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俺だけの旅 0
俺たちの旅 0
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訥々ながらも生きる。君は海を見たか 最終回発症以来明日で3ヶ月になる。一郎は治る可能性があると考えていたが、木口先生はバッサリ否定。「そろそろ気持ちの準備をなさって下さい」。多少の咳や血尿が見られたらすぐ連絡するよう言われる。「一度出たら今度は進行が早いと思います」。入院後は痛み止めの麻薬を撃ち続けることになる。一郎はそうやって患者を生かし続けることが本当のヒューマニズムなのか、身体の痛みではなく絶望的な苦痛を根本的なところから取り除くことこそ本当のヒューマニズムではないかと訴える。「すいません・・・私取り乱してます」。佳子との関係を心配している立石にも新居の完成を急ぐよう詰め寄る。「3ヶ月だ・・・宣告されて明日で3ヶ月目になるんだ・・・正一に万が一見せられなかったら・・・万一間に合わなかったら」。この3ヶ月何も起こらなかった。そして4ヶ月目に入る。しかし貯金の残高は数百円しか残っていない。立石に紹介された医師から3ヶ月持てば半年持つ、半年持てば1年持つと言われている。その後も正一は全く変わりなし。極めて元気。定期健診の結果、肺の影の進行もストップしている。正一が学校へ行きたいと言い出したことから木口先生も許可、3ヶ月ぶりに登校する。ある日の早朝、立石が新居の完成を知らせに訪れる。一郎は正一を叩き起こすと新居へ直行。子ども部屋はヨットのキャビンそのままに作られていた。正一は感激のあまり一郎に胸に飛び込んで泣きじゃくる。一方、立石は職人たちと涙を流しながら淹れ立てのお茶を飲んでいた。その後、一郎、弓子、立石、正一の四人は新築祝いのパーティーを企画する。会場はもちろん新居。洋子や佳子も呼ぼう。「ねパーティってダンスもするの?だって僕ダンスしたことないもん」。正一は立石に手を引っ張られてダンスを踊り出すが、おしっこがしたくなりトイレに駆け込む。「行って参ります!」。その間、三人は正一が本当に治る可能性が出て来たのではないかと話す。一郎は先日秩父のある寺を訪れたことを打ち明ける。患者の家族から教えてもらい、その寺で祈願すると命にかかわる病気でも救えるとのことだった。「立石、もし正一が治ったら・・・俺は神様の存在を信じる。もしも・・・このままあいつが」。その時トイレから正一の声が聞こえる。「パパー来てごらんよ早く!弓子おばちゃんも!」「どうしたんだ?」「すっごくきれいなんだ!トイレの中でさ!僕のおしっこ真っ赤なんだよー!」。凍りつく一郎、弓子、立石。そして十月。「十月十日、正一の野辺の送りを済ます」。邦ちゃんが焼香に訪れ、一郎を飲みに誘う。一郎は大石先生から正一に海を見せたことがあるかと言われた時のこと、正一と一緒に沖縄へ行って初めて夕日を見てショックを受けたことを話す。「僕がショックを受けたのはそのきれいさではなかったんです。年中沖縄の海を見ながら、たぶん日没も年中見ながら、それをきれいだなんて思いもしなかったんです。その海をきれいだとかそういう気持ちで・・・一度も見ていなかったこと」。一郎は大石先生から言われたことを噛み締めていた。「自分は子どもに海を見せていなかった・・・それは極めて当然の話だ・・・僕自身が海を見てなかったんですから」。帰宅すると大石先生から手紙が届いていた。大石先生は一郎に対して生意気なことを言ったと後悔していた。しかしこの3ヶ月のあいだに起こった正一の変化を報告することが自分の義務とも思っていた。封筒には正一が描いた沖縄の展望塔と青い海の絵、大石に宛てた手紙が同封されていた。「先生!僕は今沖縄に来ています!パパと二人だけの初めての旅行で沖縄のオクマというビーチにいます。沖縄の海は真っ青でお日様がきらきら光っています。昨日僕たちは遅くまで二人でいろんな話を寝るまでしました。パパは僕が二十歳になったらバーに連れて行くと約束してくれました。その頃僕には恋人がいるそうです。パパは大人と話すみたく僕にいろんなことを話しました。お前はもう一人前なんだよとパパは僕に言ってくれたので、僕はうれしくて泣きそうになりました。僕は大きくなってサッカーの選手になることをパパと指切りで約束しました。先生、海の絵を描いたから送ります。海の真ん中で光っているのがパパの作った水中展望塔です。二十九日に東京に帰ります。では先生くれぐれもお体を大事に。さようなら。八月二十八日 増子正一」。沖縄の海に正一の書いた字で詩が綴られる。生きているということいま生きているということそれはのどがかわくということ木もれ日がまぶしいということふっと或るメロディを思い出すということくしゃみをすることあなたと手をつなぐこと生きているということいま生きているということそれはミニスカートそれはプラネタリウムそれはヨハン=シュトラウスそれはピカソそれはアルプスすべての美しいものに出会うということそしてかくされた悪を注意深くこばむこと生きているということいま生きているということ泣けるということ笑えるということ怒れるということ自由ということ生きているということいま生きているということいま遠くで犬が吠えるということいま地球が廻っているということいまどこがて産声があがるということいまどこかで兵士が傷つくということいまぶらんこがゆれているということいまいまが過ぎていくこと生きているということいま生きているということ鳥ははばたくということ海はとどろくということかたつむりははうということ人は愛するということあなたの手のぬくもりいのちということ
