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GWは日本人が出国・帰国航空券を買占めるため航空券が品薄状態となり、海外から日本への観光客が激減するのだ、という、もっともらしい社長の説明に一応うなずきながら、あまりにヒマな店内での時間をもてあまし、スペイン語の勉強をしてみたりする。私にはまだまだ遠いところにある、輝く太陽や肌の色付く感触に焦がれながら。さて、イタリア人、そしてスイス人。販売員の嫌うことを何もしないにもかかわらず、それどころか、その笑顔と明るさとは販売員に好まれているにもかかわらず、販売員をもっとも混乱させるのが、イタリア人。販売員を、と言うよりむしろ、店舗の<場>を、と言うべきか。店には自然と、<順路>とでも言うべき通り道がある。たとえばそれは、販売員の待機するレジの奥は客の通路ではないということであったり、遠回りではあっても狭い狭い棚と棚の間ではなく広いスペースを通る、ということなど。誰もそんなことを改めて客に伝えることはしないし、客もそんなことは尋ねないけれど、<自然と>そうなっている。つまりは、<自然発生的な秩序>だ。ところが。恐るべきイタリア人。それが通じない。イタリア人が一歩店に踏み入れるなり、販売員は動きを封じられる、といってもよい。いつも客のいるはずのいないスペースに、笑顔のおじさんがこちらに向かって投げキッスをしている<誇張じゃない>。レジ内に入り正面の客の免税書類を作成している時に、客のいるはずのない背後から、着物を探しているんだけどおー、と歌い出しそうなおばちゃんに声をかけられる。一瞬ぎょっとし、忙しい時にはいらっとし、それでもなんだか最後には一緒に笑ってしまう。恐るべきイタリア人。私には決してできない技だと、感服する。そしてスイス人<フランス語圏>。ドイツ語・イタリア語圏の客にはあまりめぐりあわない。控えめかつ柔らかな物腰で静かに買い物をする。販売員に対する態度には、その品性をうかがわせる客が比較的多い。結構な額を買うだろうという雰囲気を漂わせ、英語も問題なく使いこなす。しかし客同士での使用言語はフランス語であり、最後までどこからの客かを判断する決定打にかけ、販売員も今ひとつ攻めきれない感が残る。会計時にパスポートを見て初めて、<ああ、納得、スイスの人ね>と販売員の胸のうちはすっきりし、こうして日本人のスイスに対する好印象はまたひとつ評価を上げるわけだけれど、あっさりしすぎた食事の後で食べたものを忘れるように、彼らが何を購入していったのか、あとから思い出せないことが多々ある。
Apr 30, 2005
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忙しがって働いている私の職場は、外国人団体観光客対象の免税店集合ビルだ。下は単価300円から、上は数十万まで、取り扱い商品は幅広い。そして、毎日が、ヒトの万国博覧会だ。1.アメリカ人ほとんどすべてが英書であるにもかかわらず、書籍コーナーにはめったに立ち寄らない。大きく漢字単語のプリントされたTシャツ、おそろいの言葉の入った鉢巻、竜の刺繍の入った着物、そんな感じのわかりやすく派手な品物が大好き。大声で販売員を呼びつけ、呼びつけたが最後、買い物終了まで僕のようにつれまわす、店がどんなに混んでいようとも。にもかかわらず、販売員が漆器の由来などを説明しだすとつまらなそうにさえぎる。2.フランス人ここはフランスだっただろうかと、こちらが錯覚するほどに、当然のようにフランス語で販売員に話しかけ、販売員が仏語を解さないと知ると、大仰に落胆する。着物・浴衣コーナーに腰を落ち着けたが最後、そこから動くことはない。時間はかかるが、新鮮な色使いや組み合わせで商品を選んでゆくのはさすが。3.スペイン語系来店するや、あふれるスペイン語で、売り場は日本ではなくなる。スペイン語の響きはそうまでに力強い。販売員に当然スペイン語で話しかけるところまでは、フランス人に同じだが、販売員がわかろうがわかるまいが意に介さないところがフランス人との違い。ベテラン販売員は、接客を通じてスペイン語をマスターしてしまったというから、その威力は強烈だ。金箔工芸品など、キラキラしたものに目がない。4.ロシア人富豪しか来店しないため、販売員の、接客したい客トップにランクインする。単価数万円のシルク製品を無造作に買い漁る。髪の薄くでっぷりとした中年男性と、アンニュイな雰囲気をふりまく細身のブロンド美女の組み合わせが多い。5.中国語系言葉の響きの威力はスペイン語系に匹敵する。キティちゃん関連のグッズを幅広く購入してゆく。必ず値切る。ーさて、ドイツ人。販売員に笑いかけない。販売員から微笑むと、隠せぬ戸惑いを見せる。高い高いといいながら、商品をじっくり物色する。ほしいものと寸分違わぬものがない限り、購入には至らない。散々接客して結局はがき一枚ご購入、に陥るパターンが多いため、販売員としては避けたい接客相手。噂に違わぬ財布の紐の固さであるが、その割には書籍には金を惜しまない。着物など着るもの系には、あまり興味を示さない。こんなふうに観察しながら、毎日を過ごしている。何が一番興味深いかと言えば、こうして言葉で表現できるほどに明らかに、買い物ぶりにお国柄を見出し得るということ。
Apr 24, 2005
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私の暮らし。朝から夜まで、英独日のトリリンガル接客をし、その後自動車学校か語学学校へ通う。仕事が休みの日はやっぱり自動車学校へ通う。合間に渡独後の進路を模索する。ドラちゃんの暮らし。6週間後に迫った博士論文の執筆に、昼も夜もない。以上。文字通り、一緒にベッドをあたためる暇もないとはこのことだ。気づけば桜が満開になっていた。ドラちゃんの論文提出が終われば少しは楽になるはずだからと、二人で互いに言い聞かせながら、それぞれの場所で力を尽くして、日々はサラサラと過ぎてゆく。どうしても慣れることのできなかった、<私とあなた>ではなく<わたしたち>という考え方が、いつのまにか私の生き様になっていることに気付いた。暮らしを続けてゆくために生じた変化、その力強さ。
Apr 10, 2005
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