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今日紹介する「札幌殺人事件(下)」は、先般紹介した「札幌殺人事件(上)」の続きである。 話は、だんだんと、とんでもないことになってくる。なんとスパイ組織まで出てくるのだ。国際刑事警察機構の外郭団体の構成員でボランティアのようなスパイっていったいなんだ。内田センセ少し暴走気味か? 札幌ドームがらみの汚職が、メインのモチーフになっているのだが、これと、スパイとの関係がどうもよく分からない。 そうたいした感想も無いので、その代わりと言ってはなんだが、大通公園のお花の写真でも見てほしい。それにしても、北海道、また行ってみたいな。でもそんな暇と金が・・・「札幌の大通公園」○「札幌殺人事件(上)の記事はこちら「札幌殺人事件」(内田康夫:角川書店) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 30, 2007
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この間読んだ「怪物王女」(光永康則:講談社)の第1巻が面白かったので、書店で2巻から5巻まで大人買いをしてきた。おいおい紹介していくことにして、とりあえず第2巻の紹介だ。 この巻では、「姫」の妹が出てくる。シャーウッドという名前である。姉妹で、名前がカタカナと漢字一文字というのは変なので、どうも「姫」は偽名を名乗っているらしい。シャーウッドは食人植物(トリフィド)を操り姫を襲う。 さらに、この巻で令裡という新しい登場人物が出てくる。姫の血の戦士である日和見 日郎の学校の高等部に通っている一見おしとやかな美少女だが、実は吸血鬼なのだ。日郎は、令裡のため吸血鬼にされてしまう。日和見を助けるため、姫はある行動に出る。 「姫」の一番の武器は、その気品と気高さ、そして、冷静さである。それゆえ一見冷たい感じを受けるのだが、実は優しい心を秘めている。これは、彼女の兄弟姉妹には稀な性質のようである。そして、その優しさゆえに、シャーロットは姫と同盟を組むことになるし、令裡もなんやかんやと姫の周りをうろつくようになるのだ。 しかし、これで、姫の周りには、吸血鬼と人狼と人造人間がそろった。つまり「怪物くん」と同じような陣営になったわけだ。これで、他の王族と戦っていくのか。○「怪物王女1」の記事はこちら「怪物王女1、2」(光永康則:講談社)&DVD ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 29, 2007
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吉田茂といえば、終戦後の日本で「ワンマン宰相」と呼ばれた総理大臣である。官僚出身者の議員たちを重用し、彼らは「吉田学校」と呼ばれた。 この吉田茂が、総理大臣として、占領軍から日本の独立を成し遂げ、そして有名な「バカヤロー解散」そして、辞職までを描いた映画が「小説吉田学校」である。戸川猪佐武氏の同名小説を原作にしている。1983年の東宝映画だからもう四半世紀前の映画だ。 映画の前半は、白黒画面である。ここでは、吉田茂が、GHQと渡り合い、いかに日本の占領からの脱却と独立に尽力したかがよく描かれている。自分の信念に従い、マッカーサーと堂々と渡り合う。今の日本の政治家に、このような人物が果たしているだろうか。 後半は、画面がカラーに変わっている。ここで描かれているのは、打って変わって、鳩山一郎との、どろどろした権力闘争である。このあたりは、いつの時代も変わらずか。権力にしがみ付くかのような吉田茂は、夏目雅子演じる娘の麻生和子から「大嫌い」と言われている。 それにしても、今観ると凄いメンバーが出演している。まさに日本の俳優総動員と言った布陣だ。残念なことに既に鬼籍に入った人も多い。たまには、昔の大作映画を観るのも良いものだ。(原作)・ 戸川猪佐武(監督)・森谷司郎(出演)・森繁久彌(吉田茂)・芦田伸介(鳩山一郎)・高橋悦史(池田勇人)・西郷輝彦(田中角栄)・竹脇無我(佐藤栄作)・夏目雅子(麻生和子)ほか ○応援してね。 「小説吉田学校」(戸川猪佐武)DVD&原作 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 28, 2007
