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岸田政権は沖縄県に自衛隊基地を新設し、アメリカの言いなりで「台湾有事」の準備に余念がないのであるが、同じ沖縄県に夏休みで遊びに来ていた若者にテレビが取材したところ、その若者は「台湾有事? 知りません」と答えたそうで、その件について法政大学名誉教授・前総長の田中優子氏は13日の東京新聞に、次のように書いている; 「強者には従うというだけなら報道機関はいらない」―。これは本紙7月24日朝刊に掲載された、喜田村洋一弁護士の言葉である。 喜田村氏は、2004年に判決が確定した「週刊文春」へのジャニー喜多川氏からの名誉毀損訴訟の際の、文春側の弁護士だった。東京高裁で「記事の主要部分は真実性の要件を満たしている」という判決が出て、ジャニー喜多川氏の最高裁への上告は棄却された。つまり加害の事実が認められたのだ。もう20年近く前のことである。しかし報道機関が取り上げることがないまま事務所は何も対策せず、加害は続いた。 「台湾有事という言葉を知っていますか?」 「知りません」。 これは、沖縄県の宮古島に遊びにきていた若者にテレビの取材者が聞いた時のやりとりである。仰天した。軍拡費43兆円も、南西諸島への自衛隊配備も知らない。若者はテレビを見ず新聞を読まないからだ、と若者の責任に転嫁する気はない。本人だけの責任ではないように思う。主要報道機関が盛んに伝えることは、インターネットニュースも取り上げないわけにはいかないからだ。集団的自衛権行使容認も敵基地攻撃能力の保有と予算決定も、その決定の是非を巡る議論も、テレビ放送や新聞で毎日のように報道すべきことだが、されてこなかったのではないか。 ◇ ◆ ◇ 現場でそれを体験した元経産省官僚の古賀茂明氏によると、その傾向か極端になったのは第2次安倍政権の2015年ごろだったという。新聞や報道の企業トップから記者に至るまで政権に忖度(そんたく)し、ディレクターや出演者が降板した。その著書『分断と凋落の日本』(日刊現代)には、報道が伝えてこなかった日本の現実がデータとともに示されている。その中には、日本はあと3年ほどで経済破綻するだろう、と官僚が語る場面もある。 データをどう読むか、責任はどこにあるのかは諸説あって良い。しかし事実を知らなければ、議論も投票も軌道修正もできない。軌道修正しなければ、経済破綻も戦争への突入も、すぐ目の前に迫る可能性がある。知りたいのは政治家のお題目ではない。実際の行動や決定が公正か、閣議決定がどう作用するか、司法は国民の側に立っているか、日本経済のかじ取りは今のままで良いのか等々、報道によって判断しなければならないことが山とあるのだ。 ◇ ◆ ◇ とりわけ「台湾有事」という名で政府が可能性を示している戦争については、国民が自ら考えなくてはならない事柄がある。自分たちの生命と生活についてだ。 最優先事項は戦争回避の努力だが、果たしてなされているのだろうか? 日本が戦場になった時の、あるいは原発施設が攻撃された時の避難方法と避難場所は、設計されているのか? 戦時の日常を想像できない人が戦争に容易に賛同する。報道機関は「人が生きる」その足元に立って、国民の想像力を喚起し、問題を提起してほしい。 9月16日から公開される『燃えあがる女性記者たち』の試写を見た。インドの最下層のカーストに属する女性たちがインターネットで報道し続けるドキュメンタリーだ。足で歩きスマホで取材して発信し続けるその独自ニュースは、瞬く間にインド中に広がった。報道こそ未来の可能性を開く。自らを差別から救う。その力をあらためて痛感した。2023年8月13日 東京新聞朝刊 11版 5ページ 「時代を読む-事実を伝えてほしい」から引用 ジャニー喜多川の「性暴力」を裁判所が認定しても、メディアはそれを社会的な問題として取り上げることをせずに、責任を追及するようなこともなかったため、その後20年間も同様の被害に遭う人が跡を絶たなかった、その責任の一端はメディアにもあると言えます。政府が平和憲法の精神を踏みにじり、敵基地攻撃能力だの沖縄県への自衛隊基地新設を実行しても、国民は気にも留めずに海水浴を楽しむという「異常な事態」になっている。そういう事態が始まったのは安倍政権のときからだったという「指摘」は重要です。上の記事が指摘するように、最優先事項は「戦争回避の努力」であるが、果たしてなされているのか? 答えは「否」だと思います。歴代自民党政権は、吉田茂や田中角栄の時代は別として、アメリカの顔色をうかがうばかりで、アメリカの言いなりに行動はするが、自発的に行動したのは田中角栄政権の「日中国交正常化」事業くらいのもので、その後は要りもしない武器や戦闘機などを買わされて、今また「台湾有事」のときは米軍に変わって自衛隊が戦闘行動が取れるように準備をしている。国民の同意もないままに、勝手に戦争準備をしている実態を、勇気をもって国民の目の前に見せてくれる骨のあるジャーナリストの登場が期待されます。
2023年08月31日
自民党の麻生太郎が台湾に出掛けて「戦う覚悟」などと発言したことに因んで、毎日新聞専門編集委員の伊藤智永氏は12日付けの同紙に、次のように書いている; 台湾を訪れた自民党の麻生太郎副総裁が「抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ」と演説してギョッとさせた。直後に日中の岸田文雄、李強両首相が9月上旬、インドネシアで初の首脳会談を行う予定も明らかになった。麻生発言は、首相官邸や外務省とすり合わせた計算ずくの対中メッセージなのだろう。 かつて書いた外交文書公開の記事を思い出す(2000年5月29日付朝刊)。麻生氏の祖父・吉田茂元首相は言わずと知れた反共親台派だが、冷戦期の1960年代、国交のなかった中国共産党政府とも民間貿易をテコに交流を拡大する現実主義外交を推進した。 64年2月に訪台し、台湾の蒋介石総統と会談。「中華民国政府が、政治七分軍事三分ノ大陸反攻政策が成功スルコト確実卜認ムル時ハ、日本「大陸反攻二反対セズ、之二精神的道義的支持ヲ与フル」という中共対策で合意した。 帰国後の4月、吉田は総督府の張群秘書長宛て書簡で「反中共」を確認する一方、5月に同じ張群宛ての別書簡で、対中共貿易は進めると通告。「二つの中国」反対を約束しながら、実利は取る臆面もない二枚舌の実践である。 米国相手にも吉田はよく同じ手を使った。51年9月のサンフランシスコ講和条約締結時、連合国間では北京と台湾のどちらを中国代表にするか決められなかったが、吉田は大陸と関係を強めなければならないと見通していた。 警戒した米国のダレス特使(後に国務長官)は12月、吉田に「台湾政府と2国間条約(翌年の日華平和条約)を結び、中共政府とは結ばない」と確約させる署名書簡を要求し、送らせた。 ところが4日後、吉田は「ダレス大使のためのメモ」と題する無署名書簡を連合国軍最高司令官リッジウェイ将軍に手渡す。「独立国日本は独自の中国政策を持たざるを得ない」と書かれた「二つの中国」政策への布石である。 外交戦術なら「戦う覚悟」も結構。岸田、麻生両氏にも、吉田に負けない先見性とずぶとさが備わっているものと期待しよう。 ただし、戦前の日中関係は、政治家や外交官が威勢のいい言葉を次々と繰り出して、泥沼へ引きずり込んだ歴史も忘れまい。「対華21力条要求」、外務省情報部長による「列強の対中援助反対声明」、「横暴な中国を懲らしめよ」、「国民政府を対手とせず」。 そして敗戦。「戦う覚悟」を唱えた指導者の無事を見て、唱和した国民は学んだ。覚悟は指導者が持て。国民が持つべきは「戦わない決意」である。(専門編集委員)2023年8月12日 毎日新聞朝刊 13版 2ページ 「土記-戦う覚悟と戦わない決意」から引用 吉田茂という政治家は、若いころに学習院大学や東京帝国大学に学び、卒業後には外務省に入り外交官として実績を積み上げて頭角を現した実力者であったわけだが、その孫の麻生太郎となると公開討論会の場で「(憲法改正のやり方については)ナチスの手口に学ぶべきではないかと思う」などと、デヴィ夫人並みの「世間の常識とのズレ」を見せる人物で、とてもアメリカや中国を相手に「二枚舌外交」など、できるような「才覚」があるとは思えません。野党やメディアの「質問」に対して、まともに返事をすることが出来ずに、はぐらかしたり言葉を誤魔化したりする様子を見れば、明らかで、将来を見据えた「方針」などというものは皆無で、ただ目先の「政権延命」だけが「目的」になっており、こういう政治家に任された「政治」には「不安」しかありません。
2023年08月30日
夏の初めの頃に「秋には解散・総選挙」の噂が流れたとき、自民党はいち早く選挙態勢を整えるべく各地方組織に「支部長」を擁立したところ、少し前に「統一教会との抜き差しならない関係」が明るみに出て「公職」を辞した議員が、「統一教会との関係は完全に断ち切った」との説明は一切なく、素知らぬ顔で各地で「自民党支部長」という要職に復帰したことが明らかになった。その様子を、12日の「しんぶん赤旗」がトップ記事で、次のように報道している;◆山際氏ら支部長に選任 180人―自民党が2022年9月8日に公表した「点検」結果(追加報告を含む)で、統一協会(世界平和統一家庭連合)と接点があるとした国会議員の数です。自民党は、事実解明や国民への十分な説明がないまま、統一協会と接点のあった議員らを次々と、次期衆院選の候補者となる支部長に決定しています。政治家との結びつきが、霊感商法や洗脳によるメンバー獲得などの反社会的活動を支えてきたことへの反省がありません。 自民党はこれまで批判を受けて、自己申告による「点検」を実施してきました。その中で、自民党所属の議員180人が同協会と関係を持ったとされています。このうち、氏名公表されている77人を次期衆院選の候補となる支部長に選任。選出区は31都道府県におよび、神奈川県が9人と最多です。中には、同協会との癒着関係を指摘され、閣僚を辞任した山際大志郎元経済再生相(神奈川18区)をはじめ、萩生田光一政調会長(東京24区)、下村博文元文科相(東京11区)、平井卓也元デジタル相(香川1区)ら閣僚経験者がずらりと並んでいます。 山際氏は、ネパールで開かれた同協会の関連イベントなどに参加していました。会合出席についてメディアが追及すると、「報道を見る限り出席したと考えるのが自然」と人ごとのような弁明や言い逃れに終始し、閣僚辞任後も説明責任を果たしていません。SNSでは、同氏が神奈川18区の支部長となったことに対し「自民党は反省していない」「自民党は統一協会を容認するのか」など批判の声が上がっています。◆組織的・政策的癒着 未解明のまま 自民党は当初、179人の議員に統一協会と接点があったと公表(2022年9月8日)。しかし、外部からの指摘で木原誠二官房副長官(東京20区)が「(記憶が)呼び覚まされた」(22年9月12日)と追加報告するなど、「点検」は杜撰(ずさん)なものでした。 また、自民党所属の議員にもかかわらず、衆院議長として会派を離脱しているとして「点検」に含まれなかった細田博之氏(島根1区)に対する追及も不十分です。細田氏は、同協会の関連団体の会合に出席していただけでなく、関連団体の名誉会長を務め、「清和政策研究会」(現・安倍派)の元会長(14~21年)として、選挙の際に統一協会の票を差配した疑惑があります。細田氏は、統一協会と極めて深い関係があったことを認める文書を発表しましたが、自らは一言も説明せず、次期衆院選へ出馬しようとしています。 自民党はこれまで同協会と癒着し、多大な物的・人的支援を受けながら選挙戦をたたかってきました。 そのことを裏付けるものが、「政策協定」である推薦確認書です。同確認書は、(1)憲法を改正し、安全保障体制を強化(2)家庭教育支援法・青少年健全育成基本法を制定(3)GBT問題、同性婚合法化の慎重な扱い(4)「日韓トンネル」実現を推進(5)国内外の共産主義勢力の攻勢阻止―など反共反動の政策を列挙していました。同確認書に署名した議員には、大串正樹デジタル副大臣(兵庫6区)、山田賢司外務副大臣(兵庫7区)がいます。同確認書への署名は「点検」項目に含まれておらず、大串氏については党の「点検」では明らかにされていません。 岸田文雄首相は同協会との「関係を絶つ」と言いますが、関係を絶つどころか、全容解明はまったく進んでいません。同協会と自民党の癒着を本当に断ち切る気があるのなら、総選挙前に徹底的な全容解明をすべきです。◆関係絶たないことの表れ◆ 統一協会問題に詳しいジャーナリスト 鈴木エイト氏のコメント 統一協会と接点のあった自民党議員は「教団とどういった経緯で関係を持ったか」など根本的な部分を説明していません。「説明」が単なる弁明にすぎないまま、今回、各選挙区の支部長に選任されたというのは、同党が本気で教団と関係を絶とうとしていないことの表れです。 自民党は昨年、「点検」という名で、所属議員に簡単なアンケートをしました。「誰の指示で参加したのか」「秘書の受け入れ」などの項目がなく、調査対象も「自民党に所属している議員」のみでした。一時的に党籍を離れている細田博之衆院議長や亡くなった安倍晋三元首相を調査対象外とし、簡単な点検で済ませようとしたこと自体が問題です。 反社会的な団体と関係を持っていることを隠し、当選を重ねることは最も許されないことです。有権者は投票の際、「教団と関係を絶とうとしていない候補者」に対し、ノーを突きつける必要があるのではないでしょうか。2023年8月12日 「しんぶん赤旗」 1ページ 「統一協会と接点あり 自民国会議員、次々“復活”」から引用 昔の自民党であれば、違法な献金受領などで議員辞職をしても、次の選挙で当選を勝ち取ると「禊ぎ」が済んだということで、「正常化」したと世の中が考えたものでしたが、この度の「統一教会」との「癒着」となると、少し問題が複雑だと思います。それというのも、統一教会の指導者が「韓国がアダムで、日本はイブなのだから、日本が韓国に尽くすのが当然」とか「日本の天皇は、韓国国民の前で頭を垂れて隷従することを誓うべきだ」とか、本物の右翼が聞いたら「聞き捨てならぬ」とばかりに怒り出すような発言が山ほどあるのだから、通り一遍の「点検」だの「反省」だので片付くような安易な「問題」ではないわけで、それだけに自民党としてはあまり深みにはまらないうちに、「話を終わりにする」ことだけを考えているものと思われます。最早まともな「浄化機能」を失った政党は、この先どこまで辻褄を合わせてやって行けるのか、それとも自滅するのか、早めに「結論」を見届けたいものでございます。
2023年08月29日
ジャニー喜多川の性暴力問題やその他の人権問題について調査のため来日した国連人権理事会の記者会見や、それに対する日本社会の「反応」について、東京新聞記者の望月衣塑子記者が今月発売の月刊「創」に、次のように書いている; とうとう国連の調査にまで発展したジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題。国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が来日し、日本政府や企業関係者らと面談するなかで、性被害を訴える元ジャニーズJr・(ジュニア)のメンバーからも聞き取りをした。 聞き取りは被害者で元ジュニアの平本淳也さん(57)が6月に、英文の意見書を国連に送ったことで実現した。平本さんは意見書のなかで、ジャニーズ事務所や政府、マスコミが長期にわたって問題を放置してきたことが「人権侵害に当たる」と指摘。今年3月に英BBCがドキュメンタリーを放映後、カウアン・オカモトさん(27)ら元ジュニアの証言が相次いだにもかかわらず、問題への対応が不十分であることも批判していた。 「ジヤニーズ性加害問題当事者の会」を立ち上げ、7月に会見を開いた平本さんは、「加担や隠蔽(いんぺい)もあった。ジャニー氏が死去したのに、その状態が続くことは我慢ならない」と怒りをあらわにした。重い指摘だ。「何をいまさら」と批判を受けるのは重々承知だが、オカモトさんが日本外国特派員協会で会見した4月以降、私は被害を告白した元ジュニアへの取材を重ねてきた。 被害者は何をされたのかも理解できない10代の少年、加害者は事務所のボスで芸能界の大物。ジヤニー氏への恩も感謝の気持ちもある。そんな板挟みのなか、親にも被害を打ち明けられず、ずっと苦しんできたことが伝わってきた。 彼らがいま向き合っているのは、心の一番奥にずっと閉じ込めてきた、傷つき、恐怖で震えたままの少年時代の自分だ。人生の歩みを進めるため、暗闇でひとり泣き続ける幼い自分に手を差し伸べ、救い出そうとしている-。彼らの言葉から、そう思えた。 一方、彼らへの批判や中傷は続いている。驚いたのは芸能界の旧態依然とした感覚だ。タレントのデヴィ夫人(83)はツイッターで「昨今の流れは偉大なジャニー氏の慰霊に対する冒涜(ぼうとく)、日本の恥」「ジヤニー氏が亡くなってから、我も我もと被害を訴える人が出てきた。本当に嫌な思いをしたのなら、その時なぜすぐに訴えない」などとツイードした。 これは「セカンドレイプ」だ。何から何まで間違っている。すぐに被害を訴えられない状況をつくってきたのはジャニーズ事務所であり、メディアと芸能界だ。それこそ日本の恥だ。 オカモトさんは、デヴィ夫人のツイートに「ジヤニーさんの功績が全部消えるわけではありません。ただいくら愛していてもまだ性について何も理解できていない子供に対して性的な行為を行うのは極めて卑怯(ひきょう)です」「その出来事は簡単に打ち明けられるものではありません。もし勇気を振り絞って言ったとしてもあなたのような人に否定されるからです」と冷静に反論した。どちらが正論か、火を見るよりも明らかだ。 もう一人、占い感覚を露呈した人物がシンガー・ソングライターの山下達郎氏(70)だ。山下氏の所属事務所「スマイルカンパニー」と音楽プロデューサーの松尾潔氏(55)が6月末で業務委託契約を解除。松尾氏はこれに先立ち、ラジオで「メディア、広告業界、芸能界だけでなく、みんながこの問題を直視しない限り、性加害や性暴力はなくならない」などと言及していた。この発言が問題視されたとみられ、山下氏も自身のラジオ番組で「松尾氏がジヤニー氏の性加害問題に対し臆測に基づく一方的な批判をしたことが契約終了の一因だった」と認めた。 松尾氏の発言は単なる「解決に向けた提案」だ。だが、山下氏はラジオで「才能あるタレントを輩出したジャニーさんの功績に対する尊敬の念は今も変わらない。人生で一番大切なことは、ご縁とご恩」とかばった。一方で「作品に罪はなく、タレントも同様。私は性加害を擁護しているのではない」と述べた。その理屈だと、ジャニー氏も業績とは切り離して、性加害は批判されるべきだ。 ところが、山下氏は「私の姿勢を『忖度(そんたく)』『長いものに巻かれている』と、解釈されるのであれば、それでも構わない。そういう方々には私の音楽は不要だろう」と続けた。おや? 音楽に罪はないのに、なぜファンを突き放すのか。「ジャニー氏批判罪」で松尾氏との契約解除に同意したことからも明らかだが、山下氏のホンネは「作品(業績)と人物評価は切り離せない」ということだ。 逆説的だが、それは真実だ。もはやジャニー氏の功績は「性加害者」の汚名と一体だ。日本以上に、性暴行に厳しい海外ではなおさら批判を浴びるだろう。少なくとも「ジャニーズ」という名称の存続は絶望的だ。所属タレントとファンを守るため、解体的な出直しを余儀なくされる。 最近、ジャニーズ事務所のタレントの退所が相次いでいる。報道によれば、事務所の古いしきたりを避け、ネットを活用した世界展開を見据えているという。すべての芸能事務所とメディア関係者はこの問題を契機に、人権意識やファンサービス、所属タレントの処遇について意識を変えねばならない。タレントの人権や尊厳を傷つけて成立するビジネスなど、あってはならない。月刊「創」 2023年9月号 52ページ 「望月衣塑子の『現場発』-性加害問題 その後」から引用 普段テレビを見ることのない私には、山下達郎のみならずデヴィ夫人までがジャニー喜多川をかばう発言をしているとは驚きである。普段から、普通の人とはズレた発言で「笑い」を取るのが芸風のデヴィ夫人であるが、真面目な発言でも「世界の人権感覚」からすると数百年も遅れた「人権感覚」で、何から何まで間違っている。山下達郎の発言の「矛盾」も、この記事が解説している通りであり、ジャニーズ事務所は自前の「第三者委員会」が報告書を出した暁には、創業者の不祥事を理由に一旦事務所を解散して、新しい名前の組織として再出発するのが「人倫にかなう道」というものではないかと思います。しかし、これは下手をすると、ジャニー事務所は「日本の恥」とも言われかねない旧態依然とした「勢力」を頼って今の体制のまま生き延びようとしないとも限らない。その場合は、国会で「職場の優位な地位を利用した性暴力」というものも「犯罪」であると「刑法」に書き加えて、同様の「犯罪」を防止する必要が出てくると思います。
2023年08月28日
卒業を目前にした高校生や大学生に対し、自衛隊から就職を勧誘するDMが届く問題について、9日の東京新聞は次のように報道している; 自治体から自衛隊へ、若者の個人情報の提供が拡大している。進路を選ぶ年齢の住民に突然ダイレクトメール(DM)が届き、あたかも戦時中の「赤紙」を連想させるという声も。背景にあるのは、深刻な自衛官のなり手不足だ。政府はさまざまな対策を打ち出しているが、根本的な原因はどこにあるのか。戦後78年の終戦記念日を前に、教訓を考えた。(山田祐一郎、安藤恭子) 「平和な日本で在り続ける為に」「自衛隊という選択肢」 7月上旬、東京都内の会社員女性宅に届いた高校3年生の長男(17)宛てのDM。防衛省と書かれた封筒を開けると、そんな言葉が書かれたチラシが入っていた。「進学先としての防衛大であればそういう選択肢もあるかとも思えるが、『自衛隊』と書かれると、抵抗を感じた」と女性は話す。 DMは全国の自衛隊地方協力本部が、高校を卒業する18歳や、大学を卒業する22歳に向けて送ったものだ。自衛隊法では、都道府県知事や市町村長が自衛官の募集事務の一部を行うと規定しており、DMを送るための「氏名」「生年月日」「性別」「住所」の個人情報を、全国の多くの市区町村が自衛隊側に紙や電子媒体で名簿提供している。 従来は、多くの自治体が住民基本台帳の閲覧や書き写しを認める形にとどめていた。大きく転換したきっかけは、2019年2月、安倍晋三首相(当時)が自民党大会で「都道府県の6割以上が新規隊員募集への協力を拒否している」と述べたこと。政府は20年12月、「市区町村長が住民基本台帳の一部の写しの提供が可能であることを明確化する」ことを閣議決定し、翌年2月に防衛省と総務省が各自治体に提出が問題ないことを通知した。 防衛省によると、18年度は紙と電子媒体による名簿提供が全1741自治体中683自治体だったのに対し、22年度は1068自治体に増加。これに対し閲覧は、894自治体から534自治体に減少した。名簿提供が39%から61%に増え、逆転したことになる。 「安倍元首相が自治体をやり玉に挙げたことで一気に名簿提供が拡大した」と話すのは、市民団体「改憲・戦争阻止!大行進川崎」事務局の上田豊さん。7月に川崎市に対し、名簿提供の中止を申し入れた。「まさに自治体による戦争協力」と市の対応を批判する上田さん。「戦時中に自治体職員が住民に赤紙を持って行ったのと同じ構図だ」と指摘する。 「こちら特報部」は8日午後、東京都練馬区と埼玉県朝霞、和光、新座市にまたがる陸上自衛隊自衛隊朝霞駐屯地の周辺を訪ねた。陸自広報センターがある朝霞門近くには「自衛官募集」の大きな看板と、「全国統一夏季採用広報キャンペーン実施中」の横断幕が掲げられていた。 30代と40代の息子がいる朝霞市内の女性(60)は「子どもが学生の時は募集のチラシが送られてきていたし、電話でも勧誘があった」と振り返る。学生はDMが届いたら、自衛隊への就職を考えるのか。和光市駅から出てきた大学1年の男性(18)は「考えたこともなかった。国を守ることも大事だと思うけど、命を危険にさらすのは嫌だ」と話した。 前出の、DMを受け取った女性は「人を殺傷することを前提とした訓練をさせるために息子を育ててきたわけではない。一方で経済的な事情で選ばざるを得ない若者もいるので複雑だ」と心境を明かした。2023年8月9日 東京新聞朝刊 11版 20ページ 「高校・大学卒業前 なぜ届く 自衛隊勧誘DM」から引用 安倍晋三が誰に吹き込まれて「自衛隊の新規募集に協力を拒否する自治体がある」などと言い出したのか、その辺を詳しく調べれば、日本を戦前体制に戻そうとしている「元凶」を突き止めることができるはずで、東京新聞には、その方面の調査報道を期待したいと思います。2019年に安倍政権が変な閣議決定をするまでは、全国どの自治体も求人活動については、民間企業にも自衛隊にも公平に「コピーしたいのなら、自分で」というルールで対応し、企業も自衛隊もそれぞれに担当者を役所に派遣して、必要な書き写し作業をしていたのであって、安倍晋三が言ったような「新規募集に協力することを拒否」していたのではなかった、というのが「事実」です。それを、「自治体首長が住民票をコピーして自衛隊に提供しても、問題ではない」などという変な「閣議決定」をすると、まるで「自衛隊に住民票のコピーを差し出さない自治体」は「自衛隊に非協力的な自治体」というレッテルを貼られて、地方交付金などで差別される危険があるというふうに、自治体側に「圧力」をかけることができる。安倍晋三という政治家は、こういう「人の弱み」につけ込むことが得意な政治家で、さすがは親子三代に渡ってカルト団体と付き合ってきただけはある政治家でした。しかし、私たちはそのような「社会を邪な方向に引っ張る勢力」の暗躍を阻止し、平和憲法に基づいた明るい社会の構築に向けて努力を積み上げていきたいと思います。
2023年08月27日
この度、日本の人権状況を調査するために来日した「国連ビジネスと人権作業部会」が予定の行動を終了し、記者会見を開いたことについて、文芸評論家の斎藤美奈子氏は9日の東京新聞コラムに、次のように書いている; はじめて日本を公式訪問していた「国連ビジネスと人権の作業部会」のメンバー2人が12日間の調査を終え、4日、記者会見を開いた。 ジャニーズ事務所の性加害問題については「同社のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と明言。これは予想以上に踏み込んだ見解だったといえるだろう。 とはいえ、彼らの訪日調査の目的はジャニーズ問題だけだったわけではない。4日に発表された声明を読むと、会談の相手は、政府、省庁、自治体の関係者から大手企業や大手銀行、民間団体、人権活動家、ジャーナリスト、労働者まで、驚くほど多岐にわたる。 その上で、彼らが「リスクにさらされている集団」としてあげたのは、女性、LGBTQ+、障害者、先住民族、被差別部落、労働組合。また福島第一原発事故の被災者や原発労働者、技能実習生、朝鮮人・中国人差別への言及もあり、日本がいかに人権後進国だったかを思い知らされる。 リスクにさらされた集団に対する不平等と差別の構造を完全に解体することが緊急に必要です。日本に独立したNHRI(国家人権機関)の設置を求めます。-これが声明の結語である。ボールは日本政府に向かって投げられたのだ。ジャニーズ問題は重要だけど、それだけで済むと思わないでね。(文芸評論家)2023年8月9日 東京新聞朝刊 11版 21ページ 「本音のコラム-ジャニーズ以外も」から引用 ジャニーズ事務所は発足から今日までに何百人の芸能人を雇用して芸能界を支配する大企業にのし上がったのか知らないが、数週間前に来日した「国連ビジネスと人権作業部会」のメンバー2名が、少し調査しただけでも「ジャニー喜多川の性暴力の被害にあった青少年は数百人いる」という事実が確認された。ジャニー喜多川が存命中に彼の性暴力事件を報道した「週刊文春」は、名誉毀損で訴えられても、裁判所は「(文春の報道内容は事実だから)名誉毀損とは認められない」との判決を出して、ジャニー喜多川の性暴力は「実際にあったことだ」と裁判所が認定しても、日本では新聞もテレビもそのことを問題として取り上げることなく、やり過ごしてきたことが問題です。社会の自浄作用をリードするべきメディアが、このような状態であれば、後は政府が公権力によって必要な法整備を実施して行くほかないというのが、現在の日本の実情というわけです。
2023年08月26日
ジャニーズ事務所の性加害問題を始め、様々な人権問題が山積する日本人社会を実態調査のため訪れた国連人権理事会の担当者が、この度予定された調査を終えて記者会見に臨んだと、6日の神奈川新聞が報道している; 初の訪日調査を終えた国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会の専門家が5日までに共同通信のインタビューに応じた。政治学者のピチャモン・イェオファントン氏は「性暴力やハラスメントを不問にする日本の文化は、社会に深く根付いた不公平なジェンダー規範や社会規範と結びついている」と指摘した。 取材に応じたのは、各国で企業活動による人権侵害を調査し、対処を促してきたピチャモン氏と、作業部会の議長を務めるダミロラ・オラウィ氏。オラウィ氏は、日本の女性の賃金の低さや企業幹部に占める女性の割合の低さを「憂慮すべき傾向だ」と述べた。 両氏は、滞在中にさまざまな分野のハラスメント被害者から話を聞いたという。被害の多くは子どもたちや女性、性的少数者などで、周縁に追いやられ、注意を払われにくい状態にあることに起因する例が多いと説明した。 注目の集まったジャニーズ事務所の性加害問題について、ピチャモン氏は、加害者とされるジャニー喜多川氏(2019年死去)だけの問題ではなく「エンターテインメント産業に深く根差した問題だ」と言明。同事務所と取引関係にあるテレビ局など関連企業も、人権侵害を防ぐ観点で対処する必要性があると提起した。 オラウィ氏は、被害を訴える当事者による「深刻な人権侵害の申し立て」がなされながら、長年にわたってその訴えに光が当たってこなかったことを問題視。ピチャモン氏は「全ての被害者が声を上げる権利があり、その声は聞かれるべき価値があると信じている」とした上で「私たちは今回の訪問が、被害者の体験に光を当てる一助となることを願っている」と語った。2023年8月6日 神奈川新聞朝刊 18ページ 「不公平な規範 根深い」から引用 この度国連から調査のため来日した担当者は、ジャニーズ事務所の性加害問題について「ジャニー喜多川氏だけの問題としないで、同事務所と取引関係にあるテレビ局など関連企業も、人権侵害を防ぐ観点で対処する必要がある」と、オブラートにくるんだような表現であるが、実際のところはどのテレビ局もジャニーズ事務所に対して「ああしろ、こうしろ」などとは言えなくて、下手にそっぽを向かれると番組制作に便宜を図ってもらえなくなるという「心配」があるわけで、実はそこがジャニー喜多川の「狙い目」でもあったわけで、この問題はそんな「穏やかな」解決策を求めるよりは、悪事の実態を世間の目に晒して、然るべき制裁を科すという厳しい対応が必要だと思います。
2023年08月25日
