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ライブビューイング「トスカ」も大好評の、NYのメトロポリタンオペラ(MET)。オペラファンの間でも、行きたいオペラハウスのトップによく名前があがってくる歌劇場です。ライブビューイングを見て「行きたい!」と思う方も、たくさんいらっしゃるようです。私が企画同行し、郵船トラベルさんが主催しているオペラツアーのお客様からも、METへ行きたいというご要望をよくいただきます。 そのMETでのオペラ公演と、ボストン交響楽団のコンサートを目的にしたツアーを、4月に企画しています。催行はすでに決定し、残席わずかとなりました。いずれも、話題の公演です。 METでの鑑賞演目は、ツアーに組み込まれているものが2演目。ライブビューイングもされる「ルイザ・ミラー」と、「ランメルモールのルチア」です。「ルイザ・ミラー」は、ヴェルディの中期の入り口を飾る名作で、身分違いの恋をめぐる悲劇を、美しい旋律が飾ります。ドミンゴ、ベチャワ、ヨンチェヴァなど、今シーズンのメトでも超豪華なキャストが話題。ドミンゴはかつてこのオペラでテノール役を歌い、レジェンドとなりましたが、今度はバリトン役で登場します。 「ルチア」は、「トスカ」でも大絶賛のグリゴーロと、話題のベルカントソプラノ、ペレチャッコの共演。演出はデセイやネトレプコも出演した、ジマーマンのダイナミックな舞台です。 それ以外にも、話題の新制作「コジ・ファン・トウッテ」、絢爛豪華なMET の人気プロダクション「トゥーランドット」も別手配で鑑賞できます。 そしてボストンでは、ボストン交響楽団の今シーズン一の人気コンサート、ネルソンズの振るワーグナー・コンサートです。メインは「トリスタン」第2幕、なんとトリスタン役はカウフマン!全曲はこれからで、その前哨戦として大注目のコンサートです。共演も藤村実穂子さんなど超豪華。はるばる出かける価値のあるコンサートです。 ご興味を持っていただけるようでしたら、以下から詳細をご確認ください。 メトロポリタン&ボストンツアー
February 21, 2018
METライブビューイング、4演目目の「トスカ」を見てきました。新制作で、今シーズンの話題のプロダクションのひとつです。(マクヴィカー演出)。1800年のローマを舞台にしたプッチーニのスリリングな歴史サスペンス、愛と死のドラマ。息もつかせぬストーリー展開と劇的で美しい音楽。きわめて演劇的にできているので、初心者でも決して飽きることのない、指折りの人気オペラです。 METの「トスカ」といえば、ゼフィレッリのプロダクションが長年人気を誇っていました。超正統派、といいますか、台本、歴史に忠実なプロダクション。「これぞ、オペラ!」「こんなのが見たかった!」という豪華なものですね。同じゼフィレッリによる「ボエーム」「トゥーランドット」同様、お客さんがたくさん入るドル箱プロダクションだったはずです。 その後、21世紀に入り、ややモダンでシュールなリュック・ボンディのプロダクションが登場。ライブビューイングでも何度か放映されましたが、どうもいまひとつ人気が出ず。これは現地でも見ましたが、あまりピンと来ませんでした。設定はともかく、作品にみなぎる緊張感をうまく演出できないプロダクションのように感じたのです。 MET総裁でやり手のピーター・ゲルブ氏、「トスカ」をなんとかしなければ、ときっと思ったのでしょう。なんといっても人気演目。いまいち盛り上がらないのは辛い。かつてのゼフィレッリのプロダクションのように、大入り満員を誇るプロダクションを作りたいと思ったのではないでしょうか。それには、やはり正統派の豪華なもの。 というわけで、ここのところ、METの歴史ものでヒットを連発しているデヴィット・マクヴィカーに白羽の矢が立ったのでは。そう、想像しています。マウヴィカー、最近でいえば「ロベルト・デヴェリュー」など、ドニゼッティの女王三部作も豪華で好評でしたから。 果たしてマクヴィカーも、とにかく歴史に忠実で豪華なものを、と言われたらしい。 