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「青少年の憧れ、中年の癒し、老人の冥土のみやげ」それが「乙HiME(オトメ)」だ。今回紹介するのは、以前紹介した「舞-HiME」の続編にあたる「舞-乙HiME(マイオトメ)」(佐藤健悦/矢立肇:秋田書店)の1巻である。続編ということで、前作と共通の登場人物が多いが、設定はまったく違っている。元々は、週刊少年チャンピオンに連載されていたものだ。 出だしは、ヴィントブルーム王国のマシロ姫の死の場面から始まる。主人公のマシロは、男の子だが、容姿がマシロ姫に瓜二つだったため、影武者となるべく乙HiME養成校のガルデローべに送られる。 ガルデローべは、2年制の女子校であり、予科のコーラルと本科のパールに分かれている。そこで、少女たちは、清く正しく美しく、そして強い、立派なマイスターオトメとなるべく競い合っているのだ。まるで宝塚を連想させるようなところである。 ちなみに、「乙-HiME(オトメ)」とは「乙-type Highly-advanced Materialising Equipment」の略で「乙式高次物質化能力」という意味らしい。オトメたちは、宝玉を持ったご主人様と契約することにより、体内のナノマシンを活性化させ、戦闘用の衣装ローブと専用武器エレメントを物質化させることができるのである。敵は、シュバルツというテロ組織のようだ。スレイブというモンスターをあやつり、破壊活動をしている。 マシロと主に絡んでくるのは、コーラルオトメN0.1のニナとNo.51(最下位)のアリカ。生真面目な優等生タイプと能天気タイプの二人だが、どちらももちろん美少女である。マシロは、美少女たちのお色気に囲まれて、女の子として、学園生活を送るわけだが、これは、男の子にとっては、ある意味、拷問に近いものがある。 ヴィントブルーム宰相セルゲイやマシロ姫の婚約者アルタイ公国のナギ大公といった、腹に一物ありそうな連中が出てきて、早くも不穏な予感。 最後は、理不尽にもニナにおしおきをするナギ大公に、とうとうマシロが切れた。いったいどうなってしまうのか。 絵柄がきれいで、美少女たちが活躍。健康なお色気たっぷりで、まさに癒しの漫画である。○「舞-HiME」の記事はこちら「舞-乙HiME1」(佐藤健悦/矢立肇:秋田書店) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 27, 2007
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「いい国(1192)つくろう鎌倉幕府」という年号の覚え方を知っている人は多いだろう。鎌倉幕府は、1192年、源頼朝によって開かれた。頼朝は、源義朝の子として生まれたが、父が、平治の乱で平家に破れ、殺されるところを、平清盛の義母・池禅尼の懇願により、助命され、伊豆に流された。やがて、頼朝は、以仁王の令旨に応じて挙兵し、平家を滅ぼすのはご存知の通りであろう。 しかし、頼朝が開いた鎌倉幕府には、闇の部分が見え隠れする。頼朝は落馬のため落命という、武士として不名誉な死に方をしたとされている。二代将軍・頼家は、失脚させられた上に暗殺、三代将軍・実朝は、実の甥である公暁に殺され、ここに源氏の嫡流は絶えるのである。 「QEDventus 鎌倉の闇」(高田崇史:講談社)は、この鎌倉幕府に潜む闇を解き明かそうとする、薀蓄系のミステリーである。棚旗奈々・沙織姉妹は鎌倉の街を散策しながら桑原崇から鎌倉に関する薀蓄を聞く。沙織の勤める出版社の雑誌のための取材が目的であるが、鎌倉を巡る中で、定説とは違った、鎌倉の姿が浮き上がってくる。 この作品で述べられていることを大雑把に言うと、頼朝以下源氏の将軍たちは、北条氏の傀儡に過ぎず、鎌倉は、彼らを閉じ込めておくための場所だったということである。しかし、少しひっかかることがある。それは、承久の乱のときの、頼朝の妻の北条政子が御家人たちを鼓舞するための演説である。既に頼朝は死亡していたが、政子は頼朝の恩を涙ながらに訴え、御家人たちを鼓舞したと言う。人は、単なる傀儡に恩は感じないだろう。このことから、頼家以後はともかく、頼朝は、幕府の中で単なる傀儡ではなかったのではないかと思われる。もっとも、そのために、不審な死を遂げたのかも知れないが。 また、頼家、実朝、公暁らは、北条政子の子や孫である。尼将軍と呼ばれ、相当な権力を持っていたと思われる政子が、自分の子や孫が殺されることに関わっていたのかどうか。関わっていたとしたら、それはどうしてか。母親や祖母としての情を考えると不思議なことである。 ところで、棚旗姉妹の鎌倉散策と平行して、稲村モールドという会社で起こった、不思議な殺人事件についての話が挿入されているが、こちらは、最後に、いつものように、崇がついでにといった感じで解決している。こちらの事件は、鎌倉幕府とは直接の関係はない(強いてあげるとしたら、人間関係が多少似ているくらいか)ので、付録のようなものと思えばよいだろう。「QEDventus 鎌倉の闇」(高田崇史:講談社) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 26, 2007
