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数か月前からウォークマンの調子が悪く、使っていなかった。充電しないし、PCともつながらない。仕方がないので、別な物を買おうと思って、検討をしていた。昨日、もしやと思ってPCと接続するドックの接点をピカールを歯ブラシに付けて磨いてみた。PCに接続したら何と赤LEDが点灯する。PCとの接続の表示はしばらくでなかったが、しばらくして電源が回復したようで、接続出来た。もともと接点の接触がいまいちで、接点をアルコールで拭いたり、ドックとウォークマンを接続したときに輪ゴムで締め付けていたが、終いにはそれも効かなくなってしまっていた。念のため、爪楊枝にピカールを付けて研磨した。輪ゴムも不要になったようで、取りあえず復活したようだ。Windowsがクラッシュした後は「Media Go」というアプリをインストールしてなかったので、再度インストールしようとしたらサービスが停止していた。「Media Go」の後継アプリは「Music Center for PC」Windowsがクラッシュする前からハイレゾを再生するためにこのアプリを使っていたが、使い勝手が悪い。しょうがないと思いつつ、このアプリをインストール。ところが、ウォークマンのファイルが見られなくて悪戦苦闘。その後ファイルをウォークマンに転送しようとした。ところが、転送完了と出たのに、何故か容量がゼロバイト。空き容量が3GBほど残っているのに、原因が分からない。「Music Center for PC」はあきらめて、Media Goをネットから拾ってきた。ファイルを検証する必要があるとか面倒な処理があるが、一切無視してダウンロード。やはり少し不安があるので、もしやと思ってハードディスクを見たら、インストールされていた。Media Goを使ったらファイルコピーができる。やれやれ。。。無駄な出費をする必要がなくて、めでたしめでたし。
2019年09月30日
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コルトレーンの未発表アルバムが発売された。この録音はフランス語映画「Le chat dans le sac (英題:The Cat in the Bag)』(日本未公開)の為に、1964年6月に通称黄金のカルテットで、録音された。クレッセントが同月録音され、次に録音されたのは同年の「至上の愛」という絶頂期の時代の録音ということで、注目しないわけにはいかない。「Naima」(1テイク)と「Village Blues」(2 テイク)の別テイクを含む全8曲。別テイクを除くと全5曲で正味20分ほどで、少し物足りない。オリジナルは1・4インチのテープにモノラルで録音されている。当時映画ではステレオ音声は普通に使われていたのに、モノだったことがとても残念だ。当ブログは192kHzのFlacで聴いているが、音が鮮明で音圧レベルが高く、モノということはあまりハンデにはならないと思う。サウンドトラックとはいえコルトレーンが演奏したのは既出の曲だけで、コルトレーンは映像は見ていなかったらしい。監督のジル・グルーが大のコルトレーン・フリークで、監督が曲を指定したようだ。コルトレーンとしては、録音してだいぶ時間がたっているので、その後自分たちがどのように変化をしたかを知りたかったらしい。当ブログが注目したのはタイトルチューンの「Out Of This World」この曲はエルヴィンのドラミングのオクトパスぶりがよくわかる演奏として当ブログが愛好している曲で、コルトレーンの熱いソロも聴きどころだ。今回の演奏の3倍ほどの長さでテンポもだいぶ速い。なので、テンションがかなり高い。今回の演奏はテンポが遅いが、コルトレーンのソロは最初からからエンディングまで凄まじい。違いは、短いベース・ソロがイントロに入っている(至上の愛を思い起こさせる?)ことぐらいか。この頃の「ネイマ」は女性的な演奏というイメージだったが、ここでは激しい演奏で面目を一新している。バックもアグレッシブな演奏で、ギャリソンの存在感が意外。マッコイのコロコロピアノのバッキングもいい。「Like Sony」は短く物足りない。一番長い「Traneing In」は冒頭にギャリソンの2分半ほどのベース・ソロ、マッコイのソロと続き、コルトレーンがでるのは5分過ぎからで、ここでも圧倒的なソロを展開している。これを聴くとプレスティッジの録音が初々しい感じに聞こえてしまうのは、その後のコルトレーンの進歩がいかにすごいかを物語っているのだろう。ということで、個人的には楽しんだとはいえ、資料的な意味で、あくまでもコルトレーン・ファン向けだろう。今の感じだと二匹目のドジョウはいないような気がするが果たしてどうなるか?ところで、当ブログはいつものHDtracksから$13.98の20%オフで購入したが、国内はCDが\2592でハイレゾが何と\3910と理解に苦しむ値付け。Wolf Schmalerによれば,使われたテイクは下記の通り。Naima (Take 1) 全曲:1:54 - 6:17 Village Blues (Take 2) 2:33まで:6:56 - 9:28Blue World 2か所:41:20 - 42:14、46:30 - 49:20映画については、こちらを参照されたい。English: https://www.nfb.ca/film/cat_in_the_bag/French: https://www.onf.ca/film/chat_dans_le_sac/PVヒロ・ホンシュク氏(本宿宏明)による「Blue World」の詳しいアナリーゼはこちら原曲のリンクも貼られているが、とても同じ曲とは思えない。そういえば、昔、原曲を聴きたくて、ミュージカルのサントラを手に入れたが、結局どの曲かわからずじまいだったことをふと思い出した。John Coltrane:Blue World(Impulse)24bit 192kHz Flac1.Naima (Take 1)2.Village Blues (Take 2)3.Blue World 6:084.Village Blues (Take 1) 5.Village Blues (Take 3)6.Like Sonny7Traneing In8.Naima (Take 2)John Coltrane(ts)McCoy Tyner(p)Jimmy Garrison(b)Elvin Jones(ds)Recorded June 24, 1964 at Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, NJ
2019年09月28日
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ケント・ナガノがモントリオール交響楽団を指揮したジョン・クーリッジ・アダムスの作品集を聴く。DECCAでのナガノ=モントリオール響の管弦楽とオペラでの受賞作品のシリーズの一枚。このまえベルリン・フィルのアダムス・エディションを購入したばかり。ろくに聞いていない状況で、さらにアダムス作品集を購入してしまった。理由はspotifyでナガノの「Short Ride In Fast Macshine 」(1985)を聞いて気に入ったから。何故かPesto Classicalが一番速くラインナップされていて、価格も\1580と安いのでここから購入した。ただし、ブックレットがついていないのは痛い。アダムスはだいぶ昔にヴァイオリン協奏曲をクレーメルのCDで聞いた事がある程度で、ほとんど知らない。基本ミニマル音楽なので、メロディーがあってないようなもの。CDはそれほど多くなく、ティルソン・トーマスやナガノなど昔から手がけている指揮者と作曲者のものがあるだけだろう。最近はオペラのCDが目につくようになったが当ブログは未聴。ここで取り上げられている曲は、ミニマルといってもポスト・ミニマルで、聴くものを苛立たせるような音楽ではない。全体的に淡いサウンドと親しみ易い構成で耳にすんなりと入ってくる。まあ、虫の羽音がバックグラウンドで絶え間なく聞こえるような感じだろうか。「Short Ride In Fast Macshine」が気に入ったのはスピード感がある事。モントリオール交響楽団の色彩豊かなサウンドもかなり貢献している。この曲は吹奏楽(1995)や4手のピアノ用にも編曲されている。吹奏楽版はユーフォニアムが入っていて、音の輪郭がぼやけてしまうのが難点。曲の構造を知るには4手ピアノ版がいい。