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今や日本の国民病とも言われる、緑内障。この緑内障で現在唯一その効果がはっきりしている治療法は「眼圧を下げる」ことだけなのですが、その治療には様々な系統の目薬が使われます。 現在、効果が最強とされているのは、「プロスタグランジン関連薬」と呼ばれる目薬です。具体的には、 上記の左から順番に、 日本が世界に誇る点眼薬メーカー参天製薬の自社開発で、副作用が少なくて瞳に優しいタプロス 効果長持ちでバランスとキレの良い、日本アルコン社の名作点眼薬のトラバタンズ そして1999年の発売が世界の緑内障治療を変えたと言われる、ファイザー社の歴史的名薬キサラタン 効果も、そして副作用も最強の「最後の切り札」的存在の千寿製薬のルミガン などがあるのですが、どのプロスタグランジン関連薬にも共通する「副作用」があります。具体的には、充血する、動物園に出かけたわけでもないのに目の周りがパンダみたいに黒くなる(色素沈着)、目薬がこぼれるとそこに毛が生える(養毛剤作用)あたりです。 そして、この副作用がイヤで点眼をやめてしまう患者様が後を立たないのですが、最近興味深い論文を見つけました。 「眼圧下降は、結膜充血の程度と強く相関する」というものです。この論文によると、 点眼後に充血する人ほど眼圧が良く下がっている、ということでした。 これは我々眼科専門医の臨床的実感とも良く一致します。また上記のルミガン点眼液という、現在緑内障点眼薬の中で効果最強の目薬が強烈に充血するのも、「なるほど、やっぱり。」と思わせるものがあります。 なので、緑内障でプロスタグランジン関連薬を使用されている患者様で充血が気になっている方は、 充血してると言うことは、薬がそれだけ効いているということだ と考えてみてくださいね。
2011.07.28

さて歩き疲れた私は、ヴィオロというファッションビルの中で、レモンスカッシュを飲んで休憩します。 ちなみに私は名古屋人なので喫茶店が大好きです。(名古屋は人口当たりの喫茶店数が日本一) 幼少の頃から家族で外食した後は必ず喫茶店に行くので、私はそれが全国どこでも普通なのだろうと思っていました。私がクリニックを開業している愛媛県は喫茶店が少ないのでちょっと寂しいです。 休憩した後はクリニックのスタッフの皆へのおみやげ探しです。今回はデパートの地下をグルグル回って、 「中がプリンで外がお餅」という不思議なスイーツ「もっちープリン」、他数点を買い求めました。食べてみると「雪見だいふく」みたいで美味しかったです。 さて今回のJSCRS参戦記もいよいよ最後の時を迎えました。 行きよりは広い、真ん中を通路に左右に2+2列の飛行機で地元の愛媛県へ戻ります。学会前よりも確実に進化を遂げて、また明日からの外来診療へと元気に向かいます。皆様、学会旅日記にお付き合い戴き有難う御座いました。 JSCRS2011参戦記 終わり
2011.07.26

さて昼ごはんを食べ終わった私ですが、松山へ戻る飛行機は最終便を予約しているためまだ時間がたっぷりあります。そこで街をブラブラ散歩していると、 良さそうな中古CD屋さんを偶然見つけました。思わず中に吸い込まれて数枚のCDを買います。私は1970年代~現在までのソウル、R&Bなどのブラックミュージックを中心に約4000枚のCDを収集しており、中古レコード屋さんが大好物なのです。そのため眼科医を引退したら私も中古CD屋さんになる予定です。ただ、もちろん地元の八幡浜地域の皆様に必要とされる限りはまだまだ眼科医として頑張りますが。(笑) さて小雨の振る中、街の探検を続けていると、 全身ブラックのクールでお洒落なビルを発見します。良く見ると都会で大人気と聞くファッションブランド、「アバクロ」のお店です。私も早速潜入します。 店内に一歩足を踏み入れると、大音量の音楽、落とした照明、立ち込める香水の香り、まるでナイトクラブそのものの空間が広がっています。入り口には何故か上半身裸のマッチョマンのイケメンがいて、ポラロイドで一緒に記念写真まで撮ってくれます。 「うーん、これは新しい。でも、店が薄暗くて商品を選びにくいし、眼精疲労(がんせいひろう)になりそうだな。」と思いながらも、せっかく来たので何点かの商品を買い求めます。 お店を出た後で、「あっ、この店は商品ではなく、哲学を、そしてブランドそのものを売っているんだな」と気付きました。そして、「医者の世界も一緒だな。絶え間ない努力と全国レベルの医療水準を前提として、そこに自分のクリニックならではの考え方を反映させていかなくてはいけないんだな」と感じました。(続く)
2011.07.25

