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平凡な主婦がスパイになる、というちょっと変わった映画です。うーん、説明しづらい。「日常」に飽き飽きしていた主人公すずめ(上野樹里)は、ひょんなきっかけでスパイ募集の広告(?)を見つけ、某国のスパイに。与えられたミッションは「平凡に暮らすこと」。そう、毎日亀に餌をやることも、普通にスーパーで買い物することも、掃除も布団干しも、今日からはスパイ活動の一環なのだ。同日生まれの派手な友人くじゃく(蒼井優)との友情、商店街の人情、日常に隠された事情。平凡な日々が、充実した日々に変わりゆく頃に転機が訪れる。果たしてすずめの決断やいかに。ラストのキャストロール、飛行機をバックに見返るすずめのかっこ良さ。面白いのに、何もないのに、何故か切ない気分になってしまう、とっても素敵な作品でした。それにしても、のほほんとした雰囲気のくせに、やたら間が良いのはすごい。同じネタを持ってきても、下手な役者・監督なら間延びして観るに耐えない作品になること必至です。実はかなりレベルが高い。いや、楽しい映画でした♪ふぇっふぇっふぇっふぇっふぇ~。
August 31, 2005
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うーん。クロマティ選手から訴えられた、という話を聞いていたのですが、結局どうなったのであらふ?ま、上映されてるからには、何とかなったのでしょう。さて、舞台は都立クロマティ高校。一人の真面目な青年が、不良学校として有名なこの学校に入学するところから物語が始まる、のではなくて、いきなり冒頭で、クロマティ高校受難の歴史が、やたら古い写真と、渋いナレーションで語られます。そして、ようやく物語は本題に。物語、といっても、原作のショートストーリーさながらに(しかも、かなり忠実に)、短いコントシーンによる登場人物紹介が続くので、あってないようなものですが。そして物語は途中から、地球防衛軍の話へ。何故とか聞くな。感動と笑撃のラストシーン…とかどうでもよくて、エンドロール中に流れるショートコントが絶妙。むしろ、本編より面白いかも。それにしても、この無駄に豪華なキャスティングはそれだけで笑えます。詳しくは、公式ページで確認してください。ホンモノのプロレスラーだの、声だけ出演のあの方だの、フレディ役の方だの、なんかすごすぎ。そして、主人公役のはまり具合は、是非、原作と比べてみてください。(あと、「前田君のお母さん」も必見)個人的には「バカの林田君」が、かっこ良すぎて、ちょっと頭良さそうに見えるのは不満(芝居がどうこうではなくてね)。どうせならあの怪優、中村良々(『ピンポン』の部長役が一番有名かな?)とかを使えば良かったのに。さてはて、原作からしてそうなのですが、この作品のすごいところは、「教師」が一切出てこないこと。(登場人物の誰も突っ込みを入れていませんが)学園物のはずなのに。あとクロ高って男子校なのかな、というのも気になっています。…いや、私も原作全部ちゃんと読んでいるわけでもないので。とは言え、えっと、ま、個人的には『逆境ナイン』の方がオススメです。っていうオチにしておこう。
August 30, 2005
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数年前に、新宿紀伊国屋画廊で、展覧会に行って、住所登録したつもりなのですが…新刊が出ても展覧会の通知が届かないのですよね。それとも、展覧会をやらないのかなぁ。あ、えっと、「クラフト・エヴィング商會」さんのお話をしています。クラフト・エヴィング商會さんは、何と言えば良いのかな、まぁ、アーティストさんと言えばそうだし、作家さんといえば作家さんなんですよね。本の装丁とかもされてますし、文章も書かれて、その上、出版と展覧会をあわせた展示をされて、いや、どの「作品」を手にしても、本当にこの人達は、物を創る事、本を読むことがすきなんだな、愛しているんだな、という想いが伝わって来るのです。あー。説明するより、実物を読んでもらった方が早いので、騙されたと思って、本屋に走ってください。読むと幸せに浸れることをお約束しますから。ここ数年、オノ・ヨーコと並んで、人にオススメする、マイ・フェイバリット・アーティストです。ようやく本題に入って。つまり、新刊が出ていたのですよ。『アナ・トレントの鞄』。でも、どうせなら展覧会場で欲しいな、あわよくばサインとか頂けないかしら、というミーハーな思いを抱いているうちに1ヶ月くらい過ぎてしまったので、でも、やっぱり早く幸せに浸りたかったので、結局購入と相成りました。うーん。今回は「月下密売通信」も挟んでないしなぁ。ま、それこそネットで調べりゃ、早い話なんですけどね。展覧会…。
August 28, 2005
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先日、夏休みをしてきました。はて、夏休みは「取る」もので、「する」って変じゃないか、と思った方、まぁ、聞いてくださいましな。横須賀の友人宅に劇団時代の友人達と集合。・昼はまず猿島に渡って散策。・夕方からは友人宅の庭で、すき焼きパーティー。・そのまま庭先で花火大会(もちろん〆は線香花火♪)・最後は冷えたスイカを切って皆で食べるという、なんかサザエさんにでも出てきそうな一日を過ごしたわけですよ。ね?夏休みをしてるでしょ?たった1日、だったのですが、なんていうか、この日だけで、悔いのない夏を送った感のある、素敵な休日でした。ふふふ。うらやましいでしょ。
August 27, 2005
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私は『地雷を踏んだらサヨウナラ』を、浅野忠信さん主演作品の中でも、いや、日本映画の中でも、トップクラスの作品だと評価しています。 さて、しかし、この映画で描れなかった部分があります。それは、彼をめぐる生身の人達の物語。フィクションでは描く事のできない、今、ここにある物語。この物語は、TAIZOを知る人達を撮ったドキュメンタリーであり、『地雷を踏んだらサヨウナラ』と補完関係にある姉妹編なのです。=====子を想う両親、彼を知る親友、彼と行動を共にしたカメラマン、現地にいた新聞記者、現地の食堂のおばちゃん一家…その中に足りない親友がいます。映画の中でも登場したロックルー。ポルポト派によって殺された彼に代わってTAIZOを語るのは、結婚式の写真を撮ってもらったロックルーの奥さん。=====カンボジアの戦争を思う時、私は何とも言えない哀しさとやる瀬なさに襲われます。戦争の理由が分からない。殺し合う意味が分からない。何故憎悪が生まれ、何故虐殺が起こったか、べトナム戦争の飛び火とはどういうことなのか、皆目分からない。殺された多くの人にとっては、もっと理不尽だったことでしょう。とは言え、戦争とは一部の人間を除けば、多くそういうものなのです。他人の痛みを感じる想像力のない一部の人にとっては、興奮するゲームの一種なのでしょうけど。今でもどこかで戦いの火花が散っています。平和な国に生まれたことを、ただ感謝するのではなく、だからこそできることを考え、実践していきたいものです。
August 21, 2005
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先日妹に「パンクが反体制なんて分類は時代遅れ。リズムがパンクかどうかなんだって」と言われ、びっくりしました。えーっ。「飼い慣らされた虎」になったロックに対する、「野性」の復権がパンクなんじゃないの。リズムだけのパンクなんて牙を抜かれた虎じゃない、って思ったりするのですが、そうであるなら仕方ない。音楽のことは分からないけど、私は反体制としてのパンク的なるものに時々魅かれます。(私の分類では、校舎の窓を割るのはロック的。型から抜け出そうとして、別の型にハマる類ですね。)で、つまり、前置きが長くなりましたが、正にパンク!な映画でした、「チーム・アメリカ」。笑いは世界を吹き飛ばす。健全なる稚気の爆弾。正に笑いが起こすテロリズム。閉塞の時代に風穴をあける、いっそ清々しい作品でした。これでもかこれでもかの「お約束」の展開。そしてまた、歌が秀逸なのですよ。「べン=アフレックに演技学校が必要なように…」とか「『パールハーバー』は最低の映画だ」とか歌詞もとんでもない上に、曲もどこかにありそうな、無駄なノリのよさ(しまった、替歌かも)。私はテーマ曲もさることながら、「モンタージュ」がお気に入り。練習風景を音楽に合わせてコマ切れにして見せる手法を「モンタージュ」と言うそうですが、歌による解説付実践編になっているのです。爆笑。残念ながら、この映画、人形劇なのに18禁です。残酷なシーンが多いから、がその理由だそうですが…ま、本当の理由は違いますわな。だって残酷さで言えば…いや、よしましょうか。野暮な話は。とにかくハイパワー・ハイテンションの映画。『セシル・B・ザ・シネマウォーズ』以来のパンチの効いた映画でした。
