーンでレイア姫を演じたキャリー・フィッシャーが女医役で登場。このシーンでの名台詞には観客から拍手が起こりました。そして、エピソード1で活躍したダース・モールを演じたレイ・パークがスカイウォーカーランチの警備員として登場。 ゲスト出演としては、彼らを助けるチーフ役に『デスペラード』(1995年)、『コン・エアー』(1997年)のダニー・トレホ。彼らにクイズを出す警備員に『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(2008年)や、『マイレージ、マイライフ』(2009年)で姉の婚約者を演じるダニー・マクブライド。同じく『スター・ウォーズ』のパロディ満載のおばかコメディ『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』(2001年)を監督・脚本・出演したケヴィン・スミス。 次は、『スター・トレック』ファン=トレッカー・ネタについて。 彼らの道中には、何度も宿敵トレッカーたちが登場します。YouTubeで検索すると、『スター・ウォーズ』と『スター・トレック』を勝手に編集して戦わせた映像がたくさん出て来るんですよね。日本にはトレッカーが少ないですから、遭遇することは稀なんでしょうが、本国アメリカでは、結構、こういう事があるんでしょうね。彼らを引き合わせる事によって生まれるネタの中に、ファン心をくすぐる笑える台詞が満載です。私を含め、両方のファンは2倍楽しめます。勿論、『スター・トレック』のパラマウントには許可を得ていないので、制服などの小物はデザインが変えてあり、あくまでも悪役としての登場です…。とはいえ、『スター・トレック』の好敵手カーンを演じたリカルド・モンタルバンの像なんかが登場するので、トレッカーも見逃せません。 でも、びっくりなのは『スター・トレック』のTVオリジナル版『宇宙大作戦』でカーク船長を演じたウィリアム・シャトナーが出演していること。それもベガスの“ゲイ・トレッカー集会”の会場で…。シャトナー、あっぱれです。 その他、トレッカーの代表を演じているのは『40歳の童貞男』(2005年)、『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』(2007年)のセス・ローゲン。実は彼、『スター・ウォーズ』の入れ墨をしたポン引き役でも登場。両方のファンを演じ分けています。 次は脚本、編集について。 本作は、ファンのためだけではなく、『スター・ウォーズ』を観ていない人でも、ティーンが主人公のアメリカン・コメディとして楽しめる作品になっています。コメディ俳優たちが多数、出演していて、全体的には、ノー天気なおばかコメディのノリで観る事が出来るのです。これには配給サイドの意図があって、本来、カイル・ニューマン監督は、主役のエリックと、ガンに侵されているライナスとの友情ストーリーをメインにしたかったのですが、これを嫌った配給側がこの部分をカットした編集版を作り、紆余曲折の末に、スタッフが再編集してエリックとライナスのシーンを戻した現在の形に落ち着いたのだそうです。そのため、父の仕事を継ぐために、一度は仲間から遠ざかったエリックと、昔は親友だったのに、そんな彼に距離を感じているライナスとの友情復活のエピソードが中途半端で、いかにもカットされているという感じはぬぐえません。ファンとしては、そこをもっと観たかった気もします。ですが、そのおかげで、あまりウェットにならずに、次々と災難が降りかかり、息もつかせぬ展開でラストまで一気に楽しめる明るいコメディに仕上がったとも言えます。そのあたりのエピソードは、DVDの特典映像にたっぷり収録されていますので、ご自身でご確認ください。 DVDには、オーディオ・コメンタリーと、47分の特典映像、隠しボタンもありますので、探してみてください。初回限定豪華デジパック仕様の在庫は各店にお問い合わせください。 最後に、トレッカーとしておススメしたい『ギャラクシー★クエスト』(1999年)について。『スター・トレック』のパロディ&オマージュ満載の本作は、出演者も豪華な秀作SFコメディです。ティム・アレン、シガーニー・ウィーヴァー、アラン・リックマンといったSF番組のレギュラー出演者たちが、本物のエイリアンと戦うことになってしまい宇宙へ…。秀逸な脚本で、熱烈ファンに愛される出演者たちの苦労が俳優の立場から描かれ、最後にはホロリと来る感動ストーリーとなっています。 TVや映画というのは、公開した時点で、スタッフやキャストの手を離れて、観客にゆだねられます。中には、『スター・ウォーズ』や『スター・トレック』のように熱狂的なファンが生まれ、時を越えて語り継がれる作品もあります。そして、ファンが今度はスタッフ、キャストとなって新たな作品を作り、その精神が継承されていくのです。 そんな愛情が詰まった作品を観ると、ファンでなくても幸せな気分になりますよ。 次回は、5/5にHDニューマスター版のDVDが発売された、マルセル・カルネ監督による名画『天井桟敷の人々』(1945年)と、TOHOシネマズ系で公開中の「午前十時の映画祭」をご紹介します。