さて楽しかった日本白内障屈折矯正手術学会総会(JSCRS)も終了しました。博多の中心地、天神に戻った私は、お腹が空いたのでガイドブックで見つけた、 テムジン 大名店 という「ひと口餃子」の専門店に出かけました。 メニューを見て、一通りの餃子メニューを注文します。 焼き餃子 水餃子 スープ餃子 どれも美味しかったです。それにしても、人生で一度にこれだけたくさんの餃子と正面から向かい合ったことは今までにありませんでした。新鮮な体験でしたね。(続く)
2011.07.24

さて早いもので学会も最終日となりました。この日は、 角膜疾患と白内障手術、眼科IT化における進歩という2つのセッションに参加しました。 ただ、学会の最終日と言うのはいつもそうですが、空気が穏やかと言うか、寝ている参加者もいるというか、ちょっとのんびりした雰囲気が漂っているんですね。(笑) みんな博多の夜の激闘で疲れているのかもしれませんが、昨日の昼の「対決!フェイコマシーン」のセミナーのような激アツさはかけらもありません。 さて、最終日のセッションで勉強になったことを下にまとめておきます。例によって眼科専門医向けの内容です。 1. 角膜混濁眼で、拡散光で前嚢(ぜんのう:水晶体の表面の膜)が確認できなければ、白内障単独OPはするべきではない。 2. 外来では問診を重視し、問診内容を前提として「今日は○○なんですね。」という質問を投げ掛けてあげるほうが、患者様は話しやすい。 3. イニシャルコスト(初期投資)の10倍を5年で回収できなければ、その投資は経営的には失敗である。眼科分野では機械が高額な上に、その投資が十分にペイしているか考えていない診療所・病院が多いので、強く注意しないといけない。
2011.07.23

さて大変勉強になった一日が終わりました。お腹もペコペコです。去年の緑内障学会の時に偶然入った焼鳥屋さんで、たまたま横に座ったおいちゃんに「めちゃ旨いよ。」と教えてもらったもつ鍋屋さん「もつ幸」に再び出かけます。 他の先生と一緒だったので声は掛けませんでしたが、お世話になっている眼科機械メーカーの営業の方も見かけました。人気店なんですね。 ぎょうざの皮が上に乗っているのが特徴です。 自分では何もしなくても、おつまみを食べてお酒を飲んでいる間に熟練の店員さんが目の前で作ってくれます。 出来上がりです。一緒に行った方は「もつ鍋が苦手。」とのことだったのですが、「ここのは、人生で初めて美味しかった。」と喜ばれていました。 ↑ ぎょうざも、 ↑ たっぷりのごまで風味豊かに仕上げてくれる締めのちゃんぽん麺も抜群です。 ふー、今日も美味しかった。「また早く博多で次の学会ないかなあ。」などと気の早いことを考えながら、お店を後にします。(続く)
2011.07.21