現職の公安警察官が法廷で、自分たちが業務の一環として「事件」をねつ造したことを認めるという前代未聞の不祥事につて、6日の「しんぶん赤旗」は、次のように報道している; 「裡造(ねつそう)ですね」。捜査を担当した警視庁公安部警部補の異例の証言に東京地裁の法廷はどよめきました。現職警官が自ら携わった事件を法廷で「裡造」と認めたからです。事件を当初から取材してきたジャーナリストの青木理(おさむ)さんは、背景には経済安全保障をめぐる国策があったと指摘します。(田中倫央記者) 無実の罪を「握造」されたのは、大川原化工機(横浜市)。ドラマ「下町ロケット」の「佃製作所」のような日本の技術力を支える、従業員約90人の中小企業です。 同社は乾燥機器メーカーの子会社として1980年創立。インスタント食品や健康食品、医薬品やセラミック加工などに使える噴霧乾燥機(液体を乾燥し粉末にする装置)を開発しました。国内シェアは70%を占め、東アジア・欧米に販路を広げました。しかし・・・ 軍事転用可能な機器を無許可輸出したとして2020年3月、警視庁公安部が外為法(外国為替及び外国貿易法)違反容疑で社長ら3人を逮捕(5月に再逮捕)。東京地検が起訴しました。同地検は初公判直前の21年7月、異例の起訴取り消しを申し立てました。 社長らは21年9月、「違法な捜査で精神的苦痛を受けた」として、国と東京都に約5億7千万円の国家賠償請求訴訟を起こし、東京地裁で警視庁公安部警部補の証人尋問が行われました。◆勾留で治療妨害元専務死去 青木さんはいいます。「同社が生物兵器製造にも『転用可能』な噴霧乾燥機を、戦略物資の輸出管理を担う経済産業省の許可なく中国と韓国に不正輸出したという公安警察の主張には、全く根拠がない。同社は経営理念に『平和で健康的な社会づくりに貢献する』ことを掲げ、経産省の輸出規制強化にも全面的に協力していた。海外の全顧客からは『兵器転用をしない』との宣誓書まで取っていた」 実際、この噴霧乾燥機は経産省の輸出規制の対象外。それまでにも中国、韓国を含む世界各国に40台以上輸出されていました。 しかし警視庁公安部は中国への輸出で20年3月、同社の社長と海外営業担当役員、技術者の元専務の3人を逮捕(韓国への輸出で同5月に再逮捕)。社長と役員は21年2月まで11カ月間も勾留されました。 元専務は勾留中の20年9月に体調を崩し、悪性の胃がんと診断されました。しかし東京地検は保釈を妨害。弁護団が申し立てた勾留の一時執行停止が認められて病院に搬送されたのは、体調悪化から1ヵ月半後でした。元専務は手術どころか抗がん剤治療さえ耐えられないほどに衰弱。入院から3ヵ月後の21年2月に息を引き取りました。72歳でした。 青木さんは「もはやこれは国家による殺人に等しい」と強調します。青木さんの取材に元専務の遺族は「もし捕まっていなければ、もっと早く治療を受けられていれば、全く違った結果になっていたかもしれない。悔いと怒りは絶対に消えない」と話しました。 外為法事件での逮捕・起訴。初公判に向け弁護団が当初、重要な証拠の一つと考えていたのが、警視庁公安部が捜査段階で経産省と重ねた折衝のメモ。経産省側は不正輸出に当たらないと説明していたのではないか-。 弁護団は公判前整理手続きで裁判長の協力も得て、ようやく東京地検にメモの開示を約束させました。同地検は開示期限当日の21年7月30日に突然、起訴取り消しを申し立て、裁判は終結しました。 東京地裁は21年12月7日、3氏に刑事補償金を支払うことを決定。決定文は「(そのまま審理が続けられていれば)いずれも無罪の判決を受けるべきものと認められる充分な事由があると認められる」としています。 社長と営業担当の役員、元専務の遺族は21年9月、国と東京都を相手に国賠訴訟を起こし、今年6月30日、東京地裁の証人尋問で、冒頭の警視庁公安部警部補が証言。7月5日の証人尋問では経産省の元担当者が、同社の噴霧乾燥機が規制対象外であることを警視庁に「何度も伝えた」と証言しました。◆背景に「経済安全保障」推進 青木さんは、捏造の背景には「経済安全保障」の国策があるとみています。 「冷戦終結で、『反共』のための左翼取り締まりという戦後公安警察の”存在意義”が根底から揺らぎました。オウム真理教事件では、捜査が後手に回り、厳しく批判された。公安は既得権益を守るため、テロ対策を理由に外事部門を拡充し、政権中枢との関係を密接にしていった」 第2次安倍政権は官僚トップの官房副長官、国家安全保障局長などのポストに、警察の公安出身者を重用。特定秘密保護法、盗聴法、共謀罪などの治安立法を次々と強行していきました。 中国と覇権を争う米国に追随するために政権が持ち出してきたのが「経済安全保障」。岸田政権は22年5月、経済と科学技術を軍事に組み込み、政府や捜査当局の企業活動への介入を強める経済安保法を成立させました。 この動きと軌を一にするように警視庁公安部が「捏造」したのが、外為法事件。21年版「警察白書」には、経済安保分野での取り締まり強化の典型例として掲載しました。(今年7月6日に削除) 青木さんは強調します。「今回の事件は、強権的国家体制づくりが進行する中で起きたある種の『国策捜査』だ。政権が『経済安保』という旗を振ったことで、公安警察が『捏造』ともいえるむちゃくちゃな捜査をしたのではないか」2023年8月6日 「しんぶん赤旗」 日曜版 7ページ 「『ねつ造だった』公安警察官が証言」から引用 この記事でも触れているように、公安警察というのは「海外の共産主義勢力と結託して暴力革命を画策する勢力が存在する」という「空想」に基づいて設置された警察組織で、ソ連でスターリンが失脚した後は「世界に革命を広めよう」などと画策する勢力はなくなったにも関わらず、時々は馬鹿げた「事件」を起こしては組織の存在意義をアピールするような真似をして、その割にはオウム真理教のようなテロ事件が起きても何の役にも立たなかったというお粗末な組織である。こういう組織が安倍政権下で「経済安全保障」などというまことしやかな理屈をこねて、特定秘密保護法、盗聴法、共謀罪などの治安立法を次々と強行できたのは、一重に「ウソつき同士」の親和性がもたらしたもので、これからの政権は「安倍ウソつき政権」が残した「負の遺産」を一つ一つ潰していくのが「日本再生への道」であることを自覚し、先ずは真っ先に「公安警察の廃止」に取り組むべきだと思います。
2023年08月24日
日本維新の会代表が共産党について「日本からなくなったほうがいい政党」と暴言を吐いたことを、メディアはどう報道したか、弁護士の白神優理子氏は6日の「しんぶん赤旗」に、次のように書いている; 日本維新の会・馬場伸幸代表の「共産党は日本からなくなったらいい政党」(7月23日)との暴言を、メディアはどう伝えたのでしょうか。 社説で取り上げたのは信濃毎日新聞(同28日付)です。「馬場氏は番組で、共産は『世の中にあり得ない空想の世界をつくっている』と、存在否定の理由らしきものを口にした。軍拡と防衛費増大に反対し、憲法の堅持や平和外交を訴え、福祉や医療、教育を重視する共産の政策を指しているのか・・・公党の存在意義をないがしろにした馬場氏の発言は、現政権の政治を良しとせず、票を託した有権者をもおとしめている」「立場の異なる意見をくむ党の意義を否定したのでは、民主主義を踏みにじるに等しい」と指摘します。 日刊スポーツのコラム(同26日付)は共産党の百年史を紹介。「2010年に地域政党として生まれた党の代表が党勢拡大の勢いで共産党を『日本からいなくなったらいい政党』と言い放ったが、この歴史と存在を否定する権利はない」といいます。 他方、「産経」(同27日付)は、「現実的な安保政策対『お花畑』という従来の与野党関係を終わらせる」という維新幹部の発言を紹介、便乗して野党攻撃をする始末。「読売」(同27日付)は、「泥仕合」と揶揄(やゆ)しています。 秀逸なのは「東京」(同29日付)のコラム。漫画「ドラえもん」で、のび太が、ひみつ道具「どくさいスイッチ」を使い、シャイアンやスネ夫を消し、最後には人々を消して1人きりになります。コラムは「まわりがうるさいってことは、楽しいね」というのび太の反省の言葉を紹介、「馬場代表、よかったらお貸しする」と締めくくります。 政党を支持者丸ごと「なくなったらいい」と否定することはまさに「独裁」の思想。民主主義を壊す発言を許さない態度がメディアに求められます。(しらが・ゆりこ=弁護士)2023年8月6日 「しんぶん赤旗」 日曜版 31ページ 「メディアをよむ-存在を否定 独裁の思想」から引用 維新の会の政治家が何かと共産党を敵視して、ことあるごとにイチャモンを付けるのは、維新の政治家の目から見ても、共産党の「軍拡と防衛費増大に反対し、憲法の堅持や平和外交の推進、福祉や医療、教育の重視」等々の、生活のあらゆる分野の政策が充実しているのに比べて、自分たち維新の会にはこれといった目玉政策もなく、ただただ自民党へのゴマすり活動のパフォーマンスをするだけしか能が無いことを、日頃から痛感していることがあげられると思います。こういう政党が、これから心を入れ替えて真面目に勉強して、真に国民に必要な政策を打ち出していくなど、あり得ないことだということを、有権者は見抜いて、今後の投票活動を考える必要があると思います。
2023年08月23日
最近公開された映画「夢みる校長先生」について、現代教育行政研究会代表の前川喜平氏は6日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 教育の最も重要な目的は、自分の心で感じ、自分の頭で考え、自分の意志で行動する、自由な人間を育てることだ。自由な人間を育てる自由な学校は自由な校長の下で実現する。そんな自由な校長が公立学校にもこれだけいる。それがわかるのがオオタヴィン監督の映画「夢みる校長先生」だ。 文科省は法令や通知を矢継ぎ早に繰り出して、学校現場をがんじからめにしている。……というのは嘘ではないが、実際の現場の自由度はかなり高い。「通知表を作れ」「宿題を出せ」「校則を決めろ」「定期テストを行え」「校長室を設けろ」そんな法令は存在しない。これらはすべて学校の判断でやめられる。それを実際にやったのがこの映画に登場する校長たちだ。子どもの学びを第一に考えた結果、彼らは古い常識から脱却し、新しい学校文化を創造した。 小中学生の不登校は最近10年で倍増した。病気による長期欠席も5割以上増えたが、その多くはうつ病などの精神疾患だとみられる。病んでいるのは、本当は子どもではなく学校なのではないか。夢みる校長たちは、学校を元気にした。元気な学校は楽しい学校だ。 心配なのは、元気になった学校が、校長の交代とともに昔に戻ってしまうことだ。新しい学校の在り方を見せてくれるこの映画は、そんなバックラッシュを乗り越える勇気もくれるだろう。(現代教育行政研究会代表)2023年8月6日 東京新聞朝刊 11版 21ページ 「本音のコラム-映画『夢みる校長先生』」から引用 短いコラム記事なので、あまり詳細な説明は字数的に無理もあるのかも知れないが、どのような映画なのか良く知らない私は「オオタヴィン監督」との記述をみて「どこの外国から来た人だろう」と思ったのでしたが、ネットで検索するとこれが日本生まれのれっきとした「日本人」であることが分かって驚いた。それにしても、「通知表を作れ」とか「定期テストを行なえ」などと規定した法律など存在しないという指摘にも驚かされた。そうであれば、戦後80年弱の教育活動の中では、もっと早くから「教育改革」への取組みが実施されても良かったはずなのに、そこはやはり、あまり先走ったことをして「出る杭は打たれる」状態になることを、多くの教育従事者は恐れて、周囲とあまり変わらないように、変に目立つようなことはなるべく避けて、無難な「道」を選択してきたということなのかも知れない。しかし、教育実習で学校の現場を訪れた大学生が、現場のあまりの多忙さに度肝を抜かれて、教員になることを断念して民間企業に就職するという時代になっているのだから、現場で働いている先生たちは、もっと危機感を持って「労働環境の改善」に取り組むべきだと思います。
2023年08月22日
資本主義本国のアメリカでは、極少数の「資本家」が巨万の富を独占して社会を「支配」し、搾取された労働者階級は極貧の生活を強いられているが、そのような苦境に対し、ハリウッドの映画産業で搾取され続けている労働者たちが終にストライキ闘争に立ち上がったことについて、文筆家の師岡カリーマ氏は5日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 正当な(生きられる)報酬や保障を求めるハリウッドの俳優・脚本家のストライキは、対岸の私たちにとっても他人事(ひとごと)ではない。映画やドラマの制作大手のある重役は、組合員側の貯金が底をつき、家賃も払えなくなるまで交渉を遅らせるなどと発言しているらしい。 この露骨な姑息(こそく)さが全てを物語る。作品の収益が、実際に創造的な仕事で貢献した人々には還元されない雇用形態が既に不公正だが、未来はさらに暗いかもしれない。巨額の報酬を得るスターの陰でカツカツの生活を強いられる俳優の顔をスキャンして数万円相当で買い取り、人工知能で加工し使い回して人件費を減らす。本来はヌードを承諾しない俳優の顔を使って全裸シーンも作れる。もはや執筆料だけでは安すぎて家族を養えなくなったという脚本家たちもこれまでの仕事を人工知能の学習に使われた上で仕事を奪われるという不安は膨らむばかりだ。 当たってもポシャってもべらぼうな報酬を貪(むさぼ)る重役らが、たとえ下積み時代は苦労しても映画の仕事がしたい、と頑張る人々の夢を買い叩(たた)き、あわよくば人工知能でもっと人件費を削って儲(もう)けを増やそうとするのは、非倫理的というしかない。人を雑巾のように使えば薄っぺらな作品しか生まれず、結局は文化も知性も衰退していくのではないか。「新しい技術が創造性を育む」との主張も空虚に響く。(文筆家)2023年8月5日 東京新聞朝刊 11版 23ページ 「本音のコラム-ハリウッドのスト」から引用 アメリカという国は、表向き民主主義を標榜しておりながら、実は「思想の自由」を認めないどころか、「政府組織のあらゆる分野に共産主義者が潜んでいる」などとデマを煽り立てて、少しでもリベラルな発言をする者を社会から追放する「赤狩り」を1950年代にやらかした国である。そういう「過去」を抱えた国だから、今さら「労働者の権利」を主張する闘いを構築していくのは、かなりの「困難」を伴うのではないかと心配されるが、しかし、資本家階級に支配されたアメリカ政府が労働者救済に動くとは考えられず、労働者階級は自らの生存を賭けて自力で闘い、将来への展望を切り開いていくしか「道」はないと思います。
2023年08月21日

今年の春闘の結果、連合の団体交渉に応じた各社がどのような回答をしたのか、経団連が集計してその結果を報告したことを、5日の東京新聞は次のように報道している; 経団連が4日発表した2023年春闘の最終集計によると、大手企業の定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は3・99%、引き上げ額は1万3362円で、およそ30年ぶりの高い水準となった。2023年8月5日 東京新聞朝刊 12版 7ページ 「大手企業賃上げ 3.99%」から引用 日頃から自民党と財界のちょうちん記事を書くことを生業にしている日本のメディア界において、比較的良心的な「真実の報道」を心掛けているように思える東京新聞が、ある日の朝刊のトップ記事に、上に引用した「おためごかし」記事を堂々と掲載したことに、私はびっくり仰天してしまった。もし連合が獲得した「結果」が「平均物価上昇率が2・5~3・0%のときに、ベースアップが3・99%」というのであれば、これは「連合の大勝利」という意味で紙面のトップを飾る意味もあると言えますが、食料品その他生活必需品が軒並み10%を越える上昇率の環境下で3・99%のベアというのは、正に「焼け石に水」を絵に描いたようなもので、生活改善のために立ち上がった「連合」の闘いは敗北したのが「現実」であるが、当該記事はその「現実」を読者に伝えているとは言い難く、元労働者の一人としてこの記事には大きな違和感を禁じ得ません。
2023年08月20日