特にキャッチーな旋律があるわけではないが、スピード感と繊細な響きが受けるのだろう。管楽器の編成が大きく、打楽器も沢山使われているのも特徴的で、吹奏楽への編曲は比較的容易だったろう。冒頭のウッドブロックはかなり目立つ。参考までにティルソン=トーマスの演奏も聴いたが、ウッドブロックがサウンドに埋もれていて、特長が出し切れていない。このCDは他にアダムスの代表作である「Harmonielehre」(1985)と「Common Tones in Simple Time」(1979) が含まれている。「Harmonielehre」とはドイツ語の和声学の意味で、このタイトルの書物はシェーンベルク他2人の方が書いている。この音楽ではシェーンベルクの書物による音楽だ。この曲が収録されているCDにはよく橋の写真が使われているが、アダムズの夢に出てきたカリフォルニア州サンフランシスコ湾に架かる「クランドベイブリッジ」の写真のようだ。第1楽章 この楽章にはタイトルが付されていないが、アダムズは、冒頭部分を自身の夢に出てきた情景と重ね合わせた。「サンフランシスコ湾から巨大な石油タンカーが宇宙船のように空中に浮かび上がり、その錆びついた船体が太陽の光で輝いていた」。随分とへんてこな夢を見る人だ。冒頭のCとFの2音が3回激しく打ち付けられるフレーズが基本的なモチーフでいろいろな形に展開される。フルートなどの木管と打楽器による煌びやかなサウンドが印象的だ。途中から弦による美しくも痛切な歌が聞こえてくる。この部分はまるで映画の一場面のようだ。そのあとのホルン・ソロも美しい。再びテンポが速くなって、15分過ぎからは激しいクライマックスが訪れる。エンディングは細かい音が増殖して巨大なスケールになるもので、自然界のスケールの大きさを感じさせる。こういう盛り上がり方は、ほかの音楽ではあまり聞いたことがない。第2楽章の「アンフォルタスの傷」はワグナーの楽劇「パルジファル」に登場する中世の聖杯王アンフォルタスのこと。アダムズによれば傷は「再生や生産を阻害する傷、すなわち人間の創造力の傷」で、「不吉なしるし」でもあるという。「不能と精神の病を描いた音楽」とも言っている。この楽章はミニマルの手法は使わず、モノローグ風で陰惨な音楽になっている。木管の透明なハーモニーが美しい。中間部でトランペットがAを長く伸ばすところはマーラーの第10交響曲のアダージョへのオマージュと言われる。痛切な響きが聴かれる。第3楽章「マイスター・エックハートとクワッキー」タイトルは、中世の偉大な神学者とその娘エミリーのニックネームに由来する。「乳児がエックハルトの肩に乗り、耳元で恩おん寵ちょうの秘密をささやく」というイメージで作られた、冒頭からの弦の旋律と木管やハープなどによる光に満ちた軽やかなリズムは川の流れを思わせる夢見るようなシーンだ。当ブログはシェーンベルクの冒頭の部分(もっとリアルだが。。)のサウンドを思い起こしてしまった。小さな単位の音符が集まって次第に大きな流れになっていくのはアダムズの常とう手段のようだが、なかなか感動的だ。最後はティンパニに支えられた金管が咆哮するヤナーチェックのような剛直な音楽で、大音響とともに終わる。この曲は今年エド・デワールトがN響に客演した時に取り上げていた。テレビでやっていたが当ブログは観ていない。彼がサンフランシスコ交響楽団の音楽監督をしていた時(1977-1985)に初演した曲だそうだ。「Common Tones in Simple Time」(1979)はアダムズの最初の管弦楽作品。作曲者によると厳格なミニマル音楽だそうだ。当時ミニマル音楽のオーケストラ作品はほとんどなかったので、未知のものへの挑戦は興奮させるものだったそうだ。全体的には静的な音楽で淡い色彩が感じられる自然を思わせる音楽、一種の環境音楽だろう。時々聞こえる音は光がさしたり雨が降ったりと自然の変化を表しているような感じにも受け取れる。リズムが変わったり、楽器が変わるたびにガラッと情景が変わるのはなかなか味わえない体験だ。聴いていると次第に心が落ち着いてくるように思えるのも不思議だ。今回このレビューを書くためにベルリンフィルのアダムズ・エディションに含まれている「Short Ride In Fast Macshine」(アラン・ギルバート 指揮 )と「Harmonielehre」(アダムズ指揮)を聴いた。サウンドの厚みと粘りはベルリン・フィルに分がある。色彩はモントリオールのほうが華やかで、モントリオールには軽やかさが感じられる。ベルリン・フィルはいかにも武骨だ。当ブログもこの機会にアダムズの音楽の勉強をしようと思う。取りあえずヴァイオリン協奏曲の復習とベルリン・フィルの「アダムズ・エディション」の他の曲を聴くことから始めたい。なお、presto classicalではハイレゾがレギュラー価格(\3600)に戻ってしまったので、他のサイトで購入するしかない。国内ではe-onkyo で\3800とバカ高いので、できればvpnを使ってHDtracks やProsoundmastersから購入することをお勧めする。Kento Nagano:The John Adamas Album(DECCA)24bit96kHz Flac1.Common Tones in Simple Time2.Harmonielehre i. First Movement ii. The Anfortas Wound iii. Meister Eckhardt and Quackie5.Short Ride in a Fast MachineKent NaganoOrchestre symphonique de MontréalRecorded: 2017-11-04,La Maison Symphonique de Montréal
2019年09月26日
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エンリコ・ピエラヌンツィの新作が出ることをHMVのメールマガジンで知った。リリース元のStoryvilleのサイトをのぞいたら、ダウンロードできることが分かった。無期限のストリーミングとmp3をはじめ各種のフォーマットでダウンロードが可能ということで、試しにこのアルバムを購入してみた。amazonとBandGapを通じての配信なのだが、amazonはmp3のみなので、当ブログはBandGapを利用した。基本はストリーミングでオプションでダウンロードが可能なシステムだ。CDも購入できる。価格はDKK(デンマーク・クローネ)で9/24現在のレートは15.85だ。ダウンロードは80DKK(\1268)以上でCD音質のFalcやwav、ALACも選べるのがいい。ただし、ダウンロードには期限があるので、注意が必要だ。いつもの手順通り圧縮ファイルをダウンロードして、解凍後wav変換、アップコンバート、Flac変換と一連の手順でNASに格納した。価格は$11.5で換算で\1226ところがPaypalを使わなければならないので、\1313と少しアップしていた。ということで、今後Storyvilleの新譜はダウンロードで購入しようと思う。ブックレットはついていないが、それはないものねだりだろう。肝心の演奏だが、今年の3月にコペンハーゲンで行われたセッション録音。共演している二人は、近年演奏するようになったミュージシャンだ。ベースのトーマス・フォネスベック(1977-)は長らくラーシュ・ヤンソンのトリオで活躍していて、ピエラヌンツイとは2017年にコペンハーゲンのレストランでデュオのライブ録音を行っている。「Blue Waltz」(Stunt Records STUM 2108)ユリシス・オーウェンスとは2018年に出会っている。彼はメンバーでベースのクリスチャン・マクブライトのビッグ・バンドに参加している子飼いのミュージシャンだそうだ。曲は「Free Visions」というフリーっぽい曲が4曲あるのが目につく程度で、いつものリリカルな曲もさることながら、アグレッシブで力強い姿勢がうかがえる曲が結構あって、生気ある演奏が楽しめる。フリーは特に過激なことをやっているわけではないし、曲想はロマンティックなもの。この中では4曲目の「Free Visions4」が出色の出来。2分過ぎたあたりから、とんでもないテンポでピアノが驀進するところは、鳥肌が立つほど衝撃的だ。前半の「Night Waltz」、「Anne Blomster Sang」、「You Know」はいつもながらのピエラヌンツィのリリカルな曲たちで、安心して聞くことができる。