2021年12月20日
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もう寝るか。君は海を見たか 第十回水中展望塔完成。阪神優勝みたいに会社は超盛り上がり。ほぼ閑職状態の一郎は笑顔を見せながらも醒めていた。今日付で退職する女子社員・芹明日香もその一人。プロジェクトの中心だった一郎を差し置いてのばか騒ぎに不満を持っていた。芹明日香はもうじき社内結婚。浮気されたが、自分の打ち込んだ水中展望塔が海の逆光に照らされた姿を一緒に見たい、そう思って一年間頑張ってきたと言われ何も言えなくなったと話す。「主任さんもそんな方います?待たせてる人に…」。一郎は佳子と一緒に水中展望塔を観ている光景を夢想する。その夜も祝賀会。しかし松下課長や坂上部長から仕事を外された時のことが脳裏をよぎる。そして佳子のことも思い出し、電話で水中展望塔の完成を知らせる。祝杯に誘われるが言葉が出ない。帰宅後も悶々と考え続けた結果、佳子に手紙を書く。「結論から先に申します。貴女との縁談とりあえず白紙に戻していただきたいのです」。佳子のことが決して嫌いではない。佳子の存在が崩れそうになる自分のバランスを支えてくれた。しかし「正一の不幸の前でそんな幸せを例え一瞬でも夢見ている自分を何としても許すことができなかった」。近々正一と沖縄旅行へ行く。おそらく最後の旅行になるだろう。医者から告げられた3ヶ月の期日まで残り二週間。「これ以上書いても弁解にしかならないと思います。貴女の幸せをお祈りします」。一郎と正一は沖縄を訪れる。エメラルドグリーンの海に正一興奮。そして水中展望塔に到着。一郎は現地の喜納昌吉風作業員たちからもみくちゃに大歓迎、正一も大興奮。その夜、正一は大石先生や弓子に手紙を書きながら佳子を呼ばなかった理由を聞く。そして美しい海底を母親にも見せたかったと話す。「ママもしかしたらああいうとこにいるかもしれないね」。さらに「僕が死んだらね・・・やっぱりああいうとこ行くのかなあー。ああいうとこ行けるといいんだけどなー。きれいだしとっても静かだし。人が死んだらお墓に入るんでしょ?でもお墓なんかに埋めちゃうよりああいった海の底に埋めちゃうほうがいいよね」。正一は一郎が自分の将来を考えていると聞いて自分がどんなふうになるのか話してほしいとねだる。中学に入ったらサッカー部に入る。高校に入ってもサッカーを続ける。勉強なんてできなくていい。「お前は大きくなり背もパパと同じぐらいになる。それからお前は大学を受ける。勉強なんか全然する必要はない。名門校なんかは関係ない。浪人なんてのは全然する必要はない。お前はその時の出来に応じた最低の大学に入ってくれればいい。大学に入ってお前はのびのびとやる。やがて二十歳になる。二十歳になったらパパと一緒にバーに行く。バーへ行って一緒に酒を飲む。パパとお前は二人だけで話す。その時お前は恋をしている。お前ははにかみながらその少女のことをパパにおずおずと切り出してくる。その娘がきれいだとお前は言う。気立ての良い娘だとお前は言う。逢ってほしいとお前は言う。その時パパは・・・その時・・・パパは・・・」。沖縄の海を満喫する二人。海底に潜る一郎を見つめる正一。その後も大歓迎が続く。喜納昌吉風のおっさんたちと踊りまくる正一。そこに佳子から電話が掛かってくる。佳子も沖縄に来ていた。佳子は子どものころ正月よりも大晦日が好きだったと話す。「お正月っていったん来ちゃうとアッという間に過ぎちゃうでしょ?だから本当に来ちゃった時よりもうじき来るっていうその時のほうが好き。大晦日、年の瀬、クリスマスイブ。何だかずっとそうやっていつも来るはずの楽しみを待っているのが私・・・」。一郎は佳子の話を聞いていない。別のことを考えていた。松下課長から何度も沖縄へ行っているのに夕陽を見たことがないのかと怒られたことを話す。「本当に・・・初めてなんです。何度も来ているのに・・・考えてみると夕日なんて年中見ているのにこうやって夕日を見るのは・・・夕日がこんなに美しいなんてこと」。水平線に沈む夕日を見続ける二人。その後、定期検査を受ける。肺の影は進展していなかった。一郎は正一にサッカーボールを買う。正一大興奮でヘディング、ボールを追って道路に飛び出す。タクシー運転手のガッツ石松(元東京都知事候補)激怒。タクシーに轢かれてぺちゃんこになったボールを見た正一は車体を叩きまくって猛抗議。さらにガッツに殴りかかる、石ころで車体を叩くなどエスカレート。ガッツは正一を羽交い絞めにするが、止めに入った一郎の異様な目つきにビビって退散。その瞬間一郎はガッツに殴りかかるがぼこぼこにされ半殺し状態。殴られても殴られてもガッツに抵抗する一郎。そのガチぶりに団地中大騒ぎ。正一は一郎の姿をずっと見ていた。その夜、そのことを弓子に話す。「僕すごく嬉しかったんだ。感激しちゃった・・・ホントだよ」。ケンカはばかのすることだと叱られるが「違うもん!パパ・・・ばかじゃないもん。パパは・・・僕のためにケンカしてくれたんだ・・・あんな強そうな奴と・・・パパは僕のために・・・」。あと五日で3ヶ月を迎える。つ・づ・く次回感動の最終回。
2021年12月19日
