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第4話「愛する人との再会」

梯子から落下して顔に切り傷を負った覃川(タンセン)。
少しは良心があるのか、傅九雲(フキュウウン)は″芝草玉露膏(シソウギョクロコウ)″を置いて行った。
しかし仙術を施した妙薬のため、患部に軟膏で護符を書く必要があるという。
その護符とは亀の絵だった。
覃川は嫌がらせだと憤慨しながらも渋々、黒い軟膏で顔に亀の絵を描く。
鏡をのぞき込んだ二萌(ジホウ)は吹き出したが、驚いたことに覃川の顔の傷がみるみるキレイに消えた。

その夜、修行を終えた香取(コウシュ)山主が洞窟を出た。

一見、平穏に見える香取山、しかしタツノオトシゴの一件の通り、裏では不穏な動きがあると警戒していた。
「例のことは霊力に関わる重大事だ、分かっているな?白河龍王だけではない
 他の仙人や当山の弟子にも、もし知られたらどうなるか?」
山主は九雲の腕をつかむ手に力を込め、無言の圧力を与えた。

翌日、香取山に2人の賓客が到着した。
瓊花(ケイカ)海で仕事中だった覃川たち雑用係も沿道にひざまずいて出迎えたが、翠丫(スイア)の話では驪(リ)国の公主だった絶世の美女が山主に弟子入りするらしいという。
驚いた覃川はちょうど前を通り過ぎる賓客の顔をのぞき見ると、信じられないことに従姉妹の玄珠(ゲンシュ)が左紫辰(サシシン)を連れていた。



玄珠と紫辰は静かな山荘に落ち着いた。
紫辰の目を治すため半月ほど滞在する予定だが、何も知らずに香取山に案内された紫辰は機嫌が悪い。
玄珠は左相国(サショウコク)の指示だと取り繕ったが、紫辰は失笑した。
実はかつて香取山での修行の話が流れたことがある。

玄珠は当時と事情が違うとなだめたが、紫辰は山主に頼りたくないと拒んだ。
「香取山の山主は欲深いと有名だ、治療の見返りに何を渡したんだ?!」
「なぜそんなに頑固なの?」
「私の目だ!…私が決める」

ちょうどその頃、覃川は玄珠たちの食事を届けに竹林へやって来た。

…燕燕(エンエン)は顔を変える前、最後に紫辰に会うことにした
そこで紫辰の部屋を訪ねたが、偶然、紫辰と玄珠の話を聞いてしまう
実は紫辰は反乱のことを何も知らなかった
紫辰は燕燕に誤解されて目を斬り付けられながら、それでも父の異変に早く気づけなかった自分を責めている
真実を知った燕燕は紫辰に合わせる顔がなく、慌てて引き返した
すると物音に気づいた玄珠が現れる
『従姉妹のよしみで見逃すから、迷惑をかけないで、紫辰にしたことが正しかったと思うの?』
『…たとえ目を失おうと父親の罪は償えない』
燕燕は精一杯の強がりを見せたが、玄珠には見抜かれていた
『彼を愛しているなら、もう構わないで』
玄珠は燕燕が紫辰の謝罪を受け入れて元の鞘におさまることを恐れた
しかし燕燕は否定する
『違うの…紫辰を恨まなくても永遠に忘れられない、驪国の滅亡は全て左家が招いたことよ?
 最後にひと目、会いたかっただけ…ありがとう、真相を聞かせてくれて
 これからはもう紫辰と関わらない、2度と会わないわ』
『分かった、今の話を忘れないでよね
 これから紫辰の人生は私の人生よ、あなたのことを忘れさせてみせる』

玄珠と紫辰の食事は結局、翠丫が運んでくれた。
一方、九雲は偶然、俗世界の野草を発見、なぜ仙山に紛れ込んだのか訝しむ。
そしてその夜、玄珠は山主を訪ね、かつて燕燕が公子斉(コウシセイ)からもらった絵を献上した。
山主は絵を気に入って紫辰の目の治療を快諾、さらに美しい玄珠を自分の弟子に迎えたいという。
「私は自分の直弟子のためにのみ仙術を使いたいのでな…」
これも紫辰のため、玄珠はすぐさま弟子入りの叩頭を済ませると、山主は玄珠の額に弟子の証となる封印を残した。

青青(セイセイ)は師妹となった玄珠を迎えるため、雑用係に凝碧(ギョウヘキ)殿を掃除させていた。
そこへ玄珠が紫辰を連れてやって来る。
「ここは宴会で使う場所よ、琴もあるからあとで届けさせるわね」
「必要ない、気が乗らぬ…」
すると青青は驪国の符文がある琵琶があると教えた。
青青と玄珠は琵琶の話に花を咲かせたが、そんな2人をよそに、紫辰はふと懐かしい匂いに気づいて覃川の方へ歩き始める。
焦った覃川は咄嗟に腰巾着から桂花油を出して髪の毛に塗りたくった。
そのせいで紫辰は急にくしゃみが止まらなくなってしまう。
玄珠は慌てて紫辰を気遣うと、青青は雑用係の匂いだと気づいて全員を下げた。

