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資本主義は終焉するか 9水野氏は資本主義の地理的、物的なフロンティアがなくなったことが終焉の始まりだとしている。地理的なフロンティアというのは、先進資本主義が有利に売り込める植民地や未開発市場で、物的フロンティアというのはつくって売る物やサービスがたくさんあったということである。ところが地理的なフロンティアはほとんどなくなり、物的フロンティアもなくなり、アメリカは製造物競争で日本に負け、行き詰まった。たまたま冷戦が終わり、ソ連からの核攻撃の心配がなくなったので、軍事技術を民間に流用した、どんなそれがIT技術で、資本主義の効率化がものすごく進んだ。また数学者みたいなエリートがレパレッジを組み替えたりして詐術的な金融ビジネスをつくったり商業銀行に投資を許したりして金融帝国化が進んだ。世界の金融資産は実体経済の4倍にのぼるようになった。これまでは資産は消費者が銀行に預金し、それが徐々に資産を増やしていったが、いつの間にか、そういう爪に火をともすようなやりかたではなくなった。それは人為的な暴力的な施策によるものだった。まず猛烈な物価上昇。例えば1973年の第一次オイルショック前までは1バレル2~3ドルで買えた原油がOPECにより11・2ドルになり、第2次オイルショックで40ドルになり、ついにリーマンショック直前に147ドル、今では100ドルで取引されている。このような物価高、アメリカは金利を上げて世界中から金を集め、その金で、冷戦後中国などの安い労働力にもとづく安値の製品を大量輸入し、それで莫大な利益を収めた。このような世界はまさに「地中海」の時代を思わせる。こうして実体経済に即していた物づくり日本の経済は利益率がすくなくなって、消費が低迷し、人件費は伸びず、年収20万円以下の非正規労働が3分の1にまで達した。悪循環を繰り返し、長いデフレになった。(続)
2014/06/27
資本主義は終焉するか 8ブローデルの「地中海」はようやく4巻目に入ったが、急に偶然的な出来事の羅列みたいになって面白くなくなった。それで別の巻「物質文明・経済・資本主義15-18世紀」に移ったが、こちらは想像力を刺激して非常に面白い。1巻目の「日常性の構造」で人口の話が冒頭に出てくるが、1650年に世界人口はどのくらいいたかというと一番少ない推定は4億7千万、うち、アジアが2億5千万、ヨーローッパが1億人、それが1900年になると、地球全体で一番少ない推定15億5千万、うち、アジア8億6千万、ヨーロッパ4億2千万という表がある(33ページ)。とにかく太古からアジアとヨーロッパに人口の大きな固まりがあって、それが次第に増加して、土地を開拓して増えて行き、世界中の地域にひろがったという説である。 こんな壮大な話の世界では、戦争とか、海賊とかによる略奪だとか、東の貴重植物である胡椒などを西に持ってくるだけでべらぼうにもうかったとか、金と銀の価値比率が決まっていなかったときは、金が異常に貴重な金属だと「信仰」されて銀を安く買い取って、これまたべらぼうなもうけが発生したという、おとぎ話に類する話がワンサと転がっているが、その一方で人類の大多数は極貧。例えば小麦は定番の食糧源だが、収穫量がすくなく、撒いた粒1粒が5粒、ひどい時は2粒、豊作でも7粒か8粒、それも2年か3年おきの輪作だったから手数が大変で、貧苦な農民は燕麦、粟、そばなどを食べた。日本ではひえを食べた。16世紀の「地中海」時代は資本主義を胚胎した世界だったことが想像されるが、ということは資本主義は本来的にDNA的にそういう要素を含んだシステムだといえよう。オランダでチューリップバブルが起きた話はマサカという感覚であるが、日本人もついさきごろ経験した。80年代後半のバブルの頃、下北沢の駅から十数分の土地が坪あたり400万円、それを三菱地所がふたつ返事でOKしたとか。