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北京の人たちも、ドイツ・ワールドカップはビールを飲みながら観戦。でも、このビールの値段がなかなかのキワモノです。例えば海外ブランドのローカル生産ビールの大ジョッキ一杯、ローカルのレストランで飲むと5元(75円)くらいです。日本料理のレストランでも安いところだと10元(150円)くらい。お店によっては15元(225円)で飲み放題だったりします。でも、こないだ日本vsオーストラリア戦を観戦したスポーツ・バーでは大ジョッキ一杯が40元(600円)でした。これがとある五つ星ホテルのレストランとなると50元(750円)+15%のサービス料になります。つまり、ほぼ同じグレイドの大ジョッキ一杯の値段に、5元(75円)から50元(750円)と10倍の幅があるのです。ちなみに私が知る限り、北京で一番高い大ジョッキ一杯のお値段は80元(1,200円)です。ドイツ系五つ星ホテルの中のビアレストランの"自家製ビール"で、確かにおいしい感じがします。もちろん、大ジョッキ5元のレストランと50元のレストランでは、客層に多いな違いがあります。でも50元のレストランに出入りしている消費者であっても、普段は5元のお店を利用することもあるのです。ターゲットによって、TPOに応じて、10倍以上の料金すら受け入れてしまう、北京はこういう市場なのです....。もともと、北京の人たちは家でビールを飲むと言う習慣はありませんでした。きっとプロ野球中継と枝豆が無かったからかもしれません。ビールは主としてレストランやバーなどの飲食店で消費されてきました。でも、ここ10年そこそこで家でビールを飲む人たちも増えてきました。きっと自宅で家族や友人とビールを飲みながら観戦している人たちも多いことでしょう。私も日本vsクロアチア戦は友人と自宅で観戦していました。もちろん、ビールをたんまりと買い込んで....。自宅で消費されるビールは圧倒的に大瓶が主流です。北京では、地場ブランドである「燕京ビール」が8割以上のシェアを誇り、昨年から北京市場での販売を強化した「青島ビール」が1割強のシェアを占めています。この二つのブランドのほか、日本資本の「北京ビール」と「雪花ビール」が激戦を繰り広げており、価格競争も激化して、いまや大瓶1本のお値段は1.5元(22.5円)です(お店によって若干の違いはあります)。これに瓶の保証金が1元(15円)加算されますが、中味は1.5元。500ミリリットルのローカル・ブランドのミネラルウォーターよりもお安いのです。私もそうですが、大瓶ビールは近所の雑貨屋さんで買うのが一番です。何よりも日付が新しいのです。一日か二日前の製造年月日のビールが並んでいます。しかも、顔なじみになると届けてくれます。1ケース(24本)買っても、36元(540円)ですよ。北京に住み始めたばかりの日本人の多くは、スーパーマーケットなどで缶ビールを購入することが多いのではないでしょうか。こちらでは350ミリリットル缶が主流です。でも(中国生産ではありますが)御馴染みの日本ブランドが5元(75円)くらいで売っているのですから、「すごく安い!!」という感覚に陥るのではないでしょうか。これがローカルブランドになると3.5元(52.5円)くらいです。でも一般的にスーパーマーケットで売られている缶ビールは日付が古いようです。つまり、回転率が低いのです。コンビニが進化していない北京の人たちの多くが自宅で飲むビールは、近所の雑貨屋さんで買う大瓶です。缶ビールの2倍以上の容量で値段は半分以下、持ち帰りも便利、環境にも優しく、しかも新鮮。これが決め手でしょう。こんな市場で戦わなければならない日本のビール会社はほんとうに気の毒だと思います。そしてこの国でお仕事されている日本人の皆さんには、いろんなところでいろんなビールを飲んでみて、買ってみて、日本などとの市場構造の違いを実体験されることをお勧めします。
2006.06.20
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前回に引き続き、代金回収についてのお話です。中国では、支払期日が遅れることを覚悟するくらいの度量は必要な気がしておりますが、不良債権化してしまい、回収不可能になっては、元も子もありません....。当たり前のお話ですが、代金回収において最も有効な対策は、前金か現金で取引することです。最も有効ではありますが、簡単なことではありません。前金を払ってでも手に入れたい商品やサービスで無ければ、中国の取引先は易々と前金払いなどしてくれるはずはありません。コンシュマー向け商品ならば、ブランド力があって、消費者からも強い引き合いがなければ無理でしょうし、B to Bならば、オンリー・ワンくらいの技術力やサービス力が伴わないと、前金取引きは難しいはずです。中国の経営者の多くは、支払を引き伸ばすことが、有効な経営術だと思っていますから....。