覃川が中庭の掃除をしていると九雲が現れた。
九雲は珍しく殊勝な覃川に銅鏡を返してやると言ったが、なぜか覃川は気に入ったのなら譲るという。
「構わん、だが聞きたいことがある」
実はその銅鏡の裏には驪国皇室の紋様・瑞燕麒麟(ズイエンキリン)があった。
九雲は覃川が皇室の血筋とは驚きだと含みを持たせたが、覃川は意地でも正体を明かさない。
「んなバカな~ダーレンったら見る目がないんですね~」
「ならば娘(ニャン)から偽物をもらったと?」
「そうです、貧しい家でしたから」
すると覃川は仕事があると断り、銅鏡を受け取って逃げるように去って行った。

覃川は九雲の追求を逃れ、花畑の仕事に戻ることにした。
すると道すがら、橋の途中でたたずむ紫辰と出くわす。
覃川は早歩きで通り過ぎようとしたが、足音に気づいた紫辰が急に声をかけた。
「誰だ?」
驚いた覃川はうっかり玉瓶を落とし、割ってしまう。
「瓊花(ケイカ)海の水やり係です、お騒がせして申し訳ありません」
「雑用係か…こちらへ」
しかし紫辰に関わりたくない覃川は無視して歩き出した。
紫辰は慌てて引き止めようとしたが割れた玉瓶を踏んで膝をつき、うっかり破片に手をついてしまう。

紫辰は手のひらを切っていた。
「姑娘(グゥニャン)、ただ瓊花海への行き方を聞きたかっただけなんだ…」
覃川は急いで引き返し、紫辰の手に手巾を巻いて応急手当てする。
「公子(ゴンズー)、天上池に沿って東へ向かえば瓊花海です」
しかし紫辰は怪我をしたので散歩をやめると伝え、山荘へ送って欲しいと頼んだ。
「そなたの名は?」
「…覃川です」
「覃川姑娘…今、割れたのは玉瓶だろう?私の部屋にも同じものがある
 それを持っていけば叱られないだろう」

紫辰は昔の家と同じ場所に琴を置いていた。
「旧友の贈り物なんだ…これを残すのは過去にあった全てのことを忘れないためだ」
実は紫辰は覃川の語調で驪国人だと分かったという。
「とても良い声だ、旧友と似ている…私たちは以前にも会ったことが?なぜか懐かしく感じる」
「ご冗談を~ただの使用人が高い身分の方と会えるわけがありません」
「…なぜだろう、そなたと話していると心が落ち着くよ」
動揺した覃川は紫辰の手当を終わらせると、早々に下がることにした。
すると紫辰が覃川の顔が知りたいと言い出し、手を伸ばして覃川の頬に触れる。
「覃川、君は美しいね」
その時、玄珠が青青を連れて入って来た。



青青は覃川が賓客を誘惑したと激怒した。
しかし紫辰は自分が覃川を連れて来たとかばい、むしろ居所に青青を入れた玄珠に不快感を示す。
玄珠は仕方なく紫辰に言われたとおり覃川に玉瓶を渡して見逃したが、青青は怒りが治らなかった。
そこで弟子たちを引き連れ、覃川の居所を捜索する。
ちょうど仕事から戻って来た覃川は何事かと聞いたが、その場で取り押さえられた。
「私が何をしたと言うんです?!」
「牢に入って考えなさい、連れて行って!」

その夜、玄珠は中庭でたたずむ紫辰を見つけ、外套を持って行った。
「玄珠、すまない、嫌な思いをさせて…この数年、苦労をかけたね」
玄珠は紫辰の優しい言葉に胸がいっぱいになり、思わず紫辰の耳元でささやいた。
「月が美しいわ」

一方、収監された覃川は天原国に滅ぼされた驪国の無念を思い出していた。
…覃川、何度も言って来たわね?阿満、父皇、母后、そして驪国人の敵を討つと
…牢の中にいてはこれまでの苦労が水の泡になる
…でもどうすれば妖魔を倒し、民を救えるの?
すると思いがけず二萌が九雲を連れて面会にやって来た。
「こう思っているのだろう?″私は何をしているのか、大事なことが進んでいないのに″と…ふっ」
九雲の鋭い指摘に覃川は動揺を隠せない。
しかし二萌が確かに自分たちの大事なことが進んでいないと笑った。
|ω・`)<私は無実なんです!あぁ~目の前の九雲大人が本当の菩薩様に見えるわ~
(.. ゚ェ゚)<川儿?九雲大人は元から神仙だ
|ꇴ≦`)<そうだった!
そこで九雲は助けても良いが見返りは何かと聞いた。
|ω・`)<今後の給料全て…?(うーん)この身を捧げます
( ๑≧ꇴ≦)<そこにいろ!
|ω・`)<そんな~
覃川は仕方なく助けてくれるなら何でも言われた通りにすると泣きついた。
すると九雲は覃川をあっさり解放し、見返りとして自分の侍女になるよう命じる。

つづく

↓今日のチンダーレン

左の遠目の映像はそのまま?でも右のアップは雑すぎるw





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最終更新日  2021.04.19 20:48:57
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