F&B 腐向け転生パラレル二次創作小説:Rewrite The Stars 6
薄桜鬼 昼ドラオメガバースパラレル二次創作小説:羅刹の檻 10
黒執事 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:碧の騎士 2
天上の愛 地上の恋 転生現代パラレル二次創作小説:祝福の華 10
黒執事 転生パラレル二次創作小説:あなたに出会わなければ 5
YOI火宵の月パロ二次創作小説:蒼き月は真紅の太陽の愛を乞う 2
薄桜鬼 現代ハーレクインパラレル二次創作小説:甘い恋の魔法 7
火宵の月 転生オメガバースパラレル 二次創作小説:その花の名は 10
薄桜鬼異民族ファンタジー風パラレル二次創作小説:贄の花嫁 12
薄桜鬼ハリポタパラレル二次創作小説:その愛は、魔法にも似て 5
天上の愛地上の恋 大河転生パラレル二次創作小説:愛別離苦 0
火宵の月 BLOOD+パラレル二次創作小説:炎の月の子守唄 1
PEACEMAKER鐵 韓流時代劇風パラレル二次創作小説:蒼い華 14
黒執事 異民族ファンタジーパラレル二次創作小説:海の花嫁 1
火宵の月 韓流時代劇ファンタジーパラレル 二次創作小説:華夜 18
火宵の月×呪術廻戦 クロスオーバーパラレル二次創作小説:踊 1
薔薇王韓流時代劇パラレル 二次創作小説:白い華、紅い月 10
薄桜鬼 ハーレクイン風昼ドラパラレル 二次小説:紫の瞳の人魚姫 20
天上の愛地上の恋 転生昼ドラパラレル二次創作小説:アイタイノエンド 6
鬼滅の刃×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:麗しき華 1
火宵の月 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:鳳凰の系譜 1
薄桜鬼腐向け西洋風ファンタジーパラレル二次創作小説:瓦礫の聖母 13
コナン×薄桜鬼クロスオーバー二次創作小説:土方さんと安室さん 6
薄桜鬼×火宵の月 平安パラレルクロスオーバー二次創作小説:火喰鳥 7
天上の愛地上の恋 転生オメガバースパラレル二次創作小説:囚われの愛 8
天上の愛地上の恋 昼ドラ風時代パラレル二次創作小説:綾なして咲く華 2
ツイステ×火宵の月クロスオーバーパラレル二次創作小説:闇の鏡と陰陽師 4
天愛×腐滅の刃クロスオーバーパラレル二次創作小説:夢幻の果て~soranji~ 0
ハリポタ×天上の愛地上の恋 クロスオーバー二次創作小説:光と闇の邂逅 2
魔道祖師×薄桜鬼クロスオーバーパラレル二次創作小説:想うは、あなたひとり 1
火宵の月 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:月の国、炎の国 1
天愛×火宵の月 異民族クロスオーバーパラレル二次創作小説:蒼と翠の邂逅 0
陰陽師×火宵の月クロスオーバーパラレル二次創作小説:君は僕に似ている 3
黒執事×ツイステ 現代パラレルクロスオーバー二次創作小説:戀セヨ人魚 2
黒執事×薔薇王中世パラレルクロスオーバー二次創作小説:薔薇と駒鳥 27
薄桜鬼×刀剣乱舞 腐向けクロスオーバー二次創作小説:輪廻の砂時計 9
火宵の月×薄桜鬼クロスオーバーパラレル二次創作小説:想いを繋ぐ紅玉 54
天上の愛地上の恋 昼ドラ転生パラレル二次創作小説:最愛~僕を見つけて~ 1
バチ官腐向け時代物パラレル二次創作小説:運命の花嫁~Famme Fatale~ 6
FLESH&BLOOD×黒執事 転生クロスオーバーパラレル二次創作小説:碧の器 1
腐滅の刃 平安風ファンタジーパラレル二次創作小説:鬼の花嫁~紅ノ絲~ 1
天愛×薄桜鬼×火宵の月 吸血鬼クロスオーバ―パラレル二次創作小説:金と黒 4