前金取引きに固執するあまり販路を広げられず、店頭に並ばない日本ブランドの商品がたくさんあります。ウリスク・ロウリターンの典型みたいなお話ですが、前金取引きには限界があり、後払いの信用取引をしている企業が大半のはずです。ですから、支払の遅延や売掛金の不良債権化への対策と心構えが必要だと思います。前回ご紹介した広告会社オグルビーのように債務者を訴えてしまうことが、ほぼ最終的な対策となります。オグルビーの場合は、恐らく相手先をメディアに曝してプレッシャーを与えるというパブリシティ効果も期待して、いきなり法院(裁判所)に提訴したようですが、一般的には仲裁委員会に調停を求めるケースが多いようです。契約書の中で「問題が生じた場合、所轄の仲裁委員会の調停によって解決する」と記載する場合が多いからです。もちろん双方が同意すれば、「法院(裁判所)で紛争を解決する」という契約にしても構わないのですが、中国企業(或いは弁護士)は、仲裁委員会での調停を望むことが多いようです。仲裁委員会に調停を求めると、双方で仲裁委員を選定します。仲裁委員は専門の裁判官ではなく、いわゆる"有識者"による仲裁委員名簿の中から選ばれます。アメリカの陪審員やいずれ日本で導入される裁判員の制度に近いのかもしれません(ちなみに北京仲裁委員会の仲裁委員名簿には日本人などの外国人も登録されているとのことです)。紛争(債権金額)の大きさにより、3人だったり5人だったりします。仲裁委員は双方の言い分を聞き、契約書や取引きのエビデンス(証明資料)などの資料をもとに裁定を下します。代金未払い事案の場合、契約書が整っていて取引きのエビデンスがきちんと提示できれば、ほとんどの場合、"勝訴"、つまり「早くお金を払ってやりなさい」という裁定が下るはずです(債権の全額認められるとは限りませんが)。双方がその裁定に同意すれば、支払期限や金額などを明示した双方合意の調停書が仲裁委員会によって作成されます。これで、一件落着.....。というわけにはなかなか行きません。仲裁委員会には強制執行権が無いからです。どちらかと言うと"好意的な債務者"であれば、じたばたせずに調停書どおり支払うかもしれません。でも"悪質な債務者"の場合、調停書どおりにやすやすと支払うことはないでしょう。ですから、仲裁委員会で債権者側の主張が認められたからと言って、債権が回収できると安心してはいけないのです。債務者に仲裁委員会の調停どおり支払う意志が無いようでしたら、法院(裁判所)に訴えるしかありません。法院(裁判所)の判断に逆らえば、刑事罰が待っています。ところが、法院(裁判所)に提訴したから一安心、というわけにも行きません。"悪質な債務者"の場合、このあたりの段階で"支払い能力"が無くなってしまっているケースが多いのです。無くなるのではなく、故意に無くしているのですが。つまり仲裁委員会に招聘されたあたりから着々と準備を進めて、提訴された企業を解散・破産させたり、別の会社に資産や事業を譲渡したり、法人代表の個人資産を親戚や知人に移転したりします。債権者側が裁判で勝訴したとしても、債務者側に"支払い能力"が無ければ、強制執行も刑事罰も逃れてしまい、債権は回収不能に陥ってしまいます。仲裁委員会で有利な調停を得ても、裁判で勝訴しても、取りっぱぐれる時は取りっぱぐれてしまうワケです。なお、いきなり法院(裁判所)に提訴したとしても、"悪質な債権者”の場合、同じような状況に陥ってしまいます。そこで知人の中国人弁護士さんからお聞きした、ちょっとだけ有効な対策をお教えします。仲裁委員会に調停を申し込むと同時に、債務者の資産(金融口座)を差し押さえる(凍結する)という方法です。口座差し押さえには法院(裁判所)権限による強制執行が必要になりますが、仲裁委員会への調停申請内容の合理性が高い場合、債権と同じくらいの金額の供託金(保証金)を用意することによって可能になるようです。供託金は債権の査定に差が出た場合、その分の利息に充てられますが、調停で100%債権が認められれば、全額返金されるとのこと。仲裁委員会は債権者側が調停を申請すると、一週間ほどで債務者側に通知し招聘をかけますから、その一週間のうちに債務者側の金融口座を差し押さえることに成功すれば良いのです。債務者の金融口座に債務以上の残高があれば、債務の金額分の引き出しができなくなります。ここまでしてしまえば、債務者は仲裁委員会の調停金額を支払わざるを得なくなるはずです。ただ、仲裁委員会の調停が下る前に、法院(裁判所)に資産差し押さえをしてもらうわけですから、債務者側の金融口座の情報など債権者側の準備も大変ですし、それなりのコネクションやパワーが必要なようです。端的に言ってしまえば、契約書や取引きのエビデンスを完璧に整えておくのは基本の基本で、あとは仲裁委員会や法院(裁判所)と強いコネクションを持つ弁護士さんを確保することが肝要、ということでしょうか....。
2006.06.14
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