マクヴィカー本人はインタビューに登場しませんでしたが、代わりに美術、衣装デザインのマクファーレンがインタビューに出てきて、実際にローマに取材にいってきて、現地を詳細に見てきたことを説明していました。気合い入っていますね、MET。終映後に関係者から聞いた話によると、衣装にとてもお金をかけているとか。「テ・デウム」に登場する合唱団の衣装も1着1着手が込んでいるそうです。その割にはスクリーンに映らなくて残念、とのことでした。たしかに。 そう、今回のプロダクション、ひとことでいえばきわめて「映画的」なものでした。もちろん、ライブビューイングで世界に配給されることを意識してのことでしょう。美しく、緊張感にあふれ、演劇的。プッチーニが見たら喜んだにちがいありません。彼は、映画の元祖、のような存在(だと思っています)ですから。プッチーニが50年遅く生まれたら、きっとハリウッドで大ヒットを連発し、自家用ジェットを乗り回す人気映画作曲家になっていただろうと思うのです。 装置は、繰り返しですが1800年のローマ、台本にある場所を忠実に再現。なんといってもオペラファンの大半は、歴史劇ならそれを時代通りに見たい。また「トスカ」の舞台はどれもローマの名所ばかりなので、ローマ巡りができることを楽しみにしているファンもいるでしょう。演出に惑わされることなく、作品の世界に没頭できます。 その上で、やはりアップになることなどを意識して、演技はとても細かい。恋人たちは終始熱烈にキスを交わし、敵役のスカルピアはいやらしい視線で、そして第2幕では実際に手や腕でトスカを舐めまわします。実にわかりやすい。ほんとに、映画を見ているようです。 カメラワークもしかり。舞台全体が映ることはめったになく、人物の動きや表情、そして手の込んだ装置をいろんな角度から映し出します。だからよけい緊張が途切れず、作品にのめりこめるのです。 映像で見ている分には、最高です。ただ、ひとつ気になったのは、ここまでスクリーンで細かく見せられてしまうと、実際の舞台を見たときに物足りなくならないかなあ、ということです。ゲルブ総裁としては、METの舞台で実際に見て欲しいのではないかと思うのですが、舞台で見たら細かいところが確認できなくて欲求不満になるかもしれない。最初から、ライブビューイング用に作られているとしたら、完璧だと思うのですが。 歌手たちは大健闘。ご存知の方もあると思いますが、今回は主役3人が事前に予告されたキャストからすべて入れ替わり、指揮も当所予定のレヴァインがスキャンダルで降板、だったのですが、見た方はそんなこと、どうでもよくなってしまったでしょう。とくに主役2人、トスカ役のヨンチェヴァとカヴァラドッシ役のグリゴーロは、これが初役!というのは全く驚異以外のなにものでもありません。2人とも、長年夢見てきた役だったらしく、役と作品への熱い思いを語っていました。とりわけグリゴーロの、13歳でパヴァロッティがカヴァラドッシを歌った「トスカ」で羊飼いの少年で出演、以来この役に憧れ、27年目で実現したというエピソードは印象的でした。イタリア男のグリゴーロ、ローマにも長年住んでいたようで、ほんとに憧れの、共感できる役だったよう。まあ、今、イタリア生まれのスターテノールで華があるタイプの筆頭ですね。 グリゴーロもヨンチェヴァも、それぞれの役が「若く情熱的」ということで、演出のマクヴィガーと意見が一致したとのこと、のびのびと演じ、歌っていました。ヨンチェヴァのまっすぐでスピントな声が最初から最後まで保たれたのは驚異的。グリゴーロもいつにない緊張感。2人とも、「決め台詞(劇的な言葉=パローラ・シェニカ)が絶品だった。トスカの「いくら?」とか「死ね」とか。カヴァラドッシの「勝利だ!」とか。効きまくっていました。もちろん有名なアリアも熱唱でしたが。 スカルピア役のルチッチ、悪役の表情が自然で憎々しく、演技巧者。インタビューで「役になりきるだけ」と言っていましたが、これはほかの2人も同じ意見。「トスカ」のように演劇的で、音楽がすべてを描いてくれていて、見る方も見ればわかる、という作品は、やる方も入りやすくてやりやすいのかもしれません。そのやりやすさにとらわれて「声」さえ壊さなければ。 「トスカ」、19世紀の最後の年に作られたオペラですが、20世紀の映画の時代の幕を開けたオペラでもある、と、今回のプロダクションで改めて認識しました。 あっ、それから、今回の案内役のメゾソプラノ、イザベル・レナードはとびきりの美女。スタイルもファッションセンスも抜群です。グリゴーロと「ウェルテル」で共演したとか、見たかったなあ。 「トスカ」は今週金曜日まで、東劇ではもう1週間やっています。詳細は以下で。 「トスカ」