そのなかで「Anne Blomster Sang」はテンポが速く、美しいながらも明るく活気に満ちた音楽で、元気が出てきそうな感じだ。「You Know」は透明感あふれるバラードが楽しめる。「Alt Kan Ske」はデンマーク語で「なんでも起こる」という意味らしい。「More Valentines」という副題が付いていて、「My Funny Valentine」を下敷きにした曲だそうだが、注意深く聞いても断片が数回出てくる程度なので、知識なしに聞けばほとんど分からないだろう。ピアノのイントロからかなりアグレッシブで刺激的な演奏。「One for Ulysses」」はユリシスをフィーチャーした曲でかなりアグレッシブな曲。トーマス・フォネスバックはいつもながらサウンドが澄んでいて、音程にも不安がない。ただ、積極的にピアノをプッシュするほどではない。オーエンスはシャープというよりは太いこん棒でガツンとぶっ叩くような感じのドラムで、パワフルで、他の二人へのプッシュも怠りない。速いながらもラテンの哀愁が漂う「Brown Fields」は3者の緊密なインタープレイが聴かれる。ベース・ソロもアグレッシブで活気がある。これは素晴らしいトラックだ。「Orphanes」も速いテンポで、ピアノとベースが絡みつくところはたまらなく魅力的だ。ということで、ピエラヌンツィのアルバムとしては異色ではあるが、力強く刺激的で、かなり楽しめる内容だ。何しろ曲がいい。今後このメンバーでの活躍が期待される。ディストリビューターのキャッチコピー「3者のインタープレイによるスリリングな展開はピアノ・トリオ史に新たな1ページを書き加える! 」はあながち大げさではない。Enrico Pieranunzi Trio:New Visions(Storyville Records → SOLID CDSOL6766)16bit 44.1kHz Flac1. Free Visions 12. Night Waltz3. Anne Blomster Sang4. You Know5. Free Visions 26. Free Visions 37. Alt Kan Ske(More Valentines)8. Free Visions 49. Brown Fields10. Dreams and the morning11. One for Ulysses12. OrphanesEnrico Pieranunzi(p)Thomas Fonnesbaek(b)Ulysses Owens Jr.(ds) Recorded March 10, 2019 at The Village Recording, Copenhagen
2019年09月24日
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ムノツィル・ブラスの新譜がミュージック・ストア・ジェイピーのメールマガジンで紹介されていた。他のサイトで安く売っていないか見たが、無いようなのでここから購入。確か\2200ほどだったと思うのだが、今は\2800ほどに値上げになってしまっていたので、ラッキーだった。年末に来日する予定だが、プログラムは「GOLD」というもので、今回のCDは前回の2017年の来日でのプログラム。ライブ録音だがデータが見つからない。何故か写真のクレジットはついているという不思議なつくり。演奏はスーパーなテクニックとこれでもかというヴォリューム、それに馬並みのスタミナで圧倒される。ただ、このバンドはヴィジュアルを含めたステージが売りなので、時々聞こえる笑い声や拍手が何を意味しているのかは想像するしかない。音だけ聞いても十分聞きごたえはあるのだが、映像付きだと楽しさも数倍だろう。どの曲もパワフルなのだが、こってりとした料理ばかりで、いささか食傷気味になることも確か。彼らの出身地であるウイーンの情緒が色濃く出ているのも、このCDの特徴だ。気にったのは、「火の鳥」の「カスチェイ王の踊り」一切妥協のないアレンジで、メンバーの超絶技巧と音のでかさに圧倒される。「タイガー・ラグ」はカナディアン・ブラスの十八番としてよく知られている。このバンドの演奏はスケールが大きく、時々出てくるチューバの轟音は破天荒な効果がある。カナディアン・ブラスが子供の演奏のように思えるほどだ。もう一つは「こうもり」序曲。13分ほどの演奏でここでも超絶技巧を駆使して圧巻の演奏を繰り広げている。途中色物的なおふざけがあるのも、このバンドの良さ。最後は火の鳥のエンディングを使って華麗に終わった。音だけで聞いても凄いのだが、実演で聴いたらさぞや圧倒されることだろう。その他『フォーブラザーズ」の爆裂のアドリブやダークなサウンドとエスプリの効いたメロディのコントラストがおもしろい「フレンチ・キッス」など聴きどころ満載。最後のマーラーはアンコールだろうか、ハーモニーが美しい。ということで、有無を言わせない演奏で、ブラス・ファン必携のアルバムところで、当ブログは秋田の公演に行く予定だが、気になるのは雪の具合。当日大雪になれば、たどり着けない可能性があるので、天候次第では電車で行くことも考えなければならないので、いまからひやひやしている。ひやひやしているといえば、座席が前から5列目なので、難聴が再発しないかもちょっと心配だ。因みに杉並公会堂のコンサートは完売のようだが、リセールでviagogoなどのサードパーティーは使うなということがムノツィルブラウスのサイトに書いていた。「怒っている」と書いているので、現在の状況はミュージシャンにも評判が悪いのだろう。今の仕組みは世界中で取引が出来るので、国ごとに法律で取り締まることもできない。忌々しいが買い手が注意するしかないだろう。Mnozil Brass:Cirque(südpolentertainment EB292)1. レオンハルト・パウル:リッペンフレッサー・マーチ2.アントン・カラス(arr. トーマス・ガンシュ):映画「第三の男」よりテーマ3.バーナード・ハーマン (arr. ゲアハルト・フュッスル):「市民ケーン」より序曲4.イーゴリ・ストラヴィンスキー(arr. トーマス・ガンシュ):バレエ組曲「火の鳥」よりカスチェイ王の魔の踊り5.レオンハルト・パウル:フレンチ・キス6.スティング(arr. トーマス・ガンシュ):セント・アグネス・アンド・ザ・バーニング・トレイン 7.ニック・ラロッカ(arr. トーマス・ガンシュ):タイガー・ラグ8.ジミー・ジュフリー(arr. レオンハルト・パウル):フォー・ブラザーズ9.トーマス・ガンシュ:ループ・デ・サーカス 10.レオンハルト・パウル:ティップ・トップ・トゥ11.ヨハン・シュトラウス2世(arr. ムノツィル・ブラス):喜歌劇「こうもり」序曲12.グスタフ・マーラー (arr. レオンハルト・パウル):私はこの世に捨てられてムノツィル・ブラス
2019年09月22日
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恒例の岩手ジャズを見に行った。行く途中、中央通りで山車が動いていて、まじかで見られたのはよかった。ただ、日曜日なのに見物人が少ないのは寂しい。最初は恒例の選抜バンドの演奏。昨年の印象はあまり芳しくなかったので期待していなかったが、今回はサウンドが引き締まっていて、聞かせるソロ多く、近頃の演奏ではぴか一ではなかろうか。大船渡サンドパイパーズ・オーケストラのトロンボーンの斉藤さんのオリジナルがとてもよかった。サンバのリズムに乘ってキャッチーなメロディーが流れるノリのいい曲だった。同じく大船渡の吉田さんが編曲した後半の2曲も、ありきたりな編曲ではなく、新鮮だった。このメンツで本格的なコンサートを望みたいものだ。続くマーティー・ホロベック・トリオは毎回出演しているオーストラリア大使館の復興支援の「OUR FRIENDSHIP IN ACTION」のプログラムの一つ。ピアノトリオなのだが、リーダーがベース担当。3人とも日本在住で、リーダーはEテレの子供向け音楽番組「ムジカピッコリーノ」にシェフのマーティー役で出演しているそうだ。番組情報を見るとなかなか楽しげな番組のようだ。ベースがエレキベースのためか、ジャズやエレクトロニカに近い音楽。全4曲静かな曲ばかりで、盛り上がりに欠ける。メンツは毎回変わっているが、同じような傾向のグループばかりで、それも生気に乏しい演奏が多い。今後も支援していただけるとしても、もう少し面白いグループが聴きたいものだ。「渡辺香津美 JAZZ回帰プロジェクト」は、渡辺の原点であるジャズに回帰するというプロジェクトで2008年から始まっている。