日本の人権を巡る社会の状況を調査しに来日した国連人権理事会のメンバーが、この度一連の調査を終えて記者会見に臨んだと、5日の毎日新聞が報道している; ジャニーズ事務所の前社長、ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題を巡り、実態調査のため来日していた国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の専門家2人が4日、日本記者クラブ(東京)で記者会見した。作業部会のピチャモン・イエオパントン氏は「ジャニーズ事務所のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と述べ、「日本政府が主な義務を担う主体として捜査と救済方法の確保をすべきだ」と強調した。 会見には、イエオパントン氏と、作業部会のダミロラ・オラウィ議長が出席し、外国人技能実習制度や性的少数者など、日本のさまざまな人権課題を報告。日本のメディアとエンターテインメント業界に関して「心の痛む問題について調査を行った」と言及した。「この業界の搾取的な労働条件は、労働法による保護やハラスメントの明確な法的定義の欠如と相まって、性的な暴力やハラスメントを不問にする文化を作り出している」と指摘した。 ジャニーズ性加害問題では、被害を訴える当事者数人に面会したと説明。「数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになったほか、日本のメディア企業は数十年にわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられている」とメディアの責任も厳しく追及した。また、被害者を「数百人」と見積もったのは事前調査と、滞在中の面会で得た情報に基づくとしたが、詳細は明らかにしなかった。 一方、ジャニーズ事務所の代表にも面会したと明かしたが、藤島ジュリー景子社長が対応したかは「さらなる情報は提供できない」とした。「告発に対してどのような措置がとられ、それが正当で効率的かを知りたかった」とのみ説明した。 さらに、ジャニーズ事務所が設置した「再発防止特別チーム」による調査は「透明性と正当性に疑念が残る」と批判。「心のケア相談窓口」も対応が不十分な可能性があるとした。 作業部会は7月24日~8月4日、国連が定める「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、日本政府と企業が人権上の義務と責任にどのように取り組んでいるか調査。政府や国会議員、自治体の関係者や市民団体、企業の担当者などと会談した。今回の調査内容を踏まえ、来年6月、報告書を国連人権理事会に提出する。【伊藤遥、平本絢子】2023年8月5日 毎日新聞朝刊 13版 1ページ 「性的搾取 数百人」から引用ジャニー喜多川による性的暴行は、彼の死後に名乗り出た被害者の中に70歳を越える男性高齢者も含まれており、かなりの長い年月にわたって芸能事務所の「社長」の立場を利用して、相手に有無を言わせずに性こういを強いる極めて悪質な行為であったと言う他ありません。著名な作曲家の二男でもある高齢の被害者は、被害に遭ったのはまだ小学生の時で、自分の身に何が起きたのか理解も出来ずに家族の前で「被害」を受けた話をすると「そんな気持ちの悪い話をするものではありません」と、母親からきつく叱責されて「他人に言ってはいけないことなのか」と思い込まされた、と告白している。社会も、メディアも、性にまつわるスキャンダルは見て見ぬふりをして、芸能界の「実力者」として祭り上げるという、このような「社会の在り方」を、私たちは「反省」しなければならないと思います。そして、ジャニー喜多川の一件にはしっかりした「けじめ」をつけて、今後の我々の社会では、このようなことは二度と許さないという「姿勢」をはっきりと示す必要があると思います。
2023年08月19日
私たちが過去の戦争を振り返って考えるときの言葉遣いについて、毎日新聞専門記者の栗原俊雄氏は5日の同紙に次のように書いている; 安倍晋三元首相が銃撃され亡くなってから1年が過ぎた。私が間近で肉声を聞いたのは2015年3月10日、東京都慰霊堂(墨田区)で開かれた「春季慰霊大法要」であった。70年前の同日、東京大空襲の犠牲者らを追悼するものだ。 現役首相として初めて参列した安倍氏は追悼の辞で述べた。「戦災によって命を落とされた方々の尊い犠牲の上に、今、われわれが享受する平和と繁栄があります。(中略)度重なる国難を乗り越えてきた先人たちにならい、私たちも明日を生きる世代のために手をたずさえ前を向いて歩むことを誓います」。この「尊い犠牲の上に……」の文言は、「3・10」に限らず戦争被害者の追悼式でしばしば耳にする。聴く者に「その通りだ」と思わせる説得力があるのは否定できない。 * * 第2次世界大戦に関連する日本のメディアの戦争報道は、8月に集中する。米軍による8月6日の広島原爆投下、9日の長崎原爆とソ連の参戦。15日の「玉音放送」と節目が続く。お盆の時期と重なっていることもあるのだろう。「8月ジャーナリズム」といわれるゆえんだ。 私は20年近く、戦争にまつわる取材と報道を一年中やっている。16年春、私が書いた「季節外れ」のシベリア抑留に関する記事が大きな扱いで載った。同僚が「栗原は常夏」と言ったが、それ以来「常夏記者」を名乗っている。「3・10」の法要には毎年、記事化の予定がなくても参列する。戦没者が眠る沖縄、サイパンやシベリア、旧満州(現中国東北部)などで手を合わせてきた。硫黄島(東京都小笠原村)では、身元の分からない無数の遺骨を収容した。戦没者を悼む気持ちは人後に落ちないと思っている。 しかし、「尊い犠牲の上に……」という文言は使わないようにしている。「英霊」という言葉も同じだ。 戦争は自然災害ではない。誰かの作為や不作為によって起きる人災である。「当時の政治家を選んだ国民にも責任がある」という主張をしばしば聞くが、大日本帝国では、国民が選ぶことができる国会議員は衆院議員だけで、選挙権は長く一定の納税額がある25歳以上の男性に限られた。1925年、納税規定が撤廃されたが、女性の選挙権は認められなかった。有権者は全人口の20・8%でしかなかった。 そんな制限選挙の末、選ばれた政党の党首が首相になるのは困難だった。32年の5・15事件で立憲政友会の犬養毅首相が殺された後、45年の敗戦まで11人が首相になったが、うち8人が軍人だった。他3人は貴族院議長などを務めた近衛文麿と官僚系政治家の平沼騏一郎、外交官の広田弘毅。選挙で選ばれた首相はいない。対米開戦時の東条内閣に衆院議員は1人もいなかった。 大日本帝国の戦争で被害を受けた多くの民間人は、為政者たちが決めた戦争という国策に、間接的にさえ関わることができなかったのだ。 陸軍は対米強硬派が多かった。しかし、昭和陸軍史研究の第一人者である川田稔名古屋大名誉教授の近著「武藤章 昭和陸軍最後の戦略家」(文春新書)に詳しいが、その陸軍首脳もアメリカに勝つのは不可能だと分かっていた。では、なぜ戦争を始めたのか。同盟国ドイツがイギリスを屈服させれば、アメリカは戦争継続の意思を失い講和に持ち込めるといった大甘の見通しがあった。もともとは日独伊三国同盟にソ連を組み入れて四国「連合」でアメリカに対抗する戦略だった。ところがドイツがソ連との戦争を始め、その構想は瓦解した。であれば、せめて独ソ戦開始時点で対米戦略を練り直すべきだったのだ。 しかし、為政者たちは新しい選択肢から目をそらした。幾十もの間違いが戦争につながったのだ(為政者のめちゃくちゃな「終戦構想」を批判するどころか、政府の広報紙と化した新聞の誤りもそれに含まれる)。さらに45年、日本の主要都市が米軍の爆撃で廃虚と化し、敗戦必至となっても「国体護持」にこだわって戦争を長引かせ、被害を増大させた。 * * 「尊い……」や「英霊」を用いる歴史観は死者全体に意識がいくものの、「誰の」もしくは「どの団体の」どんな判断ミスで出口なき戦争に突き進んだのかという史実が後景に退き、責任が見えにくくなる。加えて、現代の「平和と繁栄」を強調すると、戦後80年近くたっても未解決の戦後補償問題(たとえば民間人空襲被害者)が多数あり、戦争被害が続いていることが伝わらない。そうした懸念が、私にはある。 戦争で命を落とさなければ、戦後復興や発展に寄与した人たちが大勢いるはず。どうしてそんな戦争をしてしまったのか。被害はどれくらい残されているのか。どうしたら過ちを繰り返さないのか。8月15日が、そうしたことを考える日になればと今年も思う。(専門記者)2023年8月5日 毎日新聞朝刊 13版 9ページ 「現代をみる-『英霊』という言葉が隠すこと」から引用 私はこの記事の主張に賛成である。戦争で死んだ者を「英霊」などという言葉でおだてるのは、彼を戦地に送った当時の為政者の責任を誤魔化す効果を発揮して今日まできていることを、私たちは見逃してはならないと思います。また、記事でも触れているように、「当時の為政者を選んだ国民にも責任がある」などというまことしやかな言説も時折見聞するが、それは真実とは異なる話であり、国民の上層部に巣くう者どもが甘い見通しの下で無謀な侵略戦争を起こして、国民に命令して近隣諸国の市民を殺害したものだった。そういう諸々の「犯罪行為」を覆い隠して誤魔化すのが、「英霊」だの「愛国心」だの「貴い犠牲」だのという「言葉」なのだ。そのようなウソや誤魔化しに満ちた言葉を一切廃した上で、あの戦争が誰によってどのように進められたのかを、私たちは再認識して、二度と戦争をしないためには何をしなければならないのか、考えるべきなのだと思います。
2023年08月18日
看護師のなり手が不足の日本では、だいぶ前からフィリピン人の看護師を受け入れており今ではその数が600人以上になっているが、昨今は募集をかけても人が集まらなくなったと看護師の宮子あずさ氏が7月31日の東京新聞コラムに書いている; 低賃金を理由に看護師の3分の1が海外に出るというフィリピン。日本でもすでに600人以上が働いているが、来日希望者は激減。希望者を募る現地面接会に、17人しか集まらず、関係者の間に衝撃が走っている。 この国の賃金が他の先進国に比べて安いのは、看護師も同様である。加えてこの円安。外国から人が来るどころか、日本人看護師すら、海外を目指す時代になっている。 すでにネットには、オーストラリアで月収80万円を稼ぐ若い看護師の声がある。年収にすれば、税込みで約1千万円程度。日本国内でこれだけ稼ぐ看護職は、ごく限られている。 看護職は、介護、保育に比べればまだ高賃金と言ってよい。しかし、総じて人をケアする仕事の賃金は安い。男性職員が増えても、女性が無償で担ってきた歴史がいまだに尾を引いている。ジェンダーギャップ指数が先進国最低の日本。このツケは、賃金の問題にも表れている。 言うまでもなく、低賃金と長時間労働は、離職の最も大きな原因となる。そこを改善せずに、外国人労働者に頼る愚を、いつまでこの国は続けるのだろうか。 折しも最低賃金を全国平均で時給千円超とする目安が示された。ケアする仕事の賃金もそれに応じて上がらなければならない。このままでは国内の看護師も海外に流出していくだろう。(看護師)2023年7月31日 東京新聞朝刊 11版 17ページ 「本音のコラム-看護師の海外流出」から引用 我々が大学を出て就職した70年代は、人手を確保する手段としてどの企業も「他社よりも高い給料を提示する」という手段を講じるのが常識で、応募するこちらも自分の実力に相応した企業を選んで面接に行くというのが一般的であった。しかし、昨今はどうも給料はどの企業も横並びで大差はなく、他社より早く内定を出して人員を確保するという手段を使うようで、企業の業績が良くてもそれが直ちに人件費に反映するわけではないという変な「常識」が横行しているように思われます。まして、看護師や保育士、介護士ともなると一般の営利企業とはまったく様相が異なり、人件費は低く抑えるのが「経営の常識」のような雰囲気を感じます。これでは、有能な人材が海外に流出するのは無理もない話で、これではマズイという「危機感」が日本人には必要だと思います。
2023年08月17日
自分の妻の前夫が不審死した事件を捜査する警察に対し、官房副長官の地位を利用して警察に圧力をかけて「事件性はない」ことにした木原誠二官房副長官のスキャンダルについて、現代教育行政研究会代表の前川喜平氏は7月30日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 木原誠二官房副長官の妻の前夫が2006年に不審死した。当初自殺として処理した警察は、12年後に改めて捜査を行った。その経緯をめぐって「文春砲」が炸裂(さくれつ)している。最新号には、木原夫人を任意聴取した元刑事・佐藤誠氏の詳細な証言が載っている。13日に露木警察庁長官が前夫の死に「事件性はない」と発言したことが「頭にきた」ため、知っていることを全部話すことにしたのだそうだ。 佐藤氏の証言は、さながらよくできたサスペンスドラマのように展開する。しかし捜査は、上司から突然「明日で全て終わりだ」と宣告されて中止になる。何らかの力が働いたとしか思えない。 週刊文春は、木原氏が捜査員に対し「クビ飛ばせるぞ」と発言したり、「国会が開くまでに終わらせろ」と捜査に期限を区切ったり、妻に対して「俺が手を回しておいたから心配すんな」と言ったりしたとして、この問題を「木原事件」と呼んでいる。 自殺か他殺か。他殺なら犯人は誰か。そういう興味はおのずから湧くが、事の重大性はそこにはない。問われるべきは警察の「不偏不党」「公平中正」(警察法2条2項)だ。もし何らかの圧力または忖度(そんたく)により意図的に犯罪が見逃されたのだとすれば、それは法治国家にあるまじきことだ。この事件はさらに注視する必要かある。(現代教育行政研究会代表)2023年7月30日 東京新聞朝刊 11版 17ページ 「本音のコラム-『木原事件』」から引用 この記事の末尾で筆者が書いているように、ことの本質は、警察の「不偏不党」「公平中正」が適切に守られているかという問題である。そして、残念なことに日本の警察は法治国家の警察としてはあるまじき組織に成り下がってしまっていることは、今回の「事件」のみならず、国民の記憶に新しい所では安倍晋三の友人であった山口敬之という自称ジャーナリストが就職相談に来た女性に睡眠薬入りの酒を飲ませて人事不省の状態にしてホテルに担ぎ込みごう姦したのであったが、現場の警察官の努力で証拠を集めて、いざ逮捕状執行という段になって、安倍晋三にゴマすることしか考えてなかった中村某という警察官僚が地位を利用して現場に圧力をかけて「逮捕取りやめ」にしたという事件があった。ことほど左様に、ゴマすり官僚がはびこり権力のいいなりに行動する組織に成り下がった警察といい、諸悪の始まりは安倍晋三政権であった。こういう者が死んだからといって「国葬」にしたのは、わが国憲政の一大汚点であったと言うほかはない。
2023年08月16日
本年6月28日に東京高等裁判所は、被差別部落の地名リストをウェブサイトに公開したり出版したりすることは「出身地によって人を差別する違法行為に当たる」との理由で、ウェブサイトの削除と出版禁止を言い渡す画期的な判決を出したのであったが、その報告集会が7月29日に川崎市で開かれ、翌日の東京新聞は次のように報道している; 全国の被差別部落の地名リストを販売しようとし、ウェブサイトに公開した川崎市多摩区の出版社「示現舎」に対し、出版差し止めと損害賠償を命じた東京高裁判決の報告集会が29日、同市川崎区の市労連会館で開かれた。部落解放同盟の中央本部と県連合会の主催で約150人が参加。「差別されない権利」を認めた画期的な判決の意義を確認し、反差別条例、差別禁止法の制定といった人権を守るためのさらなる闘いを見据えた。 6月28日の判決は憲法13条(個人の尊重)と14条(平等原則)を根拠に「人は誰しも不当な差別を受けることなく、人間の尊厳を保ちつつ平穏な生活を送ることができる人格的な利益を有する」として、地名リスト公表はこの利益を損害すると明示した。 原告側弁護団の指宿昭一弁護士は「はっきり差別されない権利とまでは言っていないが、差し止めという強い効果を認めている。単なる利益ではなく権利を認めたと読み込める」と解説。「判決は、嫌悪感や偏見に基づく排除や攻撃、それを助長する行為を許されない差別としており、それを受けない権利が認められたと言っていい。ヘイトスピーチなどさまざまな差別との闘いに使える概念だ」と語った。 県連合会の根本信一委員長は、差別されない権利を「全ての人」に押し広げる必要があると強調した。 相模原市では、外国ルーツに対するヘイトスピーチに刑事罰を科す川崎市条例から規制対象を被差別部落出身者や性的マイノリティーに拡大した条例をつくるよう答申が出されている。 「画期的な条例ができるよう要請を続ける。罰則条例が反差別運動の大きな力になる。県や横浜市、その他の市町村と、さまざまな人と共闘して実現していきたい」と話した。 中央本部の赤井隆史書記長も「判決を成果として訴え条例を積み上げ、包括的な差別禁止法の制定を目指していきたい」。訴訟は原告被告双方が控訴したため最高裁に移るが、被告の宮部龍彦氏らがインターネット上に公開した各地の被差別部落をさらす動画を削除するための裁判も準備しているという。(石橋学)2023年7月30日 神奈川新聞朝刊 22ページ 「画期的判決の意義確認」から引用 日本は人権意識という点ではかなり世界の標準から立ち後れており、様々な問題について国連人権委員会からも何度も勧告を受けている。にも関わらず、自民党政府は国連勧告をまともに取り合おうとせず、官房長官などは「法的拘束力はない」などと言って「だから、無視していれば良いんだ」と言わんばかりの態度であることは、大変残念なことです。この記事の登場人物が言うように、今回のような判決を成果として訴え条例を積み上げて、包括的な差別禁止法の制定を目指していきたいと思います。
2023年08月15日
