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ああやっと安心出来るな、と思った。*あの村を見守り続けて数年が経ち、彼らは外国の人々、未知の物資とともに帰還した。そこで帰還した内の一人、あの娘が妊娠したから彼らはこの村に留まることになった。一人目は冷静な彼に似た。そして、二人目は……「やめろ!離せ……っ」「諦めろ」「嫌だ、本当にやめろ、やめてくれ!なあ、---、お前だって嫌だろ!?」「耳を貸すな、---」「ーお前だって、惚れた弱みに付け込んでんなよ…っおい、これ以上続けたら俺は出ていくからな!やめろ!!」新月の夜のことだった。僕は止めに入らなかった。正直に言えば、この後どうなるのか、あいつがどうこの物事に影響を受けるのか興味もあった。……外国人の面々に、あいつに目をかけている女性も居た気がするし、成長したあの少女もあいつにちらちらと意識をやっていたようにも思うが……『甘いな』あいつは平穏よりも限界の状況で成長する筈だ。*事が終って、結局あいつは逃げ出さないようだった。往生際悪く堕胎に使えそうな安全で有効な手立てを探してもいたようだったが、当然ながら子孫繁栄を願う僕らのプロジェクトでそんな資料を残す馬鹿は居ない。それからちょうどきっちり10月10日後、あいつとあの娘の子が生まれた。生まれた子の外見を望遠鏡で見て少しがっかりした。あいつに似ていたら、とちらりと思った。成長させ直すか、それとも違う環境に連れて行くか…子の兄とともに戯れる様子を、幼少期の彼らに重ねるか。だが、なんとか平和な状況と彼等全員の顔を、子はその容姿だけで保って見せた。残念ながらも、合理的にはこれが一番かと私はため息を吐いた。あいつが他の女性との間に家族を作ることが想像出来そうで出来なくて、実は少し不安もあったから、家族以上家族未満の絆を築いていく彼等には安心出来た。…そうだ。神様のように私が見守っているから、安心して、今日も繁栄してほしい。
2010.04.30
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花藤子
2010.04.29
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「どうして雲は羽のような形をしてるの?」「それはね、赤ちゃんが地上にやってくるときに脱いできたからだよ」「ぬぎぬぎ?」「ぬぎぬぎ」
2010.04.28
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***********昔の下書きを書き込めなくなるようなので今のメモでログを一掃する活動****************履修登録データベース不自由過ぎて笑えない。設定書き直させてって20回くらい思った。・他タブで一度でも開いたら喩えかなり登録書き込んでいても書き直し・ログインに時間かかるor他タブで開いていないのにcookieが対応していないせいなのか「このタブは死んだ、他のタブで開き直すんだな」って出る・そうしてもまた出るメッセージもはやこの登録自体がストレス耐性のテストになっている気がする。
2010.04.27
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***********昔の下書きを書き込めなくなるようなので今のメモでログを一掃する活動****************今日の就活。就活はギャルゲーなのかもしれない…?それか乙女ゲー。1.複数の相手にアピールができる。2.しかしそれによって爆弾を抱える(当社を第一希望にしていますか?)ことも3.必死に努力しても振られる時は振られる4.自分のスペックと選択肢がものを言う5.一周目二周目以降は違った対応を取られることがある6.どんな相手にもファンは居るし、どんな相手にもアンチは居る7.自分で調べて自分で動いて自分で責任を取る、そういう人が行かなくちゃいけないんだ※ただしリセットボタンはありません※タイムマシンもありません
2010.04.26
