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さて少し前のことですが、6月17日~19日にかけて福岡で行われた「第26回日本白内障屈折矯正手術学会総会(通称:JSCRS)」へ参加して勉強してきました。私の専門は何と言っても白内障手術なので1年で一番大切な学会の一つです。 6月17日の夕方、外来を少し早期終了させて頂いて松山空港に駆け付けます。到着したのは夜の7時過ぎでお腹ペコペコで空港2階のいつもの蕎麦屋さんの「そば吉」に駆け込みます。ただ閉店寸前かつ飛行機の出発時間が迫っていたこともあり、 軽く「鶏南蛮そば」を食べて、そのまま飛行機に駆け込みます。 私はANA派なのですが、松山-福岡間はJALしか就航していないため今回は当然日本航空に乗ります。通路を真ん中に2+1列しか座席の無いチビチビの飛行機で、シートも「軽薄短小」、薄くて小さくて数分座っているだけで体がちょっと痛くなります。こういった飛行機での飛行が多いのが地方空港の悲哀の一つですね。少し厳しい旅のスタートです。(続く)
2011.06.27

先日のことですが、「農作業中に右目をぶつけて真っ赤になった。」との訴えである患者様が来院されました。早速拝見すると、右目は結膜下出血といって表面の血管が切れて少し血が出ているだけで特に問題の無い状態でした。 「ついでに反対の目も診せて下さいね。」と言って左目を拝見すると、顕微鏡の視界に一瞬「黒い影」がよぎって消えました。 「うん!?、今、確かに何か黒いものが見えたぞ!」と思って下のまぶたを引っ張って調べてみると、、、、、、、 これは?、太いまつげ?、、、、、、 ところがじっと見ていると、、、、、、 なんとその「まつげ」がもぞもぞと視界から逃げていきます! 動いている! 良く見ると、、、、、、、 なんと「ヒル」が結膜(白目)に喰いついて血を吸いながら逃げ回っていたのです。ピンセットで逃げるヒルを追い掛け回し、必死の思いでやっつけて剥がしました。私は眼科医をもう10年以上していますが初めての経験でびっくりしました。「これは大変珍しいです。私は初めて見ました。ヒルが入って目の血を吸ってましたよ。」とお伝えすると、「そんなに珍しいものが入っていたんですかー。いやあ、取れて良かった。」と、患者様は大変喜ばれていました。 後で患者様に伺ってみると、「そういえば数日前に田んぼで作業をしていて何か左目にゴミが入った。」とのことでした。ヒルは目の中で血を吸いながら数日間も過ごしていたんですね。このように暑い季節になると、目の中には様々な異物が入り込みます。皆様も目にゴミが入って症状が改善しないときには、是非お近くの眼科専門医を気軽に早めに受診されて下さいね。
2011.06.23
さて今週からデモを開始させて頂いた、新型白内障手術機械のシグネイチャーですが、そのファーストインプレッションを個人的なメモ書きとして残しておきます。なお、本日の日記も眼科専門医向けのやや特殊な内容となっていますことをご了承下さい。一般の方向けにはこの後また新シリーズを予定しています。 1. US時の溝堀りがストレス無く快適に出来るようになった。シグネイチャーの前機種のソブリンを私は以前使用していたのだが、ソブリンは溝堀をするときに削っている面がガタガタになるという欠点があった。超音波発振を高いレベルで繊細にコントロールするのが難しいマシンという印象があったが、その悪癖は見事に解消されていた。 2. 楕円運動のエリプスの効果なのか、溝堀時に溝が少し自然に横に幅を持って掘れる様な気がする。そのためいわゆる「スリーブ蹴り」が発生しにくく、無理無く深い溝を作成できる。 3. 溝堀後のモードでも、エリプスの効果は確かにある。グレード3.75くらいの固めの核を今週2例したが、弾く事も無くジュルジュルとまでは言わないが無理無く吸えた。ただ硬い核に関しては今のところアルコン社のインフィニティにはやや及ばないと言う印象はある。今後のセッティング次第かもしれないが。 4. 核を4分割した後は、メーカーはベンチュリーポンプでの処理を推奨している。今週のOP7例中の1例のみで試してみたが、確かに効率良く処理できる感じはした。ただ、私は今までペリスタポンプのマシンしか使ってこなかったので、この点に関してはまだなんとも評価しにくい。 5. アボット社の白内障手術マシンは以前からそのペリスタポンプの精度には定評があり、具体的にはIAが良かった。前機種のソブリンも良かったが、今度のシグネイチャーは更に超絶品。IAに関しては間違いなくインフィニティよりも優れていると思う。ちなみにIAに関しては日本の二デック社のフォルタス(CV30000)もかなり良い。 6. まとめると、USに関してはこの1週間の経験ではインフィニティの方が上、IAはシグネイチャーの方が上。ただどちらのマシンも極めて高いレベルに仕上がっており、実際にどのマシンを購入するかということについては楽しい悩みが増えた、と感じている。来週も引き続きシグネイチャーをデモさせて頂けるので、本当に嬉しい。
2011.06.22

現在当院では、製造販売元のアボット社様及びディーラーのアーガス社様の御厚意で、新型白内障手術機械のSignature(シグネイチャー)をデモ中です。 このシグネイチャーには、いくつかの特色があります。一番の特色は、 「エリプスFX」と言って、水晶体を削るUSチップと言う機械が前後×左右に同時にブレンドされて楕円運動で動くことです。これにより、 従来型の縦振動のみの機械よりも破砕エリアが拡大し、濁って白内障になってしまっている水晶体を効率よく安全に処理することが出来ます。 また、USチップの先っぽが真っ直ぐでも曲がりでもその能力を発揮することが出来ることも大きな利点です。 更にこのシグネイチャー、 ペリスタルティックポンプとベンチュリーポンプという、2つのポンプシステムを内蔵しているのも魅力です。ペリスタポンプはコントロール性に優れ安全、ベンチュリーポンプは効率が良い、というそれぞれ独自の長所があるのですが、このシグネイチャーは、この2つのポンプを手術の各場面において瞬時に使い分けることが出来るのです。 そのため、水晶体の核を分割し1つ吸うまでは安全にペリスタで、その後はベンチュリーに切り替えて効率よく短時間で処理する、などという芸当が実際に出来てしまうのです。 おぉ、こう書いてくるとシグネイチャーは凄いマシンですね。現実に使ってみてどうだったのか、カタログスペック通りの能力を発揮したのか、皆様気になりますよね。(恐らく眼科専門医だけでしょうが) 実際に使ってみて、感じたことは、、、、、、(続く)
2011.06.21

今日の日記は新型白内障手術機械インフィニティの、白内障進行具合別の自分用の設定のメモ書きです。眼科専門医向けのちょっと特殊な内容ですので興味のない方は読み飛ばしてください。 UStipは0.9mmミニフレアーABS Ozil12 45°を使用。フルケルマン使わなくてもこれで十分という印象だった。 グレード2.0~3.5くらいまでの通常症例では、 水晶体核の溝堀 その後の処理 ↑ 吸引圧は、230から280まで最後は上げたが、それでも前房は全く安定しているので問題なかった。 Ozil IP IA グレード3.5~4.25くらいの固い症例では、 溝堀 ↑ かなり縦を入れている。このくらいはないと無理。 その後の処理 ↑ 同じく吸引圧は230から280へ最終的には上げたが、全く問題なかった。 表画面はグレード2.0~3.5用のモードに近いが、、、 ↑ 裏のOzil IPのthreshold(閾値)を93%に落とし、phaco pulse on timeも20に上げている。 グレード4.25以上の、従来ならECCEで対応していた症例。 溝堀 その後の処理 ↑ グレード4.25~は暫定的に設定してみただけ。実際にはまだ使用していないので、購入した場合には今後更に詰める必要がある。 インフィニティ、確かに極めて良いマシンですが、設定出来る項目が非常に多く、使いこなすにはその全てをしっかりと詰める必要があり、それは結構ハードルが高いと言う印象でした。ある先生が「インフィニティ、業者の方が入ってくれると抜群にいいんだけど、いなくなって一人になっちゃうとうまく使いこなせないんだよなあ。設定が難しいんだよ。」と仰っていましたが私も良く分かります。 もしも実際に買う場合には、更なる猛勉強が必要と感じました。
2011.06.20

さて今日の日記は、5月26日の 緑内障の方はなぜ定期的に視野検査をしなければならないのか? の続きです。まだご覧になっていない方は先にそちらをお読み下さい。 さて、緑内障患者様に頑張って定期的な視野検査をして頂くと、 上記のように緑内障の「進行具合」を示すグラフが作成できます。これをMDslope(エムディースロープ)と言います。MD値というのは年齢別の正常者との平均感度の差を数値化したもので、正常値は-2~2dB(デシベル)とされています。 緑内障が進行してくると、このMD値は段々マイナス方向に進んでいきます。分かりやすく単純化して言うと-2~-10dBまでが初期、-10~-20dBまでが中期、-20~-30dBまでが後期となります。 そしてこのMD値が-15dBを超えると視野障害で生活に不便が出てくるとされています。 ここで先ほどのMDslopeの話に戻ります。視野検査を複数回するとMD値が1年にどのくらい悪化しているか(=MDslope)が分かってきます。すると、その患者様が「いつ頃生活が不便になり始めて、いつ頃失明してしまうか」を推測することが出来るのです。 ↑ この患者様は40歳で、現在のMD値は-4dBと初期の緑内障です。このレベルでは自覚症状は全くありませんが、MDslopeが-1dBとかなり進行の早い緑内障です。このままの状態で病気が進行すると仮定すると、51歳で日常生活が不便になり始め66歳で残念ながら失明してしまう、ということになります。 我々眼科専門医は、常にそれぞれの患者様の現在のMD値とMDslopeを認識しながら日々の診療に当たっています。「大丈夫ですよ」と言うのは、「今くらいの進行具合ならまず間違いなく一生元気に目を使って頂ける」と判断していると言うことですし、「うーん、目薬を変更・追加しましょう」とか、「申し訳ない、これは緑内障の手術を検討しましょう」と言ったら、「このままの進行具合だとちょっと困るので、更に眼圧を下げてMDslopeの悪化を食い止めよう」という意味なのです。 このように、定期的な視野検査をすることによってこそ、それぞれの患者様にぴったりのオーダーメード感覚の安心な治療方針を決める事が出来るのです。ですので、緑内障の患者様は是非視野検査に頑張って取り組んでくださいね。
2011.06.16

当院では、患者様により親切で適切な応対を出来るように、定期的にスタッフ全員で接遇研修を行っています。 今日は外部講師を招いて、 お年寄りの疑似体験を通じて、高齢の患者様がクリニックの中でどういった部分に不便を感じ、それをどのように改善していくべきか、という検証の研修を行いました。 まずは体におもりを付けたり、利き手・利き足を使いにくくしたり、目を見えにくい状態にして、ご高齢の方の体の状態を再現します。 その上で、クリニックの入り口から入って実際に受付をし、待合室で待って、各種検査を受けて、診察室に入るという流れをシュミレートしていきます。 もちろん院長の私も実際に体験しました。 その後で、高齢者の方がどのような場面で不便を感じるか、どういった手助けが役立つのか、具体的な改善策にはどのようなものがあるのか?、などについて、スタッフ全員で討論を行いました。 これからも定期的にこのような研修を行い、クリニック全体の患者様へのより良い応対につなげて行きたいと考えています。
2011.06.13

今朝起きて何気なくテレビを付けると、 人気芸能人のオリラジの藤森さんが「流行性結膜炎」(テレビのテロップには少し間違いがあり、本当の病名は「流行性角結膜炎」です。)で休養というニュースが出ていました。 この「流行性角結膜炎(我々の業界用語ではEKC)」は俗に言う「はやり目」で、アデノウイルスというウイルスによって引き起こされ、目の強い充血・めやになどの激烈な症状が出ます。 感染力が非常に強く簡単に周囲の人に移ってしまうので、発症後1週間ほどは自宅で休養する必要があります。また睡眠不足などで免疫力が低下している時にはより感染しやすいので、藤森さんはきっと多忙を極めていたでしょうからこれを機にゆっくり休養されたら良いと思います。 さてこの流行性角結膜炎、実は原因のウイルスに直接効く目薬はありません。そのため炎症を抑える目薬と弱った状態の目に他の感染を起こさないようにするための抗菌の目薬を点眼しながら自分の力で治るのを待つしかないのですが、感染力がなくなった後に黒目(角膜)に濁りが残って視力低下やまぶしさなどの症状が続くこともあります。だからこそ、流行性「結膜炎」ではなく「角結膜炎」という病名が付いているのです。 ↑ これが実際の患者様の目の写真ですが、黒目(角膜)のど真ん中に白っぽい濁りが残ってしまい、視力も低下してしまっています。こうなると濁りを取るためにステロイドという切れの良い炎症を取る目薬をしばらくの間使わなくてはならなくなります。 なので、この「流行性角結膜炎」というのは決して甘く見ることは出来ない病気なのです。皆様も「目が赤い、めやにがひどい、治らない。」場合には必ずお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2011.06.09

「花粉症の時期も終わったはずなのに何故か目がかゆい!。おかしいなあ。」と言いながら、受診される患者様が今年も6月に入って激増しています。 おかしいことはありません。実は今は「世界3大花粉症」の一つ、「カモガヤ花粉症」のピークの時期なのです。潜在患者様は膨大な数に上るのですが、2~3月の有名な「スギ花粉症」の時とは違ってマスコミでもほとんど取り上げられないため、花粉症と知らずにじっと我慢している方が多いのが実情です。 このカモガヤというのは別名「オーチャードグラス」と呼ばれ、明治の初期に牧草として日本に輸入されました。きっと日本の気候に合っていたのでしょう、最初は北海道に輸入されたのですが、いつの間にか全国に野生化して広がったイネ科の植物です。 今の時期に「目がかゆい、鼻がムズムズする」という症状が出る方は、繁茂度と花粉飛散量がダントツのこの「カモガヤ花粉症」の可能性が高いです。オオアワガエリ、ハルガヤなどのアレルギーの場合もありますが、いずれもカモガヤと同じイネ科の植物です。 抗アレルギーの目薬・内服薬で症状は速やかに軽快することがほとんどですので、思い当たる方は是非気軽にお近くの眼科専門医を受診して下さいね。
2011.06.06

さて、発売前のデータで細菌性結膜炎・細菌性角膜炎への有効率がなんと驚異の「100%」と、まさに異次元の好成績だった期待の新型抗菌点眼剤の「スーパークラビット」こと1.5%クラビット点眼液ですが、ようやく本物の製剤見本を戴けたので、院長の私及び半数以上のスタッフでその実際のさし心地を試してみることにしました。 ↑ 従来の0.5%に較べて3倍の1.5%と濃度が高いせいか、やや黄色っぽい色調です。 実際に点眼してみると、、、、、、 「全然しみない。大丈夫。」 「0.5%のクラビット点眼液とさし心地は変わらない。」 「色が黄色なので、なんだか良く効きそう。」 「新薬と思って緊張して点眼したら、間違って口に入って苦かった。」 あたりがスタッフ及び私の感想でした。問題なさそうですね。 さてこの期待の新薬、1.5%クラビット点眼液ですが、実際に患者様に処方できるのは品薄が解消される6月20日前後になりそうです。待ち遠しいですね。
2011.06.03
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