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橘の小島　宇治　源氏物語のまちへ１３

テーマ：ちいさな旅～お散歩・日帰り・ちょっと１泊(42037)

カテゴリ：源氏物語ゆかりの地めぐり

「さわらびの道」をもう少し進むと「宇治神社」に。

八の宮のモデルと言われる「菟道稚郎子（うじのわきいらつこ）」の住まいしていた場所。

「宇治神社」は「さわらびの道」から宇治橋へ抜ける近道にもなっているようで
社殿まで足を伸ばす方々は少ないものの、午前中に訪れた
「橋寺放生院」の静寂に比べれば、人影は多く見られます。

それでも、どこか寂しさを感じてしまうのは
「宇治上神社」の賑わいをみた後だからでしょうか。

今回の訪問で「橋寺放生院」、「宇治上神社」、「宇治神社」と

イメージされてきた場所を巡ってきましたが、今のところ私は
位置的にも、印象からも「宇治神社」が一番、似合っているように思います。

さて、「宇治神社」の境内から繋がる石段を降りると、
目の前に現われるのが宇治川、そして「宇治十帖モニュメント」。

地図上で見ていたときは分からなかったのですけれども、
「さわらびの道」を歩いて「総角（大君）」「早蕨（中の君）」の古跡を辿り
「宇治神社（八の宮の山荘）」から続く船着場のような位置にある
浮舟と匂宮の寄り添う小舟は、よくぞこの場所に…と思える光景。

「宇治第５帖・宿木」
「宇治にかの人の人形（ひとがた）を置き、お仕えしようかとも考えておりまして」

八の宮にもう１人の娘（浮舟）がいることをほのめかす中の君。宇治の山荘で
浮舟を見て大君に瓜二つと歓んだ薫は弁の尼君に橋渡しを頼むことに。

「宇治第６帖・東屋」
縁組が破談となり中の君の元に身を寄せることになった浮舟は匂宮の目に留まって迫られ

心の準備もする間もなく、姉・大君の身代わりとは気づかないまま浮舟は薫と関係し
そのまま宇治の山荘へ移される。

「宇治第７帖・浮舟」
浮舟を諦められない匂宮は宇治にかくまわれていることを突き止め
薫の振りをして関係、思いが高じて、山荘から浮舟を連れ出し、
宇治川の対岸にある部下の時方（ときかた）の屋敷まで、小舟で漕ぎ出してゆく…

モニュメントのすぐ傍から架けられた「朝霧橋」から、
浮舟と匂宮が漕ぎ渡った場所を眺めてみることにしましょう。

「朝霧橋」から北の方角にうっすらと見えるのは、午前中に渡った「宇治橋」。
宇治川は南から北へ流れていて、匂宮たちが乗り込んだ舟は、川に従えば、
自然に宇治橋近くの対岸、時方の屋敷があったとされる場所まで
流れ着いてゆくのかもしれません。

「『これなん、橘の小島』と、（舟人が）申して、御舟、しばし、さしとどめたるを…」

「年経とも　かはらん物か　橘の　小島がさきに　契る心は」匂宮
「橘の　小島は色も　変らじを　この浮舟ぞ　ゆくへ知られぬ」浮舟

「年を経ても変わりはしない、この川に浮かぶ橘の島の木のように私の心は」
「橘の小島の木の色は変わらなくても、この浮舟に似た私の運命は行方も知れない」

朝霧橋を渡り切ると、たどり着くのは「橘島」という中洲。

浮舟たちが渡った宇治川上を間近で見るべく島の北端に立ってみると、
巨大な船の舳先で両腕を広げているような、危うい感覚に陥ります。

かなり大きく、地面もしっかりとしているように思える島でしたけれども
増水時は水に漬かり、橋で渡れなくなることもあるよう。
宇治川からこの島を眺めた女人の心情と同じような儚い存在なのでしょう。

続きます。

「源氏物語ゆかりの地めぐりの日記」
「源氏物語の日記」

***

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