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コンタクトレンズ処方を希望される患者様からよく戴く質問の一つに、「結局、目に一番安全で良いソフトコンタクトレンズはどれなの?」というものがあります。 この質問に対する私の答えは毎回決まっています。それは「ソフトコンタクトレンズでは1日使い捨てタイプが感染症が少なくて最も安全です。その中でもシリコーンハイドロゲル素材といって酸素をたくさん通すタイプのものが一番良いのですが、現在のところジョンソン&ジョンソン社のワンデーアキュビュートゥルーアイというレンズのみがその条件を満たしています。私はこのトゥルーアイを「究極のレンズ」と考えており私自身も毎日使用しています。他のレンズに較べると高価ですが、予算が許せば自信を持ってお勧めしたいと考えています。」というものです。 この「ワンデーアキュビュー・トゥルーアイ」 は 、 「世界初のシリコーンハイドロゲル素材の1日使い捨てコンタクトレンズ」です。競合他社は今のところまったく追随することが出来ず、製造元のJ&J社の技術力・総合力の高さをまざまざと見せつける形になっています。1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズは他社からもそれこそ無数に発売されているのですが、その酸素透過性の差から、商品戦闘力はまさに「格が違う」状態です。具体的には、コンタクトを1日使うと夜に目の渇きを自覚することが多いと思うのですが、この渇きが非常に少ないのです。実際に使ってみるとほとんどの方にその差を実感して戴けると思います。 そのため1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズに関しては、 まず、ワンデーアキュビュートゥルーアイを考える。なんらかの理由で無理な場合に、他のレンズを検討する、ということで良いと思います。 次に、このトゥルーアイの欠点ですが、 1. 値段が高い。 2. 従来型の酸素透過度の低いハイドロゲル素材のコンタクトレンズに較べるとやや固いので、患者様によっては違和感が強くて合わないことがある。 3. 実はこれが一番の問題なのだが、我々眼科専門医の高い期待を裏切るような商品の自主回収が続き(現在までに2回)、また製造ライン改修のため、今でも度数によっては生産中止の状態が続いていて、全ての患者様に処方が出来ない。 となります。このうち3については、9月中旬には一般的な度数については供給が可能になるという未確認情報があり、私も皆様の目の健康を守る眼科専門医として、その日を首を長くして待っているところです。 以上をまとめると、 1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズに関しては、安定・安全供給さえされれば、この「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」に勝てるコンタクトレンズは現状存在しないため、「これで決まり!」 です。 ところが、現在最も処方数が多く最激戦地の2週間交換タイプのコンタクトレンズになるとその様相は全く異なります。有力で戦闘力が高く出来の良い各社のレンズが揃っているからです。もしも皆様からのリクエストがあるようであれば、このタイプのレンズについてもいつか考えてみたいと思っています。
2011.08.30

