F&B 腐向け転生パラレル二次創作小説:Rewrite The Stars 6
薄桜鬼 昼ドラオメガバースパラレル二次創作小説:羅刹の檻 10
黒執事 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:碧の騎士 2
天上の愛 地上の恋 転生現代パラレル二次創作小説:祝福の華 10
黒執事 転生パラレル二次創作小説:あなたに出会わなければ 5
YOI火宵の月パロ二次創作小説:蒼き月は真紅の太陽の愛を乞う 2
薄桜鬼 現代ハーレクインパラレル二次創作小説:甘い恋の魔法 7
火宵の月 転生オメガバースパラレル 二次創作小説:その花の名は 10
薄桜鬼異民族ファンタジー風パラレル二次創作小説:贄の花嫁 12
薄桜鬼ハリポタパラレル二次創作小説:その愛は、魔法にも似て 5
天上の愛地上の恋 大河転生パラレル二次創作小説:愛別離苦 0
火宵の月 BLOOD+パラレル二次創作小説:炎の月の子守唄 1
PEACEMAKER鐵 韓流時代劇風パラレル二次創作小説:蒼い華 14
黒執事 異民族ファンタジーパラレル二次創作小説:海の花嫁 1
火宵の月 韓流時代劇ファンタジーパラレル 二次創作小説:華夜 18
火宵の月×呪術廻戦 クロスオーバーパラレル二次創作小説:踊 1
薔薇王韓流時代劇パラレル 二次創作小説:白い華、紅い月 10
薄桜鬼 ハーレクイン風昼ドラパラレル 二次小説:紫の瞳の人魚姫 20
天上の愛地上の恋 転生昼ドラパラレル二次創作小説:アイタイノエンド 6
鬼滅の刃×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:麗しき華 1
火宵の月 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:鳳凰の系譜 1
薄桜鬼腐向け西洋風ファンタジーパラレル二次創作小説:瓦礫の聖母 13
コナン×薄桜鬼クロスオーバー二次創作小説:土方さんと安室さん 6
薄桜鬼×火宵の月 平安パラレルクロスオーバー二次創作小説:火喰鳥 7
天上の愛地上の恋 転生オメガバースパラレル二次創作小説:囚われの愛 8
天上の愛地上の恋 昼ドラ風時代パラレル二次創作小説:綾なして咲く華 2
ツイステ×火宵の月クロスオーバーパラレル二次創作小説:闇の鏡と陰陽師 4
天愛×腐滅の刃クロスオーバーパラレル二次創作小説:夢幻の果て~soranji~ 0
ハリポタ×天上の愛地上の恋 クロスオーバー二次創作小説:光と闇の邂逅 2
火宵の月 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:月の国、炎の国 1
天愛×火宵の月 異民族クロスオーバーパラレル二次創作小説:蒼と翠の邂逅 0
陰陽師×火宵の月クロスオーバーパラレル二次創作小説:君は僕に似ている 3
黒執事×ツイステ 現代パラレルクロスオーバー二次創作小説:戀セヨ人魚 2
黒執事×薔薇王中世パラレルクロスオーバー二次創作小説:薔薇と駒鳥 27
薄桜鬼×刀剣乱舞 腐向けクロスオーバー二次創作小説:輪廻の砂時計 9
火宵の月×薄桜鬼クロスオーバーパラレル二次創作小説:想いを繋ぐ紅玉 54
天上の愛地上の恋 昼ドラ転生パラレル二次創作小説:最愛~僕を見つけて~ 1
バチ官腐向け時代物パラレル二次創作小説:運命の花嫁~Famme Fatale~ 6
FLESH&BLOOD×黒執事 転生クロスオーバーパラレル二次創作小説:碧の器 1
腐滅の刃 平安風ファンタジーパラレル二次創作小説:鬼の花嫁~紅ノ絲~ 1
天愛×薄桜鬼×火宵の月 吸血鬼クロスオーバ―パラレル二次創作小説:金と黒 4
黒執事×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:悪魔と陰陽師 1
