inti-solのブログ

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2017.12.19
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テーマ: ニュース(96523)
<厚労省>生活保護、減額を最大5%に 批判配慮、幅を縮小
厚生労働省は、来年度からの生活保護受給額の生活費相当分に関し、減額幅を最大5%にとどめる調整に入った。2~3年かけて段階的に実施する方針。厚労省は最大13%減の見直し案を示しているが、与党や有識者から大幅減額に対する批判が出ていることに配慮した。
ただし、厚労省は保護費の減額分を、生活保護に至る直前の状態にある生活困窮者の支援拡充に充てる方針。受給額の減額を抑えると生活困窮者向けの予算が減ることも踏まえ、年末の予算編成で最終決定する。~
受給額は5年に1度、生活保護を受けていない低所得者層の消費水準に合わせて見直している。低所得者層の消費が低迷していることなどから、受給額が多くの世帯で下がる。
現在の決め方は、政府が克服を目指す貧困やデフレ、高齢化などの影響を直接受ける。この決め方について駒村康平部会長は「受給額は低い方に吸い寄せられる」と指摘し、政府に見直すよう異例の注文を付けた。
厚労省案では子育て世帯のうち「母親、中学生、小学生の3人家族」(大都市部)の場合、今の生活費分の受給額より約1万円少ない14万円台になる。高齢者世帯の多くも引き下げられ、厚労省案通りに見直せば受給水準は中所得層の消費水準の5割台に落ち込む。これまでの部会では「最低生活水準は中所得層の6割を目指すべきだ」との意見が相次いでおり、委員の一人、岩田正美・日本女子大名誉教授は「注意信号だ」と危機感を示した。与党内にも「10%超の大幅減額は到底、受け入れられない」との声が上がっていた。~
減額される可能性が高い高齢者世帯も不安を募らせる。東京都足立区の都営住宅で1人暮らしをする男性(76)は約10年前に胃がんを患い、手術後も体調不良で働くことができず生活費として月約7万3000円を受給している。医師から野菜や肉をバランスよく食べるよう言われているが「光熱費の節約ももう限界。体調が悪くなったとしても食費を削るしかない」と話していた。

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生活保護は、憲法第25条に定める「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するためのものです。しかし、生活保護の基準(基準生活費)は、「健康で文化的な最低限度の生活にはどの程度の費用が必要か」という絶対評価による経費の積み上げではなく、生活保護を受けていない低所得層の生活水準との対比で決められています。そうすると、多くの人が収入が減って生活が苦しくなると、生活保護制度はその多くの人を助けるために機能するのではなく、基準を引き下げて生活保護の対象者を増やさないように機能する、ということになってしまいます。
生活保護の捕捉率つまり生活保護の対象となりうる人のうち実際に生活保護を受けている人の割合は2割程度と言われています。つまり、生活保護を受けられるのに受けていない人も相当多く含まれる※「生活保護を受けていない低所得者層との比較」には問題があるでしょう。

※ただし、生活保護の受給条件は収入だけでなく、資産の条件もあります。簡単に言えば、手持ちのお金が生活保護基準の1か月分より少ない(実質的には1か月分の半額)ことが生活保護の要件だそうです。したがって、現在の収入は生活保護基準以下でも、資産の要件で生活保護の対象にならない人はかなり多いものと思われます。

というわけで、「総論としては」生活保護基準の減額には大きな問題があるように思います。特に、引用記事の末尾にあるような一人暮らし世帯(必ずしも高齢者に限ったことではありませんが、高齢者世帯が一番保護基準が低い)の生活保護基準は、現状でも明らかにギリギリであり、これ以上の減額は非常に問題です。※

調べることができます 。これによると、東京23区での70歳以上の生活保護基準(生活扶助のみ)は74630円。しかしこれ以外に家賃(住宅扶助、引用記事の例は、都営住宅なのでおそらく2~3万円)と介護保険料が加わったものが「保護基準」となり、さらに実際の受給額は、この基準から収入を差し引いた額になります。制度に詳しい知人によれば、この人の保護基準は10~11万円くらいで、受給額が7万3000円が事実なら、この保護基準から年金収入が控除されてその額になっているのではないか、とのことです。

その一方で、「各論」になると、減額がすべて許されざるものかどうかは、いささか疑問の余地もあるようです。

生活保護の母子加算、減額の可能性 厚労省方針
厚生労働省は来年度、生活保護を受ける一人親世帯に支給する「母子加算」を見直す方針を決めた。支給水準は現在検討中の生活費をまかなう「生活扶助」の新たな基準額しだいで変わるが、減額される可能性が高い。(以下略)
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母子家庭が、一般の世帯より収入が少ないのは、歴然たる事実です。したがって、その差を埋める制度が必要なのは確かなのです。そのための制度として、児童扶養手当(一人親の世帯に、子ども1人の場合月額約4万2千円、2人目以降5千円ずつプラス)があります。
しかし、生活保護の母子加算(という名ですが、父子家庭も対象)は、それとは意味合いの異なるものです。母子加算というのは、前述の生活保護基準を、母子家庭だけ高く設定する制度です。つまり、収入が低いから足りない分を補填するのではなく、足りない分プラスアルファを上乗せする仕組み、ということです。前述の基準額表によると、子どもが1人だと22790円(2人目以降プラス1800円)が加算されるようです。

母子加算とは別に、子どもがいる世帯には、「児童養育加算」があり、学校の様々な費用に充てる「教育扶助」もあるそうです。それにもかかわらず、同じ子どもがいる世帯の中で、両親が揃っている世帯より母子家庭の保護基準だけを優遇する理由は、いまひとつ明確ではありません。教育扶助や児童養育加算が不足であるというなら、それは母子家庭だけの問題ではないはずです。

そういう意味では、母子加算は「守るべき最低限のライン」とは必ずしも言えないのではないか、というのが知人の意見でした。
なお、最初の引用記事に「母親、中学生、小学生の3人家族(大都市部)の場合、今の生活費分の受給額より約1万円少ない14万円台」という記述がありますが、これも知人によれば、「住宅扶助も児童養育加算も教育扶助も母子加算も抜いた、裸の生活扶助部分だけの額」とのことです。それらの扶助を加えた現在の保護基準は、都営住宅なら23~24万、民間賃貸住宅なら28万円くらいだろう、とのことです。もっとも、この保護基準の全額が「受給額」ではありません。母子家庭なら仮に母親がまったく仕事をしていなくても、児童扶養手当(子ども2人で4万7千円)と児童手当(同2万円)は受給しているはずなので、前述の基準からこの合計6万7千円を差し引いた額が生活保護の支給額になる、ということです。

追記:記事をよく読むと「生活費分の受給額」とあるので、間違いではないのですが、その「生活費」の定義が示されなければ、家賃や教育費も生活費だと考える人も少なくないはずで、非常に誤読を招きやすい記述です。





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最終更新日  2018.06.09 08:12:03
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