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日曜日は、フジテレビの系列で放映された「ドラマレジェンド・HERO」を観ちょったんよ。別に、キムタクは見とうはなかったんじゃけど、舞台が、わしの出身の山口県ちゅうんで観たんいね。それに、以前「里美八犬伝」で仲間由紀恵の妹役をやった綾瀬はるかも出ちょったしねえ。(やっぱり仲間つながりかいね。)じゃけど、使っちょる言葉が、微妙に長州弁じゃあなかったんよ。ありゃー広島弁じゃーね。長州弁は、あねーにきつーないいね。ちゅうことで、わしが長州弁の雰囲気を味おうてもらおうちゅうて、今日は特別に長州弁で書いてみたいね。文章で書いたんじゃあ、アクセントがよー分からんけど、こらえてーね。 舞台は、山口県の海沿いの企業城下町・虹ヶ浦って言うちょるんじゃけど、どこがモデルなんじゃろーか。そねーな企業城下町ちゅうのは山口県にはないいね。光市に「虹ヶ浜」ちゅうんがあるんじゃけど関係ないみたいじゃし。海がきれいちゅうことは、瀬戸内側じゃないんじゃろうけど。じゃけど、日本海側にはそねーなものはないいね。ロケは、下関市豊北町の角島で行われたらしいんじゃけどね。確かにあそこじゃったら海はきれいじゃね。 脱線ばっかりしちょってもいけんので、話を元にもどそーいね。北海道から久利生がこの虹ヶ浦にある山口地検虹ヶ浦支部に、転勤してくるんよ。こののどかな街で、殺人事件が起こっちょとんじゃけど、事件現場で釣りなんてしちょったから、いきなり誤認逮捕されるんよ。山口県警は、そねーいきなり逮捕すりゃーせんいね。 それで、結局被疑者として逮捕されたんが、鴨井産業専務の滝田ちゅう男じゃったんよ。人格者で街中から慕われてたもんじゃから、虹ヶ浦支部の連中は、大慌ていね。街中から嫌われ者になるんじゃからねえ。支部の連中は、さっさと正当防衛か過剰防衛位で処理せえちゅうて、及び腰じゃったけど、久利生は、滝田が何か隠しているちゅうて、自分が納得するまで追及するんよ。その姿勢に、支部の連中もひきずられて、だんだんと成長していくちゅう話じゃあね。 中井貴ーは生真面目な役を、堤真一は少々変わり者の役を、よー演じちょったいねえ。綾瀬はるかはかわいかったいねえ。キムタクは、・・・ まあ、あえて言うまーいね。 最後に、久利生が東京に転任して行く時に津軽からもろうた「あごま」。そねーなものは、長州人のわしも知らんちゅうんで、わざわざネットで調べたいいね。ありゃー、やっぱり、架空のもんじゃったみたいじゃった。そりゃー、あねー匂うもんは山口県にはないいね。(注)・山口県でも地域により微妙に方言が違いますので、あくまで私の中の標準山口弁です。・その他の県にも住んでいたことがありますので、微妙にその地方の方言の影響を受けているかも知れません。(出演)・木村拓哉(久利生公平) ・堤真一(津軽保)・綾瀬はるか(泉谷りり子)・中井貴ー(滝田明彦)ほか○映画「HERO」の公式HPはこちら ○応援してね。 「HERO」DVD 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 25, 2007
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「炎髪灼眼の打ち手、使命に生きるフレイムヘイズ」 以前、「灼眼のシャナ」を読んだので、今度はその続きをと思って、ネットで第二巻を注文した・・・・・つもりだった。 届いてみると、思っていたライトノベルズではなく、コミックスだった。「灼眼のシャナ2」(高橋弥七郎/笹倉綾人:メディアワークス )である。ちなみに、「2」は本当はローマ数字であるが、楽天のシステムではエラーになってしまうので算用数字で代用している。内容は、下劣な体育教師をやっつけるところから、「狩人」の真名を持つフリアグネと戦い始めるところまで。依然読んだノベルズ版の、真ん中あたりに当たる中途半端な位置であった。前後のストーリーが分かっているので、これでも十分楽しめたのだが。 シャナが、「トーチ」である坂井悠二をだんだん意識していくところが、この手の作品ではお約束とは言いながら、なんともほほえましい。また、超人的な力を持ちながら、メロンパンが好きなところもかわいらしい。 しかし、だんだん深みにはまりつつあるような・・・ ○「灼眼のシャナ」の記事はこちら「灼眼のシャナ」(高橋弥七郎/笹倉綾人[コミックス]:メディアワークス/角川GPメディアワー )&シャナグッズ ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 24, 2007
