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近藤乾之助、という宝生流の名能楽師がおられる。御年80歳。師匠(謡)「今度京都に来るんですわ。 京都で観れることなんてそうないですからね。 これは観といたほうが絶対ええですよ」と勧められたこともありかつて観に行った三川泉のときと、同じときめきを抱きながら(普通の女子大生はお爺ちゃんにときめかないという指摘は無視です)チケットを購入、能楽堂へ向かった。鴨くん(仮名)「おはようございます」OGさん「おはようございます」亀さん(仮名)「おはよう」行くとさすがに見知った顔が沢山。他の流派の人も沢山いる。私「今は?」OGさん「観世の舞囃子をやってますよ。 次が宝生の『清経』舞囃子です」そうなのだ。なんと、師匠(仕舞)の師匠がこの日『清経』の舞囃子をされるのだー♪私が今度やる舞囃子と同じ!これは観るしかないってやつですよ。見所に入ると、既にほぼ満員状態。私はB席(7000円)だけど頑張って座席予約した甲斐あって、前から4列目という、かなりいいポジションに座れた。師匠(謡)「どうも」斜め前は師匠だ。まずは舞囃子『清経』。切戸から、ぬっと師匠の師匠が現れる・・・(相変わらず凄い威圧感・・・)。シテ「さては仏三宝も・・・」もうシテ謡からして気合が違う。これ絶対負修羅(※)じゃない・・・(※負修羅・・・まけしゅら。 修羅物の中で、負けた平家の武将がシテの話のこと)やっぱりこれくらい気合入れないとな。最後に船から自殺する、情けないやつだけどだからって情けなく舞っちゃいけない!(当たり前だけど)そして『砧』。仕舞は拝見したことがあった。師匠のお母様が舞っておられたから。でも地「思い知らずや」ぜんぜん地「恨めしや・・・」ちがう。普通のハコビは年のせいだろう、危なっかしいのだけれど見せ所のシャープさがちがうのだ。間がちがうのだ。空気がちがうのだ。面の傾きが伝わってくる心持がぜんぜん・・・はっとさせられるその感覚と一瞬で立つ鳥肌。能はすごい。それを引き出せるシテは本当にすごい・・・師匠(謡)「どうでしたか」私「よかったです、本当に」師匠「7000円の価値はありましたでしょ。 安いもんですわ」終わった後もしばらく余韻が残ってはあ、すごいなーと思いながらどうにも言葉に表せない自分の稚拙さに精進せねば、と帰途につく。いいものをたくさん観よう。そして感性を養おう。清経の稽古もがんばらないと!
2008年02月23日
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1回生が2人、それぞれにプレゼントを手に持って私と鴨くん(仮名)は、それを受け取る。私「ありがとうー」鴨くん「ありがとうございます、開けていいですか?」開けると、鴨くんは手袋、マフラー、私は可愛いカトラリーセットにカエルのツボ押し、アイレスト、バスソルト。すごい、よく考えてる。どれもこれも可愛くて嬉しいーvv鴨くん「こんなに沢山、ありがとうございます。 じゃあ、五月さん」私「ええ」向こうに行って紙袋をひとつ。私「これは4回生からです」犀ちゃん「えっ、あっ、ありがとうございます」下回生からのプレゼントは恒例になってたけど、私たちからのプレゼントは予想していなかったようで、驚き気味。中には手書きの松が描かれた、清水焼の茶碗。鴨くん「師匠にお茶をお出しするときに使ってください」いつもお茶をお出しする茶碗があんまりいいものじゃなかったり、茶渋がついていたりして新しいのが欲しいと常々みんなで言っていた。だから卒業に際して、茶碗を贈ろうと鴨くんとこっそり言っていたのだ。リスちゃん(仮名)「お2人で買ってこられたんですか?」私「はい。2人で選びました」清水寺の、茶碗坂へ見に行って色々回ってこれだと決めた。憎めない感じの松が、うるさくなく面白く、愛嬌があって気に入ったのだ。犀ちゃん「ありがとうございます。 大切に使います」そうやってプレゼントを渡し、宴もたけなわ。4回生から何か言葉を送り師匠からもお言葉をいただくことになった。鴨くん「えーと、何言うか 全然考えてなかったんですが・・・」鴨くんの言葉を聞いている間に私も何を言うか考える。あー、でもなんか色々あってまとまらんなぁ。何から言えば・・・鴨くん「じゃあ次、五月さんどうぞ」・・・全然まとまってないし。よろよろと立ち上がると当たり前だけどみんなが注目していて背筋を伸ばした。最後に言いたいこと。やっぱり。