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カフカ短編集の残りを読み終えた後フラナリー・オコーナー「賢い血」を途中まで読み、「ああ、これはいけない、なんだかとても疲れたやうだ」と、金子光晴とロルカの詩を読むくらいしか出来なくなつた。今ストーヴの石油が切れた。疲れた体でも外に買いに出なけれあならない。パンももうすぐなくなるからどうにかせねあならない。金がなくなったら誰かに借りにいかねあならない。本だけはありあまっているが、本当に読む価値のあるものなんて三冊くらいしかありはしない。労をはぶくために早く眠ることを選ぶことくらいしか思いつきあしない。
2002/01/31
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世界の名著 7 プラトン 2 (7) 中公バックス これの1の方になるはずと思うんだけど、アマゾンじゃはっきりとは出てこなかった。対話じゃないのでちょっと退屈だったけれど短めの「メネクセノス」読んで、次「饗宴」いこうとしたが愛だの恋だのうるさくてやめた。んで後藤明生「スケープゴート」読んでたら、「饗宴」が話の中で語られてるじゃないか。福武文庫版とはいくつか収録作が違うから買っておいたので、ぼちぼち読もうかと思ってたカフカ短編集や、「スケープゴート」と一緒になんとなく借りた後藤作品笑坂まで! こういう風に自然に次の本へと導いてくれる読書は嬉しい。
2002/01/30
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一輪車とけん玉 その22 毎日飢えていた。時々訪ねてくる、何万円かを貸している友人達は食料を持ってきてくれたが、金を返すことはなかった。次第に金のことしか考えなくなる自分に嫌悪感を憶えるようになった。競輪に通えなくなっても頭の横で自転車が走っていた。幾つもの数字を紙に書き込み続けた。隣の住人の42歳ガソリンスタンド店員が憐れんでよこす食パンでどうにか生きていけた。彼が色目を使うようになれば僕はここから逃げ出すだろうか。こちらから喜んで服を脱ぐということもありえないことではなかった。 ユウタの父親が僕の居場所を探り当てて訪ねてきた。彼の死の原因が僕にあることを突き止めたのかと思うとそうではなかった。成長し、街の復興の立て役者の一人となった彼の弟が、洪水による最初の犠牲者である兄の思い出を掻き集めているのだそうだ。僕は思い出せる限りのエピソードを話した。女子に気付かれることなくスカートをめくる名人だったこと、「将来クジラはバスの代わりになるよ」が口癖だったこと。その日は一年振りに肉を口にした。チャールズ・ブコウスキー「死をポケットに入れて」ブコウスキー晩年の日記。71歳でマッキントッシュを使うことより、71歳でもちっともパワーの落ちてない文章を書いたことの方が驚きだ。多和田葉子「三人関係」も読んだ。
2002/01/29
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穴グマの小皺 その6 ケンイチは二人の弟の頭を撫でながらしきりにうなずいておりました。「昔はようここで鍋をかぶって殴り合いをしなあ、うん、おまえはまだ小さかったからなあ、おまえは覚えておらんだろうなあ、サキチ、うん、でもなあ、ここもこれから焼かな仕方ないからなあ、おまえはここでの思い出をたいして持たないのに、今日を最後にここを見ることができんのだなあ、うん、でも、仕方ないなあ」 ニシダがたいまつを持って来て火を放ちました。ケンイチが土壁の一画を強く蹴ると、あっけなくそこは崩れ落ちて、竈の一つが埋まりました。かつてケンイチが触れたことのある懐かしい土鍋とともに。二人の弟を先に外へ出し、ケンイチは一人虚しく息を吐きました。「小さい頃から知っていた場所だというのに。こんなに逞しい身体つきになってしまった俺が蹴れば、簡単に崩れてしまうものだったとは! 火でほんとうに焼け落ちてしまう前に、俺の手でまず殺してしまった。こんな場所で俺は小さい頃遊び続けていたのだなあ、でもきっと俺がここでの思い出を全部思い出すよりも早く、ここは消えてなくなってしまうに違いない! 焼跡を見ても俺はまだここのことを思い出すことが出来るだろうか? 二十年も経った頃には、壁を蹴りつけたその感触だけしか俺の中に残らないのじゃないだろうか。ああ、ほんとうにここには楽しい思い出がいくらでもあったはずなのに」 ケンイチは歩き出しながら、「むしろその為に、思い出を一つにまとめて壊すために、俺は壁を蹴ったのだ」と思いました。大江健三郎「みずから我が涙をぬぐいたまう日」の残り一編「月の男(ムーン・マン)」を読んだ。これでしばらく大江から離れられるかな。
2002/01/28