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内田センセの小説では、公共工事のあるところに利権あり。利権あるところに不正あり。そして不正にまつわる殺人事件ありというパターンが多いが。今回読んだ「札幌殺人事件」(内田康夫)もそのパターンのようだ。これも、浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。もっともまだ、上巻しか読んでいないので、その香りがぷんぷんするとしか言えないのだが。ここで問題となっているのは、「札幌ドーム」。2001年に開場した日本で6番目のドーム球場である。 光彦は、雑誌「旅と歴史」の藤田編集長を通じて、札幌のイベント会社専務の越川春恵の依頼を受ける。越川の夫伸夫がどこかおかしい。どうも東京の大手イベント会社のプロデューサー・白井信吾と関わりがあるようだということで、春恵は、かっての部下戸田亘に白井の身辺調査を依頼していたのだが、その戸田が行方不明だというのである。一方北大植物園では殺人事件が発生していた。果たして、これらの関連は?光彦は、札幌に飛び事件の謎を追い始める。○写真は札幌の時計台 そして、これも内田センセ得意のパターンであるが、そこで、光彦は地元の現状を憂う壮士といった老人に会って、札幌ドームに絡む問題の存在を知るのである。しかし、たまたま入った喫茶店で、偶然にこんなキーパーソンらしき人に会うというのも、ちょっとご都合主義という気がする。「札幌殺人事件」(内田康夫:角川書店) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 23, 2007
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最近、遅ればせながら、面白い漫画を知った。「怪物王女」(光永康則:講談社)という作品である。「月刊少年シリウス」(講談社)で、2005年8月号から連載されており、既に連載開始から2年以上経っている。TVアニメにもなっているらしい。今回買ってみたのは、その第1巻だ。昔「怪物君」という藤子不二雄の漫画があったが、この作品、設定を参考にしているようなところはあるが、直接の関係はない。 主人公は、怪物たちの上に君臨する王の娘、すなわち王女である。だから、「怪物王女」と言うわけだ。別に容貌が怪物のようだというわけではない。ゴスロリ風の衣装のよく似合う美少女だ。王女だからか、名前は「姫」と言うらしい。そのまんまの名前だが、自分で「わが名は姫」と名乗っているから間違いないだろう。一般に、お姫様は、名前の後に、姫をつけて呼ばれるものだが、この「姫」の場合は、「姫姫」とは呼ばれないようだ。 どうも、姫の兄弟たちは、王位継承権争いで、お互いに争っているらしい。姫にも、狼男、透明人間といった刺客が次々に襲いかかる。 怪物で、しかもその王女さまなら、ものすごい力を持っていそうなものだが、姫には、血を与えた者を半不死身にするという力しか、特別な能力はないようである。戦う時には、剣やボウガン、チェーンソーなどを武器にしている。しかし、一番の武器は、王女の気品と誇りの高さかもしれない。 この手の漫画には、巻き込まれて主人公と行動を共にする気の毒な男子が、よく出てくる。この漫画では、日和見 日郎という中2の少年がその役である。何度も、文字通り、死ぬ目にあうのだが、姫の血のおかげで半不死身になっているため、何とか生き延びている。一見かわいらしい幼女だが、実はとんでもない怪力の人造人間フランドルとこの日和見君、そして、狼人間とのハーフであるリザが、姫を助けて、兄弟たちの送ってくる刺客と戦っていくようだ。今後どう展開していくのか楽しみである。「怪物王女」(光永康則:講談社)&関連グッズ ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 22, 2007