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先日雑貨屋に行った時に、汚い部屋を雑貨屋風にしたい願望がむくむくと湧いてまいりました。私の場合、大半の汚いものは模型材料。そのため、木の棒into→オーガニックなもの入れてるっぽい茶色の瓶←田舎風リボンビーズ系into→実験器具っぽいガラス瓶←くたびれた髪飾り色とりどりの身の回り用品→大きなキャンディボックス←色々なラベルなどとやっているとごみだめの臭いがしそうだった部屋がなんということでしょう、漢方薬とか海外から輸入した薬とかを調合していそうなマッドサイエンティストの部屋に…!……あれ?少なくともコメントに困る部屋からツッコミ所満載の部屋にはジョブチェンジした気がする。それと、色々なきれいなふくろ・入れ物をとっておくだけだったのを、入れ物として積極的に活用しだしたら空ろなつくもがみがじーっとジト目で見て競うだったエリアが材料の展示場のようになって、選ぶのも作るのもちょっと楽しくなりそうだな、と思えました。まいごとおうち。魂と器。刀と鞘。どちらかだけの姿を、汚いとかみすぼらしいとか生かしきれていないと思うのであれば、試しに適当に片割れをあてがってみるのもありなんじゃないかな、と思います。
2010.04.25
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山本誕生日おめでとう。ということで以下山ツナsss。渡伊前のゴネ。********************無機質に繰り返す音が嫌いだった。どこでも吠える犬も止まない雨音も。なのに、ずっとずっと頭の中で鳴り止まない。止ませるためにいつも走って、打って、瞬間に全てを賭けながら次の事を考える。だからやり過ぎて腕が駄目になった時は、頭の中の雑音に殺されそうだった。**俺が何かを成し遂げるなら、その間に呼んでる名前が必要なのなと気付いたのは中学1年生の頃だった。俺自身に頼れるほど俺は強くはなかったみたいだ。「もう山本は力を貸さなくていいんだよ」だってお前は死ぬか殺すかの場所へ行くんだろ?お前が死んだら俺はどうなる、お前の名前を呼べなくなるじゃねーか。「遠くから応援してるから」「そんな冷たい事言うなって」「冷たくなんて」「水くせーよ、ツナ」お前が居なくなったら、俺の心の中は何で埋めればいい?心の中から湧き上がる嘘と自己嫌悪は誰が止めてくれる、誰が走ってない俺を認めてくれる。「頼むから、お前の傍で」吠えるのを、止めてくれよな。
2010.04.24
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その子をからかうのは楽しかった。何か大事なものを奪う度に壊すたびにその子はいい顔で唸って泣いた。あたしは外に出られないから、外で何もかもを手に入れてくる彼女から奪って壊すことで満足していた。あたしは外を知らない。母さんも父さんも、外は恐ろしい所だから絶対に出さないと言ってあたしを閉じ込めた。そんなあたしに与えられた唯一のおもちゃはその子だった。その子はじきに泣かないで怒らなくなった。以前教科書を破いたからと一緒に勉強することもなくなってしまった。作り上げず壊すことのつけがここに来ていた。「なあ、最近大事にしているものはないのか?」「あるとしたら、あなただけですよ」にこりと、父母のような笑みをその子は浮かべた。あたしの遊びを、その子はそうやって解釈したようだった。おもちゃは壊れてしまった。だけど新しいおもちゃなんて欲しくない。壊れたそれを治すにはどうしたらいいのか。あたしたちの一緒に居られる場所にはあまりに何もなくて、どうしようもない。ーああ、そうか。一つあるじゃないか。あたしは、自分を傷付ける時にその子が嫌そうな顔をすることを思い出した。幼い頃にあたしが怪我をしたときに見せた顔。あたしに傷付けられた時は黙って耐えていた癖に。そう思ったあたしは、やり過ぎた。それに気が付いたのは意識が薄れる頃。世界が真っ黒になっていく中、不思議とちかちかと目の中でまたたく星は七色で、世界が初めて面白く思えた。死にたいとは特に思わない。帰って来たあの子の反応が見られないのが心残りってくらいか。床が冷たい、ごとりと落とした頭がゆるゆるふわふわとして気持ちがいい、あの子の足音が聞こえる。世界はこんなに美しい。
2010.04.23
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その人が心底恐ろしかった。その人を怒らせたらどうなるのか分からなかった。その人はそんな私の様子を見るたびに、怯え竦む私を叫ばせるたびに更に非道なことをした。元からその人の親に私の親が救われていたゆえに、私は逃げることもできなかった。慈しんでいた花を、飼っていたねずみを、人にあげようと思っていた絵を、全てその人は奪った。仕方ないので私はその人の全てを許した。「なあ、最近大事にしているものはないのか?」そうしたら、その人から奪われる事はない。その人を大事に想えばいい。自分から自分は奪えないのだから。それなのにその人は自分からさえ自分を奪って見せた。昔壊されたおもちゃのごとく転がるその腕を前に、私はやっと自由になったと思ったのに、同時に今となっては簡単に手に入れられる筈の全ての者が褪せて見えた。
2010.04.22
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お前は誰だ?俺は、××だ。お前は誰だ?俺は、お前を殺した。お前は誰だ?ごめん、赦してくれ。お前は誰だ?お前を愛していたんだ。お前は誰だ?お願いだからそんな目で見ないでくれ。お前は誰だ?俺の事は嫌いでも、俺以外の事は覚えているだろ?お前は誰だ?頼むから、覚えてくれよ。お前は誰だ?記憶は、やっぱり戻らないのか?お前は誰だ?お前は誰だ?お前は誰だ?なら、もうお前はお前じゃないよな。お前は誰だ?今度はちゃんとお前として、生まれ変わってくれよな。・・・・・・ああ、何も言わなくなってお前はやっと、もとに戻れたな。
2010.04.21
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2010.04.20
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2010.04.20
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***********昔の下書きを書き込めなくなるようなので今のメモでログを一掃する活動****************今日の就活。不幸自慢は就活の為にあるのかもしれない。勿論オチがついてるやつに限る。先生から家庭内サバイバルをした実体験で私は育ちましたっていうES例を見せられておっ…おっとこまえぇー!!って思った。何故か7種の花(龍宮編)が脳内に浮かんだ。ミスマッチを避ける為だけでなく、これあかんやつっていう状況をいかに打破するか。地獄の体験なんかからも「壁の乗り越え方を」実体験で教わった、ということになるんだろうな。まあしなくてもいい苦労っていうのもあるだろうけど……。
2010.04.19
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***********昔の下書きを書き込めなくなるようなので今のメモでログを一掃する活動****************今日の就活。企業として変えやすいものは、結婚とかお見合いとか言われる就活においてGOサイン出せるのは注意したら治せそうな礼儀作法<資格・技能<性格なのだとか。特に企業理念と性格が合ってなかったら人不足でも採用断るレベルなんだそう。現在は比較的ブラック会社の情報なども流れているから辞めやすいし。comicoの人気漫画さんが二本ドロップアウトものだったのも、そういった社会の流れを受けてと言う部分があるのかも。ブラック→辞める・人来ない→ますます人手不足でブラックに→の悪循環。もう合併しちゃダメなのかなと思ってしまう大学3年なのであった。
2010.04.18
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その村人には悪い癖があった。感情が昂ると笑ってしまうのだ。それが怒りでも恐怖でも尊敬でも同じことだった。村人はある鍛冶屋が怖かった。畏怖を感じていた。だからこそ鍛冶屋を笑い嗤った。鍛冶屋はやがて居なくなった。鍛冶屋が作っていたものがなくなり、村は段々さびれ始めた。村人は笑った。嗤うことしかできない人間だから笑った。自分の人生も世界も全てを嗤ってしまえばこの世に怖いことなどなくなると思っていたのだ。やがて村は廃れ、そこにはいくつもの死体が残った。肉は風化し、骸骨となった。しゃれこうべが風に吹かれてからからと鳴いた。それはまるで笑っているかのようだった。
2010.04.17