メンバーはベースの井上陽介とドラムスの大槻"KALTA"英宣という構成。井上陽介は速い曲でのテクニカルなベースソロで聴かせた。大槻"KALTA"英宣というドラマーは初めて聞いたが、重量感があり、なかなかパワフルだった。曲はモダンジャズ・クラシック中心だったが、渡辺の妻の谷川公子の「ハバナ」が一風変わったテイストで面白かった。最後はフュージョンの「マンハッタン・フルーダンス」で大いに盛り上がった。最後はレジェンダリー・カウント・ベイシー・オーケストラヴォーカルを入れて総勢19名という大所帯で白人は3人加わっていた。カウント・ベイシーのバンドを聴くのは数十年ぶりだ。たぶんフランク・フォスターがバンマスをしていた頃以来だ。本来のバンドマスターが亡くなってからも同じ名前で出ているバンドは多くあるが、個人的にはあまり興味がわかない。今回もお目当ては渡辺香津美でベイシー・バンドは全く期待していなかった。音が出たときに細身の引き締まったサウンドでおやっと思った。音楽監督のスコッティ・バーンハートの方針だろうが、アンサンブルが整っていて、ソロも芸達者がそろっている。なので、ベイシー楽団のルーズさやダイナミックさを期待すると、ちょっと違うということになるが、悪くなかった。PAも控えめで生音が感じられたのはよかった。「シャイニー・ストッキング」や「エイプリル・イン・パリス」の時にはなぜかウルっと来てしまった。昔の名前で出ています的に遺産で食っているバンドとは一味違ったバンドでとてもうれしかった。ソロはなかなか強力。頻繁にソロをとったテナーのダグ・ローレンスは大柄な上にサングラスをかけていて、それだけですごみがある。メタリックでエッジのきいたサウンドが、とても印象的だった。クインシー・ジョーンズの「What kind of fool am i」で端正なバラード吹奏を聴かせたマーカス・ハウエルもよかった。トランペットでは細身ながら中身の濃いソロを聴かせたフランク・グリーンが印象に残った。巨大な体躯のダーリック・ガードナーは、プレイはともかくその見た目で楽しませてくれた。アンコールは「エイプリル・イン・パリス」ノリノリの演奏でお目あてのエンディングもきっちりと繰り返して大満足だった。カーメン・ブラッドフォードのヴォーカルが何曲か入っていた。ビッグバンドにふさわしいゴージャスな雰囲気とソウルフルな歌いぶりで、スキャットも悪くなかった。最後は岩手ジャズバンドとの合同演奏で「ワン・オクロック・ジャンプ」?渡辺香津美が参加していたのはうれしかった。選抜バンドのメンバーがプロに交じって、堂々とソロをとっていたのは立派。特に今回好調だったトランペットのメンバーがハイトーン連発で頑張っていたのには驚いた。岩手ジャズ 2019オープニング:”いわてJAZZ 2019” スペシャルバンド 1.A列車で行こう 2.斉藤龍一 曲名不詳 3.Lover Man 4.キャラバンマーティー・ホロベック・トリオ 1.しょうがある 2.The First Proxy? 3.Snack Bar 4.曲目不詳渡辺香津美 JAZZ回帰プロジェクト 1.B・バド・パウエル:クレオパトラの夢 2.J・コルトレーン:モーメント・ノーティス 3.谷川公子:ハバナ 4.H・カーマイケル:ジョージア・オン・マイ・マインド 5.J・コルトレーン:インプレッションズ 6.渡辺香津美:マンハッタン・フルーダンス渡辺香津美(g)井上陽介(b)大槻"KALTA"英宣(ds)レジェンダリー・カウント・ベイシー・オーケストラ 1.Magic Flea 2.Corner Pocket 3.What kind of fool am i 4.(曲名不詳)2テナーのバトル 5.Honeysuckle Rose 6.Only The Young 7.Shiny Stockings 8.(曲名不詳) アンコール April In ParisLegendary Count Basie Orchestraジャムセッション One O' Clock Jump?2019年9月15日岩手県民会館2階中4列11番で鑑賞
2019年09月20日
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このところジャズ界では最もホットな話題となっているマイルス・デイヴィスの「ラバーバンド」がリリースされた。1985年、コロンビアからワーナーに移籍したマイルスが、最初にレコーディングしたものだったが、あまりにも新しすぎて世の中に受け入れられないと判断したスタッフはリリースを断念。次にレコーディングした「TUTU」(1986)がワーナーでの最初のリリースとなり、「ラバーバンド」はお蔵入りしてしまった。時を経て2018年のレコード・ストア・デイにこの時の録音から4曲入りのEP『RUBBERBAND EP』が正式にリリースされ、今月全11曲が正式にリリースされた。ハイレゾも同時にリリースされたため、HDtracksからハイレゾを$20.98の20%オフで購入。録音を聴くと古臭くなく、現代でも十分に通用する音楽だ。言い換えると、当時は新しすぎて受け入れられなかったというスタッフの判断は正しかったといえるだろう。当時リリースされてたら、正当な評価が得られず本当に埋もれてしまっていたかもしれない。基本的にはダンス音楽で、あとから追加したヴォーカルがないと、かなり貧弱な音楽になっていたように思う。34年も前の録音なので厚化粧気味なのはしかたがないが、現代の録音とそれほど遜色なく聞けるのは有難い。それにしても、あまり古臭さを感じさせないのは、マイルスの当時の音楽がいかに進んでいたかを示すものだろうし、改めてマイルスのすごさを感じてしまう。コロムビアでの最後のレコーディングである「You're Under Arres」も同じ年の録音で、リリースも同年。マイケルジャクソンやシンディー・ローパーのカバーを含むアルバムだが、「ラバーバンド」に比べるとだいぶ落ちる。移籍という大きな変化によってマイルスの創作意欲が俄然漲ったのかもしれない。少なくとも「You're Under Arrest」とは桁違いなマイルスの意欲が感じられる。「Give It Up」など、マイルスがこれほどバリバリ吹いている録音もそれほど多いとも思えない。リミックスやハイレゾ化しているとはいえ、録音もサウンドの厚みがまるで違い、音楽のインパクトも強烈だ。冒頭のニューヨークの喧騒?の入った「Rubberband of Life」から圧倒的なダイナミズムを見せる。マイルスが何度か「ラバーバンド」とラップのように呟いているのが面白い。気に入ったのはインストの「Carnival Time」同系統の「I Love What We Make Together」などともにソウルやファンク色が強く、文句なしに楽しめる。これもインストの「See I See」はシリアスなムード漂う曲で、リズムも強烈だ。ラテンタッチの「Paradise」は強面のマイルスが、こんな楽し気な音楽をやるなんて思わなかった。まあ、あとから追加したパートの威力がすごくて、元の録音ではこれほどの完成度にはならなかっただろう。なので、これはマイルスとこのリリースに加わったメンバーとの合作とでも呼ぶべきものだろう。まあ、プロセスはどうあれ最終的なアウトプットが良ければ文句はないのだ。今回のリリースはオリジナル・セッション時のプロデューサーでもあったランディ・ホールとゼイン・ジャイルズ、それに録音当時ドラマーとしてレコーディングに参加していたマイルスの甥、ヴィンス・ウィルバーン・ジュニアにより完成した。彼らは復刻をはるかに超えた、再創造とでもいうべき実にいい仕事をしたと思う。とにかく今頃こんなにすごい録音が出てくるなんて、長生きはするもんだ、とつくづく思う今日この頃。Miles Davis:Rubberband(Rhino/Warner)24bit 96kHz Flac1.Rubberband of Life2.This Is It3.Paradise4.So Emotional5.Give It Up6.Maze7.Carnival Time8.I Love What We Make Together9.See I See10.Echoes in Time"/"The Wrinkle11.RubberbandMiles Davis(tp,key)Adam Holzman(key)Neil Larsen(key)Wayne Linsey(key)Steve Reid (prec.)glen barris(sax)Vince Wilburn Jr.(ds)Randy Hall(vo track10 only)Additional musiciansLalah Hathaway(vo trak4 only)Ledisi(vo track1 only)
