“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2015.01.09
XML
 大久保一彦の過去のレビューをフィーチャーするコラム「あの名店」今日はマクドナルドが騒がれていますので、アメリカで絶大なら人気のあるチェーン『In-n-out Burger 』を紹介しましょう。


 “飲食店の勉強代行業”の大久保一彦はアメリカは西海岸視察に来ています。
成田から、ノースウエストでロサンジェルスへ到着したずら。
そこから、サンタバーバラへ移動ずら。

 最初の視察地(お勉強先)は、サンタバーバラへ向かう途中の『インアウトバーガー』ずら。
今日のドライバーはクリス・スチュワートさん。

20080205 005.jpg

今日は、数ある裏メニューのうち、スリー・バイ・スリーとフレンチフライ・アニマル・スタイルの勉強ずら。

どちらも、裏メニューとしては人気があるずら。

20080205 007.jpg



あなたの店に3年後に知るメニューありますか?
 「クリスさん、インアウトバーガーに裏メニューがあるのを知ってる?」
今回ドライバーガイドをしてくれるクリス・スチュワートさんに私はいきなり尋ねた。クリスさんは「知ってますよ」と間髪入れずに応えてきた。裏メニューの存在を知っていたクリスさんに私はこう質問した。「裏メニューを知ったのは初めての来店から、どれくらいですか?」
「3年目に女性の友達に聞いたよ」
私は例のごとくサンフランシスコのベイエリアに定点観測に出かけた。インアウトバーガーは西海岸を主体に今急成長しているハンバーガーチェーンだ。私は、西海岸に出かけるとこの店に必ず行く。
 インアウトバーガーというと、品質の高いハンバーガーを提供する店として名高い。それを自負するようにメニューボードを覗くとメニューは、ハンバーガー、チーズバーガー、ダブルバーガーの三種類しかない。フレッシュなミートに、生の玉ねぎ、フライドポテトだって注文が入ったら、じゃがいもを特殊な機械で裁断してから揚げる。
スタッフも最高だ。インアンドアウトバーガーはどこよりも高い時給で、しかもアメリカの企業には珍しく健康保険もある。だから、いいスタッフが集まる。そのスタッフの数も多い。営業中に駐車場を清掃しながら話しかけてくるスタッフだっている。
 でも、私が一番好きなのは裏メニューだ。インアンドアウトバーガーは表向きは最高品質を維持するために三種類しかメニューを用意していないが、予想されるお客様の要望をメニュー化している。例えば、肉を多くしたければ、3×3(スリー・バイ・スリー、肉が三枚、チーズが三枚のっている)や4×4(フォー・バイ・フォー肉が四枚、チーズが四枚のっている)が用意されているし、炭水化物ダイエットの人向けには、プロテイン・スタイルというバンズが無く、レタスでくるんだ野菜巻き肉のようなものが提供される。ポテトにだって裏バージョンがある。アニマル・スタイルがそうだ。ふつうのフレンチ・フライにバターで炒めた玉ねぎをのせ、仕上げにチーズをのせてくれる。濃厚な味わいで、若者に人気がある。これが、創業期からあるようなので驚く。

増え続けるメニュー
 マクドナルドはアメリカのどんな地方都市に行ってもメニューは多い。どれを頼もうか迷うくらいだ。日本でも、品質にこだわるモスバーガーですら、メニュー数が多い。それは、店数が増え、小商圏化する時代、メニューを増やし幅広い品揃えをすることはお客さんの利用シーンを増やすという理屈に基づく。店数が増えるにしたがって、小商圏化するので、メニュー数が増えるのはもはや業界の常識だ。なのに、なぜ、インアンドアウトバーガーは三種類のハンバーガーしかメニューボードに書かないのだろうか?そしてやっていけるのだろうか?
 どんな店でもメニュー開発をするだろう。そのときに、今まであったそれなりに人気のある商品は残す場合が多い。仮に、開発した商品と競合する関係にあったとしてもだ。すると、売上構成比は分散化して、廃止を判断することが難しくなる。
なぜ、開発に力を注いだ新商品を、あえてABC分析のBランク商品だったとして、廃止できないのだろうか?
このことに対して質問するとオーナーは決まってこういう。