2010年05月17日
ただ今、劇場公開中の誉田哲也・原作の映画化『武士道シックスティーン』は、3歳から剣道一筋の香織と、天性の才能に気づいていない早苗の二人がお互いに支え合い成長してゆく姿を描く熱血スポ根ドラマ。成海璃子&北乃きいという若手実力派の二人の名コンビぶりが楽しい爽やか青春ストーリーです。 そして、5/15より公開予定の実話を基にした『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』は、成海璃子主演作。音楽にあわせて大きな筆で文字を書いていく“書道パフォーマンス甲子園”が題材となっています。書道というと地味なイメージがありますが、チームで大きな文字を書くアート・パフォーマンスなので、華やかな見せ場が満載。先日、試写会で観て来ましたが、試写会場は笑いと涙に包まれ、とてもいい雰囲気。脚本の出来が良くて、直球の王道ストーリーに感動し、クライマックスの試合シーンにも見応えがあり、小学生から大人まで楽しめる良質のファミリー・ムービーに仕上がっていました。 今回は、これらのガールズ・ムービーで主演を務める若手実力派の成海璃子、北乃きいなど、若手女優さんの出演作をご紹介します。 まずは、現役女子高生の成海璃子から。1992年8月18日生まれ。2000年『TRICK』の仲間由紀恵演じる山田奈緒子の少女時代役でドラマデビュー。その後、映画、ドラマ出演や雑誌モデルとして活躍。 映画初主演作『神童』(2006年)では天才ピアニスト・おとを熱演。 大人の期待を受けながら育ってきたおとが、松山ケンイチ演じるワオと出会い、純粋にピアノを弾く喜びに目覚めていく姿を描いた作品。『きみにしか聞こえない』(2007年)では、主人公の孤独な少女リョウを好演。小出恵介演じるシンヤとおもちゃの携帯を通じて会話をするという風変わりなラブ・ファンタジー。そして、3作目が市川準・監督の『あしたの私のつくり方』(2007年)。ここでは平凡な少女、寿梨を演じ、AKB48の前田敦子演じる友人・日南子との友情を通して、大人になっていく十代の少女の心象風景を瑞々しく表現しました。これらの3作で、まだ少女のあどけなさと、時折、ドキッとするような大人びた表情を見せた成海璃子。その儚げで、それでいて芯の強そうな存在感のある演技で、男性の心を鷲掴みにしたのです。 その後、ガラッとイメージが変わり、かなりポッチャリとした健康美でコメディに挑んだのが次の2作。ケラリーノ・サンドロビッチ監督・脚本のギャグ・コメディ『罪とか罰とか』(2008年)では、売れないグラビアアイドル、円城寺アヤメを演じ、竹中直人監督・脚本・出演のホラー・コメディ『山形スクリーム』(2009年)では、歴史研究会に所属する美香代を演じ、文字通り“スクリーム女優”に挑戦。2作とも観る人を選ぶ作品ではありますが、成海璃子の新境地が楽しめる作品です。 そして、現在は『武士道シックスティーン』と『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』で、部活に青春を賭ける熱血女子高生を体当たりで演じ、私たちに元気とパワーを与えてくれています。 初期のお姫様女優から脱却し、コメディやスポ根など、十代の今しか出来ない幅広い役をこなす若手注目株。彼女の演技を観ていてすごいなと感心するのは、『武士道シックスティーン』では、本当に孤高の女剣士にしか見えないし、『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』では、まさに堅物の書道部部長にしか見えないこと。その“なりきり度”は若手女優さんの中でも群を抜いています。スター女優の貫録と、演技力の両方を併せ持った、将来が楽しみな女優さんです。 対する北乃きいは、1991年3月15日生まれ。2005年雑誌モデルとしてデビューし、ミスマガジン2005グランプリを獲得。その後、女優、歌手として活躍。 