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2023.09.12
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テーマ: 読書(8559)

書名



女の子たちと公的機関 ロシアのフェミニストが目覚めるとき [ ダリア・セレンコ ]

引用



親愛なる女の子たち、私たちには決死のストライキが必要だよ。生きていることが耐えがたくなったよ。


感想


ロシアのフェミニスト本。
詩のような寓話のような物語。
一人称であり「女の子たち」全員を主語にしているような。
韓国のチョン・セランの小説と雰囲気が似ていた。

屋上で会いましょう [ チョン・セラン ]
保健室のアン・ウニョン先生 [ チョン・セラン ]
声をあげます [ チョン・セラン ]
地球でハナだけ [ チョン・セラン ]

公的機関というのが現実の「組織」(ロシアの芸術系の運営組織は、捏造と変更の嵐で
、その犠牲になるのはいつも下働きの「女の子」たちである)であり、さらにいうと「国家」そのものでもあり。
そして、ここで言う「女の子」はすべての「女性的なもの」。

著者は、1993年ハバロフスク生まれ。ロシアの作家、詩人、フェミニスト、反戦活動家。
この物語と同様、図書館や美術館など国立の文化施設に勤め、実体験を元に、2021年本書を発表したのだという。
ウクライナ侵攻に対し「フェミニスト反戦レジスタンス」を組織。
2022年3月にジョージアに出国したという。

著者は、家庭内の暴力が(そして主にそれは女性への暴力が)、戦争へ繋がっているのだという。
家の中で行われる暴力を容認することは、戦争の武力行使を「やむを得ない」とすることと、同じ。
大義を掲げれば暴力が正当化されるのであれば、それは「理由をつければ・条件下で」OKになるということで、それを恣意的に解釈して小さな単位にしていって、組織で、家庭で、行われる。

この本の、上の引用部を読んでいて思った。

産めよ増やせよ。兵隊を、戦力を、労働力を。
十数年育てて、送り出す。

地図と拳 [ 小川哲 ]

で言っていた。
かわりの兵隊はいくらでも、召集令状を送る切手の値段分だけで補充されるのだと。

じゃあ、もし女の子たちが止まって、動かなくなったら。
どうなるんだろうね。


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最終更新日  2023.09.14 06:25:09
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