いま、おれおれ詐欺で簡単に何百万も引っかかる人はあのときの感覚でそうなったのではないかと思う。話は「地中海」の方に飛んだが、水野和夫はアメリカは製造業で勝てないと知ると、すぐIT,金融に切り替えた。冷戦が終わると、アメリカはソ連からの核攻撃の心配がなくなり、軍事技術だったインターネット技術を民間に流用し、数学者みたいな人がいじりはじめて、資本主義がいちじるしく効率化され、おびただしい人が要らなくなった。そしてその後は、金融。寺島実郎氏によると、今実体経済で動いている金はGNP72兆ドルだが、世界の金融資産はその4倍の255兆ドル、これほどの金が蓄積され、投資でもうかる部分にあばれこんで、実体経済を翻弄しているという話はまさに「地中海」時代そのものではないか。(続)
2014/06/23
もうからなくなった資本主義もちろん一部の企業は儲けている。しかし大多数の企業がもうからなくなった。これにはいろいろな原因がある。まず市場が小さくなった。人口が減り始め、少子高齢化で若い人の数が少なくなり、若い人の収入が減っているから彼らは物を買わない。一方、65才以上の高齢者は4分の1になり、彼らは収入がないからものを買わない。30年後には日本の人口は8600万になるといわれれば、企業は大胆な設備投資はしなくなる。冷戦時代は社会主義圏は遮断されていたから、日本の企業はアメリカとヨーロッパ、東南アジアのマーケットをほぼ独占できたが、冷戦が終わると、社会主義圏の安い労働力の世界が世界経済に参入して、国内の価格水準が成り立たなくなり、先進国の企業は争って海外に生産基盤を移したから、国内が空洞化し、中小企業が成り立たなくなり、失業者が猛烈に増え、消費が縮まった。その多、国際競争力の“障碍”とされて人件費の抑制がさかんになり、リストラ、昇級の停止がやむことなく行われた。技術進歩がめざましく人を使わないですむロボット、IT、効率化システムが進み、コスト削減とは人を削減する同義語になった。それでも日本は物づくりでは世界の一等国、ジャパン・アズ・ナンバー・ワンと80年代から90年代にかけていわれた。やがてバブルが起こり、ポしゃった。冷戦が終わると、局面が徐々に変わって、長いデフレ時代に突入した。(続)
2014/06/18
資本主義は終焉するか 6「地中海」ようやく3巻目を読み終わった。2巻目からやめなくなり、ピッチがあがった。15世紀はもっともまとまった文明の世界が地中海で、東にオスマン帝国があり、西にスペイン帝国があり、地中街の中心にイタリアがあり、ベネチアがいちばん栄え、その他にジュネーブ、バロセロナ、モナコ「、ローマ、ナポリ、アレクサンドリア、などの都市国家が栄え、互いに取り引きしたり、争ったり、戦争したりしていた。その複雑さ、無統一、無秩序、格差の極大、海賊の横行、略奪、大量殺人など想像を絶する世界である。お金を儲ける手段もわれわれ東洋人のように額に汗して、コツコツ勤勉に、忍耐して貯めていくという世界とはちがい、たえず一獲千金をねらい、他民族を騙したり、奪い取ったりする。危険を冒して何十倍も儲けたり、海賊船で襲って奪ったりする。こういうやり方は西洋人のもので、資本主義は西欧人のつくりあげたものだ。これはアジアの儒教社会や仏教社会、イスラム社会とはまったく違う。われわれは高校の教科書で数行か1ページですます16世紀が5冊の分厚い本で語られると、にわかにリアリティがまし、当時の生きた人々の姿が浮かんでくるような感じである。そして今日まで続く西欧のいろいろなDNAがわかった。ブローデルはこの「地中海」がオランダとかイギリスにつながった時に大変化が起こり、「地中海」が死滅し、まったく新しい世界が誕生した事を説くためにこの大著を書いたのであると述べている。水野和夫氏はブローデルが説明した16世紀役120年間に起こった変化が1970年から進行し、あと何十年かで終わり、そのあとまったく新しいパラダイムの世界が生まれると言っている。どういう世界なのかはまったくわからないとしている。(続)
2014/06/15