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鍛冶屋は好きなものを好きなように作っていた。笑われても好きなものを作りたかった。自分の作るものは笑われるものであっても、自分だけは笑わないでいてやろうと思った。ある時、他の鍛冶屋の為に小道具を作ってやった。人の為に作る道具。便利で美しいものを作ってやろうと鍛冶屋は自らの仕事よりも力を籠めた。その小道具を、普段鍛冶屋が作るものを笑い飛ばす村人はべた褒めした。他の鍛冶屋が作ったものなのだと村人は信じ、絶賛した。他の鍛冶屋が居ないときに褒めていたので、他の鍛冶屋は否定することがなかった。そうして村人は鍛冶屋のほうに向き直り、鍛冶屋の仕事を笑い飛ばした。鍛冶屋は怒ったが、村人の見る目がないのだと思うことで納得することにした。そうして黙っていることにした。見る目がない者にいくらあざ笑われても気にならないから。鍛冶屋はやがて村を出た。鍛冶屋の作ったものを、他の鍛冶屋は作れなかった。村人は後悔した。しかしもう鍛冶屋は居ない。村から遠く離れ、鍛冶屋は溜息を吐いた。笑われていたのは自分の作ったものではなく、自分自身だった。鍛冶屋の存在が、言動が、作ったものをみすぼらしく見せるのだろう。鍛冶屋は、人と接することを諦めた。いくら人に褒められても、いくら人に頼まれても、もう二度と作らないようにしようと決めた。鍛冶屋は自分の為に作る道具を、自分の食の為だけに浪費される武具を抱きかかえ、夜ごと泣きながら眠りにつく。俺は美しいものが、面白いものが、作りたかっただけだったのに。鍛冶屋の作ったものは、鍛冶屋が死んだ後も遺った。その武具は呪いの武具となった。握る者が誰だろうと笑いを憎ませ、自身も笑えなくなるようにする武具だった。
2010.04.16
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***********昔の下書きを書き込めなくなるようなので今のメモでログを一掃する活動****************今日の就活。名前が紛らわしい会社ほんとやだ…しかも業務内容仕事内容やら待遇が全く違った日にはそして日程詰める度に企業キャンセル→日程取り直しするんだけど、キャンセルする度に心のどこかがキュッとなる。
2010.04.15
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今日の就活。スカウトがもはやシューベルトの魔王に思える。それか運命。ンダダダダーン。スカウトって魅力的だからスカウトして頂けたっていうのもあるんだろうけれど、私の自己PRから甘ちゃんっぷり…先輩がアレで上司がアレで勤務場所の融通が全く効かなくて男女での扱いが違っても辞めなさそうっていう部分…を見透かして…ってこともあるんじゃないかと思ってしまう。特別オファーそう伝えたのは釣り上げる為の嘘ですかブラック企業の中入れられて壊れたらポイされるんですかされないのはどの企業なのかも……はっきりくっきりとは分からない。いちいち多角的に調べるの疲れる。
2010.04.14
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今日の就活。自己PRとか履歴書とかES頑張り過ぎてなんか実際会ったら「なんか思ってたのと違うな…」「しっ」ってされないか不安。メッキ野郎だもの。どうせブリキ野郎だもの。チキン過ぎてつらい。トタンになりたい。でも20社は受けといたほうがいいみたいな話聞くし。つらい。
2010.04.13
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今日の就活。説明会予約よし、エントリーシートよし、履歴書よし、成績証明書よし、スケジュール よし<モサッ午前と午後で別々の企業…。その内三つめが出そうで怖い。まあ地域が同じ(東京)だからいいんだけど。ここにきて東京ってすごいなあと実感しています。本社ビルまみれやんけ。逆に地方でシェアってるのは準備と説明会に行く為の金が必要。数万て。地方だからコミケ不参加って言う人の悔しさが分かった気がする。就職できないあるいは思ってたんと違うってなった場合、来年は既卒扱いになるのかなー…?だったら新卒採用をうたうほうを優先したほうがいいのかなあ。自分が選ぶ方なのか、自分が選ばれる方なのか。こんがらがる。いや、両方か。どうでもいいけど涼放火って出た。ブラック企業戦士貴士先生かな。
2010.04.12
