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*幕末の千尋の幼少期の話です。まだ続きます*八重歯の男に気づかれぬよう、忍び足で正義と耀次郎は彼が嫌がる千尋を連れて女郎屋の女将の部屋に入るのを見た。「おやおや、今日は何の用だい?金を貸せとかいう話なら聞かないよ。」煙管の中に溜まっていた灰を火鉢の中へと捨てた老女は、そう言って八重歯の男を睨みつけていた。「女将さん、今日はそんな話をしに来たんじゃありませんや。今日は、女将さんが喜ぶ話を持って来たんでさぁ。」「あたしが喜ぶ話ねぇ・・ちょっと聞いてやろうじゃないか。」狐の様な目をした女将は、そう言うと八重歯の男の背に隠れている千尋の方を見た。「その子かい、あたしが喜ぶ話ってのは?」「へぇ。この子は異人とのあいの子ですが、まだ餓鬼でさぁ。女将さんにいっぺん見て貰いたくてこちらへ連れて来たんでぇ。」「そうかい。そこの子、こっちへ来な。なぁに、取って食いなしないから。」 猫なで声で女将がそう千尋に呼び掛けると、彼は小さな身体を震わせながら彼女の前に立った。「肌はきめ細かいし、髪の色も金色で縁起が良いし、何よりも瞳の色が綺麗だねぇ。今はまだ小さいけれど、成長したらすぐに花魁になれそうな顔をしているねぇ。」「そうでしょう?ただ、この子は男なんで、花魁にはなれやせんや。」「あらぁ、そりゃぁ残念だねぇ。でもまぁ、いい子を拾って来てくれたじゃないか。」「拾って来たんじゃありやせん、さるお武家の奥方様から頼まれたんでさぁ。うちに厄介な穀潰しが居るから、厄介払いのついでにこちらへ売ってくれないかってねえ。」「可哀想にねぇ。なぁに、心配することないさ。あんたの事は大事にしてやるよ。」女将はそう言って千尋に微笑むと、彼の頬を撫でた。 廊下で二人の話を聞いていた正義と耀次郎は、千尋を女郎屋に売ったのが自分達の母親である事を知り、驚きのあまりそこから動けなかった。「あんた達、そこで何してんだい?」「耀次郎、逃げるぞ!」 正義はそう叫ぶと乱暴に襖を開け放ち、千尋の手を掴んで耀次郎と共に女郎屋から飛び出した。「てめぇら、待ちやがれ!」「待てと言われて止まる馬鹿が居るもんか!」正義は自分達を追ってくる男と女将に向かって舌を突きだすと、そのまま千尋と耀次郎と共に自宅へと逃げ帰った。「若様、一体どうなさったのです?」「母上はどちらに?」「何ですか正義、耀次郎、そんなにたくさん汗を掻いて・・」 美祢がそう言って息子達を見ると、二人の背後に女郎屋へと売った筈の千尋の姿が見え、彼女は激しく狼狽した。「何故、お前がここに・・」「母上、何故千尋を女郎屋へと売ろうとしたのですか?そこまで、千尋の事が憎いのですか?」「お黙りなさい、大人の事情に子供が口を挟むものではありません!」「・・今の話はまことか、美祢?」 背後から夫の冷たい声が聞こえ、美祢が恐る恐る背後を振り向くと、そこには憤怒の表情を浮かべた夫が立っていた。「旦那様・・」「正義、千尋を連れて耀次郎と部屋へ行っていなさい。」「はい、わかりました。」 両親の間に流れる険悪な空気を敏感に感じ取った正義は、弟達と共に母屋の奥にある自分達の部屋へと向かった。「詳しい話を聞かせて貰おうか、美祢?何故千尋を女郎屋へと売ろうとした?」「その理由は旦那様が一番ご存知なのではなくて?」 美祢はその場で失神してしまいそうな恐怖に負けぬよう、そう声を張り上げると夫を睨みつけた。「旦那様が・・貴方が悪いのですわ、あんな女との間に出来た子供を我が家に引き取るから、わたしが惨めな思いをするのです!」この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年04月28日
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タイで行われている児童売買春を生々しく描いた作品だけに、貧困故に売春宿へ売られてエイズに感染した少女の悲しい末路や、彼女の妹が闇の臓器移植手術の犠牲となるところとかを読んで、胸が痛くなりました。ラストの南部が言った台詞が、ズシンと胸にきました。
2017年04月26日
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ある村の地主が殺され、ポワロがその犯人を推理するのですが、ポワロが登場する以前にこの物語が一人の医師による手記だと思いながら読んでいましたが、犯人が終盤近くになってわかり、驚きました。アガサ・クリスティーの小説は最後まで読まないとその面白さがわからないので、どの作品もハラハラしながら読むのがやめられません。
2017年04月26日
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幼児早期教育をテーマにした社会派サスペンスでしたが、早期教育センターに隠された深い闇が後半部分でわかり、驚きました。幼児の早期教育は子供にとって良い物なのかどうか、この本を読み終わっていろいろと考えてしまいます。
2017年04月26日
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これ、何年か前に映画化された作品ですが、最初から最後まで蓮見が強烈過ぎてページを捲る手が止まらなくなるほど面白かったというか、目が離せないサイコサスペンスでした。蓮見みたいな奴が教鞭をとっていると思うと、何だか怖いし、相手に簡単に洗脳されそうですね。
2017年04月26日
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この作品は何度も読み返したことがある小説ですが、狭い空間で主導権を握り、一人の少女に虐待を加える一人の恐ろしい女・ルースの姿が最後まで描かれており、彼女に対して戦う術がなかった主人公・デイヴィッドの姿を思わず自分と重ね合わせながら読みました。後味の悪い話としてよくネット上で紹介されていますが、誰も幸せにならない結末の話ですからね・・デイヴィッドがルースを事故に見せかけて殺し、母親の形見の指輪をルースから取り戻した場面だけが救われましたね。一番可哀想なのは姉を殺されたスーザンですね・・彼女が幸せな人生を送ってくれればいいのですが。実際にあった事件を基にして書かれた小説ですので、狭い空間でのルースによる少年達への洗脳行為、そして集団心理の恐ろしさを巧みに描いた作品でした。