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もう寝るか。君は海を見たか 第九回弓子は門馬に一郎が指圧治療に傾倒していることを相談する。門馬は東亜大学病院にも相談したほうが良いと助言する。佳子は加瀬に会い、先日一郎とどんな話をしたのか聞き出そうとする。一郎は子どもの治療で必死だ、佳子が思っているほど余裕はない。加瀬は佳子のほうがおかしい、正一を心配しているようでいて一郎のことしか考えていないと指摘する。「相手をいったん好きになったらお前の目には相手のことしかなくなる。その人の大切な趣味だったもの、そんなものとことん無視してかかる。相手がそのことで傷つこうがお前一切気にしないよ。そういうところがお前にある」。佳子は否定しなかった。それでもなお一郎のことを聞き出そうとするが「お前が酷く最低に見えるよ。あの人はあの日、狛江の伯母んところからその足で奥多摩まで出かけて行ったぜ。背中なんか汗ぐっしょりにしてな。そういう男に何が言えるかね?お前と俺のつまらない過去なんか」。一郎は正一を連れて毎日奥多摩の診療所に通っていた。そして三回目のレントゲン検査の結果が主治医の為永から伝えられる。肺の転移巣が発達し始めている。咳が出るようになれば至急入院の手続きを取ることになる。さらに正一に気づかせないよう疑いをもたれる行動は慎むよう注意を受ける。ウィルムス腫瘍に指圧や針が効くとは考えにくい。一郎も今まで通り出勤すること、正一が疑問を持つことが一番恐ろしい。その頃正一は一郎と弓子が言い争っている時、耳にした「ウィルムスショウ」という言葉に引っかかっていた。辞書で調べても載っていない。ふと洋子のことを思い出し、遥々自転車を漕いで立石の自宅を訪れるが留守。洋子が忘れられない。そんなこんなで偶然スーパーで見つけて再会する。正一は洋子に「ウィルムスショウ」について尋ねる。「難しいこと調べるのね」「学校の友達に聞かれたから」。その夜、洋子は医学部の友人に電話で問い合わせる。「ウィルムスショウって病気知ってる?あーなんだウィルムス腫瘍!腫瘍ってがんみたいな腫瘍のこと?えー怖いのねー」。立石は洋子の会話を聞いて驚く。洋子は正一から頼まれたことをあっけらかんと話す。立石は慌てて増子家へ電話、弓子は正一がいたため電話ボックスからかけ直す。戻ってくると佳子が訪ねていた。正一を強引に買い物に出すと佳子に正一が自分の病気に気づいていることを打ち明ける。その頃一郎は沖縄から潜水夫のおやっさん(大友柳太郎)が突然上京、羽田へ迎えに行ったままだった。一郎はおやっさんを歓迎するが何故上京してきたのか分からない。しかも明日の朝には沖縄へ戻るという。おやっさんは万病に効く糸満の水が入った一升瓶を差し出す。坂上部長から正一の病気のことを聞き、水を届けるだけのために上京したのだ。一郎は一升瓶を大事に抱えてタクシーで帰宅する。しかし出迎えた弓子から正一のことを聞かされた瞬間一升瓶を手放してしまう。翌朝、正一は布団から出ようとしない。「僕の病気治ってないんでしょ?」「誰がそんなこと言った?」「僕知ってるもん。僕ウィルムス腫瘍なんでしょ?だから指圧に行ったんでしょ?病気はまだ治ってないんだ。僕の病気は進む病気?」「お前はいつもそんな目でパパたちを見ていたのか?・・・正一、パパ悲しいぞ。お前からいつもそんな目で見られてるなんて・・・パパは!」。感情が高ぶった一郎は泣きじゃくる正一を抱きかかえて飛び出すとタクシーで東亜大学病院へ向かう。そのまま医局へ飛び込み為永に向かって絶叫する。「この子が私を嘘つきだって言うんです!自分の病気がまだ治っていないと!この子は私を信用しません!先生言って下さい!私が嘘つきかどうか・・・この子に言ってやって下さい!」。為永は優しく正一を諭す。「君は治ったから退院したんだろ?治らない患者さんだったらね先生が退院させる訳がないじゃないか。どうしてパパが嘘つきなんだ?」。その後二人は遊園地へ。正一はコーヒーカップを見て「パパ・・僕あれに乗りたいな」と言う。ニコニコでコーヒーカップに乗る一郎と正一。つ・づ・く
2021年12月17日
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メシ食ってもう寝るか。君は海を見たか 第八回ばかみたいな洋子と矢的猛を乗せたヨットが出発。正一の表情は硬い。正一は谷川俊太郎の『生きる』を口にする。一郎と正一は油壷を後にし、病院で二度目のレントゲン検査を受ける。その帰りに新居の建築現場を訪れる。完成が近づく子ども部屋に正一は興奮する。その後、立石からレクチャーを受け新居の模型を作ることになる。材料を買うため銀座を訪れていると、見知らぬ男と一緒にいる佳子を見かける。二人とも気づかなかったふりをするが、佳子は二人の視線を感じていた。その夜、早速模型作り開始。正一は最近一郎が怖くなくなったと話す。そして一緒に母親の墓参りと沖縄に行きたいと希望する。一郎が仕事で撮ってきた沖縄の海底の写真は水深15メートル。「幾つになったら僕でも潜れる?」「そうだなあ17か8、練習すれば15でも潜れる」「あと6年だ!あと6年経ったら僕にボンベ教えてくれる?」「ああ」「ホント?そしたらパパと一緒に潜れるね」。キャッキャ喜ぶ正一とは対照的に一郎の表情は暗い。一郎は門馬を通じてウィルムス腫瘍の権威である西邦大学の矢部教授と、大阪千里病院の成田博士を知る。ただし東亜大学病院の患者を西邦大学病院が受け入れる可能性は低い。むしろ大阪千里病院のほうが見込みがあるかもしれない。とりあえずダメ元で西邦大学病院を訪ねる。