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2024.03.31
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第2話「過去との決別」

放火を疑われた聶桑楡(ニェサンユー)は釈明するため夫の寝殿を訪ねた。
すると湯船でぐったりしている寧鈺軒(ネイギョクケン)を発見する。
驚いた聶桑楡は何とか引き上げて寝台まで運んだが、気がつくと寧鈺軒はすやすや眠っていた。
「寝てんのかーい!…って、もう起きていなくても言わせてもらう!
 火事は誰かが私を狙ったのよ!分かった?!まさかそこまで恨まれているなんてねえ~
(はっ!)そうだ、鍵よ!」
聶桑楡は慌てて飛び出したが、その様子を第二夫人・温婉(オンエン)が見ていた。


すると侍衛・鬼白(キハク)が現れ、大夫人が昨夜、焼けた厨房で何かを探していたと報告する。
そこで寧鈺軒はただちに屋敷の人間を全て集めた。

使用人たちは正殿に現れた大夫人を見ただけで怯えていた。
聶桑楡は困惑しながら、元気そうな寧鈺軒を見つけて駆け寄る。
しかし自分が助けたと明かしても、記憶にない寧鈺軒は無視した。
「礼も言えないの?チッ」
すると寧鈺軒は昨夜の火事について皆に釈明するよう命じた。

聶桑楡は食べ物を探しに厨房へ入ったところ外から火が出たと証言し、錠をかけられ閉じ込められたと訴えた。
証拠は現場で見つけた焼け焦げたかんざしと錠前、このかんざしの持ち主が犯人だという。
劉(リュウ)家職は火事が起こったのが亥の刻のため、錠を掛けられるとしたら内院の上級侍女だけだと指摘した。
上級侍女とは聶桑楡付きの苜蓿(ムーシュ)、温婉付きの檀香(ダンコウ)、千怜雪(センレイセキ)付きの半夏(ハンゲ)の3人。

困惑した千怜雪は真面目な半夏が火つけなどするはずないと訴えたが、半夏は罪人をかばえば主も同罪となる気づき、慌てて罪を認めた。

半夏は大夫人を脅したかっただけで、殺すつもりなどなかったと涙した。
「まさかあんなに燃えるなんて…」
身の潔白を示した聶桑楡は得意げだったが、半夏が自分を恨んでいる理由を聞いて愕然となる。
実は半夏は大夫人から罰せられ、肩に烙印を押されていた。

「これまで皆に酷いことをしたわ、どうか許してください
 それから私が決めた常軌を逸した掟は今日かぎりで廃止します」
こうして火事の一件は解決したが、寧鈺軒は聶桑楡のあまりの変わりように困惑するばかりだった。




温婉は寧鈺軒を追いかけ、官服への着替えを手伝うと申し出た。
しかし寧鈺軒は必要ないと断り、改めて本当の夫婦ではないと釘を刺しておく。
「事が片付いたら家に帰す、下がれ」

聶桑楡は半夏の肩の傷跡に責任を感じ、″痕消し膏″を作ることにした。
しかし薬剤を買うにも銭がない。
実は思過(シカ)閣に軟禁されてから手当が減らされ、嫁荷すら持っていなかった。
苜蓿の話では陌玉(バクギョク)侯に嫁ぐと大騒ぎして父親が憤死寸前となり、嫁荷も結納もなかったという。
すると苜蓿が鍵のかかった箱があったと思い出した。
聶桑楡は恐らくへそくりだと期待したが鍵がない。
そこで香炉のふたで鍵を壊して開けてみると、何と中身は全て寧鈺軒の姿絵だった。

聶桑楡は千怜雪の招待で魁星(カイセイ)楼に出かけた。
怜雪は寧府に身を寄せている寧鈺軒の従妹で、半夏の不始末のお詫びがしたいという。
聶桑楡は過ぎたことだと許し、久しぶりに豪華な食事を期待したが、食卓に並んだのは菜食だった。
「ぁ…今は肉や魚も食べるようになったのよ?」
すると何やら酒楼が騒がしくなった。
実は酒楼の前にあるのは寧鈺軒の勤め先である中書(チュウショ)省で、寧鈺軒に恋焦がれる令嬢たちが一目その姿を見ようと集まっているという。
「そもそも酒楼での″陌玉侯観察″を始めたのは夫人です」
「え?私が始めたの?…うっそ~ん、私がそんな事するはずないわ」
「大夫人、本当に全て忘れてしまったのですね、表哥は都では大人気です
 黄(コウ)小姐なんて表哥を間近で見ようとして階上から落ちかけました
 李(リ)小姐は表哥と目が合っただけで気絶したんです」
その頃、政事堂では寧鈺軒が政敵である右執政・凌剣星(リョウケンセイ)に牽制されていた。
「正妻と側妻で流血の争いとはね、さらに賊まで現れ、賑やかな婚礼だったとか?
 芝居でもここまで凝っていない…ふっ
 民の手本となる陌玉侯が醜聞にまみれる日が来るとは理不尽なものだな~」

翌日、聶桑楡は千怜雪のつてで酒楼に集まる寧鈺軒迷を訪ねた。
令嬢たちは″都一の毒婦″に戦々恐々、しかし思いがけず聶桑楡から寧鈺軒の絵姿を買わないかと持ちかけられる。
結局、値が吊り上がり宋(ソウ)小姐が80両で落札、その様子を隣の個室から見張っている男たちがいた。
「面白い…まさか夫で一儲けしているとは」
袁朗(エンロウ)は捕らわれた仲間を助けるため大夫人をさらおうと計画していたが、聶桑楡に興味が湧いた。




翌日から噂を聞いた令嬢たちが思過閣に押し寄せた。
寧鈺軒の絵姿は飛ぶように売れ、聶桑楡は協力してくれた千怜雪に分け前を渡し、薬材を購入する。
こうして″痕消し膏″が完成、苜蓿は夫人が薬を作れるとは知らなかったと驚いた。
「え?じゃあ料理は?」
「厨房の場所さえご存じありませんでした」
聶桑楡はなぜ自分が料理や薬を作れるのか分からなかったが、ともかく半夏に薬を届けることにした。
「以前なら使用人なんて捨ておいたのに…本当に変わられましたね、夫人!」

一方、生け捕りになった刺客は″阿狼(アロウ)″という南方の男が賊を集め、訓練させて賞金を与えていたと証言した。
婚礼での暗殺も阿狼が計画したという。
しかし本人に会ったことはなく謎の多い人物で、噂では右腕に入れ墨があった。
「葉のような形をしていたと聞いた、これ以上は何も知らない!」

屋敷へ戻った寧鈺軒は聶桑楡が自分の絵姿で一儲けしていると知り激怒、勝手に稼いだ325両を没収した。
聶桑楡は落胆したが、苜蓿から大口の客が現れたと知る。
…500両だすのでうちの小姐と侯爺で食事できませんか?…
そこで聶桑楡は寧鈺軒を魁星楼に誘い出すため、策を講じることにした。

つづく


( ̄▽ ̄;)イーニャン、恐い恐いw





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最終更新日  2024.03.31 21:08:29
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