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「模倣犯」で活躍し、事件を引き摺っているライター・前畑滋子の元に、交通事故で亡くなった息子が予知能力者ではないかという話を持ち掛けて来た萩谷敏子と出会い、彼女の息子・等が遺した絵の中に隠された真実を追うミステリーです。「模倣犯」は、高校生の時に映画を観ただけで原作は未読なので良く解りませんでしたが、滋子が敏子の息子が遺した一枚の絵にまつわる悲しい真実を追ううちに見えてきたものが、余りにも切なくてやりきれないものでした。敏子には、千里眼を持つ祖母が居ましたが、その祖母によって萩谷家は支配され、敏子は未婚のまま等を産みました。 文中に、「家族という名のカルト」という表現が出てきましたが、家庭内という密室で起こる出来事は、まるで閉鎖的な新興宗教に於ける集団生活と似たようなものを感じます。 家族とは何なのか―宮部みゆきさんが読者のわたし達に問いかける強いメッセージ性を秘めた作品で、とても読み応えがあった作品でした。
2017年01月30日
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中盤までは、安食堂で働くハリーと、彼が拾った謎の女・ヘレンとの恋物語だと思っていたのに、突然ラストまでストーリー展開が早くなり、夢中になってラストまでページを捲りました。ハリーとヘレン、それぞれ脛に傷を持つ身でありながら、二人が惹かれ合ったのは当然というべきかなのかどうかわかりませんが、ヘレンの死の真相がわかっても、何だかスッキリしない終わり方でした。しかし、犯罪小説でありながら血なまぐさいシーンは少ししか出てこなかったので、楽しく読めましたし、なかなか面白い作品でした。
2017年01月30日
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「誰です、そこに居るのは?」 千がそう言って背後を振り向いたが、そこには誰も居なかった。(おかしいな、気のせいかな?) 千が首を傾げながら再び屯所へと戻ろうとした時、誰かの足音が背後で聞こえて来た。 千は敢えて背後を振り返らずに暫く歩いていたが、路地の角を曲がり、自分を尾行する相手がそこを通りかかるのを待った。「貴方ですか、僕を尾行していたのは?」「な、なんやお前は!?」「それはこちらの台詞です。さっきから僕を尾行していましたよね?貴方、誰なのですか?」「それはお前に関係あらへんやろ!」男はそう言って千を睨みつけると、その場から走り去っていった。(変な人・・あんまり関わり合いにならないようにしよう。)「ただいま戻りました。」「お帰りなさい、千君。わざわざわたしの為にお使いに行ってくれて有難う。」「いえ、気になさらないでください。それよりも沖田さん、悪阻の方はまだ・・」「少し楽になりました。さっきお医者様に診て貰いましたが、悪阻が余りにも酷いようならば里に帰って養生した方がいいと言われました。」「そうですか・・沖田さん、これを。」千がそう言って総司に金平糖が入った包みを差し出すと、彼は嬉しそうな顔をして金平糖を一つ口の中に放り込んだ。「美味しいですね、これ。千君もおひとつどうぞ。」「え、いいんですか?」「いいに決まっているでしょう。」千が総司の部屋で彼と和気藹々とした様子で談笑していると、そこへ歳三が入って来た。「千、少し話したいことがある。」「わかりました。沖田さん、それじゃぁ失礼します。」 千が副長室の前に立つと、中から歳三の溜息が聞こえて来た。「土方さん、僕にお話って何ですか?」「最近、荻野に懸想している男が居るらしい。千、お前買い物の帰りに誰かに尾行されたか?」「はい。それがどうかしましたか?」「そいつから何か受け取ったか?」「いいえ。」「そうか。それならいい。荻野に懸想している男は、いつもあいつのお座敷に出て来ては酒をただ飲んでいるだけらしい。」「その男の特徴とかは、わかりませんか?」「その男は土佐弁を喋り、いつもブーツとかいう西洋の靴を履いているそうだ。」(その男って、もしかして・・)「千尋、またあんた目当ての客が来てるらしいえ?」「ほんまどすか、姐さん?」「ほんまや。何でもその方、あんたの事をえらい気に入ったらしいて、おかあさんがさっき言うてたわ。」 その日の夜、千尋が鈴江とお座敷がある料亭の中に入りながらそんな話をしていると、廊下の向こうから一人の男が走って来た。「千尋か、待っちょったぜよ~!」癖のある髪を左右に振りながら、その男は千尋の細い手首を掴むと、そのまま自分が居た座敷へと戻っていった。「才谷様、うちの事を放ったからしやなんて酷いわぁ。」「すまんのう鈴江、おまんの事も好きじゃ。だから機嫌直してくれちゃ!」「もう、いややわぁ、才谷様~!」鈴江はそう言うと、才谷梅太郎こと幕末の風雲児・坂本龍馬に抱きついた。この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年01月30日
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古都・金沢を舞台に繰り広げられる恋物語。金沢には一度も行ったことがありませんが、作品を読み進めているうちに金沢の美しい情景が浮かんできました。希和子の父親が誰なのか、中盤で少し解っていましたが、彼が希和子と俊市の結婚を認めた事には驚きもしましたが、希和子と俊市が幸せになる為に引導を渡したのだと思いました。最初から最後までとても面白く、しんみりとした作品でした。
2017年01月26日
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はこぜ屋がスポーツシューズ開発に乗り出すところから物語が始まるのですが、「下町ロケット」のような、人情がラストまであふれる物語でした。途中で大手スポーツメーカーの嫌味な開発部長や、はこぜ屋の融資を断る銀行の支社長などが登場しますが、彼らをラストでぎゃふんと言わせる小気味いい展開は面白かったし、なんといってもはこぜ屋の宮沢社長と、その社員たちの健闘ぶりを読み進めていきながらいつの間にか応援していました。特に、スランプに陥っている陸上選手・茂木。復帰戦となるレースのシーンとかは、はこぜ屋の社員たちと一緒になりながら彼を応援していました。10月にドラマ化されるそうですが、下町ロケットのような胸熱ドラマがどう展開されてゆくのか、今から楽しみです。
2017年01月26日
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母が買って来たまるごとアップルパイ。りんごがまるごと入っているので、かなり大きいたです。まさにりんごという感じで美味しかったのですが、固かったです…