数時間待たされ、ようやく矢部教授と会うことができたが、これまでのカルテなど全ての資料を東亜大学病院から借りることができるか問われる。一郎がやろうとしていることは東亜大学病院の治療を否定することと同じだ。矢部教授が診ても治療結果が変わることは十中八九無い。「ということは十中一二は・・・あるかもしれないということですね?」「それは分かりませんね」「分からないということは・・・あるかもしれない。そういう可能性も・・・息子を救える可能性も何%残っているということでしょうか?」「まああったとしても0.何%いやそれ以下だと」「0.何%そうであっても・・・それがあるなら私・・・賭けます!0.何%、0.0何%であってもゼロでない限り私は・・・賭けます。先生が本気で仰ってくれるならどんなに向こうが嫌な顔をしようが私は平気です!」。しかし互いの診断を尊重する病院同士の紳士協定みたいなものがある。それでも食い下がる一郎に矢部教授は折れる。その話を聞いた弓子と門馬は猛反対する。翌朝一郎は新幹線で大阪へ向かう。大阪千里病院に到着、成田博士との面会を申し出るが一昨日亡くなっていた。一週間ぶりに出勤すると自分の机が無断で窓側に移されていた。そこへ佳子から電話が入り喫茶店で会うことになる。佳子は指圧と針治療でがんを治した知り合いがいると話す。知り合いとは加瀬の伯母だった。そこで加瀬と会うことになるが既に銀座であっているという。銀座で見かけた男が加瀬だったが「知りません。いやホントに」とはぐらかす。佳子は自分に向こうとしない一郎に不満を口にする。その後、加瀬から詳細を聞き、奥多摩にある診療所を訪ねる。一郎は正一に奥多摩へ行こうと誘う。指圧の先生に手術の跡を診てもらい、帰りに釣りをしようと。正一は釣りができると大喜び、友達を誘いに出かける。弓子は再び反対する。「本気でウィルムス腫瘍をたかが指圧で治せると思ってるの?」「たかが指圧かどうかやらないで分かるか!治せるか治せないか・・・やらないで分かるか。指圧がダメだとお前に言い切れるか!それもするなと言うのか。正一はだめだと言われっぱなしで・・・黙って見てろって言うのか!」「兄さん」「がんを指圧で治したと聞いた!そういう事実があったんだ。ウィルムス腫瘍だって・・・治せるかもしれない」。二人が怒鳴り合う姿を正一はドアの隙間から見ていた。つ・づ・く
2021年12月16日
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もうあれですよあれ。君は海を見たか 第七回弓子は門馬に先日、一郎が初めて正一を𠮟ったことを話す。以来、正一は少し変わった。正一は一郎に叱られたくて今まで嘘をついていたのでは?一郎は叱るほど正一を構ってこなかったからだ。正一は油壷にある立石の別荘にいた。立石の妹・洋子(水沢アキ)にすっかり懐いてじゃれまくり。洋子も正一をいじりまくり。ちょいエロムード。洋子の命令でソフトクリームを買いに行っている間、洋子はチャラい男二人組にナンパされていた。正一の嫉妬心に炎が灯る。フリーダムな洋子は正一を砂浜に首まで埋めるとナンパ男たちとウィンドサーフィンを楽しむ。その後、二人は喫茶店へ。正一の機嫌は悪い。洋子は店の灰皿を盗もうと提案する。ホテルや喫茶店で気に入った小物を見つけてはゲーム感覚でちょろまかすのが洋子のゲスい趣味。勝新のように股間に隠して持ち出し成功。大喜びの正一と洋子。やたらご機嫌の正一に一郎もにっこり。その夜、一郎は立石から洋子が近々結婚すると聞かされる。そこに洋子が乱入。10月に結婚するので絶対に出席してほしいと迫る。「行けるかなあ」「どうしてー?」「いやちょっと・・・」。洋子は正一の病気を知らない。その頃、正一は布団に包まって悶々としていた。そして一郎に激白。「もしかしたら恋愛に陥ったみたい」と洋子にメロメロ。一郎は明日があるからと寝かしつける。「そうだね、明日もその明日も。その明日もその明日も・・・」。呪文のように唱える正一に不安を掻き立てられる。翌日、弓子は正一と喫茶店で待ち合わせをするが、正一が足早に店を出ようとする。正一を問い詰めると、服の下から喫茶店の灰皿が出てくる。正一は灰皿を洋子に見せるため海岸に向かうが、先日の男たちとウィンドサーフィンに興じる洋子の姿を見てショックを受ける。その後、一郎から「30分ぐらい付き合えよ」と言われ再び喫茶店へ。灰皿を持ち出したことを叱られるが「だけどパパはちょっとうれしかった。お前にそんな度胸があるなんて今までパパ知らなかったからな」。正一は「愛のためです」と素直に話す。洋子の驚く顔が見たかったという。さらに夏休みが終わってしまうことが耐えられないと。「歳が全然離れちゃってるしあの人綺麗だから皆にモテるし。そのうち誰かと結婚して僕のことなんか全く構ってくれなくなって。もしかして来年の夏が来たら・・・」と頭を抱える正一に一郎はしれっと灰皿を服の下に隠す。車に戻って大成功に喜ぶが、店員が現れ灰皿代千円を請求される。間抜けなオチに二人共笑いが止まらない。ご機嫌で別荘に戻ると、そこに矢的猛がいた。若干チャラくなった矢的猛はウルトラの国に戻らず洋子の婚約者として地球に留まっていたのだ(ナレーション・さくらひろし)。正一は婚約者の存在に猛烈なショックを受ける。人目もはばからずイチャつきまくる洋子と矢的猛。その夜、台風並みの強風と強烈な雷雨に見舞われる。正一のマイナスエネルギーが呼び起こしたのだ。正一はベッドで泣きじゃくっていた。一郎に泣いている理由を「洋子さんのことだろ?」と問われ、咄嗟に一郎が変わったからだと答える。「パパは変わっていない・・・パパは変わってないよ」。優しくなったからといって何故泣くのか?正一は先日五匹釣った話は嘘で、本当は二匹だったと打ち明ける。「僕はずっと嘘をついていました」「パパはうれしいよ。お前がそうやって男らしく・・・パパに・・・」。一郎は正一の手を両手で握りしめる。「暗いのは怖いか?怖くないだろ?ほら・・・パパとこうやって手を握ってれば・・・」。つ・づ・く