さて、熱い熱い「フェイコマシーン対決」のセミナーの後は、機械展示場で涼んだり久々に出会った眼科医の方と楽しくおしゃべりをして休憩し、その後、 メインシンポジウムの「白内障手術オープンソース2011~対難症例プログラムをインストール」へ参加しました。 この中で勉強になった話を自分用のメモ書きとして書いておきます。以下は専門的な話となりますので、難しい方は読み飛ばして下さい。 1. 水晶体の固い核では、とにかく大切なのは確実に4分割することである。2分割は常に掘りたいところにピントを合わせる こと、そしてとにかく 後嚢(こうのう:水晶体の袋の裏面のこと)ギリギリまで掘る ことが大事。 2. 2分割時も4分割時もそうだが、 「底まで割れている」ことを確認する ことが大切。 3. 溝堀時にフェイコパワーを上げるのを忘れがち なので注意。 4. スリーブ蹴りを防ぐため、 特に手前側をしっかりと掘る こと。 5. 固い場合、真ん中からではなく周辺から分割するのも有用。 6. IFIS対策では「来るぞ!」という心構えが大切。 7. 瞳孔の全幅切開について。12時部を大きく切ったら、手術終了時に下方を大きいバイトで3つくらい切っておけば、割とそれで問題はない。 8. 瞳孔縁切開は、マルチプルで切るのが一般術者には確実なので最も適している。浅いバイトをできるだけ多数作るのがポイント。瞳孔径は最低でも6.0ミリ以上にすること。その際、角膜のサイドポートは4つ開けても大丈夫。また、虹彩の下に粘弾性物質を多量に入れない こと。 9. CCCが不完全になると、大体その25%で後嚢破損が起こる。やはり確実なCCCは大切。 10. A-VIT時は「正しく電車道を歩く」 ことが大切。 具体的には、核娩出(まずビスコエクストラクション、無理なら機械的娩出)→A-VIT→IOL挿入・逢着(ここで眼圧が低ければサイドポートから虹彩下にBSSを入れて眼圧を正常化する。眼圧が上がっていればその後にIAしても大丈夫とのこと。これは知らなかった!)という 決められた手順を必ず守る こと。 11. ビスコエクストラクション時には、核の見た目の倍の切開幅が必要 。 というのは核には「厚さ」があるため。(トラブル時に切開幅の拡大をケチると虹彩を痛めたりして、より重篤な合併症につながるので本当に注意が必要。 要は 「トラブったら、思い切って大きく切開幅を広げろ!」 ということ。敗戦処理でベストを狙わないこと。) 12. JSCRSの最新の推奨では、IOL逢着は必ずしも同時手術でなくて良い 。 (網膜剥離等の重篤な合併症があり得るため。) 12. 下手な術者は顕微鏡のセンタリングが悪い 。 (これは自分の体験でも、また他の先生の手術を見学したときにも絶対に間違いない。そのため私も常に気を付けている。) いやあ、勉強になる、そして身につまされるシンポジウムでした。(続く)
2011.07.19

さて大好評を戴いてきた、この「対決!フェイコマシーン」シリーズですが、いよいよ最終回となりました。 4番手は唯一の純国産メーカー、二デック社の「フォルタス」です。 私は現在、このフォルタスの前機種のCV-7000を使用して手術をしています。国産らしくトラブル皆無で耐久力のある信頼できるマシンです。 その私がこのフォルタスをデモしたときの最初の印象は「うわぁ、良くなったなあ」というものでした。他社のように超音波の横振動をする訳ではないのですが、基本技術を磨き上げて非常に良いマシーンに仕上がっています。具体的には、手術中にトラブルを起きにくくするシステムが優れています。フットペダルをベタ踏みしていても、後嚢(こうのう)と言う大切な袋にUStipが接触しないように、内蔵されたコンピューターが検知してパワーダウンしてくれるのです。私も今回色々なマシンをデモさせて頂きましたが、一番安心してフットペダルを踏み込めたのはこのフォルタスでした。日本製らしい親切さと耐久力に満ちた極めて魅力的なマシーンですね。 セミナーでは、眼科の研修を始めたばかりの研修医の先生がフォルタスで実際に手術している動画が供覧されたのですが、恐らくまだ目の中のスペース感覚が全く掴めていないのでしょう、UStipで吸ってはいけない後嚢(こうのう)を何度も誤吸引し、それでもフォルタスの安全性能のおかげで破嚢(はのう)という合併症を起こさずに済んだというインパクトのある映像でした。会場からはフォルタスのこの驚異の安全性に対して感嘆の声が上がっていましたね。 逆にこのフォルタスの欠点としては、他社製品に較べて技術革新が少ないということが上げられます。普通の固さの水晶体核では差が出ませんが、固い難症例では現状やはり少し差がある、という印象です。唯一の国産マシーンですし、これからの更なる成長に期待したいですね。
2011.07.15