August 21, 2005
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苛酷、です。美しいまでに青く輝く氷河。一面の白い大地。舞台は南極。主役は皇帝ぺンギン。硬派なドキュメンタリー映画です。単にかわいい、では済まされない、自然の苛酷さ、それに抗う自然の叡知、荘厳なる生命の営み。冬には太陽すら昇らない、不毛の大地で、彼ら彼女らの生命は育くまれます。群ごとに一列に並んで営巣地に向かう様は、正に聖者の行進。苦行を共にする巡礼者達。約束の地での求愛の儀式。そこから3ヶ月、卵が産まれるまでの束の間の平穏。卵を孵すのは雄の役目。雌から卵が受け渡されます。緊張の一時。もし、うまく受け渡せなければ…凍った大地にその生命の芽は奪われてしまうのです。雄に卵を託した雌は旅に出ます。産まれてくる雛への餌を自らの身体に蓄えるために。その道行も、平穏ではありません。腹を空かせたアザラシが、彼女達を狙います。お互いの生存を賭けた凄絶なチェイス。一方、雄を待ち受けるのは、苛酷という言葉ですら生ぬるい、吹すさぶブリザード。身を寄せ合い暖めあっても、襲い来る白い悪魔に、魂を奪れる仲間達。ようやくブリザードが止み、夜の世界に日が差し始める傾、卵に罅が入ります。顔を覗かせる雛の可愛らしさと言ったら…!しかし、母親が帰って来なければ、餌をやることができません。弱まる雛の声になすすべもない雄達。そこへ帰り来る雌達。氷原を遥か海まで旅して戻った彼女らは雛のもとへと急ぎます。雛を雌に託して今度は雄が旅に出ます。4ヶ月に及ぶ絶食を経てのこの旅で生命を落とす個体が最も多いそうです。そんな父の運命を知ってか知らずか、雛達は元気に育っていきます。とは言え、寒さやトウゾクカモメなど、その生命は常に危険に晒され、いくつもの生命が奪われていきます。父の帰還、雛同士の生活を経て、いよいよ巣立ちの時が近付きます。新しい羽毛に生え変わり、ちょっぴり大人になって目指す海。4-5年後、彼ら彼女らは大人になって帰ってくるのです。この約束の地に。次の世代を育むために。何百年、もしかすると何千年と営まれてきたこのサイクルは、それだけで感動的で、つまらないロを挟む余地はありません。全ての尊き命に。
August 21, 2005
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毎年8/16に行われる京都の五山送り火(大文字焼き)は、私の生誕を祝って始められたのだと、孫に真顔で教えたい、という私のささやかな野望。
August 16, 2005
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東京発大阪行きの夜行バスで帰省したら、出発が40分遅れ。11:50発の予定が、ダイヤが乱れに乱れて、12:30発に。帰省ラッシュで、人が多いところに 雨も降って、八重洲口はちょっと殺気だった雰囲気に包まれていました。うーん。こういう雰囲気苦手だなぁ。到着はなんと、5時間遅れ!到着予定の8:00に外見たら尾張一宮。臨時休憩があったので、思わず土産を買ってしまいましたよ、私は。「ただいま~、お土産買ってきたで」「お帰り、お土産なんて大層な…そうそう、東京名物名古屋のきしめんって、どこのお土産やねん!」なーんて会話は、行われなかったですけど。大阪到着は13:00。別にこれと言った用事があるわけじゃないから良いですけど、これなら朝一の新幹線の方が早く着いたなぁ、と。それにしても…よく寝た。
August 13, 2005