2017年04月26日
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物語が急展開を迎えましたが、エレナの親友だったキャロラインが陰湿な嫌がらせをエレナにしてきてムカつきました。ステファンとデイモンとの戦いの決着はまだついていませんが、1巻と比べてストーリーが面白かったです。
2017年04月26日
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映画化された「マイノリティ・リポート」を含むSF短編集。どの話も面白かったですが、一番印象に残ったのは「追憶、売ります」。ロボットの事や火星旅行の事ととか、近い内に実現化されるような事ばかりが描かれており、それに関する危機に対してもリアリティーがあって面白かったです。
2017年04月26日
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ドラマ化された原作小説だから楽しみにしていて読んでいたら、ヒロイン・エレナが学園の女王様で高飛車な性格で、イケメン転校生を振り向かせてみせる!と息巻いているストーリーだったのでちょっと前半部分はあんまり感情移入できませんでしたが、エレナがイケメン転校生・ステファンの正体が吸血鬼だと知った頃から物語が急展開していき、最後にはステファンの兄・デイモンが登場し、ステファンがやって来た時に起こった不可解な事件の真相が明らかに・・というところで続く!となってしまいましたが面白かったです。ただ、ロマンス小説というよりも、大人向けのライトノベルとして読めばいいかなと。
2017年04月26日
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瓜二つの顔をした鞠子と双葉。何故彼女達は瓜二つの顔をしているのかーこの物語の最大の謎がラスト100ページで解けた時、絶句しました。クローン人間というものは法律で禁止されていますが、この小説のように極秘裏に作られていたとしたら恐ろしいですね。ラスト、鞠子と双葉が会うシーンは、自分の分身を見つけたという二人の印象的なシーンでしたし、タイトルの意味がわかりました。
2017年04月26日
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三人の男の不審死の裏には、彼らに裁きを下す「闇の天使」の姿があった―エリカ・スピンドラーの本格的なサスペンス。エリカ・スピンドラーの作品は「レッド」を読んでからファンになりましたが、今回の作品はまさにノンストップ・ミステリーでした。ヒロイン・メラニーを取り巻く問題(元夫との息子の親権争い)や、男社会である警察組織の中での女性警察官の立場の危うさなどが事件の真相と共に描かれており、読みごたえがありました。「闇の天使」の正体は一体誰なのか―最後までその正体がわからなかったのですが、意外な人物で驚きました。殺された被害者たちは、女性に暴力を振るいながらも法の網をかいくぐっていた愚か者、社会の屑でした。「闇の天使」が彼らに下した罰には何故か同情しましたが、共感はしませんでした。しかし、司法制度の限界というものを考えると、こういった殺人が現実社会でも増えていくのだろうと思うと、他人事ではないですね。ラストシーンはハッピーエンドで終わりましたが、コナーとメラニーがケイシーと共に三人で幸せに暮らすのかと思うと、本を閉じた後安堵の溜息を吐きました。
2017年04月26日
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5年か4年くらい前に読みましたが、ブックオフで見つけて購入して再読しました。今回の事件の犯人は最初からわかっていましたが、彼女がどうやって夫を殺害しようとしていた動機が徐々に明かされてゆき、女の怖さというものを感じた作品でした。被害者の夫の考えは何だか性差別的で、夫を殺してやりたいと思う犯人の気持ちが解りました。その上自分の弟子である女性と不倫関係になり、夫の子を彼女が妊娠したと知ったらポイ。犯人が夫に対して殺意が芽生えるのは当然でしょうが、愛人である女性に出産を勧めたのは、彼女に幸せになって欲しいからという気持ちからではなく、彼女にも自分と同じ罪の意識を共有して貰いたいからじゃないのかなぁ・・と思いながら本を閉じました。
2017年04月26日
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*幕末の千尋の幼少期の話です。まだ続きます*「ねぇ聞いた?最近ここらへんで人攫(ひとさら)いが出るんですって!」「ああ、聞いたわよ。何でも、拐(かどわ)かされる娘は美人ばっかりなんですって。」「へぇ~、じゃぁあんたは大丈夫そうね。」「何よそれ、どういう意味?」 女中達がそんな噂話を井戸端でしているのを聞いた正義は、昨夜の千尋の様子を思い出した。 もしかして千尋は、昨夜人攫いに拐かされそうになったのではないか。「正義、そこで何をしているのです?」「母上、千尋の事で話したいことがございます。」「あの子の事はわたくしに任せておきなさい。お前があの子の事を構っている暇などない筈でしょう?」美祢はそう言って正義を睨むと、そのまま自室へと入っていってしまった。「兄上、こちらにいらっしゃいましたか。」「耀次郎、わたしに何か用か?」 正義が弟の耀次郎にそう言うと、彼は少し拗ねた顔をした。「今朝兄上がわたしの剣術の稽古に付き合ってくださると約束してくださってはないですか?まさか、忘れてしまったのですか?」「ああ、そうだったな。今着替えて来るから、お前は部屋で待っていろ。」「はい!」 耀次郎が部屋に正義が来るのを待っていると、丁度廊下を千尋が歩いてくるところだった。 