私「4年間やって思うのは 私は宝生会に入ったこと 全然後悔してないってことです」4年間という長い月日。それを宝生会に費やした時間は、とてつもなく大きい。でも全然後悔してないのだ。出会った芸術、出会った人、すべてが出会って良かったと思える。そう思えることが、なんと素晴らしくなんと嬉しいことか。私「つらいこともあると思うんです。 『稽古すればいい』ってよく言うけど、それだけじゃないし。 でもそれを越えて余りあるほど 宝生会から得るものは沢山あります」いや得るだけではない。得たら「次に伝える」という、使命にも似た気持ちが生まれるのだ。その使命感が心地よいのだ。分かるだろうか。私「私は受け継いだものを いつからか、下に伝えなきゃ、と思ったから 鸚鵡返しや稽古を頑張りました。 だから下回生も、いつかは稽古を受けるだけじゃなくて、 ほんのちょっとでも『下に伝えよう』って 思ってくれたら嬉しいです」私がここにいたことによって誰かの芸の何かの身になって次の世代に伝わってくれたら。私がここにいた意味が時を越えて残る・・・。師匠「いやー、言いたいことはもう ほとんど言われてしまったんですけどね」そして師匠(仕舞)のお言葉をいただく。師匠「五月さんも言ってたけど 『下に伝える』ってことは、実は凄く重要だと思うんです」こちらを見て周りを見渡す。師匠「能は、室町時代の世阿弥から始まって、今に至るまで ほとんど変わらず、でも形をちょっとずつ変えて 口伝によって、ずーっと伝わってきたものです。 それが今、この宝生会の中にある」戦乱で途切れても時代に弾圧されても能は、細々と生き延びた。そして今、私たちの中に生きている。師匠「これはある種 壮大な伝言ゲームなんです」腑に落ちた。私たちはいつしか長い長い歴史の中の伝言ゲームの中にいたのだ。こんなに深くこんなに壮大なゲームがあるだろうか。師匠「今その先端にいるのが僕らで さらに最先端にいるのが現役で、1回生なんです。 どうかほんのちょっとでもいい。 少しでも次の世代に伝えてくれたら 僕も嬉しいです」私は、卒業してその役目を果たすことが出来た。そうやって4回生が抜けて宝生会は、次の時代に移り変わる。また京都の大学の片隅の小さな古いBOXで伝言ゲームが続いていく。「「お疲れ様でしたー」」2次会は、その慣れ親しんだBOXで。こたつを囲んで、日本酒と焼酎とつまみをのせてぬくぬく、とりとめもない話をする。ああなんて贅沢。朝の4時までだらだら過ごすなんて社会人になったら出来ないだろうなー。いい追いコンにしてもらった。ありがとう。みんなありがとう。卒業してもがんばるのだ!ありがとうー!
2008年02月22日
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リスちゃん(仮名)「お待ちしておりました」お店の前に立っていた2回生のリスちゃんがぺこりとお辞儀をする。リスちゃん「主役2人で登場ですね」私と鴨くん(仮名)も会釈する。私「ええ、そこの信号でバッタリ会って」鴨くん「他の人はそろってますか?」リスちゃん「現役はいます。あ、ここ入って2階です」私「ありがとう、寒いのに」リスちゃん「いえいえ」今日は宝生会の追いコン。つまり今年の卒業生、私と鴨くんが追い出される日だ。嬉しいとか、悲しいとかよりはぁー、ついにこの日が来たかー、という気分。この時期は追いコンとか飲み会とか色々あるけどやっぱり宝生会の追いコンが一番なんか、思うものがあるなぁ・・・。猿さん(仮名)「お久しぶりです」私「お久しぶりです、ありがとうございます」京都の古い旅館を改装した座敷に続々とお世話になった方々が顔を見せる。沢山人が集まると、やっぱり嬉しい。師匠(仕舞)「まだ集まってないけど乾杯しよう。 乾杯は何度してもいいものだし」そうして、いつものように乾杯。美味しい料理が運ばれてきて人が増える度に、何度も乾杯する。師匠「五月さん、春から忙しくなるんだって」私の隣は師匠だ。私「ええ・・・ちょっと色々ありまして」師匠「まぁ若いうちはね、苦労した方がいいよきっと。 でも3月の会については、申し訳ないです」3月末に予定していた、師匠のお母様、能楽師30周年の記念の会。私は学生最後の休みを使って、『清経』の舞囃子を出す予定だったけれど舞台が6月に延期になった。お母様がご病気になられたからだ。OBさん「お体のほうは・・・」師匠「まだ何とも言えないんだけどね。 調べてみないことには」2月末に手術が決定しているとのこと。