火宵の月 戦国風転生ファンタジーパラレル二次創作小説:泥中に咲く 1
火宵の月 地獄先生ぬ~べ~パラレル二次創作小説:誰かの心臓になれたなら 2
PEACEMAKER鐵 ファンタジーパラレル二次創作小説:勿忘草が咲く丘で 9
FLESH&BLOOD ハーレクイン風パラレル二次創作小説:翠の瞳に恋して 20
火宵の月 異世界ファンタジーロマンスパラレル二次創作小説:月下の恋人達 1
天上の愛地上の恋 現代転生パラレル二次創作小説:愛唄〜君に伝えたいこと〜 1
天上の愛地上の恋 現代昼ドラ風パラレル二次創作小説:黒髪の天使~約束~ 3
火宵の月 異世界軍事風転生ファンタジーパラレル二次創作小説:奈落の花 2
天上の愛 地上の恋 転生昼ドラ寄宿学校パラレル二次創作小説:天使の箱庭 5
天上の愛地上の恋 昼ドラ転生遊郭パラレル二次創作小説:蜜愛~ふたつの唇~ 0
天上の愛地上の恋 帝国昼ドラ転生パラレル二次創作小説:蒼穹の王 翠の天使 1
名探偵コナン腐向け火宵の月パラレル二次創作小説:蒼き焔~運命の恋~ 1
FLESH&BLOOD ファンタジーパラレル二次創作小説:炎の花嫁と金髪の悪魔 6
火宵の月 和風ファンタジーパラレル二次創作小説:紅の花嫁~妖狐異譚~ 3
天上の愛地上の恋 昼ドラ風パラレル二次創作小説:愛の炎~愛し君へ・・~ 1
黒執事 昼ドラ風転生ファンタジーパラレル二次創作小説:君の神様になりたい 4
天愛×火宵の月クロスオーバーパラレル二次創作小説:翼がなくてもーvestigeー 2
魔道祖師×薄桜鬼クロスオーバーパラレル二次創作小説:想うは、あなたひとり 2
火宵の月 昼ドラハーレクイン風ファンタジーパラレル二次創作小説:夢の華 0
薄桜鬼腐向け転生刑事パラレル二次創作小説 :警視庁の姫!!~螺旋の輪廻~ 15
FLESH&BLOOD ハーレクイロマンスパラレル二次創作小説:愛の炎に抱かれて 10
PEACEMAKER鐵 オメガバースパラレル二次創作小説:愛しい人へ、ありがとう 8
天上の愛地上の恋 現代昼ドラ転生パラレル二次創作小説:何度生まれ変わっても… 0
薄桜鬼腐向け転生愛憎劇パラレル二次創作小説:鬼哭琴抄(きこくきんしょう) 10
薄桜鬼×天上の愛地上の恋 転生クロスオーバーパラレル二次創作小説:玉響の夢 5
黒執事×天上の愛地上の恋 吸血鬼クロスオーバーパラレル二次創作小説:蒼に沈む 0
天上の愛地上の恋 現代転生ハーレクイン風パラレル二次創作小説:最高の片想い 4
バチ官×天上の愛地上の恋 クロスオーバーパラレル二次創作小説:二人の天使 3
FLESH&BLOOD 現代転生パラレル二次創作小説:◇マリーゴールドに恋して◇ 2
YOI×天上の愛地上の恋 クロスオーバーパラレル二次創作小説:皇帝の愛しき真珠 6
火宵の月×刀剣乱舞転生クロスオーバーパラレル二次創作小説:たゆたえども沈まず 2
薔薇王の葬列×天上の愛地上の恋クロスオーバーパラレル二次創作小説:黒衣の聖母 3
火宵の月×薄桜鬼 和風ファンタジークロスオーバーパラレル二次創作小説:百合と鳳凰 2
薄桜鬼×天官賜福×火宵の月 旅館昼ドラクロスオーバーパラレル二次創作小説:炎の宿 2
薄桜鬼×火宵の月 遊郭転生昼ドラクロスオーバーパラレル二次創作小説:不死鳥の花嫁 1
薄桜鬼×天上の愛地上の恋腐向け昼ドラクロスオーバー二次創作小説:元皇子の仕立屋 2
火宵の月 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:碧き竜と炎の姫君~愛の果て~ 1
F&B×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:海賊と陰陽師~嵐の果て~ 1
F&B×天愛 昼ドラハーレクインクロスオーバ―パラレル二次創作小説:金糸雀と獅子 1
F&B×天愛吸血鬼ハーレクインクロスオーバーパラレル二次創作小説:白銀の夜明け 2
天愛 異世界ハーレクイン転生ファンタジーパラレル二次創作小説:炎の巫女 氷の皇子 1
相棒×名探偵コナン×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:名探偵と陰陽師 1
天愛×火宵の月陰陽師クロスオーバパラレル二次創作小説:雪月花~また、あの場所で~ 0
名探偵コナン×天上の愛地上の恋 クロスオーバーパラレル二次創作小説:碧に融ける 0
全2件 (2件中 1-2件目)
1
素材は、てんぱる様からお借りしました。「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。「長い間、お世話になりました。」 大岩家に奉公する事が決まり、アルフレートは遠縁の叔父夫婦にそう挨拶すると、上座に居た叔母が、彼に金を渡した。「少ないけれど、あんたは働き者だったから、持っておゆき。」「ありがとうございます。」 アルフレートは、叔父達の部屋から出ると、世話になった従業員達と芸妓達に挨拶回りをした。 皆、アルフレートとの別れを惜しみ、中には今生での別れとばかりに大袈裟に泣く者も居た。「碧お嬢様に苛められたら、すぐに帰って来るんだよ。」 鈴駒は、そう言うとアルフレートに竹の皮に包まれた握り飯を手渡した。「これ位しかしてやれないけれど、元気でね。」「はい・・」「翠、お前本当の名はアルフレートというんだね?」 鈴駒の元へと向かったアルフレートの後を密かに尾行していた碧―ルドルフは、そう言うとアルフレートの前に立ちはだかった。「お、お嬢様・・」「これからお前の事をアルフレートと呼ぶよ。」「は、はい・・」「早く来なさい、汽車の時間に遅れてしまいますよっ!」 ルドルフが日焼けしないよう日傘を彼の上にさしていた大岩家の女中頭・きよに怒鳴られ、アルフレートは慌てて彼らの後を追った。(これが、汽車か・・) 駅に停まる汽車を初めて見たアルフレートは、その大きさに圧倒され、暫く汽車の前に立ち尽くしていた。「何を呆けているの、さっさと来なさい。」「は、はい!」「何をそんなに珍しがっているの?ただの汽車じゃないの。」「すいません・・初めて汽車を見たものですから、驚いてしまって・・」「これ位で驚くなんて、田舎者ねぇ。」 ルドルフはそう言ってアルフレートの言葉を鼻で笑うと、汽車の一等席に乗り込んだ。「お前は三等席へおゆき。切符をなくさないようにするんだよ。」「は、はい・・」 アルフレートが乗り込んだ三等席は、狭い座席に乗客達がすし詰め状態になって座っており、汽車が動く度に乗客たちの間から悲鳴と怒号が上がった。 汽車が東京に着くまで、アルフレートは鈴駒が作ってくれた握り飯を少しずつ食べた。「酷い顔をしているわね。」 走る蒸し風呂と化した三等席から辛うじてホームへと吐き出されたアルフレートを見たルドルフは、そう言って笑うと彼に自分の旅行鞄を手渡した。「これにはわたしの全財産が入っているから、失くしたら承知しないよ。」「は、はい!」 駅舎を出たルドルフ達を出迎えたのは、大岩家の家紋が入った車だった。「碧お嬢様、その子は・・」「あぁ、この子はわたしの世話係となった、アルフレートよ。アルフレート、お前は先に車にお乗り。」「え、いいんですか?」「さ、さっさと乗ってわたしをエスコートして頂戴。」 アルフレートはルドルフに言われるがままに、車の中へと乗り込むと、ルドルフが苛立ったような顔を彼に向けて来た。「あ、あのぅ・・」「“エスコート”も知らないなんて、本当に田舎者だねぇ、お前は。」 ルドルフは不快そうに鼻を鳴らすと、振袖の裾を摘まんで車の中へと乗り込んでいった。「頭が痒くて嫌になる。」「お家に着くまでの辛抱でございますよ、お嬢様。」 シャラシャラと、ルドルフがその頭を振る度に、美しい銀細工の簪が華奢な音を立てた。