2017年01月26日
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プラダ、シャネル、ユニクロなど、世界のファッションブランドから一目置かれる存在となり、注目されている島精機製作所社長・島正博さんの半生記。戦争で父と自宅を失い、小学生の頃から一家の大黒柱として働き、全自動編み機を開発するまでの過程がとても面白くて、ハングリー精神溢れ、常にプラス思考のマーちゃんと、その妻カズヨとの夫婦愛に胸を熱くし、マーちゃんの旺盛なチャレンジ精神に、「人生とは何か」と考えさせられました。マーちゃんが成功したのは、常に失敗を恐れず前向きに生きて来たから。マーちゃんのような人が現代日本を築き上げてきたのですね。最初から最後のあとがきのページまでページをめくる手が止まりませんでした。失敗を恐れず前向きなプラス思考が成功を導く力になるのですね。NHKの朝ドラで放送してほしいような、元気を貰える本でした。
2017年01月26日
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母がスーパーで買って来たラーメン。余りにも辛すぎて、食べている途中でむせてしまいました。まぁ、10年以上前に日本で発売された韓国の辛ラーメンよりはマシでしたが・・わたしは辛い物が好きですが、もう二度と食べたくないですね。
2017年01月26日
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19世紀初頭のプリマスを舞台に、宿屋を営む祖母に育てられた貴族の私生児・ナナと、英国海軍兵士・オリヴァーとの恋物語。ナナとオリヴァーとのロマンスはラストまで甘く、二人が末永く幸せでいられるように読み終えた後思わず願ってしまいました。
2017年01月24日
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荻原浩さんの短編集。様々な人間模様が描かれていますが、特に印象に残ったのは「海の見える理髪店」でした。淡々と物語が進みながらも、読み終わった後胸が温かくなるお話ばかりでした。
2017年01月24日
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戦争によって人生を狂わされた人々を描いた短編集。「帰郷」は、何だか切ない終わり方でした。「夜の遊園地」でのミラーハウスのシーンは、戦争というものが人間の精神をどう蝕んでいくのかがわかったし、戦争の愚かさを感じました。
2017年01月24日
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今日は雪が降る中自転車でイオンまで行ったので、あったかい物が食べたくて母がイオンで買ってきたラーメンをお昼に食べました。スープは豚骨でしたが、あっさりとした味わいで、細麺との相性が抜群で美味しかったです。
2017年01月24日
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「では、また何かありましたらご報告に参ります。」「わかった。」 夕餉の前に、千尋は副長室で歳三に挨拶を済ませ、屯所から辞した。「荻野さん、もう置屋に帰ってしまわれたんですか?」「ああ。総司の所には挨拶を済ませたそうだが、何処かあいつはよそよしい態度を取っていたと、さっき斎藤から聞いた。」 文机の前で書類仕事をしていた歳三はそう言うと、筆を硯の上に置いて溜息を吐いた。「千、まさかお前何かあいつに余計な事を言ったんじゃねぇのか?」「いえ、何も。ただ、沖田さんの悪阻が酷いとしか・・」「馬鹿野郎、あいつにそんな事を話したのか?」千の言葉を聞いた歳三は、突然烈火の如く怒り出した。「土方さん、僕何かいけない事でもしましたか?」「もういい、出ていけ。」 歳三に副長室からつまみ出され、千が溜息を吐きながら廊下を歩いていると、そこへ近藤がやって来た。「どうした、千君?溜息なんて吐いて。もしかして、トシにまた怒られたのか?」「はい、そんなところです。ただ荻野さんに沖田さんの悪阻が酷いことを話しただけなのに、どうしてあんなに怒られないといけないのか、わからないんです。」「そうか・・千君、良かったら俺の部屋で茶でも飲まんか?さっき山崎君が団子を買って来てくれたんだ。」「有難うございます、頂きます。」千はそう言って近藤に頭を下げ、二人分の茶を淹れて局長室へと向かった。「失礼いたします。近藤さん、お忙しいのに僕の為に時間を割いてくださり、ありがとうございます。」「いや、そんなにかしこまらなくてもいい。それよりも千君、君は何故トシから怒られたのかを、まだ解らないのかい?」「はい。僕、色恋には疎いので、荻野さんが土方さんに想いを寄せている事を知っている癖に、意地悪な事を言いました。それで、土方さんが怒ったんじゃないかと・・」「トシは君にきつく当たるところがあるが、それはあいつが君に目を掛けている証拠だと思ってくれていい。鬼の副長と呼ばれている手前、君を可愛がっているところを他の隊士達に見られたら、色々と面倒な事になると思って厳しく接しているんだ。」「解っています。僕はこれからどうすればいいですか?」「暫くトシをそっとしておいてやれ。千君、そんなに落ち込むことはない。誰にだって失敗はあるさ。」 近藤はそう言うと、千を励ますかのように彼の肩を優しく叩いた。「そうだ、総司が好きな菓子を今から買って来てくれないか?店の住所はこの紙に書いてある。」「わかりました。あの、何を買って来れば・・」「最近あいつは金平糖が好きでなぁ。金平糖であれば、何でもいい。」「わかりました。では、行って参ります。」 近藤から店の住所が書かれている紙と、菓子代を受け取った千は西本願寺の屯所から出て、総司が最近気に入っている金平糖の店へと向かった。「お越しやす。」「すいません、こちらの金平糖を一袋ください。」「へぇ、かしこまりました。」店員に菓子代を千が渡していると、店に千尋と見知らぬ芸妓が入って来た。「まぁ鈴江さん、お越しやす。そちらの舞妓ちゃんは?」「ああ、女将さんにはまだ紹介してへんかったなぁ。うちの妹分の、千尋といいます。千尋、女将さんにご挨拶しよし。」「へぇ。女将さん、千尋と申します。これから宜しゅうお頼申します。」そう言って千尋が店の女将に挨拶していると、鈴江の目が千の姿を捉えた。「いやぁ、千尋と瓜二つの顔をしてはるわ、あの若侍さん。」「姐さん、もうすぐお座敷の時間どす。」千尋はゆっくりと千に近づこうとする鈴江の手を掴むと、そう言って彼を制した。「何や、つまらへんなぁ。ほな女将さん、また来るわ。」「これを、副長に。」千尋は千の耳元でそう囁くと、振袖の懐から文を取り出し、それをそっと千に握らせた後、鈴江と共に店から出て行った。 千が店から出て屯所へと戻る道すがら、彼は何者かに尾行されている事に気づいた。この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年01月23日