さて意外なほどの多くのアクセスを戴いている、この「対決!フェイコマシーン」シリーズですが、今日はその第3弾です。 3番手はコンタクトレンズでも有名なボシュロム社の「ステラーリス」です。最新鋭のマシーンですね。 (↑ 本人様、ブログ登場了解済みです) このステラーリスは、ペリスタかベンチュリーのどちらかのポンプを選んで購入する形になるのですが、写真にも登場して頂いたメーカーの担当の方が言うには「9割はベンチュリーを選ばれてますよ」とのことでした。 このステラーリス、とにかく学会場の内外で評判が高く「とにかく凄いらしい」、「前房(ぜんぼう:目の中の手術エリア)が驚異的に安定して安全らしい」、「このマシーンを買ったら、良すぎてもうテクニックの見せ所が無いらしい。その意味では技術が退化してしまって逆に危険らしい。」などの噂を私も元々聞いていました。 セミナーでは、このステラーリスが何故凄いのかの話がありました。具体的には、とにかくUSチップと、チューブシステムの出来が良い、ということでした。ただ、「エアバブルが発生しやすく、一日にたくさんの手術をすると水晶体の核がチューブに詰まりやすい、また、従来型のマシーンに較べて吸引圧の上がり方が異なるので注意が必要」などの欠点についても説明がありました。このステラーリスだけは私は実際に使ったことがないので、これ以上のコメントは現段階では差し控えますが、7月下旬より当院でも実際にデモさせて頂けることとになったのでとっても楽しみです。 まとめると、ステラーリスはどうやら凄そうだが良く分からない。日本市場に進出してきたばかりで、購入後のメンテナンス体制にも少し不安を感じる、というところかと思います。(続く)
2011.07.14

さて「対決!フェイコマシーン」、2番手はアボット社の「シグネイチャー」です。 このシグネイチャーは、1台のマシーンにペリスタとベンチュリーという異なった2つのポンプシステムを持つ贅沢なマシーンです。実際の手術では安全性に優れるペリスタと効率の良いベンチュリーを、柔軟に瞬時に切り替えて使用することが出来ます。更にアボット社のペリスタポンプと言うのは元々優れていましたが、このシグネイチャーになって更に良くなり他社の追随を許さないものがあります。 私も実際にマシーンをデモさせて頂きましたが、極めて快適に効率よくかつ安全に手術が施行出来ます。特に核片を1かけら処理した後はベンチュリーポンプに切り替えると、UStipを目の真ん中のセイフティーゾーンに置いておくだけで、核片の方が勝手にどんどん寄ってきてくれる感じで気分良く処理できます。この時後嚢(こうのう:水晶体の袋の後ろの部分)が微動だにしないのはまさにベンチュリーならではで、「あぁ、白内障手術機械はこんなに進化したんだな!」と実感します。このベンチュリーの使用感と言うのはちょっと癖になるような麻薬的な爽快感があります。(ただし、チン氏帯という部分が弱い患者様ではベンチュリーは危険な場合もあるので決して万能ではありません)。 また破嚢(はのう)という、水晶体の袋が破れてしまった時に使用するA-VIT(エービット)というモードがあるのですが、これが他社に較べて圧倒的高回転の2500回転まで回るというのも大きな利点です。要は「ピンチに強い」ということですね。演者の先生も「1台だけ買うなら、絶対シグネイチャーでしょう。」と力説されていました。 逆にこのマシーンの欠点ですが、現段階ではエリプスという横発振のプログラムがアルコン社のインフィニティに及んでいないと個人的に感じられること、またUStipという水晶体を削る機械の洗練度がやや他社に対して物足りない、ということだと思います。ただUStipに関しては、21G(ゲージ)の新型チップが近々登場予定とのことでしたし、シグネイチャーはまだ発売後日が浅いこともありこれからの更なる成長も期待できると感じています。 まとめると、シグネイチャーは現在伸び盛りの魅力的なマシーンであり、ダブルポンプ搭載で極めて戦闘力の高い機械です。今後の他社との死闘が非常に楽しみである、ということになると思います。(続く)
2011.07.12