四日前、突然自分達の前に現れた“弟”の存在は、耀次郎にとって脅威以外の何物でもなかった。 何故なら正義が最近自分ではなく、この千尋とかいう妾の子に構ってばかりいるからだった。千尋が来る前は、正義が自分の事を可愛がってくれていた。「おい、お前。」耀次郎はそう言って千尋を睨みつけると、彼は少し怯えたような顔をして自分の部屋へと入って来た。「何でしょうか?」「妾の子の癖に、兄上に気に入られたからっていい気になるなよ!」激情と共に、耀次郎の言葉が刃となってそのまま千尋の胸を突き刺した。「も、申し訳ございません・・」「さっさとこの家から出て行け!お前はこの家の疫病神だ!」千尋は蒼い瞳を涙で潤ませ、耀次郎に背を向けてそのまま部屋から出て行った。「耀次郎。」千尋を罵って高揚した耀次郎の頭上から、怒りを含んだ兄の声が聞こえてきた。「兄上、わたしは本当の事を言っただけです。」「そうだとしても、お前は千尋を傷つけた。」正義はそう言って耀次郎を睨みつけ、そのまま彼に背を向けて部屋から出て行ってしまった。 耀次郎は慌てて兄の後を追いかけた。「千尋、何処に居るんだ、千尋!」「兄上、千尋はまだ見つかりませんか?」「ああ。最近ここらへんで人攫いが出るらしいから、もしかしたら・・」「わたしも千尋を探します、兄上。」 千尋を正義と二手に分かれて探していた耀次郎は、橋の袂で泣いている千尋の姿を見つけ、彼の方へと駆け寄ろうとした。 その時、頭に手拭いを被った八重歯の男が泣いている千尋に声を掛けたかと思うと、突然彼の小さな身体を担ぎ上げ、何処かへと消えてしまった。「兄上、千尋が変な男に拐かされました!」「何だと!男の顔は見たのか、耀次郎!」「はい。男は頭に手拭いを被っていました。」「わたしについて来い、耀次郎!」「待ってください、兄上!」 正義と耀次郎が千尋を拐かした男の行方を追うと、やがて彼らはある場所へと辿り着いた。 そこは吉原―“苦界”とも呼ばれる遊郭だった。「兄上、あの男です!」「耀次郎、音を立てるなよ。」 正義と耀次郎は、男がある女郎屋に裏口から入っていくのを見て、男の後に続いて裏口から女郎屋の中へと入っていった。この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年04月21日
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どのエピソードも面白かったのですが、印象深かったのは第四話かな。ガリレオシリーズは短編集も長編も面白いので、つい手にとって読んでしまいます。
2017年04月18日
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双子の姉弟・ジュードとノア。二人は両親や周囲の人達と出会い、その考えに影響を受けながら成長していきますが、ある出来事がきっかけでノアは絵を描くことをやめてしまいます。後半でその出来事が詳しく描かれるのですが、両親の離婚や母親の死といった出来事は、ノアにとってはとてもショッキングなものだったでしょうね。全体的にストーリーが解りづらかったのですが、青春小説としては楽しめたかも。
2017年04月18日
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ライター・銀次郎シリーズ。今回は彼の元妻・聡美が起こした医療ミスの裏に隠された真相を彼が暴くことになるのですが、真実は残酷でした。聡美に余り好感を持てずにいましたが、再婚相手との結婚披露宴の場で彼女が本性を現したので、こういう女に引っ掛かった銀次郎可哀想と思ってしまいました。タイトルを見た時、「?」と思っていたのですが、読み進めている内にタイトルの意味がわかってきて、なるほどね!と思わず叫びそうになりました。この作品は銀次郎シリーズ一作目だったことに後で気づきました。二作目「彼女のため生まれた」も面白かったし、機会があれば三作目「彼女の倖せを祈れない」・四作目「彼女が灰になる日まで」も読んでみたいと思います。
2017年04月18日
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次々と殺される元同級生。北欧ミステリーとして読みごたえがあるのですが、登場人物の名前が覚えにくかったです。この事件の裏にあるのは、学生時代にファビアンのクラスで起きた残酷ないじめ。いじめの加害者に対する復讐殺人で、途中である人物の日記の文章が出てきて、犯人の物なのかな?と思いながら読み進めていたら、日記の持ち主は意外な人物でした。ファビアンの家族にも問題が発生しましたが、それもいじめ絡みのものでした。いじめの加害者は過去にした行いを忘れるけれど、被害者は加害者達にされた事を忘れない。犯罪者になるのは駄目ですが、加害者達に復讐してやりたいという犯人の気持ちはよくわかりました。だから、いじめの復讐をテーマにした小説や漫画を読むと、復讐の鬼と化した主人公を応援したくなってしまいます。ステファン・アーンヘムの作品を初めて読みましたが、テレビドラマの脚本家としつ活躍していただけあってか、物語がまるでサスペンスドラマのように頭の中で映像が浮かび上がってきました。
2017年04月18日
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久しぶりに半沢直樹シリーズを読みましたが、半沢は格好いいし、それ以上に近藤の活躍が目立つ作品でした。半沢直樹シリーズは全部読んでいますが、また読み返したいと思います。
2017年04月18日
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宮部みゆき作品を久しぶりに読みました。この本、今年の1月にブックオフで購入したまま本棚の肥やしになるところでしたが、あっという間に読了する程面白かったです。元恋人の結婚式場に散弾銃を持って現れる慶子、”ある目的”の為に北陸を目指す男・織口、作家志望の青年・修治、そして織口と同じく北陸へと向かう神谷父子―どれも断片的な物語が、全て繋がっていく中盤以降の展開の早さは、まさに宮部作品そのものでした。織口の「目的」が明かされた時、犯罪の被害者、そして遺族となった者達は、犯人が未成年で薬物中毒であるという事で罪を免れるという理不尽な現実を受け入れられないのは当然だと思いますし、それは元恋人に振られ、彼の晴れの日に自殺しようとした慶子にも同じ思いを抱きました。犯人達に復讐を遂げた織口は命を落としましたが、彼は安らかな気持ちで逝けたのでしょうか。サスペンスとしても、人間ドラマ小説としても楽しく読めた作品でした。