普通舞台を延期することはあまりないのだが、30周年の記念の会であることもあり、中止の判断にはならなかった。師匠「忙しくなって、稽古大変だと思うけど、できれば・・・」私「はい。『清経』は頑張ります。 土日ですし会社は休みですから。 やはりここは、ゆっくり養生なさったほうがいいと」師匠「うん。ありがとう」『仕事をしながら稽古をする』そういうことが出来るかどうか。でも舞囃子は出したい、いや、出すんだ。宝生能楽堂で。これを逃せば次はそう機会は訪れない。つかめる機会はつかめるだけつかむのだ。仕事ばかりの毎日になる前に。犀ちゃん(仮名)「それではこの辺りで ささやかではありますが、現役から卒業生の2人へ プレゼントをお渡ししたいと思います」」犀ちゃんが立ち上がって後ろから紙袋を2つ、取り出した。(つづく。)
2008年02月21日
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あーだこーだと二転三転しましたが無事、海外旅行計画は果たせそうです。しかもチェコ!ミュシャ生誕の地!古き良き中世ヨーロッパの町並み!全部で4泊!さらにオーストリアも!音楽の町ウィーンで2泊!そんなわけで3月11日から18日までの8日間、日本を離れます。色々買いそろえるものがあるなー。楽しみだー
2008年02月20日
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春休みも暇を見つけて会社に行き先輩社員のアキさん(仮名)と、一緒にお仕事。アキさん「今日は夕方から、月1の会議があるから 時間あったらワタリィ、それにも出てくれる?」私「はい、出ます」月1の会議は上の階であって昼にあると弁当を食べながらで行われる。夕方なのでそれはないけど。私「じゃあそれまでに このスライド仕上げてチェックいただきます」アキさん「うん、よろしく~」そして夕方になり、上の会議室へ。まだ暖房であったまっていないのでみんなひざ掛けやら毛布やらをかけている。営業「ではまず各自の進捗状況から」先月までの各自の仕事ぶりを、各自で報告。こうして個々人の仕事を全員で共有する。社長「ついでにワタリィ、お前も」私「はい。私は先月は無事 卒論を提出いたしまして」拍手。「おめでとー!」「おつかれー!」私「ありがとうございます(笑)。 そのあと試問やら引越しやらがありまして 現在は、会社近くのところから通っております」あの素敵な新居。春からは会社からも住宅援助が出るしますます住み心地がよくなってしまう♪私「あとは3月に旅行したり、実家に帰ったりして 25日の卒業を待つのみです」うちの卒業式って、あってないような行事の気もするけど節目として出ておかねば。卒業したら社会人。いよいよだなぁ。社長「じゃあ他になんか言うことあるやつ」アキさん「はいっ」アキさんがぴんと手を挙げる。社長「はい、アキ!」アキさん「はいっ(笑)」立ち上がる。アキさん「実は皆様に お知らせすることが2つあります」ぴっと2本の指を立てる。そのうちの1つをとってアキさん「このたび お腹にベイビーができました☆」「「「おおおおおお~~~!!!」」」やんややんやの大喝采。「おめでとうございます!」「おめでとう、何ヶ月??」アキさん「今2ヶ月ちょっとです」お腹をさするその仕草がなんともはや、幸せそうな感じ。そっかー、うわー、凄くめでたいことだ。夏に結婚式があって、それから赤ちゃんで。やーもう、幸せの絶頂じゃないですか☆☆☆アキさん「それともう1つ」アキさんが、2本上げたもう1つの指を取る。興奮しまくりの周囲が落ち着くのを待ってその『もう1つ』を発表する。アキさん「このたび、ベイビーができたこともあり それを機に私は7月で この会社を卒業します!」( ̄□ ̄;)「「「えええええええ~~~~!?」」」えっ、ちょっとそれアキさん「制作に関しては、ご存知の通り 現在お取引先の大半を私が受け持っております。 ですが私が抜けたあと、いないと回らない、というのではいけないので 若手に引き継ごうと思います」いやアキさん「引き継ぎは基本的に ワタリィの入社後にしようと」皆さんそんな一気にこっち見んといてください!アキさん「思ってるんやけどワタリィ・・・」そんなアキさんウサギのような目で!!そりゃそうだ、制作室のコピーライターは6年目のアキさんと今年の秋にテレビ局から来たハリーさん(仮名)と来春入社の私しか・・・・・・ええええ?!!?!@!☆◎◆△!わっ、私半年で独り立ち!?