この言葉に秘められた意味はこうだ。「お客さんがある程度注文するメニューはやめるとお客さんを失うリスクがあるからやめられない」
だからメニューは増えてしまうのだ。

売れ続けない習慣からの決別
 私は以前、栃木のとあるラーメン屋のメニューのお手伝いをしが、思わぬヒット商品を産み出した。いわずと知れたマヨネーズとんこつラーメンだ。
若い社員が、新しい店舗を出店する折、この商品を開発した。面白いと思った専務とラーメンらしくないと思った他の役員の間で判断がつかないために、私に判断を仰ぐことになったのだ。
試食をしてみると、マヨネーズととんこつ双方のこってりした印象だが、酸味のある味わいでキレがあり食べると事前期待をいい意味で裏切った。

業界に価格のスタンダードのない新しいラーメンなので値段も高めにつけられ、メリットが多いのでマヨネーズとんこつラーメンの導入を決めた。
問題は、定番のとんこつラーメンの存在だった。とんこつラーメンをどうするのか?熟慮の結果、廃止を決定した。当時、私は、時代の波にのり、生産性の追求に邁進していたので、原価率が極めて低いこのラーメンにお客さんがスイッチするのはメリットが大きいと判断したからだ。
ただ、とんこつラーメンを食べたい人に無理強いをすることは不満の原因になると判断。「ふつうのとんこつラーメンできますか?」というお客様には応じることにした。
 これが、発見だった。
 まず、敢えて定番だったとんこつラーメンをやめ、マヨネーズとんこつラーメンに絞ったことで、680円から780円に単価アップし売上があがった。また、1日に70杯以上売れたこの商品のおかげで、店全体の原価率も大幅にダウンした。
 次に、お客さんの希望で、ふつうのとんこつラーメンにした場合、780円でもお客さんは、「自分の要望を聞いてくれた」ということで意外と満足することだった。
 その時に私は気づいた。売れ続けない習慣は、売り方にあると。
「お客さんを失わないためにすること」は意外とお客さんに喜ばれていない。つまり、メニューブック上のメニューをやみくもに増やしていくことは、お客さんとの信頼関係を気づけず、楽をしているだけだということに気づいた。お客さんに信頼を得るというのは、この店は「これはやってくれる」とメニューに書かれている範囲を超えて常連としてサービスしてくれることだ。
だから、一見客やたまによく店のことを知らないお客さんがわからないメニューがあってもいいわけだ。
冒頭のインアウトバーガーの裏メニューの存在をクリスさんが3年も知らなかったのだが、それで良かったのだ。
インアウトバーガーは長く付き合うことを前提に店を運営しているから、お客さんを信頼している。
「縁があれば、お客様は気づいてくれる」と。それが今である必要はない!

In-n-out Burger Goleta
4865 Calle Real
Goleta, CA 93111
電話 800-786-1000


In-n-out Burger Goleta アメリカ料理 / サンタ・クラリタ/ヴァレンシア)

昼総合点 ★★★★ ☆ 4.4







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015.01.10 00:34:27


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Freepage List

Profile

四方よし通信

四方よし通信

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

【上野】山久でランチ New! TOMITさん

バイクツーリングリ… てくてく7281さん

プロのつぶやき1385… 丁寧な暮らしさかもとこーひーさん

食べ歩き紀 ByeByeさん
竹田陽一ランチェス… ★竹田陽一ランチェスター 東京・西村のNo.1経営・裏のブログさん
釣って満腹! ~ボ… 秀龍さん
うまい営業・へたな… なにわの進藤さん
●Hokkaido & Travel … wind0625さん
HACCPコンサルと美味… HACCP加藤さん
開業!隠れ家カフェ  ヒロキチ1155さん