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今日の目から鱗。某大手企業説明会で、「営業職の募集はありません。部門をある程度体験していただいて企業自体を本当に理解してからでないと外部の方に薦められるわけがありませんから」というのを聞いて目から鱗。なるほどそういえばハートマン軍曹みたいな某高級ホテルの人事部の方も、営業職に回されるのはある程度他で経験を積んでいたらと仰っていた。疑い過ぎるのもよろしくないのだろうけれど、「売り込む技術を磨く」よりも、「売り込むアイテムの良さをより見せる」のほうがかっこいいなと思う。
2010.04.11
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今日の就活。某企業説明会で、学内企業説明会に対する応募のお話を聞いた。やっぱり大学によっては倍率がとても高いらしい。どこかの企業に入社出来たらそうした応募話とか聞いてみたい。
2010.04.10
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今日の就活。就活ってカップル成立の話っぽいなあ。結婚が貴方に就職したいだとはよく言ったもの。今日の説明会のパワーワード。「相思相愛だとみとめられましたら、合格通知をお送りします」ブラック企業が喩えダメンズやらダウィメンズのようだろうが、支えたくなる所があるのなら支えればいい、支えきれなかったり、もっと大事なものがあったり、自分を大事にしてくれてない・自分を必要としていないと感じるのならば別れたり、別の会社とのお付き合いを考えればいい。相性と、夢と、本当に望んでいるものと。見出すのはなかなか難しい。一生かかってもしっくりくるものなんて見付からないかもしれない。難しい…難しいね……でも、悩んでいても、ヒールの靴擦れが痛くても、脚が超絶寒くても、立ち止まってるわけにはいかない。
2010.04.09
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今日の就活。スペシャリスト→職人肌、ステ全振り、マッドサイエンティスト的、専門家ゼネラリスト→万能、リーダー、マネージャー、器用貧乏、バランサー で、補い合っているのかなあと思う。最先端でものを開発するのはスペシャリスト、ものと世界を繋げるのがゼネラリストなのかもしれない。
2010.04.08
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今日の就活。人間、他の事でクソがと思うことがあるとたるいことだるいことめんどくさいこと嫌なことに対し逆に打ち込めるのかもしれない。他のことで理不尽に嫌な目に遭わされた時こそ頭を無に出来る大変な作業が必要。よし頑張ろう。
2010.04.07
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白うく、白うくしてほしいのよ。そう言う、日に日に白くなっていく彼女の肌と髪にすがって、僕はよく泣いた。*姉さんはよく血を吐いた。だから僕は彼女の服をよく洗う。外に出られないどころかベッドからも出られない彼女を僕は愛していた。小さい頃から、身体の弱い姉さんの為に母さんはお伽噺を作っていた。そこは小さなお城で、姉さんは外に出ない深窓の令嬢。外に出る僕は、姉さんのために日々の楽しい話を話すことが禁じられていた。だから僕はいつもその部屋に入ると、外での楽しい記憶をすべてまっさらにすることが義務付けられていた。そんな僕ははじめのうち外を彼女に教えない優越感に酔っていた。だけど、じきに全てを忘れさせてくれるその部屋を愛するようになった。外は怖かった。だけど、その部屋では僕は弱くてよかった。弱くても、彼女よりは強く居られたから。姉さんはもうその部屋に居ない。死んだわけじゃない。外国に行って、難しい手術を受けて、そこで療養生活を続けている。床に残った落ちないシミを、今日も粉とスポンジといろいろなもので消しながら、つんとした臭いのせいで僕は泣いている。早く、早く戻って来てよ、姉さん。でないと僕が泣く理由が、そろそろなくなってしまう。シミが消えないうちに、はやく。僕にしろくさせて。
2010.04.06
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2010.04.05
