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年末年始は、スペシャルドラマや面白そうな映画がたくさん放映される。12月29日の夜も、テレビ朝日系で、ドラマスペシャルとして「吉原炎上」をやっていた。斉藤真一の「絵草子吉原炎上」、「明治吉原細見記」を原作にしたもので、かって名取裕子主演で映画化もされている。 吉原と言えば、江戸時代から、なんと昭和32年に売春防止法が施行されるまで続いていた、わが国でも有数の遊郭であるが、このドラマは、吉原で生きる女たちの悲しい話である。 このドラマの時代設定は明治40年。内田久野(観月ありさ)は、家族を借金から救うために、18歳で吉原の夕凪楼に売られてくる。すでに江戸時代は終わって、文明開化の世の中であるにも関わらず、このような人身売買のようなことが公然と行われていた。吉原の女たちは綺麗に着飾っていても、それは所詮地獄に咲いたあだ花なのである。常に病気や妊娠の恐怖に怯え、年季が明けないうちに死ねば、投げ込み寺に無縁仏として葬られる悲しい境遇だ。久野の周りでも、そんな女たちの悲しいエピソードが繰り広げられる。最後に、心も体も凍らせてきた久野にもやっと幸せが訪れたのは唯一の救いであった。 気になるのは、吉原の女たちの関係が、綺麗に描かれすぎていたのではないかということ。実際は、もっとどろどろしたものがあったのではないかと想像するのは考えすぎか。 ところで、このドラマにも藤田まことが夕凪楼の主人役で出ていた。京都殺人案内、はぐれ刑事純情派に続いて、テレビ朝日系のスペシャルドラマに連続3つも出演である。刑事をやったり郭の主人をやったり大活躍だが、74歳という年齢でこの活躍ぶりは見習いたいものである。(原作)・斉藤真一:「絵草子吉原炎上」、「明治吉原細見記」(監督)・猪原達三(出演)・観月ありさ(内田久野)・星野真里(浅井雪乃)・藤田まこと(赤倉鉄之助:夕凪楼主人)ほか○応援クリックお願いします。 ○映画版「吉原炎上」DVD(主演:名取裕子)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 31, 2007
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先日、「京都殺人案内30回スペシャル」についての記事を書いたが、今日は、金曜日の夜に放映された、同じ藤田まことが刑事役で主演をしている「はぐれ刑事純情派・20周年記念スペシャル」である。どちらもテレビ朝日系列で放映されており、藤田まことが、刑事役をやっているので、つい混同してしまいそうになるが、京都殺人案内は当然京都府警、はぐれ刑事の方は警視庁を舞台にしている。ということで、藤田まことは関西弁を使わずに、標準語で話している。こちらも20周年というから、かなりの長寿番組である。最近は、あまり見ないなと思ったら、ここ数年は、年末スペシャルドラマとしてのみ放映されているとのことである。 放映日には、同じ時間に、「ローレライ」と「ルパン三世」が重なっていたので、どれを観ようかと悩んだのだが、結局わが故郷が出てくる「はぐれ刑事」を観る事にして、後の二つはとりあえずビデオに録画した。 簡単に内容を紹介しよう。パチンコ店従業員花村という男が、アパートで死体で見つかった。凶器の鉄アレイには、かって、花村を傷害罪で取り調べた元刑事の松尾の指紋が。松尾は、花村の取調べの際に暴力をふるい、それが元で、警視庁を辞めた男である。また、花村が傷害を負わせた男・田代は、松尾の娘・美奈子の夫であった。 安浦刑事たちは、松尾を追って、彼の故郷、山口県長門市を訪れる。長門市は、風光明媚な青海島や有名な長門湯本温泉があり、金子みすずの故郷としても知られている。一方、花村の父親も、息子の敵を討つため、松尾をつけねらう。 ところで、ロケ地となった辺りは、かってNHKの朝の連続ドラマ「和っこの金メダル」の舞台にもなったところだ。ここから、長門湯本温泉、そして秋吉台と舞台が移っていく。実はこの辺りは、私の庭のようなものであり、なんとも懐かしい思いで観ていた。○安浦刑事たちが泊まった「長門湯本温泉 湯本観光ホテル 西京」 ところで、こちらの安浦刑事の方も、京都殺人案内の音川刑事に負けず劣らず超人情派である。松尾父娘を人質にとった花村の父親に対して、彼を助けようと、身の危険を顧みず相対する。 結局、一番悪いのは、花村であり、かって田代に記憶傷害になるほどの障害を負わせた挙句に、まったくの反省もせずに松尾父娘を脅迫した挙句、花村のもとを訪れた田代に逆切れして殴りかかる。真相は、田代が自分を守るために抵抗した際の事故であり、正当防衛かせいぜい過剰防衛となるようなものである。田代は、花村の父親に謝っていたが、これは逆ではないか。人の人生を狂わせた挙句に、何の反省も無く、更に人を脅迫する。こんな息子を育てた花村の父親の方が、土下座して謝るべきだったと思うのは私だけだっただろうか。(出演)・藤田まこと(安浦吉之助)・池上季実子(小池瑤子)・梅宮辰夫(横溝重忠:署長) ほか○「京都殺人案内30回スペシャル」の記事はこちら○「金子みすず記念館」の公式HPはこちら○「長門市商工観光課」の公式HPはこちら○秋芳町商工観光課による「秋吉台・秋芳洞観光サイト」はこちら○応援クリックお願いします。 ○長門湯本温泉のホテル 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 30, 2007
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12月27日の木曜日の夜は、TBS系列で「半落ち」をやっていた。一瞬、先日やっていたばかりなのに、再放送かと思ったが、映画版の方であった。そういえば、ドラマ版の方は、放映しているTV局がテレビ朝日系列だった。この映画版の方は、寺尾聰の主演で、2004年東映映画で第28回日本アカデミー賞最優秀作品賞に選ばれている。 あらすじの方も、当然のことに、小説やドラマ版と比べて、細かいところは変えてあるものの大筋は同じである。ざっとおさらいしておこう。県警捜査一課の強行犯指導官・志木和正(柴田恭兵)は、アルツハイマーの妻(原田美枝子)を殺したとして自首してきた梶聡一郎警部(寺尾聰)を取り調べる。梶は、自分が壊れていくことに耐えられなくなった妻に頼まれて、その首を絞めたのである。しかし、梶が妻を殺してから自首するまでの空白の2日間があった。梶の服のポケットに、新宿歌舞伎町のティッシュが入っていたため、それが色々な憶測を呼ぶ。果たして梶は、何のために歌舞伎町を訪れたのか。 ドラマ版の方は、主人公役を梶から志木に移して、アルツハイマー患者を家族に抱える者たちの悩みを前面に出していたようなつくりであった。しかし、この映画版の方は、梶を中心にして、その周りに、担当刑事、担当検察官、新聞記者、担当弁護士、担当判事といった関係者の思いを絡ませており、構成は原作に近いものになっている。寺尾聰は、梶の悲壮な感じがよく出ており、キャラとしてはぴったりであろう。一方、柴田恭兵の方は、たたき上げの強行犯指導官の警視役をやるには、ちょっと線が細いような気がするのだが。 原作やドラマとの一番の相違点は、裁判で、この空白の2日間の真相が明らかにされるということである。梶は、否定したものの、状況証拠で、ほぼ明らかな状態となる。そして、検察官までも、梶に有利になるような尋問を行う。この流れからは、当然執行猶予がつくだろうと思うのだが、まさかの実刑判決が下される。意表をつくのもいいのだが、見るからにお子様お子様した裁判官が、場の空気も読めずに、私情たっぷりの判決を出したようなつくりにされているのは、残念なことである。 また、原作ではもう一人助けたい、ドラマ版でも、再発の恐れのある青年をもう一回助けたいといったことで、梶があと1年生きようとしたことに、大きな意味があったと思うのだが、映画版では、そのあたりをあまり前面に出さず、アルツハイマーを患った妻に対する愛情の方が前面に出ていたような感があったのもちょっと気になるところである。○ドラマ版「犯落ち」の記事はこちら○原作「犯落ち」の記事はこちら(原作) ・横山秀夫 :「半落ち」(監督)・佐々部清 (出演)・柴田恭兵(志木和正) ・寺尾聰(梶 聡一郎) ・原田美枝子(梶 啓子)ほか ○応援クリックお願いします。 「半落ち」(横山秀夫:集英社)&DVD 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 29, 2007
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先般、所用で東京に行った折、はじめて「ゆりかもめ」に乗った。ちなみに、ゆりかもめとは、「東京臨海新交通臨海線」の愛称であり、新橋~豊洲間を運行する新交通システムである。広島で言えば、アストラムラインに当たる。 目的地は、東京国際展示場(東京ビッグサイト)である。新橋で、ゆりかもめに乗り込む。車中は、それほど込んでおらず、席に座ることが出来たので、普段見る機会の無い、東京臨海副都心の景色を楽しむ。東京在住の者なら、そう珍しくもないだろうが、たまに地方から東京に行くものには、けっこう珍しい景色である。 写真は、ゆりかもめの車内から見た沿線の風景。二枚目の写真は、直径100m、地上115mという日本最大級の大きさの「パレットタウン大観覧車」である。 「ゆりかもめ沿線の風景」「パレットタウン大観覧車」 しばらく乗っていると、「国際展示場正門」に到着する。写真は、東京国際展示場(東京ビッグサイト)。どうにもバランスが悪そうな外観である。あまり、私好みではないデザインだが、誰の設計だろうか。「東京ビッグサイト」○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 28, 2007
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今日も「ゾンビ屋れい子」だ。今回は、文庫版の第4巻に当たる「雪女(ゆきな)編」である。 雪女をはじめとする武装軍団から逃れた姫園リルカが、手負いで、れい子たちの学校に現れたことから、惨劇が始まる。雪女たちが、リルカを追って、学校に侵入し、殺戮を始めたのである。一方怪物となったリルカは、れい子の友達の竹露(ちくろ)に助けられたことから、れい子たちと共に、武装集団と戦う。 それにしても、極悪非道であったリルカが、ラーメン一杯(ちなみににんにく入り)で借りを感じて、竹露を武装集団から逃がすために、宿敵であったれい子たちと共闘するとは、意外な展開である。 この雪女というコードネームの女性兵士、この作品に出てくる中でも1,2を争う残虐な強敵だろう。れい子が蘇らせたゾンビたちも、この雪女になすすべもなく倒されていく。れい子たちの敵は、最初は勢いが良いのだが、最後は正に竜頭蛇尾、非常に情けないやられ方をしてしまうのが常であるが、この雪女だけは、最後まで大暴れ、正に極悪非道を尽くした挙句、リルカと相打ちになってしまうのである。 面白いと思ったのは、ラファエルという登場人物。雪女にやられたのだが、れい子にゾンビとして蘇らされた。元々ゾンビ召還能力を持っていたので、自分もゾンビのくせに、さらにゾンビを呼び出せるのである。 さて、この後どんな展開を見せるのだろうか。○「ゾンビ屋れい子3(スターコレクター編)」はこちら○応援クリックお願いします。 「ゾンビ屋れい子4」(雪女編)(三家本礼:ぶんか社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 27, 2007
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以前、宮部みゆきの「パーフェクト・ブルー」という作品を紹介したが、その続編にあたるのが、「心とろかすような」(宮部みゆき:創元推理文庫)である。副題に、「マサの事件簿」とあるように、元警察犬で蓮見探偵事務所の用人犬であるマサの活躍を中心に描いた作品である。 今回は、短編集であり、以下の5編が収録されている。「こころとろかすような」・「パーフェクト・ブルー」でも登場した諸岡進也と探偵事務所の次女糸ちゃんが朝帰り? 愛くるしい子供を利用して、寂しいおじさんを罠にかけて強請る話。「てのひらの森の下で」・探偵事務所の長女加代ちゃんとマサが、お散歩途中の公園で死体を発見。ところがその死体が消えてしまった。「白い騎士は歌う」・強盗殺人で手配された男の姉から蓮見探偵事務所への依頼。なぜ弟は金に困っていたのか?「マサ、留守番する」・蓮見探偵事務所の皆は台湾旅行。マサはお留守番。ところが、事務所の前に、5羽のウサギが置き去りにされた。「マサの弁明」・なんと、宮部みゆきから、蓮見探偵事務所への依頼。夜、彼女が仕事をしていると、誰かが外の通路を、つっかけを履いて歩いて来るので調べて欲しいというのだ。 マサは、他の犬だけでなく、カラスにも聞き込みをして、事件の真相にせまるべく大活躍している。ただ、残念なことに、人間の言葉がしゃべれないため、せっかくのマサの活躍がほとんど役に立っていないのがちょっと寂しい。 ところで、「マサ、留守番する」には、ハラショーという名前のかわいそうな犬が出てくる。いつも?ぎ放しで、ろくにえさも与えられず、しょちゅう飼い主から虐待を受けている。しかし、ハラショーは、他の生き方を知らないのだ。だから逃げ出して野良になろうとも思わない。マサに向かって言った言葉、「おっちゃん、これがオレのウンメイなんだ」が悲しく響く。思わず我が家の愛犬スーちゃんをバグハグしてやった。○「パーフェクト・ブルー」の記事はこちら○応援クリックお願いします。 「心とろかすような」(宮部みゆき:創元推理文庫) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 26, 2007
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「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」に続き、シリーズ第4弾の「おまけのこ」(畠中恵:創元推理文庫)がやっと文庫化されたので、買ってきた。 今回も短編集で、次の5つの作品が収録されている。・関わるものに不幸をもたらし、仏にまで忌み嫌われるという妖怪の話:「こわい」・厚化粧の紅白粉問屋の孫娘お雛と屏風のぞきとのちょっといい話:「畳紙」・若だんなと三春屋の栄吉が親友になるきっかけの話:「動く影」・若だんなが吉原の禿(かむろ)を足抜けさせる?:「ありんすこく」・鳴家の大活躍?:「おまけのこ」 若だんなは、あいかわらず病弱で、今日も元気に寝込んでいるが、妖たちを見る目は優しい。「こわい」では、仏も見放したという「狐者異(こわい)」を家に迎えようとまでする。狐者異は、若だんなの誘いを拒絶するが、若だんなの優しさは狐者異に届かなかったのだろうか。「おまけのこ」では行方不明になった自分のところの鳴家を、泣き声で見事に見つけ出す。たくさんいる鳴家の声を若だんなは区別できるのである。 ところで、しゃばけファンの間では、案外役に立たないと思われている?仁吉、佐助の二人の兄やたちも、今回は、珍しく大妖の片鱗を見せている。「こわい」では、火事を消すために、地震か竜巻のようなものを起こしているし、「ありんすこく」では、吉原の堀を越えて、人間二人を投げ渡したりもしている。 相変わらず、ほのぼのとした文体で、心優しい若だんなと妖怪たちの活躍を描いて、とても面白い時代物ミステリーになっている。○応援クリックお願いします。 「おまけのこ」(畠中恵:創元推理文庫) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 25, 2007