「もう桃割れを結うのは飽きたわ。お姉様にマガレイトでも結って貰おうかしら?」「それが良いでしょうね、お嬢様。」「あの、お嬢様・・」「なぁに?」「お屋敷に着いたら、僕は何をすればいいでしょうか?」「そんなの、自分で考えなさいな。」「は、はぁ・・」 やがて、ルドルフ達が乗った車は、白亜の宮殿を思わせるかのような美しい邸宅の前に停まった。「お帰りなさいませ、ルドルフ様。」「ただいま。ロシェク、お祖母様は?」「大奥様は、離れにいらっしゃいます。」「そう。」 車から降りたルドルフは、彼の執事・ロシェクと共に離れへと向かった。「あの・・」「この旅行鞄を、お嬢様のお部屋へ運んでおいておくれ。」「は、はい・・」 きよにルドルフの旅行鞄を押し付けられたアルフレートは、大岩家の玄関ホールで呆然と立ち尽くしていた。 誰かにルドルフの部屋の場所を尋ねようとしたが、使用人達は皆忙しく働いていて、声を掛けようとしても何処かへ行ってしまう。(どうしよう・・)「あら、貴方が、ルドルフが連れて来た子?」「は、はい・・僕、アルフレート=フェリックスといいます。」「わたしは百合子。本当の名前はジゼルというけれど、しきたりでこの家ではみんな和名で呼んでいるの、よろしくね、アルフレート。」「よろしくお願い致します、百合子お嬢様。」「二人きりの時は、ジゼルと呼んでいいわよ。」「ジゼル様、碧お嬢様のお部屋に行きたいのですが、案内して頂けないでしょうか?」「いいわよ。」 百合子―ルドルフの姉・ジゼルは、アルフレートをルドルフの部屋まで案内している間、色々な事をアルフレートに話した。「アルフレート、弟の事を、許してやって頂戴ね。あの子は、この家の唯一の跡取りだから、周りが神経過敏になってしまうの。その所為で、貴方に我儘を言ったり、困らせるような事を言ったりするかもしれないわ。でも、どんな事があっても貴方だけは、あの子の、弟の味方でいてやって頂戴。」「弟・・碧お嬢様の事ですか?」「ええ、そうよ。弟は―ルドルフは、家のしきたりで20を迎えるまで女装をしなくてはいけないの。」「しきたり?この家は呪われているという噂を聞いた事があるのですが・・」「その噂は本当よ。この家は、正確に言うとこの家の跡取りは皆、20を迎える前に亡くなっているの。」 ジゼルによれば、大岩家に産まれた男子は、20を迎える前に“何らかの形”で亡くなる者が多かったのだという。 このままでは家が滅んでしまうと危惧を抱いたジゼルとルドルフの祖母・厳子(いつこ)ことゾフィーは、大岩家の男子には、“鬼の血の呪い”をかけられているという事がわかった。 その呪いを退ける為、20を迎えるまで魔除けとしてルドルフを女装させる事に気づいたゾフィーは、本人や家族の意思を無視し、“しきたり”という口実でルドルフに女装を強いたのだった。「“鬼の血の呪い”?」「詳しくはわからないのだけれど、お母様の家系には、そういった血が流れているんですって。」「そう・・なんですか・・」 アルフレートがそう言って溜息を吐いた時、離れから耳を劈くかのような悲鳴が聞こえて来た。「誰か、誰か来てぇ、大奥様が~!」「何、一体何があったの!?」「碧お嬢様が、大奥様の目を・・」 ジゼルとアルフレートが離れへと向かうと、そこには片目を押さえて畳の上をのたうち回るゾフィーと、血塗れの簪を握り締めながらそんな祖母を冷たく見下ろしているルドルフの姿があった。 その数時間前、ルドルフはゾフィーに呼ばれ、彼女の居る離れへと向かった。「ルドルフ、最近のお前の行動は目に余ります。これまでにお前は何人も女中を辞めさせたと思って・・」「酷い事をおっしゃるのね、お祖母様。あの子達がわたしの癇に障るような事を言ったとは思わないの?」 そう言って自分を睨みつけるように見るルドルフは、9歳の幼子とは思えない程、恐ろしかった。