さて驚異的な熱気を帯びて始まった「対決!フェイコマシーン」のセミナーですが、トップバッターは日本アルコン社の「インフィニティ」でした。過去数年に渡って人気ナンバーワンのまさに「王者」とも言えるマシーンです。発売後かなり時間が経過していますが、逆に言えば改良を重ねて「円熟の境地」に達しているという言い方も出来ます。 このインフィニティは世界で初めて、超音波の横振動を取り入れたマシーンでその効果は凄まじいものでした。ただ大きな弱点として吸い込んだ水晶体の核が詰まりやすいと言うことがあったのですが、現在は「オジールIP」という新プログラムでそれもほぼ解消されています。私も実際に体験したから良く分かるのですが、セミナーでも「手術の疲れが少なくなった。破嚢(はのう)という合併症が明らかに減った」と絶賛されていました。ただ欠点としては「機械につながるチューブが固くて操作性が悪い。後、核の引きがけという操作がしにくい。そのために、縦発振のみのモードを入れて、それを足で切り替えて使用する必要がある」と言う点と「マシーンの能力を発揮させるためにはケルマンチップという先っぽの曲がったやや特殊な道具を使う必要があり、術者によっては適応できない」点の2つが挙げられていました。 私もしばらく前にこのインフィニティをデモさせていただいたのですが、その完成度は驚異的と感じました。ただ会場でも指摘されていた欠点は確かにあり、水晶体の核を引き出す時に、横発振の超音波が強すぎて皿状にしてしまい思わぬ修羅場を迎えてしまう、ということも実際にありました。その点は気を付けないといけないと思います。 インフィニティは過去数年圧倒的に優れたマシーンだったのは間違いなく、更にライバルが出現した現在でも極めて良いマシーンです。ただ欠点も少ないですがあります。後、これは未確認情報ですがベンチュリーポンプ搭載の新型マシンの登場が近いという噂もあり少し注意が必要かと思います。以上をまとめると、ポイントはこの王者、インフィニティに他社のマシーンがどこまで迫れるか、もしくは追い抜けるのか、だと感じました。(続く)
2011.07.11

さて6月18日(土)のお昼のランチョンセミナー(ご飯を食べながら勉強できる)は、レンズメーカーのHOYA社が主催した、「対決!フェイコマシーン」に参加しました。 フェイコマシーンというのは「白内障の手術機械」のことです。非常に高額(大体どれを買ってもメルセデスベンツのSクラス以上、高いものだと多分フェラーリも買える!)な上に、最近は新製品の発売ラッシュということもあり、その販売競争は現在熾烈を極めています。 今回のセミナーは、4社の機械の内どれが優れているかを、日本を代表する著名な白内障術者4名が徹底的に討論すると言うものでした。会場に早めに着いた私は、美味しいお弁当を戴きながら始まるのをのんびりと待ちます。 ところがお弁当を食べていると、なんだか場内が異常にざわついています。会場の最前列に座っていた私が後ろを振り返って見渡すと、 どうやら眼科医だけではなく、眼光の鋭い明らかに機械メーカーの社員と思われるビシッと決まったスーツ姿の方が大量に陣取っていて、異様な熱気と活気です。 私は今まさに次のフェイコマシーンを選んでいるところであり、自分にとってのベストの機種を求めて勉強中です。そのためこれからその会場内での話を自分用のメモ書きとして、自らの使用経験と感想も含めて率直に詳細に書きますが、どのメーカーに対しても全く他意はないので御了承下さい。(笑) (続く)
2011.07.08