2017年04月18日
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最近読書とパソコンで目を酷使しているせいか、まぶたが時折けいれんします。それに、今日は仕事が休みでゆっくりと寝ようと思ったのに、朝の5時に起きてしまいました。最近夜更かししても、決まった時間に必ず起きるのですが…大学の時はそんなこと全然なかったので、不思議でなりません。
2017年04月18日
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母がスーパーで買って来てくれた、パブロのチーズブリュレアイス。ちょっと濃厚でしたが、いまいちな味でした。
2017年04月18日
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被害者の少年よりも、加害者に対して共感しました。ああいう輩の事を疎ましく思っているのは、加害者だけじゃない筈だし、正直死んで良かったと思いました。事件の真相を科学で解き明かす湯川がかっこいいですが、少し変わっていて何故か憎めません。そして、どの話も人の心という、科学では解明できないものを上手く描いていて面白いです。
2017年04月17日
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斎藤さんが主人公のお話です。会津で生まれ、土方さん達と共に京で新選組として働いた斎藤さん。会津戦争で白虎隊や中野竹子と共に戦い、逆賊扱いされながらも凛として生きた斎藤さんの姿が、格好よかったです。侍とはその生き様にありー斎藤さんの生き方が、明治の世になっても変わらなかったのは、ひとえに武士になるという夢を果たし、蝦夷の地に散った土方さんへの想い故かもしれませんね。ラスト、西南戦争へと赴く日の朝、妻子に見送られる斎藤さんの笑顔が眩しくて素敵でした。「北走新選組」も素敵でしたが、この作品は誠を貫いた会津の人々の生き様を描いたものでした。その会津出身の軍人で、義和団事件に於いて在中外国人達を守った柴五郎さんを描いた松岡圭祐さんの「黄砂の籠城」も、機会があったら読んでみたいです。
2017年04月17日
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サンドラブラウンの新作。ある銃撃事件から始まる陰謀に巻き込まれるヒロイン・ホリーと、主人公クロフォード。終盤近くでクロフォードの娘・ジョージアの出生のひみつが明らかになりますが、クロフォードにとって彼女は大切な娘だという事実は変えられません。最初から最後までページをめくる手が止まらないほど、面白かったです。
2017年04月17日
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ローソンのドーナツを買いました。フレンチクルーラーカスタード&ホイップは、カスタードとチョコが甘くて美味しかったです。チョコづくしオールドファッションは甘さ控え目でしっとりとした味わいで美味しかったです。
2017年04月17日
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*幕末の千尋の幼少期の話です。まだ続きます* 千尋が荻野家に引き取られて四日が経った。 美祢(みね)は頑なに千尋を荻野家の人間である事を認めようとせず、千尋を使用人と同じ扱いをした。 京から来た時に彼が着ていた華やかな着物や簪、櫛などは女中達によって取り上げられ、何か千尋が粗相をすると彼女達は容赦なく罵詈雑言を千尋に浴びせた。「全く、旦那様はこの子のどこが良くて引き取ったのかしら?」「さぁ・・でもまぁ、女のあたし達でさえも嫉妬するような可愛い顔をしているんだから、色子としての利用価値はあるんじゃないの?」「まぁ、そうかもね!」 井戸で洗濯をしながらそんな事を女中達が話していると、そこへ義正が通りかかった。「若様、今日はお早いお帰りですね?」「千尋は何処に居る?」「ああ、千尋でしたら、奥方様にお使いを頼まれて外出しております。」「そうか・・」 義正は何だか嫌な予感がして、道着姿のまま邸から飛び出した。 一方、美祢に頼まれたお使いを終えた千尋は、茜色に染まる道を一人で歩いていた。 早く帰らなければ、美祢に厳しく叱られて食事をまた抜かれてしまう―そんな事を思いながら千尋が歩いていると、突然彼は何者かによって口を塞がれた。「暴れるな、大人しくすればいい思いをさせてやるからよ。」そう言って自分を見つめている男は、臭い息を吐いた。「へぇ、上玉じゃないか?」突然誰かに提灯で顔を照らされ、千尋がその眩しさに目を細めると、男の連れの女が、狐のような細い目で千尋を見つめていた。「異人とのあいの子なんて、江戸じゃぁ滅多に見られないし、粗末な身なりをしているけれど、何処かの女郎屋か陰間茶屋にでも売れば高値で売れるんじゃないかい?」「流石姐さん、頭がいいや。おい嬢ちゃん、お前ぇ名前ぇは何ていうんだ?」「千尋・・」「千尋ちゃんかい、いい名前だねぇ。千尋ちゃん、ちょいとあたしらに付き合っておくれ。なぁに、取って食おうって訳じゃあないんだ―」 女の手が千尋に伸びようとした時、突然夜の闇を切り裂くかのように甲高い呼子の音が鳴り響いた。「糞!」「さっさとここからずらかるよ、弥吉!」自分達の方へと徐々に迫りくる提灯の群れに悪態を吐いた男の袖を引っ張った女は、千尋をその場に置いて闇の中へと消えていった。「千尋、無事か!?」「兄上ぇ~!」千尋は涙と鼻水で顔を濡らしながら、正義に抱きついた。