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土曜の夜は、フジテレビ系列の土曜プレミアムで「大奥」をやっていた。普通なら、この手の映画はあまり観ないのだが、主演が仲間由紀恵ということで観た次第である。ところで、仲間と言えば、「ジョシデカ」が先日終わったばかりである。この番組、思ったより視聴率が伸びなかったようだが、泉ピン子との競演が足を引っ張ったか?でも、近々、「ごくせん」の第3弾が来年4月から始まるということなので楽しみにしておこう。でも一番観たいのは、「トリック」の新作なのだが。 さて、話を戻そう。この作品の舞台は、江戸時代。7代将軍家継の時代の大奥である。実際にあった絵島生島事件をモデルにしたものである。大奥では、先代将軍の正室天英院と先代将軍の側室で現将軍の生母である月光院との間での権力争いがあった。と言っても、映画では、巻き返しを図る天英院側から一方的に仕掛けているという描かれ方をしているのだが。大奥総取締の絵島は、月光院の側近であるがゆえに、権力争いに巻き込まれてしまう。 ところで、この時、将軍家継は僅か5歳。判断力の無い幼児を政治のトップに据えるという当時の制度は本当にあほらしいとしか言いようがない。将軍が幼児だったことも、「大奥」に渦まくどす黒いエネルギーの暴走をまねいて、この事件の要因のひとつになったのではないだろうか。 それにしても、女の世界の怖さと、仲間由紀恵の美しさが良く出ていた映画であった。(監督)・林徹(出演者)・仲間由紀恵(絵島)・西島秀俊(生島新五郎)・井川遥(月光院)・高島礼子(天英院) ほか ○応援クリックお願いします。 「大奥」DVD風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 24, 2007
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かっては、優秀な人の将来性を表す言葉として、「末は博士か大臣か」という言葉があったが、今や完全に死語と化してしまっている。 私が学生の頃は、理工系でも博士課程に進むものは少なかった。その一番の理由は、就職の間口が極端に狭くなるからだ。理工系の場合は、科学技術の高度化により、学部までだと専門性を身につけにくいため、多くの人間は修士課程まで進む。修士の就職率は一般に良い。しかし、日本の企業の場合は、学部卒に比べて、修士であることにほとんどメリットはないというのが現実である。これが博士課程まで行くと、極端に進路が狭くなってしまうのだ。 そのような状況は、現在でもそれほど変わっていないと思うのだが、分野に関わらず、博士の数はどんどん増加しているようだ。これは、大学院重点化政策が原因であり、少子化が進んでいるにも関わらず大学院生の数はどんどん多くなっているという。ところが、増え続けている博士の受け入れ口は非常に少ない。その結果、高学歴のフリーターが増加しているというのである。「高学歴ワーキングプアー」(水月昭道:光文社新書)は、このような状況に対して警鐘を鳴らしている書である。 この本によると、博士課程修了者たちの就職率は50%程度であるという。しかるべきところに就職できなかったものたちは、不安定な雇用環境に身をおかざるを得ない。安い賃金で大学の非常勤講師を掛け持ちしているというのはまだ良い方で、コンビニなどのアルバイトでなんとかしのいでいる者も多いようである。中には、パチプロになったり行方知れずになるものもいるという。 著者の言うように、経営上の理由で大学院の重点化を進めたあげく、税金をつぎ込んで養成した博士が社会で活用されないというのは税金無駄遣いであろう。もっとも、市場原理を無視して、需要のほとんどない分野で大量の博士を作りつづける制度をそのままにしておくこと自体も、税金の無駄遣いなのだが。 最後に一つ蛇足を付け加えたい。仮にも、博士課程に進もうという者たちである。自分の進もうとする分野がどんな状況なのか、あらかじめ調査・分析するということも現実問題としては必要ではなかったか。甘い幻想に惑わされることなく、自分の将来を、しっかりと切り開いて欲しいものである。○応援クリックお願いします。 「高学歴ワーキングプアー」(水月昭道:光文社新書) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 23, 2007
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書店で、変わった題名のホラー小説が目に付いた。たまにはホラーを読むのも良いかもうと思って買ったのが、「壊れた少女を拾ったので」(遠藤徹:角川書店)である。題名の、「少女を拾った」とはどういうことだろう、それも「壊れた少女」とはと、不思議に思い、興味を引かれたのである。少女なんて、道端にそんなに落ちているものとは思えないのだが・・・ 作者の遠藤徹氏は、「姉飼」という小説で「日本小説大賞」を受賞している。そういえば、昔、「姉飼い」を読んだ記憶があるのだが、どうにも理解できない作品だった。 この本は、5つの短編からなる短編集であるが、どの作品をとっても、異常な世界が広がる。まさか、こんな話ばかりだとは思わなかったが、買った以上、読まないともったいないので、一応最後まで読んだ。人前で読んだら、絶対にかなり危ない奴だと思われてしまうような本なので、読むのならこっそりと読んだほうが良い、そんな作品ばかりである。 「弁頭屋」という作品であるが、これは、人間の生首に、「弁当」を詰めて売っている話である。だから「弁当」でなく「弁頭」。大学のキャンパスで当たり前のように堂々と売られているのだ。ところが、買いに来た者は、「弁頭箱」を目の前にしながら、「最近あちこちで若い人が姿を消してるでしょ」なんて言って、その原因に気がついていない。そして、その「弁頭」を買っていく。 「カデンツァ」は、人と家電が恋する話。なんと炊飯器やホットプレートとの間に子供ができたりするのだ。 また、表題の「壊れた少女を拾ったので」は、壊れた少女を工場で修理する話である。これらの作品では、生物と無生物の境が無くなってしまっている。 「赤ヒ月」も異常な作品である。人間の内臓を食い合う話だ。 しかし、これらの作品は、あまりにも異常な世界であり、その極端なナンセンスさゆえに、かえってそれほど怖くはない。それでも、一番怖い、いや気持ち悪いと思ったのは、「桃色遊戯」という作品である。別に題名から連想するようなエロチックなものではない。世界がピンク色のダニに多い尽くされていくという話だ。このダニは、何でも食い、どんな薬品にも耐性を持つので退治できない。世界はピンク色に覆われて、静かに死んでいくしかないのだ。ダニって、見るからに気持ち悪いのに、そんなものに世界が覆われるなんて、ぞっとしてしまう。だいぶ趣は違うが、映画の「渚にて」をちょっと連想させるかな。○応援クリックお願いします。 「壊れた少女を拾ったので」(遠藤徹:角川書店) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 22, 2007
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夜街を歩くと、すっかりクリスマスの趣になっている。広島の繁華街である紙屋町に建つ「広島そごう」の大きなツリーのイルミネーションがきれいだ。「広島そごうのイルミネーション」 そごうのちょっと北側には、基町クレドがある。この建物は、広島そごう新館、ショッピングモール「パセーラ」および「リーガロイヤルホテル」で構成されている。ここにもきれいなツリーのイルミネーションがあった。「基町クレドのイルミネーション」 もうじき今年も終わりか。○応援クリックお願いします。 ○ 広島市交通科学館 [広島市を歩く(その21)] の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 21, 2007
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温泉津の町並みを散策した後は、いよいよ「石見銀山」である。かっては、世界でも有数の銀山として知られたところである。2007年(平成19)に、ユネスコの世界遺産へ登録されたことから、観光客が鰻上りに増えているという。実際、私たちが訪れたときも、大変な賑わいであった。 乗って来た観光バスを降りると、路線バスに乗り換えて、まず「大森代官所跡」に向かった。ここは、かっての銀山支配の中心となったところである。内部には、銀山関係の資料を展示した資料館となっている。「大森代官所跡」 代官所を見終わると、大森地区の町並みを眺めながら、ぶらぶらと、観光バスを降りた駐車場方面に歩く。このあたりは、「大森銀山重要伝統的建造物群保存地区」となっており、古い寺社や武家、商家の旧宅などが良く残っている。写真は、大森地区の町並みと、大森地区における最大規模の商家建築で重要文化財になっている「熊谷家住宅」である。「大森地区の町並み」「熊谷家住宅」 観光バスの駐車場の近くに、独特の風情を備えた寺がある。「羅漢寺」である。その名のとおり、3つの石窟に500羅漢を奉っており、その雰囲気には圧倒される。「羅漢寺石窟」 ところで、石見銀山では坑道のことを「間歩(まぶ)」と呼ぶが、駐車場から代官所跡と反対方向に行くと、見ることができる。中を見学できる「龍源寺間歩」などもあり、ぜひ行ってみたかったが、時間の関係で今回は断念した。 完○応援クリックお願いします。 「世界遺産石見銀山を歩く」(穂坂豊/仲野義文:山と渓谷社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 20, 2007
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「ガリレオ」も、とうとう最終回。これだけ突っ込みどころがあって楽しめるドラマは久しぶりだったが、残念なことである。 今回は、前回の続きで、「爆ぜる(はぜる)」の後編である。いよいよ湯川(福山雅治)とかつて何か因縁のある元帝都大教授の木島(久米宏)との対決だ。 しかし、お話のほうは、物理ミステリーだという売りから離れ、どんどん荒唐無稽になっていく。とうとう「レッドマーキュリー」や「SUPER NaK」なんて、胡散臭いものも出てきた。 そして湯川センセは、とうとう爆弾の解体作業までやるはめになった。半田ごてで部品をはずしたり、数列の謎を解いたりしていたが、いくら天才物理学者だからって、そんなに何でもできないと思うぞ。おまけに、最後は結局薫(柴咲コウ)の勘頼りだったし。 ところで、今回は、珍しくいつもの計算を普通に紙の上でやっていた(字の大きさは普通じゃなかったけど)。もっと意外なところでやって欲しかったな。たとえば爆弾の表面とか、薫の顔の上とか・・・○「探偵ガリレオ」の記事はこちら○「予知夢」の記事はこちら○「ガリレオ 第9話 爆ぜる(はぜる)ー後編ー」の記事はこちら「予知夢」「探偵ガリレオ」(東野圭吾:文芸春秋社) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 19, 2007
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源氏物語の昔から、生霊というものが信じられてきた。人は生きていく過程で、色々な思いを残していく。その思いが、誰かの負のエネルギーと共振した時、恐ろしい出来事が起こるのだ。宮部みゆきの「とり残されて」(文芸春秋社)は、そんな出来事を描いた表題作の他6篇の作品を収録した、ちょっとホラーな短編集である。 話の内容を大雑把に言うと、「私の死んだ後に」、「居合わせた男」、「いつも二人で」は幽霊話。「囁く」は、物が囁きかけてくる話。そして、「たった一人」は、結局結局運命は変えられないという話である。 一番怖いと思ったのは、2番目に収録されている「おたすけぶち」という作品。相馬孝子は、10年前に交通事故で行方不明となった兄・一樹の消息を尋ねて、小花井村の近くの街を訪れた。そこで発見した兄との待ち合わせ場所に向かうときに明らかになった「おたすけ淵」の恐ろしい真実。他の作品のように超常現象は出てこないのだが、それだけにかえって怖い。○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 18, 2007
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土曜日の夜は、テレビ朝日系の土曜ワイド劇場で「京都殺人案内30回スペシャル」を観ていた。京都府警捜査一課刑事の音川音次郎が難事件を解決するというシリーズであるが、調べてみると、第1回目が放送されたのが、1979年の4月ということなので、ほぼ1年に1回くらいのペースで作られていることになる。主演の音川を演じる藤田まことももう74歳ということで、上司の捜査一課長秋山虎五郎役の遠藤太津朗共々、さすがに歳を感じてしまう。京都府警は定年制度は無いのかという突っ込みはひとまず置いといて、簡単にお話の方を紹介しよう。クロード・チアリ全集テーマ曲「夜霧のシルエット」も収録 今回は、熊谷という古美術商の死体が京都郊外の山中で見つかる。彼は、5000万円もする高価な青磁のつぼを持ったまま行方が分からなくなっていたのである。捜査の結果、熊谷は、陶芸家の山吉(石橋蓮司)の息子である友則が経営する店を最後に消息を絶っていることが分かる。友則の店で、友則の母親で陶芸家の山吉の妻、寧子(山本陽子)と出会った音川は、やがて、山吉夫婦を追って、有田、伊万里そして釜山にまで飛ぶ。 この作品の最大の魅力は、音川刑事が人情味たっぷりに事件を解決していくところだ。今回も山吉夫婦を追う音川の目は優しい。それにしても、認知症と殺人の二つの十字架を背負った寧子の悲しみは計り知れない。山吉の先生で、寧子の父である柳先生の「人間は不幸から逃げることはできない。受け入れて、ただ耐えるしかないのだ。」の科白が、心から離れない。 (原作)・和久峻三(出演)・藤田まこと(音川音次郎)・音川洋子(萬田久子)・遠藤太津朗(秋山虎五郎)・石橋蓮司(陶芸家・山吉)・山本陽子(山吉寧子)ほか○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 17, 2007
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金曜日の夜は、フジテレビ系列でスペシャルドラマとして「美ら海からの年賀状」をやっていた。世界初のジンべエザメ複数展示に挑戦するドラマということで興味を引かれて観ていた。フィギュア ジンベエザメ ドラマの内容をごく簡単に紹介しよう。お話は、北海道で、心臓病で長期入院中の和也(須賀健太)が、たまたまテレビで、国営沖縄記念公園水族館の新しい館長になった浦崎(時任三郎)を観たことから始まる。浦崎は、水族館のリニューアルにあたり世界初のジンべエザメ複数展示に挑戦すると言ったのだ。自分の病気に半ば絶望していた和也が、不可能なことだってあるというという批判の手紙を浦崎に書いたことから、北海道と沖縄での手紙のやりとりが始まる。実際、ジンべエザメ複数展示は苦難の連続であり、水族館の職員からの反発も大きかった。このドラマは、それらの障害を浦崎が熱いハートで乗り越えていくという内容である。しかし、それにしても浦崎、熱すぎる。 伝えたいメッセージは、「可能性は自分で切り開いていくものであり、あきらめたらそこでおしまいだ。」ということかな。7500tの水圧に耐える大水槽を建設するシーンは、ちょっとプロジェクトXを連想してしまった。また、沖縄の青い海やジンベエザメの雄姿は心を和ませる。 最後に、ジンべエザメの泳ぐ巨大水槽が完成したのを見て、和也は五分五分の手術を受ける決心をする。でもこれは、きっとエリちゃん(大後寿々花)の影響も大きいのではと思う。エリちゃんかわいかったしね。最後は、みんなハッピーエンドで終って良かった。(出演)・時任三郎(浦崎信夫)・須賀健太(森田和也)・大後寿々花(浦崎エリ) ほか○「美ら海からの年賀状」公式HPはこちら○「沖縄美ら海水族館」の公式HPはこちら○応援クリックお願いします。 DVD「ちゅらうみ 沖縄美ら海水族館への招待」 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 16, 2007
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ちょっと前に、「温泉津温泉街」と「石見銀山」をセットにしたバスツアーを募集していたので、参加してきた。まず立ち寄ったのは、「温泉津温泉街」である。 「温泉津温泉」は、島根県の大田市温泉津町にある温泉街である。1300年前に開湯されたと伝えられる由緒ある温泉である。泉質は、含土類食塩泉。この「温泉津」は「ゆのつ」と読む。「おんせんつ」ではない。しかし、知らなければまず読めない地名だ。温泉津は、かって、石見銀の輸出港としても栄えたところである。 「ゆう・ゆう館」の前で、バスを降りる。「ゆう・ゆう館」とは温泉街の入り口に建っている多目的施設である。2階は、温泉津の歴史を紹介する資料館となっている。「ゆう・ゆう館」 「ゆう・ゆう館」を出発し、温泉街を散策する。あいにく雨模様の天気のためか、バスツアーの客以外には、ほとんど人通りがない。温泉街のひなびた景色はなかなか風情がある。「温泉津温泉街」 この温泉津には、「元湯泉薬湯」と「薬師湯」の2軒の共同浴場がある。「元湯泉薬湯」は、開湯時からの源泉を利用しているそうだ。また「薬師湯」は、日本温泉協会の新基準による審査が最高評価の「オール5」という温泉だ。これは島根では唯一、全国にも12箇所しかないということである。「薬師湯」 ところで、この温泉津温泉街を歩いていると、不思議な銅像があるのに気づく。なんでも「妙好人浅原才市」の像だそうである。この銅像、なんと頭に角が生えているのである。「妙好人」とは信仰心の篤い在家念仏信者のことを言うらしい。本当に角が生えていたわけではなく、この角は「人間の業」を象徴しているとのことだ。「浅原才市の像」 続く○応援クリックお願いします。 「温泉津紀行」(伊藤ユキ子:ワン・ライン) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 15, 2007
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「薔薇の殺人」(内田康夫:祥伝社)と言う作品を読んだ。浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。調べてみると、西村京太郎も同名でミステリー小説を書いているので、ちょっとややこしい。たまたま題が同じになっただけで、別に競作をした訳ではないとは思うが。ちなみに、西村京太郎版のものは読んでいない。 この作品のモチーフは宝塚。言うまでもないだろうが、あの華麗な乙女の園である。もっとも、直接関係するわけではなく、事件の関係者が、かって宝塚に関係があったという設定である。薔薇(パット オースチン) 今回、光彦は、親戚の大学生に、誘拐殺人事件の嫌疑がかけられたことから、事件の捜査を始める。なんと被害者は、浜岡文絵という美少女女子高生。内田センセ、とうとういたいけな美少女まで毒牙にかけてしまった。これまで読んだ作品全部が頭に残っているわけではないが、ひょっとすると、このシリーズで被害者最年少かもしれない。最初に美少女が殺されてしまったせいか、本作品では、ヒロインらしい人物は出てこない。 さて、肝心の事件の方だが、光彦はどうも最後の詰めが甘いところがある。99%事件を推理しても、最後のところで、肝心の犯人を間違って推理していることがままあるのだ。今回も、犯人を勘違いして、それが、結果的に更なる悲劇に繋がったような格好になってしまった。 事件の真相の方だが、これはちょっとリアリティに乏しいのではないだろうか。結末に対する後味の方もあまりよくない。○応援クリックお願いします。 「薔薇の殺人」(内田康夫:祥伝社)&(西村京太郎:双葉社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 14, 2007
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世の東西を問わず、この世には色々と不思議なことが伝えられている。ところが、この不思議の数は、どういう訳か七つとされている例が多い。六でも八でもなく、どうして七不思議なのかはよく分からないが、七つくらいが人が一度に認知できる限界と言われているので、もしかするとその辺りから来ているのかもしれない。 この七不思議、大きくは世界七不思議から、非常に狭い区域のローカルな七不思議まで数限りなく存在する。宮部みゆきさんの本拠地とも言える本所深川にも七不思議があり、それをモチーフに書かれた七作品を収録した短編集が「本所深川ふしぎ草紙」(宮部みゆき:新潮文庫)である。 ちなみに、本所深川七不思議とは、以下の七つを言う。1.片側にしか葉の付かない「片葉の芦」2.夜道を一人歩きしていると、送るようについてくる「送り提灯」3.釣り人が通りかかると、どこからともなく「置いてけ~」の声が、「置いてけ堀」4.落ち葉の季節になっても、葉を落とさないという「落葉なしの椎」5.夜中にどこからか聞こえてくる笛太鼓、「馬鹿囃子」6.洗え、洗えと天井を破って出てくる足、「足洗い屋敷」7.誰も消えているところを見たことがない蕎麦屋の行灯、「消えずの行灯」 しかし、本所深川に伝わる怪異をモチーフにしていても、別に怪異な現象は出てこない。この短編集は、この辺り一帯を縄張りとする岡引、回向院の茂七の捕り物帖のような形で、七不思議をうまく作品に織り込みながら、人の哀しさと人情の機微を上手く描いている。 「片葉の芦」には、世間から守銭奴とか見栄っ張りと呼ばれた父親と、父親と対立しながら、誰にでも優しく施しをする娘が出てくる。しかし、父親が死んだ後、その本当の姿が分かるが、娘には理解されることはない。「恵む」ことと「助ける」ことは違うということが、裕福に育った娘には実感できないのである。 「落葉なしの椎」では、流罪を許されて帰ってきた父親が、かって捨てた娘を心配して、こっそりと見守る。切ろうとしても切れない、父と娘の情が見事に描かれた作品だ。 「馬鹿囃子」は、器量が悪いため縁談が壊れ、心の病となった娘の話。娘の吐く「あんただって馬鹿囃子じゃないか」言葉が哀しい。 その他どれをとっても、江戸下町の人情を上手く描ききっている。○応援クリックお願いします。 「本所深川ふしぎ草紙」(宮部みゆき:新潮文庫) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 13, 2007