2021年12月16日
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風呂入りたいよ。朝から。君は海を見たか 第六回佳子は坂上部長に一郎との結婚を取り止めるべきか相談していた。正一にアルバムを見せられたことが引っかかっていたのだ。ある夜、一郎が帰宅すると電話が鳴っているが何となく受話器を取らなかった。電話を掛けていたのは佳子だった。そんな中、佳子の元カレ・加瀬(寺田農・趣味AVコレクション)が帰国する。佳子は加瀬にも一郎との結婚への不安を打ち明ける。その頃、正一は弓子にアルバムの一件を報告。怒る弓子とは対照的に正一は楽しそう。「パパ見てるとあの人のこと何だか好きじゃないみたいだもん」。そのことを弓子は一郎に報告するが一郎ほぼ無関心。寝る前にアルバムを手に取る。翌朝、松下課長親子と釣りに出かける。山奥の渓谷で華麗な釣りテクニックを披露する松下課長。すっかり正一も熱中。一郎は不器用ぶりを発揮。元気に駆け回る正一を見ながらぼんやりうたた寝。その間、正一は松下課長親子と釣りを満喫。松下課長から食べる分以上の魚はキスして逃がしてやるよう言われる。さらに魚を追って一人で奥へ進んでいく。一郎は眠ったまま。木口先生から告知された時のことが脳裏をよぎる。目が覚めると正一の姿が見当たらない。慌てて探し回るが、正一が魚を釣り上げている姿を見つけてホッとする。正一は釣り上げた魚から針を外すとキスをして逃がしてやっていた。その夜、二人はドライブインで食事を摂る。正一は佳子との再婚について直撃質問。「パパが新しいママを貰うのはパパのため?それとも僕のため?」「どういうこと?」「つまりさパパはどうでもいいんだけど弓子おばさんももうじきお嫁に行っちゃうし、そうするとさ僕が困るからさ新しいお母さん貰うの?」。一郎は「どっちもだ」と答えるが「パパあんまりうれしそうじゃないもん」と核心を突かれる。そんなこんなで正一は今回五匹も釣ったと話す。一郎は見せてもらえなかったので信じていない。「だって見せたら弱って死んじゃうよ」。あくまで五匹釣ったと主張する。帰宅すると弓子から出かけている間に邦ちゃんが訪れ、正一が自分の病気はまだ治っていないと友人たち言い回っていると知らせに来たと聞かされる。一郎は邦ちゃんに確認する。「うちの倅から聞いたんです。正一君がそう言ってるって・・・。自分の病気が実はまだ治ってなくて・・・もしかしたら一生治らないかもしれないって・・・」。邦ちゃんは息子を叱ったが「誰も信じちゃいない・・・正一君のまた作り話だって。あいつは人に同情されたくっていつもそういう作り話をするって」。何故そんな嘘をついたのか。今回の嘘は重大だ。夕食時、正一は友達に魚を五匹釣ったことを信じてもらえず頭に来たと話すが、一郎は一匹しか見ていないと答える。「嘘はついていないとお前言い切れるか?」「僕嘘つきじゃない」「今までもずっとか?男としてはっきり断言するんだな?それじゃ聞くがあの詩はお前が作った詩か?」。一郎はこれまでの嘘を徹底的に問い詰める。さらに「お前の病気が治っていないと・・・治らない病気だと誰が言った!いつ誰が言った!」。正一は答えられない。「言えないはずだ。お前が出鱈目を喋っているだけだからな」。しかし正一は泣きながら五匹釣ったと主張する。「魚のこと・・・パパが悪かった。五匹釣ったことはパパは信じてる」。一郎も涙を浮かべている。つ・づ・く
2021年12月14日
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昨日の『日本沈没』は酷かったなあ(笑)。君は海を見たか 第五回やるべきことが分かった一郎は少しだけ元気が出てきた。そこで立石に茅ケ崎の別荘を貸してほしいと頼む。立石ノリノリで快諾。それにしても正一は何故自分の部屋をヨットのキャビンのようにしたがっているのか?病院を訪れると弓子が大慌てで駆け寄ってくる。先日、正一が呟いていた自作の詩は谷川俊太郎の盗作だった。さらに院内の新聞に掲載、印刷までされていた。二人は看護師の戸川純に頭を下げ、配布済みの新聞を駆けずり回って回収する羽目になる。その夜、佳子を連れて飲みに行くが、すったもんだで疲れ切った弓子は泥酔。一郎は谷川俊太郎の詩の内容が気になっていた。そして正一を咎めないことにしたが、弓子は特別扱いに反対する。翌日、一郎は沖縄から戻ってきた部下(イトウチーフ)と再会する。イトウチーフではなく部下は現場を離れた一郎と松下課長の仕事に対する姿勢に猛烈な不満を持っていた。その後、病室を訪ねるとちょっと前まで松下課長が正一の見舞いに来ていたと弓子から聞かされる。松下課長からリアルな毛鉤をプレゼントされ正一大感激、今度の日曜日に釣りへ行く約束をしたとのことだった。翌日、松下課長から改めて日曜は休むものだと言い聞かされる。さらに沖縄へ行った際に何故現地の景色を観なかったのかと問われるが「・・・」。