「怖かっただろう。でも兄上が来たから、もう怖くはないぞ。」「うん・・」 その日以来、千尋は使用人としてではなく、荻野家の一員として扱われるようになった。「千尋、稽古に遅れるぞ!」「待ってください、兄上!」 千尋は正義が通っている剣術道場に通い始め、その身体の奥底に眠っている戦士としての本能、そして剣の才能を徐々に目覚めさせていた。「千尋、最近剣の腕が上達したな。」「有難うございます、兄上。」 稽古帰りに正義と千尋がそんな話をしながら歩いていると、突然千尋は背後から強烈な視線を感じて振り向いた。 すると、柳の木の陰にあの日自分を攫おうとした女が立っていた。女は千尋の視線に気づくと、口端を上げてニヤリと笑うと、何処かへと消えていった。「千尋、どうかしたのか?」「いいえ、何でもありません、兄上。」この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年04月17日
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セブンイレブンのとろ〜りチーズハンバーグカレードリア。このドリア、結構美味しくて、びっくりドンキーでわたしが好きなメニュー、チーズカリーバーグディッシュに味付けが似ているような気がします。美味しくて結構オススメです。
2017年04月16日
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*幕末の千尋の幼少期の話です。まだ続きます* 千尋の母は英国貴族の令嬢で、妻子があった日本人の父と不倫の末、千尋を産んで直ぐに亡くなった。 身寄りが居なかった千尋は、母が生前世話になっていた祇園の置屋の女将によって育てられた。 子が居なかった女将の奈津江(なつえ)は、千尋を実の子同然に可愛がった。「千尋ちゃんはお母さんに似て綺麗やなぁ。」 毎朝、鏡台の前で奈津江が自分の髪を優しく柘植の櫛で梳いてくれる一時が、幼かった千尋にとっては大好きな時間だった。 置屋の宴席が立て込んでいる夜の時には、千尋の世話を女中の鈴がしてくれた。「やっぱり千尋ちゃんの髪には紅い櫛がよう映えるわぁ。」「千尋ちゃんが女子やったらうちを継げるのになぁ。」 置屋は代々、女が継ぐのが花街のしきたりだった。奈津江や置屋に居る芸舞妓達が、千尋が男である事を酷く残念がっていた理由が解ったのは、彼がそこから離れる時だった。「千尋ちゃん、江戸に行ってもお気張りやす。」七度目の春を迎え、京の街に桜舞う季節に、実父の使いと名乗る青年が現れた。 千尋は少なかった荷物を纏め、置屋の玄関先で奈津江と別れた。「これは大事に持っておくんやで。あんたの亡くなったお母さんの形見やさかい。」 奈津江はそう言って涙を流しながら、千尋の首にカメオのペンダントをつけてくれた。 青年と共に江戸にある荻野家に着いた時、父の正妻である義母・美祢(みね)は、冷たい目で夫の私生児を睨んだ。「その子を着替えさせなさい。男の子なのに女子の格好をさせるなど、一体何を考えているのやら・・」 奈津江が心を込めて支度してくれた着物や櫛、簪を女中達から奪われ、千尋は怒りと孤独、悲しみが自分の中に一気に押し寄せて来て、気付けば彼は泣き叫んでいた。「うるさい!」 襖が急に乱暴に開かれ、鬼の形相を浮かべた美祢が部屋に入って来ると、千尋の頬を平手で打った。「お前など要らない、この忌子の混血め!」憎悪に歪んだ顔で睨まれ、千尋は恐怖でますます泣き叫んだ。「やめないか、美祢!この子が怖がっているだろう!」「貴方が、貴方が悪いのではありませぬか!わたくしという妻が居ながら、異人の妾を囲った上、子供まで作って!」 千尋の頭上で、美祢と自分の父親が激しい口論を始め、千尋はなすすべなく襦袢姿で部屋の隅に蹲り、頭上で起きている嵐が早く鎮まるのを待つことしか出来なかった。「母上、この者を連れて行きます。」部屋に一人の少年が入って来て美祢にそう言うと、彼は千尋に向かって手を差し伸べた。「お前が今日からわたしの弟になる千尋だな?わたしは今日からお前の兄となる正義だ、宜しくな!」「あ、兄様・・」 自分に優しく微笑む義理の兄・正義(まさよし)の手を取った千尋は、ゆっくりと彼の手を取った。「可哀想に、わけもわからず京からこんな所まで連れて来られて・・女中達にお前の着替えを持ってきて貰うように頼んでくるから、ここで待っているんだぞ。」 義正の部屋で千尋が彼の帰りを待っていると、部屋に一人の女中が入って来た。その女中は、京の置屋で自分を可愛がってくれていた舞妓とさほど年が変わらぬ若い娘だった。「へぇ、あんたが異人とのあいの子ねぇ・・薄気味悪い目をしていること。」娘はそう言ってジロジロと千尋を見た後、彼が首から提げているカメオのペンダントの鎖を指先で弄り始めた。「良い物持っているじゃないの?これ、あたしに頂戴。」「嫌、触らないで!」「妾の子の癖に、何その口の利き方は!」娘は千尋を睨みつけると、力任せにカメオの鎖を引っ張った。「そこで何をしている!?」「若様・・若様のお気になさるような事ではありません。ですからどうか・・」「わたしの弟に手を出すな!」正義は乱暴に娘の手からカメオのペンダントを奪い取り、それをそっと千尋の手に握らせた。この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年04月14日