「あぁ、やっぱりお前・・鬼弓家(ヴィッテルスバッハ家)の血をひいているわ!」「うるさい、糞婆。」 氷のような冷たく光る蒼い瞳でゾフィーを睨みつけたルドルフは、徐に髪を飾っていた一本の簪を抜き取った。「ひぃ、何をするつもり・・やめてっ!」「大奥様、お茶を・・きゃぁぁ~!」 ゾフィーは一命を取り留めたが、その後風邪をこじらせ、肺炎に罹って呆気なく亡くなってしまった。―大奥様が・・―まさか、こんなに呆気なく亡くなられるなんて・・―呪われているのよ、この家は。「アルフレート、何処に居るの?」「お嬢様、僕に何かご用でしょうか?」「髪を編み込みにしておくれ。」「わ、わかりました・・」 アルフレートが恐る恐るルドルフの金褐色の髪を櫛で梳いていると、ルドルフが鏡越しに彼を睨みつけて来た。「早くしなさいよ、この愚図!」「も、申し訳ございませんっ!」「もういいわよ、この役立たずっ!」 ルドルフはそう叫ぶと、アルフレートの頬を平手打ちした。「ルドルフ様、あの・・」「何なのよ、もう嫌っ!」 突然癇癪を起こしたルドルフは、そう叫ぶと鏡台の近くに置いてあった鋏を掴んでそれを振り回し始めた。「お嬢様、落ち着いて下さいっ!」「うるさい、うるさい!」 ルドルフと揉み合ったアルフレートは、その弾みで彼を突き飛ばしてしまった。「大丈夫ですか?」「うっ・・」「碧お嬢様、どうかなさいましたか?」「アルフレートが、わたしをぶった~!」 ルドルフは嘘泣きをしながら、涙で蒼い瞳を濡らしてアルフレートを睨むと、彼の胸を拳で叩いた。「わたしの事が嫌いだからって、酷い!」「碧お嬢様に何という事を!」「違います、僕は・・」「誰か、この子を蔵へ連れて行きなさい!」 アルフレートは必死に誤解を解こうとしたが、きよによって彼は蔵へと放り込まれた。 蔵は、埃が舞って暗く、何処か薄気味悪い場所だった。「アルフレート、食事を持って来たよ。」「ありがとうございます、ルドルフ様・・あの、どうしてあのような事を・・」「お前を試したのよ。今までわたしの元へやって来た子達は一日で辞めたけれど、お前は骨がありそうで安心したわぁ、これから苛め甲斐があるもの。」 そう言ってルドルフが笑った時、彼に牙のようなものがある事にアルフレートは気づいた。「アルフレート、ここではわたしに逆らわない方が身の為だよ。まぁ、お前はわたしが思っているよりもずっと、頭が良さそうだから、わたしが言っている意味、わかるわね?」「は、はい・・」「きよにはわたしの方から言っておくから、お前は一晩中そこで反省しておくんだね。」 そう言って蔵から出たルドルフの前に、彼の愛犬・アレクサンダー(黒)がやって来た。「おいで黒、部屋に戻ったらお菓子をあげようね。」にほんブログ村二次小説ランキング
2024年09月17日
コメント(0)
素材は、てんぱる様からお借りしました。「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。「不細工だな、お前。」「ひぃ、ごめんなさい。」「お前はもう要らない。」そう言った少女はくるりと背を世話役の女中に向けると、彼女の鼻先で襖を閉めた。―聞いたかい?あの家でまた女中が辞めたそうだよ。―これで何度目かねぇ?―まぁ、あそこの家は、呪われているから。「アルフレート、何こんな所で油売っているんだい、この穀潰しが!」「す、すいませんっ!」「まったく、何だってあの人達は・・」両親を流行病で亡くし、孤児となったアルフレートは、遠縁の親族が営む料亭で休む暇なく働いていた。経営者の親族はアルフレートに辛く当たったが、料亭の従業員達や料亭へ出入りする芸妓達には良くして貰っていた。「翠彦、また女将さんに苛められたんだろう?」“アルフレート”という名が長いので、アルフレートは彼女達から、“翠彦(あきひこ)”、“翠(あき)の字”と呼ばれていた。「僕が、悪いから・・」「そんなに自分を苛めちゃ駄目だよ。