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今年は8/11が旧暦の七夕。最近、「月と季節のカレンダー」併用で生活しているのですが、ちょっと生活が豊かになった気がします。ひそやかな二重生活って感じかしら?さてはて、旧暦の7日というと、月は三日月から少々膨らみを見せ。細い月に照らされる中、風の渡るさまに少し秋を感じながら、夕涼みを兼ねて眺める星の空。白楽天『長恨歌』のラスト近くの一節に、「七月七日長生殿」の宴の後、二人で「天にありては比翼の鳥となり、地にありては連理の枝とならん」(あえて「願わくば」を省略)と誓いあうシーンがあります。織女牽牛の物語に思いを馳せながら、永遠を誓い合う二人…ロマンチックにも程がありますね。個人的には、クリスマスよりよっぽど「恋人達の日」に相応しいと思うのですが。念のために『長恨歌』についてですが、玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋を歌った長編詩。二人の出会いから、反乱-死別、楊貴妃の魂魄を探すシーンを経て、ラスト、仙境にいた楊貴妃の魂が玄宗皇帝の使者に この誓いの思い出を伝えます。さて、季節感のお話に話を戻して。そもそも、新暦だと7/7は梅雨時。これじゃ織女牽牛が滅多に会えないじゃないですか。ただでさえ年に一度の機会だっていうのに、これは野暮というものでしょう。全ての恋する人達に、幸多からんことを。
August 11, 2005
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私は朝日新聞を取っています。なので、昨年から今年にかけて、朝日新聞記者が45次南極越冬隊に参加して、南極のニュースを配信しているのは知っていました。今回の展覧会は、これにカメラマンとして参加された武田記者の、帰国報告写真展です。武田記者は、南極の前にはアフガニスタン・イラクで活躍。酷暑の地から、酷寒の地へ。戦争の地から、平和の地へ。「国境のない大陸」という副題には、誰かが勝手に引いた線によって失われてしまっている、何か大切なものが象徴されています。本当は、講演会があったので、それをお伺いしたかったのですが、残念ながら拝聴はできず。後で本にサインを頂いた際、少しだけお話をさせて頂きました。意外と、というと失礼ですね、小柄な感じの方なのですが、にじみ出る人当たりのよさと、エネルギッシュな雰囲気が、「良いお兄さん」感をかもし出しています。この人は、この人のカメラは、何を覗いてきたのだろう、何を感じてきたのだろう、と。展覧会の写真は、新聞で見たものもありましたが、引き伸ばされたパネルで見ると、また違って見えます。武田記者のコメントも、多様な視点から書かれていて、読んでいて納得したり、考えさせられたり。南極のゴミ問題や、温暖化の影響の話などは、笑うに笑えない、深刻な問題を孕んでいます。正直、いつかは行ってみたいな、と。その時に、どのような問題意識を持って行くことになるかは、まだ見えていませんが。去年読んだ『ペンギンと泳ぐ旅』の作者みたいに、「ペンギンと泳ぎたいから」っていう形で、エコツアーにとりあえず参加してみる、というのもありだろうけど。さてはて。武田記者の今後の活躍を期待しています。…え?サイン本が高く売れるようになるだろうから、なんて考えてないですよ。
August 7, 2005
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日常というのは、想像力さえあれば、容易に非日常に変わります。それこそが「物語」のカ。人を幸せにする共同幻想、それぞれの夢、希望…。現実と幻想の風景が交錯するこの映画は、しかし、物語のカを語りながら、それを断片化し、組みかえることで、映画全体を通じての物語をあえて封じてしまいます。平穏な日常、ちょっとした事件、垣間見る夢想、それらは、監督の手によって美しく組み上げられ、観る者を幻想の世界に誘います。冒頭、少女達の物語リレーから映画は始まります。ラクダの話やクジラの話。現実の世界では子供地蔵の風景が映され、トンパ文字が夢を紡ぎます。美しくない現実の一端は、曰常の中の幻想によって昇華されます。迷い家(まよいが)の不思議なシーン、建具屋さんが仕事を再開するエピソード、エレファントバード、ほうぼう、そして、埋れ木。美しくもどこか哀しい紙灯籠のシーンで幕は閉じます。永遠に続いて欲しい、いつかのあの思い出。場面転換の時に使われるショットが秀逸。いつまでも眺めていたいと思う、何気なくも美しい風景が、ぽんと切り出されて流れます。絵画より、お茶花に近いかも。そう、花は野にあるままが美しいのです。誰も不幸にならない物語、美しい画、揺蕩う時間、「映画を観た」という充実感以上に、いい時間を過ごすことができたな、という幸せに浸らせてくれた監督に、心から感謝を奉げたいと思うのです。