資本主義は終焉するか 5水野和夫は資本主義の終焉の始まりの年を1974年としている。最後の資本主義の軍事的な拠点が弱体化したからである。この前年、1973年に第一次オイルショックがあった。小さな産油国の連合であるOPECが1バレルあたり2,3ドルで買えた原油をいきなり70%アップの11・2ドルまであげたのである。この結果、灯油リットルあたり400円、ガソリンは100円になってしまった。原油はそれから高下をくりかえし、今では100ドルになってしまった。一次オイルショックの時は日本中が大騒ぎになり、もう日本経済はダメになる、耐乏生活だということになり、トイレットペーパー買い占められて街から消え、銀座のネオンが消えて真っ暗になった。その後、日本は2割から3割の省エネに成功し、円高になったので、石油の高さを余り意識しないですんでいるが、他の国は大変だろう。さて、あのとき私は疑問に思ったのだが、なんであのときアメリカはじめイギリスなどの大国がOPECの国を軍事的に急襲して値上げをやめさせなかったのかと思った。あとで聞くとアメリカ政府内にもそういう動きがあったようである。1979年にはホメイニのイスラム革命の後、イラン学生がアメリカ大使館を占拠した事件が起こったが、このときもアメリカは手出ししなかった。アメリカがベトナム戦争に敗北したのをみて、OPECの人たちもイランの人たちもアメリカの覇権は終わったとみなしたのであろう。アメリカが最後に手出しした事件は9・11のあと、二代目ブッシュンのイラク侵攻であろう。(続)
2014/06/11
資本主義は終焉するか 4「中央」と「周縁」という言葉がある。我々はここ200年以上もの間資本主義は無限のポテンシャルがあり、地球の利用資源は無限だから成長は永遠に続くと楽観していた。特に先進国は。しかし実際は先進国の発展は周縁の未開発国の資源を奪いとり、安く買いたたいて手に入れ、地球上に市場を広げてきたからだ。未開発国や植民地の人たちは無知だから特に反対しなかった。この人たちは資本主義によって搾取される側だから周縁である。資本主義国は中央である。周縁は中央を支え、富ませる。周縁はや低開発国や植民地のみでなく、国内の労働者階級、農民など働くすべての人を含む。彼らは国内における周縁である。今で言えば、契約社員、非正規社員、無職者、アルバイトなどは周縁である。この結果、格差はますますひらく。今少しぐらい景気が良くなったように思われているが、だからといって周縁の人まで良くなった訳ではない。利子率=利潤率いまの10年国債の利回りは最大2%である。こんなに低い利回りでも国債を買う人がいるのは政府が保障するからである。というよりも国が機関投資家や銀行に負い前はこれくらい買えと国債を割り当て押しつけるからである。機関投資家は国債以外に信用できる投資先がない場合は買わざるを得ない。それにしても金利が2%以下、0・何%で借りられるというのは、言葉を変えて言えば、借りてそれをもとでにやる商売がないということである。だからいくら金がジャブジャブでも借り手は少ない。一般の会社がなぜこれほどまで儲からなくなったか。例えば粗利わずか2%儲けたとしても、金利で相殺総裁されてしまう。(続)
2014/06/10
資本主義は終焉するか 3水野氏が「資本主義の終演と歴史の危機」(集英社新書)を書いたのは、ブローデルの「地中海」が背景になっている。フランスの歴史家フェルナン・ブローデルの本は我が家に「地中海」のほか「世界時間」「交換のはたらき」「日常性の構造」の5冊揃えがあったので、また読み始めた。10年以上前に拾い読みしたときはあまり印象は強くなかった。というより、まったく理解できていなかった。それが水野氏の刺激で読み方が違ってしまい、面白くなってきた。10年前、1巻目で躓いてしまったのは、この巻は地中海の地理などからはじまって全く退屈してページがすすまなかったからである。それで今回は2巻目から読み出した。