Category

大久保一彦のひとこと情報

(1977)

ワイン会、フードなど大久保の教室

(140)

大久保一彦おすすめのおいしい店の情報

(204)

大久保一彦の商人のための情報

(171)

おいしい料理情報

(82)

食を考える

(68)

雑誌などメディア出演

(27)

大久保一彦が見たエンターテイメント

(32)

愛犬日記

(54)

旅

(156)

よっしー

(97)

よっしーパート2

(112)

よっしーパート3

(179)

よっしーパート4(2010年3月17日以降)

(375)

よっち&こーちゃん

(372)

海外視察

(122)

カリフォルニアクイジーヌ

(5)

フランスの店

(37)

ジェームズオオクボセレクション【怪人のいる店】

(9)

世界のベストレストラン&ホテル100

(38)

世界のベストレストラン更新前の記事

(82)

大久保一彦の二つ星と三つ星の間

(96)

大久保一彦的二つ星のレストラン&ホテル

(105)

大久保一彦の二つ星西日本

(98)

大久保一彦の二つ星ワールド

(16)

大久保一彦の一つ星の店、ホテル

(174)

大久保の一つ星(愛知より西)

(136)

お店の口コミ評価を上げる運営の手引き

(12)

北海道のうまい店

(62)

東北のうまい店

(37)

関東のうまい店

(107)

東京のうまい店

(235)

目白・雑司が谷界隈の店

(27)

甲信越と東海地方のうまい店

(123)

北陸のうまい店

(74)

関西のおすすめ

(147)

四国と山陰、中国地方のうまい店

(66)

九州のうまい店

(82)

沖縄のうまい店

(29)

スイーツ研究所

(704)

Cafe研究所

(246)

カレー・スパイスの研究所

(7)

すし協同研究所

(45)

すし協同研究所・現地勉強会

(257)

会員向け日本料理研究会

(136)

魚アカデミー

(279)

鮨行天

(63)

『ラ・フィネス』『ミチノ・ル・トゥールビヨン』勉強会議事録

(61)

フランス料理店経営研究室

(65)

蕎麦店開業協同研究所

(127)

料理の技法や食の知識

(2)

ジェームズオオクボ的視点で選んだ心に残るあの店のあの料理(名物料理百選)

(24)

各地名産品及び各地名物料理

(180)

大久保一彦の野草のワークショップ

(34)

産地・生産者訪問

(138)

今日の大久保一彦のしごと

(1126)

経営者のための連続コラム

(1764)

飲食店は人づくり

(4)

修行について コーチの予備軍の方へ

(8)

これから開業の方向けコラム

(291)

飲食店開業講座

(65)

子供たちのためにコラム

(42)

偉人の言葉、今日の親父からの言葉

(28)

“経営思想家”大久保一彦の次の世代への哲学

(52)

大久保一彦の惣菜売場づくりの鉄則

(17)

補足◆【いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか】補足◆解説

(13)

残念ながらブログ掲載後閉店してしまったお店

(348)

ジェームズオオクボのホテル&お宿見聞録

(442)

長山一夫器美術館(解説付き)

(107)

会員・塾生訪問

(275)

何でも食材ランキング(ブログ掘り下げ編)

(2)

ジェームズ昆虫記&ジェームズ植物記

(868)

中国料理研究

(123)

業態研究

(194)

BAR研究

(16)

外食調査録

(260)

ジェームズオオクボ書店

(18)

惣菜・弁当・食品売場研究

(1044)

寿司盛り合せ研究

(230)

商品研究・料理研究

(2323)

素材・材料開発研究

(553)

焼肉店訪問

(60)

ラーメン研究

(16)

スパイスカレー店・インド料理店・ネパール料理店研究

(49)

別冊四方よし通信

(154)

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: