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中国では90年代初頭以降、日本のテレビドラマがあまり放映されていません。江沢民さんが反日を推し進めるために日本のテレビ番組を締め出したとか、プロセスにおいては、様々な推測が可能ではあります。しかし、この数年間の状況を冷静に考えてみると、市場原理に基づく結果である、と言うのが真っ当だと思うのです。日本のテレビドラマが中国で放映されないのは、中国当局の"意地悪"によるものでは(ほとんど)無いと言うことです。先端技術の輸出が振るわなくなったいま、コンテンツこそ日本の輸出品の花形になる、と経済産業省あたりが張り切っちゃっているのですが、テレビドラマにしても映画にしてもゲームにしてもアニメにしても、フツーの商品とほぼ同様の仕組みで取引されるわけです。シンプルに言ってしまえば、需要と価格合理性があれば取引が成立するのです。中国において、日本のテレビ番組があまり放映されないのは、この関係が成り立たないからです。スゴク単純化すると、日本のテレビアニメ: 中国での需要=有 / 価格合理性=無日本のテレビドラマ: 中国での需要=無 / 価格合理性=無だから、取引が成立せず放映されていない、と言うのが事実でしょう。2005年に、CCTVを除く中国のテレビ局で放映されたテレビドラマは時間換算で約9,000時間。内1/3にあたる約2,000時間は外国製ドラマ(中国の立場で言えば、輸入ドラマ)を放映できるのです。ところが、実際放映された外国製テレビドラマはローカル局全体で70作品(シリーズ)、約1,200時間程度に過ぎません。しかも、この70作品の中で日本のドラマは1作品のみでした(2005年に許可され放映された作品なので、過年度に輸入許可を得て再放送などで放映されている作品を除きます)。なんと韓国作品が28、香港作品が18、台湾作品が15、シンガポール作品が5、インド、イタリア、アメリカ作品がそれぞれ1つでした。なぜ韓国作品がこんなに多いのでしょうか?それは需要と価格合理性が有るからです。前回のエントリーでご紹介しましたとおり、中国のテレビドラマ視聴者層の中心は35歳以上の女性(主婦)です。高学歴でも無ければ"小金持ち層"でも無い人たちなのです。日本でも韓流ブームが韓国ドラマから火がつきました。韓国ドラマはストーリーが比較的シンプルで、登場人物の行動や心の動きも予想される範囲内である場合が多いので、日本でも主婦層を中心に人気が高まりました。高学歴、"小金持ち"という部分は置いておいて、やはり中国でも主婦層が受け入れ易い"つくり"であったのでしょう。しかも、1作品あたり60分弱で最低20話はありますから、連続ドラマを1日あたり2~3話連続して毎日放映するという、中国の標準的な番組編成であっても、1週間以上は放映を続けることができるのです。さらに、(これは想像の域を出ませんが)日本のテレビドラマより合理的な値段で購入できるのでしょう。これだけ韓国ドラマの比率が突出したのは、市場原理に基づく結果と言えるでしょう。ですから、最近では中国当局が"規制"に乗り出す動きもあるようです。特定の国家の番組だけが多く放映されるようになるのは、中国に限らずどこの国でもあまりよろしくないお話でしょうし。こうした規制の動きに対して、韓国側は、中国との共同制作やキャスト、スタッフ、スクリプトの単体販売などの方法で乗り切ろうとしています。努力してるんです。いっぽう最近の日本のテレビドラマのほとんどは、F1層向けに準備されています。F1層と言うのは20~34歳までの若い女性のことで、この人たちの中で話題になれば、若い男性もおじさんもおばさんも、みんなついてきてくれると考えがあったのです。また、日本の都市生活者でなければ共感しにくい設定である場合が多く、心を動かすようなストーリーは"クサイ"と言われて敬遠されがちです。しかも、日本のテレビドラマは通常11~12話で完結してしまいます。中国の標準的な番組編成なら、月曜日に放送が始まって土曜日には最終回が来てしまうので、話題作りができないうちに終わっちゃうのです。さらに、番組の値段が高い安いと言う前に、日本のテレビドラマを中国で放映するとなると日本側のほうに障壁が多いわけです。海外への番組販売を前提に制作されているケースが未だに少なく、権利や承諾を一つずつ詰めていかなければならなかったり、人気タレントやそのマネージメント事務所に頼ったキャスティングが多いため、そのタレント売り出しの海外戦略に左右されて、"海賊版王国"と言われている中国が敬遠されたりしてしまうのです。また、"ものづくり"にこだわる日本だからこそなのかもしれませんが、翻訳された現地版についても日本の作り手がしっかりと管理したがります。こうして、自ずと時間とコストがかかってしまい、結果的に買い手にとって合理的な値段で番組を販売することができなくなるケースが多いのです。そして、何よりも日本のテレビドラマに関わっている人たちの多くは、中国での放映=中国への番組販売に関して消極的です。こんなワケですから、日本のテレビドラマが中国でほとんど放映されないことを、中国当局の"意地悪"によるものだと考えるのは止めるべきです。このことは、テレビドラマだけではなく、テレビアニメにも言えます。日本のメディアは一時期「中国当局が日本のアニメを締め出した。」「日本を狙い撃ちにした。」などと報道していましたが、日本だけを狙い撃ちにしているわけではありません。例えば日本が製鉄業を守るためセーフガードを発動して、最大の輸入元が中国だった、みたいなお話なのです。しかも、テレビドラマと同様に、テレビアニメに関わっている人たちの多くは、中国での放映=中国への番組販売に関して、消極的です。日本人は、近代以降の自国の歴史、とりわけアジアに対して自虐的である必要は無いと思うのと同じくらい、中国におけるビジネス上の障壁を中国当局の政治的思惑に帰する被害妄想は止めたほうが良いと思います。しかも、自虐史観を非難する方に被害妄想になられる方が多いのは不思議な感じすらしてしまいます。外国とビジネスをする以上、日本国内で完結するお仕事よりも障壁が高いのは当然でしょう。実際には"意地悪"されることだってたくさんありますが、根本要因を中国と言う国家そのものだと決め付けてしまうのは、あまりにも短絡的に思えたりします。そうした日本人の甘えの中にこそ、チャイナ・リスクが潜んでいるのでは無いでしょうか。ちょっと話が飛躍しすぎてしまいました....。
2006.10.31
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先日、中国のテレビドラマ業界の実力者が日本に売り込みにやってきました。日本のテレビ・ドラマを含む映像コンテンツ業界の皆さんを前に、中国のテレビ・ドラマの状況などを話してくれました。中国に居た頃は当たり前だと思っていたお話も、日本に住んでしまうと新鮮に思えてしまいます。中国におけるテレビ番組の視聴傾向を、マス(数量)的に述べてしまえば、(1)ニュース・報道番組 (2)連続ドラマ (3)エンタテインメント(主として視聴者参加型) (4)スポーツ中継 (5)ドキュメンタリー (6)インタビューもの の順で人気が高い(=視聴率を稼いでいる)ということになります。2005年に中国で放映された新作テレビドラマは約1万2,000話。1日あたり約33話という計算になります。仮に日本でNHK総合と民放5ネットの6チャンネルが毎日20時から23時までの3時間に54分ドラマを3話ずつ放送したとしても、1日18話で年間で6,570話になります。日本では、実際はバラエティ番組や報道番組もたくさんありますから、年間1万2,000話という新作ドラマのが如何に多いかお分かりいただけると思います。その中国のテレビドラマ業界の第一人者が暴露してしまいました。「テレビドラマ視聴者層の中心は35歳以上の女性(主婦)です。高学歴でも無ければ"小金持ち層"でも無い人たちなのです。」なぜこうした発言が飛び出したのかについては、次回のエントリーにでも譲ることにしますが、これはデータでも裏付けられています。確かに連続ドラマは全体として高い視聴率をとっています。ところが、20代で大卒以上で月収4,000RMB以上でなどと対象を絞り込んでいくと、連続ドラマの視聴率は決して高くないことが分かります。中国でテレビCMをたくさん流している、日本ブランド商品といえば、自動車、電気製品(家電も情報機器も含む)、次いでトイレタリー、食品です。前二者は都市部を中心とした"小金持ち"若者が購入層の中心です。また、一般にはcommodity(日用品)とされる後二者ではありますが、トイレ掃除の洗剤や牛乳や納豆のテレビCMを行っている日本ブランドはありません。トイレタリーなら都会の"小金持ち"をターゲットにした高級シャンプー、食品なら主婦ではなく若者をターゲットにしたペットボトルの飲み物などです。つまり、中国でマーケティング・コストをたくさん出している日本ブランドの商品とは、中国の連続ドラマを見る人たちが購入するような商品ではないということです。多くの広告関係者はこのことに気づき、テレビCMの放映時間を連続ドラマからニュース・報道番組やエンタテインメント番組、スポーツ番組などにに移動するようになりました。ところが、最もテレビCMを視てもらいたい層(ほとんどの日本ブランドの場合、20代の"小金持ち層")は、テレビそのものを視ていないようなのです。中国のテレビドラマのプロデューサー氏はまたも正直に暴露してくれました。「(都市部に住む)高学歴、ホワイトカラーのテレビ視聴時間はどんどん少なくなっています。」仕事を終えて、同僚や友人と食事或いはお酒を飲み、帰宅は21時か22時、帰宅後はネットで情報チェック。週末など時間にゆとりがある時は、海賊版のDVDかネットで映画を楽しむ....。と言う感じの生活をしている人たちが非常に多いので、テレビCMはほとんど効きめ無しなのです。こうした状況を、中国の現地でマーケティング活動に関わる皆さんの多くは実感されているのですが、はっきりと「テレビ広告はほとんど効きませんよ」とは言いにくかったわけです。多くの広告会社はテレビCMを進めたほうが利鞘が大きいわけですし、広告主企業の担当者の多くはテレビCMが他のビークルより準備作業がシンプルで、失敗がばれるリスクが小さいと考えているからです(これは日本国内と同じ状況です)。でも先日、中国のテレビ業界の大物の方までがはっきりおっしゃったのです。中国で、クルマやデジカメやフラットテレビやノートパソコンや機能性シャンプーや高級スキンケアなどを売ろうと考えている日本企業の皆さん、テレビ広告はほとんど効きめが無いかもしれませんよ。最近は日本でもテレビCMの効果について議論がなされつつありますが、まあ、中国の状況のほうがもっとわかり易いと思います。テレビってどういうメディアなのか....。次回はコンテンツ篇を予定しています。
2006.10.30
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とある国際的な競技会にエントリーするための費用がまだ6,000万円足りないというスポーツ選手Aさんのために関係者が集いました。かつて彼自らが稼いだお金や仲間の支援によって競技会に参加してきたのですが、世界の頂点となる某国際大会に参加するとなると、ケタ違いのお金が必要となるのです。その大会は来年の年明け早々に開幕するので、もうほとんど時間がありません。その打ち合わせに集まった人たちは皆、Aさんの才能を認め、将来を期待する方々です。私はAさんとは初対面でしたが、そのほかのメンバーとは以前お仕事などでご一緒したことがあり、ほぼ10年ぶりの再会という感じです。そんなこともあり、近況報告みたいなところから打ち合わせが始まりました。10年前は、その競技の映像を撮影して編集したりしていたBさんは、その後ネットで映像を配信する事業を始めて大成功されていました。他にも手広く事業をされていて、とある途上国の金鉱の採掘権を購入したところ、黄金小判がザックザクとは行かないまでも、砂金の含有量が極めて高い鉱脈を得た、と言うお話でした。少なくとも200億円くらいの埋蔵量は確認できたそうです。ただその国から金を持ち出すことが難しいらしく、いまはその方法をどうするかで苦労しているそうです….。10年前は、イベントのプロデューサーをされていたCさんですが、その後、ビジネス・スクールでMBAを取られ、モルガン系だかサックスマン系だかの仲間とともに『環境ファウンド』を始めるそうです。いまのお金持ちは、ヴァージンのブランソン会長のように、地球や地域にやさしい何かをしたがっている(すべきだ)から、運用益の一部を砂漠化防止などのために活かせるようなファウンドを創設して、とりあえず2,000億円くらいを集める予定だそうです。みなさん、私が中国で丁稚奉公している間に随分成功なされたものだと感心してしまいました。そして、いよいよAさんが来年1月に迫る国際競技会にエントリーするための資金をどうするか、という本題に移りましたが、途端に皆さんの口数が少なくなってしまいました。沈黙を破ったのは、私と同業の広告会社のDさん。この手のビジネスを手掛けて20年以上のベテランです。実質1ヶ月と時間の無い中、いまさら広告効果とかプロモーションなどの観点からスポンサーを探すのは無理なので、知己の大企業のトップやオーナーに片っ端からお願いするしかないだろう、と極めて現実的な意見でした。長年この競技と関わり、常にスポンサー探しで苦労しているAさんにしてみれば、Dさんに言われなくとも分かっているお話です。最も一般的で現実的な方法ですから、Aさん自身が動けるところは皆お願いに回っているのです。それでも、6,000万円ショートしているので、相談しているわけです。重い空気が漂う中、Dさんはようやく「ぼくも一緒に動くから」と言う、Aさんにとっては少しばかり励みになる言葉を発したのです。Dさんはこの種の競技によくスポンサードしてくれる企業のトップに太いパイプを持っているのですが、所詮サラリーマン。時間的にも、また様々な事情から、会社として約束することが出来ないため、個人として応援する、と言う曖昧な言い方しかできなかったのです。私もサラリーマン。気持ち的には良く分かります….。その後もミーティングは盛り上がらず、最悪は借金を背負ってでもエントリーするというAさんに、それでは次回以降継続できなくなる、と誰か。だからこそ、今回何とかしなければ、と言う趣旨の打ち合わせなのに。ついに、ネット映像配信で成功しているアイディアマンのBさんが口を開きました。すぐにブログを立ち上げよう。まず、その国際大会へのAさんの”想い”、資金面を含めた準備段階での苦労話を発信しよう。それでドネーション(寄付)を募る。競技の状況はナマで配信しよう。寄付してくれた人たちには、ナマの写真とメッセージを送ってあげる。システムはみんなウチで対応する。ま、最近ハヤリの、でも実現性が高く、話題にのればバケそうなお話です。映像使用権などクリアしなければならない問題も多いのですが、そこはその道のプロが集まっていますから、解決のためのアイディアも出てきましたし、関係者のウェブや個人のブログなどにリンクを仕掛けて行けば、1日に数万インプレッションは期待できるだろう、などと議論も白熱してきました。ところで、どれくらいの資金が集まるだろうか…。踏んではならない地雷を踏んでしまったのは、旧知の成功に唖然とするしかなかった中国帰りの私でした。一口1万円くらいで、150人くらい参加すればいいほうじゃないかな。とはこのアイディアを提供してくれたBさんのお言葉。Aさんはあと6,000万円集めなければならないのです。場が重くなったまま、お開きになってしまいました。中国で9年も働いていた私にとって、6,000万円の個人スポンサーと言う話も、ちょっと大き過ぎたのですが、200億円の埋蔵金とか、2,000億円のファウンドの話がフツーに交わされるミーティングでしたから、Aさんの悩みもきっと解決するのかなぁ、と思いきや、結末としてはネットで150万円集められればいいみたいな話で尻切れトンボでした。中国では随分と大きなお話を良く聞かされたものですから、1割くらいの値踏みで聞く習慣を身につけました。1,000万元の儲け話を50万元とか100万元くらいに置き換えて考えてみると言うことです。もし、ほんとうに1,000万元の儲け話だったとしたら、これはスゴイと感動すればいい。しかも、ほんとうに大きなお話がときどき転がっていたりしますから意外です。日本に戻って1ヶ月が経ちますが、このあたりは中国に居た頃と同じように、値踏みしておいたほうが良いかもしれない、と思うきょうこの頃でした。
2006.10.18
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すっかり騙されてしまいました。中国の[女圭]哈哈(Wahaha)という大手食品メーカーがこの6月頃、中国国内市場向けに発売を始めた『コーヒー・コーラ(珈琲可楽・Coffee Cola)』のお話です。コーヒーっぽい味のするコーラです。これは、いかにも中国っぽい怪しげな商品だと思い、7月30日の「ぺきん日記」というブログにも書かせていただきました。北京のスーパーなどではエンドに対象にディスプレイされていて、初夏にたくさんの新商品が発売されては、数ヶ月で消えていくという中国のペットボトル飲料市場において、今シーズンのヒット商品だったと言えるでしょう。[女圭]哈哈(Wa Ha Ha)は、フランスの大手食品メーカー「ダノン」などの出資も受け入れていますが、1998年には「中国人のためのコーラ」と称して『非常可楽(Feichang Cola)』を発売し、ナショナリズムに訴えたマーケティング展開をしてきました(表向きは....)