2019年09月18日
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スペインのバルセロナ市立吹奏楽団の新譜が出ていることを知り、Presto Classicalから\660で購入。以前出ていた「カタロニアの吹奏楽作品集」(2017)の続編。因みに国内ではe-onkyoが配信しているが、\2500で勝負にならない。このバンドは、naxosから何枚かCDを出していて、その時の演奏が良かったので、例によってSPOTIFYで確認後購入した。ちょい聴きだとあまり良い感じではなかったのだが、例によって庭仕事をしながら聞いていたら、いい曲が多いことに気づかされた。サウンドはお世辞にも洗練されているとは言えない。少し前にレビューしたダラス・シンフォニーの洗練されて圧倒的にダイナミックなサウンドとは程遠いサウンドだ。いうなれば、田舎のやぼったいバンドの音なのだ。おそらく楽器があまりよくないのだろうが、取り上げられた曲にマッチして、いやがおうにもスペインを感じる音楽になっていた。ただ、ふつうスペインのバンドに感じる暑苦しさはあまり感じなくて済むのは有難い。もちろん腕はいいので、技術的に不満があるわけではない。作曲者はいずれも知らない人たちだが、スペインのバルセロナ県生まれで、面白い作品がそろっている。(すべて世界初録音)最初のシャビエル・モンサルバーチェの「日曜日の音楽(1983)」は3曲からなる組曲。バルセロナの世界遺産であるカタルーニャ音楽堂で毎週日曜日の午後に行われるコンサートのために書かれた作品。どの曲もユーモラスな曲想で、思わずニヤリとさせる気の利いた音楽。特に3曲目10分ほどで技術的にもそれほど難しくないので、コンサートの演目としても手軽に取り上げられロことができる使い勝手がいい組曲。ジョアン・アルバート・アマルゴス(1950 -)はジャズからフラメンコまでの技法を使って、さまざまなジャンルの作品を書いている。スペインの人気作曲家だそうだ。「ヨクス・テマティクス」(テーマ別のゲーム)はこのバンドの委嘱作品。都会的に洗練された作品で、20分を要する大曲。ヒンデミットを思わせるような、がっしりとした構成感がある。一方ラテン的な明晰さとユーモアがあり、スカッとする音楽だ。素晴らしい音楽なので、今後広まってほしい。エリゼンダ・ファブレガス(1955-)はバルセロナ音楽院を卒業後アメリカのジュリアード音楽院で教育を受け以来アメリカで教育に従事する傍ら、作曲やピアニストとして活躍している。2015年からソウルに在住。吹奏楽、器楽、室内楽な100曲近い作品を書いている。交響曲第1番(2014)は4楽章構成の20分ほどの曲。今どきの音楽にしては旋律が子供っぽく、全体にあまり洗練されていない。意図的に平易に書いているのだろうか。昔のアメリカあたりの吹奏楽作品を聴いているような感じがする。第1楽章はテュッティの部分は少なく、アンサンブルの部分が多い。結構緊迫しているのだが、ザイロホンなどの打楽器が入ると、緊張感が薄れるのはご愛敬。第2楽章はゆったりした楽章で、この楽章もアンサンブルの部分が多い。木管の鄙びたサウンドがマッチしている。第3楽章ではカスタネットが加わりスペイン風になっている。頻繁に使われるトリルと、後半のテンポが上がってからはスペインを強く感じる。第4楽章は沈痛な感じで始まり、後半もあまり盛り上がらないので少々消化不良。ムイゼス・ベルトラン (1967-)のコントラバス協奏曲は5つのセクションからなる単一楽章構成の作品。ソロのジョナサン・キャンプスはバルセロナ交響楽団のコントラバス奏者で、世界中でソロ活動もされているようだ。曲自体が野暮ったくあまり面白くない。ソロも高音域がか細く、音程も安定感が不足していてあまり楽しめない。ソロがもう少ししっかりしていればだいぶ印象が変わったかもしれないCatalan Wind Music, Vol. 2 AMARGÓS/BERTRAN/FÁBREGAS(Naxos 8.573547) 24bit 48kHz Flac1.Xavier Montsalvatge (1912-2002):Música per a un diumenge (Music for a Sunday) I. Fanfarria II. El xotis de Llofriu (The Llofriu Chotis) III. La polka del Poble Sec (The Poble Sec polka)4.Joan Albert Amargós (1950-):Jocs temàtics (Thematic Games)5.Elisenda Fábregas (1955-):Symphony No. 1 I. Tempo giusto II. Cançó III. Scherzo IV. Tempo giusto9.Moisès Bertran (1967-):A Double Bass FantasyJonathan Camps (track9 only)Barcelona Symphonic BandSalvador Brotons (cond)Recorded 6-10 June 2016, L'Auditori, Tete Montoliu Hall, Barcelona, Spain
2019年09月15日
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数か月前にBDレコーダーが壊れた。その前から録画がされていなかったり、番組表がちゃんと表示しなかったりしていて、それでもだましだまし使ていたのだが、ついにお亡くなりになってしまった。自己診断の結果メーカーに問い合わせしなければならなことが分かり、聞いたところ、とうの昔に生産が打ち切られてて、引き取っても修理できるかわからないという回答だった。このレコーダーは発売が2010年春モデルで、まる9年ほど使ったことになる。しばらく放置してたのだが、消費税が上がることもあり、その前に何とかしたいと思っていた。パナソニックのDMR-4W200という2Tのハードディスクモデルを購入することにしたが、現在の環境で4Kが見られるか心配だったので、マニュアルをチェック。一番心配だったアンテナは4Kの全チャンネルは見られないが、NHKなどのBS右旋のチャンネルは見られるのでこのモデルを買うことにした。価格ドットコムの最安値の店を探して購入。購入後一週間ほど放置していたが、今日重い腰を上げて新しいレコーダーに交換した。セッティングは前のレコーダーの配線を移し替えるだけなので、それほど難しくなく、セットアップもすんなり終わった。ところがこのレコーダーにはラインの音声出力がなく、現在の環境ではアンプにダイレクトにつなげることができない。現在の環境はテレビからアンプに繋がっている、アンプで音を聴くことは可能なのだが、少し不満だ。前のレコーダーは容量が500Gしかないので、満杯になる頻度が高く、番組を録画するときには容量を確保するためにBDに焼くこともたびたびあった。今度は容量が2Tなので、前よりはだいぶ楽になるだろうが4Kを録画したら約2倍の容量が必要なので、それほど環境が改善されるとも思えないが、4Tはバカ高いので仕方がない。幸い外部HDDも接続できるようなので、取りあえずは安心だ。まだほとんど使っていないので、使い勝手がどれほど進化しているかはわからないが、期待したい。
2019年09月13日
