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つい最近まで、多くの中国企業は”規模の追求”を第一義にしていました。小さな会社から5年-10年の間にトップクラスに成長した企業が中国には多く、カテゴリーごとのマーケット・シェアは日本ほど硬直していないことも、"規模優先の神話"を後押ししたのでしょう。マーケット・シェアを拡大することが最も重要で、利益は二の次。一定のマーケット・シェアを獲得すれば、規模の優位性(スケール・メリット)で、”おいしい商売"ができる。マーケットで一定のプレゼンスを獲得するまでは、赤字だってへっちゃらぁ。日本ならば、Yahoo!BBにおける孫正義さんの戦略に近い感じです。企業を評価する人たち、例えば中国の小口個人投資家も、「利益」よりも「規模」を重んじる傾向にあったと思います。経営指標として重視されていたのは、売上高(営業額)の伸び率であって、1年の、まして四半期ごとの利益ではありませんでした。四半期決算が赤字でも、売上やマーケット・シェアが急成長している企業の株価は意外に堅調だったりするワケです。もちろん赤字を背負わなくとも、薄利であっても売上高に比例して利益も増えると言う戦略のもとで、「規模重視」主義をとっている企業のほうが多いわけですが。こんな状況ですから、広告のお仕事でお会いする中国企業のマネージメントの方々も、マーケット・シェア拡大のための投資として広告を捉えている傾向にありました。日本のような成熟市場では、売上見込み額の数%を広告費として計上するのが一般的です。一定の利益確保が前提の"原価"としての考え方をするわけです。ところが中国では、そうでない考え方をする企業が多くありました。ウチの場合、トイレタリーや製薬などの新興企業で多くみられたのが、「いくら広告費を投下すればどれだけマーケット・シェアを伸ばせるか」という視点です。商品の品質とか販売網のことを無視してスゴク単純化してしまえば、そのカテゴリーのトップ・シェア・ブランド以上の広告を投下すれば、マーケット・シェアもそのトップ・シェア・ブランドを追い抜く可能性が高まります。実際、あるカテゴリーのトップ・シェア・ブランドが1億RMBの広告を投下しているので、こっちはその1.5倍の広告を投下しましょう、と決断したクライアントもありました。当時、そのクライアントの売上高と同じくらいの広告費になりました。その企業は、何故だか分かりませんが資金があったので、年間の売上高とほぼ同額の広告投資をして、マーケットにおいてもトップクラスのシェアを獲得することになりました(金額は"たとえ話"ということにしておいてください)。ところが、ここに来て、このような"景気のいいお話"はあまり聞かれなくなりました。新年のご挨拶でいくつかの中国企業をお訪ねしたのですが、「ことしは利益重視で行く」というお言葉が多く聞かれました。日本で働いていたとき、クライアントが広告屋にこんな風に話すときは、広告予算を減らすという意味に等しいわけですから、新年早々幸先が良いとは言えません。ある程度のマーケット・シェアを確保した企業だからこそ、一定のシェアを維持するためにも広告は欠かせません。シェア拡大のために大量の広告を出しておいて、目標のシェアに達したら広告などのマーケティング活動を止めてしまうわけにはいきませんから。となると費用対効果にシビアになります。つい最近までは、CCTVの1チャンネルや2チャンネルのゴールデン・タイムでコマーシャルを流すことで満足していた企業も、地方テレビ局の視聴率が高い時間帯などを組み合わせた効果の最大化を求めてきたりするようになります。高級品の消費は一巡した感があります。自動車も大型平面テレビも多機能冷蔵庫も、その時点で手の届く人民はみな購入を終えました。あとは、買い替えと"お金持ち"にランクアップしてきた人民による需要を期待するしかありません。こうした需要も数的論理でいくと、日本市場よりは期待できるのかもしれませんが....ここ数年で生産能力を高めてきた高級消費財は、在庫を抱えるか、生産調整を始めています。以前よりも市場規模の拡大が見込め無くなったいま、こうした企業はシェア拡大から利益重視、そして経費圧縮の方向に転換しつつあるようです。食品やトイレタリーなどの大衆消費財はまだ大丈夫と言った感じですが。ここ中国でも、数年前のようにダイナミックなビジネスがしにくい状況になってきたように思えます。まぁ、マトモになってきた、と言えば、それまでかもしれませんが....
