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「目やにが出る」などの症状に代表されるありふれた病気、結膜炎ですが、治療は抗菌点眼剤で行います。 この抗菌点眼剤には多くの種類があるのですが、現在国内で人気・売上No1なのは日本が世界に誇る点眼薬メーカー、参天製薬のクラビット点眼液0.5%です。このお薬は2000年に発売されたのですが、発売以来ずっとベストセラーを続けています。安全性が高く切れ味のよいバランスの良い薬で、総合力でなかなかこのクラビット点眼液を超えるものが出てこなかったからですね。そうでなければなかなか10年以上もベストセラーは続けられません。 さてそんな名薬のクラビット点眼液なんですが、来たる6月2日に濃度を3倍に上げた通称「スーパークラビット」、クラビット点眼液1.5%が発売になります。 この1.5%クラビット、臨床成績が凄いんですね。 ↑ 発売前の細菌性結膜炎・細菌性角膜炎への有効率はなんと「100%!」、私は今までたくさんの目薬を見てきましたが、有効率が100%というのは見たことがありません。圧倒的な濃度で様々なバイ菌をやっつけてくれる、頼もしい新薬です。 ↑ また、その効き目の早さも驚異的です。 この異次元とも言える臨床成績は1.5%という高濃度から来ています。ただ普通の抗菌剤を目薬にする場合にはここまで濃度を上げられないんですね。その理由は「溶けない」、「しみてとても点眼できない」などですが、大体0.3%とか0.5%とかそんなものです。クラビットというお薬が持つ元々の素姓の良さ、薬を目薬に仕上げる「溶かす」技術では世界一と言われる、発売元の参天製薬の技術力、それらが結集して誕生したのがこのスーパークラビット、クラビット点眼液1.5%なんですね。 ↑ これがその実物の見本です。ただ、中身の入っていない容器だけのもので、実際に点眼してみることは私も出来ていません。 このクラビット1.5%点眼液、発売前から注文殺到で超品薄とのことで、患者様に実際に処方できるのは6月下旬になるのではないか?とも言われています。どのくらいの効果を発揮してくれるのか?、眼科専門医としてとても楽しみにしています。
2011.05.27
緑内障の患者様と言うのは高齢化社会の進展と共に増える一方であり、当院でも多くの患者様を診せて頂いています。緑内障の状態を評価するためには「視野検査」というものが必要不可欠なのですが、これは暗い部屋で集中しながらボタンをピコピコ押すという非常に疲れる検査であり、患者様に大変不評です。 そのため私が「前回の検査から時間が経ったので、そろそろまた視野検査をさせて頂きたいのですが、、、、」と説明すると、「えーっ、あれまたしないといけないんですか? しんどいし、部屋が暗くてなんだか怖いしもうイヤなんですけど。」と良く言われてしまいます。 私も患者様に嫌がられるような検査はなるべくしたくありません。でも、この視野検査はどうしても定期的にさせて頂かなくてはならないものなのです。今日はその理由をお話しましょう。 緑内障と言うのは目の視神経が減っていくことによって視野(見える範囲)が欠けてくる病気です。我々人間は生まれたときにはこの視神経が大体120万本あるのですが、生きているだけで年に5000本は自然減があると言われています。緑内障の方は視神経が弱いので、放置していると年に1万本とか2万本減ります。そしてこの視神経が大体60万本を切ると視野検査で異常が出てきます。更に、残り10万本を切ると日常生活が非常に困難なレベルになると言われています。 緑内障と言う病気は一般的にいって進行は極めて緩やかなのですが、先ほど書いたように視神経には「自然減」がありますので、どうしても「ゆっくり」ではありますが、「確実に」進行します。そしてその最後の終着駅が「失明」であることは厳然たる事実なのです。 そうは言っても大切な患者様にそんなに簡単に失明されては我々眼科専門医もたまりません。そのため、定期的な視野検査によってそれぞれの患者様の「現在の状態」と「病気の進行具合」をしっかりと把握させて頂くことが極めて大切なのです。 次回は具体的に「定期的に視野検査をしていくとどのようなことが分かるのか?」を説明したいと思います。 (続く)
2011.05.26