映画初主演作『幸福な食卓』(2006年)の中原佐和子役で、いきなり日本アカデミー賞新人賞を受賞。吉川英治新人文学賞を受賞した瀬尾まいこ原作を映画化した家族ドラマ。相手役は勝地涼。次の行定勲監督・脚本作『ユビサキから世界を』(2006年)では、谷村美月らと共演。アンダーグラフの楽曲に共感した監督が映画化した普通の女子高生5人を描いた青春群像劇。『ポストマン』(2007年)では長嶋一茂演じる父に反発する長女、あゆみを熱演。実直な郵便局員と家族の絆を描く感動のヒューマンドラマです。 そして、岩井俊二&小林武史プロデュース、北川悦吏子監督・脚本の『ハルフウェイ』(2008年)では、岡田将生を相手に自分の気持ちをうまく伝えられない女子高生ヒロを等身大に演じています。岩井俊二プロデュースというだけあって、全編、北乃きいのプロモーション・ビデオ状態。地方のピュアな高校生の恋愛が描かれています。その後、ボクシングを題材にしたスポ根ドラマ『ラブファイト』(2008年)では、林遣都演じるヘタレ高校生の幼馴染を演じ、キスシーンも披露。続いて、またもや岩井俊二&小林武史プロデュースの『BANDAGE バンデイジ』(2009年)でKAT-TUNの赤西仁演じるボーカル、ナツの相手役でマネージャーのアサコを演じています。 北乃きいは、老若男女から好感をもたれる、いつも元気で明るい妹的な存在の女優さん。その爽やかで健康的な持ち味でCMにも多数出演。映画でも、そんな彼女のイメージそのままの役柄が多く、演技巧者の成海璃子とは対象的に、いつも自分らしく自然体で演じているという印象があります。音楽活動も始めており、今後、マルチな活躍が期待される女優さんです。 その他、『武士道シックスティーン』と『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』の両方に出演している山下リオ、『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』に出演の桜庭ななみや高畑充希、小島藤子なども好演しています。成長目覚ましい若手女優さんの活躍が、今後も楽しみですね。 次回は、5/12にDVDが発売されるスターウォーズ・マニアによる愛に溢れたパロディ&オマージュ・コメディ『ファンボーイズ』(2008年)などをご紹介します。
2010年05月11日
ゴールデンウィークも終盤!春を通り越して初夏の日差しがまぶしい連休となりましたが、皆さんはどのように過ごされたでしょうか? 我が家では、Blu-rayを80インチのスクリーンにプロジェクターで投影して、DVDとの画質比較などをいたしました。 今回は、そろそろBlu-rayプレイヤーを買おうかな、と思っている方や、どの作品がBlu-rayに適しているのかなどを知りたいという方のために、いくつかおススメBlu-rayソフトをご紹介します。 その前に、Blu-rayの豆知識から。 まずは画質について。実は、Blu-rayプレイヤーでDVDを再生すると、DVDの画質も向上するのはご存知でしたか?ですから、すでにお持ちのDVDは、わざわざBlu-rayに買い替えなくても、Blu-rayプレイヤーで再生するだけで、これまでより画質が良くなるのです。とはいえ、元のマスターが良くない作品は、それ以上に画質が良くなる訳ではありませんので注意が必要です。 マスターの問題は、Blu-rayソフトについても同じ事が言えます。Blu-rayソフトの中には、DVDと同じマスターのものもあり、そもそもリマスタリングされていない作品のBlu-rayソフトを買っても、DVD以上の画質は期待できず、買い替える意味がないのです。 とりあえず、次にプレーヤーを買う時には、Blu-rayプレイヤーを選べば、お手持ちのDVDとBlu-rayと両方の再生が出来ます。ただし、Blu-rayプレイヤーは日進月歩進化しており、定期的にインターネットに繋げて(PCまたはUSB、CD-Rから)最新バージョンへのダウンロードが必要です。 次は音質について。Blu-rayは、画質だけではなく音質も向上させます。これについては、音量、音の厚みがDVDとBlu-rayとで比較すると全く違います。ですから、Blu-rayは音楽ものにも適していると言えますね。 最後は価格について。DVDより画質も音質もよくなるとはいえ、価格が高くては迷ってしまいますよね。現在、最も安い価格帯でBlu-rayを発売しているのがワーナー・ホーム・ビデオで、定価2500円です。各店舗ではさらに20%OFFや、2枚で4000円といったキャンペーンを展開中。