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*写真はイメージです。 この小説は、オメガバース設定です。そういったものが苦手な方は閲覧をご遠慮ください。オメガバースについての詳しい設定については、こちらのページをご覧ください。「うわぁ、今年も綺麗に咲きましたね。」「ああ。」 毎年、この季節になると歳三はよく昔の事を―前世の事を思い出す。幕末の動乱を駆け抜けた、あの時代に生きた自分の姿を、歳三は桜の中に見るような気がした。「歳三さん?」「いや、何でもない・・それよりも総司、体調は大丈夫か?」「ええ。僕この季節になると必ず体調を崩すので、風邪をひいたのかもしれません。」「そうか・・」 この世には三種類の第二次性―アルファ、ベータ、オメガが存在する。特権階級・エリート階級に属するアルファ、一般人であり人口の大多数を占めるベータ、そして繁殖に適しており、かつては迫害されていたオメガ。 歳三はアルファ、彼の妻である総司はこの世で希少価値が高い男性オメガだった。 アルファとオメガとの間には、稀に「運命の番」というものが存在する。オメガには発情期があり、一週間前後あるそれは、オメガにとっては苦痛以外の何物でもなかった。だが、アルファと番になれば、発情期は訪れない。 歳三と総司が出会ったのは、まだ二人が世の穢れを知らぬ無垢な少年の頃だった。 アルファであった歳三は、幼い頃から父親に連れられ、政治家や資産家、そして貴族が主催するパーティーに出席することが多かった。その場所には必ず、歳三の将来の花嫁候補であるオメガが用意されていた。 土方家の御曹司であるアルファの歳三は、優秀な自分の遺伝子を産んでくれるオメガを番う事を義務付けられていた。 だが、歳三は親がお膳立てしたオメガと番うのが嫌だった。そんな中、彼はあるパーティー会場で総司と出会ったのだった。 総司は男児であるのに、男性オメガである事を世間に隠す為、両親から女児として生きるように強いられてきた。 パーティーのメインは、総司をはじめとする音楽の才能がある子供達が主催する音楽会だった。 オメガである総司がピアノの前に現れると、周りのアルファ達の何処か蔑むような視線が自分に向けられている事に気づいた。 アルファにとってオメガは、繁殖動物以外の何物でもなく、法律によってオメガに対する差別や迫害が表向きはなくなったというものの、未だにオメガに対する差別は蔓延っていた。 現に、音楽会に出演している子供達の多くはベータであり、オメガは総司だけだった。―心のままに、奏でなさい。 挫けそうになる総司の心を奮い立たせたのは、総司に音楽を教えてくれたオメガの恩師の言葉だった。鍵盤の前に座った総司は、静かに両手の指を鍵盤の上に滑らせ、演奏を始めると、それまで談笑していたアルファ達が一斉に黙り込み、総司の演奏に耳を傾けた。 演奏が終わり、総司がピアノから立ち上がった時、突然彼は鋭い視線を感じて俯いていた顔をゆっくりと上げると、美しい紫水晶の瞳を持った少年が自分を見つめている事に気づいた。 彼が、自分の「運命の番」であるという事を、総司は本能的に感じた。年が経ち、オメガありながらプロの音楽家となった総司は、ある資産家のパーティーで歳三と再会した。 一流ブランドのスーツに身を包んだ歳三は、凛々しく美しいアルファそのものだった。「総司、総司だよな?」「土方さん、わたしの事を憶えてくださったんですか?」 パーティーの後、総司と歳三は互いの事を話し合った。「なぁ総司、俺と結婚してくれねぇか?」「土方さん・・わたしはオメガです。わたしよりも貴方に相応しい女性が居る筈です・・だから・・」「お前を諦めることなんて出来ない。」歳三はそう言うと総司をそのままベッドの上に押し倒した。「土方さん?」「お前だって気づいているんだろう?俺とお前が“運命の番”だって言う事に。」「土方さん・・」総司の翡翠の瞳が、涙で潤んだ。「今からお前を抱くよ、総司。お前に優しくする余裕はないから、覚悟しておけ。」 その夜、歳三は総司を抱いた。二人の関係が双方の両親に知られたのは、彼らが恋人として同棲生活を始めてすぐの事だった。「認めないわ、オメガが土方家の嫁になるなんて!」「歳三、お前は家を滅ぼす気か!」「総司、今の貴方は恋の熱にのぼせているだけよ、冷静になりなさい!」彼らは歳三と総司の交際と結婚に猛反対した。だが歳三が自分と総司が「運命の番」である事を彼らに告げると、彼らは渋々と二人の結婚を認めた。 結婚式は、桜舞う季節に行った。教会で誓いの口づけを交わしたとき、歳三の脳裏に前世の記憶が一斉に雪崩れ込んできた。「総司、今度こそお前を幸せにする。」歳三の言葉を聞いた総司は、涙を流しながら静かに頷いた。「さてと、もう家に帰るとするか。」「そうですね。」総司が歳三と共に駐車場へと向かおうとした時、桜の花がサァッと彼の元へと降り注いだ。 桜吹雪の中に自分と歳三に瓜二つの顔をした恋人達が自分に向かって微笑んでいる事に総司は気づいた。―幸せになってね、わたし達の分まで。「総司、どうした?」「いいえ、何でもありません。」総司はそう言って歳三に微笑むと、彼の手を握って桜並木を後にした。にほんブログ村
2017年04月14日
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今話題のちゃんこ醤油ラーメンを食べてみましたが、あっさりとしていて美味しかったです。
2017年04月14日
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全体的にテンポがいい展開と、泉水と春の会話が面白くて、最後まで一気に読んでしまいました。連続放火事件の犯人は意外な人物でしたが、その理由がちょっと理解できなかったかな。伊坂さんの作品は面白いものばかりですね。
2017年04月14日
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※BGMと共にお楽しみください。 千尋が龍馬と出会ったのは、鈴江と共にある料亭のお座敷に呼ばれた時だった。 そのお座敷の客は長州の志士で、泥酔した彼はやがて幕府や新選組に対して怨嗟の言葉を吐き出した。「会津藩御預かりの身だかなんだか知らんが、我らを一度京から追い出しただけで得意げな顔をしやがって、所詮は田舎百姓の集まりに過ぎんだろうが!」「まぁまぁ、そぎゃんこと言わんでも、おんしもあやつらと出自はそう変わらんぜよ。」龍馬がそう言って相手を宥めようとしたが、逆効果になってしまった。「何じゃと、貴様!わしを愚弄する気かぁ!」酒と怒りで赤らんだ顔を龍馬に向けたその志士は、手に持っていた鉄扇を龍馬の顔に振り下ろそうとした。 その時、千尋は志士の手からそっと鉄扇を奪い取り、静かにその場で舞い始めた。 最初は何が起きたのか解らずに呆然としていた鈴江と他の志士達だったが、やがて鈴江は置屋から持参した三味線を千尋の舞に合せて奏で始めた。