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何年か前に一度読んだことがあるのですが、ブックオフで偶然見つけて再読しました。東京に全く土地勘がないわたしにとって、どこそこが近いだの遠いだのの感覚がわからなかったです。まぁそれはおいといて、失踪した教え子・ゆかりの消息を追って波多野が、かつて自分の職場だった学校の理事長未亡人の不慮の死にまつわる真相を解明していくラストまで、ページをめくる手が止まらないほど面白かったです。波多野が学校を追い出された理由は、教え子であり元妻であった雅子との交際と結婚が発覚したから・・ドラマとかでは教師と生徒のラブストーリーっていうのは、ピュアな純愛というイメージしか描かれていませんが、実際はいろいろと大変そうですね。波多野と雅子、元の鞘に収まるのかどうかわかりませんが、ミステリー小説としても恋愛小説としても楽しめた作品でした。
2017年01月23日
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DV夫・雄二から逃げた可穂子。雄二は最初優しかったけれど、結婚して自分の支配下に可穂子を置くと、些細な事を理由にして可穂子に暴力を振るうように。よくDV夫に妻が殺された事件が報道される度、何故被害者は逃げ出さなかったのか?といつも疑問に思っていたのですが、自分が悪いのだという自責感を抱いた可穂子の精神状態が、DV被害者の心理を細かに描いており、怖いと同時に悲しく思いました。そして、DV被害者女性達が経営する農園の経営者である裕ママの悲惨な過去も明らかになり、DVやストーカーに対して警察はあまり動いてくれない現実が明らかになりました。雄二と離婚し、幸せを掴もうとした矢先にそれを隆二によって奪われるー雄二の家庭環境を考えれば、彼は他人から愛されたいと渇望している事は理解出来ますが、可穂子に対する執着は凄まじいです。雄二の元に戻り、彼が元の性格のままだった事に気付き、彼に再び暴力を振るわれた可穂子は、身につけた合気道の術で雄二と戦います。雄二を殺してしまった可穂子でしたが、彼がこの世にいる限り可穂子の心は決して休まらないし、雄二はこの世に存在してはいけない人間でした。漸く雄二という枷から解放された可穂子はどんな人生を送るのでしょうか。雄二の存在に怯え、恐怖という名の砂漠を彷徨っていた可穂子は、佳世達が待つ農園という安寧の地で穏やかに過ごしてほしいと思いながら本を閉じました。雄二に暴力を振るわれ、彼と対峙した可穂子の覚悟が現れた一文が強く印象にのこりました。「殺すか、殺されるか。 それでしか、この地獄は終わらせられない。」(394ページ)唯川恵さんの作品を、これを機会に色々と読んでみようと思います。
2017年01月21日
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最終巻とあってか、怒涛の展開が続き、ラストはアメリカとマクベスの結婚式で終わりました。セレステは嫌な女だったけれど、ちゃんと自分がした事をアメリカ達に謝って彼女達と和解したから彼女の事を好きになりかけたけれど、彼女が反乱軍に撃たれたのはショックでしたね。メイドのアンが亡くなったのもショックで、アメリカが彼女の遺品であるレースのショールを被るシーンに胸が締め付けられました。アスペンは最初から最後まで良い男でした。アメリカのお父さんは、きっと天国でアメリカとマクベスが築くイリア王国の未来を見守ってくれているのでしょうね。1巻目から夢中になってあっという間に最終巻を読了しました。全米で350万部超のベストセラーだというのも、頷けるほど面白かったです。ワーナー・ブラザーズでの映画化が決定しているようです。ティアリングの女王も面白かったので、二作品ともどんな映画になるのか今から楽しみです。
2017年01月20日
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イラスト素材提供サイト:薔薇素材Mako's様 西本願寺の屯所を謎の男達と共に後にした歳三は、彼らと共にアメーシア王国へと向かった。「お前らが言う女王陛下の元には、どうやって行けばいいんだ?」「それはお前が知らなくても良い事だ。」金髪紅眼の男は、そう言うと歳三を睨んだ。 やがて彼らは、京の町外れまで来た。 そこには、一本の桜の木が生えていた。「下がっていろ。」 金髪紅眼の男は部下にそう命じると、木の幹に手を置いた後、素早く呪文を唱えた。 すると桜の木が紫の光に包まれ、やがてそれは鋼鉄製の扉へと姿を変えた。「行くぞ。」歳三は目の前で起きた現象を信じられずに呆然とした様子でその場に立ち竦んでいたが、男達が扉の中へと入っていくのを見て、慌てて歳三も彼らの後を追った。 扉の向こうには、西洋の街並みが広がっていた。 石畳の道、煉瓦造りの建物。(ここが、総司が話していた異世界・・)「おい、何を呆けている、行くぞ!」「わかったよ。」歳三が男達と共に街を歩いていると、自分達が道行く人々から厳しい視線を浴びている事に気づいた。―ほら、あいつらが来たよ。―頭から取って食われちまうから、近づくんじゃないよ 幼い子供を連れた母親達は子供の手を取って歳三達の前から足早に立ち去り、そのまま自分達の家の中へと入っていってしまった。「随分とてめぇらは嫌われているようだなぁ?」「うるさい、黙って歩け。」 暫く歳三達が歩くと、白亜の宮殿が彼らの目の前に現れた。「中で女王陛下がお待ちだ、行くぞ。」「ああ、解ったよ。」 男達に両脇を固められ、歳三は宮殿の中へと入った。広間はフレスコ画で描かれた天使の絵で彩られた天井が広がり、射す光の隙間で白亜の大理石の床が時折硝子のように輝いていた。「レオン様、お帰りなさいませ。」 広間の廊下を歳三達が歩いていると、彼らの前に深緑のドレスを着た一人の娘がやって来た。「女王陛下はおられるのか?」「はい。レオン様、そちらの方は・・」「余計な詮索はするな。」「わかりました・・」娘は金髪紅眼の男に睨まれると、恐怖に顔を引き攣らせて彼に道を譲った。「陛下、レオンです。例の男を連れて参りました。」「入りなさい。」 玲瓏とした声が白い扉の向こうから聞こえた。「失礼いたします。」 扉が開き、男達と共に部屋に入った歳三は自分と瓜二つの顔をした異世界の女王と対峙した。作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年01月19日