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欲張りの寝ゲロ その9 玄関先には一人の中年警官が虫の息で横たわっていたのだ。僕は理由を掴めなくて最初に砂糖を探したのだ。対処の分からない病人にはとりあえず砂糖を舐めさせると良いと以前どこかで読んだ気がしたからだ。すると台所に彼女が居て僕はもう突然泣きだしてしまったのだ。彼女の姿を見た途端に僕の頭から警官ははいなくなってしまったのだ。「驚きすぎな気がするなあ、わたしが死んだものと思っていたのでしょう? わたしはあまり死なないタイプの人間であることをあなたも知っていたはずでしょう? あなたはその逆だけれど。あなたがいない間にピザを頼んだら警官が届いたの、律儀にピザを抱えて! どうやら私のことを知っていたようだから、きっとここは見張られていたのでしょうね」 奥の部屋にまだ人の気配があるなと思った途端、知った顔の大男がぬっと顔を出して僕に会釈をした。おや、確か彼は、と思うと、谷部です、と青年は簡単に自己紹介して、電話を調べていたなどと言うのだ。そして彼は警官の元にしゃがみ込んで警官の制服を脱がし始めたのだ。彼女の方は僕の顔を見てにこにこ頷くばかりで、僕にはどうすることも出来なかったのだ。100円ショップで買った文庫収納BOX三箱に本を詰め込んだ。本棚には、常駐組の詩集と幾人かのひいきの作家、最近読んだものを残し、余った分にこれから読もうとしている本をどかどかと並べる。こうすると、まだ読んでないものが本棚に大きな面をして居座っているのが許せず、次々に手を伸ばすきっかけとなる。大江健三郎「みずから我が涙をぬぐいたまう日」表題作と「月の男」の中編二つ収録作品。表題作だけ読んだ。
2002/01/27
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「ゾーイー、だから私が言いたいのは、君がわたしの声を真似てフラニーに思うことを話したのなら、それはもうわたしがフラニーに直接何か言ったのと同じことじゃないか? てことだ。君の声帯模写はわれらの家族随一はもとより、アメリカ中に居る君と同じ年代の若者でその実力を上回るのは、そら、わたしはあまりテレビを見る方ではないから、それに今ではラジオでさえ忌々しいものにしか思えなくなったから、もはやわたしの記憶の中に居る有名人は世間ではゴミ回収者に投げ込んだ後かもしれないが、エリオ・ジョイス(註:当時、声帯模写と即興のコミックソングでテレビを賑わしていた若者)くらいのものじゃないかね? 君は声だけでなくわたしの頭をも借りて正確にフラニーに語りかけたのだと思うよ。わたしは君ほどフラニーを知っている自信はないから、出だしや思い出の細部については全く同じではないだろう、けれど辿り着く結論が異なることはない。君がフラニーを愛するようにわたしもフラニーを愛しているし、心配についても同様だ。これ以上何を増やすことがある? 反復は祈りに繋がり、彼女の悪癖を呼び覚ます口実にしかならないのじゃないか?」サリンジャー「バディ」より嘘です。題名は好きな詩のタイトルでいこうと思ったんだけど、分かりにくいからやめた。シンプルにその日読んだ本のタイトルということで。朝起きると喉が痛かった。ゆで卵を一口で食べると苦しくなることを知った。J.D.サリンジャー「フラニーとゾーイー」
2002/01/26
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RE:四千の日と夜/田村隆一自分で紹介するのは面倒だし、景気回復策の一つとしてアマゾンの片棒を担ぐのも悪くはないなと思い、その日読んだ本はこういう風にリンクを張ることにしようと思ったのでそうすることにしたけれどいきなり在庫切れだった。大江健三郎「日常生活の冒険」2002/01/25 19:28:41RE:四千の日と夜/田村隆一自分で紹介するのは面倒だし、景気回復策の一つとしてアマゾンの片棒を担ぐのも悪くはないなと思い、その日読んだ本はこういう風にリンクを張ることにしようと思ったのでそうすることにしたけれどいきなり在庫切れだった。大江健三郎「日常生活の冒険」2002/01/25 19:28:41四千の日と夜/田村隆一「髭は何故毎日剃らなければならないほど生えてくるか分かるか、それは『毎日剃るから』に他ならないんだ。成長するたびに刈り取られ削り取られる、死ぬ為に生まれてきたような戦場ど真ん中で産まれた赤ん坊のようなのが、育てば強くならないわけがなかろう? その気になれば人を突き殺しかねないほどの逞しさを髭が手に入れてしまわないように俺達は毎朝そいつらを刈り殺してしまうわけだ、自らの身体の一部に生えるたかが毛の一部が人殺しの道具となることを恐れることから、ただそれだけの理由から、そいつらを殺し続けるわけだ。そんな俺が髭を好き放題に伸して、殺人者になってしまうことを恐れない連中のことを軽蔑するのは至極当然のことじゃないか? 勿論、顔中を覆っても何ものをも傷付けずに暮らしていけるような髭しか生やせないような奴等は、そもそも俺が感情を動かす価値などないということを、まさに身を持って表わしているわけだけれども」 大江健三郎「髭殺し」より 嘘。という具合に、おーけんがまたリバイバル。「日常生活の冒険」読了。結局のところ、私は彼の作品が、好きなわけだ。日記なんて気を張って書くものでもない。もはや習慣となった、その日読んだ本からの引用を書き連ねるのは別の場所でやっているし、ここで書くと長くなりすぎる。アホみたいなことだけ、意味のない断片だけ書くのもよし。楽に行こうと思う。2002/01/25 1:41:06
2002/01/25
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