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久しぶりで映画のレビューを書こうと思う。最近映画を見る機会がめっきり減って、前回レビューしたビル・エヴァンスの「Time Rememberd」以来3本しか映画を見ていない。そのうち2本を日曜日に見た。「天気の子供」と「Once Uppon A Time In Holywood」「天気の子供」はネットにはたくさんのレビューが書かれているので、当ブログがさらに追加する必要は全くない。一言付け加えれば、相変わらず映像が美しく、ストーリーも「君の名は。。。」よりは理解できた。今回の本題である「Once Uppon A Time In Holywood」はクエンティン・タランティーノ監督の「ヘイトフル・エイト」(2015)に続く長編映画今回の映画は、ほとんど予備知識なしで観たのだが、てっきり有名なシャロン・テート殺害事件を映画化したものと思っていた。後半のどん詰まりまで、そのつもりで見ていたのだが、最後に大どんでん返し。タランティーノ監督にすっかりしてやられた。いつもながらのタランティーノ監督の独特な進行方法が観客の頭(少なくとも当ブログ)を混乱させる。何しろ、話をしているときにその内容が劇中劇のように演じられたり、何の脈絡もなく突然関係ないストーリーに切り替わったりと、見るほうも大変だ。途中まではコミカルタッチのストーリーで進んでいくが、ヒッピーたちが住んでいるスパーン映画牧場の場面になると、雰囲気が凍り付くような雰囲気にガラッと変わっていくシーンは見事。期待のスプラッター・シーンは最後の部分だけで、シーンそのものはそれほどむごいことになっていない。まあ、武器が素手とナイフなのでおのずと限界がある。どちらかというと火炎放射器を使ったシーンのほうが刺激的かもしれない。CGを使わないですべてセットや現存する建物をつかったというハリウッドの風景もリアリティがある。当時のことを知っているアメリカ人たちには懐かしい風景だっただろう。この映画では、当時のテレビの人気番組やキャストたちが出演した映画の話が出てくる。会話では終わらずに、映画の場面に切り替わってしまうのは面食らってしまうが、より一層リアリティが増すというもの。これらの作品をよく知っている人が見れば、その面白さが増すと思うが、当ブログはほとんど知らないので、面白さも半ばだったかもしれない。当ブログが知っている「大脱走」でスティーブ・マックイーンが収容所の所長たちと会話するシーンで、いきなり主人公のリック・ダルトンに代わる場面がユーモアがあった楽しめた。そのほか、シャロン・テートが出演したコメディ映画の一場面も笑わせる。キャストでは、主役の二人はもちろん素晴らしい出来。映画俳優のリック・ダルトン役のディ・カプリオ(1974-)は落ちぶれた映画俳優の苦悩と悲哀がよく出ていた。コミカルな場面も相変わらず上手い。リック・ダルトンの専属スタントマンのクリフ・ブース役のブラッド・ピット(1963-)はアップになると、さすがに年を感じさせるが、鍛えられた体は見事なものだった。スタントマンという役柄に合わせてシェイプアップしたのだろうか。日常の抑制された表情と、暴力場面の容赦ない表情のコントラストが見事。他にはシャロン・テート役のマーゴット・ロビー(1990-)が大変美しい。シャロン・テートも大変な美人だが、少し憂いが感じられる。ほとんど同じ年齢で、顔かたちから言ってもまさに適役だろう。これから観る方には、彼女が出演している映画を見る場面の足の裏に注目してほしい。他にリックが出演する西部劇の子役トルーディ役のジュリア・バターズ(2009-)の賢いが少しこまっしゃくれた演技がとても新鮮だった。将来が大いに嘱望される才能だろう。公式サイト
2019年09月11日
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今年のSfjazz Collectiveのライブ録音を入手した。国内ではディスクユニオンでは7,128円と高価。もともと、このグループのCDは限定版で高い。当ブログとしてはロスレスでいいのでダウンロードできると有難いのだが、今のところそうはなっていない。以前はSFJAZZのサイトから直接購入していたが、アメリカ国内のみの配送で、仕方なく子供に送ってもらって、それを転送するという方法をとったことがある。昨年あたりからamazon.comに出るようになったので、amazon.comから購入している。今回は本体が\3872送料が\833合計\4705となった。送料が昨年比約2倍になったのは痛い。国内ではほとんど入手困難なので、多少手間がかかってもこの方法が一番いいようだが、amazonがいつまで対応するかはわからない。ebayは調べなかったが、今見ると新品で\3,080とさらに安かったが、日本に送るのはひと手間かかりそうだ。このCDはシリアル番号がついていて「0802」だったので、まだまだ購入可能だ。前置きが長くなったが、今回はタイトル通りジョビンの作品集と例年どおりメンバーのオリジナルという2枚構成。ジョビンの特集はあまり期待してなかったが、これが予想外に素晴らしかった。普通ジョビンの音楽というと癒し系のアレンジが相場なので、こういう攻撃的なボサノヴァは記憶にはない。おそらく、ボサノヴァがアメリカに紹介しされたときのゲッツの演奏がデフォルトになっていたため、それが当たり前になってしまったのだろう。実に思い込みは恐ろしい。それをを打ち破ってくれたメンバーには、賞賛の言葉しかない。メンバーの競争意識がいい方向に働いて、攻めるアレンジになっているのだろう。ただ難しいアレンジで演奏するのは、なかなか大変だ。全曲スカなしで、どの曲もアレンジが凝っていて新鮮な気持ちで聞くことができる。何よりも、アメリカ西海岸の突き抜けるような青空の中で響いてくる乾いたサウンドで、とても気持ちがいい。特によかったのはミゲル・ゼノン編曲の「One Note Samba」速めのテンポで攻めること攻めること。ロビン・ユーバンクスのトロンボーン・ソロもアグレッシブだ。テュッティの厚みのあるサウンドはビッグバンドを聴いているようだ。オーブド・カルベアー編曲の「Waters of March」は最初はアンサンブルでテーマは2分ほどしないと出てこない。中間部はサルサ風でコーラスも加わる。エドワード・サイモン編曲の「The Girl From Ipanema」はゼノンのアルトがボサノヴァらしくない不健康な表情なのが面白い。テンポが上がってからのゼノンのアルト・ソロのバッキングのアレンジが素晴らしくいい。「Inutil Paisagem」(無意味な風景)はイントロでギターが聞こえるような気がするが、クレジットはない。この曲は一番ボサノヴァらしアレンジだろう。ここでもトロンボーンソロが秀逸。オーブド・カルベアー編曲の「Corcovado」はピアノのオスティナートとドラムスの細かいリズムが続くミステリアスなムードが全曲を支配している。ピアノといっても、弦をはじいているような音だ。オルゴールの音を聴いているような不思議な感覚。やっとテーマが出てきたと思って断片がちょろっと出てくるだけでもムードは変わらない。オスティナートがやむとテーマの断片が出てくる。この部分は降り続く雨が一時止んで、つかの間の静寂みたいな詩的な気分になる。すぐ元の雰囲気に戻ってベースソロでエンディングまで進む。そうするとオスティナートは雨がしとしと降るイメージを表しているのかもしれない。このアレンジは大変優れている。「Chega de Saudade」は速いテンポのリズミックな編曲。イントロはピアノとヴァイブのデュオでカノン風な進行。さながらモダン・ジャズ・カルテットの雰囲気。この曲のサウダージを感じさせる優しいイメージとは違って、かなりアグレッシブ。途中のサルサ風な部分でのマリンバとアルトの掛け合いも面白い。デイビット・サンチェス編曲の「A Felicidade」も速いテンポでぐいぐいと迫る演奏。コンガが加わったパーカッションが充実している。不協和音を含んだテュッティのハーモニーがしゃれている。エンディングはパーカションのソロに他のメンバーのコーラスが加わり、お祭り気分を盛り上げている。ヴァイブをフィーチャーした「How Insensitive」は原曲のイメージに最も近いかもしれない。シンプルなアレンジだが、ソロが聴かせる。リフがオリエンタルムードを醸し出して、なかなかいい雰囲気だ。「Ligia」はサンバのリズムにのって軽快に進む。途中のベース・ソロではバックとの掛け合いがユーモラス。後半のヴァイブ・ソロはここでも好調。2枚目のメンバーのオリジナルは、一人1曲ずつの割り当て。全体を通して同じムードで統一されており、ばらつきは感じられないのは長い付き合いがあるからだろう。Edward Simonの「Insight」はクロマティックなメロディーと斬新なハーモニーで爆走する。作曲者自身の長いピアノ・ソロがある。オーブド・カルベアーのドラムスのあおりが半端ない。後半もピアノソロがあるが、そこにかぶさるアルトの短いモチーフが耳新しく、そこに被るテナーのフリーキーなトーンで曲が盛り上がる。オーブド・カルベアーの「MZ’s World」のMZとはミゲル・ゼノンのこと。カルベアーが2013年にこのグループに参加して以来、ゼノンからいろいろなことを教えられ、感謝をこめて書かれた曲だ。ゼノンが中心だが、大きくフィーチャーされているわけではない。アルトとヴァイブの細かいリズムに乗ってコラール風のメロディーがブラスで奏されるのは、ジャズではあまり聞いたことがない。