この巻は交換のことや貿易、手形、金や銀のことが書いてあり、だんだん面白くなってきた。なぜあのとき2巻目からよまなかったのかと悔やまれる。ブローデルは16世紀の地中海の経済構造のこと(1500~1720位)を書いているのだが、なぜ16世紀なのかというと、ローマ、スペイン、ベネチア時代以来長い間、世界は地中海周縁でのみ栄えていたが、16世紀の後半から海路、陸路で北ヨーロッパに通じ、アジア貿易、アメリカ貿易が始まり、スペイン、ポルトガル、オランダが独占して世界経済が一気に活性化し、パラダイムシフトが起きた。中世封建主義から資本主義への移行がはじまった。これは地球上で起こった最初にして最大のパラダイムシフトであった。この120年かかったパラダイムシフトがちょうど今1980年頃から起こり始めてあと数十年で資本主義は終焉するというのが水野氏の説である。彼はかずかずの予兆をあげて説明している。(続)
2014/06/09
私は数年前から資本主義はもう人類の幸福にはならないと考えるようになった。おそらくそうなり始めたのは1980年代後半になってからであろう。グローバリズムというものがいわれはじめ、ビッグバンなど人類の進歩だといわれた。しかし銀行が8%の融資資金を常時用意していないといけないということになってから銀行業界が大荒れになり、弱小銀行が整理され、合併がくりかえし行われ、いったい今の銀行は元何銀行だったのかクイズにもならない。これまでなんの支障もなくやってきた日本の銀行システムがあっというまに様変わりして、預金金利はゼロに近くなり、お金をたくさん貯金して老後は金利で暮らそうなんて考えることはできなくなった。もっと人間を不幸にしたのは人員整理である。人間はコストがかかるからどんどん減らす、余剰人間は資本主義の敵、じゃまになったのである。リストラも最初は希望退職者を募り、割り増しがついていたが、今はもうつかない。そのうちもっと人件費を減らすためにロボットを大量生産するようになるだろう。現在は働く人の3分の1が非正規社員であり、年収200万円以下である。こういう人たちは人生計画というものができないのではないだろうか。日本の法人税を20%代にする方向がきまったようだが、これは企業優遇というものではなくこうしないと大多数の企業がやっていけなくなった段階にさしかかったからであろう。日本の企業の得意なものは物作りだったが、自動車以外は物作りではくえなくなったといえよう。ソニーを見るといったい何屋なのはわからない。損保会社なのか興業会社なのかわからない。(読)
2014/06/04
資本主義は終焉するか 13月以来体調を崩して4月は入院半月に及んだ。4月末退院し、すこし体力が回復したので久しぶりにブログを再開しようと思う。私のような後期高齢者は年金以外はどう考えても収入というものがない。体力は減耗していくし、貯金は段々目減りする。毎日節約した生活をする以外にない。幸い、食べるもの以外は衣類、本などは在庫があるから買わないですむ。だが、毎日引き算して生きているわけである。これを経済用語でいうと、成長性がなくなったということであろう。考えてみると、高齢者だけでなく、多くの中小企業あるいは大企業でも成長性がなくなっている会社が増えていると思う。人口は減っているし、高齢者はもうすぐ3分の1に達するからこの人たちは消費需要には貢献しない。あとの3分の1は15才以下だろうから、国民のうち収入を得ているのは3分の1という事になる。日本全体が盛りを過ぎて下り坂を下りている。最近識者の中でも成長主義は終わりだという人が増えてきた。でも遠慮がちに言っている。こういう時に水野和夫氏の「資本主義の終焉・・」という新書を読んだ。水野氏は、資本主義は終焉しつつあるとはっきり言っている。私がここ数年来考えてきたことを裏書きする場合が多いので、これから考えて見ることにしたい。(続く)
2014/06/01
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