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「セカンドライフ」、日本語に直せば「第二の人生」である。この言葉を聞いて、私たちの世代が真っ先に連想するのは、「定年後の人生」であろうが、ここで言う「セカンドライフ」とは、リンデンラボという会社がネット上で運営する仮想世界のことである。 こんな前置きを置かなくても、既に多くの人は知っており、実際に「セカンドライフ」を楽しんでいるのだろう。2003年に正式サービスが始まってから、わずか4年で、全世界に800万人以上の登録ユーザーがいるという。 「超実践! セカンドライフ」(三淵啓自:角川書店)は、この「セカンドライフ」について、概要と特徴、参加の仕方と楽しみ方などを解説した入門書のような性格を持っている。 「セカンドライフ」は、通常のゲームのように、場面の設定やストーリーなどは与えられていない。リンデンラボという創造神の創った仮想世界があるだけである。しかし、基本的には、リンデンラボは仮想世界というインフラを与えるだけであり、主役は、この世界をアバターという分身を使って動き回るユーザーたちなのである。ここでは、ユーザーたちは、国や民族や年齢や性別に関係なく、自由になりたいものになり、コミュニティを作っていくのだ。技術と能力さえあれば、この世界でいろいろなものを作り出すこともできる。 「セカンドライフ」の大きな特徴のひとつは、この世界で使われている「リンデンドル」という仮想通貨が、実際のUSドルとリンクしており、換金できるということである。このリンデンドルが取引されている金額は1日で日本円に換算して1億円強というから驚く。 しかし、我が家の古いパソコンでは、スペックが追いつかず、「セカンドライフ」は楽しめないらしい。まあ、現在のところ、そこまでの時間がないので、別にいいのだが。「超実践! セカンドライフ」(三淵啓自:角川書店) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 21, 2007
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「Φは壊れたね」(森博嗣:講談社)を読んだ。それにしても変わった題名の本である。題名を見ただけでは何のことを書いた本かよくわからない。「○○殺人事件」と銘打ってくれれば、ミステリーとすぐわかるのであるが。 そんな与太話はさておき、カバーに印刷してある森氏の作品リストを見ると、どうもGシリーズというやつの最初の作品のようだ。ところで、Gってどんな意味だろう。他にもS&MシリーズとかVシリーズとかあるようだが。S&Mは主役の頭文字のようだが、この作品にGが頭文字の人間っていなかったし。 さて、肝心の中身のほうだが、主な登場人物は、C大学の学生加部谷恵美、海月及介、山吹早月のトリオとおなじみ西之園萌絵、そしてC大助教授に出世した国枝桃子である。犀川創平は、今回は友情出演だったのか、声の出演だけだ。事件は、山吹が友人の舟元のマンションに遊びに行ったことから始まる。舟元の部屋の上の部屋で殺人事件が起きる。密室殺人で、部屋の中の様子は、誰が仕掛けたのかビデオに録画されていた。そのビデオにつけられていたタイトルが「Φは壊れたね」であった。そして、事件の真相を、ワイワイと追究していく。 登場人物が、また変わっている者が多い。海月は、デスノートの「L」や「QEDシリーズ」の「桑原崇」のようなキャラクターだ。最後に事件の謎を解くのはやはりこいつだった。加部谷はデスノートの「ミサミサ」や「QEDシリーズ」の「棚旗沙織」という感じか。 しかし、結局、推理だけで終わり、事件が本当に解決したのかは分からない。動機なども完全に明らかにされてはいない。何より「Φは壊れたね」の意味っていったいなんだったんだ。とにかく変わったミステリーである。「Φは壊れたね」(森博嗣:講談社) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 20, 2007
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以前、このブログで、「貴賓室の怪人(「飛鳥」編)」を紹介したが、その続編にあたるのが「イタリア幻想曲」(内田康夫:角川書店)である。題名が示すとおり、舞台となるのは、イタリア・トスカーナ。なんと、浅見光彦の兄陽一郎も、学生時代にこの地を訪れていた。そして、陽一郎がこの地で出会った久世という男が事故死を遂げていたのだ。 そして、三十年後、奇妙な依頼で、この地を訪れた光彦は石渡という日本人が殺害されるという事件に遭遇する。 30年前の出来事と、現在の殺人事件。これらは、不思議な運命の糸で結び付けられていた。キーワードは、日本赤軍と聖骸布。一見関係が見出せそうに無い二つのものを、内田センセ独特のセンスで結びつけた作品である。しかし、内田センセ、放射線に対する知識はあまりないようである。聖骸布のキリストの像は放射線で焼き付けられたようなことを書いているが、それで、近くにいた人が、どんどん白血病になっていくというのは無理がある。どうも放射能と放射線の区別がついていないようだ。これは残念。 ○「貴賓室の怪人(「飛鳥」編)」の記事はこちら「イタリア幻想曲」(内田康夫:角川書店) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 19, 2007