いまや、DVDと同じ価格で買える作品もあるのです。 さて、では実際に比較して、これはBlu-rayの方がいいよ、という作品をいくつかご紹介しましょう。 1作目は、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』(1968年)。いくら天才監督の傑作とはいえ、古い作品なので疑問に思われる方もいるかもしれませんが、映像の発色の良さ、音質の良さは、劇場公開をも凌ぐ美しさです。冒頭、アフリカで撮ったスチールを背景に、猿が武器を使う事を覚えるシーンがありますが、そのスチールは、ナショナルジオグラフィック社の映像かと思わせる鮮明な色合いで、合成とは思えぬほど自然にシーンに溶け込んでいます。また、クライマックスのサイケデリックな色彩の洪水シーンでは、光の海が鮮やか過ぎて、眼が痛くなるほどです。ほんと、全編、新作かと思えるようなクリアな映像の連続。これまで何度となく劇場やDVDで観てきたという方も、全くはじめての『2001年宇宙の旅』を体験出来ること請け合いです。 2作目は、アメリカ西部開拓時代の50年間を描いた歴史大作『西部開拓史』(1962年)。なんとBlu-rayではシネラマ劇場での初公開時と同じ、湾曲したスクリーンをそのまま再現したスペシャル・スマイルボックス方式の映像を観る事が出来ます。シネラマとは、湾曲した3つのスクリーンに、3つのカメラで撮影した映像を繋げて投影する方式のことです。Blu-rayは、そのスクリーンとスクリーンの間の線を消し、リマスタリングされた美しい映像になっています。これは、TVの小さな画面には向かないかもしれませんが、プロジェクターで上映すると、3D映像のように立体的に感じる事が出来ます。2枚組となっており、通常のシネマスコープサイズの映像も収録されているので、どちらでも観る事が可能です。ラストのナレーション、テーマ曲をバックに映し出される、空撮による美しい西部の景色から現代都市への発展を観ていると、アメリカ人でもないのに感動して泣けてきます。 3作目は、クリント・イーストウッド主演作『ダーティファイター』(1978年)。よりにもよってクリント作品の中から、なんでそんなB級作品を選ぶの…なんて言わないでください。『ダーティファイター』は、クリント様がアカデミー賞監督賞を受賞した『許されざる者』(1992年)公開まで、主演作中、最も興業収益の高かった人気作品なのですから。そして、このBlu-ray映像には度肝を抜かれました。カリフォルニアの明るい陽光によって光る青い車、街並みが、鮮明に映し出されています。画面の奥にまでピントが合っているので、まるでその場所に自分がいるかのような感覚で観る事が出来るのです。さらに、そこに登場する若き日のクリント様は、やはり自分の眼の前に立っているかのようなリアルさ。CGを使った作品や、新作がBlu-rayに向いているのは当たり前。ですが70年代の映画がこんなにキレイになるなんて、本当にビックリです。 ラストの4作目は、やはり語らずにはいられない『アバター』(2009年)。現状の発売商品では、Blu-rayを買うと必ずDVDもついてくるので誰もが比較をする事が可能です。その違いは一目瞭然。DVDは、Blu-rayに比べて背景がぼやけ、全体の色調も薄く感じられます。さらに驚くのは、奥までピントの合ったクリアな映像と、発色の良さです。例えば、ネイティリが履いている紫色の網タイツ?のデザインや、彼女が流す涙。ナヴィが銃撃を受けた時の弾痕や滴る血、背景に飛ぶクリーチャーたちなどの細かな映像がクリアに映し出されています。さらに、セットやCGIの背景が奥まで鮮明に観えるため、映像も立体的に感じることが出来るという効果もあります。勿論、3D映像ではないので、場面にもよりますが、劇場の3D上映では、偏光メガネをかける分、映像が暗く映ってしまうので、メガネのないBlu-rayの方が、より鮮明な映像を観る事が出来るのです。恐るべし、Blu-ray!もっとも3D上映の見せ場となっていた空を飛ぶシーンは、やはり臨場感に欠けます。それぞれ、違った良さがありますね。 今回はほんの一例を紹介しました。ぜひ、Blu-ray映像を体験してみてください。 次回は4/24より劇場公開中の『武士道シックスティーン』、5/15より公開予定の『書道ガールズ』にあわせ、成海璃子ちゃん、北乃きいちゃん出演作品をご紹介します。
2010年05月05日
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