松下課長もかつては愛社精神の塊だったが突然左遷され「その朝いつものラッシュの電車で何故かふと窓の外の景色を見たんだ。何故かふとだ。分かるか?この感じ。俺には全く初めて見る、見たことのなかった沿線が映ったよ。ドキンとしたね。初めて見る景色なんだ。毎朝毎日見てたはずなのに。知らないんだなあ全然。初めて見るんだ。ショックだったなー。呆然としたよ。毎日通ってながら景色なんて全然見てなかったんだな」。その日の帰り、一郎は電車から窓の景色を眺める。7月に入り正一は退院となる。早速元気爆発、友達と自転車で爆走。さらに手術の傷跡を見せる。友達とはしゃいでいる間、訪れていた佳子にアルバムを見せる。アルバムには亡き母親と一郎との写真がびっしり。正一は佳子の反応を試していた。そのことに気づいた佳子は平静を装う。佳子が帰った後、正一は弓子に松下課長との釣りをキャンセルしたいと言い出す。その日は自転車の盗難に遭った大石先生のために友達と傷跡ショーを行って自転車代を稼ぐのだという。弓子から話を聞いた一郎は友達の父親・邦ちゃんにそのことを話す。邦ちゃんは酒が入っていたせいもあってか傷跡は勲章みたいなものだと陽気に肯定。「傷跡ショーいいじゃないすかー。先生の自転車代稼ぐためでしょ?それがまたいい。傷跡は完全に治ってるんでしょ?治ったから退院したんでしょ?いいじゃないすかーそれぐらいのこと」。しかし一郎から正一の命があと2ヶ月しか残っていないことを告げられ「・・・ごめんね・・・ごめんなさい」。その夜、一郎は正一宛てに盗用したことを叱責するメモを書くが、どのような言葉で伝えればよいか悩みながら何度も書き直す。そして佳子が見ていたアルバムを手に取る。亡き妻との写真。「出世なんて全然しないでいいのよ。今みたいに私を大事にしてくれて、一人か二人子どもを作って、もしも出来たらこんなヨット買って土曜の夜、家族でそこに泊まれたら」。ヨットのキャビンでくつろいでいる一郎と亡き妻の写真を見つける。「これだ・・・」。一郎は正一宛てのメモと院内の新聞を破り捨てる。つ・づ・く
2021年12月13日
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あかん。。。君は海を見たか 第四回今回は山田良明が演出。ショーケンは山田良明にプロデューサーのほうが向いていると助言。その後、山田良明はプロデューサーに転身、90年代に入ってトレンディドラマを続々と大ヒットさせる。ショーケンのほうがプロデューサーに向いてるなあ。立石は弓子に建築を再開することになったと報告する。一郎の意向だが弓子はもう遅いと言う。しかし立石はやる気満々で正一の部屋のデザインに取り掛かる。その頃、一郎は松下課長から突然水中展望台のプロジェクトから外される。納得できない一郎は坂上部長に直談判するが、坂上部長は佳子を通じて正一のことを知っていた。休暇を取って正一の傍にいるよう勧められるが、一郎が仕事をしているのは会社のためではなかった。一郎は正一の顔を見ることができない、傍にいることが耐えられなかった。仕事をしている時だけ正一のことを忘れることができ、自分を保つことができる。会社を辞めて一緒にいてあげよう、欲しい物があれば何でも買ってあげる、やりたいことがあればなんでやらせてあげたい。しかし今まで妹任せでほったらかしにしてきた父親が急に傍にいるようになれば怪しむのではないか?「仕事を取られたら耐えられない君の気持ちもよく分かる。君のために僕は同情する。しかしこれはあくまで君に対してだ。今不幸なのは一体誰だね?息子さんかね?それとも君かね?僕ら肝心な息子さんより君のことを考えなければならんのかね?失礼だが君は自分本位に考えているような気がするよ。本当に気の毒な息子さんのことでなく気の毒な息子さんを持った不幸な父親という自分の位置に、苦痛の焦点を当てていると思うよ。本当に気の毒なのは君じゃないよ」。一郎バッサリ。その夜、病院で佳子に会うが涙を浮かべて「君には男が分かっていない」とだけ告げる。一郎は六日間の休暇を取って病院に通うが、却って正一は不安になる。何故弓子は病院に来ないのか?正一は元気だが病状は悪化している。肺に転移しているため、今後呼吸困難になることが考えられる。あるいは右の腎臓が先に悪化、血尿が出始めると進行は非常に早い。しかしそうなるまで日常生活に全く問題ない。そこで木口先生から一度退院して、気分良く過ごさせてはどうかと勧められる。一郎はもし自分の立場だったとしたら何をさせるか尋ねる。「やりたいことをやらせるでしょうね。とにかくやりたいことをやらせるでしょう」。一郎と弓子が病室を訪れると正一は詩を呟いていた。「生きているということ いま生きているということ 泣けるということ 笑えるということ 怒れるということ 自由ということ・・・」。なんだそりゃ?「僕の作った詩」。一郎は旅行代理店の男(39年前の笹野高史)を呼び出すと超豪華な海外旅行を依頼する。予算は300万円。そこで松下課長に退職金の前借を申し出る。プライベートを大切にする松下課長は家族旅行を歓迎するが、仕事人間の一郎には松下課長の考えは理解しがたかった。それでも松下課長は一郎を釣りに誘う。「金はかからんしガキは喜ぶし。どうだい一日?」「・・・帰ります」。一郎は弓子に海外旅行の計画を打ち明ける。弓子は費用を心配するが無理は今しかできない。しかし正一がやりたいことは一郎だけでなく弓子にも分からなかった。翌日、一郎は正一がやりたいことを知るため小学校の大石先生を訪ねる。大石先生は海の絵のことを話す。皆は陽の照った夏の海の絵を描いてきたが、正一だけ真っ黒に塗り潰した海の絵を描いてきた。海は暗くて怖かったと話していた。何故そう感じたのか?「僕には何も言えませんがただ・・・貴方がさっき仰ったように全財産を投げうって借金してでも正一君を楽しませたいとお考えなら・・・それは何となく間違っていると思えるんですよ。そんなこと以前に普通の父親が普通の子どもにするように・・・どう言うのか・・・例えば海を青いと感じさせる方が重要なんじゃないかと僕は思います」。その後、病室を訪ねると正一は立石がデザインした子ども部屋に大感激していた。涙を流しながら廊下を歩く一郎。つ・づ・く