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セレクションシリーズ第二巻。今回はマーリーの鞭打ち刑や、イリア王国建国の真実など、王国の残酷な現実が明らかになってきました。マーリーが鞭打ちされるシーン、読んでいて辛かったです。階級制度撤廃をアメリカが提案したことで、国王と彼女、そしてマクベスは激しく対立してしまいます。階級制度の所為で貧富の格差が生まれ、差別意識が生まれ、それが内紛の原因ともなることを彼女は見抜いていたわけで・・ですが、一度作られた制度を撤廃するというのは至難の業です。アメリカはこれからアスペンとマクベス、どちらを選ぶのか?そしてイリア王国の未来はどうなっていくのか・・ハッピーエンドで終わって欲しいですね。
2017年01月19日
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厳格な階級制度の下で成り立っている架空の国を舞台に、35人の女性達が王子の妃の座を争うというストーリーなのですが、ヒロイン・アメリカがサバサバとした姉御肌な性格で、言いたい事は例え王子相手にも遠慮なく言う。セレステって女が陰険で嫌な奴ですが、ああいう女は何処にもいそうです。アメリカの元カレ・アスペンもいい性格をしていて、王子の最大のライバルとなりそう。これから最終巻まで色々と楽しめそうです。
2017年01月18日
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父が職場の方から貰ったゴディバのラングドシャクッキー。ダークチョコレートと、ラングドシャのサクッとした生地との相性が良く、口の中にダークチョコレートの甘みが広がって美味しかったです。
2017年01月18日
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FM802のコーナーでこの本を取り上げていたので、近所の書店で注文して購入し、先程読了しました。耳が聞こえない「ろう者」を家族に持ち、「聴者の子供」、所謂コーダとして育った荒井。以前勤めていた警察で裏金作りを拒否したことにより無職となり、離婚した彼は手話通訳士として働くようになったのですが、ある殺人事件の法廷通訳として働くことになり、徐々に過去に起きた事件の真相に迫っていくというストーリーでした。この作品は聴覚障碍者、つまりろう者達の「言語」である手話について取り上げられており、それに加えて健常者、聴者がろう者に対して偏見と差別の目を向けている事について詳しく描かれていました。事件の真相は後半で明らかになるのですが、17年前に起きた殺人事件と、荒いが担当した殺人事件は、繋がっていました。ろう者の子供に対する施設者による性的虐待は、韓国の小説「トガニ 幼き瞳の告発」を思い出しました。「トガニ」も、ろう者の子供達に対する虐待を取り上げていましたが、この作品には虐待の詳細は描かれていませんでした。しかし、容易に想像が出来ましたし、被害者に対して全く同情できませんでした。障碍者に対する差別をなくす、といっても具体的にどうすればよいのか、というのは誰にもわからないものです。「ワンダー」の感想記事にも書きましたが、誰しもが突然怪我や病気で障碍者となってしまうことがあるのです。この作品がもっと多くの人に知られ、読まれて欲しいと思いました。
2017年01月17日
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今年の大河の主役・井伊直虎こと香の生涯を描いた作品。香は予言能力があり、そのせいで人の死が見えてしまうという苦しみを抱えながら井伊家の当主として生涯紅もささずに家を守るために、繁栄させるために生きた彼女。紅は女性の化粧道具だと今まで思っていたのですが、亡くなった男の死に化粧を施すためにも使われていたことをこの作品で初めて知りました。香の生涯は幸せだったのか、それは本人でしかわからないことでしょうね。ただ、今よりも女性が生きる選択肢が少なかった時代、香の生涯は激動のものでありながらも、どこか凛としたものだったと思いました。タイトル「剣と紅」の意味が、読み終わった後胸にズシンと来ました。
2017年01月17日
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未解決事件「グリコ・森永事件」を下敷きに書かれたミステリー。409ページにも及ぶ長編でしたが、プロローグの部分から読み始め、エピローグまでページをめくる手が止まりませんでした。事件の裏には、それに翻弄された家族の姿が浮き彫りになりました。事件の真相は悲しくも残酷なものでしたが、終わり方は爽やかな結末で締めくくられており、読後感は爽やかなものになりました。「イヤミス」もいいですが、たまにはこういった類のミステリーを読むのもいいですね。
2017年01月17日
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この作品の主人公は、磐音様の嫡男・空也。武者修行へ薩摩へと旅立った空也は、様々な困難に遭い乍らも逞しく成長していく姿を読み進めていくと、いつの間にか彼を応援していました。これから空也の活躍が楽しみです。
2017年01月17日
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スーパーに売っていたので、購入しました。チーズの味が濃くて美味しかったです。
2017年01月17日
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「こんな所に居たのですか、甲子太郎(かしたろう)さん。」背後から声が聞こえ、伊東が振り向くと、そこには半ば呆れたような顔を自分に向けた内海次郎が立っていた。「内海、わたしに何か用でも?」「ありませんが、貴方は一体何をしたいのですか?」「どういう意味だ、それは?」 伊東がそう言って内海の方を見ると、内海は大きな溜息を吐いた。「貴方はいつまであの小姓の尻を追いかけるおつもりなのですか?」「何を勘違いしている、内海?わたしが追いかけているのは、荻野君の尻ではなく、土方君の尻だよ。」「伊東さん!」内海の顔が怒りで赤く染まったのを見た伊東は、慌てて笑って誤魔化した。「冗談に決まっているじゃないか。そう怒らなくてもいいだろう、内海。」「全く、貴方がおっしゃる事は何処までが本気で何処までが冗談なのか、わかりませんね。」「それがわたし自身の魅力でもあるのさ。それよりも、土方君は一体何を考えているだろうね。暫く姿を消したと思ったら、戻って来てすぐに近藤君達と酒宴を開いて二日酔いで寝込んで・・それもわたしを騙す演技なのだろうか?」「そうではないようですよ。土方さんは下戸で酒を一滴も飲めないみたいですからねぇ。」