小玉智子のお買い物ブログ

小玉智子のお買い物ブログ

2010年04月26日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 『アバター』で主役のジェイクを演じたサム・ワーシントン主演のSFアクション・アドベンチャー『タイタンの戦い』(2010年)が4/23より劇場公開開始!
 今回は、そのオリジナル映画『タイタンの戦い』(1981年)や、同じくギリシャ神話を扱った『アルゴ探検隊の大冒険』(1963年)などでコマ撮りを担当した特撮映画の父、レイ・ハリーハウゼン作品をご紹介します。

 古代ギリシャ。権力争いに明け暮れる横暴な神々に対し、人間の王が宣戦布告した。ゼウス(リーアム・ニーソン)は激怒し、冥界の王ハデス(レイフ・ファインズ)は次々と魔物を地上に解き放った。神ゼウスの血をひく男、ペルセウス(サム・ワーシントン)は、ハデスに家族を殺され、復讐に燃えて、人類滅亡を阻止すべく旅に出る。彼の行く手には、人の10倍もあるスコーピオンや、巨大な海の魔物クラーケンらが待ち受けていた…。

 『トロイ』(2004年)や『300<スリー・ハンドレッド>』(2007年)のような歴史活劇に、ギリシャ神話に登場するメデューサ、ペガサス、スコーピオン、クラーケンといったCGクリーチャーとの戦いを加えた『アバター』に続く3D上映作品(2D上映あり)です。ここに登場する魔物たちのデザインはグロテスクで邪悪そのものですが、オリジナルのコマ撮り怪獣たちは、全く違っていました。

 まずは、コマ撮りアニメーションから説明しましょう。コマ撮りアニメ(ストップモーション・アニメーション)とは、皆さんご存じの、「ウォレスとグルミット」のクレイ・アニメや、「チェブラーシカ」の人形アニメのように、人形を1コマ1コマ、少しずつ動かしながら撮影し、連続して動いているかのように見せる技法のことです。
 西欧では、カレル・ゼマン(切り絵)やヤン・シュヴァンクマイエルなどのアート・アニメが有名ですが、アメリカでは古典映画『キングコング』(1933年)のウィリス・オブライエンが第一人者であり、その弟子にあたるのが、レイ・ハリーハウゼンです。

 師匠ウィリス・オブライエンと、弟子レイ・ハリーハウゼンは、共に大型怪獣(恐竜やキングコング)を扱っていますが、それぞれ似ている所と、違う所があります。オブライエンの怪獣は、動きが非常に滑らかなのに対し、ハリーハウゼンの怪獣は、カクカクしています。ハリーハウゼンは、コマ撮りならではの動きに注目し、骨格や関節を意識して、わざとそのような動きをさせていたそうです。人間の敵であるはずの怪獣であっても、そんな印象的な動きや愛嬌のあるキャラクター造形に魅力を感じずにはいられません。二人の怪獣の共通点は、断末魔の苦しみ方。大抵の怪獣は、人間や他の怪獣たちと戦って死ぬ運命にあります。ハリーハウゼンは、彼らの死に様を断末魔の苦しみで表現します。子供は勿論、大人であっても、そんな怪獣たちに感情移入して、彼の創り上げたキャラクターの虜になってしまいます。

 新作『タイタンの戦い』の監督ルイ・レテリエも、オリジナルの大ファンで、今作の監督が決まった時、憧れのレイ・ハリーハウゼンに会いに行き、直接、リメイクのお許しを得たそうです。レイ・ハリーハウゼンに影響を受けているのは、彼ばかりではありません。

 代表作と共に、その偉大なる功績をご紹介しましょう。
まずは、ハリーハウゼン作品の最高傑作とも言われる『アルゴ探検隊の大冒険』(1963年)。『タイタンの戦い』と同じギリシャ神話を舞台に、“黄金の羊の毛皮”を求めて旅するジェーソン王子一行の冒険物語です。ここでは、青銅の巨人テイロス、七首の竜ヒドラ、怪鳥ハービーが登場するほか、歴史に残る名シーンとなったガイコツ剣士と一行との戦いが繰り広げられます。このガイコツ剣士を連想させるミイラ剣士が登場するのが、スティーヴン・ソマーズ監督作『ハムナプトラ』(1999年)。そして、ロバート・ロドリゲス監督作『スパイキッズ2』(2002年)。この2作以外にも、もしや…という作品は数多く、このシーンが後の映像作家に与えた影響は測り知れません。