。そんなこともあって、『コーヒー・コーラ」』こそはきっとオリジナルなのかなぁと思っておりました。ところが、中国オリジナルと謳いつつ『コカ・コーラ』そっくりな『非常可楽(Feichang Cola)』に続いて、『コーヒー・コーラ」』も"パクり商品"だという疑惑が極めて高くなりました。クールなウェブ・キャンペーンを探していたら、『Coca-Cola Blak』なるサイトに遭遇しました。ボトルのデザイン、特にテクスチャーのパターンとカラリングなんかは、『コーヒー・コーラ」』とほぼそっくり。もちろん、コーヒー・フレイバーのコカコーラです。なんとこの『Coca-Cola Blak』、ことしの4月下旬にはアメリカで発売を開始していたようです(コカコーラ社のプレスリリース)。更に調べてみると、昨年2005年末には発売がアナウンスされ、2006年1月にフランスで先行発売されていたことも分かりました(「コーラ白書」/2005年12月9日)。「コーラ白書」などによると、世界的にはペプシに追い込まれているコカコーラ社が若者向けの起爆剤として、またラインナップの強化として発売を決めたそうですが、コーヒー風味のコーラは過去にもコカコーラ社以外で発売されたことがあったようです。ですから、『Coca-Cola Blak』自体がパクり商品とも言えなくも無さそうですが....。ともあれ、ペットボトルのパッケージデザインを見る限り、Wahahaの『コーヒー・コーラ』はコカコーラ社の『Coca-Cola Blak』のコピー商品としか言いようが無い感じです。限りなく黒に近いと言ってよろしいでしょう。前述しましたが、[女圭]哈哈(Wahaha)は中国の人たちの民族意識に訴えるマーケティングを行い伸びてきました。『非常可楽(Feichang Cola)』を発売するときは、強力なグローバル・ブランドである『コカコーラ』との対決姿勢を明確に打ち出していたはずです((Wahaha ウェブサイトの沿革を参照)。それなのに、ライバルとして戦いを挑んだはずのコカコーラ社の新商品をほぼ丸ごとパクっていたとは、何とも情けない民族のホコリと言えるのではないでしょうか....。とは言え、見過ごせないのはこのスピード感。"パクり"と言えば、フツーは外国など他地域のマーケットである程度成功したモノを真似る、と言うのが私などの感覚です。逆の言い方をすれば、外国で流行しているものを真似るからこそ、"パクり"だとバレてしまうわけです。インターネットをはじめとする様々なメディアを通じて外国からの情報がほとんどタイムギャップ無しで伝わってくる、いまの中国ではありますが、フランスで発売されて数ヶ月後、本土アメリカで発売されるとほぼ同時くらいに商品化されたのですから、『コーヒー・コーラ』が『Coca-Cola Blak』のコピー商品であると気づいた方は、ごく少数だったのでは無いかと思います。少なくとも私は、きのう『Coca-Cola Blak』のウェブサイトを発見するまではWahahaのオリジナル商品だと思っていました。封切映画の海賊版DVDなども、非常に早いタイミングで市場に出回っています。配給会社がその映画のプロモーションをしている最中に、海賊版DVDを世に出せば、正規版プロモーションに便乗して売上を伸ばすことも出来るのでしょう(いっぽうで、海賊版DVDが出回ることが映画本体のプロモーションに一役買っているという観方もできなくはありません)。日本のテレビドラマやアニメも、放映1週間後くらいには中国のウェブサイトで無料で見ることが出来たりします。ちゃんと中国語で字幕までつけているわけですから、ホントにたいしたものだと感心してしまいます。『コーヒー・コーラ』が先に出たことによって、コカコーラ社は中国市場で『Coca-Cola Blak』を出しにくくなったでしょう。きっと法的な対応など準備をしている間に、『コーヒー・コーラ』のほうが話題になってしまった、と言う状況ではないでしょうか。トップダウンやコンパクトな組織だからこそ為せる業ではないかと思いますが、汚い技でも先手必勝なのでしょう。"パクり"は別としても、こうした中国の"スピード感"について、日本企業はまだまだ学ぶべき点が多いように思えます。
2006.10.05
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