August 7, 2005
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私が知りたいことはいくつかありますが、そのうちの1つが、何故戦争が起こるのか、です。旧ユーゴの戦争は、昨日までの友人が、隣人が敵味方に分かれて殺し合うという、ありえない展開を見ました。この映画は、その旧ユーゴの戦争勃発期を背景に、戦争の哀しみではなく、人生の滑稽さと喜びを描いた、明るい映画。不謹慎と言うなかれ。社会システムの理不尽さに対抗できるのは、笑いであり、夢であって、決して理論などではないのです。ハイテンションな郵便屋さんが愉快そうに手紙を配って回るオープニングから、何やら楽しげな雰囲気。線路を遮るロバ。でも事故など起こらず、持主と交わされる会話は「このロバは失恋して自殺したがっているのだ」というお話。こんな感じで物語は進むのですが、時折そこに忍び寄る不吉な影が挿入されます。人を襲う熊。暗殺される市長。サッカー場での暴動。これらの出来事によって暗示される、姿は見えねど近付く戦争の足音。息子の徴兵パーティーの当日、起こるはずのなかった戦争が始まります。主人公のもとに届けられる、息子が捕虜になったとの知らせ。数日後、悪友が彼の所に女性を連れてやってきます。「彼女と捕虜交換すれば良いんだ。」真面目な主人公と美しい女性。二人の関係がドラマを紡ぎます。そしてロバが奇跡を起こす。最後まで幸せな空気漂う、なんとも不思議な映画です。しかし、一度、映画で描かれなかった部分、あるいは映画では軽く流された部分を真面目に想像すると…いや、よしましょう。希望があれば、前向きにやっていれば、いつかは楽しい日も来るさと信じましょう。私は世界の平和を望み続けています。
August 7, 2005
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都美の大エジプト展は、ルーブルのコレクションから。うーん、正直今年はシルクロードに目を奪われていたのですが、やはり心躍りますね、古代エジプト。とは言え、昔なら無邪気にはしゃいでいただろうに、今回ちょっと複雑な気分なのは、植民地の歴史、というものも考えてしまうから。冒頭、栄光の、と言って良い、フランスにおけるエジプト研究の歴史が綴られますが、それは研究として素晴らしいものなのですが、本来その成果はエジプトに帰するべきでは、という思いも否めません。ま、そんな大人な会話はさておき、童心に帰ってみれば、古代エジプトの文化の薫りの高さ、確固たる死生観、死者に寄せる心、政治史、といった荘大な「物語」に心奪われます。その時代の人達は、何を見、何を思い、何をしていたのかに思いを馳せる。これこそが古代ロマンの醍醐味。そして文化理解の第一歩だと思うのです。東京都立美術館にて。
August 6, 2005
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中国における井真成の墓誌の発見は、軋み音を立てる日中関係に偉大なる先人が警告を伝えようとしたかのような、一大卜ピックでした。遣唐使に随員し、唐の宮廷でその才能を発揮しなから、異国の地に倒れた井真成。彼の墓誌を中心に、遣唐使関連資料から、唐の時代の国際色豊かな文物の紹介。それにしても、今年は中国関連の展覧会が多い気がします。この夏だけでも、東京都江戸東京博物館の『新シルクロード展』、六本木ヒルズ森アートミュージアムの『中国★美の十字路展』『Follow me! 新しい世紀の中国現代美術』展。それにこの『遣唐使と唐の美術展』。