 次は、レイ・ハリーハウゼンと聞いてピンとこない方でも、テレビで観て知っているかもしれない『シンドバッド』シリーズ。中でも第1作『シンバッド七回目の航海』(1958年)は、『アルゴ探検隊の大冒険』と人気を二分する名作です。登場するのは、一つ目巨人サイクロプス、双頭の巨鳥ロク、火を吹くドラゴン、初登場のガイコツ剣士。実は、ガイコツ剣士は、こちらに先に登場していますが、本作の見所は、何といってもサイクロプスとドラゴンの戦い。『ゴジラ』などの巨大怪獣に慣れ親しむ日本人も大満足の迫力シーンです。『スター・ウォーズ』(1977年)のAT-ATスノーウォーカーのシーンを創り上げたフィル・ティペットは、7歳で本作を観てコマ撮りに魅せられ、特撮の世界を志したそうです。
 その15年後に作られた2作目『シンドバッド黄金の航海』(1973年)には、動き出す船首女神、陰母神カリー、ケンタウルス、グリフィンなどが登場。船首女神などは、怪獣とはまた違った動きで魅力があります。3作目『シンドバッド虎の目大冒険』(1977年)には、巨大セイウチ、一角原始人、剣歯虎、ミナトンなどが登場。この作品は予算が少なく、一部、着ぐるみも使用されていますが、役者陣は豪華で、ジョン・ウェインの息子パトリック、タイロン・パワーの娘タリン、そしてジェーン・シーモアが出演。

 次は恐竜もの2作、『恐竜100万年』(1966年)と『恐竜グワンジ』(1969年)。
 『恐竜100万年』は、『紀元前百万年』(1940年)のリメイク作品。草食恐竜トリケラトプスと肉食恐竜ケラトサウルス、翼竜プテラノドンなど、リアル恐竜たちが人類との熾烈な戦いを繰り広げます。肌もあらわに豊満な肉体美をみせるラクウェル・ウェルチがプテラノドンに襲われる姿が、恐竜に負けない強烈な印象を残す作品です。
 『恐竜グワンジ』は、20世紀初頭のメキシコが舞台。サーカス団がグワンジと呼ばれ恐れられる肉食竜を捕え、呪いを恐れたジプシーがグワンジを放ち、街がパニックに襲われる…というお話。本作のクライマックスは、『ジュラシック・パーク』の2作目『ロスト・ワールド』(1997年)に引用されています。かのスティーヴン・スピルバーグ監督も、ハリーハウゼンにオマージュを捧げているのです。それにしても、グワンジの最期は哀れで、涙が溢れます。ハリーハウゼンのコマ撮り恐竜に賭ける熱意が、グワンジに乗り移っているかのようです。

 最後は、マニア好みの3作を。『原子怪獣現わる』(1953年)、『地球へ2千万マイル』(1957年)、『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』(1956年)。
 『原子怪獣現わる』は、『華氏451』(1966年)のレイ・ブラッドベリ原作による短編「霧笛」を基にした作品。ハリーハウゼンの長編映画デビュー作です。日本の『ゴジラ』のハリウッド・リメイクであるローランド・エメリッヒ監督作『GODZILLA ゴジラ』(1998年)の元ネタでもあります。
 『地球へ2千万マイル』は、金星竜イーマと人間との戦いを描く一編。イーマの造形のカッコよさと、日本人好みのウェットな展開で、日本にもファンが多い作品です。人間が金星から勝手に持ち帰った卵が孵化して産まれたイーマ。彼は何も悪い事をしていないのに、人間に狙われ命を落とすのです。
 『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』は、空飛ぶ円盤や破壊される建造物を全てコマ撮りで表現するという驚異の職人技をみせた作品です。ティム・バートン監督作『マーズ・アタック!』(1996年)は、まさに本作にオマージュを捧げた作品。バートンは当初、同じくコマ撮りで撮影すると主張しましたが、予算がかかるので断念してCG映像で表現したのだそうです。あの巨大な白色のオベリスク、ワシントン記念塔に円盤が衝突するシーンは、そのまま引用されています。

 長くなりましたが、レイ・ハリーハウゼンの偉大なる功績、コマ撮りアニメの魅力が、少しは伝わったでしょうか。CGI全盛の今だからこそ、忘れたくないアナログ特撮の魅力。ハリーハウゼン・デビューをするなら、ぜひ、『シンバッド七回目の航海』(1958年)、『アルゴ探検隊の大冒険』(1963年)からはじめてみてください。どちらも、ご家族で楽しめる良作となっています。
 また、レイ・ハリーハウゼンの引退作となったオリジナル『タイタンの戦い』は、映画公開にあわせて4/21にブルーレイが発売されました。こちらもあわせてご覧ください。

 次回は、ゴールデンウィークにおススメの旧作テレビ、映画などをご紹介しようと思います。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010年04月27日 03時45分13秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: