全15件 (15件中 1-15件目)
1
この前、盛岡文化振事業団から郵便が届いた。Mフレンドに入会しているので、チラシやら「ぽけっと」という会報がくるのだ。その会報の来年度の自主事業のラインナップを見ると当ブログので好きなジャンルは、かなり充実している。主なものは以下の通り6/14宮川彬良指揮のぱんだウインドオーケストラ11/18 イタリア・バーリ歌劇場「アイーダ」9/30 クロノス・クァルテット以上 マリオス9/22 大西順子トリオキャラホール特にクロノスが聴けるのは嬉しい。現代音楽専門なので、まさか岩手で聴けるなんて思わなかった。こういう自主事業のプログラムはそこの職員が決めているのだろうが、盛岡文化振興事業団のプログラムはセンスが良く、よく聴きに行っている。反面、地元の花巻の文化会館は最近目ぼしいコンサートがなく、ほとんど行っていない。やはり、音楽の好きな、ある程度よく知っている職員がいないと、どうしようもない、と今回の予定を見てつくづく思ってしまった。それにしてもクロノスとは恐れ入った。願わくは、中ホールとはいえ、入りがいいことを期待したい。
2019年12月30日
コメント(0)
この前の「猫からのプレゼント」で新たな展開があった。修理を依頼したソニーショップから電話があったのだ。話はアクティブスピーカーの保守用のアセンブリーがないため、修理できない、ついては然るべき値段で買い取りたいという話だった。部品がなくて修理ができないということは理解したのだが、そこから買い取るというストーリーが理解できなかった。今日ソニーのサービスから電話があったので、事情を聞いた。それによると、サービスパーツがないのだそうだ。修理の見込み数より実際の修理件数が多いため、予めサービスパーツとして用意していた部品が足りなくなったとのこと。そうすると、生産終了から6年間修理対応するという約束?が守れないので、買い取りをしたいということだった。当ブログとしては、有線LANのコネクタに無線LANの子機を繋いで使おうと思っていたので、形はどうでもいいから、アンテナを繋いでくれないかとお願いした。ところが、その部品がないと筐体の底板が閉まらないため、低音が出なくなるという。そういう話なら仕方がないということで買い取り値段を聞いたら、購入価格の2/3という意外な値段だった。事情があるにせよ、3年使ってそんなに戻ってくるとは思っていないので、即決してしまった。残る問題は代わりをどうするかだった。この2、3日アクティブスピーカーなしで、テレビやiPadの音を聞いているが、やはり物足りない。市販されているアクティブスピーカーを調べてみたが、あまり良いものがない。仕方がないので、ソニーのsrs-x88とsrs-x99の中古を探してみた。メルカリでx99の手頃な値段の物があったので、会員登録して検索。勘違いでxx8と入力してしまったのだが、一件ヒットした。価格も引き取り額プラス千円で、当ブログの条件にぴったり。x99も2万円足せば買えたので、大変魅力的だったが、スピーカーので購入を検討していることもあり、xx8を速攻で購入してしまった。こういうのを不幸中の幸いというのだろうか。
2019年12月28日
コメント(0)
大分前に購入していて、ちょっと聞いてあまりよくなかったので、しばらく放置していた。最近ジャズの新譜を購入することが少なく、購入してもなかなかブログにアップすることがなくなった。クラシックでもそうだが、自分の中で消化できないと文字にできないのだ。このアルバムも、チェックを十分にしてから購入したわけではないので、当初はストリーミングで十分と思っていた。なので、雑誌の批評が意外に良いのに驚いていた。たまに、少しづつ聞いていたら、絶賛というわけにはいかないが、悪くないと思うようになった。もっとも、演奏時間も短く軽量級の作品ではある。ディズニー・ナンバーの曲集といっても、あまり有名でない曲もあるが、スカはなく、ディズニーの映画音楽の懐の深さをうかがわせる選曲。これはディズニ・オフィシャルとしてディズニー・レコードからの発売なので、ディズニーのお墨付きで、そこいらのディズニー曲集とは違うのだろう。ディズニーらしいべたべたした感じの曲があまりないのは、当ブログにとっては好ましい。桑原が全曲アレンジしているが、全体に乾いてユーモアが感じられる編曲が多く、とても楽しめる。特に「ハロウィーン・タウンへようこそ」は見事な編曲だ。一番ジャズを感じさせるのは、ソロ・ピアノの「みんなネコになりたいのさ」だろう。途中から、猛烈なスピードで狂ったように弾く様は、凄みさえ感じさせる。オープニングの映画「アラジン」でジーニーが歌う「フレンド・ライク・ミー」はホーンのリフからヴォーカルが入るナンバーで、これもジャジーな編曲。一番長い「美女と野獣」のメドレーは5曲からなり、コンパクトにまとまっていて、各々のナンバーのテンポの違いがはっきりしている。モンスターズインクの「君がいないと」はトリオの疾走感がたまらない。弦楽四重奏やヴォーカルの入ったナンバーもあり、ヴァラエティに富んでいる。弦楽四重奏は単なる伴奏ではなく、チェロ(ホエン・シー・ラヴド・ミー )やヴァイオリン(ベイビー・マイン)のソロイスティックな部分があり、かなり聴かせる。「ホエン・シー・ラヴド・ミー」はピアノと弦の室内楽的なアレンジで、「ハロウィーン・タウンへようこそ」はピアノ・トリオと弦楽四重奏の編成で、かなり濃厚なテイスト。弦のうねりが半端ない。「輝く未来」での和田明が日本人離れしたヴォーカルを聞かせてくれる。自ら歌っているバックコーラスも洗練されている。声がかっこいいので、顔もいいのだろうと思ったのだが、丸顔のちょび髭で意外だった。ちょうど「Blue Journey」というアルバムが夏にリリースされたばかりなので、ストリーミングでチェックしたい。他のメンバーでは勝矢匠のどっしりとしたエレキベースのサウンドが存在感十分。「ベイビー・マイン」での山田丈造のトランペット・ソロも立派。クリスマスは終わってしまったが、何故かクリスマスのシーズンに聞くのに相応しい気がする。録音は音の立ち上がりが鋭く、音が前に出て来て、ジャズの録音として文句のない仕上がり。桑原あい:マイ・ファースト・ディズニー・ジャズ(Walt Disney Records UWCD-047) 1.フレンド・ライク・ミー [アラジン] 2.それがニューオーリンズ [プリンセスと魔法のキス] 3.ホエン・シー・ラヴド・ミー [トイ・ストーリー2] 4.みんなネコになりたいのさ [おしゃれキャット] 5.「美女と野獣」メドレー 6.君がいないと [モンスターズ・インク] 7.ベイビー・マイン [ダンボ] 8.ハロウィーン・タウンへようこそ/サリーのうた 9.輝く未来 [塔の上のラプンツェル] 10.ホール・ニュー・ワールド [アラジン] Ai Kuwabara(P)Keisuke Torigoe(b track 1, 5, 8, 10) Takumi Katsuya(eb track 2, 6, 7, 9)Akira Yamada(ds) (track 1, 2, 5, 6, 7, 8, 9)Takezo Yamada(tp track 1, 7)Yasuki Sogabe(ts)RIO(bs track1) MARU(vo track1)Akira Wada(vo & chorus track 9)Kenta Okamoto(prec. track2)Atsuki Yoshida(vn track 3,8)Natsumi Okimasu(vn track 3,8)Izumi Kawamura(va track 3,8)Harutoshi Ito(vc track3, 8)
2019年12月26日
コメント(0)
昨日の深夜、ドンという大きな音が聞こえた。その後音がしないので、猫が何かやらかしたのだろうと思いながらも、そのまま寝てしまった。朝起きると、キッチンのアクティブスピーカーが冷蔵庫の上から落下していると妻に言われた。見ると、アクティブスピーカーのWiFi用のLANのアンテナが切断されている。どうもアンテナを食いちぎった反動でスピーカーが落ちたようだ。取り敢えず動かしたら、つながっている。当ブログはハイレゾを流しているので、このままでは音質がどうなっているのか分からない。なので修理が必要だ。アンテナの修繕方法を調べたが、わからないので、ソニーのサービスに聞いた。具体的な方法を教えてもらう前に、自分で修理した場合は保証できないと言われた。仕方がないので、修理に出すことにしたが、ソニーのサービスステーションは全国に4カ所しかない。よくよく調べてみたらソニーショップというものがあり、そこに持ち込めばいいことがわかった。修理代と点検代がかかるが、送料は無料のようだ。近場では北上市にあるので、そこに持ち込んだ。参考までにソニーショップが縮小されている理由を店の人に聞くと、量販店の影響で店が少なくなっていることと、店がなくなっても、他の店をソニーショップにすることはないのだからなそうだ。買うことは通販で簡単になったが、アフターサービスは却って不便になってしまった。なので、安ければ買い換えるという考えになりがちだ。話がだいぶそれてしまった。昨日猫のおもちゃを買って遊ばせたのだが、そのお返しに、とんだプレゼントをもらってしまった。以前同じことが起きたが、そのあと何の対策も取っていない。これが真の原因なので、悪いのは怠惰な人間さまだ。スピーカーが帰ってくるまでしばらく時間がかかるだろうから、今度こそ、その間に何とかしようと思う。
2019年12月24日
コメント(0)
以前フランス人作曲家の作品集「France Romance」(Naxos)がよかったピアニストの福間洸太郎(1982-)が北上に来たので、聴きに行った。当ブログの予想に反して?中ホールながら入りは8分ほどで上々の入り。自身がMCを務めながらの進行だったが、作品の説明だけでなく、自身との関わりも詳しくお話しされていて、とても興味深かった。前半はクリスマスにちなんだ曲で、後半にフランス人の作曲家の作品が並んでいた。前半はバッハ、シューベルト、チャイコフスキーの作品ですべて編曲。前記のNaxos盤のジャケ写をみると40歳代にみえたが、実年齢は30代後半で、イケメンでスタイルがよく若々しい。基本的にはアゴーギクは控えめで、デュナーミクも適正。安定したテンポで、スケールの大きさが感じられる。力感はそれほどないが、豊かな低音が楽々出る。このホールでは何回かピアノを聴いているが、ファツィオリの魅力がこれほど、と思ったのは初めて。当人も仰っていたが、多彩な音色を出せるし、音に潤いがある。またフォルテシモの速いパッセージで聴かれる、鮮烈なサウンドは今までに聞いたことがないサウンドだった。やはり名手が弾くと、こうも違のかということを強烈に体験させてくれた。なので、バッハの前奏曲とフーガイ短調での力感溢れる演奏、通俗的な表現にならず、すっきりしたシューベルトの歌曲、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」での難曲と思わせない技巧の冴えなど、まったく素晴らしいものだった。後半はフランス人作曲家によるピアノのオリジナル作品が並んだ。圧巻はラヴェルの「ラ・ヴァルス」福間氏は2台のピアノ版はよく演奏しているそうだが、ソロは弾いていないそうだ。理由はラヴェルの編曲が物足りないということだった。3年前にアイスショーに参加する機会があって、そこでスイスの名スケーターであるステファン・ランビエールの依頼によって、ラ・ヴァルスを編曲したとのこと。Ice Legends 2016。福間氏がピアノを弾いた映像は見当たらないようだが、ここではカティア・ブニアティシヴィリがリンクの片隅でピアノを弾いている。ブニアティシヴィリの演奏は、ちょっとエキセントリックでかえって演技の邪魔をしているように思える。福間の演奏はブニアティシヴィリの演奏ほどではないが原曲よりもテンポがかなり速く、緊張感のある演奏だった。ラヴェルの編曲に音を足して華麗さが増しているが、それだけに難度は格段に上がっているようだ。この演奏を聴くと、原曲のオケの演奏が動作がのろい象を連想させるような鈍さを感じてしまった。また、この曲が幾種類ものワルツが繋がっている曲であることが、今回分かったのも収穫。終わった後は、汗びっしょりで、技巧だけでなく体力も相当使う編曲であることがよく分かった。ここら辺は録音では絶対分からないと思う。ドビュッシーのダンスはかなりテンポが速く、この曲の諧謔性がクローズアップされていた。フォーレは「即興曲」の悲しみを感じさせる繊細な演奏と、「ノクターン」の流れるような演奏が聞かれ、地味だと思っていたフォーレがこんなに美しいのかと思わせる演奏。福間氏はフォーレが好きで、日本でももっと聞かれてほしいと仰っていた。福間氏は岩手は初めてとのことだったが、アンコールで宮沢賢治の詩集にちなんだ映画「蜜蜂と遠雷」の挿入曲の藤倉大の「春と修羅」を最後に演奏してくれた。因みにこの映画には四人のピアニストが弾いていて、福間氏は松坂桃李扮する高島明石のピアノを担当していたそうだ。youtubeコンサートでの演奏は今回が初めてで、宮沢賢治にちなんだ曲を選んでくれた心遣いが嬉しかった。とうことで、今年のコンサートの聞き納めは、大満足のコンサートだった。ところで、当日は時々起こる小さなトラブルが待ち受けていた。近くで飴を取り出すために袋をカサカサさせたり、喘息気味なのか洟をぬぐうためにちり紙を取り出す音など、賑やかなことこの上ない。おかげで、フォーレの「ノクターン」では咳とちり紙を取り出す音が気になって、音楽に集中できなかった。また、すぐ後ろではダブル・ブッキングで、中年のおばさんが移動をお願いされても席を離れないとか言ってごねていたりして、さんざんだった。今はやりのクレーマーだろうが、いい年をしてみっともない。福間洸太朗 ファツィオリ ピアノリサイタル前半1.バッハ(ヘス編曲):主よ人の望みの喜びを2.バッハ(リスト編):前奏曲とフーガイ短調3.シューベルト(リスト編):セレナーデ4.シューベルト(リスト編):アヴェ・マリア5.チャイコフスキー(プレトニョフ編):くるみ割り人形より 行進曲 金平糖の踊り アンダンtテ・マエストーソ8.チャイコフスキー(タニェーフ編):くるみ割り人形より「花のワルツ」後半9.ドビュッシー:夢10.ドビュッシー:ダンス(スティリー風タランテラ)11.フォーレ:即興曲Op.84-512.フォーレ:ノクターン第6番Op.6413.ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ14.ラヴェル(福間編):ラ・ヴァルスアンコール1.クララシューマン:ノットルノ2.ローベルト・シューマン:(リスト編):献呈3.藤倉大:春と修羅4.エルガー:愛のあいさつ2019年12月21日北上市文化交流センターさくらホール中ホール7列24番にて鑑賞
2019年12月22日
コメント(0)
五明カレンというカナダの若いヴァイオリニストがヴィバルディなどをギターとのデュオで演奏した一枚。例によってeclassicalからのメールで知って、spotifyで聞いたところ、いい感じだったので購入した。五明カレンは東京生まれ。幼少の頃にカナダに移住し、当地で研鑽を積んだ。その後ドロシー・ディレイの勧めで、アメリカのジュリアード音楽院を卒業したという経歴の持ち主。カナダやアメリカで活躍しているが、19/20シーズンはヨーロッパに進出して、ドイツ、フランス、イギリスなどのメジャーオケとの競演が予定されている様だ。https://www.askonasholt.com/artists/karen-gomyo/スケジュールを見ると、既に世界的に認められているヴァイオリニストの扱いだ。バロックではほとんどヴィブラートをかけず、パガニーニでは普通にかけている。ヴィブラートが少ないと潤いのない音になりがちだが、彼女の場合はそうならない。使用楽器が1703年製のストラディバリウス「Ex Foulis」というのも大きく影響しているのだろう。最初古楽方面の方かと思ったが、ロマン派の協奏曲も普通に弾いている。音がとても美しく澄んでいる。テクニックも実に鮮やかだが、それが主にならないところがいい。何よりも清潔感のあるフレージングで、気持ちが良い。ヴィヴァルディの4楽章からなるソナタ第2番は、どの曲も生き生きとして、遅い部分での豊かな歌わせ方も申し分ない。印象の薄い曲が、時として優れた演奏によって一気に曲の良さが理解できることは、しばしばあることだ。今回のヴィヴァルディのソナタもそれにあたり、曲の楽しさを教えてもらった気がする。パガニーニの奇想曲はギターとのデュオになっていて、一風変わった演奏が楽しめる。無伴奏だとシリアスっぽくなるが、ギターが加わることで雰囲気が和らぐのが面白い。最大の聴き物はコレルリの「ラ・フォリア」通常だとチェンバロとチェロの通奏低音がバックにつくが、ギター1本であることで、より室内楽的な静けさと落ち着きが感じられる。イスモ・エスケリネン(1971-) はフィンランドのクオピオ生まれのギター奏者。ソロアルバムも数枚リリースしている。積極的にソロをプッシュすることはないが、安定した演奏だろう。サウンドがまろやかで、ノイズも聞かれない。弱音もとても美しく、相当の技術の持ち主とみた。最後のパガニーニの3曲のうち2つはギターが主役で、ヴァイオリンはオブリガートとも言えない様な、ちょっとした添えもの的な役割。エスケリネンは難曲をあっさりと弾いていて、難しさがあまり感じられない程。最後はパガニーニの「ヴェニスの謝肉祭の主題による変奏曲」。五明の手にかかると、パガニーニのド派手な変奏曲をどぎつく演奏しているのにもかかわらず、何故かパガニーニらしからぬ爽やかさが感じられる。五明の特質だろうか。この曲ではギターも時折変わった音を出していて、大変面白い。かなりの難曲と思われるが、凄いと感じさせないところが五明の技巧の確かさを表している。facebook五明カレン:Carnival-a violin and guitar recital(BIS BIS-1998 SACD)24bit 96kHz Flac1.Antonio Vivaldi:Sonata No. 2 in A major, from 12 Sonatas, Op. 25.Pietro Locatelli:Sonata No. 12 in D minor, from 12 Sonate da camera, Op. 6 9.Niccolo Paganini:Sonata No. 1, from Centone di Sonate, MS 11212.Niccolo Paganini:Sonata No. 1, from Six Sonatas, Op. 2 (MS 26) 15.Arcangelo Corelli:Sonata No. 12 in D minor, ’La Follia’, from 12 Sonatas, Op. 5 34.Niccolo Paganini:from Grand Sonata in A major for guitar and violin, MS 3 34 Romance. Amorosamente. Piu tosto largo 3'33 35 Andantino variato. Scherzando - Variations 1-6 4'0736:Niccolo Paganini:Il carnevale di Venezia, Op.10, MS 59 36 Tema. Andantino - Variations 1-10, 18, 15-16, Variation ’Gomyo’ - FinaleKaren Gomyo(vn)Ismo Eskelinen(g)Recorded September 2015 at Troy Savings Bank Music Hall, New York, USA
2019年12月20日
コメント(0)
日野皓正の久々の新作「Beyond The Mirage」のCDがリリースされたが、同時にハイレゾもリリースされたので、moraから購入。CDは税込¥3000でハイレゾは¥2750なのでお得感もある。毎度のことだが、ブックレットが付かないので、ネットの情報を入手するしかない。出たばかりという事もあり、作曲者や録音日時も全く不明。サンプリング周波数がCDと同じなのは不満があるが、値段が安いので仕方がない。例によって192kHzにアップコンバートして、NASに入れた。最近はCDだけでなく、ダウンロード音源もスペックが不十分な時は、みんな192kHzに上げている。そのために、ジャズ専用のNASの空き容量が厳しくなった。クラシックのNASは1番新しいのが4TBで、まだまだ余裕があるので、そちらにホルダーを作るか、新しいNASを買うか思案しているところだ。このあいだ触れたaudirvana Plus for Windowsでは再生時にアップコンバートをすることができることを知ったので、NASにはアップコンバートしないファイルを入れておいて、再生時にアップコンバートするという方法も考えられる。ただしこうすると、ネットワークプレーヤーの機能を発揮することができないので、どうするが思案している。この方法でも先読みに多くのメモリーが必要になり、CPUの能力ももう少し欲しい。ということで悩みは尽きない。閑話休題今回の新作は多分前作?の「unity h factor」(2013)のテイストを引き継いだような曲とメインストリーム系の曲が混在している。最初のタイトル・チューンからぶっ飛ばしている。シンセの効果音が飛び交い、石若の激しいドラムを石井のエレクトリックピアノが支えていて、そこに日野の火の出るようなソロが乗っかるという、まことに激しい演奏。エンディングのこれでもかという駄目押しにも痺れる。渋さ知らズなどでも活躍しているという加藤のギターをフィーチャした「Long Branch」は快適なテンポに乗って、都会的な流れるようなギターソロが楽しめる。トランペットが出てくると、空気が一変してエレクトリック・マイルスみたいな音楽になる。最近の日野の音楽を聴いていると、ますますマイルスの音楽に近づいている気がする。勿論日野の音楽なのだが、ちっとも古くないところが日野らしい。「Shun」はその名の通り、石若のドラムスをフィーチャーした曲。ここでもシンセの効果音が変化をつけていて面白い。後半の雪崩みたいな部分も面白い。「Buttonwood」でのトランペットとドラムスのデュオの部分がなかなか刺激的。ただ、ドラムスが軽量級なのが惜しい。「Aftermath」では彼のヴォイスが聞かれる。「Vanish」と「Zodiac」は似たような曲調の2分足らずの曲で、ダークなムードの間奏曲風な仕上がり。「Vanish」はリズムの繰り返しにベース、トランペットそれにピアノのソロが入る。「Zodiac」はギターが入り、途中からフリー風になる。「Rumson Rain」はメインストリーム系の曲で、いつもながらの日野節?が聞ける。CMで有名だったという「Still Be Bop」もメロディックで疾走感があり、楽しめる。最後の「Oneiros」はスローナンバーで、日野特有のクールな叙情が堪らなくいい。それにしても日野は往時に匹敵するプレイで、とても78歳のミュージシャンのプレイとは思えない。気力体力とも充実していないと、このような音楽はできないと思う。普段の体調管理がしっかりしているのだろう。すこし前に渡辺貞夫がスティーブ・ガッドと26年ぶりに行ったコンサートのライブが出たが、内容はある程度予測できることもあり、Amazon Musicで少しつまみ食いしただけで、購入は見送っている。よく知られた出し物を名人がやるというものより、何かしら新しい発見がある演奏を好むのも、見送っている理由だ。一番若い石若駿(1992-)のプレイが多くフィーチャーされている。ギターの加藤一平は名前は知らなかったが、洗練されたプレイで印象的だ。彼は日野とは昔からの付き合いで南郷ジャズに日野が出演した時も何回か参加している。ほとんど見ているはずだが、全く記憶にない。ところで、カバーアートが印象的で何気なく観て、面白い絵だなと思っていたら、日野のサインらしきものを発見。もしやと思って検索したら、なんと個展を開いていらっしゃる。JAZZ & ART 日野皓正 アート展画集も出されているようで、才能のある方は違うなぁと思ってしまった。日野皓正:Beyond The Mirage(SPACE SHOWER MUSIC DDCB-13049)24bit 44.1kHz Flac1. Beyond The Mirage2. Long Branch3. Shun4. Rumson Rain5. Buttonwood6. Vanish7. Aftermath8. Still Be bop9. Zodiac10. Oneiros日野皓正(tp) 加藤一平(g)石井彰(p) 杉本智和(b) 石若駿(ds)
2019年12月18日
コメント(0)
しばらく前からMQAの再生を考えていた。MQA (Master Quality Authenticated)とは圧縮技術の一つで、イギリスのハイエンド・オーディオメーカーのmeridian audioが開発した技術で、三年ほど前からCDなどで採用されている。最大352.8kHz/24bitのflac を二回折り畳むことにより、16bit44.1kHzのwavフォーマットにしているのだ。利点はCDのファイルフォーマットであるwavよりもファイルサイズが小さく、CDとの互換性があり、デコーダーを使うことによって、ハイレゾにもなるというもの。と言っても、MQA対応のCDを聴くことはまるで考えなかった。ハイレゾでMQAファイルがリリースされることが多くなってきたのが、導入を考えたきっかけだ。圧縮音源なので、ファイルサイズが小さいのが魅力的だ。ただ、圧縮音源なので、否定的な意見があることは知っていた。実際に実行することになったのは二万円を切るiFiのZEN DACがリリースされたからだ。これはMQA対応でMQAレンダラーとして動作するものだ。ただし、これだけではフルデコードできるわけではない。フルデコードするには、フルデコードできる①ハードまたは②MQAコアデコーダというソフトウエアとMQAレンダラーの組み合わせによる二つの方法がある。②はコアデコーダで1回目の折り畳みを最大96kHz/24bitまで復元し、ハードであるレンダラーで最大352.8kHz/24bitのflacに戻す。フルデコーダはmeridian explorer2が安価で出ていたが、生産中止で、中古も国内だと六万円程なので、②の方法が実現できる方法を調べた。結果Audirvana plusというフランス製のプレーヤーを購入した。ZEN DACが日曜日に届いたので、早速PCに繋いで、動作を確認。接続しただけで認識したので、ヘッドフォンで音を確認しようとしたら、トラブル発生。ZEN DACにはヘッドフォン端子があるが、標準の大きさだった。当ブログの手持ちのヘッドホンはミニジャック。変換プラグがあったことを思い出して、早速ヘッドホンをDACに繋いだが、左チャンネルしか聴こえない。アンプにつなぐと正常に音が出るので、変換コネクタが原因らしいので、取り敢えず変換プラグを注文した。その後Audirvana Plusをダウンロードして、色々試しているところだ。使い方がまだよくわからないが、今のところ1番問題なのが音が頻繁に途切れる事。もう一つは複数のNASをライブラリーに入れられないこと。この2点をなんとか解決しなければならない。まだまだ先は長い感じがする。因みにZEN DACはまろやかな音で結構気に入っている。おそらく、売り切れるのは時間の問題と思うので、プレミアがつく前に早めに購入したほうがいいだろう。なお、MQAの技術的な解説はこちらに詳しい。
2019年12月16日
コメント(0)
昨年セクハラでロイヤル・コンセルト・へボウの音楽監督を辞任したガッティが楽団と和解した条件のうちの一つである「サロメ」のライブ録音を聴く。映像も先月リリースされている。この映像を録画して焼いていたが、まだちゃんと観ていなかったので、ところどころピックアップして観た。映像と音のみだと、映像で音を聞いたときの印象がいまいち薄い。映像そのものがそれほどインパクトがあるわけでもなく、大体ヨカナーンが死んでいるのに首がつながっているなんて、あり得ないと文句の一つも言いたくなる。サロメを歌っているMalin Byströmが七つのベールの踊りを踊っているのは見ものだ。昔はバレエダンサーが踊ることが多かった様に思うが、最近は歌手が踊ることが多くなってきたことは喜ばしい。ただし、肉体がスリムでないと務まらないのは当然で、ヴィジュアル的にも少女でなければならないので、キャスティングの条件は従来よりも厳しくなるだろう。ところが、音だけ聞いていると、声はそれほどでもないがオケの充実しきったサウンドが実に素晴らしかった。いろいろごたごたがあったとはいえ、こういうものが残されているのは嬉しい。まあ、本人に原因があるとはいえ、こういう実力のある指揮者が姿を消すのは音楽界にとっては大きな損失だろう。少し前にも性的虐待のかどでジェームズ・レバインがメトから追われたこともあったし、彼らの復権の道というものも、考えてしかるべきではないだろうか。スキャンダルでやめさせられたのは仕方がないと思うが、最近あまりにもそういう話が多くて、いささかゲンナリしている。特に日本の政治での、そのたぐいの騒ぎにはうんざりしている。メディアの放送しない自由も、いい加減にしてもらいたい。話が逸れてしまったが、高いとはいえ国内でもe-onkyoだと¥2515はお買い得だろう。ところで、ガッティは昨年の12月にはローマ歌劇場で復帰しているようで、めげないところも彼の美点?かもしれない。Daniele Gatti Richard Srauss:Slome(ROYAL CONCERTGEBOUW)24bit 48kHz FlacMalin Byström (Salome)Doris Soffel (Herodias)Lance Ryan (Herodes)Evgeny Nikitin (Jochanaan)Peter Sonn (Narraboth)Royal Concertgebouw OrchestraDaniele GattiRecorded June 27 2017 - Dutch National Opera & Ballet Amsterdam