政治での反目とは裏腹に、いや、むしろ反動かしら。文化的な交流がこういった形で実現されるのは、喜ばしいことです。特に企画が持ち上がって、たった9ヶ月で実現されたというスピードの裏では、平山郁夫先生はじめ、数多くの方々の努力があったとのこと。先生方に感謝、ですね。さて、展覧会の目玉はなんと言っても、里帰りした墓誌。そこに書かれているのは、故郷を思う、ということに思いを馳せさせると同時に、遥か昔の国際都市の懐の深さと温かさを感じさせてくれる、味わい深い文章。唐の時代の文物も、当時の文化の高さを感じさせてくれます。文化の高さは平和の結果です。今、日本で中国の文物を鑑賞できるのも、平和だからこそ。政治の世界も、なんとかなりませんかね。妥協ではなく、歩み寄りを。噛み付き合うのではなく、相互理解を。そんなことを思った展覧会でした。
August 6, 2005
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この世には、不思議なことなど、何もないのだよ。我々は彼と同時代人であることを誇りに思い、同じ言語を繰れることを喜びにしたい。京極夏彦先生の「姑獲鳥の夏」、噂に聞いてはいましたが、一読とんでもない作品でした。ぺダンティズムに堕ちない饒舌、物語に奉仕させられる物語群、個性的で魅力的な登場人物達、めくるめくばかりの幻想、ミステリの概念を揺るがす大トリック、解かれても解かれても深まりゆく謎…。いやはや、私が何百万言費したとて、読んだことのある方なら、自分の言葉で作品を語りたくなり、言葉で伝えることの限界に歯軋りすることでしょう。緻密な言語空間で構成されたこの物語が、映像化されました。幻想をもって幻想を制する、とレか言いようのない妖しくも美しい世界を描くのは、実相寺監督。幻想的であるが故にリアル、というアクロバティックな映像世界を魅せてくださいます。原作がある映画というのは、観てから読むか、読んでから観るか、という楽しい悩みがつきものですが、この作品は間違いなく読むのが先です。頭がくらくらしてくる程の、陰惨で複雑な背景は、正直本で読まないと分からないかと。映画では、かなり分かり易く見せてくれてて、それは脚本家の力量だなぁ、と思うのですが、初見では難しいかも。まぁ、まずは文字の配置まで美しい小説世界にどっぷりつかってみて下さい。めくるめく幻想の世界へ、ようこそ。
August 4, 2005
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文章を書くのが遅いので、過去に遡って日記が投稿できないとつらいな、と思いつつ、ブログのオープンに躊躇するうちに、いつの間にか文章が溜まっていたので、一気にアップしてみました。なので、新規オープンなのに、1ヶ月前の日記がずらずら更新される事態になっています。で、7月分に関して、しかし、文章書いていたにもかかわらず、載せるところが無いので、載せる意味はあるのかとか、読む人はいなかろうとか思いつつ、観た映画・演劇・美術展の題名だけでもずらっと。まずは、映画から。とにかくアツイ漫画原作、観ると元気が出ること間違いなし『逆境ナイン』。なんだか不思議な味わいの残る『ライフ・アクアティック』戦争を背景にロバが奇跡を起こす映画『ライフ・イズ・ミラクル』上質なカナダ発コメディ『大いなる休日』ゲバラを主人公にしたロードムービー『モーターサイクル・ダイアリーズ』唯一大劇場系の『スター・ウォーズ エピソード3』。それから、お芝居。シェークスピアの名作に世界の蜷川が歌舞伎で挑んだ『NINAGAWA 十二夜』。トリのマークさんの不思議空間が心地良い『ザディク・カメラ』美術展は、六本木ヒルズにて『中国★美の十字路展』&『フォロー・ミー!:新しい世紀の中国現代美術展』それと『フィリップスコレクション展』。東京近代美術館にて『小林古径展』。結構充実した7月だったのです。この間にお茶の稽古して、伊豆の海に潜って、後輩の合宿に参加して、ですから。(あと、仕事も。)いやはや、それぞれ文章は書けているんですけどねぇ…そっと闇に葬るとしましょう。
August 1, 2005
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