内海はそう言うと、歳三が籠っている副長室の方を見やった。「そうか。内海、わたしは少し出掛けてくるから、留守を頼む。」「はい、お気をつけて。」 昼になり、少し体調が戻った歳三が低く呻きながら布団の中から這い出ると、襖の向こうから千尋の声が聞こえた。「副長、荻野です。入っても宜しいでしょうか?」「入れ。」「失礼いたします。」千尋が襖を開けて副長室に入ると、そこには慌てて歳三が布団の中へと入ろうとしている姿があった。「何をなさっておられるのですか、副長?もう二日酔いは良くなられたのでしょう?」「そ、そうだな・・それよりも荻野、伊東は何処だ?」「伊東先生なら、先程外出されました。行き先は内海さんには知らせていませんでした。何かにおいますね。」「ああ、そうだな。荻野、お前は祇園に戻らなくても大丈夫か?」「はい。女将さんからは夜までに置屋へ戻るようにと言われておりますので、それまでに溜まった仕事を片付けようと思っております。」「そうか。花街はこれから忙しくなる時期だからな。余り身体を壊さないようにしろよ。」「副長からのお言葉、肝に銘じます。」千尋はそう言って歳三に向かって頭を下げると、昼餉の用意をする為に副長室から出て行った。「荻野さん、お久しぶりです。長い間ご心配をお掛けしてしまってすいませんでした。」「千さん、ご無事で戻ってきて何よりです。沖田先生のお加減は如何でしたか?」「顔色が少しは良くなってきましたが、余り食欲がないみたいなんです・・まぁ、悪阻が酷いから仕方がないのかもしれませんけれど。」 千の言葉を聞いた千尋は、驚きのあまり包丁で野菜ごと自分の指を切りそうになった。「大丈夫ですか?」「大丈夫です。それよりも千さん、先程のお言葉、本当なのですか?沖田先生の悪阻が酷いというのは・・」「はい、本当です。沖田さんは、土方さんの子を妊娠していて、悪阻が酷くて食欲がないみたいです。一度お医者様に診て貰った方がいいのではないかと。」「まぁ、そうですか。それはめでたいことです、局長はそのことをご存知なのですか?」「ええ。今日の夕餉は赤飯にすると、近藤さんは大変嬉しそうに話しておられました。」 総司が歳三の子を妊娠したと、千から知らされた千尋は、驚きとともに別の感情が心の奥底から湧きあがって来るのを感じた。この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年01月16日
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サンドラ・ブラウンのサスペンス。今回は映画になぞらえて起こる殺人事件と、ホテルで強盗に射殺されたポールという大富豪の事件の真相が読み進むにつれてわかりましたが、犯人は最初から出てきた男かなと思ったら、そうだったのであんまり驚きませんでした。彼の異常な性格は生まれついたものでしょうね・・サイコパスというのでしょうか。それよりも彼の両親が彼の犯罪のしりぬぐいをしたことには腹立たしい限りです。息子を守りたいというのならば、法での裁きを彼に受けさせるべきでしたね。ポールとヒロイン・ジュリーとの関係が後半で明らかになり、それには驚きました。最初から最後まで一気読みしてしまうほど面白い作品でした。
2017年01月14日
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渋谷で突如ゾンビが出現しても、にやにや笑っている通行人達の態度が笑えました。タイトルの「コンテクスト」とは、「状況と関係」の意味で、日本人同士の「暗黙の了解」という名の「同調圧力=皆が一丸となっているのに、反対意見を言う事は許されない」という現代日本で起きている社会的風潮を「ゾンビ掃討」という現象下で羽田さんが皮肉っているように思えました。作中で最も印象に残ったのは、高校で「No原発、Noゾンビ」とプリントされたTシャツ着用を拒否した女子高生・希がクラスメイト達から罵倒されるシーンでした。福島から来た希は、クラスメイト達から「空気が読めない」存在とされ、「ホーシャノウうつっちゃうから早く地元に帰れ」と罵倒されたり、慰謝料代わりに金銭を要求されたりと、まさに最近ニュースで話題となった「避難者いじめ」そのものでした。ゾンビに向けられる恐怖や嫌悪、そして好奇の視線は、福島から避難してきた被災者たちへの心無い中傷や偏見といったものを描いているように思えました。ラストは少し爽快なものになっていましたが、「みんな~しているから」という中で何の考えも持たずに流されるまま生きていく人間の姿は、ゾンビにとっては自分よりも恐ろしい化け物に見えたのかもしれないな・・と思いながら、本を閉じました。
2017年01月12日
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久しぶりにマクドへ。クーポンを使ってカーリーフライを注文しました。程よい辛さで美味しかったんですが、脂っこくて少し胸やけしました。
2017年01月12日
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キリシタン弾圧が厳しさを増す江戸初期の長崎。失踪した師・フェレイラを捜しに来た司祭ロドリゴ達は、そこで信徒達に対する残忍な拷問と悲惨な殉教を目の当たりにし、彼らにもキリシタン狩りの手が及ぶ。作中に出てくるキリシタンに対する拷問シーンは、読んでいて胸が痛くなりました。フェレイラが棄教し、名を捨て生きている事にロドリゴは驚愕し、絶望したのでしょうね。最後のシーンは何処か意味深長なものですが、信仰とは、神の存在とは何かを、カトリック信徒であった作者が読者に対して問いかけているかのような作品でした。
2017年01月12日
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可愛いイラストの表紙に惹かれて購入し、一気に読了しました。天使とか悪魔とかが出てきて、ファンタジー色が強いなと思いながら読み進めてみたら、中盤頃からある人物に関する衝撃的な事実が出てきて、そのあとは一気に展開が早かったです・・天使となった少女が、好きな人のために自分の命を投げ出したことには驚きました。最初から最後まで夢中になって読んだ、面白い作品でした。
2017年01月09日
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交際五年目の彼から別れを告げられた怜子。彼女は仕事が出来るキャリアウーマンなのですが、五年も付き合っている彼氏・耕一郎が新しい恋人とでき婚することを友人・真樹子から知り、常軌を逸した行動に出ます。女の情念と執念を描いていながらも、物語は爽やかな終わり方を迎えていました。これは怜子が主人公だからこその終わり方なんだろうなと・・もし、怜子が男だとしたら、こんな爽やかな結末は迎えなかったんじゃないのかと思うのですが。それよりも、真樹子の行動が意味不明ですが、怜子に対して嫉妬していたんでしょうね、きっと。
