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きょうは本人の許可を得て、北京で働く知人の失敗体験を披露します。彼は20代後半でなかなかの二枚目、日系企業で6人の現地社員を率いるチーム・リーダーをしています。現地採用ではありますが、駐在員のおじさんたちより仕事もできるし、中国の事情を理解しているし、若い現地のスタッフとも同年代なので、現地社員からの評判も良く、信頼されていて、大人気です。ところが、ほんの些細な出来事で、うまく行っていた現地スタッフとの距離ができてしまったとこと。評判も信頼もがた落ちになったと彼自身は感じているようです。いつものようにノートパソコンの画面でを使って、チームのメンバーと社内ミーティングしていたときのこと。ディスカッションが長くなり、パソコンのスクリーン・セーバーが起動しました。彼のパソコンのスクリーン・セーバーは、日本の某グラビアアイドルの写真を集めたものです。その写真のスライド・ショーを見ていた女性スタッフがディスカッションを遮って「○○さん、この娘すきなの?」と尋ねてきました。彼は「うん、大好き。」と。今度は別の女性スタッフが「誰なの?」と尋ねてきて、彼は「xxxxって言うんだ。日本で人気あるんだよ。」などと答えたそうです。男性スタッフは「可愛いじゃん。」とか「ボクの好みじゃない。」とかコメントしていたようですが、最初に尋ねてきた女性スタッフが「○○さんって彼女いるんですよね、こういうの良くないと思います。恥ずかしいです。」と言うと、一瞬みんなシーンとなってしまったそうです。すぐにミーティングは再開しましたが、その後のディスカッションに熱意が失われたように彼は感じたそうです。その後、言いだしっぺの女性スタッフを中心に、彼を軽蔑するという意見が社内に広がりました。いままで友だちのように食事や遊びを一緒にしていた現地スタッフにも、あまり誘われなくなり、彼が食事に誘っても、かつてのように部下全員が揃って参加することは無くなってしまいました。いままでは毎回参加していた女性スタッフは、何か用事を作ってオフでの付き合いを避けるようになりました。実際の仕事に影響が出ているのか彼に尋ねると、直接的には影響していないと思うが、あの一件以来、男性スタッフを含めて現地スタッフと距離ができてしまったようだし、チームのミーティングもいまいち盛り上がりに欠ける、とのことでした。先日、彼に問題のスクリーンセーバーを見せてもらいました。グラビアアイドルとは言え、顔のアップやフツーの服を着た写真が中心で、一部水着の写真があるくらいです。ま、バストを強調したような写真もありましたが、下着姿でもないですし....このレベルで"アウト"だったら、私のスクリーンセーバーなんてセクラハで訴えられてしまうでしょう。私物とは言え仕事で使うパソコンなので、下着姿やセミヌードの写真は敢えてスクリーンセーバーから外した、と言う彼は、なかなかのしっかり者だと感心してしまいました。あの一件以来、評判が落ちたことに関して、納得し切れないで居た彼に相談を受けた私でしたが、その時の私には説明がつきませんでした。しばらく考えてみると、ポイントは3つありそうです。第1に、彼がほぼパーフェクトな日本人社員であったこと。私の知る限り、仕事はしっかりこなしますし、現地社員にも駐在員の上司にも取引先にも気配りしています。かと言って堅物ではなく、現地社員をオシャレな店に連れて行ったり、スタッフとサッカーチームをつくったり、オフの部分でもうまくやっていました。日本の本社からやってきた駐在員たちが頼りない感じなので、より一層引き立って見えたのかもしれません。ですから、ほんの些細なネガティブな出来事であっても、パーフェクトであればあるほど、信頼が高ければ高いほど、現地社員に与えたインパクトが大きかったのでしょう。これは中国に限ったことではありませんが。第2に、彼に彼女がいること。しかも多くのスタッフがそのことを良く知っていたことが、影響していると思います。彼にはとても仲の良い日本人の彼女がいて、現地スタッフと食事をするときなど彼女を連れてきて、アツアツぶりを見せつけたりしていました。それ自体、まったく問題では無いと思いますが、そんな大切な彼女がいるのに、スクリーンセーバーにアイドルとは言え別の女の子の写真を使っていたことが、特に女性スタッフにとってネガティブな印象を与えたのではないでしょうか。北京で働く女の子は、"花心(浮気癖)"の男性を軽蔑する傾向が強くあります。逆に彼女や家庭を大切にしている男性は尊敬されています。スクリーンセーバーを見た女性スタッフが「○○さんって彼女いるんですよね」と言ったことが、そのことを物語っているように思えるのです。これを裏付けるわけでもありませんが、ウチの現地スタッフのパソコンの壁紙は、男性の場合、彼女や子どもや家族の写真を使っているケースが圧倒的に多いです。女性の場合はペットの犬だったり、ハローキティちゃんだったりしますが、アイドルやモデルの写真は見たことがありません。若いスタッフとは言え、中国人は家族や恋人を尊重し、その関係を大切にしている人を尊敬する、と言うことを忘れてはならないのです。第3は、やはり北京(中国)は日本と比べるとまだ保守的である、と考えるべきです。日本に帰るたびにエッチな雑誌をおみやげに求めてくるようなウチの若い男性現地スタッフたちに、私のスクリーンセーバーをチャックしてもらいました。ほぼパーフェクトな彼とは違って、私のスクリーンセーバーは下着姿とセミヌードまであり、です。ウチの男性現地スタッフの意見をまとめると、一人で見る分には全然問題ないし(過激じゃなくて)つまらないくらいだけど、たとえ男の友達であっても、この類の写真を見せ合ったりすることには若干の抵抗がある、とのこと。まして会社で女性社員に見せるような写真では無い、との判断でした。「中国はまだ保守的だから...」と現地スタッフが付け加えました。秘かに憧れるアイドルの写真あたりも含めてこの類のモノ、特に水着の写真などはあくまでもプライベートで秘かに楽しむもの、よほど親しい友人同士でないと見せ合ったりもしない、と言うことのようです。しかも、恋人や家庭がある場合は一層注意が必要なのでしょう。ただ、このことは中国が保守的というよりは、日本が開放的過ぎると言った方が良いのかも知れません。ヌード写真が掲載された雑誌をパブリックな場所で読むことにさほど抵抗を感じないのは日本人男性くらいだと言います(韓国人男性にもその傾向があるそうですが)。北京首都空港に海外から到着した飛行機の清掃で一番人気が高いのが、日本からの到着便だそうです。清掃員にしてみるとエッチな雑誌をいっぱい手に入れることができますから。先ほど例の彼に連絡してみると、スクリーンセーバーを彼女の写真に換えたとのこと。きっと私と同じような方向で原因分析したのでしょう。早く信頼回復できますよう願っています。
2006.07.25
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航空便が拡充されて、日帰りはさすがに無理としても、1泊の北京出張なんて方も多いようですが、せっかく北京にお越しになるのであれば、せめて北京の概要くらい掴んで帰られたほうが良いと思います。空港-高級ホテル-現地オフィス-高級レストラン-空港、だけの行動パターンでは、北京を見てきたことにはなりません。多重構造のマーケットや人々の生活を少しでも感じ取ることは、ビジネスでほんの少しでも中国に関わる皆さんにとっては、必ずプラスに働くはずです。なかなかお時間が裂けないお忙しい方であっても、30分でも1時間でもいいので、時間を作って、一層充実した北京出張にしていただきたいものです。以下、北京にご出張される方に、できればトライしていただきたいことを挙げてみます。人民元を持ち歩きましょう。出張期間中、クレジットカードで済ませようと思えば不可能ではないかもしれません。会社のクルマで移動して高級レストランやデパートで食事や買い物をするだけならば、現金を出し入れする必要はありません。でもタクシーに乗ったり、夜遊びをするには現金が必要です。駐在員に立て替えさせるのは止めて欲しいものです。また、せっかく北京にいらっしゃったのですから、できるだけ庶民的な場所で現金を使ってみるのも、当地の金銭感覚やマーケットを知る上で良いことです。人民元を持ち歩きましょう。成田でも北京のホテルでも両替できますが、北京首都空港でバゲージを待つ間に両替することも出来ます。それに、北京でのクレジットカード払いは、日本ほど安全とは言えません。「ニーハオ!」くらいの挨拶はしましょう。空港の入国審査、ホテルのチェックイン、レストラン、自社の現地オフィスなど、中国人と接するときには、「ニーハオ!」くらい中国語でトライしてみてください。あんまりしつこいのも何ですが、初めてあった方に「ニーハオ!」と挨拶するのはとても良いことだと思います。あなたの「ニーハオ!」が、日本人の、日本のイメージを変えることができるはずです。