社長「・・・アキが抜けるのは ひじょーに寂しいが」社長が神妙な顔つきで社長「うちの会社は家族みたいなもんだから みんな、お姉ちゃんに子供ができる、って感じで 助けてやってくれい。 ワタリィ、」こちらを見る。社長「ばしばし鍛えたるからな~~~」にんまりって! 一瞬でにんまりしてますよ社長!!社長「ハリーも楽しみにしてろ!」ハリー「はい! めっちゃ今から楽しみです!!」社長「ようし。そんなわけでお前ら アキの近くでにおいのきついもの食べないように! 全体会議終わり! この後引き続き営業会議!」制作メンバーが会議室から出てエレベーターを待っている間。アキさん「ごめんねワタリィ突然。 ワタリィが一番心配やった」・・・そりゃもうびっくりはしましたけど先輩の晴れの門出ですから。私「いえ、おめでとうございます。 入った甲斐がありますよ」アキさん「ほんまやなぁー(笑)。 よろしくお願いしまっす」私「こちらこそよろしくお願いします」はぁーそれにしてもあと半年引継ぎで相当忙しいだろうなぁ・・・2、3月のうちに、引き継げることはしとこうって話になってるし。ああ、こりゃ大変だ。がんばらな!
2008年02月14日
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来月で長かった学生生活にピリオドを打つ。それとともに私は多くのものから卒業する・・・。****ママさん(仮名)「ああ来た、五月ちゃーん」今日は3年間勤めていたバイト先のパン屋の送別会。いつも利用しているお店の2階を貸しきりだ。私「すいません遅れまして 途中で雪がビュービュー・・・」「このハンカチ使ってください」私「ああどうも・・・」・・・って、見れば私より前にパン屋を卒業した後輩だ。しかもおお、よく見渡せば「お久しぶりです五月さん」「お久しぶりです」私より先にやめた人も何人か来ている。うわあ、懐かしい~~vv幹事「今日は皆様集まっていただいて・・・えー、 うれしいです。えー、・・・ 僕じゃあしまらないので、店長」店長「わしかいな(笑)。そやなぁ・・・」店長がのんびり言葉を受ける。店長「最近わしも年とってきて 営業時間の変更とか、もろもろ みんなには迷惑かけてます」そうなのだ。これまで毎日、朝の7時からやっていたのだけれど今月から思い切って、平日は12時から開店(!)ということにしたらしい。そりゃあ深夜1時起きの生活はつらいでしょう・・・。店長「でも今働いてくれてる人は ほんとにいい人が多い。 わしは恵まれてるなと思う」そうこぼした言葉は働いてる身にも感じることで。働いてる人はみんなすごく優しく、あったかい。うちのお店に売っているパンのように。店長「これも何かの縁ですので 卒業しても、この縁を大事にしてほしいと思います。 では今日は楽しみましょう。乾杯」「「「かんぱーい」」」料理は地元で有名なお店だけあってやっぱりうまい。ほら、この何でもないから揚げ、あんとからまって絶妙ーvv幹事「では会ったことのない人もいるので 一人ひとり、端から自己紹介を」食べながら自己紹介。最近入った子も何人かいるのだ。ママさん「じゃあ次、五月ちゃんー!」私「はい。 そうやって『ちゃん』づけで呼んでくれる人も 店長とママさんだけになりました五月です」入ったころはみんな私を『ちゃん』づけで呼んでいた。今ではそんな先輩は皆、卒業している。それだけ月日は流れていた。歓迎会が昨日のことのように思い出されるけどそれはもう、3年前の話。1回生の春休み。たまたまバイト募集の張り紙を見て、その日に店長と話をして「じゃあ明日から来てくれるか?」次の日にはレジを打っていた。それからというものパンを並べてパンを作って朝3時出勤とかもあったけど思い返せば、そんな生活を乗り越えたんだから何だって出来る気がしてくる。店長「これは、今回卒業する人に。 うちの特製のパンや」店長から受け取った、白く大きな袋の中にハート型のリングに矢の刺さったそれはそれは大きなフランスパン。このパンは、卒業する人のためだけに作られる店にも売らない特別なパンだ。みんなこれを持って巣立って行った。店長「働いてくれてありがとう。 またパン買いに来いや」私「はい」このパンをもらって無事卒業できるのがうれしい。「集合写真撮りましょうー 並んでくださーい」最後に写真を撮ってもらいながらああ、このパン屋で働いてよかった心からそう思った。ちなみにもらったのはこんなパン↓↓↓(携帯では見えないかと思うけど) 比較のために消しゴムを置いてみた。食べたら間違いなくおいしいだろう。でもこれ、もったいなくて食べられないよー