今日の日記は眼科専門医向けのやや特殊な内容を含むものとなっていますので御了承下さい。 さて現在当院でデモさせて頂いている新型白内障手術機械のインフィニティですが、その特色である超音波の横発振によって、 1. 水晶体の核の動きが安定しており、まるで掃除機のように効率よく吸える。 2. 核を捕まえやすいのでUStipをあまり動かさずに処理が出来る。これは目の中の「セイフティーゾーン」のみで手術できることを意味し、従来型のマシンに較べて安全度が高い。 3. 術後の患者様の目の炎症が少なくて、手術した次の日から良い視力が出る場合が多い。 などのメリットを十分に実感することが出来ました。ただし、このインフィニティの能力を発揮させるためには、 ↑ 上記のような先端の曲がった、従来型とはやや異なる特殊な道具(UStip)を使わなくてはならず独特の難しさもあります。 また水晶体を効率良く処理するロジックも、従来型の機械とは少し異なります。 ↑ 何と言うか、「周りから攻めると◎」という感じなんですね。 さてこのインフィニティの具体的な設定ですが、現在は白内障グレード3.5くらいまでの通常症例に対しては、 水晶体核の溝堀 ↑ 最初は横発振のみでOPしていましたが、どうもイマイチなので縦発振をリニア(一定)で20%入れてみました。ただどうもまだ少しもっさりした感じでしっくり来ないので、 ↑ 縦発振を20%スタートで最大40%、横発振を50%スタートで最大80%にしました。この設定だとほぼストレス無く掘れますが、逆に核の突き抜け(punchout)には十分な注意が必要です。 その後の処理 ↑ 最初は水晶体核を引き寄せる力を示す吸引流量を26でしていたのですが、私にはUStipを目の中のセイフティーゾーンからほとんど動かさないという癖があり(これは自分が何よりも手術の安全性を重視しているからですが、逆に効率が悪く時間がかかるという欠点でもあります)、日本アルコン社の設定のプロの方と相談しながら現在はその流量を30に上げています。 Ozil IP IA ↑ 最初は吸引圧500、吸引流量26でOPしていましたが、私はIOL挿入時にヒーロン+ビスコートのダブルブロックをするため、挿入後に残ったビスコートが吸えない感じなので少し設定を上げました。この設定だとストレスがない感じです。 という設定で手術を行っています。現在までに合計4日使用したのですが、設定を詰めていくことにより使い心地はかなり良くなりました。マシンの持つ能力の高さ、潜在力の凄さを実感していますが、まだもう少し設定を詰めて行かなくてはならないと感じています。(続く)
2011.05.21

さて開院3周年を記念して、地元八幡浜市の某所に新デザインの看板を立てました。 ちょっと意外な、そして少し考えると「あー、なるほど!」という所に立っていますので皆様是非探してみてください。 看板はこれで3本目なのですが、1本目、 そして2本目 とはかなり異なるデザインを採用しました。もしも両方の看板を見つけた方がいらっしゃいましたら、是非どちらが良いか感想を教えて下さいね。
2011.05.19

当院では現在、製造販売元の日本アルコン社様、及びディーラーの吉田メディカル様の御厚意で、新型白内障手術機械のインフィニティをデモ中です。 このインフィニティは現在の日本では恐らく人気No1の実力派マシンなのですが、それにはある理由があります。 通常の白内障手術機械は、水晶体を削るための超音波が縦にしか出ないのですが、このインフィニティは縦だけでなく横にも出るのです。 そして横に出る超音波というのは、縦に較べて効率が良い上に目へのダメージが少ないのです。 ただ横発振だけでは白内障の進行が激しい場合などに手術が難しい局面もあるので、従来型の縦発振をどうブレンドするかがこのマシンを使いこなすポイントとなります。 このインフィニティはOzil IP(オジールアイピー)と言って、横発振だけでは無理でどうしても必要な時のみに縦発振を入れることが出来ます。車でいえばターボみたいなものですね。要はものすごくポテンシャルの高いマシンということです。 ただしこのインフィニティ、特色である横発振を活用するためにはケルマンチップという特殊な先っぽの曲がったUStip(水晶体を削るための道具)を使わなくてはならず、またそれぞれの術者に合わせてセッティングを最適化するのがなかなか難しい機械でもあります。 そのため私はこの2週間ほど、 DVD等のたくさんの手術教材で猛勉強を続けながら実際の手術に臨んでいます。マシンを使ってみての実際の感想はまた後日書きます。(続く)
2011.05.17

2種類以上の目薬を処方させて頂いている患者様から、「どうして点眼間隔を5分あけないといけないの? そんなのめんどくさいから、連ちゃんでちゃっちゃかちゃっちゃか点してるけどなにか悪いことでもあるの?」という質問を良く戴きます。 この質問の前提として、まず私は眼科専門医として「できるだけ処方する目薬の種類を減らす」ことを心がけています。出来れば絶対に必要な1種類だけ、ダメなら2種類、それで無理なら1増1減でやっぱり2種類、それでもどうしても無理ならやむを得ず3種類、そのあたりが限界だと思っています。患者様は目薬を点眼するためだけに日々を生活しているわけではないですし、点眼の種類が増えるとどうしても確実にさせなくなるからです。 さて最初の質問の話に戻りますが、点眼間隔を5分空けなくてはならない理由は、「先にさした目薬が後からさした目薬で洗い流されてしまって効かなくなるから」です。 上の図を見ると分かるように、もしも1分間隔で目薬を点すと最初に点した方は60%くらいしか効かない、というデータがあります。 専門的に言うと、目薬の目の表面(結膜嚢:けつまくのう)からの消失時間は一般的に2分と言われています。なので点眼間隔は最低2分空ければまあ大丈夫なのですが、目薬同士の相互作用を防ぐために、念のために「5分」というお願いを我々眼科専門医はしているわけです。(一部の緑内障薬では10分以上の点眼間隔が必要なものもあります。) なので、2種類以上の目薬を同時に使用するときは「最低2分、できれば5分」と覚えて置いてくださいね。
2011.05.15
スギ花粉によるアレルギー性結膜炎はようやくピークを過ぎて下火になりましたが、「スギ花粉の時期はどうもなかったのに、最近になって目がめちゃくちゃかゆい」という患者様が結構な頻度で来院されています。 これがどうも、中国からの黄砂(こうさ)によるものなのではないか?と個人的に思っています。黄砂は中国大陸内陸部の砂漠の土壌や鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛んでくるものなのですが、この黄砂、石英や長石などの造岩鉱物や、雲母・カオリナイト・緑泥石などの粘土鉱物だけではなく、アンモニウムイオン、硫酸イオンなどの中国の大気汚染物質をたんまり含んでいると言われています。 この黄砂の飛来と一致してアレルギー性鼻炎の患者様の70%が自覚症状が悪化したという報告もあり、日本ではまだあまり「黄砂によるアレルギー性結膜炎」の報告例がないのですが、実際にはこの黄砂によるアレルギーが激増しているのではないか?と推測しています。 なので、黄砂が良く飛んでいる日に目がかゆくなったら、アレルギーが出ていないかどうか是非お近くの眼科専門医で相談してみて下さいね。
2011.05.10

当院は本日5月7日で開院3周年を迎えることができました。 開院以来、多くの患者様に御来院戴けたことに心から感謝しています。また開院時のオープニングスタッフは今でも変わらず同じメンバーで働いてくれていますし、この3年間学会出張以外では一日も休診せずに楽しく診療を続けることが出来たことも本当に嬉しく思っています。 さて今日は3周年ですので、今までのクリニックの歴史を写真と共に少し振り返ってみたいと思います。 ↑ これは2007年11月の写真です。まだ完全に更地ですね。 ↑ 地鎮祭をしています。 ↑ これは2008年5月の開院時の写真です。 ↑ 壁面緑化を目指して植えたツタもまだひよひよです。最初はこんなに赤茶けていたんですね。 ↑ これは2009年5月、開院1周年時の写真です。ツタがまだあまり伸びていないですね。 ↑ そしてこれが、2011年5月現在の写真です。かなり壁面緑化が進んできていますね。 これからも日々成長しているツタのように眼科専門医としての毎日の鍛錬を欠かさず、八幡浜地域の皆様に安全で快適な最新の眼科医療を提供できるように、精進して行きたいと気持ちを新たにしています。
2011.05.07

さて先日うさぎの島に出かけた時のことですが、「ウサギの目は本当に赤いのか、良く観察して来よう。」と眼科専門医として思っていました。 その結果は、 ↑ 上の写真のように目が赤いウサギはもちろんいましたが、 ↑ このように目の黒いウサギもいました。 つまり結論としては、「ウサギの目は赤いことも黒いこともある。」ということになります。 この理由ですが、目が赤いウサギはアルビノといってメラニン色素を持っていないせいで体の全体もしくは一部が白いんですね。それで虹彩(茶目)にメラニン色素がないので、目の奥の網膜の血管の色が太陽光で透けて見えているわけです。目が赤いのは血管の色ということですね。逆に目が黒いウサギはメラニン色素があるので、太陽の光が目の奥まで届かなくて赤くならないわけです。 今回のうさぎ島では、眼科専門医としてたくさんのうさぎの目をじっくりと観察できたのも勉強になって良かったですね。
2011.05.04

ゴールデンウィークが始まりましたね。私は1日をかけて瀬戸内海に浮かぶ島の一つの大久野島(おおくのしま)と言う所に出かけてきました。 私の住む愛媛県からだと、しまなみ街道を大三島ICで降りて10分ほど車で走り、盛港というところからフェリーで渡ります。 この島に何故行ったかと言うと、「うさぎの島」として有名だからです。1971年に島外の小学校で飼育されていた8羽のウサギが廃校に伴って島に放されて野生化し今では約300羽が住んでいると言うのです。 島に着いてみると、本当にウサギだらけです。しかも観光客慣れしていてお腹の空いているウサギは餌を貰おうと思って駆け寄ってきます。 ウサギは穴を掘って住むのでしょう、島内の至る所に穴があります。 島の名物の「たこうどん」を食べて休憩した後は、 レンタサイクルで1周3.3キロの島を探検です。 山頂の道路にも、 遺跡にも、 ほんとに島内のどこにでも人懐っこいウサギが住んでいます。餌をあげると膝乗りくらいはしてきます。 ところでこの大久野島、かつて1930年代には戦争のための秘密の毒ガス工場があり「毒ガス島」、「地図に載らない島」と言われていたそうです。 島内には無邪気なウサギ達だけではなく、このような第二次世界大戦時の爪痕も多く残っています。複雑な陰影、魅力に満ちた島ですね。 さて、夕方島を出ようと思ってフェリー乗り場に戻ってくると2羽の子ウサギが遊んでいました。 そのうちの1羽は草を食べた後で何かが気になるのでしょうか? 口の周りをずっとペロペロ舐めていました。 また観光客から餌を貰いすぎたのか、眠そうで目が閉じかけているウサギもいました。 いよいよお迎えのフェリーがやって来ました。 楽しい1日の終わりです。この大久野島、ウサギ好きの方はもちろんそうでない方にも強くお勧めできるたくさんの魅力に満ちていました。まだ出かけたことのない方は是非一度行ってみて下さいね。
2011.05.01
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