いまや日本人の国民病とも言われる緑内障、これは見える範囲(視野)が欠けてくる病気なのですが、その治療には眼圧(目の底の血圧)を下げる目薬を主に使用します。 ところがこの緑内障の目薬というのは、大体において「しみる、さしにくい、おまけに値段が高い」の3重苦が伴っており患者様に大変不評です。更に悪いことには目薬には「緑内障を治す・良くするまでの効果は無く、ただ進行を食い止めるだけ」なのです。 そのため、最初は目薬をさしていてくれた患者様でも段々と「頑張っても治らないならつまらない。元々自分では全く自覚症状もなくて健康だと思うし、もう治療はやめたい。通院も今日で最後にして欲しい。」と言われてしまうことがたまにあります。言わないまでも心の中でそう思っている患者様はきっと多いと思います。。。。 でも、この緑内障、どうしても絶対に治療を続けて頂かなくては困る のです。以前にも書いていることなのですが、とっても大切なことなのでその理由を今日も改めて説明しましょう。 まず繰り返しになりますが、緑内障とは「眼圧(眼底血圧)がその人にとって高いことで目の神経が壊され、その結果として視野の中に見えない部分や見えにくい部分が出来てくる病気」です。 この緑内障による見え方を表す図としてパンフレットなどには、 よくこのような説明図が載っています。「こんな風に見え方が欠けていたら誰でも自分で気付くはずだろう。私は全然そんなことないし、先生は緑内障っていうけどほんとなのかな?」と疑っている緑内障の患者様がたくさんいらっしゃいます。 でも、実は、緑内障での実際の見え方はこのようなものでは全く無い のです。。。 上の図では道路に飛び出してしまったボールを拾おうとして、車の陰から子供が2人猛ダッシュしてきています。正常な方なら上記のように見えるのですが、もしも緑内障があると、、、、、、 初期でも車と子供達が消えてしまっています! これではなぜ道路にボールがあるのか全然分かりませんし、もしこのような見え方の人が車を運転していたとすると、最悪の場合子供達を車で跳ね飛ばしてしまうかもしれないですね。 緑内障が進行すると見え方は更に次のように変化していきます。 ↑ このくらいの見え方でも自分では正常と思っている患者様はたくさんいらっしゃいます。 お解り戴けたでしょうか? 実は緑内障というのは、 よほどの末期にならない限りは自分ではなかなか気付けない病気なのです。だから恐ろしいのです。 どういうことか別の角度から説明しましょう。 我々の頭というのは物凄く良く出来ています。視野が欠けてしまっても、頭でそれを補正することが出来るのです。そのため、上の図では本来見えていないはずの花びらがなんとなく見えるように感じてしまうのです。 そしてこの緑内障、良くはならないが悪くはなる のです。なので、出来る限り初期から治療を始め、その進行を食い止めて生活に支障が出ないようにする、ことはとっても大切なことなのです。 今でも毎月のように、「急に目の異変に気付いて我々眼科専門医のところに大慌てで駆け込んできたけど、すでに失明寸前で手遅れ!」 という患者様が多くいらっしゃいます。 現在緑内障を発見されて治療中の患者様は、実は病気をコントロールできているわけなのでとってもラッキー ということも出来るのです。なので、イヤになって通院をやめたりせず、是非我々眼科専門医と一緒に頑張ってくださいね。
2011.08.25

夏ももうすぐ終わりですね。さてこの時期なんですが、「このところ急に目がかゆくなった」という患者様が割と多いんですね。 実は今は、キク科・ブタクサ属の1年草であるブタクサ による花粉症の時期なのです。スギ・イネ・そしてこのブタクサが「世界3大花粉症」の原因で、日本でも花粉症の原因の第3位なのです。 テレビ等のマスコミでは何故かほとんど話題にならないのですが、夏というのは花粉症の多い時期なのです。有名なスギに次いで原因2位のイネ科の雑草(カモガヤ・イネなど)による花粉症が猛威をふるい、ようやくその季節が終わりに近づくと、次は残念ながらこのブタクサ花粉症の季節の始まりです。まさに、 花粉は続くよ、どこまでも。 なんですね。 目薬・内服薬で速やかに改善しますので、症状のある方は我慢せず早めにお近くの眼科専門医を受診されてくださいね。
2011.08.23

しばらく前にブログのコメント欄で、さおさんに「目薬を点した後、どうして1分ほど目を閉じておかないといけないの? 何の意味があるの?」という質問を戴きました。今日は、その質問について考えてみます。 目薬の点眼後に目を閉じた方が良い理由ですが、目薬が目頭にある涙点(るいてん)から流れ出て行かない様にするためです。涙点から目薬が流れ出ると、 1. 全身に成分が移行するので、目薬の内容によっては副作用を起こす危険性がある。(特に緑内障のお薬) 2. 肝心な目の中(角膜からの浸透)での濃度が薄まってしまい、目薬が期待される十分な効果を発揮出来ない恐れがある。 という、2つの問題点があるのです。 我々の目と言うのは、高速カメラで撮影して調べてみると、まばたきをするときには 「目尻側から目頭側へチャックを閉めるように閉じて行く」 ことによって、目の中の水分を涙点へと押し流していくようになっています。 ↑ これは、チモプトールという長年ベストセラーを続けている緑内障の名薬で、点眼後に、未処置(普通に瞬きをする)、閉瞼(へいけん:静かに目を閉じる)、涙のう部圧迫(目を閉じ、更に目頭の涙穴の部分を圧迫する)の3つに分けて、点眼成分がどれだけ血漿(けっしょう:要は血の中)に移行したかを見たグラフです。 このグラフからは大切なことがいくつか読み取れます。それは、 1. 点眼後にまばたきをすると、成分がかなり血の中(要するに全身)へ移行してしまう。これでは全身性の副作用が心配だし、目薬の濃度も下がってしまうので効果も下がってしまう。 2. 点眼後には、目を閉じるだけで(閉瞼)、目頭を押さえる(涙のう部圧迫)まではしなくても全身への移行はかなり防げている。患者様が目薬を貰うと、良く調剤薬局で「点眼後は5分ほど目を閉じ、更に涙穴を押さえてください」という指導をされると思うが、実際問題としては「忙しい日常生活の中で、目薬のためだけにそんな時間と手間なんかかけられるか!」というのが患者様の実感だろうし、 「点眼後は最低1分目を閉じておく」 くらいでもかなり大きな効果があると考えられる。 ということです。 以上をまとめると、目薬の点眼後は、 少しでも目を閉じてじっとする。そしてまばたきをしない。 ことが大切ということです。皆様も是非覚えておいて下さいね。
2011.08.19

私が専門としている白内障手術、水晶体の濁りを取って代わりに人工の眼内レンズを入れるというものなのですが、我々眼科専門医は手品師ではないので、手術のためには当然切開が必要となります。 私が眼科医になった10年程前には、強角膜で4.1ミリ程度が標準的な切開幅でした。その後、機械・手術手技の革新が続き、切開幅はどんどん小さくなっていきました。3.2ミリ、3.0ミリ、、、、、 そしてクリニックを開業した3年前、私は2.8ミリの切開幅で手術をしていました。その後手術機械のUSチップというものをSSサイズに変更し、自らの手術手技も極小切開に対応するべく改善を加え、使用する眼内レンズも変更して、2年前からは全ての手術を2.4ミリ切開という小さな傷から行ってきました。ただ時代の進化は続き、最近では切開幅は更に小さくなろうとしています。 そして先週のことですが、日本のHOYA社の「i Sert Micro251」という最新型の眼内レンズを使ってみました。 この新型レンズは直径は6ミリなのですが、上手い事考えて折りたたまれており、強角膜2.2ミリ!という小さな切開から目の中に挿入することが出来るのです。 それでは、実際の手術場面をお見せしましょう。 ↑ このように、とっても小さな傷口から無事に手術が終了しています。 小さな傷口から手術をすれば、術後の傷の治りが早く、乱視が少なく、感染にも強いと良いことばかりなのですが、我々手術をする外科医の立場からすると、手術時の操作性の低下や新しい技術手技を要求される等、非常に厳しい部分も実はあります。 ただ、大切な患者様のためには少しでも小さな切開幅を目指す努力をすることは当然のことです。当院では近いうちに白内障手術機械を最新型のものに買い換えることを予定しており、更なる新型レンズへの変更も含め、強角膜2.2ミリの超極小切開に対応していきたいと考えています。
2011.08.11

今日は、にしわき眼科クリニック の診療体制について2つのお知らせがあります。 1つ目は、お盆休みのお知らせです。 今年のお盆休みは8月13日(土)から8月16日(火)となります。なお、8月17日(水)からは、通常診療・通常手術となります。 2つ目は、コンタクトレンズ処方に関するお願いです。 コンタクトレンズ処方については、以前からですが「初めてコンタクトレンズを使われる方(我々の業界用語では初コン)」は、診療終了時間の1時間半前まで、「使われたことのある方」は、診療終了時間の30分前までの受付とさせて頂いております。 以上、よろしくお願い申し上げます。
2011.08.08

さて先週からデモを開始させて頂いた、新型白内障手術機械のステラリスですが、今日はそのファーストインプレッションを個人的なメモ書きとして残しておきます。なお、本日の日記は眼科専門医向けのやや特殊な内容となっていますことをご了承下さい。 1. 新開発の超音波ハンドピースは確かに出来が良い。 贅沢な6クリスタルなのが効いていて、思ったとおりの滑らかな溝がシャリシャリ掘れるので手術のストレスが少ない。この点、溝堀り能力では抜群の日本アルコン社のインフィニティとほぼ同格と感じる。 2. 溝堀後のセグメントモードだが、ハイドロダイセクションがしっかり回ってかつ2分割がきちんと出来ており、チン氏帯が普通ならばという前提付きだが、とにかくセールス文句通りのパフォーマンスで目を見張る。ベンチュリーならではの吸引力・水晶体核の保持力は驚異的であり、今のところ4分割して核処理をしているものの、実際には2分割さえ出来ていればUStipを前房のセイフティーゾーンにのんびりと置いているだけで魔法のように処理してくれる。 3. またその前房の安定性も掛け値なしに凄い。フットペダルを自信と確信を持って踏み込める感じで、ステーブル・チャンバー・チューブ・システムの威力をまざまざと感じる。極めて安全な手術を行える感じで、嬉しくて術中に「思わず笑みがこぼれる」ほどである。 4. IAでも特に違和感は感じない。アボット社のシグネイチャーのペリスタポンプでのIAの精度には叶わないと思うが、合格点のレベルには達している。 5. 逆に欠点としては、この間の福岡でのJSCRS2011でも指摘されていた通り、術中にエアバブルは確かによく発生する。これは率直に言ってかなり邪魔で手術のストレスになる。 6. 売りのステーブル・チャンバー・チューブ・システムだが、一日に5例くらい連続で手術をすると、やはり詰まってしまうことがあるようである。 実際のデモ中でも連続4例くらいが限界かな?と言う感覚があった。詰まると手術効率が急激に落ちるとの事で、危険でもあるしコストがかさむという問題もある。 7. 私も含めペリスタマシーンに慣れている術者が多いので、完全ベンチュリーマシンのこのステラリスに対応するには、気を使わなければならない点がいくつかある。具体的にはハイドロと核の2分割を確実に行うことが必須条件であり、手術の基本手技能力に対してはシビアなマシーンである。 8. まとめると、そのステーブル・チャンバー・チューブ・システムは確かに素晴らしい。圧倒的な吸引力と前房の安定性は、「これこそ次世代のマシーンだ」と素直に実感させられる。その一方でいくつかの欠点もあり、現段階ではまだ評価しきれないと感じている。
2011.08.05

現在当院では、製造販売元のアメリカのボシュロム社様及びディーラーの吉田メディカル社様の御厚意で、最新型白内障手術機械のStellaris(ステラリス)をデモ中です。 ↑ ボシュロムのロゴ、カッコイイですね。 このステラリスは、今我々白内障手術専門医の間で話題沸騰の超ホットなマシーンです。というのは、画期的で革新的なシステムを搭載しているからなんですね。 その最大の特徴は何と言っても「ステーブルチャンバーチューブシステム」にあります。 これはベンチュリーマシーンの欠点を大きく改良したもので、高い吸引圧で水晶体核を保持できるのに、流量は低くて安全で前房(ぜんぼう:目の中の作業スペース)が極めて安定していると言うものです。要は「めちゃくちゃ良くなったベンチュリーマシーン」ということですね。 またこの画期的なチューブシステムだけではなく、 新開発でレスポンス抜群のロータリーベーンポンプ 他社の4クリスタルに対して、6クリスタルと贅沢仕様で滑らかな超音波発振が可能な超音波ハンドピースも出来が抜群という話です。(これは車で4気筒よりも6気筒の方がフィーリングが上質というのと似ているかもしれません) さて、この話題騒然のニューマシーン、ステラリス、実際に使用してみたらどうだったのでしょうか、、、、、、(続く)
2011.08.02
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