あぁそうだ、これをあげようね。」そう言って芸妓・鈴駒(すずこま)が懐から取り出したのは、何かが入った袋だった。「あの、これは・・」「お菓子よ。一人になった時に食べてね。女将さんに見つからないようにね。」「ありがとうございます。」「お礼は要らないわ。さ、早く仕事に戻って。」アルフレートは鈴駒から菓子が入った袋を受け取り、それを大切そうに懐にしまうと、調理場へと向かった。「翠彦、丁度良い所に来た!これを“松の間”へ運んどくれ!」「はい!」アルフレートが“松の間”へと料理を運んでいると、中庭の方から男の悲鳴が聞こえた。(今のは・・)“松の間”に料理を運んだ後、アルフレートが中庭へと向かうと、太い松の木の根元に、男が喉を掻っ切って死んでいた。その男の前に、一人の少女が立っていた。真紅の振袖を着て、金褐色の髪を桃割れに結い、豪奢な簪で飾った彼女は、鋭利な刃物を思わせるかのような蒼い瞳でアルフレートを見つめて来た。「お前・・」「その人、死んで・・」少女の白い肌に、男の返り血と思しきものが飛び散っていた。「お前、見た所ここで働いている小僧だね?名前は?」「ぼ、僕は・・翠(あきら)ですけど・・」「ひっ、人が死んでるっ!」「あの人、確か、うちの得意先の大岩さんじゃ・・」「碧(あおい)お嬢様!」アルフレートの背後から野太い男の声がした後、少女の前に一人の男が現れた。その男は厳つい顔をしていて、その上長身なので、彼に睨まれたアルフレートは恐怖の余りその場に尻餅をついてしまった。「お前は、ここの子供だな?一体何を見た?」「僕は・・」「いい加減にして下さい、吉田大佐!碧お嬢様が怖がっているじゃありませんか!」いつの間にか少女の周りには数人の女性達が少女を守るかのように取り囲み、男を睨みつけていた。「だがな・・」「碧お嬢様!?」気を失っていた少女は目を覚ますなり、甲高い悲鳴を上げた。「あの人・・急に、喉を・・翠、あなたも見たわよね?」縋るような目で少女に見つめられ、そう尋ねられたアルフレートは、咄嗟に嘘を吐いてしまった。「は、はい・・」「さ、碧お嬢様をここからお連れしないと!」「誰か、お医者様を!」「お嬢様、大丈夫ですからね!」少女と彼女を取り囲んでいた大人達は、その場から立ち去った。アルフレートは少女と擦れ違った時、彼女が笑っているように見えた。(え?)男の死体が松の木の根元で見つかってから、数日が経った。「災難だったねぇ、あんたも。あんなものを見ちまったなんて。」「鈴駒さん、あの女の子は誰なんですか?ほら、金褐色の髪をした・・」「あぁ、碧お嬢様の事?あの方は、大岩家のお嬢様だよ。可愛らしい顔をして、気性が激しくてねぇ、何人もあの子の所為で辞めさせられたって噂で聞いているよ。それに・・あの家は呪われているからねぇ・・」「呪われている?」アルフレートがそう言った時、彼の遠縁の叔母が血相を変えて使用人部屋に入って来た。「アルフレート、大変だよ!」「アルフレート=フェリックス殿、碧お嬢様の命により、あなたをお迎えに上がりました。」訳も分からず、アルフレートは馬車に揺られながら、高台にある大岩邸へとやって来た。「碧お嬢様、例の者を連れて参りました。」「入って頂戴。」「し、失礼致します・・」アルフレートが少女の部屋の襖を開けて中に入ると、そこには黒くて大きな犬が居たので、思わず彼は悲鳴を上げてしまった。「来たのね。」「あ、あの・・」「お前、あの時の事を話してないわよね?」「は、はい・・でも、自殺なんて許されない・・」「嘘吐きのお前も、神様はお許しにならないんじゃないの?ねぇ、お前は何処から見ていたの?」少女はそう言うと、鋭い眼光でアルフレートを睨んだ。「僕、帰ります・・」「勝手な事は許さないよ。お前はわたしと一緒に東京へ行くのよ。」にほんブログ村二次小説ランキング
2024年08月17日
コメント(0)
全2件 (2件中 1-2件目)
1