2008年02月12日
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師匠(仕舞)が能のシテをされるということでサークルのほとんどのメンバーで、能楽堂へ。演目は『巴』。リスちゃん(仮名)「お疲れ様です、今舞囃子やってます」ちょっと遅れ気味にたどりつくと、受付には後輩が2人。中では舞囃子が始まっていたけれど『巴』には間に合った。そろそろと、空いている正面の席を見つけて入ると「(小声)あら、こんにちは」隣は師匠のお弟子さん。やはり皆さん観にこられている。そして笛が鳴り『巴』が始まる。『巴』は、木曽義仲の愛人といわれる女武者、巴御前の曲だ。「何事のおはしますか知らねども・・・」粟津が原の社で、涙を流す里女。これが後に、巴の魂であるということが分かる。よく知られている話だけあって観ていて話の筋はとても分かりやすかった。私が好きだったシーンは小先に出てきた巴が平臥して、義仲の言葉を聞くところだ。義仲の馬が、薄氷の深田にはまってしまいもはやこれまで、一緒に自害しましょうという、巴の言葉に対して主君の発した言葉は「汝は女なり」それまで少しずつ、くもっていた面が完全にかげって泣いているようにすら見える。さまざまな思いをめぐらせながら、巴が言葉を聴いている。そんなありさまが伝わってくる・・・ 師匠「なぜ、巴は」以前、お酒を飲みながら 師匠「松原に現れたのだろう」師匠が、これから取り組む能に関してこぼされていたことがある。 師匠「巴は義仲の小袖を持って去ったのだから、 死んだのは、粟津が原の松原ではないはずだ。 でも舞台となっているのは松原・・・」能の物語は深く演じるにも謡うにも、解釈が必要となる。私は『葛城』のとき、深いところまではいかなかったけれど出てくる引き歌や由来を調べて、少しでも解釈の助けにしていた。180余りの現行曲の中で唯一の女武者、巴。『巴は武者か女か』よく中心となる疑問はそれである。 私「・・・それは多分 死んだ場所が違っていても 巴の魂は、義仲とともにあったからだと私は思います」主君を残して合戦の場を離れるのは武者としてあるまじきこと。けれど、死ぬならともに、という言葉に対して主君は、「お前は生きよ」と言う。女ならもとより合戦には来なかった。武者ならともに自害していた。そのどちらにもなりきれない巴の最後の執心は義仲の言葉を受け、義仲が自害した松原に集約されている。 私「巴は義仲と自害したかったけれど、許されなくて 一人で故郷へ落ちのびてますが きっと武者としての巴の魂は、松原で死んだのだと思います。 だから魂も松原でよみがえって 生前の武者の姿で現れるんだと思います・・・けど・・・ 分かりません(苦笑)」 師匠「・・・なるほどね」 能の解釈は人それぞれでどれが正しく、どれが間違っているというものではない。それだけ自由が許される。 師匠「ありがとう、参考にするよ」同じ演目でも、演じ手によって受ける印象がまったく違ってくる能。その能を演じるということそれを生涯の仕事にするということは並大抵の努力では成り立たない。師匠はお若い。これから沢山の能を演じられて、更に深みを増されるのだろう。私「どうだった?」リスちゃん「はぁー・・・なんか 悲しい女のさが、って感じですね」私「そう(笑)」リスちゃん「面白かったです」現役は今年の春、全国大会で連吟『巴』を謡う。その参考になってくれればいいけど。来月も師匠は一番、能をされる。また色々な解釈をされて挑まれるのだろう。すごく楽しみだ。
2008年02月11日
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引越も無事終わりまして新居に移動しております。(ネットがまだつながっていないので 大学やらネットフリーエリアやらで接続しております)新居はさすがに広い!キッチン5畳、部屋6畳、セパレートでアイホンつきでウォッシュレット!6畳ちょっとだった前のアパートとは全然違う!すげ~~ああ、3月に引っ越そうと思ったけど早めに来てよかった。これなら人を呼んでご飯食べたりも出来るに違いない。キッチンに机置きたいな~ひとまず段ボールを崩していかねば。まだ幾つか残ってるし・・・ああ、でもいいうちで満足だ~
2008年02月06日
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