2021年12月12日
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ラー。君は海を見たか 第三回一郎は今まで以上に仕事に励むことで少しでも不安を取り除こうとしていた。そんな中、沖縄の現場で事故が発生する。会社は一郎を派遣させようとするが、部下の平泉成が反対。一郎は先週も休みを返上している。一方でしっかり土日休んでいる社員もいる。不公平だ。休み王の松下課長を派遣するべきと主張して衝突。坂上部長は自分が現地入りし、一郎には連絡役として東京に留まってもらうことで事態を納める。しかし結果として会社に宿直。夜明け、警備員の奥村公延とお茶を飲んでしみじみトーク。その後、一郎は立石に新居建築の中止を申し出る。寝耳に水。職人も手配しているため今更中止できない。違約金も発生する。立石は憤慨するが、一郎から正一のことを打ち明けられる。「信じられるか?お腹がちょっと膨れてる。病状としてはただそれだけだぜ。それがウィルムス腫瘍という悪性の腫瘍だよ。あと・・・3ヶ月だって医者が言うんだ。信じられるか?ね、そんなことが・・・お腹がちょっと膨れてる、それだけだぜ・・・信じられるか?」。立石はいても立ってもいられず、佳子にそのことを告げる。佳子は早速病院を訪ねる。正一は元気爆発で弓子とじゃれ合っていた。その夜、弓子は建築中止に反対する。正一が楽しみにしていた建築を中止すれば不信感を持つに決まっている。しかし現実には家どころではない。事態がどうなるか分からない。「つまり・・・家そのものの設計だって・・・」「どういう意味?」正一の部屋はいらないということなのかと弓子に突きつけられ、一郎は思わず弓子の頬を叩く。「そんなことを誰が・・・いつ言った!俺はただ先のことを想像しただけだ。家が建った日に・・・子供部屋があって・・・その時に正一がいなかったら・・・正一がいないのに子供部屋があったらどんな気持ちか思ってみただけだ。その部屋見るたびに俺は一体・・・」。そこへ木口先生から手術が明日に決まったと電話が入る。一郎は気持ちを落ち着かせるため一人で飲み屋へ。そこで少年野球の監督(邦ちゃん)とバッタリ。監督は日頃正一から色々と話を聞いていたが一郎曰くほとんどが嘘だった。一気まずいムードの二人。監督は諦めず新築の子供部屋は正一の設計で、船のキャビンみたいな部屋なのか直撃。その話を巡って子どもたちの間でトラブルがあったという。本当なら現場を見せろ。お前はいつも嘘ばかりつく。邦ちゃんは子どもたちを𠮟りつけたが、そのことが原因で最近練習に来づらくなっているのか気にかけていた。「そうすかーその話は本当だったんすかー」。一郎は帰宅すると正一の設計図を探すが弓子から「捨てたみたいよ」と聞かされしょんぼり。そんなこんなで手術を迎える。手術中、一郎は妻と産まれたばかりの一郎を連れて夏祭りに出かけたこと、妻が交通事故に遭って亡くなった夜のことを思い出す。大雨の中、ずぶ濡れで帰宅。何も知らない正一が無邪気に笑っている。そんなこんなで手術終了。左の腎臓は全て摘出されたが右にも転移していた。その夜、一郎は正一に付き添う。「今夜はずっしパパがいるから」。しかし正一はぼんやりしたまま「弓子おばさんにいてほしい」と答える。一郎は弓子に電話し、今夜正一に付き添ってほしいと頼む。一郎しょんぼり。つづく
2021年12月12日
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ゴリとラー。君は海を見たか 第二回弓子はフィアンセの門馬に正一のことを相談する。病院側は一郎に今後のことを説明したがっているが、入院の晩に来ただけで沖縄へ出張に出かけたまま。正一は小児科から泌尿器科へ移ったという。弓子の心配をよそに正一は元気爆発、看護師の戸川純(鈴木建設営業3課のOL役でおなじみ)たちとじゃれ合っている。木口先生たちは弓子と門馬に腎臓に腫瘍が見つかったため、これから検査を行うと告げる。詳細は父親の一郎に説明したい。その夜、弓子は一郎に電話、明日14時半の約束を取り次ぐことになる。とりあえずやれやれ。それでも不安が残るが空返事の門馬に弓子は泣き出してしまう。翌日、一郎は羽田空港から病院へ直行するが、急患が入ったため約束の時間が過ぎてしまう。その後、木口先生がどこに行ったか連絡がつかない。16時から会議があるため会社に戻らなければならない。婦長に呼び止められるが、14時からずっと待ち続けていた。明日必ず来ると言って一郎ブチ切れ。弓子にも八つ当たり。急患といって人を待たせたまま連絡もしてこない。「病院なら仕方がないことかい?俺には納得できないな」。そう言って病院を出るが正面玄関で木口先生とすれ違っていた。その夜、接待。明日社長の同行を求められ引き受けてしまう。