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俺の妹はアイドルだ。けれどアイドルとしての妹の顔と、普段の妹の顔は違っている。アイドルの妹はか弱く幼いが、普段は姉御肌でとてつもなく強い。妹のアイドル像プロデュースを手伝った俺としては、アイドルとしての人気を得ている妹によかったなという思いばかり抱く。けれど妹はその売り出している顔でもって、相手の同情を買い、そうして相手の内情を打ち明けられ、最終的にこんな人だと思わなかったと言われるのだ。妹はあまりにも有名になりすぎた。だから今更化けの皮を剥がせないのだ。けれど今までいくつもいくつも味方が攻撃してきたせいで、今更剥がしたらどうなるか分からないのだと言う。「おにーちゃん」妹を手伝った手前、投げ出す訳にもいかない。「ほんとのあたしを知ったら、みんな、どう言うかなあ」……そして弱い妹もまた、妹の一部なのだ。「……あのなあ、俺から見ればお前はアホで、強くて、でも弱い人の気持ちが分かる優しいやつでもあるよ」「……でもだからって、弱い人の攻撃にまで共感しすぎるな」俺と妹で考えた、そのアイドル像は、俺達がまさに欲していたもので。アイドルが有名になるごとに、俺と妹はアイドルの親みたいな気分になっていて。だから。「中のお前は相変わらず『親』なんだろ。外のアイドルをプロデュースしていく。 ……どっちが今ピンチなのか考えて、そうして腹をくくって、またいくしかねえだろ」「…うん」…ふと思った。この強い妹こそが、仮面なんじゃないかと。普段の生活を生きて、そうして攻撃を跳ね返すための。アイドルなら攻撃されない。攻撃した奴をむしろファンが攻撃してくれる。だからそこで妹は本音を出しているんじゃないかと。…それでも俺は、この強い妹を、自分の出来る手で、守っていくしかない。
2010.04.05
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今日の就活。全国展開してる企業ES。希望勤務地が○○・東京××・東京みたいにずらっと並んでいて(関東サーの東京さんだ…)ってなった。総受けかな。因みに関西のモテ王サーガは大阪さんでした。京都じゃないのか…
2010.04.04
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おまけの双子兄者くん
2010.04.03
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もんぜんばらいの化けの皮 ずっと被れば 本性へ。以下着せ替えゲーからカラーテスト素材お借りしました
2010.04.02
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私は痛かったからあいつを殴った。だけど、目の前のこの娘はあいつをきっと強くは殴れないんだろうな。それも含めてあいつにとってこの娘が必要だったんだろう。*「それで、どうして私にその話を持ってきたの」「私と彼らはもう無関係なんだけど」「無関係だからこそ…です」「…仕事も一段落付いたところだし、きいてあげたら?」……余計なことを。…私の目線や、冷たい対応に屈しない所は認められるけれど。*他所の事情は知らないけど、私とあいつの関係は一般の関係よりも随分とドライなものだったのは確かだ。私はもともと他人に引きずられ泥を被るのも、痛い目を見るのも嫌いだった。あいつも同様に人に縛られることが嫌いだった。だから気が合ったんだろう、たまの実験や共同作業以外で度を越してべたべたとする必要がなかった。それが心地よかった。実験や共同作業もギブ&テイク、どちらかが乗り気でなければ打ち切る程度の勢いで続けていたから気軽でもあった。一人で居ながら、独りでないことが都合よかった。一匹狼。私とあいつは似た者同士だった。……彼の『性癖』も、もしかしたら裏返せば私のものになるんじゃないかと思うくらいに。*…だからというわけじゃないけど、私は彼女には弱かった。「……まあ、いいけど。手短に済ませて」「は、はい!」「…あなたの赤ん坊の話なら、私も同席していい?」「え…」「…私は構わないけど…あなたは赤ん坊苦手じゃなかった?」「別に。『子供を産むこと』が危険だから好かないだけよ」「……らしいよ。あんたは大丈夫?」ススキモドキがざあっと風に揺れる。「……あっ、…その、ハイ、お願いします…」泣きそうな顔でその娘は答える。……私達が怖いのだろうに、恐らく家はもっと怖いんだろう。だけどこの世界では――特に、親となったのなら――家出なんて、出来る訳がない。*緊張した面持ち、その口から繰り出されるのは想像通りの問題。「……成程、あの人にとっては災難だったわけ」「うう……」「相変わらずだね、あいつ」「あいつらだけで六法全書全部破戒してしまいそう」俯くその娘をおいて、彼女と顔を見合わせる。「…ま、絶滅危惧種の保存方法としてはあいつは正しい選択をしたよね」「そうね。…種を存続させるためにはDNAに多様性があった方がいいし」「……倫理的にどう、とか言わないんですか?」「……被害者があの人なわけだろ?」「別に元の世界の倫理観に合わせる必要はないし、被害者が…以前独裁を強いていた奴なら、尚の事、他の人の都合とかルールに巻き込まれても文句言えないでしょ」多分他の人達なら色々言うんだろうけど。「……あなたも、そうした反応を予想してて、私達に相談したんだろ?」「……」「まあ、許容できるからといって、私達にはできないことだけど。貴方には出来た。それなら問題ないと思うよ。私はね」「奴だって半ば諦めてるんでしょう?」「…毎朝、死にそうな顔で出かけて、毎晩、死にそうな顔で帰って来るんです。……彼だけが、生き生きとして、子供たちを撫でて、あの人にも触らせる…」「…本人同士がいいなら、いいと思うよ。私は。…それとも、問題があると言ってほしいわけ?」「……誰かに、止めてほしいのかもしれません。……でも、誰も止められないだろうし、…巻き込めないんです」「……巻き込まれたくはないね、確かに」「下手なことすると敵対に繋がりそうだし、面倒だわ……ただ、生まれた子に罪はない……気にはかけておきましょう」「…概ね、同意」露骨な拒否がなければ、許容したのと同義。この世界ではわがままは言っていられない。別に生まれた子が誰との子であろうと、私は別に態度を変えるつもりはないし。……非効率的で、無意味で、…何より、どうでもいいから。何故、人のごたごたに振り回されて馬鹿な振る舞いをする必要がある?「……気質がどこまで遺伝するかにもよるけどね」「あれは育ち方…経験と知識の問題も含んでるんでしょう?あなたたちの話によると」「そうだね。昔はもう少し…協調性も、寛容さも、穏やかさも持ち合せていた気がする」人を妙な行動に走らせるのは、知識だ。「余計な衝撃を与えなければ、問題はないんじゃないの」「あいつがおかしくなった原因、きっかけ何もかもを与えないようにするってこと?」「…そうなるね」そう、赤子のように無垢に保てば、何の問題もないだろう。そして通り一遍の育成条件、生存条件のみを、満たしてやればいい。*「…ちゃんと寝てるの?」「……なんとか…私が寝てる間に、…彼や、あの人があやしてくれたり、…するので…」「ほら、寝ない寝ない。しっかりなさい。これからまた家に戻るんでしょう?」「……あたしより、赤ん坊、あの人の腕の方が安心できるみたいだし…」「それでも帰りなさい。……代用の乳も、もっと分けてあげるし、今度長話の時間くらいはとれるから」「……よろしくお願いします」ありがとうございました、と頭を下げて彼女は去っていく。「…ハンドクリームやアロマもどきもあげればよかったかしら」「そうだね。……今度、あの子に家に届けてもらう?今もたびたび遊びに行ってるんだろ」あの子もたしかあの娘のことを心配していた。ふわふわとした髪や濃い色の肌で分かりにくいが、彼女の容貌は相当荒れている。ストレスは体調に直結する、体調は生死に直結する、一人の生死は、この世界では全員の生死に繋がりかねない。だから昔のあの場所と違って、皆でフォローしあわないといけない。「……うちのあのこも、子供が出来た時は肌荒れ髪荒れが酷かったんだけど…あれはそういうのと少し違いそうね」「……早速調達?」「何よ、悪い?丁度時間も空いてるし…何よ、何笑ってるの」「いや、別に」彼女は案外情が深い。*現在の私にとって、最も「家族」の定義に近いのは、彼女だ。あいつがあの人に向ける執着や、あいつがあの娘に向ける所有欲ほどじっとりはしてないけれど、彼女が彼女の結ばれる相手との間に子を設けるなら、子供を可愛がってやりたいと思う。育つに相応しい環境を与えてやりたいとか、彼女に似ている部分が育っていくのを見守りたいだとか、そういった感情は理解できるようになってきた。……あいつはそれをこじらせているのかもしれない。あいつにとって都合のいい、必要な場所を、必要な人々と共に築こうとしているのかもしれない。私と関わりのないことだけど。そんなどうでもいいことを考えながら、涼風を置いて、彼女と共に灯りの中へ帰っていく。すっかり暗くなった薄野の上を、大きな流れ星が通り過ぎていった。
2010.04.01
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