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またまた、月曜の夜9時からはフジテレビ系の「ガリレオ」である。今回は珍しく、「前編」とついていた。原作が、「探偵ガリレオ」、「予知夢」を合わせても、お話が10話までしかないので、てっきり回数稼ぎに出たかと思ったら、なんと、原作の「探偵ガリレオ」に収録されている「転写る(うつる)」と「爆ぜる(はぜる)」を合体させたようなお話になっていた。やはり来週の第10回で最終回のようだ。これだけつっこめるドラマは、あまりないのでなんとも寂しい限りである。 さて、今回の話であるが、冒頭で、いきなり湖に浮かんでいたボートが爆発し、乗っていた男が死亡する。 一方、薫(柴咲コウ)は、防犯授業に訪れた中学校の文化祭に、「ゾンビのデスマスク」という石膏の仮面が展示されていた。なんと、この仮面が失踪した藤川という男にそっくりであった。この仮面は、自然公園の池で、拾った金属の顔型から作ったものであった。そして、その池の底には藤川が殺されて沈められていたのだ。そこで、薫は、いつもの通り湯川センセ(福山雅治)に事件を持ち込んだという訳である。 今回、湖の爆発と不思議な金属の顔型の二つの謎が提示された訳であるが、謎解きが行われるのは、自然公園で発見された不思議な顔型である。 今回、湯川センセは、どこに数式を書き散らすかと楽しみにしていたら、なんと、世話になった廃棄物の回収業者さんの作業机の上にやってしまった。回収業者の社長さんは、別に怒りもせずに見ていた。なんと心の大きい人だ。それに引き換え、湯川のなんと恩知らずなこと・・・ 疑問なのは、あの方法で、本当に顔型ができるのかということだ。最後に、「番組内の実験等は専門家の指導により行っています」とあったが、本当に実験したのだろうか? 最後に、この話、あえて原作の2話分を合体させてひとつの話にする必要があったのかは疑問である。なんのために、ここだけ前後編のつくりにしたのかは理解に苦しむところだ。○「探偵ガリレオ」の記事はこちら○「予知夢」の記事はこちら○「ガリレオ 第8話 霊視る(みえる)」の記事はこちら「予知夢」「探偵ガリレオ」(東野圭吾:文芸春秋社) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 12, 2007
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おはよう! 「ゾンビ屋れい子2(姫園リルカ編)」の記事で、奇しくも、しょこたんと精神構造が同じであることを暴露してしまった?風竜胆である。相互リンクしている筆ペン書道家のじょぉサマさんから、冗談で、しょこたん語録でブログを飾って欲しいとのコメントがあった。この風竜胆、面白いことは好きなので、本気でやってみようと思ったのだが、さすがにジェネレーションギャップが大き過ぎて、挫折してしまった次第である。どこかに、自動翻訳で、しょこたん語に変換してくれるサイトはないものか? と言うわけで(どう言う訳だ?)、今日は、「ゾンビ屋れい子3(スターコレクター編)」である。前半は、第1巻で姫園れい子と戦い、今はれい子の召還ゾンビになっている百合川サキの妹、百合川みどりの悲しくも残酷な話。6歳の時に姉のせいで、意識不明の状態が続いていたみどりは、10年後に、奇跡的に目覚める。しかし、姉の犯したおぞましい犯罪のために、みどりに向けられる冷たい目。そして悲劇が起こる。 後半では、ストーリーがめまぐるしく展開する。死んだかと思われた、姫園リルカが生きていたと思ったら、スターコレクターを名乗る新たな敵が現れる。ここで言うスターとは、ゾンビを召還する能力を持つ者が身体に持っている星のようなマークのことである。スターコレクターは、他人のスターを奪い、自分のものとすることができる力を持っている。更には、リルカを狙う謎の武装集団も現れ、息をつけないほどである。 感心したのは、スターコレクターのゾンビたち。リルカの放った刺客から主人を守るため、文字通り身体を張って戦う。スターコレクターを神のごとく崇拝しているようだ。いくら、ゾンビとはいえ、たいしたやつらだ。しかし、肝心のスターコレクターの方は、最初は、調子良かったくせに、どんどん情けないやつになっていき、最後はれい子にボコボコにされていた。これには笑った。 この後、「雪女編」に突入するが、怪物になってしまったリルカと謎の武装集団、そしてれい子たちがどう関わっていくのか、ますます面白くなってきた。 ○「ゾンビ屋れい子2(姫園リルカ編)」はこちら○じょぉサマさんのブログ「お習字帳(ヲシュウジチョウ)」はこちら○応援クリックお願いします。 「ゾンビ屋れい子3」(スターコレクター編)(三家本礼:ぶんか社)&「ゾンビ屋れい子」実写版DVD 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 11, 2007
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以前横山秀夫の小説「半落ち」を紹介したが、これを原作としたドラマを、土曜日にテレビ朝日系列で放映していた。土曜ワイド劇場30周年・放送1500回記念作品ということである。それにしても、30年続いているとはすごいものだ。 ところで、この小説は、直木賞にノミネートされたが、審査委員の林真理子たちから、「致命的な欠点」があるとして落選させられた。これが原因で横山秀夫氏は「直木賞」決別宣言をしており、いわばいわく付きの作品である。私からすれば、「林真理子って誰?」と言う感じなのだが、文壇の力関係と言うのは良く分からない。しかし、この作品を読んだ人には分かると思うが、これは審査委員たちの言いがかりのようなものであり、この小説は、記念すべき節目に放映するにふさわしい作品であると思う。 志木和正(椎名桔平)は、県警捜査一課の強行犯指導官である。志木は、アルツハイマーの妻を殺したとして自首してきた梶聡一郎警部(渡瀬恒彦)を取り調べることになる。梶の妻は、自分が壊れていくことに耐えられなくなったのだ、その妻に頼まれて、梶は妻の首を絞めたのである。しかし、梶が妻を殺してから自首するまでの空白の2日間があり、梶の服のポケットに、新宿歌舞伎町のティッシュが入っていたことが色々な憶測を呼ぶ。組織防衛に汲々とする警察上層部。しかし、志木は、この2日間の真相を追い求める。梶は、妻を殺した後、自殺を企てたものの、あと1年生きたいと決意を翻したらしい。果たしてあと1年の意味とは何か。 原作の方は、6つの章で構成されており、それぞれ担当刑事、担当検察官、新聞記者、担当弁護士、担当判事、刑務官といった、梶の起こした事件に関わった者たちの視点から書かれていた。この6つの物語が、有機的に繋がりあい、全体で一つの大きな物語を構成しているのだ。しかし、ドラマの方は、担当刑事である志木を中心に作られている。すなわち、主人公役を梶から志木に移している。このため、原作の持つ関係者たちの思惑や葛藤といった内面の描写は薄くなってしまっているが、その代わり、アルツハイマー患者を家族に抱える者たちの悩みが前に出ており、ここに一つの大きな問題提起があると思う。 最後に明らかになる、あと1年の真相。原作とはちょっと異なり、いかにもドラマらしいつくりにされているが、これもなかなか泣かせる。きっと梶は、生きようという力を得たに違いない。(原作) ・横山秀夫 :「半落ち」(出演)・椎名桔平(志木和正) ・渡瀬恒彦(梶 聡一郎) ・風吹ジュン(梶 啓子)ほか ○小説版「半落ち」の記事はこちら○応援クリックお願いします。 「半落ち」(横山秀夫:集英社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 10, 2007
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昔、「グリコ・森永事件」と呼ばれる事件が起こった。江崎グリコの社長が誘拐されたのを皮切りに、スーパーに毒入り菓子が置かれるなど、世間を騒がせた。1984年(昭和59)の3月から始まった事件であり、既に20年以上の歳月が経過している。未だに未解決の事件であり、2000年(平成12)の2月に時効が成立している。 内田康夫の「白鳥殺人事件」(徳間書店他)は、この「グリコ・森永事件」をヒントに書かれた、浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。 光彦は、菓子業界の業界紙社長からの依頼で、取材旅行に出かけたが、新潟県新津市のホテルで殺される。ダイイングメッセージは、「白鳥の」。光彦は、事件を調べ始めるが、そこには、「毒入り菓子、企業恐喝事件」の影が・・・ 笑ったのは、光彦の次の台詞。 「しかし、それはあくまで可能性というだけのことで、ご都合主義の推理小説ならそれで済むかもしれないが、完全犯罪を企もうとする人間にとっては、可能性だけではだめなのです。」 「内田センセ、あんたが言うか!」○応援クリックお願いします。 「白鳥殺人事件」(内田康夫) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 9, 2007
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木曜日の夜、出張先のホテルで、テレビをつけると、書生姿の青年が出ていた。どういう訳か、その書生姿を見ただけで、頭の中に、「姿三四郎」という言葉がひらめいた。少し観ていると、柔道着姿のシーンが出てきて、本当に「姿三四郎」のドラマであった。 「姿三四郎」と言えば、私が子供の頃、テレビドラマで大人気だったが、最近は、映画やドラマになったという話を長く聞いていない。それもそのはず。なんと、勝野洋主演で1978年に日本テレビ系で放映されて以来29年ぶりだそうである。それにしても、よく書生姿だけで「姿三四郎」を連想したものだと、自分でも感心するが、時折このように鋭い勘が働くことがある。それとも「ガリレオ」ではないが予知能力か? このドラマは、テレビ東京系での放映であるが、地元には、テレビ東京系の局が無いため、放映されていない。たまたま、東京に出張があったために、このドラマを観ることができたのであり、事前に、無意識のうちに、情報がインプットされていたというわけではない。 ドラマの内容を超大雑把に紹介しよう。時代は明治20年、講道館柔道を矢野正五郎が創設したころの話である。このドラマは、矢野の弟子で天才柔道家・姿三四郎の柔道を通しての成長と、運命の人・村井乙美との悲恋を描いたものである。柔道衣 この姿三四郎には、モデルとなった人物がいることは有名な話である。そのモデルとなった人物の名を西郷四郎という。この西郷四郎が得意としていた技が、ドラマにも出てきた「山嵐」という訳である。西郷四郎は、小柄な人であったらしいが、この得意技で、巨漢を投げ飛ばしていたのだろう。それにしても、ドラマに出てきた「山嵐」は、単に人が遠くに投げ飛ばされるだけで、まるで柔道一直線の世界であった。本来の「山嵐」は決してこのような技ではない。この西郷四郎は波乱万丈の人生を送った人で、講道館を飛び出して大陸に渡ったりしていたが、最後は広島県の尾道で亡くなっている。終焉の地には、彼の銅像も建っている。 ところで、困ったことに放映時間の一部が、「ジョシデカ!-女子刑事-」と重なっている。なにしろ旅先のこと、録画して後で観るということができない。結局、仲間由紀恵の誘惑に負けて、この時間はチャンネルを切り替えてしまった。 「すまん!!!」 なんと、「ジョシデカ!-女子刑事-」が終わって、チャンネルを元に戻すと、三四郎の恋人の村井乙美が死んでしまっていた。この一時間の間に、かなりの話の展開があったようだ。まあ、警視庁武術大会での三四郎と村井半助との試合や桧垣源之助との死闘といった山場の場面は観れたのでいいか。(原作)・富田常雄:「姿三四郎」(プロデューサー)・岡部紳二(出演)・加藤成亮(姿三四郎)・中越典子(南小路高子)・本仮屋ユイカ(村井乙美)ほか○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 8, 2007
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先般、「まず『書いてみる』生活」( 鷲田小弥太:祥伝社)という本を読んだばかりだが、今度は、「『書ける人』になるブログ文章教室」(山川健一:ソフトバンク新書)という本を読んでみた。この類の本が割と好きで、普段から結構読んでいるのだが、なかなか文章が上手くならないのは皮肉なことである。 この本も、文章がもっと上手く書けるようになるヒントを期待して読んでみたのだが、どうも靴の上から足をかいている気がする。最初の方は、ブログを書くヒントということになっている。確かに、いろいろな示唆はあるのだが、どうも、これを読んでもブログ文章は上達しそうな気がしない。 やはり、上手い文章を参考にしながら、ひたすら練習あるのみか。○応援クリックお願いします。 「『書ける人』になるブログ文章教室」(山川健一:ソフトバンク新書) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 7, 2007
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今日は、先般紹介した「ゾンビ屋れい子」の文庫版第二巻である「姫園リルカ編」である。 主人公の姫園れい子にとって今回の敵となるのは、姫園リルカ。れい子の双子の姉である。それにしても、双子の姉妹で、姉がリルカ、妹がれい子とは、名づけた親のセンスが良く分からない。もしかすると、夫婦がそれぞれ別々に名前をつけたのか? そんなことはさて置き、れい子は、ゾンビ帝国をつくろうとするリルカ一味と、仲間達と一緒に戦うというのが、この巻の前半までの部分である。リルカは、強大な力を持っているはずなのだが、最後の、負け方があっけなさすぎるのというのがちょっと不満だ。 後半は、短編の話がいくつか続くが、なかなか怖い話が並んでいる。 ところで、この「ゾンビ屋れい子」、どうも、しょこたんもファンのようだ(しょこたんぶろぐ2007.4.17記事参照 ⇒ こちら)。ということは、しょこたんと、この風竜胆、精神構造が似ているということか。 「う~ん!!!」 まあ、かわいいからいいか。 でも、しょこたん、初めてブログを覗いてみたけど、絵もなかなか上手いんだね。○応援クリックお願いします。 「ゾンビ屋れい子2」(姫園リルカ編)(三家本礼:ぶんか社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 6, 2007
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今週も月曜日夜9時からは、フジテレビ系の「ガリレオ 第8話 霊視る(みえる)」である。果たして、今回は、湯川(福山雅治)センセがどんな変人振りを見せてくれるかと思っていたら、期待に背かずやってくれた。 今回湯川のもとに薫(柴咲コウ)が持ち込んだのは、料理研究家殺人事件。雑居ビルにある料理教室で、前田美鈴(引田博子)が、忍び込んできた小杉(飛田淳史)という男にメッタ刺しにされて殺された。ところが、美鈴が殺された同時刻に、美鈴の妹の千晶(釈由美子)が30キロも離れた美鈴の家で、姉の姿を目撃したというのである。 湯川センセ、どういうわけかこの現象に、異常な興味を持ち、学生の提出するレポートもそっちのけで、解明に熱中している。普通なら、 「夢や!」で終わりそうなところなのに、テレポーテーションの可能性まで考えていたようだ。 ところで、今回は、どこであの無意味な数式書きを披露してくれるのかと、わくわくしながら観ていたら、なんと容疑者・小杉の家の板塀であった。 「薫、なぜ止めない!!」 湯川センセ、小杉のオーディオを勝手に聞いたり、いくら容疑者とはいえ、人の家でやりたい放題である。 最後に一言、 「どこに物理トリックがある!!!」 まあ、トリックよりも、湯川の変人ぶりが面白くて観ているのだから別にいいか。○「探偵ガリレオ」の記事はこちら○「予知夢」の記事はこちら○「ガリレオ 第7話 予知(し)る」の記事はこちら○「ガリレオ 第6話 夢想(ゆめみ)る」の記事はこちら ○「ガリレオ 第5話 絞殺(しめ)る」の記事はこちら○「ガリレオ 第4話 壊死(くさ)る」の記事はこちら「予知夢」「探偵ガリレオ」(東野圭吾:文芸春秋社) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 5, 2007
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今回は、アストラムラインに乗って「広島市交通科学館」へ行ってみた。「広島市交通科学館」は、「乗り物と交通」をテーマに1995年3月に開館した博物館である。 ところで、アストラムラインと言っても広島近郊の人以外は分からないかもしれないので、補足すると、元々は1994年に開催された「広島アジア大会」の会場へのアクセス手段として作られた新交通システムのことである。このアストラムラインを運行しているのが、第三セクターである広島高速交通株式会社であるが、「広島市交通科学館」も、この会社が管理運営している。 「広島市交通科学館」は、アストラムラインの長楽寺駅のすぐ近くにあり、広島市の子供たちの校外学習の定番ともなっているようだ。訪れたときも、小学生の子供の団体で賑わっていた。「広島市交通科学館」 4階建てであるが、4階は、3階を上から眺めるだけであり、見るべきものは、2階と3階に集中している。3階は、「ビークルシティ」という未来都市の大きな模型が置いてある。スイッチを押すと、中の乗り物を動かして遊ぶことができる。 2階は、色々な乗り物の模型が2000点も展示してあり、子供たちに大人気のエリアである。 1階は、レストランやミュージアムショップがあり、訪れたときは、「懐かしの乗り物と写真展」を開催していた。写真は、展示されていた懐かしの自動車。「マツダT600」「マツダコスモ・スポーツ」 屋外には、面白自転車に乗ることのできる広場もあり、こちらは小さな子供をつれた家族連れで賑わっていた。○応援クリックお願いします。 ○ ひろしまドリミネーション2007 [広島市を歩く(その20)] の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 4, 2007
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最近、ちょっと変わった漫画が目に付いたので買ってみた。「ゾンビ屋れい子」(三家本礼:ぶんか社)である。ぶんか社が出している「ホラーM」という月刊ホラー漫画雑誌に、1998年から2004年にかけて連載されていたものである。 一言で言えば、B級スプラッタホラー漫画なのだが、不思議な魅力がある。でも、けっこうグロいシーンが多いので、お子様は見ないほうが良いだろう。 主人公の姫園れい子は、死んだ者をゾンビにして蘇らす力を持った女子高生である。しかし、この目の前の死体をゾンビ化する力は、ボーナス的な力のようで、本来の能力は、地獄からゾンビを召還するというものである。れい子と他のゾンビ使いや凶悪な者たちの戦いがこの作品のメインのテーマである。ゾンビ使いたちが召還するゾンビの中には、特殊な能力を持っている者も多く、ジョジョに出てくるスタンドを連想させる。 第1巻「百合川サキ編」では、単発的な話が続いた後、この巻の中心的な話である百合川サキとの戦いに突入する。この百合川は、ナイフの得意な、とても危ないやつで、れい子は、百合川に不用意に近づいて、なんと、瞬殺されてしまうのだ。これでは、主人公がいなくなるので、話の方は続くのかと思っていたら、なんとちゃんと続いてしまった。この続き方が、いかにもゾンビ屋の真骨頂というところである。 そして、話は第2巻の「姫園リルカ編」に続く。この記事は、また日を改めて書こう。 ところで、この作品、あまり、なじみのない雑誌に掲載されていた割には結構人気があるようで、ネットで検索すると、かなりの記事が引っかかる。○応援クリックお願いします。 「ゾンビ屋れい子1」(百合川サキ編)(三家本礼:ぶんか社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 3, 2007
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「絶海」(恩田陸/歌野晶午/西沢保彦/近藤史恵:祥伝社)は、無人島での殺人事件をテーマとした、4人の作家による推理アンソロジーである。・無人島の鼎島で発見された不思議な3人の死体:「Puzzle(パズル)」(恩田陸) ちょっとこりすぎて現実離れしている。・無人島の屍島に逃れたテロ事件の犯人たちが次々に殺されていく:「生存者、一名」(歌野晶午) モデルは地下鉄サリン事件?・無人島のユリ島に拉致されてきたお笑い百合小説作家の奈津子さん。隣のアニキ島で殺人事件が?:「なつこ、孤島に囚われ。」(西澤保彦) 百合小説って、最近でも使うのかな。薔薇より百合の方がましか。おバカな設定が面白い。・無人島に海水浴に来た女子高生たちと殺人鬼との戦い。:「この島でいちばん高いところ」(近藤史恵) 女子高生のサバイバル。割と良くあるパターンだが、うまく料理している感じ。 それぞれの作品は、単独でも発売されているが、この本1冊なら、個々の作品2冊強の金額でで4冊分読めるので、ちょっとお得かな。○応援クリックお願いします。 「絶海」(恩田陸/歌野晶午/西沢保彦/近藤史恵:祥伝社) ○単独で発売されている個々の作品 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 2, 2007
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以前、テレビで、仲間由紀恵主演の「顔」というドラマをやっていた。調べてみると、フジテレビ系列で2003年4月~6月にかけて放映されていた。仲間由紀恵は、あのコミカルな演技が持ち味なのだが、これは、かなりシリアスなドラマであったと記憶している。 この原作となったのが横山秀夫の「顔」(徳間書店)という作品だ。テレビドラマの話の方は、もう記憶がかなり曖昧になっているが、今回原作を読んで見ると、主人公の平野瑞穂が、どうしても仲間由紀恵に重なってくる。特に最近は、TBS系列で同じく仲間由紀恵が警官役をやっている「ジョシデカ!-女子刑事」が放映されているからなおさらである。夏婦警さん S/M/L/XL/Men`s 話を戻そう。平野瑞穂は、D県警本部秘書課広報公聴係の巡査である。彼女は、ここに来る前は、鑑識課軌道鑑識班の一員として、似顔絵を担当していた。似顔絵書きの職務に誇りを持っていた瑞穂であったが、似顔絵の改ざんをさせらたショックで、欠勤や失踪騒ぎを起こし、半年間の休職を余儀なくさせられていた。 典型的な男社会の中で、苦悩する瑞穂。それでも、警察官であることに誇りを持ち、似顔絵書きの職務に復帰したいと願う。 似顔絵書きに必要な特質なのだろうか、彼女の観察眼と推理力はすばらしい。関係した事件に対して、見事な解明を見せる。これは、刑事向きだと思っていたら、職場も、広報室から、犯罪被害者支援対策室を経て、捜査一課と変わり、本当に刑事なった。そこで、初めて拳銃を持つが、同僚の女性警官が襲われ拳銃を奪われるという事件が起きる。 最後は、希望通り似顔絵警官に戻れたようだが、刑事として、「ジョシデカ」のように活躍するような、続編を書いて欲しいものである。もっとも、瑞穂は、拳銃の方は、苦手な様であるが。○応援クリックお願いします。 「顔」( 横山秀夫:徳間書店)&仲間由紀恵主演DVD 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
December 1, 2007
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