2019年12月14日
コメント(0)
思いついてピアソラの「Tanti anni prima」別名「Ave Maria」を聴きたいと思ってamazon musicをチェックしていて見つけた一枚。ギリシャ生まれのトロンボーンのアキレス・リアマコプーロス氏をフィーチャーしたアルバムで全編ピアソラの作品。この方は2001年からカナディアン・ブラスに所属しているので、音は聴いているはずだ。アンサンブルやバンドのメンバーの名前は特に憶えているわけではないので、思わぬところで出会ってしまったというところ。リアマコプーロスのトロンボーンはとにかく柔らかく、むらのない音がとても魅力的だ。タンギングの音も全く聞こえない。今回取り上げられたのは比較的遅い曲が多いが、タンゴの歴史のような速いテンポの曲も入っている。原曲がフルートなのでトロンボーンで演奏するのはかなり難しいと思うが、技術的制約から遅くなったりすることがなく、流れるような演奏だ。静かな曲でもしみじみとした味わいが感じられる。何回か聴いているうちに、そもそものきっかけとなった「Tanti anni prima」が入っていないことに気が付いた。早速Presto Musicに問い合わせたところ2日ほどで対応が完了と連絡がきた。原因はこのアルバムのファイルが二つあって、アップロードされていたのがこの曲が入っていないファイルだったとのこと。迅速な対応は当然のことだが、不具合を起こした原因もハッキリと教えてもらえるのは、とても嬉しいことだ。そうでないと、たとえ復旧したとしても、理由が分からないと、今後もあるかもしれないと思ってしまうからだ。そういう点で今回の対応は満点だ。すっかりPresto Musicの印象がよくなってしまった。ところが、いきなり昔のいやな思い出を思い出してしまった。確かブログに書いたと思うが、eclassicalというこれもよく使うダウンロードサイトで、曲の途中でちょん切れたファイルが含まれているアルバムを購入したときのことだ。いろいろ交渉している間に、いつの間にかフェイドアウトしてしまってそれっきり。当ブログもあれ以来すっかり忘れていた。最低の対応なので、解決するまで辛抱強く言うべきだろうが、面倒くさくなってやめてしまったのはまずかった。そのファイルはあの当時のままで、問題は解決していない。eclasicalでも素知らぬふりをしている。閑話休題「Tanti anni prima」は繰り返しのところでオクターブ下げる演奏が多くそれが非常に不満なのだが、今回の演奏はオクターブ上げて吹いていてとても嬉しかった。ガブリエル・セナネスが編曲したと「セリエ・デル・アンゲル」はタイトルに天使という言葉がついた3曲を組曲にしたもの。バックを務めた弦楽五重奏のダークな音色が曲にマッチしていて、素晴らしくいい。他の共演者もタンゴを演奏し慣れていて、違和感なくタンゴを楽しめた。プロデューサーの力だろう。Achilles Liarmakopoulos:Tango Distinto(Naxos – 8.572596)16bit 44.1kHz FlacAstor Piazzolla:1.Michelangelo 70 (1969)2.Histoire Du Tango (1985) 2 Cafe 1930 Nightclub 19604.Soledad (1974)5.Le Grand Tango (1982)6.Oblivion (1982)7.Escualo8.Serie Del Angel La Muerte Del Angel (1962) Milonga Del Angel (1965) Resurrecction Del Angel (1965)11.Tanti anni prima('Ave Maria') Achilles Liarmakopoulos(tb) Bandoneon – Héctor Del Curto* (tracks: 1, 4, 7)Double Bass – Pedro Giraudo (tracks: 1, 4, 7), Samuel Adams (tracks: 6, 8 to 10)Guitar – Simon Powis (tracks: 2)Marimba – Ian Rosenbaum (tracks: 3)Piano – Octavio Brunetti (tracks: 1, 4, 7), Robert Thompson (tracks: 5, 6)Viola – Raul Garcia (tracks: 8 to 10)Violin – Edson Scheid (tracks: 8 to 10), Jiyun Han (tracks: 8 to 10) Cello – Arnold Choi (tracks: 8 to 10)Recorded at Woolsey Hall, Yale University, New Haven, CT:Tracks 1, 4, 7 on May 5, 2010Tracks 2 & 3 on April 28, 2010Tracks 5 & 6 on April 24, 2010Tracks 8-10 on April 20, 2010
2019年12月12日
コメント(0)
ちょうど一年前にリリースされた大西順子のⅫ、ハイレゾがリリースされるのを待っていた。何時まで経っても出ないので、見切りをつけてロスレスを購入。例によって24bit192kHzflacにアップコンバートしてNASに入れた。全曲メンバーが分担して作曲している。粒揃いで、シリアスな作品は皆無。殆どの曲が暖かく、適度なリラクゼーションとまったり感が感じられる。また作品ごとのメンバーの個性の違いが楽しめる。アルバム全般で3管特有の分厚いハーモニーが聴けるのが嬉しい。気に入ったのは大西の「Apple Of My Eye」叙情的な作品で、少し寂しげな表情が印象的なナンバー。テーマのあとのホーンのハーモニーも美しい。ピアノが主役でそこにホーンのハーモニーとトランペットソロが加わる。アレンジ、演奏とも申し分ない。広瀬の「One Lap Behind」は速めのテンポとアグレッシブな表情がいい。執拗に繰り返されるリズムパターンが印象的だ。井上の「Dr. Pu!Poon」は気怠さとコミカルさが感じられるミディアムナンバー。同じ井上の「Baby I'm yours」はいくつかの部分に別れていて、ユーモアが感じられる、とても楽しい曲。高橋の「Head Toward the Light」はハードバップ風の曲で、他の曲とは肌合いが異なる。トロンボーンはエネルギッシュでテンポアップしたあとのトランペットソロも頑張っていた。大西がフェンダーローズとクラヴィネットを使っていて、この曲の面白さが増している。途中のコレクティブ・インプロヴィゼーション風の件も楽しい。「Cura de gatos」では片岡のメローなトロンボーンソロが楽しめる。最も意欲的というか実験作的なのは「みんなの歌」高橋のドラムスがフィーチャーされている。リズム隊とホーンのリズムが違っている様に聞こえるが錯覚だろうか。フロントのソロはにぎやかだが、裏で何気に聞こえる高橋のワイルドなドラム・ソロが実質的な主役。後半は少し月並みな感じになってしまうが、大西の激しいピアノ・ソロが登場して、エンディングはあれよあれよと思っているうちに終わってしまう。