February 20, 2018
私が所属している「日本ヴェルディ協会」は、講演やレクチャーコンサート、会報、懇親会などを通じて、ヴェルディ・オペラの魅力を伝えたり、共有する活動を行っていますが、今年度より、新しい講演会シリーズ、「ヴェルディ・オペラの名作シリーズ」を開始することになりました。 これは、主に協会会員で、評論や研究で活躍するプロの方をお招きし、ヴェルディの代表的な名作について、それぞれの切り口で語っていただくシリーズです。 第1回は、音楽評論家、ジャーナリストとして活躍している河野典子さん(ヴェルディ協会理事)をお招きし、名作中の名作「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」について語っていただきます。普遍的なテーマを持つこのオペラ、解釈も多様で、しかもどんどん変化しています。今回はそのあたりが焦点になるようで、たいへん興味深い内容になるかと思います。 河野さんは、声楽のプロでもあり、最新刊「イタリア・オペラ・ガイド」(星雲社)は、おもに19世紀のイタリア・オペラの名作を、あらすじはもちろん、各役柄を「どのように歌うか」「どんな声が必要か」という観点から紹介している、河野さんならではの切り口の1冊です。河野さんは歌手へのインタビューもたくさんなさっていて、その経験も反映されています。イタリア・オペラに興味のある方ならぜひご一読をお勧めいたします。講演の詳細は以下です。会員は無料、一般の方も有料で聴講できます。申し込み、問い合わせのメールアドレスもありますのでご参照ください。【名作シリーズ】講演会第1回 「《ラ・トラヴィアータ》はなぜ世界中で愛されるのか」についてのお知らせ デュマ・フィスが、自身の小説『椿をもつ女La dame aux camélias 』を戯曲化した芝居は、サラ・ベルナールの主演で彼女の代表作の一つとなりました。 その戯曲をベースにピアーヴェがリブレットを書き、ヴェルディが作曲したのがオペラ《ラ・トラヴィアータ》です。今回の講演会では作品の歴史的な変遷ではなく、ここ30年ほどの間にどんどん変化している解釈と演奏法について、実例を用いながら以下のような内容でお話ししていきます。・「歌う」ヴィオレッタと「演じる」ヴィオレッタ —ヴェルディが望んだヒロイン像は果たしてどちら?・ヴィオレッタ第1幕のアリアの最高音は、単なる「おまけ」 —この役の本当の恐ろしさはそこではない・ジェルモンは、バリトンにしては音域が高くて歌うのが大変 —ヴェルディ・バリトンの宿命・いかようにもできるヴィオレッタと父ジェルモンの性格表現 —演出家たちの解釈いろいろ・クリティカル・エディションはなぜ定着しないのか —ヴェルディは本当にそれを望んでいるのだろうか etc.河野典子講演会「《ラ・トラヴィアータ》はなぜ世界中で愛されるのか」【日時】2018年2月17日(土)14:30~16:00 (14:15受付開始) 【場所】文京シビックセンター26F スカイホール アクセス 文京区春日1-16-21 【主催】イタリア文化会館、日本ヴェルディ協会【講師】河野典子(音楽評論家、日本ヴェルディ協会理事) ※講演会の後に参加者の交流を目的とした茶話会も予定しています(自由参加)【参加費】日本ヴェルディ協会会員は無料 非会員は当協会事務局にお問い合わせください【主催・申込先】日本ヴェルディ協会 [メール]メール koen1802@verdi.or.jp ※(本講演会専用)
February 1, 2018
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