舞い終わり、千尋は恍惚とした表情を浮かべながら自分を見つめるその志士に、こう言って鉄扇を返した。「扇は人を撲(ぶ)つ為のものやおへん、美しく舞う為のものどす。」「いやぁ、大した妹分を持ったのう、鈴江!」「おおきに。」 お座敷が終わるころ、先程龍馬と志士達の間に流れていた険悪な空気は消え失せていた。 機転を利かして険悪な空気を和やかなものへと変えた千尋の美しさと賢さに、龍馬は惚れてしまったのだった。「まぁ、そんな事もありましたなぁ。」「あん時のおんしは、戦国の猛者共よりも勇敢だったぜよ。千尋、舞妓を辞めてわしの妻になっちゃくれんかえ?」「ありがたい申し出どすけれど、お断りいたします。うちにはもう、心に決めた人がおるんどす。」「かぁ~、わしの求婚を袖にするその態度、ますます惚れたぜよ!」「おおきに。」 お座敷で客から掛けられる言葉に素直に喜んではいけない―舞妓として祇園で潜入捜査をしている上で、千尋はそう学んだ。 他人との会話の駆け引き、そしていかに相手を喜ばせるのかという、人心掌握術を千尋はすっかり身に付けていた。 舞妓はただ舞を舞って、客に愛想笑いを浮かべながら酌をするだけが仕事ではない。 お座敷という夢の世界で、いかに客を満足させ、寛いで貰えるかどうかで、自分自身の評価が、しいては祇園という花街の評価が決まるのだ。 坂本龍馬という男を自分に惹きつけさせる為に、千尋は彼に何度愛の言葉を耳元で囁かされてもそれを袖にした。 案の定、龍馬はますます千尋に夢中になった。「もう酒がなくなってしもうたのぉ!」「うちが持ってきます。」 千尋はそう言うと、振袖の裾を軽く捌いて立ち上がり、座敷から出て調理場へと向かう廊下を歩き始めた。「あら、誰やと思ったら鈴江の妹舞妓やないの。」 廊下の向こうから耳障りな声が聞こえて来たので千尋がそちらの方を見ると、そこには別の置屋の芸妓と舞妓が自分の進路を妨害するかのように立ちはだかっていた。「おねえさん、こんばんは。」 千尋は彼女達に軽く会釈をすると、そのまま彼女達の脇を通り抜けようとした。「あんた、余りええ気にならん方がええで?」「そうや、新入りの癖に悪目立ちし過ぎや。」千尋のお座敷に誰が来ているのかを彼女達は知っているのか、去り際彼女達は千尋の肩にわざとぶつかりながら嫌味を吐いていった。 華やかな世界こそ、その裏には数々の陰謀と愛憎が渦巻く泥沼である―千尋はそんな事を改めて思いながらも、江戸に居た頃の事を少し思い出していた。 “お前など要らない、この忌み子の混血め!” 脳裏に浮かぶのは、幼い自分を虐げている鬼女のような顔をした義母の姿だった。*次回から、幕末の千尋の幼少期の話が始まります*この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年04月11日
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十和子と陣治の関係が歪だし、十和子が付き合っていた恋人の黒崎の消息がラストで判って驚くと同時に、読後感が悪くなりました・・「九月が永遠に続けば」も読みましたが、あの作品も面白かったです。「イヤミス」作品は読後感が最悪になるけれど、面白いのでついハマってしまいます。
2017年04月11日
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ガリレオシリーズの短編集。最後の話はラストが後味悪い結末を迎えそうで嫌な感じがしましたね・・犯人はわかったにせよ、ダブル不倫がばれてしまった後だから、無傷では済まされないので・・少女が見た予知夢が本物だったとしたら・・面白いけれど人間が抱える「業」について深く考えさせらる作品ばかりでした。
2017年04月11日
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この本は何度か読み返した事がありますが、「絶対に諦めない!」という強い意志を持ったティモシーに励まされ、読み終わった後は何だか心が洗われたような爽快感を抱きました。妻子を事故で失い、絶望のどん底に居たジョンを励ましてくれたティモシーは、まさに「天使」と言っていいでしょう。
2017年04月11日
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東野圭吾ミステリーだと期待して読みましたが、ちょっと結末を急ぎ過ぎて死ぬ人が多いし、主人公の考えが自己中心的で身勝手だし、最後のシーンは主人公の自業自得だろうと思いました。主人公の恋人・康子のお腹の子の父親が誰なのか分かった時、驚いたと同時に気持ち悪く感じましたね・・そして彼女に全く共感できませんでした。
2017年04月11日
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バレエ団が舞台の推理小説。華やかな世界の裏側には、ダンサー達が互いにしのぎを削り合う過酷な世界だと言う事は、「ブラック・スワン」を観て知っていましたが、事件の犯人が意外な人物で驚きました。この作品には未緒と加賀とのロマンスも描かれていて、未緒が抱えるある病が、ダンサーとしての彼女にとっては致命傷となるものである事を知った加賀が、彼女のフロリナ姫の踊りをどんな気持ちで観たのかを考えると、切なくなりました。何度読み返しても良い作品だと思いました。
2017年04月11日
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辛くてカニの旨味がたっぷりと出ていて美味しかったです。
2017年04月11日
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シェアハウスを舞台とした男女四人が繰り広げる人間ドラマ。何だかそれぞれ考えていることが違って、それでいて誰もが心に闇を抱えていて怖かったし、最後の章ではある人物が女を殺すシーンが生々しく描かれていて、衝撃のラストシーンを読むまでページをめくる手が止まりませんでした。吉田修一の作品は「悪人」、「怒り」などを読んだことがありますが、人間が抱える心の闇の部分を描くのが上手い人だなぁと思いました。