戦時中の日本軍が主に朝鮮半島で半ば強制的に若い女性をかり集めて「慰安婦」と称する性奴隷にしていたことを、日本政府が公式に認めて謝罪した「河野談話」が発表されて30年目となった今年8月4日の東京新聞は、「河野談話」に示された「約束」を誠実に実行していない日本の現状を批判する有識者の発言を、次のように報道している; 慰安婦問題への旧日本軍の関与を認め、おわびと反省の気持ちを表した「河野談話」の発表から4日で30年。内容を裏付ける学術研究は進み、歴代政権は継承を明言する。だが、慰安婦に対する強制的な扱いに疑問を挟み、国の責任を棚上げするような主張が、自民党や保守層を中心に根強く残る。調査を続ける専門家は「女性を傷つけたという事実の否定は許されない」と語り、当時約束した研究、教育の強化を求める。(森田真奈子) 河野談話は1993年、宮沢喜一内閣の河野洋平官房長官が発表した。軍の広範な関わりと、慰安婦の募集や移送などが「甘言、強圧によるなど総じて本人たちの意思に反して行われた」と認め、「多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」と明記。強制連行についても、河野氏は記者会見で認識を問われ、過去にあったということで「結構」と答えている。 松野博一官房長官は3日の会見で、河野談話を巡る政府の姿勢を「全体として継承している」と説明した。この30年で16の政権が生まれたが、談話は一貫して引き継がれている。 ただ、見直しを図ろうとする動きは収まっていない。大きなきっかけになったのは2007年、安倍晋三首相(当時)による「官憲が人さらいのごとく連れて行く、強制性はなかった」という国会答弁。保守層は勢いづき、第2次安倍政権下では自民党の検討委員会が14年、朝日新聞による関連記事の一部取り消しを受けて「強制連行の事実や性的虐待は否定された」と決議した。民間でも「慰安婦は新聞による捏造(ねつぞう)」などの言説が広く流された。 長く慰安婦問題を研究する関東学院大の林博史教授(現代史)は「逃げられない環境で性的行為を強いられたことが問題で、『連行時の暴力がなければ強制でない』ということになるはずがない」と苦言を呈す。 談話発表後、国立公文書館などで保存されていた500点以上の資料が見つかり、慰安所が軍の公式施設だったことを示す「野戦酒保規程」の存在も判明した。元慰安婦が原告の訴訟でも、1999年に東京地裁が「殴る蹴るなどの制裁を加えられ、軍人の相手を続けざるを得なかった」と認定するなど、談話を補強する事実は積み上かっている。 林氏は、談話で「歴史研究や教育を通じて永く記憶にとどめる」としながら、実態が伴っていないことを問題視。教科書の記述も大きく減り、「約束が全く守られていない」と憤る。 談話発表から30年がたち、慰安婦問題の風化の懸念は強い。林氏は「経済格差や権力格差を利用した性売買は、現代でも続いている。人権侵害を起こさない社会にするため、教育や研究を国がしていくべきだ」と訴えた。◆用語解説 <河野談話> 1991年8月に韓国で元慰安婦の女性が初めて名乗り出た後、日本政府は91年12月から関係資料236点の調査や、元慰安婦や元軍人、慰安所経営者らに聞き取りを行った。調査の結果として93年8月、当時の河野洋平宣房長官が談話を発表。慰安所の設置や管理、慰安婦の移送に軍が関与したことや、慰安所での生活が強制的な状況下での痛ましいものだったことなどを認め、おわびと反省を表明した。◆国内外関連公文書1700点、民間団体がネットで公開 民間団体「女たちの戦争と平和資料館(wam)」(東京都新宿区)は4日から、河野談話発表30年に合わせ、政府が談話に向けて調べた公文書や、発表後に見つかった国内外の公文書の計約1700点を閲覧できるインターネットのサイトを開設する。 公開されるのは、旧日本軍による慰安所の設置や経営に関する記録、米軍側の記録、戦後の戦犯裁判資料などの公文書や画像。発見の経緯や関連論文などの情報も盛り込んだ。省庁別や慰安所のあった地域などの分類から、見たい文書を検索できる機能もある。 wamの渡辺美奈さんは「文書は日本軍の性暴力がアジア太平洋に広く存在したことを示している。軍が慰安所を設置し、組織的に管理や運営をしていた事実は消せない」と話した。(森田真奈子)2023年8月4日 東京新聞朝刊 12版 3ページ 「女性傷つけた事実 否定許されない」から引用 河野談話が発表された後で、「慰安婦問題なんて無かったのだ」とか「朝日新聞のでっち上げだ」などと言って世の中を混乱させたのは、主に安倍晋三と中川昭一であった。韓国のメディアが元慰安婦に取材して公開した情報では、当人が慰安婦となった動機をそれぞれで「稼ぎの良い働き口がある」という諫言に騙されて行った先が「軍隊の慰安所」だった例とか、夜中に役場の人が訪ねてきたので外に出て見ると、その役人の後にはどう猛な軍用犬を連れた軍人がいて、断ることが出来ずにそのまま慰安所に連行された、というような事例が多数ありました。ところが、安倍晋三が「でたらめだ」という「根拠」は「日本の軍人が、朝鮮半島で民間人の家に土足で上がり込んで、武器をちらつかせて脅して、いやがる若い女性を強制的に連行したという事例を記録した公文書は存在しない」などという極端な「事例」を自らでっち上げて、そういうことを記録した文書は存在しないから、慰安婦問題はでっち上げなのだ、という理屈で、まるでヤクザの言い掛かりのような理屈でした。しかし、ことの真相は上の記事が説明しているとおりであり、日本がこのまま世界史の中に没落していくだけならいいかも知れませんが、かつてのように先進国の一角を占める立場になるためには、河野談話の誠実な実行が必要になると思います。
2023年08月14日
防衛省が「敵基地攻撃能力」などと言う憲法違反の物騒な文言を防衛白書に書き入れたことについて、7月29日の毎日新聞は次のように報道している;◆国民の議論 材料少なく 「3文書策定後、初めての白書だ。我が国の防衛に対する国民の皆様の理解の一助になればと考えている」 浜田靖一防衛相は28日の記者会見で白書を掲げながら、こう強調した。 相手国のミサイル拠点などをたたく反撃能力を保有し、2027年度の防衛費を関連費と合わせて国内総生産(GDP)比2%まで倍増させ、5年間の総額を43兆円に引き上げる-。岸田文雄首相はこうした方針を「日本の安全保障政策の大転換」と誇示し、中国や北朝鮮を意識した厳しい安全保障環境への対応を急ピッチで進めた。 一方で、その中身の説明姿勢には「不誠実」との批判がつきまとってきた。先の通常国会では、反撃能力と専守防衛との整合性をはじめ、反撃能力行使の具体例やタイミング、米軍との役割分担のあり方などさまざまな論点が提示されたが、首相は「個別具体的に判断する」などと説明を避ける場面が目立った。 白書は反撃能力の解説に1ページを割き、浜田氏は「必要な記載に努めた」と強調した。ただ、能力行使の具体例としては、従来の説明通り弾道ミサイル攻撃しか例示しなかった。相手の攻撃着手の認定を誤れば、先制攻撃とみなされる恐れもある上、攻撃対象次第では相手国との「報復合戦」に発展しかねないが、「国際法の順守を前提とした上で、ミサイル攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の措置の対象を個別具体的な状況に照らして判断していく」との説明にとどまっだ。 政府は、日本が直接攻撃を受けていない「存立危機事態」でも、集団的自衛権行使の一環として反撃能力を発動する選択肢を排除していない。米軍に「矛」としての打撃力を頼り、自衛隊は「盾」として守りに徹する従来の日米の役割分担についても、首相は3月1日の参院予算委員会で「今後は米国の打撃力に完全に依存するということではなくなり、日米が協力して対処していくことになる」と答弁し、役割分担が変化しうることを示唆した。 これは万が一、台湾有事が発生し、米中が戦火を交えることになった場合、日本が米国への集団的自衛権を発動し、反撃能力で中国本土の軍事拠点や艦船などを攻撃することも理屈上は可能になったことを意味する。自衛隊が米軍の攻撃体系に必然的に組み込まれ、米国の戦闘に巻き込まれるリスクも懸念される。政府は「手足を縛られたくない」として具体的な説明を避けるが、その分、政府が開示する情報を基に国民が安全保障のあるべき姿を議論する機会は遠のいている。 防衛費と関連予算を合わせて27年度にGDP比2%を確保する目標を巡っても、研究開発など関連予算にあたる項目についての記載は白書にはほとんどなかった。法人税などの増税時期を事実上25年以降に先送りした防衛費増の財源の仕組みの説明もなく、白書が目的とする「国民の理解」を得られるかは不透明だ。 一方で実際の運用に向けた準備は進む。防衛省は6月までに、陸上自衛隊の地上発射型ミサイル「12式地対艦誘導弾」の射程を1000キロ超に伸ばす改良型や、潜水艦から発射可能な長射程の対艦誘導弾の開発などの契約8件を民間企業と結び、反撃能力になりうる装備の確保に着手した。 防衛省幹部は「白書の最大の使命は記録を後世に残すこと。これまでの説明を集積したものなので、それを超える説明はできない。ただ、『解説』の内容を拡充するなど、やりようはあったかもしれない」と話した。◆人材難危機感あらわ 防衛力強化に伴い、自衛隊員の処遇改善や人員確保が喫緊の課題となっている。浜田靖一防衛相も白書巻頭に寄せたあいさつ文で「どれだけ高度な装備品をそろえたところで、それを扱う『人』がいなければ防衛力は発揮できない」と言及し、スピード感を持って課題解決に取り組む姿勢を示した。 背景の一つには組織内で相次ぐハラスメントの問題がある。元陸上自衛隊員の五ノ井里奈さんが実名で性被害を告発し、自衛隊の体質が大きく問われる事態となった。被害申告を受けた浜田氏は2022年9月、ハラスメント事案としては初めての特別防衛監察を防衛省・自衛隊全組織を対象に実施すると発表。2ヵ月半の間に現役隊員や退職者らから、ハラスメント被害などの申告が1414件も寄せられた。五ノ井さんの性被害を巡っては懲戒免職5人を含む計9人を処分したが、その後も幹部自衛官によるパワハラの処分などが続いている。 そのため、今年の白書は「ハラスメントを一切許容しない組織環境の構築」と題した「節」を新設。五ノ井さんの実名を伏せつつ、こうした経緯を紹介し、「ハラスメントは、自衛隊員相互の信頼関係を失墜させ組織の根幹を揺るがす、決してあってはならないもの」と根絶に向けた決意を示した。防衛省幹部は「血税をもとに防衛費は増額される。国民からより厳しい目で見られることをもっと自覚しなければいけない」と危機感をあらわにした。 そもそも自衛隊は少子化のあおりを受け、慢性的な「定員割れ」が続いている。定員割れとは、法律上の定員数に実際の隊員数が満たない状態のことで、23年3月末時点で定員24・7万人に対し、隊員数は約22・8万人。約1・9万人の隔たりがある中で必要な体制の維持や、人員確保を進めなければならない。ただ、社会全体の労働需給逼迫もあり、主に高卒者が占める自衛官候補生の22年度の採用が、計画に対して初めて5割を切る見通しとなるなど状況は厳しい。 防衛省は今年2月、人的基盤の強化に関する有識者検討会を設置。7月にまとめた報告書では、理工系の大学・大学院生が卒業後に自衛隊員になることを条件に学費(月5万4000円)を貸与する「貸費学生制度」の対象拡大や、有事を想定した給与・手当の見直しなど「隊員のライフサイクル全般における活躍に効果的な政策」を掲げた。だが、報告書が「魔法のような特効薬があるわけではない」と認めている通り、短期的な成果は期待できないのが実情だ。【源馬のぞみ】2023年7月29日 毎日新聞朝刊 13版 2ページ 「反撃能力例示 弾道弾のみ」から引用 政府は防衛白書に今までに無い勇ましい言葉を書き入れたにも関わらず、反撃能力と専守防衛との整合性をどう考えるのかとか、反撃能力行使の具体例やタイミングをどう判断していくのかなど、野党からの問いかけに対し、政府が「個別具体的に判断して行動することになるので、今ここで『こうする』とは言えない」というような誤魔化し答弁に終始したことを、この記事では「不誠実」などと言ってるが、それは「誠意」の有る無しの問題ではなく、アメリカ政府の圧力に屈して自らの「白書」に「敵基地攻撃能力」と書き込んで見たものの、アメリカの「要求」がこの先どこまで拡大するものなのか、まだ読めないので、「今の時点では、まだ詳細を言えない」というところが「本音」なのだと思います。しかし、私たちの日本は「交戦権を放棄」して、国際間の紛争については話し合いで解決すると憲法に書き込んだのですから、今後の国際社会においても「初心」を貫き通す姿勢を表明することのほうが重要だと思います。
2023年08月13日
主権者である国民には何の説明もなく、国会で議論したわけでもない「敵基地攻撃能力」を、防衛官僚が勝手に「白書」に記載したことについて、7月29日の東京新聞は次のように報道している; 浜田靖一防衛相は28日の閣議で、2023年版の防衛白書を報告した。昨年末に改定した国家安全保障戦略に盛り込んだ敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を初めて明記。能力保有につながる長射程ミサイルの必要性を強調した。ただ、記載した定義では、どのような場面で能力を行使するのかは曖昧で、識者は「防衛費を倍増させるのだから国民の理解を得る説明をすべきだ」と求める。(川田篤志) ■併 記 白書では軍拡を進める中国や北朝鮮、ウクライナに侵攻するロシアを念頭に、日本は「戦後、最も厳しく複雑な安全保障環境」に直面していると分析。対抗するため敵基地攻撃能力の保有に加え、本年度からの5年間で43兆円を投じ、27年度までに防衛費を関連経費と合わせ倍増させる「従来とは全く異なる水準の予算規模」で防衛力を強化する方針を強調した。 敵基地攻撃能力に関しては、1ページ超を使って解説。中国や北朝鮮を念頭に、日本のミサイル防衛システムでは迎撃が困難とされる極超音速ミサイルの開発などを受け、保有の必要性を主張。自衛のための措置で、対象を軍事目標に限るなど憲法や国際法の範囲内で行使するとも説明した。 定義は2つを併記した。1つは「ミサイル防衛で飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からのさらなる武力攻撃を防ぐために、わが国から有効な反撃を加える能力」と説明。具体的な記述はないが、先に仕掛けてきた相手のミサイルの飛来を減らすため、発射基地などをたたくことを想定しているとみられる。 2つ目で、相手の武力攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限の措置として「相手の領域において反撃を加える能力」と位置づけた。こちらも直接の言及はないが、密接な関係にある米軍などが攻撃され、日本が他国を武力で守る集団的自衛権を行使するシナリオも含まれるとみられる。 ■複 雑 慶応大の神保謙教授(国際安全保障論)は取材に、2つの定義は「複雑でわかりにくい」と指摘。敵基地攻撃能力が国際法に反する先制攻撃に当たるという懸念を払拭しようと、第1の定義を強調したことにより、理解しにくくなっていると分析する。 第2の定義は台湾に軍事侵攻する中国に対し、米軍とともに自衛隊が参戦するシナリオも想定されると指摘。だが、長射程ミサイルで中国艦船をたたくのか、中国本土の飛行場なども攻撃するのかなど具体的な方針は曖昧で「中国による報復で不要なエスカレーションを招く恐れがある」と問題視する。 浜田防衛相は28日の記者会見で、説明が不十分ではないかとの問いに「保有の背景など必要な記載に努めた」と強調したが、神保氏は「運用はプロに任せろでは国民は納得しない」と疑問を投げかける。<用語解説-防衛白書> 防衛省が毎年刊行している報告書。日本の最新の防衛政策や基本方針、周辺国の軍事情勢について、「できる限り平易な形」で紹介し、多くの国民に理解してもらうことを目的に掲げる。1970年に初めて刊行し、76年から毎年発刊。2023年版は計510ページ。防衛省のホームページでも見ることができる。<2023年版防衛白書のポイント>◎ 中国は軍事力を急速に強化。国際秩序への「最大の戦略的な挑戦」。台湾との軍事バランスが中国側に急速に傾斜◎ 中国、ロシア両軍の日本周辺での共同活動は「重大な懸念」◎ 国家安全保障戦略など3文書を詳述。自衛隊の体制強化や27年度までの5年で約43兆円の防衛費の必要性を強調◎ 弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮は「一層重大かつ差し迫った脅威」。韓国とは関係改善が進んでいると評価2023年7月29日 東京新聞朝刊 12版 3ページ 「23年版防衛白書『敵基地攻撃能力』保有を初明記」から引用 私たち日本国民は、日本政府が軍隊を持つことを禁止し、日本政府が他国と交戦する権利を認めないということを憲法に明記しており、この憲法が無効とならない限り日本政府は敵であれ味方であれ、「基地」を攻撃することは認められません。唯一認められているのは、何処かの軍隊が不当にも攻めてきた場合にのみ「応戦して自国を守る権利がある」ということであり、これを称して「専守防衛」と言い、この「専守防衛」だけが「合憲」であるというのが、国民の合意事項となっている。近年、この国民的合意を無視して政府が「敵基地」がどうのこうのと言い出したのは、アメリカの軍需産業の要求を満たさなければならないというアメリカ政府の要望があるためで、日本政府が国民を代表する政府であれば、アメリカ政府の要求は「国民の同意を得ることは出来ない」と言って断るべきで、実際に朝鮮戦争やベトナム戦争のときの日本政府はアメリカの要望に対し、「憲法9条の手前、米軍を支援する活動には協力できません」と断ってきた「歴史」があります。岸田政権は、このような「歴史」に学んで、曲がりなりにも独立国の政府として、アメリカに対し毅然たる姿勢を示すべきです。
