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宮澤喜一氏の回想録によると、サンフランシスコ講話条約をすませた直後に吉田茂首相が宮澤氏一人を随員としてワシントンに行って安保条約のサインをした。アメリカの強制の下に行われた吉田茂の単独行動であった。この条約の批准を昭和35年5月19日、岸信介内閣のときに国会の審議をストップし、警官隊を導入して強引にしたので、学生、労働者らが国会を包囲して反対デモが猛然とおこるようになった。以来連日のように道路を埋め尽くすフランスデモが東京をはじめ各大都市で行われ、ついにアイゼンハウアーの訪日は取りやめになり、岸内閣は退陣となった。このとき、国民は健全な判断を示した。岸首相は国会を包囲しているデモ隊のシュプレッヒコールのテレビ画面で聞きながら、孫の安倍晋三を膝の上にのせて、国会ではあんなに騒いでいるが同じ日の後楽園では5万人の観客がいたし、ほとんどの人は無関心なのだよという意味のことを言ったという。岸信介は安保条約の火付け人として記憶されているが、本人自信は、今に見ていろ、必ず独立して憲法を改正し、安保を廃棄してやると語っていたという。彼は戦争に負けたくやしさから、戦前の大日本帝国の時代にもどしたかったのが本音で、かれにとっては戦後の民主主義はアメリカに取り込まれる過程にしかすぎなかった。孫の安倍晋三内閣が戦後レジームの修正といっているのは、祖父のDNAが伝わっているものなのかどうか。安倍内閣は憲法の解釈を変えて、集団的自衛権の行使実現につき進んでいる。岸信介のアメリカからの独立というDNAではなく、アメリカからクビにされないための先手を打って進んでアメリカの従属国となり、それで中国と対抗しようとしている。靖国神社に突然参拝して、中韓どころかアメリカ、ヨーロッパ、ロシアまでひんしゅくさせた。中韓は民間交流ももう棚上げだと言い出した。どうしてこのような極端な行動に出たか真意はわからないが、安倍は内閣支持が高いうちに、アベノミクスの効力が持続しているうちに、右翼層の固定的な支持がどこまで固められるかを試そうとしたのではなかろうかと思う。安倍は若い層を支持層に取り込みたがっている。これからは消費税は上がるし、物価は上がるし、大部分の国民の給与をあげることは困難である。消費税も10%ではたりず、20%にしなければ財政の改善はできない。国民にもろもろの負担を強いなければならない時代に政府としてできることは、国全体の雰囲気を変えるしかない。安倍内閣が思いついたのは、「国民の生命の安全を守る」「強い日本を取り戻す」、というサービス演出である。安倍首相はアセアン諸国全てを回り、アフリカまで行ってコマネズミのように世界中を駆け回り、帰国したかと思えばすぐ国内を回ってテレビに出る。その頻度は歴代のどの首相よりも多く、またあの顔かという感じである。しかしその軽薄感がついに靖国参拝で出た。このような無理な内閣の意図はすでに国民は見破りつつあり、もう長続きはすまい。
2014/01/16
安倍政権がねらっているもの 1 自民党が下野した3年間、権力を離したつらさをしみじみ肌身に感じたにちがいない。したがって政権奪取した暁には、2度と政権を離さないようにする計画を考究したにちがいない。この結果出てきたのが、アベノミクスである。アベノミクスの第一の矢で異次元とも言える超金融緩和で株を買い安くし、第2の矢でジャブジャブの財政出動をした。2013年5月までに外人投資家の株買越額が9.8兆円、今までに11兆円近い買い越しがおこなわれ、日経平均は1万5千円までに跳ね上がった。現在、アメリカの景気が立ち直り、外人株も他に行かないので、さらに上がる可能性がある。外人(といってもヘッジファンド)が買い越しなのに、日本の投資家は機関投資家が累計5.9兆円の売り越し、個人投資家が累計3.7兆円の売り越し、日本人投資家は外人におぶさって儲けている図でなんともいじきたない。このため、株で儲かった人たちがデパートで高級品を買ったりしていて話題になっている。一方、円安になって輸出代金の手取りが増え、ある輸出企業は史上最高の利益が出たなどの報道がある。事実あちこちで取り沙汰されていた大企業のリストラが先送りになり、ビジネスマンたちはボーナスが若干増えたもようである。だが賃上げのニュースはない。暮れの忘年会の会費は従来の6千円から8千円になったそうだが、瞬間的にでも豊かな気分になって酒がうまかったようだ。アベノミクスの第一の矢、第2の矢が指水になって第3の矢は企業みずからが立ち上がってデフレ脱却ができるかどうかであるが、これはあまりにも予想困難である。消費税8%~10%の山はあるが、それよりも年収200万円以下の人が2100万人もいて、いっこうにこっちのほうに収入改善の見込みがなく、円安のおかげで商品は値上がりし、実質収入は下がっている。巨大なデフレの氷山がそびえ立っていて、デフレが解消するとは思えない。4月になって消費税が8%になれば、自分はどういう消費行動をするだろうかと問うてみれば、他人も同じように行動するだろうという予想がつく。1部の人はよくなり後の人はよくならないというのが高度成長期と決定的に違いところだ。
2014/01/12
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