黒執事×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:悪魔と陰陽師 1
火宵の月 戦国風転生ファンタジーパラレル二次創作小説:泥中に咲く 1
火宵の月 地獄先生ぬ~べ~パラレル二次創作小説:誰かの心臓になれたなら 2
PEACEMAKER鐵 ファンタジーパラレル二次創作小説:勿忘草が咲く丘で 9
FLESH&BLOOD ハーレクイン風パラレル二次創作小説:翠の瞳に恋して 20
火宵の月 異世界ファンタジーロマンスパラレル二次創作小説:月下の恋人達 1
天上の愛地上の恋 現代転生パラレル二次創作小説:愛唄〜君に伝えたいこと〜 1
天上の愛地上の恋 現代昼ドラ風パラレル二次創作小説:黒髪の天使~約束~ 2
火宵の月 異世界軍事風転生ファンタジーパラレル二次創作小説:奈落の花 2
天上の愛 地上の恋 転生昼ドラ寄宿学校パラレル二次創作小説:天使の箱庭 5
天上の愛地上の恋 現代昼ドラ転生パラレル二次創作小説:何度生まれ変わっても… 0
天上の愛地上の恋 昼ドラ転生遊郭パラレル二次創作小説:蜜愛~ふたつの唇~ 0
天上の愛地上の恋 帝国昼ドラ転生パラレル二次創作小説:蒼穹の王 翠の天使 1
名探偵コナン腐向け火宵の月パラレル二次創作小説:蒼き焔~運命の恋~ 1
FLESH&BLOOD ファンタジーパラレル二次創作小説:炎の花嫁と金髪の悪魔 6
火宵の月 和風ファンタジーパラレル二次創作小説:紅の花嫁~妖狐異譚~ 3
天上の愛地上の恋 昼ドラ風パラレル二次創作小説:愛の炎~愛し君へ・・~ 1
黒執事 昼ドラ風転生ファンタジーパラレル二次創作小説:君の神様になりたい 4
火宵の月 昼ドラハーレクイン風ファンタジーパラレル二次創作小説:夢の華 0
薄桜鬼腐向け転生刑事パラレル二次創作小説 :警視庁の姫!!~螺旋の輪廻~ 15
FLESH&BLOOD ハーレクイロマンスパラレル二次創作小説:愛の炎に抱かれて 10
PEACEMAKER鐵 オメガバースパラレル二次創作小説:愛しい人へ、ありがとう 8
天愛×火宵の月クロスオーバーパラレル二次創作小説:翼がなくてもーvestigeー 2
薄桜鬼腐向け転生愛憎劇パラレル二次創作小説:鬼哭琴抄(きこくきんしょう) 10
薄桜鬼×天上の愛地上の恋 転生クロスオーバーパラレル二次創作小説:玉響の夢 5
黒執事×天上の愛地上の恋 吸血鬼クロスオーバーパラレル二次創作小説:蒼に沈む 0
天愛×F&B 昼ドラ転生ハーレクインクロスオーパラレル二次創作小説:獅子と不死鳥 1
天上の愛地上の恋 現代転生ハーレクイン風パラレル二次創作小説:最高の片想い 4
バチ官×天上の愛地上の恋 クロスオーバーパラレル二次創作小説:二人の天使 3
FLESH&BLOOD 現代転生パラレル二次創作小説:◇マリーゴールドに恋して◇ 2
YOI×天上の愛地上の恋 クロスオーバーパラレル二次創作小説:皇帝の愛しき真珠 6
火宵の月×刀剣乱舞転生クロスオーバーパラレル二次創作小説:たゆたえども沈まず 2
薔薇王の葬列×天上の愛地上の恋クロスオーバーパラレル二次創作小説:黒衣の聖母 3
火宵の月×薄桜鬼 和風ファンタジークロスオーバーパラレル二次創作小説:百合と鳳凰 2
薄桜鬼×天官賜福×火宵の月 旅館昼ドラクロスオーバーパラレル二次創作小説:炎の宿 2
薄桜鬼×火宵の月 遊郭転生昼ドラクロスオーバーパラレル二次創作小説:不死鳥の花嫁 1
天愛×火宵の月陰陽師クロスオーバパラレル二次創作小説:雪月花~また、あの場所で~ 0
薄桜鬼×天上の愛地上の恋腐向け昼ドラクロスオーバー二次創作小説:元皇子の仕立屋 2
火宵の月 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:碧き竜と炎の姫君~愛の果て~ 1
F&B×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:海賊と陰陽師~嵐の果て~ 1
F&B×天愛 昼ドラハーレクインクロスオーバ―パラレル二次創作小説:金糸雀と獅子 1
天愛 異世界ハーレクイン転生ファンタジーパラレル二次創作小説:炎の巫女 氷の皇子 0
相棒×名探偵コナン×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:名探偵と陰陽師 1
F&B×天愛吸血鬼ハーレクインクロスオーバーパラレル二次創作小説:白銀の夜明け 2
名探偵コナン×天上の愛地上の恋 クロスオーバーパラレル二次創作小説:碧に融ける 0
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「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。両性具有·男性妊娠設定あり、苦手な方はご注意ください。二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。(一体誰が総帥に毒を・・?)「父上の容態は?」「頑健な方なので、治療の甲斐があって現在は容態が安定しています。一週間もしたら退院できるでしょう。」「ありがとうございました。」ルドルフは父の治療をした医師から説明を受けた後、隣に立っていたアルフレートが突然苦しそうに呻いている事に気づいた。「アルフレート、どうした?」「すいません・・これは・・何でもありません・・大丈夫・・ですから・・」アルフレートは額に脂汗を浮かべながらその場に倒れた。―アルフレート・・誰かに呼ばれたような気がしてアルフレートが辺りを見渡すと、そこには“昔”の幼馴染・ローザの姿があった。「ローザ、どうして・・」―ルドルフ様の手を、今度こそ離しちゃ駄目よ。ローザはそう言うと、アルフレートに微笑んで消えた。「ローザ、待って!」「気が付いたかい、アルフレート?」「あなたは、どうして・・」アルフレートは、自分の前に立っているかつての仇敵の姿を見て驚いた。「わたしはここで医師をしているんだ。それにしても、“ルドルフ皇太子”は相変わらずお前に対して異常なまでに過保護だね。お前が重い生理痛で苦しんでいるだけだと言っているのに、お前は信用できないと言われてね・・」ベルトルト=バーベンブルクは、そう言うと溜息を吐いた。「そう、ですか・・」アルフレートは、生まれつき男と女、両方の性を併せ持っている。初潮を迎え、膨らみ始めた胸を晒しできつく巻いて目立たないようにして戦場に立っていたアルフレートだったが、内腿を伝う生温かい体液とそれに伴う鈍痛だけはどうしても周囲に隠す事は出来なかった。半陰陽として生まれた者は、貴族の慰み者として高値で取引されるか、夜の世界で死ぬまで“商品”として扱われるかの、どちらかの人生しかなかった。しかしアルフレートは養い親が彼の身体の秘密を守ってくれたので、“普通の男性”として生きて来た。戦争が始まるまでは。戦場では半陰陽や女性の兵士が居たが、彼らの多くは前線には立たず、軍上層部の愛人として彼らの寝所に侍るだけの、低い立場に居た。アルフレートは己を守る為護身術を学び、厳しい訓練にも耐えた。しかし、戦場に出た彼は仲間を庇って負傷し、敵の捕虜になってしまった。そこで―敵軍の収容所で彼を待っていたものは、終わりなき悪夢と屈辱の日々だった。「アルフレート、大丈夫か?」「はい・・」「痛み止めを一週間分出しておくから、ちゃんと飲んでおくんだよ。」バーベンブルクはそう言った後、診察室から出て行った。「ルドルフ様、心配をお掛けしてしまって申し訳ありません。」「謝るな。」病院からハプスブルク邸へと帰る車の中で、ルドルフとアルフレートの間に気まずい空気が流れた。「バーベンブルクとお前は、一体どんな関係なんだ?」「彼は軍医で、わたしが敵軍の収容所から救出された時にわたしを診察してくれただけです。」