2023年08月12日
大幅な物価上昇に耐えうる賃金アップが期待された今年の春闘が、十分な結果を得ることなく終わったことについて、桜美林大学教授の藤田実氏は7月23日の「しんぶん赤旗」に、次のように書いている; 2022年から世界的に物価上昇が加速し、多くの国で労働者や貧困層を苦しめています。 長く物価が低迷していた日本でも大幅な物価上昇が続いています。22年12月は前年同月比4・0%、1月に4・3%と41年ぶりの上昇幅となりました。 今年の春闘では、生活防衛のためにも大幅な賃上げが期待されました。連合が7月に発表した定期昇給(定昇)分込みの賃上げは、加重平均で1万560円、3・58%増となりました。全労連などで結成している国民春闘共闘委員会の集計では、定昇を含めて6410円、2・25%増となりました。 歴史的な物価上昇を受けて大幅な賃上げが期待された春闘でしたが、物価上昇には追いつかない結果になりました。そのため、20年を100とする実質賃金指数は、5月(速報)も84・2にとどまり、22年4月以来連続して低下傾向が続いています。 パートタイム労働者の所定内賃金は、人手不足を反映して、今年の2月から3%を超える上昇を記録するようになりました。連合春闘でも、有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は、加重平均で時給52・78円、5・01%増と一般労働者を上回る結果となりました。 しかしパートタイム労働者の平均時給では1095円ですので、1日7時間、1ヵ月22日働いても、16万8千円程度であり、上昇した生計費をまかなう水準には達していません。 労働者・国民の生活困難を打開するには、持続的な賃上げが必要です。 政府や財界は持続的な賃上げのためには、労働市場改革で経済成長を実現する必要があるとしています。例えば、政府の「骨太方針」は、「三位一体の労働市場改革を通じた構造的賃上げの実現」を掲げています。 「三位一体の労働市場改革」とは「リ・スキリングによる能力向上支援」「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」「成長分野への労働移動の円滑化」です。 つまり、賃上げを実現したいならば、労働者は自己責任で企業が求める技能や能力を身につけ(リースキリング)、企業が定める職務等級と企業目標の達成度で評価される日本的な「職務給」を受け入れ、積極的に「成長産業」に移動しなさい、というものです。 こうなると賃上げは個人の能力次第ということになり、賃金が上がらないのは個人の責任だということになります。 財界は、これまでも賃上げは”日本経済の生産性上昇の範囲内”にとどめるという「生産性基準原理」に基づき、賃金を抑えてきました。 「三位一体の労働市場改革」が実現すれば、賃上げは”個人の生産性上昇の範囲内”とされ、ますます賃金を抑制できることになります。 賃金を抑制し続ければ、国内総生産の過半を占める個人消費が抑制されます。経済成長を目指すという「改革」が逆に、経済成長を阻害することになるのです。<ふじた・みのる 桜美林大学教授>2023年7月23日 「しんぶん赤旗」 日曜版 24ページ 「経済・これって何?-政府対策は個人任せ 成長も阻害」から引用 政府や財界が賃上げについて言うことの前提は「十分なパイがあれば、少しぐらいは多目に分けても良い」といった程度の認識です。そこで注意しなければならないのは、「パイが十分かどうか」の判断は経営者が考えるものであって、労働者に発言の権利がないということで、それは早い話、労働者は黙って働いていろ、ということであり、労働基準法の精神に反するものです。法律上は、経営者と労働者は対等な立場で賃金等の労働条件について話し合うこと、と規定されており、経営者がそれに応じない場合は労働者はストライキを打って自らの要求を通すことも法律で補償されているのですから、「失われた30年」と言われる長い間、経営者の言いなりになってきた労働者は、そろそろこの辺で「過去30年の労働運動は正しかったのか」という観点で総括を行ない、新しい時代の労働運動はどうあるべきかについて真剣な議論をする時期に差し掛かっているのではないかと思います。
2023年08月11日
神奈川県では数年前から川崎市に続いて相模原市でも「差別禁止条例」の制定を検討してきましたが、始めのうちは積極的な姿勢を示していた市長が途中から慎重な発言を繰り返すようになって、その後はどうなるのか危ぶまれる事態となりました。相模原市人権施策審議会が答申を出したのは一年前のことで、川崎市の条例と遜色の無い優れた内容の条例案であることを、本年7月23日の神奈川新聞は次のように書いています; あらゆる差別をなくし、共生社会を実現するため、相模原市人権施策審議会が人権条例について答申した「相模原モデル」は、障害当事者や有識者から高く評価する声が上がっている。ヘイトスピーチ問題に詳しい師岡康子弁護士は「答申を反映した条例が相模原市にできれば波及効果は大きく、全国へつながる大きな一歩となる」と語る。(構成・松島 佳子) 「相模原市人権尊重のまちづくり条例(仮称)」の制定に向け、市人権施策審議会が市に答申した内容は画期的で非常に優れています。何か優れているのか。順番にお話したいと思います。 1点目は、2016年7月に相模原市で起きた津久井やまゆり園事件を「ヘイトクライム(差別的な動機に基づく犯罪)」と位置付け、前文に明記するよう市に求めたことです。戦後最悪のヘイトクライムである津久井やまゆり園事件を法的に「ヘイトクライム」と認定することは大きな意義があり、日本の法制度上も初めてのことです。 事件当時、日本政府や首相からこのような発信はありませんでした。差別、優生思想に基づくヘイトクライムでありながら、刑事裁判ではそのような認定はされず、行政も公的に批判をしませんでした。答申がはっきりとヘイトクライムと明記し、「差別はなくさないといけない」という姿勢を示したことは非常に画期的です。◆大きな波及効果 2点目は、著しく悪質な差別的言動(ヘイトスピーチ)や犯罪扇動に対して「より強い厳しい措置を講ずる」として罰則規定を設けたことです。悪質な差別的言動を禁止し、勧告・命令を経ても止めない場合は公表対象とし、著しく悪質なものは秩序罰(過料)または行政刑罰(罰金など)を科すとしています。 悪質な差別的言動を禁止し罰則を科すことは本来、人種差別撤廃条約や自由権規約で求められている日本の国際人権法上の義務ですが、現在日本で規定しているのは川崎市の「差別のない人権尊重のまちづくり条例」のみとなっています。 川崎市では同条例制定後、罰則付き禁止条項に違反する言動はほぼなくなるという明確な成果が出ています。川崎市の条例以降で公的機関が罰則付き差別禁止条項を提案したのは初めてで、川崎市のように在日コリアンの集住地区がない相模原市でこのような条例が実現すれば、波及効果は大きく、全国につながる大きな一歩になります。 強調してお伝えしたいのは、差別を禁止するということは人を処罰することが目的なのではなく、「差別をしてはいけない、許されない」ということを社会の共通認識にすることです。差別を禁止する法律をつくることは社会を変える大きな力になり、被害者にとっては救済のきっかけになります。■国際基準に合致 答申が優れている3点目は救済対象を人種、民族、国籍だけでなく、障害、性自認、性的思考、出身を理由に差別を受けた被害者を含めたことです。津久井やまゆり園事件が起きた相模原市で障害を理由とする差別的言動を禁止し、著しく悪質なものについては罰則を科すということは非常に大きいと思います。 外国ルーツの人たちに対するヘイトスピーチやヘイトデモのようなものは現実社会では他の属性に対しては表れていませんが、インターネット上ではあふれています。 「殺処分でいいやん」「生産性のないやつは生きる価値なし」……。群馬県では特定の障害者に対してこのような書き込みがネット掲示板でなされ、裁判になっています。 悪質な差別的言動を禁止し罰則を科す法律や条例がないため、差別を止めるためには個人が裁判を起こすしか方法がないのです。法律や条例ができれば、国や地方自治体が差別を止めるために主体的に動くことができます。` 差別被害の拡大を防ぐという点で、答申が「差別事案が発生した場合、市長は速やかに非難声明を出す」としたことも大きな意義があります。首長など公的機関が明確に非難声明を出すことは、被害拡大を防ぐ抑止力になるからです。 津久井やまゆり園事件が報道されると、ネット上には「犯人は在日」といった差別デマがあふれました。しかし、首相や首長など公的機関は非難声明を出さず、デマは拡散され、在日コリアンの市民は「新たなヘイトクライムの被害者になるのでは」という恐怖にさらされました。 米ホワイトハウスが事件直後に事件を非難する声明を出したのに象徴されるように、欧米の多くの国では大統領や地方の首長が声明を出すことは当たり前となっています。 こうした仕組みを機能させるため、答申は第三者機関「相模原市人権委員会」の設置を提案しています。この点も重要です。 人権委員会はすでに世界の過半数の国に差別禁止法と共にセットで整備されています。答申が示す「人権委員会」も行政から一定の独立性を有した専門的な機関と言えます。 日本には人権機関がなく、国連人権関連機関から繰り返し設置を勧告され、今年1月の国連の普遍的定期的審査でも29力国から設置を勧告されています。相模原市の条例で設置が実現すれば、国を動かす大きな力になると思います。 答申に盛り込まれた内容はさまざまな国際人権機関からすでに要請されているものに応えるものです。国際的な基準を満たし、非常に正当な内容となっているのです。 答申を条例として実現することは相模原市にとっても勇気や決断がいることだと思います。しかし、それだけの価値があり、被害当事者を含めて、市民は強く支持していると思います。2023年7月23日 神奈川新聞朝刊 13ページ 「時代の正体-社会変える大きな力に」から引用 LGBTQの人々を露骨に差別して「隣の家にそういう人が住んでると想像しただけでもゾッとする」などと発言して首相周辺の官僚が更迭されたのは、今年の春のことだったと思いますが、つい最近も片山さつき議員がLGBTQについて「生理的な嫌悪を感じる。これはもう、論理ではないので、話し合って解決というレベルではないんです」という主旨の発言をして、自分の発言の「差別性」をまったく認識できていないことを露呈してました。いくらこっちが「気持ち悪い」と感じても、それはこっちを気持ち悪く思わせる相手に責任があるというものではない、という事が分かっていない人物が国会議員をしていることが「問題」だと思います。片山議員が「気持ち悪い人だ」と感じるその人でも、片山氏と同じようにこの社会に暮らし己の人生を謳歌する「権利」があるのは当然であり、「アタシを気持ち悪がらせるような人に『人権』など認められません」と言わんばかりの発言が、こともあろうに国会議員の口からでるとは、「言語道断」を絵に描いたような話だと思います。このような人権意識の遅れた日本社会に、相模原市人権施策審議会が答申した条例案は、一抹の光明をもたらす効果は絶大です。是非とも年内に条例化を実現してほしいと思います。
2023年08月10日
先月、神奈川県下で開催された「自主夜間中学」に参加して「座間味島、集団自決」について学習した現代教育行政研究会代表の前川喜平氏は、7月23日の東京新聞コラムに、次のような感想を書いている; 20日の自主夜間中学「あつぎえんぴつの会」で、神奈川県の公立中学校の元社会科教師、津田憲一さんから座間味島で起きた「集団自決」についての話を聞いた。 2007年に公表された高校日本史教科書の検定で、沖縄戦での「集団自決」について日本軍による「強制」などの表現が認められなかった。これに対して大規模な抗議運動が起きた。津田さんが08年10月に座間味島を訪れたのは、この問題がきっかけだった。 出会いの積み重ねの中で、津田さんは「集団自決」の真相を知る人たちの話を聞いていった。当時村の助役たった宮里盛秀さんが父の盛永さんに「軍からの命令で自決しなさいと言われている。一緒に死にましょう」と話したことを、妹の春子さん(当時18歳)とトキ子さん(当時13歳)ははっきり覚えていた。 津田さんはその後も沖縄で生存者からの聞き取りを重ね、その成果を何冊もの冊子にまとめた。何の後ろ盾もない1人の教師がこれだけ詳細な調査活動を続けてきたことには感嘆するばかりだ。 教師を退職した後は「語り部の伝え部」として活動を続け、日本の近代史や憲法について学ぶ「おとなの社会科教室」も開いているという。 授業の最後に津田さんは三線を弾いてくれた。沖縄の心に一歩でも近づこうとする真摯な思いが伝わってきた。(現代教育行政研究会代表)2023年7月23日 東京新聞朝刊 11版 21ページ 「本音のコラム-語り部の伝え部」から引用 本来であれば、教育活動は国家権力の介入を排し、教育活動に携わる者(つまり教員)は直接国民に責任を負って教育活動を行なうべきであり、行政は国民の教育活動を経済的側面で支援するだけで、教育内容に関与することは許してはならないはずのものです。従って、今は「教科書検定」などと言っていても、その本質は「教科書検閲」であり民主主義を奉じる憲法の精神とは相容れないものであり、将来的には廃止されて然るべきと思います。それにしても、一部右翼グループが「教科書に集団自決を書くな」と主張するならまだしも、中立を装う文部科学省が右翼グループみたいな主張で「教科書検閲」をするというのは、正にこれは「新しい戦前」と言うべきものではないかと思います。やはり、定期的に政権交代をして「空気の入れ換え」をしないと、日本政府は腐敗して戦前と同じ過ちを繰り返すことになるという危機感を、若い世代に理解してもらう必要があります。
2023年08月09日
時が経つに連れて戦争体験者が少なくなり、悲惨な体験の伝承が心細くなりつつある現代について、専修大学教授の山田健太氏は7月23日の東京新聞に、次のように書いている; 先の大戦を巡って毎年多くの追悼式・慰霊式が行われるが、このうち首相が参列し式辞を読む国家的行事が6月23日、8月6日、9日、15日にある。いずれも戦争の犠牲者をしのび、平和の思いを新たにするものだ。あいさつ文が定型的で気持ちがこもっていないなどの批判があろうとも、今日の日本社会における国のかたちの原点が第2次世界大戦の反省に立つことを表していることに間違いはなかろう。 開催地以外のテレビや新聞の報道は、式典の様子を淡々と伝える定例的なものともいえる。この1年半に遠い国での戦争報道が日常化したのに反比例するように身近なはずの戦争体験は希薄化し、加害や被害の歴史を伝える記事や番組が記念日報道や8月ジャーナリズムと揶揄(やゆ)され、報道現場でも疎まれる状況にある。 ◇ ◆ ◇ 戦争体験者が数少なくなり、伝承も非体験者から非体験者が当たり前になっている今、式典に対する関心も薄まっており、いつ公の主催でなくなるともわからない。あるいは積極的に戦争に関与する「普通の国」を目指す中で、あえて負の体験をクローズアップすることを嫌がる政治家が出てきてもおかしくない。実際、今年が100年を迎える関東大震災時の朝鮮人虐殺の事実さえも、歴史の上書きが現在進行形で進んでいる。大きなきっかけは、事件現場の首長である東京都知事が追悼文を送らないという不作為である。 さらにいえば、沖縄・広島・長崎に匹敵する10万人以上が犠牲となった東京大空襲の記憶と記録も、積極的な伝承の手当てをあえてしないことで、自然に消えていくことを待っているかのようだ。こうした「消極的な加担」が、声高な「積極的な扇動」により大きな力を与えている。 もちろん、流れにさおさすような動きばかりでなく抗(あらが)う力もある。戦争体験者の遺族から、譲り受けた遺品の寄贈が増えているという。一部の自治体や市民運動でも資料収集などが活発化しているし、広島の原爆ドームや資料館のような戦争遺跡やアーカイブスの存在は、記憶が常に呼び起こされ、伝承活動の起点にもなりやすい。 沖縄のひめゆり平和祈念資料館の説明員や、平和の礎(いしじ)での平和ガイドのように、体験者のインタビュー映像や残された具体的な言葉を忠実に紹介することで、人となりを追体験し惨劇を伝えることに成功している事例もある。筆者が勤める大学には正規授業で現地実習「沖縄ジャーナリズム論」があり、毎年、学生と一緒に話をうかがう機会を持っているが、若い世代に確実に言葉が紡がれていることをはた目で実感する。 ◇ ◆ ◇ 戦争体験も顔見知りが多いような狭い地域であるほど表に出づらい。沖縄でも日本軍への協力、慰安所の設置、集団自決の惨状など、口をつぐんできた事実を知る術(すべ)が日一日と少なくなっている。しかも、教育現場で近現代史は高校まで十分に扱われない上、受験科目でないと日本史の勉強もおろそかになりがちだ。 だからこそ教科書の一項目としてではなく、そこで失われた個々の命に思いをはせ、社会的、政治的背景も含めて多層的に学ぶ機会として、身近な戦争は格好な題材である。定型的な式典であっても、過去を見つめ現在を自覚し将来に生かすための貴重なきっかけとして、きちんと継承し報じていくことが大切だ。2023年7月23日 東京新聞朝刊 11版 5ページ 「時代を読む-遠い戦争 近い戦争」から引用 第2次大戦の末期に県民を巻き込んで地上戦を戦っていた沖縄の日本軍は、敗戦が決定的になった時に住民に集団自決するようにと命令して、一部県民は実際に自決したのであった。そのことを戦後、大江健三郎が岩波新書に書いたところ、その頃流行りだした「自由主義史観」を標榜するグループに唆された元日本軍将校が「自分はそんな命令を出したことはない」などと言い出して、著者と出版社を名誉毀損で訴えたのであったが、被告側弁護団が提出した資料を仔細に検討した大坂地裁は「原告が集団自決を命令したと被告が判断するのに十分な理由が存在するので、名誉を毀損したとは言えない」との判決を下し、高裁も一審判決を支持、最高裁は上告を却下という結末であった。朝日新聞記者であった本多勝一氏が、日本軍将兵2名が中国大陸で日本刀による「百人斬り競争」をしたことを、現地取材して本を出版したときも、山本七平ら日本軍の蛮行を認めたくないグループが、出版差し止めと謝罪を要求する裁判を起こしたのであったが、何しろ戦争中の日本の新聞が日本刀を持って「百人斬り」を自慢している大きな写真入りのトップ記事を掲載したという記録が法廷に出されて、これも原告敗訴となり、裁判の一部始終は本多氏が本にまとめている。このような裁判の結果を語り継いでいくことも、戦争を抑止する「力」になると思います。
2023年08月08日
70年代前半のフランスに人工妊娠中絶を合法化する法律を成立させた政治家、シモーヌ・ベイユについて、毎日新聞専門編集委員の伊藤智永氏は、7月22日の同紙に次のように書いている; フランス人女性のシモーヌ・ベイユといえば、日本では20世紀前半の思想家のことだ。哲学教師、工場労働者、スペイン内戦やレジスタンスの闘士を遍歴し、残された十数冊のノートが戦後、「重力と恩寵」と題して出版され、今も熱烈な愛読者がいる。 一方、多くのフランス人が同じ発音の姓名を聞いて思い浮かべるのは、20世紀後半の政治家である(ただし、「べ」のスペルは、思想家がW、政治家はV)。その不屈の生涯を描いた映画「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」が、28日から公開される。 1970年代前半、フランスの世論は人工妊娠中絶の合法化を巡り2分した。この時、司法官から保健相に抜てきされ、法案成立の陣頭に立つだのがベイユだ。 堕胎は当時犯罪だったが、闇で年間30万人が危険な違法手術を受けていた。カトリックの影響が強く、保守派が過半数を占めていた議会で、女性自身に決定権を与える法案をいかに通すか。 ベイユは哲学論争やフェミニズムの権利主張を避け、産んだ子を母として育てられるのかに論点を絞り、「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには女性に聞けば十分です」と説く。ついに反対派から「中絶には反対だが、法案は支持する」との発言を引き出し、採決で逆転勝利した。討論で強調した社会全体で育児を支える家族政策の主張が、約20年後の出生率回復につながったとも評価される。 「胎児大量虐殺はナチスと同じ」。心ない攻撃も受けた。ペイユは16歳でアウシュビッツに送られ、両親と兄をホロコースト(ユダヤ人大虐殺)で奪われている。収容所で「一人の人間の中には野獣と聖人が矛盾なく共存し得る」という絶望を刻みつけられたが、だからこそ人間の可能性を信じる覚悟も生涯揺るがなかった。 「偉大な女性」と呼ばれ、老若男女、右派左派を問わず広く愛されたのは、どんな問題も人間とは何かの基点に立ち戻って考えた骨太な政治家への畏敬(いけい)だろう。 直接選挙による欧州議会の初代議長に選出され、2017年に89歳で死去。国葬が営まれ、偉人が眠るパンテオンに5人目の女性として埋葬された。著名な妻を支え続けた夫も一緒に眠る。 日本では女性の政治進出の少なさが問題になっている。人数が増えるのに異論はないが、職業政治家が凡庸でない情熱・責任感・判断力を求められるのに男女の別はない。まず本物の政治家であること。その人が男性か女性かは、誰も問題にしない。(専門編集委員)2023年7月22日 毎日新聞朝刊 14版 2ページ 「土記-敬愛された女性政治家」から引用 70年代前半に「人工妊娠中絶の合法化」を巡って世論が2分されたとき、大統領が介入して政治力を発揮したりせずに、シモーヌ・ベイユを保健相に抜てきして徹底的に論議を尽くすというのは、さすがに民主主義の伝統の国だと思います。それにひき換え、日本では与党が意図した法案に対し、野党が追及しても言を左右にして「はぐらかし」「誤魔化し」質問時間が過ぎさえすれば、それで議論は打ち切り後は強行採決などという「茶番」を繰り返していれば、そんな議会からは社会を良くする法律など生まれるわけもなく、相変わらず富裕層が栄えて一般国民は困窮するという図式は変わらず、国力はずるずると減退するわけです。この度公開された映画「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」を、一人でも多くの若者に見てもらって、「日本は、このままではダメだ」という認識を持ってくれることを期待したいと思います。
2023年08月07日
近頃選挙の度に議席を殖やしている「維新の会」が、何故人々の支持を得ているのか、作家で市民運動家の雨宮処凛氏は7月21日の「週刊金曜日」に、次のように書いている; 原稿を書く時、人前で話す時、気をつけていることがある。それは「自分が今の仕事・立場ではなかったら」ということだ。ありえたもうひとつの人生を想定し、その人に伝わる言葉で、さらには反感を買わないようにということを心がけている。 そんな「もうひとつの人生」の私は何をしているのか。北海道の田舎出身の高卒である私は、そのまま地元にいた人生もありえたはずだ。そう思うと、頭に浮かぶのは結婚して子育てに奮闘している姿。結婚相手はと言えば、地元でメジャーなのは自衛隊員なので、「自衛隊の妻」となっていたかもしれない。そうなると、結婚相手がイラクに派遣されたりして突然「反戦」とかに目覚め、『週刊金曜日』に辿(たどり)り着く可能性もないわけではないが、確率は恐ろしく低いと思われる。では、もう一人の私は何を楽しみに生きているのだろう。そして選挙になると、どこに投票するのだろう。 そう考えて浮かぶのは、「政策とかはよくわかんないけど、ふわっと維新を支持してそう」ということだ。もう一人の私は、なんとなく入れるなら維新とか思ってそうな気がして仕方ないのだ。◆背景にある「経営者マインド」 さて、そんな維新について最近、「マガジン9」の連載で「なぜ維新なのかについてのロスジェネ的考察」という原稿を書いた(6月21日更新)。そうしたら、凄(すさ)まじい反響かあった(まだの方はぜひ検索を。ネットで全文読めます)。 書いたのは、以下のようなこと。 維新の会が人気だが、同世代のロスジェネにも支持者は多い。正社員層、非正規層関係なくだ。そんな人たちは、2005年の郵政選挙で小泉純一郎元首相を支持した層ともかぶっている。 そのような現象の背景にあるのは、ロスジェネのみならず、ゆとり世代、さとり世代、ミレニアル世代、Z世代に共通する「経営者マインド」ではないだろうか。 末端の労働者なのに、発想は経営者。たとえば自身が最低賃金で働いているのに、「時給を1500円にしろ」なんてデモを見ると「バイトの時給なんか上げたら企業が潰(つぶ)れる」「バイトがその額に見合った働きなどしない」などと口にする。 なぜそのようなことになるかと言えば、「自分がずっと労働者でい続けると思ってる人」=上昇志向がないダメ人間という価値観の社会で育ってきたからだ。ロスジェネとそれより若い世代にとって、労働組合や労働運動なんかよりも、「いつか一発逆転すること」の方がずっとずっとリアリティがあり、「善きこと」とされているのだ。 1975年生まれの私は、「やりたいこと」を見つけ、夢を追い、それを叶(かな)えることがもっとも善なる生き方であると刷り込まれてきた。義務教育を終える頃には「とにかく夢を持ち、それを叶えろ」という呪いに縛られ、「夢を叶えた成功者が一番偉い」という価値観にどっぷり浸(つか)かっていた。そのような人間は、決して権力批判などしなくなる。なぜなら、「成功しているように見える人」「力を持った人」を批判することは醜い嫉妬でしかなく、そんなことよりも彼ら彼女らを「目標」とする方が前向きでスマートとされているからだ。 そんなロスジェネ世代の成功者は、ホリエモン(ロスジェネより少し上だが)、ひろゆき氏、元ZOZO前澤友作氏など全員トリッキーな一発逆転系自己責任論者。 さて、「夢を叶える」ことが善とされる社会では、「夢追いフリーター」的な生き方も許容されるわけだが(ロスジェネはそのせいで就職氷河期による貧困や不安定雇用問題の発見が遅れた)、私も19歳から24歳まで「表現系」のことで食べていくことを目指す夢追いフリーターの一人だった。 そんな当時の自分にとって、「まだ夢が叶っていない」貧しい時期は「仮の姿」。これが過ぎたら忘れたい黒歴史だったからこそ、私はバイト先でひどい目に遭っても当事者意識は皆無だった。どうせこんなことすぐやめると思っていたからだ。 ちなみに私はフリーター時代、一度も投票に行っていない。が、どうしても行かなきゃならなかった場合、「為政者マインド」で投票しただろうと思う。今の自分の貧乏な生活をなんとかしてほしいなんて要求からは決して始まらず(なぜならそれは仮の姿なのだから)、天下国家を高みから熟考して自民党に入れた気がして仕方ない。その時の主体は今の惨めな自分ではなく、「未来の成功した自分」である。◆逆説にどう対抗するか さて、ここまで書いても「なぜ維新なのかわからない」という人もいるだろう。が、弱者を一切顧みなさそうなスタンスが「自分の頑張りをわかってくれそう」という飛躍を生んでいる可能性は十分にある。また、この国に住む人々は、みんな薄々、政治にずーっとDVを受けてる状態だと知っている。そんなことが長く続くと、優しいふりをした人に裏切られるより最初からひどいとわかってる人の方がまだマシという防衛本能が働く。そして維新は、「どうせ世の中も人間もロクなもんじゃない」ということを体現している。 結局、今の日本は理想を語る人が嘘つきの詐欺師にしか見えず、意地悪そうな人が「現実をわかっているリアリスト」と支持を集める。そんな逆説にどうしたら対抗できるのかー。 こんなことを書いたら「むっちゃわかる!!」と怒涛(どとう)の共感の声が寄せられた。 さて、あなたはどう思っただろうか。ちなみに維新を支持するロスジェネに「現実を見ろ!!」とか説教するのが「やっちゃいけないことナンバーワン」。この辺も気をつけてほしい。<あまみや・かりん> 作家。本誌編集委員。近著に『失われた30年を取り戻す』(共著、ビジネス社)、『学校では教えてくれない生活保護』(河出書房新社)。2023年7月21日 「週刊金曜日」 1433号 30ページ 「らんきりゅう-『なぜ維新なのか』私論」から引用 この記事に書かれた雨宮氏の立論は、当たっているような気がします。企業経営者でもなければ政治家でもないのに、何かと大所高所からものを言いたがる人というのは、私たちの世代が全共闘運動にエネルギーをつぎ込んでいる時代からおりましたが、数はそんなに多くは無かったと思います。しかし、我々の後の「しらけ世代」以降は、メディアを通して「今はフリーターで仮の姿だが、やがては夢を叶えるのだ」という「幻想」を持たされて、いつか「一発逆転」する日が来ると根拠もなく信じ込んで、日々の苦しい生活を堪え忍んでいつの間にか「人生が終わる日」を迎えるというのは、あまりにも可哀相すぎます。やはり、大企業・富裕層が栄華を極めているのに、一般の労働者の生活が苦しくなっているという「現状」を冷静に観察した上で、労働者としての正当な権利を主張するという、当然の権利を行使するという「道」があることを、私たちは学ぶべきだと思います。雨宮処凛氏の「マガジン9」は下記のURLで閲覧できます。https://maga9.jp/230621-2/
2023年08月06日