テーマが終わるとゼノンの長いアルト・ソロが続く。高度な技術に支えられた短いパッセージをつなぎ合わせたアドリブは、聴きごたえ十分。ドラムスは相変わらず荒れ狂っているが、宗教的な気分になってしまう不思議な曲。サンチェスの「Variation」は出だしからテンポが速く、テクニカルなパッセージの応酬から始まる。テナーとトランペットのソロが続く。サイモンのエレクトリック・ピアノが曲にマッチして、いい感じ。ゼノンの「Infinito」はゆったりとしたバラード最初はピアノとのデュオでしみじみ聴かせる。途中から他の楽器も入りテンポが上がる。ユニゾンで演奏されるテーマが懐かしさを覚える印象的なメロディー。後半は短いフレーズが執拗に繰り返されるなかに、あらたに断定的なモチーフが出てくるあたりはなかなか感動的だ。ウルフの「Another Side」はフュージョン系の曲。彼はブックレットのなか、ハービー・ハンコック、ジョン・スコフィールド、チックコリアのグループのファンで、この曲はそれらのグループの影響が感じられる曲だと言っている。テンポの速いスピーディーな進行にアルトやエレクトリック・ピアノのソロが絶妙にマッチしている。エンディングの複雑なリズムをただき出すドラムソロは圧巻の出来。ベースのマット・ブルーワーの「Unseen Worlds」は彼が初めて作曲した曲だそうだ。ホーンの4声部のハーモニーの上で、ドラムスがソロを繰り広げるという曲4分ほどの短い作品ユーバンクスの「It Takes A Village」はアンサンブルの部分が多い。テンポが速くなってからは、ダンサブルな曲調になる。トロンボーン・ソロで重音奏法が聴かれるのは珍しい。最後はトリニダード・トバゴ出身のエティエンヌ・シャルルの「Sketch」クールな中に熱いアドリブが入っていて、なかなか聴かせる。現在のこのバンドのメンバーはラテン系のミュージシャンが多くを占めているが、彼もその一人。アンサンブルではいいのだが、ソロになると他のメンバーに比べると若干見劣りする。線が細いのだ。サンチェスのテナー・ソロがいい。録音はライブとしては鮮明な録音だが、低音がいまいちなのが惜しい。ライブ録音は彼らの実力が十分に出ているとは思えない。ということで、ジョビン特集もメンバーのオリジナルも水準が高くとても楽しめる。特にジョビン特集はぜひ聞いていただきたいところなのだが、日本に限って言えば高価で入手困難なことが難点だ。幸いSPOTIFYでは全曲を聴くことができるので、会員の皆様には是非お聞きいただきたい。SFJAZZ COLLECTIVE :Live At Sfjazz Center 2081 The Music Of Antonio Carlos Jobim(SFJAZZ RECORDS)CD1:1.Jobim(arr.Obed Calvaire):Waters of March2.Jobim(arr.Miguel Zenon):One Note Samba3.Jobim(arr.Edward Simon):Retrato Em Branco E Preto4.Jobim(arr.Edward Simon):The Girl From Ipanema5.Jobim(arr.Etienne Charles):Garoto6.Jobim(arr.Robin Eubanks):Inutil Paisagem7.Jobim(arr.Obed Calvaire):Corcovado8.Jobim(arr.Warren Wolf):Chega de Saudade9.Jobim(arr.David Sanchez):A Felicidade10.Jobim(arr.Warren Wolf):How Insensitive11.Jobim(arr.Matt Brewer):Amparo (Olha Maria)12.Jobim(arr.Etienne Charles):LigiaCD2:1.Edward Simon:Insight2.Obed Calvaire:MZ’s World3.David Sanchez:Variations4.Miguel Zenon:Infinito5.Warren Wolf:Another Side6.Matt Brewer:Unseen Worlds7.Robin Eubanks:It Takes A Village8.Etienne Charles:SketchMiguel Zenon(as)David Sanchez(ts)Etienne Charles (tp)Robin Eubanks (tb)Warren Wolf (vib)Edward Simon(p)Matt Brewer(b) Obed Calvaire(ds)Recorded during the Collective’s four-night residency in October 2018 on the Miner Auditorium stage at SFJAZZ
2019年09月08日
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このところ歌ものが続いているが、今回もサンドリーヌ・ピオーの新譜。この方は昨年のレコード・アカデミー賞の受賞作で初めてお耳にかかった歌手。新作が出ているのを知ったのもレコード芸術の月評で取り上げられたからだ。アルファ原盤だったので、もしかしたらと思って、HighresAudioのサイトを覗いたら、ハイレゾがリリースされていた。24bit48kHzでブックレットはついていないが、$12.8と格安だったので、即ダウンロード。192kHzにアップコンバートして、NASにコピーした。キャッチコピーが「ピオーがピリオド楽器による管弦楽団と歌う、フランス近代歌曲集」というもの。コンセプトはオーケストラがプライベートサロンからコンサートホールに移った当時のフランスの歌を祝うリサイタルとのこと。古楽器によるフランス音楽のサウンドに興味のある方は触手を動かすかもしれない。当ブログは、この組み合わせに特に興味を惹かれたわけではないが、前作がなかなか良かったので、その繋がりで聴いたようなものだ。注目のサウンドだが、以前レクシェルの演奏でベルリオーズの夏の夜を聴いていたので、あまり違いは感じなかった。ル・コンセール・ド・ラ・ロージュのサウンドが古楽器のゴツゴツした質感のサウンドではないのも、理由の一つだ。古楽器といいながら、サウンドのエッジが丸みを帯びているのが大きい。また、しなやかな表現はさすがにフランスの楽団と思ったものだ。ブレンドしたサウンドが作曲当時の雰囲気を伝えていて悪くない。ピオーのヴォーカルは悪くはないが、フランス語自体の陶酔は味わえなかった。発音がきついのだ。ベルリオーズ以外は初めて聞いたが、どの曲もフランスの歌曲らしい柔らかな感触で、聞いていると気持ちがよくなる。サン=サーンスは4曲。テンポの遅い曲とリズミカルな曲が2曲づつ。リズミックな「蝶々」「駆け落ち」が楽しい。「蝶々」のあたかも蝶がヒラヒラ舞っているように感じられるフルートの速いパッセージが印象的作曲家の腕の冴えが感じられる。「駆け落ち」は題名とは裏腹に快活な曲で、解放された恋人のうきうきした気分を表しているのだろうか歌詞が分からないのであくまでも当ブログの感想ジャン・ポール・マルティーニ(1741 - 1816)「愛の喜び」はメロディーはよく知っているが、それはエルビスの「「好きにならずにいられない」の原曲だと知ったのはこの項を書くために調べてわかったこと。原曲はリズミックで楽し気だが、歌詞は『不実な恋人についての愚痴』(wikiだそうだ。古楽器のサウンドがマッチしてとても気持ちがいい。 ただ、ドイツ人のためか、フランス人の作品に比べると少し重い。track6,11,15,17はオケのみの曲。ピエルネの「昔日の唄」は原曲が『我が小さき友たちのためのアルバム』とうピアノ組曲の中の一曲でそれを管弦楽にアレンジしたもの。淡い色彩の爽やかな小品。有名な「鉛の兵隊の行進曲」もこの曲集に含まれている。テオドール・デュボア(1837–1924)はフォーレの前のパリ音楽院院長で、作品はたくさんあるが、数曲を除いては現代ではほとんど取り上げられないそうだ。(wiki)デュボアの作品は4曲取り上げられている。詩情豊かで穏やかな音楽だがスケールが大きい。管弦楽の「星たちに」は繊細で実に味わい深い。アレクサンドル・ギルマン(1837-1911)の「静寂が語るのは」はリズミックで楽し気な雰囲気が伝わってくるバンジャマン・ゴダールはおびただしい作品を残しているが、今ではほとんど忘れ去られているそうだ。「Grave ma non troppo lento」は5楽章からなる交響曲「ゴチック風」(1874?)の第3楽章。哀愁を帯びた旋律がゆったりとしたテンポで流れていく5分ほどの曲。美しいが、単調でそれほど面白くないということで、知らない曲が多かったが、聴けて良かったと思わせる一枚。サンドリーヌ・ピオー『恋の相手は…』19世紀フランスの管弦楽伴奏付歌曲集 (Alpha ALPHA-445)24bit48kHzFlac(追憶)1.サン=サーンス:恍惚2.サン=サーンス:蝶々3. ボルド:朝の散歩 4.ベルリオーズ:墓場にて(『夏の夜』 H.81より)5. マスネ:詩人と幽霊6. ピエルネ:昔日の唄(『我が小さき友たちのためのアルバム』 Op.14より)7.デュボワ:話し相手は、恋の相手は(欲望と誘惑)8.ベルリオーズ:ヴィラネル(『夏の夜』 H.81より)9.デュボワ:沼への散歩(『水上の音楽』より)10.ヴィエルヌ:立派な白い蝶々が(3つの歌曲 Op.11より)11.デュボワ:星たちに12.ギルマン:静寂が語るのは(12のモテットより)13.デュボワ:柳の下で(『マルジョリの歌集』より)14.サン=サーンス:愛しあいましょう15.ゴダール:きわめてゆったりしたワルツ16.サン=サーンス:駆け落ち17.ゴダール:荘重に(ゴシック組曲 Op.23より)18.マルティーニ:愛の喜び(管弦楽編曲:ベルリオーズ)サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ track1-5,7-10,12-14,16,18)ル・コンセール・ド・ラ・ロージュジュリアン・ショーヴァン(ヴァイオリン&指揮)録音時期:2018年3月 フランス東部ロレーヌ地方メス、アルスナル音楽堂
2019年09月04日
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Presto Classicalのジャズ部門を見ていたら、ヴェロニカ・スイフトというアメリカの白人女性歌手の記事が出ていた。ピアニストのホッド・オブライエン(1936-2016)とジャズ・ヴォーカルのステファニー・ナカシアン(1954-)を両親にもつ、正統派ヴォーカリストだそうだ。興味がわいたので、早速新作の「Confession」をspotifyでチェック。幸いアップされていたので、庭の手入れをしながら聞いた。これがなんとも素晴らしかった。アニタ・オデイやジューン・クリスティーのような白人女性歌手の影響がかなりあり、男でいえばメル・トーメの雰囲気がある。白人女性ジャズ・ヴォーカリストのいいとこどり、みたいなうまさだ。歯切れが良く、発音がクリアだ。馬力があり、これほど大きな声で歌っている歌手もなかなかいないような気がする。それも無理に大きな声を出しているのではなく、実にのびやかで、聞いているとスカっとする。ライブで聞いたらさぞやすごい予感がする。ほとんどが聴いたことのない曲ばかりだが、ウイットに富んでいて趣味のいい選曲だ。スキャットもすごいが、短い曲で小粋な雰囲気を出す才能はなかなかあるものではない。「 You’re Gonna Hear From Me」のイントロなどはナンシー・ウイルソンの語り口を思い起こさせる上手さだ。ブルースも聞かせる。この方面でいいのは、2曲目のジョニーホッジスの「A Little Taste」原曲はかなり黒っぽいが、この演奏は実にコミカルでチャーミング。ミュージカルのナンバーみたいな、小粋な味わいが何ともいい。ラッセル・ホールのベースとのデュオ「No Not Much」も同じような味わいで楽しめる。「Forget About the Boy」での快適なテンポと爽快感もスカッとする。アップテンポの曲が多いが、ピート・ルゴルの「Interlude」メル・トーメの「A Stranger in Town」のようなスローバラードでも、硬質な肌触りが独特。この曲ではアニタ・オデイの語り口を彷彿とさせ、後半の盛り上がりも心に染み入る。唯一のオリジナル「I Hope She Makes You Happy」はゆったりとしたベースとのデュオで始まり、ピアノ・ソロを経てテンポ・アップして盛り上がる。タイトルチューンは「Confession」と「The Other Woman」をつなげたもので、「Confession」はバース的な扱いで「The Other Woman」ではしっとりと歌い上げている。「Gypsy in My Soul」はミステリアスなイントロと、その後の明るくからっとした雰囲気のコントラストが面白い。ヴェロニカの奔放なヴォーカルの魅力全開のナンバー。バックはベニー・グリーンと、エメット・コーエンの2組のトリオで、グリーンの3曲以外はコーエンのトリオが付き合っている。どちらも普段付き合っているトリオなので、息もぴったりだ。バックがピアノ・トリオなのだが、ホーンが入ると、ホーンとの掛け合いで、もっと面白くなりそうな気がする。今どきの白人の女性歌手といえば、バラードを歌うような歌手ばかりだが、たとえは間違っているが、このような小股の切れ上がった歌手がいるのはとてもうれしい。因みにこの言葉は『膝から腿にかけて引き締まって、すらりと伸びた脚の女性のこと』だそうで、当ブログのいい方はあくまでもイメージ。この言い方にふさわしい女性は江戸時代の女性たちのことで、現代ではそれは望めなくなったとか。閑話休題ハイレゾをチェックしたらHDtracksとProstudioMastersの両方でCDに先行リリースされていて、値段を計算してProsutudioMastersのカナダから購入した。税込みで 日本円で約1400円。いい買い物だった。ipadで聞いた音とハイレゾは音は確かに違うが、音楽の印象はそれほど差がない。音の良しあしとは別のところで、聴き手に響いてくるのだろう。彼女のサイトを見ると今までに4枚のCDをリリースしているので、おいおいチェックしたい。その中で見つけたベニー・グリーンと共演した「THEN AND NOW」でのキレキレのバップスキャットが驚異的な出来。彼女が参加していない曲がイマイチだったので、参加曲だけを買おうとしたができなかったのは残念。ということで、今のところ今年聴いたジャズ・ヴォーカルの中では断トツのできと断言して差し支えないと思う。youtubeにI’m Hipがアップされている。ジャケ写より顔の横幅が広いが、その分愛嬌がある。母親と共演した「ハイハウザムーン」ではスキャットの応酬がすごい。Veronica Swift:Confession(Mack Avenue Records MAC1149)24bit 96kHz Flac1. André Previn, Dory Previn:You’re Gonna Hear From Me ()2. Johnny Hodges, Dave Frishberg:A Little Taste3. Pete Rugolo:Interlude4. Dick Scanlan, Jeanine Tesori:Forget About the Boy()5. Mel Tormé:A Stranger in Town ()6. Victor Schertzinger:I Don’t Wanna Cry Anymore ()7. Veronica Swift:I Hope She Makes You Happy()8. Arthur Schwartz, Howard Dietz:Confession/Jessie Mae Robinson:The Other Woman9. Clay Boland, Moe Jaffe:Gypsy in My Soul ()10. Robert Allen, Al Stillman:No Not Much ()11. Bob Dorough, Dave Frishberg:I’m Hip ()12. Roy Ingraham, Harry Tobias:No Regrets ()Veronica Swift (vo)Emmet Cohen (p, 1, 2, 4-6, 9, 11, 12)Russell Hall (b, 1, 2, 4-6, 9-12)Kyle Poole (ds, 1, 2, 4-6, 9, 11, 12)Benny Green (p, 3, 7, 8)David Wong (b, 3, 7, 8)Carl Allen (ds, 3, 7, 8)
2019年09月02日
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