刺激的な展開でジャズの意外性を感じるナンバー。最後の「Remembering Spring」はホーンのアンサンブルに大西のピアノとフェンダーロズが絡む静かな曲。穏やかな終わり方でエンディングにふさわしい。全体を通してホーンでは片岡雄三のパリッとしたトロンボーンが光っている。吉本のサックスはまあまあ、広瀬のトランペットは悪くはないが、もう少し力強さが欲しい。井上のベースはいつもながらの安定感。高橋のドラムスがなかなか良い。録音は凄まじくいい。演奏の勢いがそのまま伝わってくるような、生きのいい録音だ。大西順子:XII(SOMETHIN'COOL 4988044043473)24bit 192kHz Flac01. 広瀬未来:One Lap Behind02. 吉本章紘:Falling Rocks03. 大西順子:Apple Of My Eye04. 井上陽介:Dr. Pu!Poon05. 井上陽介:Baby I'm yours06. 広瀬未来:July07. 大西順子:Teenager08. 大西順子:Dirk Chime09. 高橋信之介:Head Toward the Light10. 片岡雄三:Cura de gatos11. 大西順子,広瀬未来,吉本章紘,片岡雄三,井上陽介,高橋信之介:Unity 1 みんなの曲12. 広瀬未来:Remembering Spring大西順子(p,Rhodes, clavinet)広瀬未来(tp, flh)吉本章紘(ts,fl)片岡雄三(tb)井上陽介(b)高橋信之介(ds)Recorded on August 29,30, 2018 at Sound City Studio
2019年12月10日
コメント(0)
待ちに待ったムノツィル・ブラスのコンサートを観に行った。前から気にしてた天気だったが、雨は降ったものの雪は降らず、道路にも雪がなくてよかった。だいぶ余裕を持ってい出かけたのだが、ほゞグーグルマップの予想時間と同じだった。発売即完売と思っていたのだが、当日券もあるということで、意外と人気がないのかと思ってしまった。まあ、満席に近かったので一安心?所詮はブラス・アンサンブルのコンサートなので金管を吹いている人や単なる好き物(当ブログ含む)しか行かないのだろう。昔やはり秋田で行われたコンサートを聴いていたのでブログを見返したら2007年12月9日と今回と2日しか違わないことが分かった。場所は違うが、あの時も雪が積もっていたことを思い出した。プログラムを見ると今回のプログラムでも演奏された「狂気の笛の音」など何曲か重なる。メンバーが登場したときに真っ先に目についたのが、トロンボーンのレオンハルト・パウルの髪がだいぶ白くなったこと。それで全員の頭を見ると各々程度の差こそあれ白くなったり、薄くなったりしている。リーダーのトーマス・ガンシュ(1975-)なんて、顔の幅が細くなった気がするが、気のせいだろうか。外見こそ年を感じさせるが、演奏そのものはパワフルで圧倒的なパフォーマンスを繰り広げた。最初のエリントンから大音響で、以前難聴を患ったことがあるので心配だったが、幸い耳は終わりまで大丈夫だった。プログラム自体殆ど連続で演奏されるので、曲が終わったことも分からないことがあった。今回は「捧ぐるは愛のみ」などコーラスが何曲かあり、これがなかなか面白かった。「マリナレッラ」でのベロだしコーラスは笑わせた。「ミスター・サンドマン」ではコーラスとごみバケツとモップとトロンボーンの伴奏という奇妙なもの。「プレミア」はタイトル通り初演の模様を現したどたばた芝居で、ロベルト・ローターがバナナを食べるコミカルな演技で笑わせてくれた。初めのところはメンバーが勝手に音を出しているように聞こえるが、キッチリと記譜されていて、合わせるのはかなり難しそうだった。トロンボーンのゾルタン・キスをフィーチャーした「シュナップソディー」では何故かレオンハルト・パウルが座頭市の真似をしてキスに付きまとい、キスが唾をパウルの頭に振りかけたら座頭市の目が見えるようになったり、ガンシュの頭の毛が伸びるという不思議な?ストーリーで笑わせた。演奏単独ではやはり「こうもり」が圧巻だった。最後の火の鳥のフィナーレの部分は何回聞いても感動的だ。ガンシュの火の出るようなアドリブが聴きごたえ十分。ジャズ・ミュージシャンでもあれほどのアドリブをできる人はそうはいない。少なくとも音はダントツに凄い。それにガンシュがトランペットを二本口にくわえて、それがしっかりハモっているのも驚いた。蛇足だが鼻で2本のトランペットを吹いている人もいる。youtubeショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲からの音楽は音楽だけの出し物。原曲自体、重戦車が爆走している様な音楽だが、彼らの演奏はそこを突き抜けた爆烈な演奏。バリバリ系のサウンドで、テンポも原曲が3分ほどのところ、2分程で終わる。ただ、速いため、原曲の持つ陰鬱さは大分薄れてしまっている。参考までにアルバム「Yes」の中の演奏を聴いたが、凄みがまるで違っていて、CDにはその半分も入っていない気がする。例によってアンコールの後でガンシュが日本語でメンバー紹介をしていた。ロベルト・ローターが「いかれている」と紹介されたのは前と同じで笑わせてくれた。ということで、エンターテインメントとサービス精神にあふれたコンサートで、ともすると彼らの超絶技巧とバカでかい音、馬並みのスタミナを忘れそうになってしまうほどだ。「CIRQUE」のときも書いたが、彼らの本当の姿は実際に目で見ないとわからない部分が多く、今回の今年の6月から始まった「GOLD」の画像化も望まれるところだ。youtubeにアップされている「プレミア」でロベルト・ローターが食べているのは人参で今回はバナナ。その他既に録音されているナンバーでも曲の構成が変わったり、出し物の内容が変わっていて、常に進化し続けているのだろう。なので、前、観たからといって、同じ曲でも同じように演奏されるとは限らないので、見逃せないと思わせる、うまいやり方だろうのは。例えば「こうもり」では挿入されるのがCDではメキシコのマリアッチだが、今回は展覧会の絵の「グノムス」も入っていた。なお、アンコールは3曲でブルー(ガンシュ)、ティップ・トップ・トゥー(レオンハルト)、Klezmi gent fremd(フュッスル)の作曲とのことだったが、プログラムには「こうもり」の後に2曲載っていて、どうもそれらがアンコールのような気がする。プログラムは雑多な曲目にもかかわらず丁寧に解説されているし、メンバー紹介も詳しい。またメンバーの担当楽器のメーカーとモデル名も書かれているのは、楽器を吹いている方々にとっては興味深い記述だろう。殆どのメンバーが使っているシャゲール(Schagerl)はオーストリアの楽器メーカーでサックスやドラムも製造しているようだ。Mnozil Brass:GOLD前半1.デューク・エリントン:かくも心地よき雷鳴2.伝統音楽/ゲアハルト・フュッスル編:モルダヴィア3.ジミー・マクヒュー:捧ぐるは愛のみ4.ムノツィル・ブラス:エル・キャピタン5.ジョルジュ・ビゼー/小さな旦那様、小さな奥様 「子供の遊び」より6.ムノツイル・ブラス:プレミア7.ユリウス・フチーク/ムノツィル・ブラス編:演奏会用序曲「マリナレッラ」作品215後半1.ヨーゼフ・ハイドン/レオンハルト・パウル編:狂気の笛の音2.ドミトリ・ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3番ヘ長調作品73第3楽章3.キャロル・キング:君のともだち4.パット・バラード:ミスター・サンドイッチマン5.ゲオルグ・ザンフィル:ザ・ロンリー・シェパード(孤独な羊飼い)6.エンニオ・モリコーネ:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト7.ビリー・メイ:「グリーン・ホーネット」のテーマ8.レオンハルト・パウル:ピッチカート9.マーベル・ウェイン:ラモーナ10.レオンハルト・パウル:シュナップソディー11.ヨハン・シュトラウス2世/ムノツィル・ブラス編:オペレッタ「こうもり」より序曲アンコール?1.ゲアハルト・フュッスル/ムノツィル・ブラス編:セルビアのこうもり2.ボロディン/ムノツィル・ブラス編:踊るネズミムノツィル・ブラス2019年12月7日 秋田市アトリオン音楽ホール E28で鑑賞