子ども手当を支給するのに家庭の所得制限を撤廃するなど少子化対策を模索する政府に対し、十分な成果が期待できる真の「政策」を実施するには先ず「問題の所在」が何であるのかを適切に認識する必要があると、社会福祉学者の桜井啓太氏が7月20日の朝日新聞で訴えている; 「少子化対策」としてさまざまな子育て支援の政策が打ち出されています。しかし、社会福祉学者の桜井啓太さんは、「少子化対策」ではなく「少子化政策」を進めてきた政治こそが問題だと指摘します。話を聞きました。◆踏みにじられてきた生活 少子化が進み、「どうしたら産んでもらえるか」という話ばかりが聞こえてきます。しかし、さまざまな「対策」を打ち出す前に、権利や生活が踏みにじられてきた人々の声をまず直視すべきでしょう。 私の専門の貧困問題でいえば、日本の子どもの貧困率は11・5%、ひとり親世帯なら44・5%が貧困状態にあります。しかし対策は乏しく、「今ここにいる子ども」が大切にできていない。これでは子どもが増えても、貧困に陥る子も増えてしまいます。◆重たい子育て罰 若い世代には、子どもを持つことが「リスク」という感覚が広まっています。問題は彼らが「リスク」と考えることでなく、その感覚を与えてきた側が、自身の責任に無頓着のまま「なぜ産まないの?」と問うていることです。 私が「チャイルド・ペナルティー」という言葉を「子育て罰」と訳した際、「子育ては罰じゃない」「大変な経験も財産」といった批判が寄せられました。だが子育て罰は、個人の愛情のレベルで語るものではない。働く母親が受ける賃金の不利益や、子育て世帯に対する国の再分配機能の不全などを指すものです。強い言葉が一人歩きすることへの懸念はありますが、「罰している側」の責任を問い、「罰を受けている側」の被害を可視化できるのが、この言葉のいい所です。 日本は子育て罰が重い国です。今、子育てを「応援してあげる」という政策メニューが打ち出されていますが、いったいどの立場から言ってるのでしょうか。まずは「罰」と徹底的に闘うことが必要です。◆しんどい社会を作った政治 最も大きい罰は労働の問題です。人々の暮らしから余裕を奪う長時間労働や、将来の見通しを奪う非正規雇用がその筆頭です。他にも、子育て世帯、とりわけひとり親の生活を下支えする税制や社会保障の機能が弱い。家族手当も乏しく、一方で教育費負担はとても大きい。 大きな責任は政治にあります。「少子化対策」ではなく、「少子化政策」を何十年も進めてきた。しんどい社会を作ってきた張本人が政治なのに、反省も加害者の認識もないまま「若者が産まなくて困る」と責めています。◆「もっとよこせ」と訴える でも子育て罰の責任は、政治だけでなく私たち一人ひとりの中にもあります。子育ては自己責任、家庭で完結させるものと考えて、自分も子どももドロップアウトしないよう、必死に働き、子どもに勉強させる。そんな生き方は望んでいないはずなのに、自分の力で乗り越えるしかない息苦しい社会を私たち自身が強化してしまう。この悪循環を断ち切らなければなりません。 「少子化対策」という発想は、個々の暮らしの中からは出てきません。「少子化対策のために子どもを産もう」なんて、そんなの取り合わなくていい。求めているのは、安心して生きられることのはずです。一人ひとりがそんな社会を目指し、国のためではなく私たちのために、足りないものは「足りない」「もっとよこせ」、駆り立てるものには「もっと緩めろ」と訴えてゆく。迂遠(うえん)かもしれませんが、そこから始めるしかないでしょう。(聞き手・田中聡子)<さくらい・けいた> 1984年生まれ。立命館大学准教授。専門は貧困問題。著書に「〈自立支援〉の社会保障を問う」、共著書に「子育て罰」など。2023年7月20日 朝日新聞朝刊 13版S 13ページ 「耕論-『なぜ産まない』責任転嫁」から引用 現代の日本で子どもを育てるのは、費用が掛かりすぎるために、幼子を育てる親はまるで刑罰を与えられているかのような気分になるというのが「子育て罰」という表現に込められた意味のようです。そういう社会の雰囲気を敏感に感じ取る若者が、結婚して家庭を持つことに二の足を踏むのは無理もないことで、かつて日本が経済の高度成長を成し遂げた頃であれば、企業は人材確保のために、私などは初任給4万2千円だったのに2年目の給料は5万2千円と、20%も昇級して「世の中、こんなもんなのか」と思ったものでした。その頃は毎年春になると「春闘」と称して賃金のベースアップを要求して山手線が止まるため、会社は独身寮から職場までバスを出してくれるという時代でしたが、そのうち段々おかしくなって、何かあると「自己責任」が言われるようになり、子育てなどは当然親の「自己責任」となり、今では「子育て罰」になっている。結局、低賃金と長時間労働で労働者の生活が疲弊していることが、全ての問題の根本にあり、本来労働者に支払われるべき「現金」が大企業の金庫に莫大な内部留保となって眠っていることが、問題の本質を象徴している。この春も、原油が値上がりしたからと言って全国の電力会社が料金を値上げしたばかりですが、それから3ヶ月経つと「電力各社、史上最高の収益」などと報道される始末で、大企業優遇政治をしてきたツケが「少子化現象」となって現われていることを知るべきだと思います。
2023年08月05日
あのアメリカの映画界の大物と言われる人物の性暴力が告発されたのは2017年のことであったが、あれから6年経って日本の芸能界の「大物」ジャニー喜多川氏の性暴力が問題として取り上げられたことについて、文芸評論家の斎藤美奈子氏は7月19日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 「#MeToo」運動に火をつけたのはハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの長年にわたる性暴力を告発した2017年のニューヨーク・夕イムズ紙の記事だった。 『その名を暴け』(古屋美登里訳)は、この記事を執筆した2人の女性記者(ジョディ・カンターとミーガン・トゥーイー)が報道に至るまでの経緯を明かした記録である。ワインスタインは業界の神と仰がれる人物であり、スタッフや女優に対する彼の性暴力は公然の秘密だったが、誰も声をあげられなかった。 その壁を破るべく動き始めた2人の最初の関門は、実名で告発してくれる被害者を探すことだった。だが最初の1人アシュレイ・ジャツドの勇気ある告白を機に、次々に名乗り出て体験を語る人たちが出てきた。故ジャニー喜多川氏の性的虐待をめぐる今日の日本の状況とも重なる事態だ。 ジャニーズ事務所は相談窓口を設けたと発表したが、会社の紐(ひも)付きで大丈夫か。しかも政府は知らぬ存ぜぬを通す気らしい。この件はすでに国際問題化し、24日には国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が来日する予定という。 「新しい情報を発表することは、始まりだ。議論の始まり、行動の始まり、変化の始まりなのだ」とは先の本の一節。日本社会の人権感覚が問われている。もう傍観は許されない。(文芸評論家)2023年7月19日 東京新聞朝刊 11版 19ページ 「本音のコラム-ハリウッドの場合」から引用 ジャニー喜多川は故人であるが、彼の性暴力で世間が騒ぎ出したのはかつてジャニーズ事務所に所属して被害に遭った若者が、最近になって記者会見で被害体験を告白したからである。その記者会見の様子を見た作曲家の松尾潔氏が、「ジャニー喜多川氏の行為は許されないことだ」というような批判をしたところ、所属事務所であるスマイルカンパニーから雇用契約の中途打ち切りを通告されて、「それは共同経営者である山下達郎氏も同意した『決定』なのか」と問い合わせたところ「その通りだ」との返事だったとの報道であった。その報道を聞いて、私は「なんだ、山下達郎もその妻の竹内まりやも所詮はその程度の人間だったのか」と大変がっかりした。社会正義よりも「義理・人情」を優先する昔風の日本人というわけで、力のあるものが好き勝手にやりたい放題やれる、そんな世の中はもうそろそろお仕舞いにして、強い者も弱い者も互いの人権を尊重して暮らす社会に作り替えて行かなければなりません。調査のために来日した国連人権理事会からも、やがて報告書が出るであろうし、そういう「助言」を手がかりにしてより良い社会を目ざすべきだと思います。
2023年08月04日
統一教会の金 統一教会の集会にビデオメッセージを送った安倍晋三氏に対し、統一教会から50万ドル(約5000万円)が報酬として支払われたという信憑性の高い情報について、元文科事務次官の前川喜平氏は7月16日の東京新聞コラムに、次のように書いている; ワシントン・ポストは13日、トランプ氏が「韓鶴子ムーン」の主催した複数のイベントでのスピーチ料として少なくとも200万ドルの収入を得ていたと報じた。この記事を紹介した尾形聡彦氏のツイードを引用して、鈴木エイト氏が次のようにリツイートしている。 「私の得ている情報では、2021年9月のビデオメッセージ出演時の安倍晋三元首相はドナルド・トランプ前大統領の半額」「トランプは1回100万ドルという計算」 ということは、安倍氏は50万ドル、当時のレートで5000万円以上の報酬を「統一教会」側から得ていたことになる。税務申告はしたのだろうか? 「統一教会」と関係してきた政冶家たちは「統一教会」といわば「持ちつ持たれつ」の間柄だった。イベントであいさつしたり、出版物に写真や記事を載せたりして「広告塔」になり、「統一教会」に社会的信用を与えてきた。それだけでなく、警察の動きを抑えたり、名称変更に力を貸したり、解散命令請求をさせないよう動いてきた疑いもある。 「統一教会」はそういう「見返り」を求めて信者を動員し、事務所の秘書、選挙での電話かけ、ポスター張り、街宣車の運転、ウグイス嬢などの労役を提供してきた。しかし、これまで全く解明されていないのが政治家への金の流れだ。各メディアの今後の調査報道に大いに期待したい。(現代教育行政研究会代表)2023年7月16日 東京新聞朝刊 11版 17ページ 「本音のコラム-統一教会の金の行方」から引用 考えてみれば、安倍氏が無償で統一教会の集会にビデオメッセージなど送るわけがないのであり、何某かの報酬が支払われて当然と考えるのが普通だ。安倍事務所の金の出入りがどのようなものかは一般人には想像も付かないが、アメリカの航空機製造会社が3億円を受け取ったカドで逮捕された自民党総裁もいたことだし、この件は今からでも情報公開の請求権を駆使して事実を洗い出す必要があるのではないかと思います。の行方(3日の日記)
2023年08月03日
ゼレンスキーの要求に応えてアメリカがウクライナにクラスター弾を提供するというニュースについて、文筆家の師岡カリーマ氏は7月15日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 大量の小爆弾をばら撒(ま)くクラスター弾は、多くの不発弾を残し、後々まで民間人に被害を及ぼす「非人道的」な兵器とされる。米軍はアフガニスタンとイラクでこれを使用した。不発弾除去に関わったアメリカ人専門家によれば、金属製のピンポン玉のようなこの小爆弾の殺傷力は地雷を超えるという。家畜に有害と思って牧童は片付けようとする。好奇心旺盛な子どもはおもちゃのように手にする。これが爆発することによって、甚大な被害と癒やし難い悲劇が大地と人を壊し続ける。 ウクライナの要請に応え、米国政府はこれまで渋っていたクラスター弾の供与を決めた。あくまで防衛戦争であり、ロシア本土は攻撃しないとしてきたウクライナがなぜ自国で、自国民をさらなる危険に晒(さら)してこれを使うのか。「ロシアも使っており、砲弾が足りない」という説明も批判をかわすには不十分だが、さらに気になるのは「在庫の中から不発率の低いものを選ぶ」という米政府の釈明だ。存在自体が「非人道的」な兵器を、不発率=民間人への被害を低くできるにもかかわらず、低いものと高いものを併せて備蓄し続けるとは、用途や対象によっては高いものも使われそうで恐ろしい。クラスター禁止条約加盟国の日本が、本紙報道のように米国に追認するなら「法の支配」はもとより、道徳的観点から見てどうなのか。(文筆家)2023年7月15日 東京新聞朝刊 11版 23ページ 「本音のコラム-クラスター弾と『法の支配』」から引用 元々武器は敵側の人間を殺害する目的で製造されるものだから、今さら「非人道的」もないものだが、クラスター弾はこの記事が指摘するように、残虐性という点では飛び抜けた「性能」を有する武器であり「非人道的」と言いたくなるのも無理はない。思えばアメリカは第二次世界大戦以来、原子爆弾を始めとして数々の非人道的武器を製造しては使用してきた「悪魔の帝国」のようなものだ。ベトナム戦争で使用した「枯れ葉剤」なども、かなり「非人道的」な武器で、ベトナムの散布された地域ではいまだに奇形児が生まれるとの情報もある。アメリカはそういう非人道的な「製品」を製造販売する帝国になってしまっているのだが、その跡を追うように日本も先の国会で「国家予算をつぎ込んで軍需産業を育成する」という法律を成立させて、再び「過った道」に入り込もうとしている。軍需産業反対の市民運動が必要だと思います。
2023年08月02日
今年の春は衆参両院の補欠選挙が実施されて自民党が4議席、維新の会が1議席という結果であったが、市民運動家の辛淑玉氏は選挙の結果について月刊「マスコミ市民」6月号に、次のように書いている; この春の衆参補選の結果は自民党の4勝1敗。しかも唯一自民を破ったのが、自民党と闘っているふりがうまいだけの維新なのだから、つまり野党側からすれば全敗である。 これだけ統一教会汚染で苦しんでいる人がいるのに、こんな犯罪者集団に支えられた自民党が支持されるのはなぜなのか。利権ゆえの組織票のせいか、有権者が洗脳されているのか、あるいはその両方か。 岸と安倍のお膝元で統一教会が聖地とする山口では、2区・4区とも自民党が議席を死守した。 安倍の4区には、統一教会問題や反ヘイトで活躍したシャーナリストでもある有田芳生が立民から立候補したのだが、公示後のインタビューで彼が「安倍の人柄とその政治は別」といった趣旨の発言をしたのを聞いて、ああもったいない、と思った。 恐らく地元対策なのだろうが、こういう右への「配慮」が野党離れの要因の一つなのだ。 よりによって泉などを代表にしてしまった立民に支持者が嫌悪感を感じるのは、自民党にすり寄ることで右から票を得て議席を確保したいという薄汚い下心が見えるからだ。しかし、いくら自民党にすり寄っだところで、もともとの自民支持者が立民になど投票するわけがない。 さらに、どちらの言うことも大差ないなら、無党派層だって安定の政権与党である自民に投票するだろう。 闘わない野党に存在意義などない。媚びたら負けなのだ。 しかも立民は、自民党と本気で闘っている仲間がちょっとでもミスをして批判を受けると簡単に首にしたり離党させたりする。クソ議員連中を体を張って守っている自民党とは比べ物にならない。だから、こいつらは味方を守ろうとしない、信用できないと見透かされるのだ。 だいたい、与党と調整なんかするのは野党の仕事じゃない。そんなことをやりたいなら自民党の事務方にでもなったらどうか。 今回、山口2区の補選では、無所属の平岡秀夫が善戦した。平岡は、もともと岩国生まれ岩国育ちで、東大在学中に司法試験に合格し、大蔵省を経て法務大臣と、地元ではその名が知れ渡っていた。しかも法相在任中、一度も死刑を執行させていない。そんな、平岡自身が築いてきた人間性への信頼が、8年に及ぶブランクをはねのけたのだ。 それにしても、これだけのキャリアを積んできた平岡が、あえて捨て身でこの泥試合に参戦したのは衝撃的だった。 しかも平岡は、日本社会ではいまやほとんど聞くこともなくなった「反原発」「反基地」「台湾有事より平和外交」「種子法反対」を、選挙で正面から訴えた。 これが、かつて民主党に期待し、立民にその思いをつないで裏切られ続け、絶望のふちに追いやられて離れていった人たちの心を揺さぶったのだ。 なんとも青く、懐かしい訴えだった。 そしてそれは、「日本の誇り」とか叫んで、有権者向けにはこの程度でいいだろうと砥めきっている妖怪のひ孫の慢心とは好対照をなしていた。 真面目なのだ。 真面目にどんくさく、愚直に直球を投げた。 そのせいで、平岡は立民から公認が得られず、素手で選挙戦を闘わねばならなかった。 それでも、投票率42・4%で、妖怪のひ孫が6万1369票(得票率52・5%)、平岡が5万5601票(47・5%)だったのだから、これはタッチの差だろう。 投票率が低かったのは、世襲という利権構造の継承にうんざりして政治に期待しなくなった圧倒的多数の層に言葉が届かなかったからだと思えてならない。努力ではどうにもならない社会に対するプロテストが見えないから投票にも行かないのだ。 それでも、民主主義の原則を誰も掲げない日本社会の劣化に歯止めをかける候補者として、平岡秀夫にはもう一度奮起してほしい。 だって、悪臭を放つ昭和おやじは、青臭い昭和おやじの手できっちり処分してほしいからね。月刊「マスコミ市民」 2023年6月号 86ページ 「山椒のひとつぶ-すごばあちゃんの選挙総括」から引用 この記事では、犯罪者集団に支えられた自民党が有権者の支持を得るのは何故か、と書いているが、そのワケは多くの有権者が「自民党の選挙活動は統一教会信者が担っている」という「事実」を知らないからだと思います。そういう実態を報道しないメディアの責任であり、そういう実態を指摘して是正を促そうともしない野党にも問題があると思います。 また、筆者は泉健太氏を代表に擁する立憲民主党が、時として自民党にすり寄ることによって「右からの票を獲得しよう」という「姿勢」を見せることに不快感を表明しているが、それは私も同感です。そういう傾向は枝野氏が代表をしている頃から、例えば新年に伊勢神宮に参拝するなどという行動で、まるで「立憲民主党とは言っても、自民党と同様に伝統行事は尊重しますから、心配しないで」とでも言いたそうな様子を見せたことなどは、私は大変不愉快だったし、そんな姿勢では先行き大したことは出来ないだろうと思ったものでしたが、案の定という「事態」が現状なのだと思います。これからの立憲民主党は、自民党の支持層を切り崩そうなどと考えるよりは、3年という短期間で終わった民主党政権に愛想を尽かした「非自民」支持層を、もう一度振り向かせる努力をするべきだと思います。野党がどんなに頼りなくても、与党がここまで腐敗してしまえば、国民の力で「ひ弱な野党」を鍛えて代替勢力に育てあげなければならないのだというアピールが必要なのだと思います。
2023年08月01日
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