2006.02.20
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デジカメ問題のときは、いよいよソニーにも"苛められる番"が回ってきたんだなぁ、くらいの感想でした。一部日本のメディアは「日本ブランド狙い」などと反日運動の一環のように報道していたようですが、日本以外の外国ブランドも国内ブランドも大きくなると業界を代表するようになりますから、消費者意識が高まり、こうした政治と直接関わらないネタでくらいしか差別化を量り難い商業メディアが乱立するいまの中国においては、ちょっとした品質問題などが露呈すれば、ブランドの国籍に関わらず寄って鷹って苛められる状況だと思ったほうがよろしいでしょう。今回は、ソニーのほうから、自主的に申し出たようです。2月9日に自社サイトにて、液晶リアプロTV5機種のソフトウェアの”無料アップグレード”に関するリリースを出しました。それによると、とのこと。ソニーフリークだった私にしてみれば、何とも親切な"ソニー・タイマー"の事前発動予告だと言う印象です。1,200時間ということは、1日4時間使用したとして300日ですから、保証期間(1年)を少し過ぎてから発動すると言うソニー・タイマーの定義からすると、発動が早過ぎてしまうのですが、そのあたりも考慮して自ら申し出たのでしょうか?ソニーは中国の場合、ITブランドとしてのイメージが強いので、VAIOなんかはまだ良く売れていますし、最近はソニーエリクソンのケータイがじわりじわりとシェアを拡大しています。その反面、大型テレビに関して言えば、韓国や中国国内ブランドとの価格差が大き過ぎてパッとしていませんでした。他の日本ブランドとほぼ足並みを揃えて、販売価格の値下げに踏み切った矢先の出来事ですから、出鼻をくじかれた感じでしょう。テレビで起死回生を狙おうとする企業としては、残念なタイミングと言わざるを得ないですね。デジカメ問題から3ヶ月もしないうちの"品質問題発生"ですから、中国国内のメディアが寄って鷹って大騒ぎするのではないかと、心配でもあります。(参考:Serichina News)それにしても、購入者の自宅にまで伺ってソフトウェアのアップデートをしなければならないことは、サービス・ネットワークにおいて中国国内ブランドより見劣りする日本ブランドにとっては、かなりシンドイお話ではないでしょうか。対象機種は小さくて26インチ、大きいのは50インチの液晶リアプロTVですから、購入者に「サービス・センターに持って来てください」と言うのは、さすがに酷な話ではありますが。人民日報ウェブ版を転載したTOM.COMによれば、既に1万5,000台が販売されており、修理には30分程度要するとのことです。移動時間も含めれば技術者一人当たり8軒くらい回るのが限度でしょうから、のべ1,875人/日のスタッフが必要になります。50人のスタッフを揃えたとしても、全部回るのに1ヶ月以上かかる計算になってしまいます。技術者とは言え、相対的に人件費は安価ですから、太っ腹に考えたとしても、広い中国に散らばった15,000軒のユーザーの自宅を隈なく回るのは大変な作業でしょう。大都市だけならともかく、40インチ以上の大型テレビは案外ど田舎の大金持ちが好んで買ったりしていますから。もちろん、サービス部門は複数の提携会社にアウトソーシングしているとは言え、考えただけでゾっとしてしまいます。そして、こういうときにこそ、日本ブランドと中国国内ブランドとのサービスの差が出てしまうような感じがします。中国の大手家電メーカーの場合、自社でサービス・ネットワークを構築し、全中国に隈なくサポート拠点があり、24時間”電話一本”でご自宅まで飛んでくるような体制を敷いている場合がほとんどです。いっぽう、日本など外国ブランドは販売店や技術会社にアウトソーシングしながら、サービス・ネットワークを構築する場合が多いのです。上述のTOM.COMの記事(人民日報ウェブ版から転載)では、記者がその弱いところを突く様に、「ご都合の良い時間に自宅に伺う、と言っておきながら、実際電話してみると、テレホン・サポート・センターでは、24時間以内にお返事します、ということで、いつ修理に来てくれるかその場で明確な答えを返すことができなかった。」と書かれてしまっています。私としては、ソニー・タイマーの発動は致し方ないにせよ、その対応が機敏で無いと、ここ中国のユーザーの満足度は大きく下がるでしょうし、メディアもそのあたりをどんどん突いて来るのではないか、と心配ではあります。
2006.02.13
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旧正月の休暇で日本滞在中、どのチャンネルも似たようなライブドア関連のテレビ番組にさすがに辟易してしまい、DVDをレンタルに行きました。日本で暮らしていたら、当たり前のことなのかもしれませんが、レンタル料が異常に高く感じてしまいました。中国で海賊版を2~3枚は買えてしまう値段なんですね。このブログでも何度か取り上げましたが、中国では120円ほどで海賊版DVDが手に入ります。しかも、こっそりと買う、と言う感覚ではなく、堂々とした店構えをしたDVD Shopなどでも購入できます。豪華パッケージ入りのものも多く、フツーの人には正規版なのか海賊版なのか見分けがつきません。その手がかりは販売価格なのですが、中国の国産映画などのタイトルは正規版でも200円くらいですし、ハリウッド物でも300-400円で販売されています。しかも正規版料金で販売している"悪質な"海賊版"も横行しているくらいですから、もうほとんどボーダーレスです。正規版だけを販売しているようなお店を探すことのほうが困難です。DVDや音楽CDの場合、海賊版と正規版の価格差も小さく(とは言え2倍くらいするので、現地生活者にとっては大きな違いですが)、小売店の中ですら混在していたりするので、対策と言ってもどうしようも無い状況ではありますが、映画やドラマのDVDなどは、あくまでも"2次使用"ですから、いずれ両者の間で歩み寄りも可能なのではないかと期待してはいます。ところが、ゲームやコンピュータ・ソフトとなると状況は違ってきます。コンソールタイプのゲームの場合、ハードもソフトも日本とほぼ同じ価格で販売されています。プレステやNintendoの正規ソフトなら1タイトル5,000-7,000円と言ったところですね。ところが海賊版の場合は150円程度で、しかも複数のタイトルが1枚のディスクにてんこ盛り状態だったりします。コンピュータ・ソフトとなると、例えばOSやOfficeソフトの場合、正規版は中国でも2万-4万円はするわけですが、海賊版はタダだったりします。IBMのPC部門を買収したLenovoなど著名ブランドの中国国内販売向けPCは、付属ソフトはもちろんのことOSのWindowsすらインストールされていないタイプが中心です。そのままスイッチを入れるとBIOSの画面を眺めることになるだけなのですが、ほとんどの販売店ではご丁寧にも"無料"でWindowsやOfficeなどのソフトをインストールしてから納品してくれます。もちろんデスクで購入して自分で好みのソフトをインストールすることもできますが、海賊版ですと2-3万円のWindowsも10万円以上するAdobe Premiumも100-200円です。ITモール街でしたら、MicrosoftやAdobe正規販売店のお隣で平気で海賊版が売られていたりします。海賊版の使用は、個人に限らず一般企業でも平気で行われています。従業員5人10人の中小企業だけではなく、数1,000人規模の大企業であっても、海賊版ビジネス用ソフトをつかっているところがたくさんあるのです。オフィスで利用するパソコンは、液晶モニタのデスクトップでも5万円くらいから手に入ります。OS無です。ところがOSやOfficeなどの正規版ソフトのライセンスはコンピュータ本体と同じくらいの値段がします。月収5万円と言えば、北京でも高給取りの部類に入りますから、正規版ソフトを導入するために、日本的感覚ですと30~50万円も負担しなければならない、と言うことになります。中国ではオフィスにコンピュータが普及し始めた段階で、ソフトウェアの費用負担など考慮しない会社経営が一般的だったのです。高価なソフトウェアを経費負担しなくて良かったので、多くの企業が成長できたのでしょう。そもそも、中国の会計制度ではソフトウェアを資産計上する慣習がありません。ウチの会社はキチンと正規版を利用していますが、経理責任者にソフトウェア費用を資産計上して減価償却しようと言っても、そんな慣習は無いと一蹴されてしまいました。ソフトウェアを購入するたびに、販売管理費(経費)として一括処理しています。まぁ高価な正規版であっても、100円ちょっとで同じ機能の海賊版が手に入るワケですから、資産価値はゼロということで、ある意味合理的な会計処理だなぁ、などと納得していますが。こういうわけですから、いきなり正規版を導入しろ、と言われると、経費の負担増で、経営が成り立たなくなってしまう企業が、中国にはたくさんあるように思えます。とは言え、DVDやゲームに比べると、汎用コンピュータ・ソフトは少数のメーカーが寡占的に販売していますから、メーカー側もいろいろ対策を講じています。Micorosoftは、たくさんのパソコンを利用しながら1台たりとも正規版を利用していないインターネット・カフェのチェーンなどを、見せしめ的に訴えたりしています。Adobeの場合、ビジネスで頻繁に利用する業種は限られているわけですから、そうした企業を定期的にパトロールして、海賊版をインストールしてあるMacを見つけ出すと持っていったりしています。映像編集やデザインでAdobeのソフトウェアを使用している会社は、Macを持っていかれると仕事が成り立たないので、しぶしぶ正規版を購入するハメになるのです。10台分ですと100万円以上になりますから、中小企業ですと会社存続の危機になってしまいます。あまり強硬な態度に出ると、国家ぐるみで開き直られてしまい、政策発動でLinux紅旗などにスイッチされてしまいかねませんから、Microsoftあたりは"柔軟な"対応に終始しているようですが....ところで、海賊版使用による"恩恵”を、間接的には日本企業や日本人も受けているのではないでしょうか。例えば、CG、CAD、動画編集などが、日本と比べて安くできるから、と中国にアウトソーシングしている日本企業はたくさんあります。人件費が安いから安く済むと考えるのがは当然ですが、実は海賊版使用でソフトウェアが安いことも安価の要因になっていると言えるでしょう。日本の料金には、パソコンなどの設備やソフトウェアの減価償却分も反映されていますが、ここ中国では高価なソフトウェアの減価償却なんて考慮する必要の無い企業がたくさんあるわけですから....海賊版が氾濫する中国のことを批判したり、知的所有権侵害の被害者として抗議することは容易いのですが、日本も間接的にはこの"海賊版天国"の恩恵を受けていることも考える必要があるのかもしれません。
2006.02.08
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懇意にしていた日本の大手メーカーの中国現地法人の日本人総経理(社長)が突然帰任することになりました。その現地法人は日本側の出資比率が過半数を占め、名実とも日本メーカーの子会社なのですが、外資規制などいくつかの理由があり、中国の国有企業との合弁会社になっています。年に1回開催される"董事会"(日本で言うと"取締役会"と"株主総会"を兼ねたようなもの)で、中国側"董事"(日本で言うと"取締役"のようなもの)から、"総経理解任動議"が提出されたようです。出資比率同様、董事会においても日本側がマジョリティーを占めていますから、その場で否決されてしまうのが本来の姿であるはずなのに、日本側董事(つまりは日本の親会社のトップたち)が本国に持ち帰ってから検討するということになり、結果として日本側も総経理の解任に同意してしまいました。つまり、この日本人総経理は出身元の日本の本社からはしごを外された格好になってしまったのです。この総経理が、業績を上げられなかったのか、或いは業務怠慢だったのか、というと、私のみたところ、決してそうではありません。プレイング・マネージャーとして土日を惜しまず仕事をこなし、業績を向上させていました。まぁ、私にしてみれば、そのことが"アダ"になってしまったのではないかと分析していますが.....その会社は、日本の国際的ブランドの製品を中国でも製造販売するため設立されました。製造管理もマーケティングやセールスも日本側に任せる、という合弁条件を中国側が受諾し、総経理(社長)も日本側が本社から送り込むことになりました。中国側の合弁相手は、地方政府機関がお膳立てした"お見合い"で半ば強引に結び付けられた国有企業。広い意味で同業種ではありますが、業績もパッとせず、製造ノウハウはもちろん、中国市場におけるマーケティングやセールスのインフラもあまりあてにはできないような企業にみえました。そうした状況を目の当たりにしたその日本人総経理は、既に海外において市場開拓経験のある方でしたので、中国側合弁相手に頼らないマーケティングやセールスの体制を築いていきました。中国側合弁相手から派遣されている副総経理(副社長)には、ほとんど何も相談せず、独断で進めてきたことは、当然のことながら"ワンマン経営"に見えたでしょう。けれども市場参入から3年、売上も市場シェアも順調に伸ばすことができたのです。その会社が製造販売する製品の市場でのプレゼンスが大きくなり、事業規模が拡大すれば、"利権"が生まれてきます。例えば、資材や原材料の調達にしても、立ち上げの頃は良い取引条件を引き出すために数多くのアウトソーシング先を訪ねてギリギリの交渉でコストダウンをしなければならなかったのですが、事業が順調に拡大していけば新規取引を狙った様々な会社から頻繁に"売り込み"が来るようになります。あちこちを飛び回って不在がちの日本人総経理ではなく、閑職の中国側副総経理のほうに"売り込み"が集中することは容易に想像できます。発注者としての権限を持つこと、イコール"権益"を握ることですから、そうした"権益"を中国側合弁相手が奪還しようと考えるのも良くある話です。中国側合弁相手は、董事会で日本人総経理解任の理由について、ワンマン経営を第一に挙げたそうです。合弁会社であるのに中国側から派遣されている幹部には何も相談せず、すべて独断で行っている。権限が集中して、取引先との関係が不透明だ。そして、中国のことは中国に居る者が関わるべきだ。最後の「中国のことは中国に居る者が関わるべきだ」については、私がこのブログの中でも常々主張していることではありますが、立ち上げで苦労しているときに傍観していた中国側の方たちに主張されては、違和感を覚えてしまいます。さて多くの日系合弁会社と同様、この会社の日本側董事は総経理を除き、日本本社の社長や海外事業担当役員など重役が名を連ねています。中国側董事も出資元企業のトップや重役が就任するのが一般的で、そうしたう方の中には政府機関や共産党の幹部役職を兼務しているケースが多いのです。日本側董事すなわち本社の重役たちは、中国側董事のこうした"肩書き"に過剰な期待を持つことが多いわけです。また、表向きであっても合弁事業が円滑に進められているときの董事会は、年に一回の"日中友好宴会"みたいな感じになりがちです。董事会そのものは、一般的な日本の株主総会の如く「異議無し」の連発で恙無く終了し、その後食事会みたいなものが用意されていて、お互いが相手先を喜ばせるような趣向を凝らしたりします。日本側董事は年1回の董事会の折に、中国側合弁相手のVIPに"骨抜き"にされることになります。「もっと中国側のリソースを活用できるはずだ」「現地の総経理が報告を上げてくることと違う印象を持った」などなど....多くの中国人は接待上手ですから、たまにしか会わない日本側トップに、中国側を胡散臭いなんて思わせる隙すら与えないはずです。現地を任されている部下の日常の苦労話などどこ吹く風のように消え去り、中国側合弁相手への信頼感のほうが増してしまうことすらあるわけです。そんな董事会でいきなり提出された"解任動議"。さすがに日本側トップは、その場で受諾することは避けましたが、結果的には受け入れてしまったのです。その総経理がワンマンだったのは事実だと思いますが、理由は明確ですし、最初の2年間は中国側も面倒な責任と仕事を押し付けられず喜んでいたフシすらあるのです。日本の本社は、現地で苦労してきたその総経理=自社社員の"言い分"などよりも、あまり役には立たないはずの"大切な"中国側パートナーの意見のほうを選択してしまったわけです。後任の総経理も日本から送り込まれてくるのですが、権限は大幅に削がれるようになるでしょう。「現地化」とよく言われます。マネージメントを現地人にするのも現地化の一つだと思いますが、根本理念は(日本人であろうが現地人であろうが)「現地を預かっている責任者を信頼する」と言うことではないかと思います。もちろん内部統制上、本社の関与は必要ではありますが、可能な限り「現地判断を尊重する」ことこそが「現地化」のファースト・ステップだと思います。重要案件が最終的に日本本社の判断となることは致し方ないにせよ、年1回程度の中国側パートナーの"心地よい応対"に惑わされて、モノゴトの全体像を把握できないような日本の重役の方が決めてしまうのは、どうかと思ってしまいます。多くの中国人は、プロコトルの使い方に秀でています。七夕みたいなお付き合いしかなくとも、”非公式の場"では日本側トップ(決定権者)の好評価を獲得します。そして董事会での解任動議のように"公式の場"の権威性を巧みに利用します。普段日本にいらっしゃるトップや重役の方の多くが、そのワナにハマってしまい、"ビジネス"よりも"友好"のほうに傾いてしまいます。なんだか、日本の外交にも似ているような気がしますが.....
2006.02.06
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