さて、ようやく学会場に到着しました。今回の日記、学会場に着くまでが長かったですね。ただし、この後も激アツな話が続くのでJSCRS参戦記は少しロングシリーズとなる予定です。御了承下さい。 最初に参加したのは、 「全身疾患と白内障手術」というシンポジウムでした。もちろん会場の最前列に座って気合を入れて勉強しました。 この中で勉強になったことを自分用のメモ書きとして下にまとめておきます。一般の方で難しい場合は読み飛ばしてください。 1. アトピー性皮膚炎がある患者様の白内障手術はとにかく要注意。鋸状縁(きょじょうえん:目の奥の網膜の一番隅っこの見えにくい場所)付近の毛様体上皮裂孔や、網膜剥離裂孔を伴っていることが多いので、強膜圧迫による手術中の眼底検査が必要である。 2. 前立腺肥大で排尿障害の治療のためにα1遮断剤というお薬を飲んでいる患者様が激増している。具体的には「ハルナール、フリバス、ユリーフ」などの商品名のものが多い。これらが日本では現在なんと年間で8億個!も処方されている。泌尿器科の先生はカジュアルに気軽に処方するが、これらの薬を飲んでいると白内障手術時に40%の確率でIFIS(アイフィス:術中虹彩緊張低下症候群)というやっかいな合併症を起こす。 これはα1遮断剤が「瞳孔散大筋のブロック」を起こすからだが、α1受容体を選択的に活性化させる「フェニレフリン」という薬剤でこのIFISは予防できる。ただしミニムスという使いきりタイプの点眼剤を個人輸入しないといけない。後、一般的な散瞳剤の「ミドリンP」にもフェニレフリンは入っているが、原液でないと前房内濃度が足りない。ミドリンPには防腐剤が入っているので原液使用は無理。 3. 糖尿病を合併している患者様の白内障手術は非常に多いわけだが、手術前にHbA1C値を3ヶ月で3%以上、つまり1ヶ月で1%以上改善させると、元々中等度以上の非増殖性網膜症では高率に術後に網膜症と黄班浮腫が悪化する(いわゆる糖尿病治療後網膜症)。そのため、内科の先生方に対して我々眼科医側から、「手術のための急速な血糖改善はかえって良くない」ことをしっかりと伝えていく必要がある。 後、糖尿病の基準が11年ぶりに改定されて、「HbA1C6.1%以上」となった。 4. 白内障手術前に抗血栓療法(ワーファリンや、アスピリンなどの抗血小板薬)を一旦中止すべきかどうかということが以前から議論されてきたが、基本的に休薬の必要はない。 (2009年の循環器科の治療ガイドラインにも記載されているとのこと) 白内障術中には0.04%の確率で「駆逐性(くちくせい)出血」という恐ろしい合併症が起こるわけだが、最近は「極小切開なので更に減っているでしょう」と。 「むしろ休薬によって高頻度(1%)の確率で虚血性の恐ろしい脳梗塞や心筋梗塞などのイベントが起こるので、そっちの方が危ない」 とのこと。そのため、「休薬する場合は必ず同意書を戴く必要がある」と。 ちなみに当院では開院時から抗血栓療法薬の休薬はしていません。 非常に勉強になるシンポジウムでした。(続く)
2011.07.06

さて頑張って早起きしてホテル最上階の朝食会場に向かいます。ちなみに今回は「ソラリア西鉄ホテル」と言う所に宿泊しました。福岡の中心地、天神の更にど真ん中でとにかく魅力的な立地でしたね。 アルコールに囲まれた通路を通って朝食会場に着くと、 またもや、アルコールの中に朝食が並んでいます。「おぉ、これはなかなか斬新な眺めだな」と思いながらご飯を食べて、最初のプログラムに間に合うように急いで学会場へ出陣します。(続く)
2011.07.05

この日記は、6月17日~19日にかけて福岡で行われた。第26回日本白内障屈折矯正手術学界総会(通称:JSCRS)参戦記の続きです。 さて博多の中心地、天神(てんじん)のホテルにチェックインした私ですが、松山空港での夜御飯が少し足りなかったこともあり、ホテルの方に美味しいレストランバーを教えて頂きとことこ歩いて出かけます。 出かけたカフェ・レストラン、「ラ・ボエム クアリタ」はビルの5~7階をぶち抜いた大箱です。 規模の大きさに圧倒されつつ、「やっぱり100万都市は違うなあ」と実感します。私がクリニックを開業している愛媛県は皆様ご存知の通り四国にあるわけですが、四国で最大の都市は松山市でその人口は50万人を少し上回るくらいです。100万以下の街ではなかなかこういう大箱の飲み屋さんというのは成立しないんですね。 カクテルを飲みながら何気なく窓の外を眺めると、 夜の12時過ぎなのにまだ店舗の内装工事をしています。「都会はエネルギッシュで忙しいんだなあ」と、そのパワーを実感しながら、 美味しいアボガトサラダで、野菜を補給しつつ博多の夜は過ぎていきます。明日からどんな勉強が出来るのか、楽しみですね。(続く)
2011.07.03
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