「そうか。」「ルドルフ様、わたしは・・」「もう生理痛は酷くないか?」「はい。さっき痛み止めの薬を飲みましたから、少しはマシになりました。」「そうか。余り無理をするなよ。」「はい・・」その日の夜、アルフレートは中々眠れずに部屋から出て音楽室へと向かおうとした時、ルドルフの部屋のドアの隙間から灯りが漏れている事に気づいた。(ルドルフ様、こんな時間まで何を・・)「そうか、ありがとう、遅くまで済まなかったな。」どうやら、彼は仕事をしていたらしい。「ルドルフ様、入ってもよろしいでしょうか?」「入れ。」「失礼します。」アルフレートがルドルフの部屋に入ると、机の上には仕事の資料が広げられていた。「こんな夜遅くまで、お仕事ですか?」「あぁ。最近、プラハの方で労働環境の改善を求めるストライキの所為で工事が遅れているらしい。近々、プラハへ行かなければならないな。」「そうですか・・」「一緒に来ないか?」「え?」「別にいいだろう。」「は、はい・・」アルフレートは、ルドルフと共にプラハへ向かう事になった。「あの、ルドルフ様、本当にいいのですか?」「いいに決まっているだろう。」旅行客でごった返しているウィーン中央駅で、ルドルフはそう言いながらアルフレートと逸れぬよう、彼と手を繋いだ。「ルドルフ様!?」“昔”と同じように、ルドルフは今も世界的に有名な財閥の御曹司で、有名人だ。そんな彼が、同性である自分と手を繋いでいる所をマスコミに見られてでもしたら・・「アルフレート?」「ルドルフ様、わたしは・・」「周りの目など、気にするな。」プラハに着いた二人は、ルドルフが購入した邸宅でプラハ滞在中に過ごす事になった。「ルドルフ様、この邸は・・」「お前を暮らす筈だった新居だ。」「そ、そうですか・・」「お前、何故顔を赤くしている?」「え・・あの・・シャワー浴びて来ますっ!」アルフレートはそう言うと、浴室へと入って行った。(何で、今更緊張するんだろう・・)アルフレートがシャワーを浴びている間、ルドルフは彼のシャンパンに睡眠薬を入れていた。彼は、病院でバーベンブルクと交わした会話の事を思い出していた。“半陰陽ならば、アルフレートは子供を産めるのか?”“ええ。”“そうか・・”「ルドルフ様?」「シャンパン、飲むか?」「はい。」アルフレートを永遠に自分のものにする為には、どうすれば良いのかルドルフは考え、ある結論に達した。それは―にほんブログ村二次小説ランキング
2024年09月06日
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「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。両性具有·男性妊娠設定あり、苦手な方はご注意ください。二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。性描写が含まれます、苦手な方はご注意ください。「実は・・」アルフレートはカロルスに、ルドルフの出張に秘書として同行する事になったと報告すると、彼はこう言って来た。『そうか。では、お前はその息子を一週間の間、骨抜きにするんだ。父親の方はガードが堅そうだから、息子を先に陥落すんだ、いいね?』「はい・・」『アルフレート、お前には期待しているよ。わたしを失望させないでくれ。』「わかりました・・」カロルスとの通話を終えた後、アルフレートが深い溜息を吐いてトイレの個室から出ようとした時、誰かに口を塞がれ、別の個室へと引き摺り込まれた。「少し様子がおかしいと思ったら、そういう事か。」「ルドルフ様・・」アルフレートが振り向くと、そこにはルドルフの姿があった。「わたしに近づいて来る人間は、大抵裏がある。まぁ、予想はしていたが、お前が父上の命を狙う刺客だったとはね。」「わたしを、殺しますか?」「いいや。ここで、お前がどんな立場なのかを思い知らせてやる。」「いや・・」アルフレートから逃げようとすると、ルドルフは彼の腕を掴んで自分の方へと引き寄せた。噛みつくかのような荒々しいキスをされ、アルフレートの身体は何故か反応してしまった。(こんなの・・変・・)「力を抜け。」ルドルフの手が自分のスラックスのチャックとベルトにかかったのを見たアルフレートは身を捩って暴れたが、無駄だった。暫くすると、自分の中にルドルフのモノが入って来るのをアルフレートは感じ、思わず呻いた。戦場に居た頃、こんなものよりももっと酷い事をされた。(何も考えるな。)アルフレートが只管ルドルフの責めに耐えていると、何も反応しない彼にルドルフは苛立ったのか、アルフレートの奥をしつこく責め立てた。「うあっ!」ゴリ、と、内臓を激しく圧迫するかのような感覚と共に、激しい快感がアルフレートを襲った。「ここが、いいのか?」「そんな事は・・あぁっ!」「こんなにわたしのものを締め付けてくるのに、素直じゃないな。これでどうだ?」ルドルフはアルフレートと身体を繋げたまま身体を反転させ、彼を奥深く貫いた。「これでお前はわたしのものだ。」そう言って自分の耳元で囁いたルドルフの言葉を聞いたアルフレートは、意識を失って倒れた。―裏切り者!ルドルフがアルフレートを酷く抱いたのは、彼がプラハに戻る前夜の事だった。アルフレートが自分を凌辱し、オーストリアの国家転覆を企む仇敵・ベルトルト=バーベンブルクを庇い、自分を裏切ったから、ルドルフは彼を犯した。そして―「ん・・」アルフレートが目を覚ますと、そこは見慣れぬ部屋のベッドの上だった。「気が付いたか?」「ここは・・」「わたしが贔屓にしているホテルのスイートルームだ。お前を苛め過ぎたから、ここへわたしがお前を連れて来た。」「ありがとうございます。もう大丈夫なので・・」「勝手な真似は許さない。お前はわたしと日本へ行くんだ。」―勝手な真似は許さないよ。君は僕とウィーンへ行くんだ。「わかりました・・」数日後、アルフレートはルドルフと共に日本へと向かった。日本に滞在している間、アルフレートは商談とパーティーの時以外は、ルドルフに抱かれた。「お願い、あぁ・・」「わたしを、裏切るな・・」「ルドルフ様?」自分の頬が濡れている事に気づき、アルフレートがルドルフを見ると、彼は蒼い瞳から真珠のような涙を流していた。―あいつは一度死んじまった、お前がウィーンを去った時からな。アルフレートの脳裏に、ヨハン=サルヴァトールの言葉が甦った。「わたしを裏切るな、わたしを置いていくな、わたしを独りにするな・・」(嗚呼、やっと言えた・・) アルフレートを“あの時”、己の誇りと気位の高さ故に引き留められなかった。長い時を経て、漸くルドルフは“あの時”言えなかった言葉をアルフレートに伝える事が出来た。「大丈夫ですよ、わたしは何処にも行きませんから。」「離れるな・・絶対に離さないから。」まるで、二人は獣のように互いの身体を貪り合い、互いに果てた時には空が白み始めていた。「ルドルフ様、起きて下さい。」「おはよう、アルフレート。」「コーヒーです、どうぞ。」アルフレートからコーヒーを受け取ったルドルフはそれを一口飲んだ。「ルドルフ様、ひとつお聞きしたい事があるのですが・・」「何だ?」「ルドルフ様には、前世の記憶というものを信じますか?」「前世の記憶?」「はい。オカルトめいたものかもしれませんが、昔―自分が生まれる前の記憶を持っている人が居るんです。すいません、変な事を言ってしまって・・」「いや、謝らなくていい。わたしにはそういったものではっきりとしたものはないが、お前に会ってから最近変な夢を見るようになった。」「変な夢?」「お前と瓜二つの顔をした司祭が出て来た。」「そう、ですか・・」「その司祭は、何処か嬉しそうな顔をして、“あなたは、幸せなのですね”と、わたしに言うんだ。その夢を見た後、いつもわたしは泣いているんだ。どうしてなのか、わからない・・」(ルドルフ様は、まだ全ての記憶を思い出されていない。)「わからない事は、わからないままでいいのですよ。」「そうか・・」「まだ時間がありますから、寝ましょう。」「あぁ・・」ルドルフの背を、アルフレートはまるで幼子をあやすかのように優しく叩くと、眠りに落ちた。翌朝、二人がホテルを出てタクシーで空港へと向かっていると、ルドルフのスマートフォンが鳴った。「もしもし、わたしだ。父上が、倒れた!?」(総帥が倒れられたなんて、どうして・・)ウィーンに着いた二人は、フランツが集中治療室に入っている事を知った。「どうやら、飲物に何らかの毒物が混入されたようです。」「毒物?」にほんブログ村二次小説ランキング
2024年09月05日
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「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。両性具有·男性妊娠設定あり、苦手な方はご注意ください。二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。アルフレートは、青年の反応を見て、彼が“記憶”を持っていない事に気づいた。そして今、自分が不味い状況に置かれている事に気づいたアルフレートは、咄嗟に誤魔化した。「この前、ポロの大会でお見かけしたので・・」「そうか。」青年―ルドルフは、アルフレートの言葉を聞いた後、そのまま彼に背を向けて部屋から出て行った。「ごめんなさいね、兄は人見知りな所があって、特に初対面の相手には父の事で色々と神経質になっている所があって・・」「旦那様の事で?」「最近、父は命を狙われているの。ほら、何年か前に大規模なテロがあったでしょう?」「えぇ、確か爆破テロの現場には旦那様がいらっしゃる予定の筈でしたが、急に予定を変更されて難を逃れたとか・・」「でも、その爆破テロで三十人も亡くなったわ。あれ以来、父は塞ぎ込んでしまって、兄は兄で仕事や大学で忙しくしていて、殆んど家に帰って来なくなってしまったわ。」「そうでしたか・・」「マリア=ヴァレリー、そちらの方がフランツの新しい秘書の方?」「はじめまして、アルフレート=フェリックスと申します。」「エリザベートよ。フランツはわたしの事を、“シシィ”と呼ぶのよ。これからよろしくね、アルフレート。」「よろしく、お願いします・・」(いつまでも、昔の事を引き摺ってはいけないか・・)部屋のベッドで何度目かの寝返りを打った後、アルフレートは溜息を吐いてベッドから起き上がった。部屋から出て廊下を歩いていると、空に浮かぶ月が明るい事に気づいた。そういえば、“昔”もこんな月が浮かぶ夜に、ルドルフと―(いけない、もうあの方はいらっしゃらない。あの方は、わたしを置いて逝ってしまった。)前世の記憶なんか、持っていても意味が無いのに―そんな事を思いながらアルフレートは、何処からかピアノの音色が聞こえて来る事に気づき、まるで何かに惹き寄せられるかのように、ピアノの音色が聞こえる方へと向かった。そこには、静かにピアノを弾いているルドルフの姿があった。(この曲・・)―アルフレート、どうした?ピアノの音色に誘われ、アルフレートがルドルフの私室に入ると、そこにはベートーヴェンの『月光』を弾いている彼の姿があった。―月が綺麗だったからな。そう言った彼の横顔は、少し寂しそうに見えた。―アルフレート、わたしもオットー殿のようになるのだろうか?―ルドルフ様・・祖母や母から受け継いだ、呪われた血。―わたしも彼らと同じ・・―大丈夫です、あなたは・・“狂気”という血の呪いに怯えるルドルフを、そっと優しく抱き締めたあの夜の事を、未だにアルフレートは思い出してしまう。もう、“彼”は居ないのに。「何か、わたしに用か?」「いえ・・ピアノの音が聞こえて来たので、つい・・」「お前も弾くのか?」「いいえ、親しくしていた方が時々その曲を弾かれていたので・・」あの日、雪舞う夜に一人で“異界”へと旅立った“彼”と再会したのは、南米での事業が軌道に乗り、本社をNYに構えた日の夜の事だった。その日も、雪が降っていた。―ルドルフ様!?ベッドから居なくなったルドルフをアルフレートが捜していると、彼は雪化粧が施されたセントラルパークに居た。―こんな所に居ては、風邪をひきますよ。アルフレートがそう言いながらルドルフに厚手の上着を羽織らせようとした時、ルドルフがアルフレートを己の方へと引き寄せ、アルフレートの唇を奪った。そして彼は、涙で潤んだ瞳でアルフレートを見つめ、こう言った。―アルフレート、ただいま。「どうして、泣いている?」「すいません、辛い事を思い出してしまって・・」アルフレートは乱暴に手の甲で涙を拭いながら、音楽室を後にした。「っ・・」部屋に戻り、枕に顔を埋めた後、アルフレートは嗚咽した。(馬鹿だな、あの人は、わたしが知るルドルフ様ではないのに・・)―アルフレート・・それでも、捜してしまう。愛した人の面影を。(もう、やめよう・・辛くなるだけだ。)そんな事を思いながらアルフレートが静かに目を閉じると、誰かが部屋に入って来る気配がした。戦場で死と隣り合わせの日々を送っていた彼は、暗闇の中でも誰が居るのかが感覚でわかった。(一体、誰が・・)アルフレートが寝たフリをしていると、自分に忍び寄って来たのはルドルフだと彼は気づき、思わず叫びそうになったが、堪えた。ルドルフはそっと、アルフレートの頬―傷があった場所を撫でた後、こう言った。「アルフレート。」(え、今・・)あれは、空耳だったのだろうか―アルフレートがそんな事を思いながら洗面台の前で歯を磨いていると、部屋のドアが誰かに激しくノックされた。「はい、どなたですか?」「わたしだ。」アルフレートがドアを開けると、そこにはルドルフが立っていた。「あの、わたしに何かご用ですか?」「昨夜はよく眠れたか?」「は、はい・・」「そうか。」ルドルフはそう言った後、アルフレートに背を向けて去っていった。(昨夜の事といい、今朝の事といい、ルドルフ様が一体何を考えていらっしゃるのかわからない。)アルフレートは、ルドルフの態度にモヤモヤしながらハプスブルク財閥のオフィスで仕事をしていると、そこへ同僚のテオドールがやって来た。「アルフレート、総帥がお呼びだよ。」「わかった。」アルフレートがフランツの部屋のドアをノックして中に入ると、そこにはルドルフの姿があった。「アルフレート、丁度良い所へ来た。実は、明日から一週間ルドルフが日本へ出張する事になったから、君にはその補佐を頼む。」「ですが、わたしは・・」「急な事ですまないね。だが、ルドルフがどうしても君を連れて行きたいと言ってね。」「わかりました・・」アルフレートは、そう言うとルドルフに己の右手を差し出した。「ルドルフ様、明日からよろしくお願い致します。」「あぁ、こちらこそ頼む。」(一体、どういうつもりなんだろう?)アルフレートがフランツのオフィスから出てそんな事を考えていると、カロルスから渡されたスマートフォンが鳴った。人気のない男子トイレの個室に入ったアルフレートは、スマートフォンの画面をタップした。「はい、わたしです。」『仕事は順調か?』にほんブログ村二次小説ランキング
2024年08月18日
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「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。両性具有·男性妊娠設定あり、苦手な方はご注意ください。二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。―アルフレート・・また、あの夢だ。誰かが、優しい声で自分を呼ぶ夢。―お前の傷は、わたしがつけた、これだけだ。そっと、誰かが頬の傷痕に触れた時、アルフレートは夢から醒めた。彼が今居るのは、死と怒りと憎悪と混沌、悲哀が死神という名の指揮者の手によって奏でられる戦場という名の地獄だった。両親を流行り病で亡くし、孤児となった彼は、修道院附属の孤児院に引き取られた。そこで彼は、幸せな時間を過ごした。戦争が始まるまでは。「これは、神が我々に与えて下さった試練なのです。」修道院は軍に接収され、孤児院は軍の教育施設となった。アルフレート達は、“神の子供達”と呼ばれ、日々厳しい軍事訓練を受けた。「子供達よ、喜びなさい。あなた達の日頃の成果が試される時が来ました。あなた達に、神の祝福を!」こうして、アルフレート達は前線に―戦場へ向かう事になった。そこは、この世の全ての地獄が集まったかのような場所だった。仲間や友人達が次々と死んでいった。最初は彼らの死を嘆き悲しんでいたが、アルフレートは次第に心が麻痺してゆき、何も感じなくなっていった。戦争が終わり、徐々に穏やかな日常が戻りつつある中で、アルフレートは戦場に心を置き去りにしたまま、ただ淡々と生きていた。―アルフレート・・(また、あの夢・・)自分の名を呼ぶ、誰かの声。それまでは自分の名を呼ぶ声だけで、その姿は全く見えなかったのに、最近は姿が見えるようになった。金褐色の巻き毛を揺らし、美しく蒼い瞳で自分を見つめる誰かが、愛おしく髪を梳き、桜色の唇で白い項に口づけた時、アルフレートは己の下腹が濡れている事に気づき、夢から醒めた。(最悪だ・・)たかが夢で欲情するなんて―アルフレートは汚れた下着を浴室で洗いながら溜息を吐いていると、廊下から誰かが部屋のドアをノックしている音が聞こえた。「クラウス、おはよう。」「アルフレート、カロルスが呼んでいるぜ。」「わかった、すぐ行くよ。」クラウスと共にアルフレートが食堂に入ると、彼らの雇用主であるカロルスがアルフレートに微笑み、一枚の黒塗りの封筒を手渡した。「アルフレート、仕事だよ。」「はい・・」「標的は、ハプスブルク財閥総帥・フランツ=カール=ヨーゼフ、お前はハプスブルク家へ彼の秘書として潜入し、情報を集めろ。」「アルフレートが行くなら、俺も・・」「クラウス、お前は短気で、思っている事が顔に出てしまうから、長期戦には向かないよ。アルフレート、これを。」カロルスがそう言ってアルフレートにある物を手渡した。それは、連絡用のスマートフォンだった。「必ず仕留めるんだ、いいね?」「はい。」こうしてアルフレートは、ハプスブルク家へと潜入する事になった。面接では嘘の経歴を語り、フランツに即採用された。(あっさりと難なく入れたな・・さて、これからどうするか・・)自分にフランツによって宛がわれた部屋の中でアルフレートが荷物を整理していると、ノックもなしに一人の少女が部屋に入って来た。「あなたが、今日からお父様の秘書となった方ね?ノックもなしにごめんなさい、わたしはマリア=ヴァレリー。」「アルフレート=フェリックスと申します。」「マリア=ヴァレリー、何を騒いでいる?」「あ、お兄様!」少女―フランツの次女・マリア=ヴァレリーの背後に現れた、金褐色の巻き髪を揺らし、蒼い瞳を持った一人の青年と目が合った瞬間、アルフレートは急に心臓が高鳴るのを感じた。(あぁ、この人は・・)―アルフレート・・夢の中で、自分に優しく微笑んでくれた人。(わたしは、この人を知っている。)「お兄様、こちらの方は、今日からお父様の秘書になったアルフレートよ!アルフレート、わたしの兄の・・」「ルドルフ様・・」アルフレートがその名を紡ぐと、青年の眉間に皺が寄った。「お前、何者だ?」「あ・・」にほんブログ村二次小説ランキング
2024年08月07日
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