2017年04月11日
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父がゴルフコンペのお土産に貰ってきたクッキーです。わたしが食べたチョコクッキーはしっとりとした味わいで美味しかったです。
2017年04月09日
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昨日、大阪でゲイのカップルが10代の男児の里親となった事を大阪市役所が公表したというニュースでネット上で色々な意見が交わされていましたが、子供に愛を注ぎ、育む事が出来るのであれば性別など関係ないと思っております。そもそも、「普通」とは何なのでしょうか?男女が結婚し家庭を作り、子供を育てる・・それが「普通」の家族の在り方であれば、同性愛者の方々が結婚し養子を迎えるという形は「普通」ではないのでしょうね。血が繋がった者同士が暮らすのが、「普通の家族」ではありません。愛情で繋がった者同士が共に暮らし、生きるのが「家族」なのです。そこには性別や人種などは関係ありません。現在、二次小説ですが家族の多様性をテーマにして作品を書いていますが、まだまだ同性愛者に対する差別や偏見はなくなっていませんし、わたし達が暮らす日本という国では、男女の性的役割や固定概念、そして家族観・家庭観の固定概念といったものが根強く残っています。家族の多様性というものを、もっと認めた方がいいと思います。
2017年04月08日
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今年の桜は寒さが続いたせいで、咲くのが遅れました。
2017年04月08日
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最初から最後まで目が離せない展開が続き、あっという間に読了しました。能見という男は最後まで格好いいのです。最後の、姪の梢の誕生日プレゼントにガーネットのネックレスを贈ったシーンは、追われている身でありながらも姪と甥に対して愛情を注ぐ、伯父としての彼の姿が垣間見えたような気がして心が少し温かくなりました。
2017年04月06日
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今回の作品も面白かったです。父の死の真相と、殺人事件の真相を追うモリー。何だか複雑に絡み合っていた糸が全て解けた時、真相が解って思わず声が出そうになってしまいました。「神の名のもとに」という作品も読んだことがありますが、こちらも濃厚な人間ドラマが描かれていて面白かったです。
2017年04月06日
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東野圭吾さんの、「加賀恭一郎シリーズ」の短編集です。どの話も犯人に共感できるものばかりでしたが、「冷たい灼熱」が一番犯人に共感が出来ました。子供が産まれると、独身時代の様に自由にできていた事を我慢せざるおえなくなってしまうのは当たり前なのですが、その憂さを晴らすかのように車でパチンコ店へ行き、車内に子供を放置する奥さんに対しての怒りは解ります。エンジンを掛けてエアコンをつけていたとしても、エアコンのスイッチはいずれ止まり、車内は灼熱地獄と化します。こうなる前に、夫婦で話し合う時間が必要だったのではないかと、読み終わった後にそう思いました。
2017年04月06日
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紫禁城を追われ、東北の地で日本軍の傀儡国家・満州国の皇帝となった溥儀。馬賊達の姿が凛々しくて格好いいのですが、それと対比するかのように溥儀の孤独と寂寥感が描き出されています。「蒼穹の昴」は未読なのですが、このシリーズだけでも読み応えありです。
2017年04月06日
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清朝が滅び、中国皇帝・溥儀と離婚した文繍。彼女が語る清朝滅亡、そして紫禁城を追い出された後の生活が克明に描かれていて、溥儀が何だか可哀想に思えてきましたし、阿片に溺れることでしか安らぎを見いだせない婉容にも何故か同情してしまいました。
2017年04月06日
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スペイン・バスク地方の渓谷で、連続少女惨殺事件が起きる。ヒロインのアマイアが故郷に戻って事件の捜査に当たることになるのですが、彼女には秘密がありました。彼女と母親との間に起きた悲劇、そしてバスク地方に伝わる神話などのエピソードが絡み合い、面白くて一気読みしてしまいました。事件の犯人は意外な人物でしたが、何だか犯人の動機が理解不明でした。不妊に悩んでいたアマイアが妊娠しているという暗示で物語は終わりますが、なんだか気になる終わり方でした。
2017年04月06日
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少し辛かったですが、トマトとチーズのパスタのような感じでした。ただ、辛いのが苦手な人にはおすすめできないかも。
2017年04月06日
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テレビ業界を舞台に、番組の制作に携わる人々の生き様を描いた作品。ドキュメンタリーって、半分やらせで出来ているんじゃないかと思いましたが、その裏側には五味達をはじめとする業界人の涙ぐましい努力によって番組が作られていたことを知りました。五味は癖がある男ですが、仕事に対する情熱は凄まじく、強烈な個性を持っていて好感を抱きました。
2017年04月01日
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