現地オフィスに立ち寄りましょう。北京に出先がある企業の方でも、取引先やホテルなどで打ち合わせを行い、現地のオフィスに立ち寄らずに帰られてしまう方が意外と多いようです。特に日本本社のトップや役員の方などは多忙なのかもしれませんが、ぜひ現地オフィスに立ち寄って様子をご覧になったほうがよろしいと思います。ほんの少しの時間であっても、自社のオフィスや工場に立ち寄れば、現地の苦労や問題点も少しは見えてくるかもしれませんし、現地のスタッフもきっと悪い気はしないはずです。現地スタッフとコミュニケーションしましょう。現地オフィスに立ち寄っても、日本人社員とばかり打ち合わせをして、現地スタッフとはコミュニケーションせずに帰られてしまう方が多いようです。自社の支店、現地法人、合弁会社で、現地スタッフの立場は異なると思いますが、いわば北京の同僚として後輩として現地スタッフと接することは、お互いにとってきっとプラスになるはずです。言葉の障壁があるかもしれませんが、ちょっと挨拶を交わしたり、或いは通訳に手伝ってもらったりして、積極的にコミュニケーションをとってみましょう。長い滞在の場合は、日本人とばかり行動せずに、一回くらいは現地スタッフと食事をする機会を持ってみてはいかがでしょうか。少しは街を歩きましょう。マーケット視察ということで、自社製品を販売しているお店に立ち寄る方は多いようですが、それだけでは北京のマーケットや人たちの暮らしにまで触れたことにはなりません。デパートやスーパーなら、できれば庶民的なところにも足を運ばれるのが良いと思います。太平洋百貨やイトーヨーカ堂、カルフールに加え、藍島百貨と京客隆あたりに立ち寄るのがよろしいかと思います。北京は道路も、建物と建物の間もだだっ広いので、移動は自動車に頼りがちになると思いますが、ほんの10分でも街を歩くことをお勧めします。交道口東(南)大街あたりであれば、庶民生活に近づくことができますし、鼓楼もみることができ、後海でのお食事にも便利です。西単大街や中関村大街もお勧めです。飲み物を道端の売店(小売部)で買ってみましょう。北京は乾燥しているので喉が渇きます。ペットボトルのミネラルウォーターや飲み物は持ち歩いたほうが良いと思います。ホテルのミニバーなどに用意されていると思いますし、売ってもいると思いますが、ぜひ道端の小さなお店で買ってみてください。ホテルとは値段も品揃えもまったく違い、ちょっとした驚きが体験できると思います。食事のパターンを工夫しましょう。5つ星ホテルの中などの高級レストランで夕食をとっても日本と比べると割安感があるはずです。でも本場の中国料理で無い場合が多いのです。中国料理と言っても、広東料理、四川料理、山東料理など地域ごとに特徴があり、北京ではあらゆる地域の中国料理が楽しめます。本格的な中国料理は専門店で召し上がるのが良いでしょう。超高級店から最も庶民的なお店まで、値段もサービスも雰囲気もピンキリです。ぜひいろいろなパターンにトライして、フツーの北京感覚を掴んでいただきたいものです。北京のオフィスや工場に社員向け食堂があるような場合には、昼食を一度そこで食べてみることをお勧めします。短い滞在だからといって、本格的な餃子と北京ダックと酢豚とチャーハンと杏仁豆腐を食べれるレストランに連れて行ってほしい、などとアテンド役の駐在員にリクエストするのだけは勘弁してください。何でもあるようなレストランは、一昔前の日本のデパートのレストランみたいなもので、本格的な料理は期待できませんから。
2006.07.24
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一般に情報公開は、社外に対してだけではなく、社内に対しても重要ですし効果的です。お互いの部署の業務内容や成功例・失敗例を公開し、組織的に情報を共有することは、日本企業の"得意技"とも言え、ビジネス展開上で、たくさんのメリットがあります。担当外のスタッフや別の部署の方から思わぬアドバイスや有益な情報が得られたりしますし、ライバル部署のサクセス・ストーリーを参考に奮起することにもなります。また、会社の方針だけではなく、業績や財務指標、人事制度などについても、できるだけ詳細、正確かつタイムリーに、できるだけ多くの社員に公開することこそ、経営の透明度を高め、社員のモチベーション・アップにも繋がりますし、内部統制の強化にも繋がると言われています。とは言え、中国でも社員に対し積極的に情報公開すべきか、と言いますと、必ずしもそうとは思えません。情報の公開や共有だけでは無く、"情報の囲い込み"にもメリットがあることを忘れてはなりません。中国の人たちの多くは、歴史的に"情報の囲い込み"に馴れているようです。自分だけが持つ情報を最大限活用するほうが得意なようです。逆に言えば、公開された或いは共有された情報の活用にあまり馴れていないように思えます。まず、情報を公開或いは共有するにあたって、その情報発信者(提供者)に気を遣う必要があります。成功を自慢するのが好きな方は多いのですが、成功のポイントを他者に明かすことを嫌がる方が多いはずです。まして人的コネなどは個人のものであって企業のものではない、と言う考えを持つ方が多いのも事実でしょう。各個人の持つ情報や経験(もちろん会社のカンバンを背負って得たものがほとんどでしょうが)が、他のスタッフの業績に活かされるような場合には、何らかのインセンティブを与えることも検討すべきでしょう。また、日本人の上司が「公開或いは共有された積極的に情報を活用しろ」と抽象的に命じただけで、積極的に活用するスタッフは少ないのではないでしょうか。個人主義的傾向の強い中国のホワイトカラーは、"他人の褌で相撲を取る"ようなことをあまり好まないからです。情報を公開させるにせよ、その情報を活用させるにせよ、双方のメリットを明確にして、マニュアル化するなりシステム化するなりして、筋道を示してあげないと、なかなかうまく行かないように思えます。業務に関する情報ではなく、財務指標や人事制度などの企業内部情報の公開については、更に真剣にメリットとデメリットを考慮する必要があると思います。先ほどの話と矛盾するようですが、公開する側、つまり経営層の意図に反して利用される場合があります。また社内情報の社外への機密が保持が難しいのです。例えば、毎月の売上を社員に公表するとします。前年比で10%落ち込んでいる場合、経営層は社員に奮起を促すはずです。でもこうした情報に、決して多くの社員では無いと思いますが、ネガティブな反応をすることがあります。「会社の業績が落ち込んでいる」と言う話がいつの間にかライバル会社に伝わったり、このままでは給与が減らされてしまうかもしれない、或いはこの会社の将来は暗いなどと、転職を考えたりする社員も出てきたりします。逆に、前年比20%増で絶好調のような場合、経営層は社員に気の引き締めと更なる躍進を願うはずです。でも一部の社員は、給与の値上げや臨時ボーナスの支給を期待し、そうしたアピールに出るかもしれません。会社側にそうした用意があれば良いのでしょうが、そうでない場合は、一部の社員にとってはネガティブな情報でしかなくなります。売上くらいの情報ならまだましですが、総利益や最終利益あたりまで公表するのは更に危険だと思います。以前取引先ごとの総利益(粗利)を社員に公表したことがありました。「A社の総利益率が高いので、B社やC社の総利益率もA社並みになるよう頑張りましょう。」と言うのが、日本的企業人の発想です。ところが中国では必ずしもそうではありません。結果としてA社の総利益率が徐々に下がっていきました。ライバル社にウチの総利益率が筒抜けになってしまったこともありますし、最終利益が目標より多かった年には、社員から利益の再配分を求める声が高々に挙がったりもしました....。内部留保について説明して納得してもらうのにも一苦労です。そんなワケでウチの会社は、以前全社員に公開していた毎月の財務指標などを、ごく少数の中国人幹部社員のみに"囲い込む"ことにしました。そうした情報を活かす活かさないは、中国人幹部社員の判断に任せることにしたのです。機密漏えいなんて論外だ、と思われる方もいらっしゃると思います。ウチでも労働契約書に、機密漏えいに関する条項を設け、退社後一定期間効力を有することになっています。パソコンやメールの管理もかなり厳密にしています。そして退職届が提出されると同時に、その社員が使っていたパソコンを凍結するのですが、100%完璧とは行きません。これは情報に対する考え方の違いからくるものだと思っています。中国に限らず、情報の発信者が意図したとおりに受信者が活用することは、なかなか難しいと思います。日本企業の多くは、情報を広く社内外に公開する会社ほど"開かれた良い会社"と考えがちですが、特に中国の場合、充分デメリットも考慮する必要があると考えています。
2006.07.11
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