2019年12月08日
コメント(0)
デイブ・ホランド(1946-)の新譜を聴く。prostudiomasters(加)で税込C$16.26、日本円で約1300円ほどで入手。大分前に入手していたが理解するのに時間がかかり、レビューが遅くなってしまった。ホランドは最近は結構シリアスな音楽をリリースしていて、前作の「Uncharted Territories」も結構刺激的な音楽だった。今回はお馴染みのクリス・ポッターのサックスとインドのタブラの世界的名手キール・フセイン(1951-)を迎えてのセッション。今回のアルバムはタブラ奏者ザキール・フセインによる"インド古典におけるジャズからの影響を探求するプロジェクト"を発端に結成されたトリオの初作。なので本来はザキール・フセインの名前が先頭に来るべきだろう。セールスを考えるとホランドの名前が先に来るのは仕方がない。wikiによると『フセインは様々な海外ミュージシャンとも共演しており、グレイトフル・デッドのミッキー・ハートやヴァン・モリソン、ジョン・マクラフリンらとシャクティを、ビル・ラズウェルとタブラ・ビート・サイエンス等を組んでいた 』とのことデイブ、単に当ブログが知らなかっただけの話。クリスポッター(1971-)は殆ど吹きっぱなしで、淀みのない、エネルギーが充満した精力的なアドリブで、まさに油の乗り切ったパフォーマンスを聴かせる。アルトサックスの太く艶のある音色は、テナーサックスと見まごうほどで、大変魅力的なサウンドだ。フセインは漫然と聴いていると見逃してしまうが、超人的なテクニックと手数の多さは、まさに名人芸だろう。動画を見るとそれがよく分かる。何という名前かわからないが、太鼓の張力を変えることで音程を上下させるプレイは特に魅力的だ。ホランドはいつもながらの安定感のあるプレイで、2人を支えている。全体に乾いた空気感で、音楽にマッチしている。これがウエットだとミスマッチだろう。全曲に共通するのは静けさと余韻の感じられる佇まいだろうか。タブラが間断なく響いているが、不思議とうるさくは感じられない。駄作はなくホランドの「Lucky Seven」はリズミックで時折ユーモアを感じさせる音楽でニヤリとさせられる。同じホランドの旧作「Bedouin Trail」べドウィンはシリア・北アフリカの砂漠に生活するアラブ系遊牧民のことで、タイト通りの中近東の乾いた空気を感じさせる作品。過去にも何回か録音されている。手持ちの「extended Play」を聴くと、今回の録音が圧倒的にいいということを差し引いても、この空気感はほとんど感じられない。ハッサンの作品はインド色はそれほど強くなく、他の二人の作品と違和感なく共存している。途中でテンポが変わるところなど、ジャズ的な要素も十分。全体にゆったりとした時間が流れているような感じで、三人のマスターの名人芸を堪能することが出来る。ジャズらしい前に張り出したサウンドで、タブラの質感がよく出ている録音も、素晴らしくいい。YouTubeJazz in Marciacポッターのプレイは、どちらも引用が多く、お遊びの要素が強いHolland/Zakir Hussan/Chris Potter:Good Hope(Edition Records)24bit 96kHz Flac1.Chris Potter :Ziandi2.Zakir Hussain:J Bhai3.DaveHolland:Lucky Seven4.Zakir Hussain:Suvarna5.Chris Potter :Island Feeling6.Dave Holland:Bedouin Trail7.Chris Potter :Good Hope8.DaveHolland:MazadDave Holland double - bass Zakir Hussain - tabla Chris Potter - saxophones
2019年12月06日
コメント(0)
始まったばかりの「ジブリの大博覧会」を娘と観に行った。それ程期待していなかったが、期待以上の内容で満足した。入口のところには「風の谷のナウシカ」に登場する巨大な飛行船やプロペラ機が浮かんでいて、期待は増すばかり。入ったら、普通の美術展では感じられない、暖かい雰囲気が感じられた。こんなことは今まで感じたことはなかった。細部まで気を配られた展示であることも感じられ、見ていて非常に気持ちがいい。映画にまつわる内容なので、ポスターなどの資料が多くなるのは仕方がない。なので、途中まではこれだったら入場料が¥1500は高いと思っていた。ところが、最後に風の谷のナウシカに出て来る「王蟲(ムー)の世界」が再現されていて圧倒された。造形家竹谷隆之氏のは手になるもので、腐海にいる想像上の生き物なのだが、実にリアルだった。実に巨大で、高さは3メートルほどで、長さも五メートルは下らない。目も赤、紫、水色などに変化する。さすがに動くところまではいかないが、質感が半端ない。これを観に行くだけでも行く価値がある。この展示は3月の福岡での展示から追加されたとのこと。岩手での展示が最後なので、これはしばらくは観られないかもしれない。残り物には福があるとは良く言ったもので、偶然とはいえ見ることができて大変ラッキーだった。王蟲の金属でできたミニチュアがあれば欲しいと思ったら、ショップで小型の王蟲が陳列されていた。ただし200個の限定発売で、既に売り切れになっていた。価格は¥34560と高いが、あったら買ってしまったかもしれない。ショップでは招きネコバスというおめでたい置き物があったので、これを購入した。ネコバスが招きネコのポーズをとっていて、なかなかユーモラスだ。結構気に入ったのだが、中国製だったので、ガッカリ。これはここだけではなく、Amazonなどでも売られている様だ。他の展示では映画のキャッチコピーを決めるために、プロデューサーの鈴木敏夫氏とコピーライターの糸井重里氏の手紙によるやり取りがとても興味深かった。鈴木プロデューサーはコピーの重要性を糸井氏との仕事を通じて知らされたそうだ。鈴木氏の仕事場を再現した一角があり、プロデューサーとしての膨大な量の仕事や、決算報告や人事のファイルなど経営者としての仕事にも触れられていて、その大変さの一端が垣間見られた。そのほか、飛行機の歴史について説明されているコーナーでは説明が詳しく面白かった。零戦の設計者堀越二郎がサバの骨の曲線の比率から、羽根のモノコック設計のヒントを得たことも興味深かった。テクノロジーや自然など色々な要素が映画に作用して、あの途方もないイマジネーションの広がりをもたらしていることがわかり、とても参考になった。ということで、子供だけでなく大人も見る価値がある素晴らしい展覧会だ。2月16日まで開催されるので、ご興味のある方は是非!
2019年12月04日
コメント(0)
東京都北区で行われている北とぴあ国際音楽祭2019にオペラを観にいった。去年はじめて観て、とても良かったのがその理由だ。今回はヘンデルの「リナルド」。有名なアリア「泣かせて下さい」は知っているが、オペラ自体は初お目見え。因みにこのオペラはヘンデルが1710年の秋にイギリスに渡り、2月の初演に間に合わせるために、イタリア時代の諸作からの転用・改作を行なっている。一説によると2週間で作曲したとか。この曲もオラトリオ「時と悟りの勝利」(1707)からの改作だそうだ。あらすじは異教徒に支配されているエルサレムを、十字軍・キリスト教側に新たに加わった若き英雄リナルドが解放し、リナルドは十字軍の総大将ゴッフレードの娘アルミレーナと結ばれるというもの。spotifyには全曲盤がなかったので、youtubeにアップしているものを観たが、少し観て時間切れになってしまった。主な登場人物が6人ほどで物語が進行する。ストーリーは難しいものではない。オペラ・セリエに分類されているが、演出によるものか結構ほのぼのとした感じだった。昨年よりも大がかりで、ステージの反響板がなければ、普通のオペラと遜色ない。プログラムもそうだが、結構金のかかったプロダクションのようだ。自治体がこのような地味な催しを24年間行っていることは、いろいろな苦労がしのばれる。ほぼ満席に近い入りで、地元の理解があればこそだろう。この歌劇はレチタティーボとダカーポ・アリアが繰り返されながらストーリーが進行していくので、それを意識するとより理解が深まった。なので、正味3時間と長めのオペラではあったが、寝ることもなく、最後まで楽しく聴けた。歌手は粒ぞろい。特に良かったのはリナルドを惑わす敵軍の魔女アルミーダ(湯川亜也子)その妖艶な姿と演技、馬力のある歌で、最も輝いていた。アルミレーナ(フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ)は1幕ではあまり冴えなかったが、次第に良くなった。2幕の「泣かせて下さい」では、後半の盛り上がりがすばらしかった。コンサートなどで聞くのとはちょと違っていて、繰り返しでは、装飾や即興?を入れていた。パンフレットによるとバロックでは普通のことだという。ただ第2幕の衣装が薄手で体の線が見えていたのは、あまり見たくない光景だった。タイトルロールのリナルド(クリント・ファンデア・リンデ)は演出によるのか、勇猛な武将のはずが、女々しい男として扱われていた。第1幕はまったく冴えず、2幕以降徐々に調子が出て来たが、全体的にはイマイチ。カウンターテナーなのだが、声が少し太く、あまり澄んでいないのが不満。この項を書くにあたってファジョーリのヘンデルのアリア集にリナルドのナンバーが含まれているので参考までに聴いた。圧倒的な歌唱力とバックの強力な低音と攻撃的なアプローチで、全く参考にならなかった。その他のキャストはかなり良かった。ただ、魔法使いはかぼそい声で、何故かセリフの場面が一番大きな声だった。バックは安定したもので、それほど不満はないのだが、ダイナミックスの幅が狭く、ソフトすぎる感じはした。目立ったのは第2幕のはソプラニーノ・リコーダーによるアルミレーナとの長い対話の場面やテンポの速いところでの、ファゴットの名技だろうか。その他、第3幕のアルミーダのアリアで、アルミーダと一緒に寺神戸がヴァイオリンを弾きながら踊る場面も楽しい見ものだった。第3幕の戦争の場面がどうなるか楽しみだったのだが、舞台の上手と下手に敵味方の大将がいて蹴ったり殴ったりする仕草をするというもので、紙芝居的な演出が意表をついた演出だった。そのほか助演者が3人ほどいて、小道具の持ち運びや船を漕いだりと、黒子的な役割が楽しかった。スタッフにドラマトゥルクという聞き慣れない役割の方がいらっしゃる。wikiによると、「演劇カンパニーにおいて戯曲のリサーチや作品制作に関わる役職」というもの。演出家あるいはプロダクション全体をサポートする知的専門職で、ドイツの劇場では昔から置かれていたが、日本で専門とする方は2、3人とのこと。出典: https://performingarts.jp/J/art_interview/1101/1.htmlそのためか、意味深長な演出も見受けられた。今回のドラマトゥルクを担当された前原拓也氏は活動を始めて間もないようだが、専門職を目指しているようだ。氏の解説によると、今回の演出では舞台場に幾つか割れた鏡が設えられていて、それは鏡から連想される「分身」「ナルシシズム」「狂気」というモチーフを表しているという。なるほど、この解説を読むと演出の意図がわかるが、いかんせん終わった後に読んでも手遅れだ。それから額縁状の四角い木の枠が小道具として用いられている。これは人間が入ったり出たりしている。背景にも大きな額縁状のものが斜めに傾いて立っていて、幕が開いた時に真先に目に入る、とても印象的な演出。人間を閉じ込める、小型の檻でもあるようだし、ドラえもんのどこでもドアの様な魔界と現世を行き来する出入り口でもあるようだし、結局最後まで何を表しているのか良くわからなかった。幕間で確認したが、解説では触れられていなかった。ということで、大変楽しめた公演だった。来年はリュリの「アルミード」の日本初演なので、しっかり予習して臨みたい。ヘンデル:オペラ「リナルド」全3幕 セミ・ステージ方式指揮・ヴァイオリン:寺神戸亮演出:佐藤美晴リナルド:クリント・ファン・デア・リンデアルミレーナ:フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリアルミーダ:湯川亜也子アルガンデ:フルヴィオ・ベッティーニゴッフレード:布施奈緒子エウスターツィオ:中嶋俊晴レ・ボレアード2019年12月1日 東京都北区 北とぴあさくらホール 2階L 28で鑑賞
2019年12月02日
コメント(0)
全15件 (15件中 1-15件目)
1