それを聞いて弓子ブチ切れ。明日は12時半の約束を取り次いだのに。仕事と子どもの命のどちらが大切なのか。「正一のことは心配していた。しかし実際問題何ができる?医学のことは全く分からない。その俺に何ができる?」。弁解ばかりする一郎を責める弓子。翌朝、出勤途中の一郎を門馬が呼び止める。弓子に頼まれ、無理やり車に乗せて大学病院へ。そんなこんなでようやく木口先生から説明を受ける。正一の病名はウィルムス腫瘍、腎臓に発症する小児がんの一種と告げられる。ウィルムス腫瘍は発見が困難であり、見つかった時点で腫瘍は肥大している場合が多い。さらに今回の検査で肺に影が見つかっている。「どうも・・・事情がよく・・・私にも何のことなのか、つまり先生の仰っていることは」「医者としてはっきり申し上げます。お子さんは危険な状態にあります。覚悟だけしておいていただきたいということです」。一刻も早い手術を勧められ同意するが、肺に転移していた場合、3ヶ月持てば良いと。呆然とする一郎と弓子。大雨の中、戸川純とじゃれ合いながら車いすに乗った正一が病棟へ移動する。その様子を見た一郎は看護師たちに何故こんな雨の日に移動させるのかとクレームをぶつける。しかし婦長にバッサリ。「貴方が患者の父親ならどうしてもっと早く病院へ坊ちゃんを見舞いに見えなかったんです?」「そりゃ私だって・・・来たいのは毎日!」「坊ちゃん寂しがっておられましたよ。失礼ですが貴方に病院を責める資格はありませんね。貴方の可愛い息子さんにとってお父様が見舞いに来てくれないことは雨の日に病棟を移されることよりずっと不安なことだったんじゃないでしょうか?貴方私たちに今そんなことを仰る資格はないと思いますね」。会社に行く時間はとっくに過ぎている。どうしてもっと早く気がつかなかったのか。弓子は正一に訊いていた。正一は2ヶ月前、一郎に腹部の違和感を訴えていた。しかし「兄さん仕事の本を読んでいて返事も何もしなかったそうだわ」。一郎は愕然とする。つ・づ・く
2021年12月12日
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身震いするほど腹が立つ。 宇宙猿人ゴリ君は海を見たか 第一回ご存じ必殺シリーズ第17弾『新必殺仕事人』にぶつけたフジテレビの意欲作。脚本倉本聰。なので~セリフの改変、アドリブは厳禁。主演ショーケン。ショーケンは偉いので倉本聰が示したルールをきちんと守ってます。ちなみに三回目のセルフリメイク。相当思い入れのある作品のようです。杉田成道の作品を初めてまともに観たが、こういう演出をする人なのか。勝新同様リアルさを追求してかセリフが聞き取りにくい。倉本聰としてはOKなんでしょう。小学校の職員室。増子正一は大石先生(小林薫)に呼び出されていた。図工で描いた海の絵が真っ黒だったからだ。父親の一郎(ショーケン)は海底公園の仕事をしているという。しかし超忙しく海に連れって行ってもらったことがない。「君は海を見たことがあるんだろう?」「ずっと前に・・・」「その時、海はカーッとしたもんじゃなかったか?」「明るい時もあるかもしれないけど・・・ずっと真っ黒で怖かったから」。一郎は正一の面倒をほとんど見ない。妻を早くに亡くし、妹の弓子(亨の二代目嫁)が正一の母親代わりを務めている。一郎の勤める大和造船技術研究所は沖縄海底センターのプロジェクトに取り組んでいた。その目玉である水中展望台の建設が予定より遅れていたため大忙しだが、上司の松下課長(梅宮辰夫)は家庭重視で速攻帰宅。評判悪いよ。ちなみにプロジェクトチームのメンバーは『必殺シリーズ』で殺された悪人ばかりでほのぼのムード。その一人・坂上部長から再婚を勧められ、スチュワーデスの木宮佳子(高橋惠子)とお見合いすることに。しかし帰宅しても仕事。新居を建てることになり子ども部屋の設計図を正一に任せたものの見る時間なし。正一は画用紙に書いていたが、全く取り合ってもらえなかった。佳子は一郎との縁談に特別な思いを持っていない。互いに嫌ではなかった、ただそれだけの理由で見合いに応じた。一郎に子どもがいるため結婚したら仕事は辞めるつもりだ。とある日曜、正一は少年野球の試合に出る予定だったが一郎の都合でキャンセル。試合は何だか楽しそう。監督(邦ちゃん)は正一の友人の父親だ。一郎は正一と佳子を連れて新居の建築現場を訪れる。友人の建築家・立石(春日光二)に全面お任せ。ここでも正一が書いた設計図を見ようとしない。一郎は会社から呼び出され、すがりつく正一を振り払う。正一はグラウンドで一人ぼっち。エア野球で気分を紛らわす。なんか良い試合だったらしく機嫌をセルフで取り戻すが、偶然じゃれ合っている監督と友人を見かけやっぱりしょんぼり。設計図を破り捨てる。そんなこんなで帰宅は夜。遅くなった理由を一郎、弓子、佳子に話すが、女の子を助けた云々のモロばれの嘘をつく。「正一、君が書いた設計図見せてくれ?」「・・・もういいよ」。ある日、正一は体がだるいと訴えて学校を休む。一郎は仮病だと疑う。弓子は近所の病院へ連れて行くが、大学病院での精密検査を勧められる。悪性の腫瘍が考えられるため、そのまま東亜大学付属病院へ。診察を担当した医師・木口(三代目おいちゃん)はガンの可能性があると告げ、今日すぐの入院を勧める。呆然自失の弓子。一方、正一は待合で一人マンガを読んでニコニコ。つ・づ・く
2021年12月12日
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