2017年01月09日
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新選組副長と、一番隊組長、そして小姓であった荻野千が忽然と姿を消してから二月余り。「山崎君、トシの消息はまだ掴めんのか?」「申し訳ございません、局長。手を尽くしましたが、依然副長たちの消息は掴めませんでした。」「そうか・・」 局長室で山崎からの報告を受けた近藤は、そう呟くと低く唸った。 このまま歳三達の消息が判らないままだと、新選組の運営に大きな支障が出てしまう。何とかしなくては―そんな事を思いながら近藤が腕を組んでいると、局長室に何やら慌てた様子で三番隊組長・斎藤一が入って来た。「局長、失礼いたします!」「そんなに慌ててどうした、斎藤君?」「申し訳ございません、局長。実は先ほど、副長と千達を八坂神社で発見致しました。」「何だと、それは本当なのか?」「はい。」斎藤はそう言うと、自分の背後に立っている歳三達の方を振り返った。「近藤さん、心配させちまって済まねぇな。」「トシ・・」「ご迷惑をおかけしてしまってごめんなさい、近藤さん。」「総司、無事だったんだな!」近藤は歳三と総司の姿を見ると、勢いよく二人に抱きついた。「二人とも無事で良かった!今まで何処に行っていたんだ?」「ちょっと旅に出ていたんです。ねぇ土方さん?」「あ、あぁ・・」 まさか現代にタイムスリップしたとは近藤には言えなかったので、歳三は総司が吐いた嘘に同意した。「そうか。それならば文くらい寄越してくれていればよかったのに。だが、二人とも無事に帰って来たから良いか。」近藤はそう言うと、朗らかな声で笑った。 その日の夜、近藤は歳三達の無事を祝う為に酒宴を開いた。「なぁトシ、総司、二人とも勝手に居なくならないでくれよ?お前達二人が突然居なくなったせいで、俺がどれほど心配した事か・・」「近藤さん、二度とあんたにはそんな思いをさせねぇから、安心してくれ。」「あぁ、解ったよ。さぁトシ、今夜は飲み明かそうじゃないか!」「そうだな、近藤さん。」そう言うと歳三は近藤に微笑み、彼と酒を酌み交わした。 翌朝、歳三が布団の中で二日酔いからくる頭痛と戦っていると、副長室の襖がすっと開いて千尋が入って来た。「副長、お水です。」「有難う。荻野、お前ぇにも迷惑を掛けたな。」「いいえ。では、わたくしはこれで失礼いたします。」 千尋はそう言って歳三に微笑むと、副長室から出て行った。「荻野君、こちらに居たのだね。」「わたくしに何かご用ですか、伊東先生?」千尋はそう言うと、蒼い瞳を冷たく光らせながら伊東を見た。「そんなに怖い顔をすることないじゃないか。わたしは君と少し話をしたいだけなのだから。」伊東は千尋の手を掴み、彼に向かって笑みを浮かべた。だが千尋は、伊東の手を邪険に振り払うと、足早に彼に背を向けてその場から立ち去った。「可愛げのないところは飼い主に似たんだね・・」 伊東は小声でそう呟くと、開いていた扇子で口元を覆った。この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年01月09日
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昨年ドラマ化された事を知って、改めて原作を読み直しましたが、よく解らなかったので、ブックオフで購入して再読しました。ヘールシャムという特殊で閉鎖的な空間の中で育ったキャシー達が、成人して残酷な事実ー自分達が臓器移植の為に作られたクローンだということを知り、色々と考えちゃいますよね。これまで自分達が生きていたのは何のためだったのだろうかと、思うようになっても仕方がないですよね。この人の作品は、「人間とは何か」という事を読者に向かって問いかけているように感じます。読み返せば読み返すほど、この作品は深いですね。
2017年01月08日
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人気作家であり資産家の娘・ケイトリンの元に脅迫状が届き、その上何者かに交差点で背中を押され生死の境を彷徨ったケイトリン。彼女を狙うストーカーと、連続殺人犯の正体が終盤で判って驚きましたが、その動機が切ないですね。あと、ケイトリンの出生の秘密も判りましたが、これからケイトリンは愛するマックとの幸せな未来を築いていくことでしょう。途中までハラハラする展開が続きましたが、ハッピーエンドで読後感は爽やかでした。
2017年01月08日
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味噌の旨味と太麺との相性が抜群で美味しかったです。
2017年01月07日
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登場人物を見て、予告映像が流れた時点で犯人が誰なのか分かってしまった。24年前に起きた乳児誘拐事件の真相は悲しいけれども、死んだ我が子の代わりに誘拐した子を育てた女性はどんな思いをしていたんだろう?子を奪われた母親は自殺しちゃったし、24年もの時間はもう戻らない。犯人も父親となり、子を誘拐されたからかつて自分が犯した罪を後悔したんだろうな。親子の絆は深いー「血は水よりも濃い」というし。でも、「生みの親より育ての親」ともいうし…血がつながっていてもいなくても親子の形は人それぞれだろうな。
2017年01月06日
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パート先のスーパーで安く売っていたので買いました。サッポロポテトの、四角い方のお菓子も好きですが、サラダ味の方がさっぱりとした味わいの方が好きです。
2017年01月06日
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フジッコのベスタデリシリーズ、何種類か食べていましたが、このほうれん草とトマトのラザニアが一番好きです。ただ、初めて電子レンジで温めたら、プゥ〜と変な音がしてビビりましたけど(笑)
2017年01月06日
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昨日と今日、かなりの距離を自転車で走ったので、さっきから腰が痛いです。運動するのはいいけれど、ほどほどにしないとね…
2017年01月05日
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第二次世界大戦で、大日本帝国とヒトラー率いるドイツ帝国が勝利した世界という、歴史改変SF小説です。作者が韓国系アメリカ人ということで、日本軍の残虐行為や拷問シーンをこれでもかという程書いており、作品全体に暗い雰囲気が漂っていました。主人公・ベンと、特高隊員の昭子、そしてベンの上司だった六浦賀将軍―この三人を中心に歴史改変ゲーム「USA」が絡んだ陰謀が徐々に解き明かされてゆくのですが、ベンと昭子の関係が徐々に変化してゆき、何だかいい雰囲気になりそうだったところで衝撃的な結末を迎える事になろうとは思いもしませんでした。エピローグでは、ベンが両親を告発した場面が出てきますが、それは両親が、ベンの命を守るために、彼にやらせたことでした。何だか切なさを感じる作品でしたが、翻訳が上手くて登場人物の口調だけでどんな性格をしているのかが想像できましたし、面白かったです。表紙とカラー口絵の「メカ」は、何処かガンダムに登場するモビルスーツを彷彿とさせますね。関西弁を喋るクジラがメカを操り敵と戦うシーンが終盤辺りで描かれるのですが、何だか頭の中でクジラがモビルスーツかプラグスーツ(エ●ァで主人公たちが着ていたやつ)を着ている姿を想像してしまいました。
2017年01月04日
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4年前の大河ドラマ「八重の桜」の主人公・八重と、その兄・覚馬の物語です。会津という土地は武士のしきたりなどに囚われ、新しい物を取り入れようとしなかった。まぁ、これはアニメ「薄桜鬼 碧血録」でも描かれていましたね。戦場で洋装ではなく甲冑姿だった藩士達は新政府軍に惨敗し、洋装を取り入れるようになったというエピソードはフィクションなのかどうかわかりませんが、この作品では所々にナポレオンの逸話が出てきます。会津戦争での、照姫をはじめとする女達の活躍ぶりが描かれていましたが、何だか切なさと哀愁を感じました。終章で鳥羽伏見で戦死したと思っていた覚馬が生きていたというシーンには「八重の桜」を観ていたので、余り驚きませんでした。これから新しい時代が始まるような予感、で物語は幕を閉じますが、少しだけど新選組が登場し、新選組ファンのわたしにとっては嬉しかったです。藤本ひとみ先生の本は余り読む機会がなかったのですが、これを機に色々と読んでみようと思います。
2017年01月04日
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「副長、わたしにお話とは何でしょうか?」「武田、お前が隊内であの娘について妙な噂を広めていると総司から聞いたが・・それは本当か?」 歳三の言葉を聞いた武田は、口元を少し歪めて笑った。「何を根拠にそのような事をおっしゃるのですか、副長?」歳三は武田を睨みつけたが、武田は飄々とした口調でこう言った。「他に用が無いのなら、わたしはこれで失礼いたします。」武田はさっと立ち上がり、副長室から出て行った。「土方さん、噂の事、武田さんから聞きました?」「ああ。あいつに上手い事はぐらかされたがな。」歳三はそう言って溜息を吐くと、文机の前に座って溜まっていた書類の処理を始めた。「総司、ここは本当に京なのか?」「何を馬鹿な事を言っているんですか、土方さん?僕達が居るのは、紛れもなく帝がおわす京の都ですよ。まぁひとつ違っている事といえば、向こうの世界―アメーシア王国があるという事だけですかね。」「前から気になっていたんだが、そのアメーシア王国っていうのはどんな国だ?西洋の国か?」「まぁ、一言でいえばそうですけど、あちらの国を治めているのはエゲレスと同じ女王なのですよ。その女王というのが、土方さんと瓜二つの顔をしているんですって。」「俺と同じ顔をしている女王か・・一度でもいいから、その顔を拝んでみてぇもんだな。」歳三がそう言って笑うと、雪華が湯呑を載せた盆を持って入って来た。「お茶が入りました。」「有難う。そこに置いといてくれ。」「はい。」雪華がそう言って湯呑を置くと、歳三はちらりと彼の方を見た。「なぁ雪華、アメリアの様子はどうだった?」「最近良く眠れているみたいです。でも、噂の事で少し傷ついているみたいです。」「そうか。噂の事は気にするなとあいつに伝えておいてくれ。」「解りました。」雪華はそう言って歳三に向かって頭を下げると、副長室から出て行った。 書類処理を一通り終えた後、歳三は腰下まである長い髪を一房摘んだ。五稜郭で死んだとき、洋装に合わせて髪は短く切った筈だったが、この世界に飛ばされてから髪は昔の長さに戻ったらしい。 総司から聞いた話が全て本当なのだとしたら、異世界の王国を治める自分と瓜二つの顔をしている女王に一度会ってみたいと思った。何故自分がこの世界に飛ばされたのかが、彼女に会えば少しは解るのかもしれない―そう思いながら歳三が畳の上に寝転がっていると、外の方が急に騒がしくなった。「何だ、貴様ら!」「新選組副長、土方歳三はここに居るか?」 歳三が副長室から外に出ると、そこには真紅の軍服姿の男達が隊士達と睨み合っていた。「てめぇら、何者だ?」「土方歳三だな?」「ああ、そうだが・・てめぇら、俺に何の用だ?」 男達の中からリーダー格と思しき男の一人が歳三の前に現れ、男は歳三を紅い瞳で睨んだ。「女王陛下がお前に会いたがっている。我らと共に来て貰おうか。」 傲岸不遜な口調でそう言った男は、再度歳三を睨みつけた。「総司、留守の間近藤さんの事を頼む。」「わかりました。」 男達と共に屯所から出て行く歳三を、総司は黙って見送った。作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年01月04日
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黒水町という架空の町で起こる警察官連続失踪事件。町長が八嶋さんなのはなんでだろうと思いながら、白熊の着ぐるみとかぬいぐるみとか、「わたしは獣になって戻ってくる」というラテン語の謎めいたメッセージやら、失踪した警察官が持っていた違法ドラッグやら、団地住民達の結束の固さやらを首をかしげながら観ていましたが、八嶋さんのキャスティングの意味が後半30分ごろから解り、「ああ、やっぱりなぁ~!」と、すべての謎が解けて腑に落ちました。それにしても、ただ動機もなく人を殺したい、ただそれだけの理由で快楽殺人を繰り返す変人ってどこかにいるのだろうけれど、本人は全く反省していないようだし、ああいう人間には優秀な弁護士がついて無罪放免、若しくは懲役が軽くなってすぐに釈放されそう。「ギルティ~悪魔と契約した女~」で、玉木宏の相棒だった刑事を焼き殺したヤク中の兄ちゃんが心神喪失の振りをして無罪放免になったシーンを思い出したわ。ああいう、快楽殺人を繰り返して良心や罪悪感を痛まない人はサイコパスか人格障害だろうな、きっと。なぜか性犯罪や、精神障碍者に対しては懲罰が軽いんだよな、日本の司法制度は。未成年者の犯罪だって、被害者は実名報道されるけれど、加害者は少年Aとか仮名で報道されるし、プライバシーが守られているのが疑問だし、納得がいかない。このままだと、日本がおかしくなっていきそうな気がする。最後の、右京さんが槙野に伝えた言葉が良かったな。どんな軽いものでも、犯罪は犯罪・・前科がついたら死ぬまでそれがついてくる。だから、どんな理由や事情があっても罪を犯してはいけないというメッセージを右京さんは伝えたかったような気がしました。
2017年01月04日
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昨日イオンで売っていました。ビーフカレーヌードル、結構麺とヌードルとの相性が抜群で美味しかったです。
2017年01月04日
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アウガルデン王国皇太子妃となった15歳のルクレツィア。しかし夫である皇太子・シメオンは、下働きの娘・マリーを愛す。ルクレツィアは舅が亡くなって王妃になりましたが、隣国に攻め込まれて難民となり、ティアナという少女と出会ったことから、彼女の第2の人生が始まります。最初、ルクレツィアの高慢な性格が余り好きになれなかったのですが、徐々に彼女が変わってゆく姿を見て、好感を抱きましたし、メルヴィンとの新たなロマンスにも胸がときめきました。最後はメルヴィンの王妃となったルクレツィアが幸せになれるといいなと思いながら本を閉じました。ルクレツィアを、何故かハプスブルク家皇太子妃となった、ベルギー王家のシュティファニー王女と重ねてしまいました。読み応えのある作品でした。
2017年01月02日
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敵対する家同士、まるでロミオとジュリエットのように惹かれ合ったファンシーとターナー。二人の間に生まれた娘・キャサリンは成長し、亡き祖母・アニーの埋葬の為に彼女の故郷へ向かう事に。そこは、過去の因縁と迷信に囚われた町でした。キャサリンの祖母代わりをしていたアニーの事を魔女と呼ぶ町の人々に失笑しつつも、彼らが根拠のない噂に毅然とした態度で立ち向かうキャサリンの姿が凛々しいし、彼女を守るルークがカッコ良くて素敵でした。ラストでキャサリンとルークが結ばれ、彼らの間に娘が生まれて家族となった姿を見て、彼らが幸せになって良かったと思いましたし、物語の結びの一文が良かったです。一度10年位前に読んだ作品ですが、何度読んでも感動は色あせませんでした。
2017年01月02日
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家族でピアサピドに行きました。食べ放題のパン。チーズフォンデュ。牛タンのラグーパスタ。エージング豚肩ロースのコンフィグリルトリュフソース。カジキマグロのマスタードソースグリル野菜添え。初めて行ったお店ですが、パンもお料理も美味しかったです。
2017年01月02日
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千が歳三達と共に八坂神社へと向かうと、そこに晋作の姿はなかった。「居ませんね、高杉さん。」「ああ。」千が晋作のスマホの番号に掛けてみると、近くの茂みから軽快なメロディーが鳴り響いた。「これがあいつのスマホか?」「はい。高杉さんがここに居ないという事は、彼はもう・・」「恐らく、そうだろうな。」歳三は晋作のスマホを握り締めながら、社の奥の方を見た。「戻るぞ、千。」「はい。」千が歳三と共に八坂神社を後にしようとした時、冷たい風が吹いて千の頬を撫でた。「千、どうした?」「いえ、何でもありません。」(今のは、何だったんだろう?) 千達が去った後、社の奥の神棚に祀られていた鏡が蒼い光を放っていた。 二週間後、千達は京都で大晦日の朝を迎えた。「千、準備は出来たか?」「はい、出来ています。」 千はそう言うと、必需品が詰まったリュックを背負い、歳三と共にホテルをチェックアウトした。 早朝を迎えた京の町は静まり返り、いつも観光客達で賑わっている祇園界隈は閑散としていた。「千、あれを見ろ!」「あれは・・」 歳三が指した方を見た千は、あの日と同じように八坂神社が蒼い光に包まれている事に気づいた。「行くぞ。」「はい。」「千君、向こうへ戻る前に一つ約束してくれますか?」「約束、ですか?」「ええ。わたし達の元へと戻った事を、絶対に後悔しない事。約束してくれますね?」「はい、約束いたします。」総司は千の言葉を聞くと、彼に優しく微笑んだ。「それじゃぁ、行きましょうか?」「ええ。」 千が総司の方を見ると、彼の全身が蒼い光に包まれている事に気づいた。歳三と総司、そして千は、ゆっくりと蒼い光の中へと包まれ、“時空の扉”の向こう側へと旅立った。 “扉”の中は、まるで穏やかな海のようにゆらゆらと揺れており、千達はその中を静かに流れていった。 余りの心地良さに、千はいつの間にか眠ってしまった。「千、起きろ。」「ん・・」歳三に揺さぶられ、千がゆっくりと目を開けると、彼は八坂神社の社の床に寝転がっていた。「土方さん、僕達は・・」「この時代でお前のそのなりは目立つ。これに着替えろ。」歳三はそう言うと、着物と袴が入った風呂敷包みを千に手渡した。「有難うございます。」洋服から着物と袴に着替えた千は、背負っていたリュックを風呂敷に包むと、歳三達と共に八坂神社から新選組の屯所がある西本願寺へと向かった。この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年01月02日
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桃子の本性が明らかになって怖かったけれど、まあ彼女が神無に嫉妬していたのは解るような気がするなぁ。それよりも、彼女と響との関係がどう進展するのかが気になりますね。華鬼は、一巻目の塩対応は何処へやら、神無に対してデレていて、読んでいるこっちの頬が弛みっぱなしです。番外編では二人の子供が登場・・いつの間にそんな関係になったんだ?と突っ込みたくなりました。まぁ、華鬼は漸く辛い過去の呪縛から解放されて、神無と子供と、そして神無の母・早苗と四人で仲良く暮らすのでしょうね。一巻目はどうなるのかと思いながら読み進めてきましたが、最終巻で華鬼と神無が結ばれて良かったです。ちょっと世界観の設定が解りづらかったのですが、とても読み応えのある作品でした。
2017年01月01日
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