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かって、夏目雅子と言う、美しい女優がいた。多くの人に愛されたが、27歳の若さで白血病のため神の元に召された。しかし、その存在感と美しさは、伝説となり、いまなお、たくさんの人を魅了し続けている。 日曜日の夜、TBSのスペシャルドラマとして、この夏目雅子の生涯を描いた、「ひまわり~夏目雅子27年の生涯~」が放映された。主演は仲間由紀恵である。美しい人が、美しい人を演じる。今、夏目雅子の役ができるのは、仲間位しかいないであろう。確かに、きれいな女優やかわいいタレントは多い。しかし、夏目雅子と同質の美しさを持つ女優は他には見当たらない。他の女優がこの役を演じても、夏目雅子の存在感の前にはかすんでしまい、視聴者は、あまりのギャップに戸惑うのではないかと思う。 時折、仲間由紀恵の顔に夏目雅子の顔がダブって見える。まるで夏目雅子が乗り移ったかのようであった。いつものロングヘアとは違った髪形の仲間も新鮮でよい。ただ、坊主頭は三蔵法師というより一休さんという感じがしたのだが。 始まる前に、昔、ソフィア・ローレン主演の映画で「ひまわり」という映画があったなと思っていたら、ドラマの中にも出てきた。粗筋はすっかり忘れてしまったが、音楽がとても懐かしかった。また、本当のひまわり畑も出てくるが、こちらも美しい。 それにしても、夏目雅子が、1升あけても大丈夫という大酒飲みとは知らなかった。意外な一面もあるものだ。○応援してね。 ○夏目雅子関係書籍 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 18, 2007
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金曜日の夜は、日本テレビ系の金曜ロードショーで、「007ダイ・アナザー・デイ」を観ていた。いきなり、大波の中をかいくぐってサーフィンのシーン。すごい迫力だが、いったい何のためにしているのだろうと思っていたら、そのまま敵地へ侵入。そこで大暴れして、任務を果たすが、つかまって拷問の日々。次の作品「007 カジノ・ロワイヤル」でもひどい拷問を受けているし、もしかして、ボンドは拷問されるのが好きなのか。 髪も髭もぼうぼうに伸びるまで拷問され続けていた割には、捕虜交換で助けられたときは、元気いっぱい。なぜか傷ひとつない。毛深さだけがやけに目立つ。とても不自然だ。 せっかく助かったのに、情報漏えいの疑いで、00ナンバーは剥奪、殺しのライセンスも取り上げられてしまう。ボンドは、プライドをかけて、殺しのライセンスを取り戻そうと、キューバに飛ぶ。しかし、そこで、いきなり、ジンクスをナンパ。そんなことしてていいのか。それに、いつもイギリス国外であばれているが、殺しのライセンスって国外でも有効なのか?どうして、イギリスにそんなもの出す権限があるんだ。 他にも、遺伝子治療で人種が変わったり、とんでもない兵器が出てくるしで、「そんなん無理やろ!」と突っ込みながら観ていると結構面白い。 (監督)・リー・タマホリ (出演)・ピアース・ブロスナン(ジェームズ・ボンド) ・ハル・ベリー (ジンクス)・トビー・スティーブンス (グスタフ・グレーブス/タン・サン・ムーン大佐) ・ウィル・ユン・リー(タン・サン・ムーン大佐) ほか○応援してね。 DVD 「007 ダイ・アナザー・デイ」 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 17, 2007
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久しぶりに恩田陸の作品を読んだ。「まひるの月を追いかけて」(文芸春秋社)である。舞台は奈良。異母兄の健吾が奈良で消息を絶ち、静は、健吾の恋人の優佳利から、健吾の行方を探す旅を持ちかけられる。そして、二人(途中から健吾も加わるが)は、延々と飛鳥、そして奈良の名所旧跡を巡る。このあたりは、なんとなく、「夜のピクニック」の設定に似通っている。 実は、静が、この旅に誘われたのは、ある理由があったのだが、旅をしているうちに、少しずつ、優佳利の仕掛けた嘘が明らかになり、だんだんと核心に近づいてくる。 文庫版の帯に「恩田ワールド全開の傑作ミステリー」とあったので、てっきり、健吾が事件に巻き込まれ、それを静たちが解決するような話かと思っていたら、ぜんぜん違った。結局、健吾が本当に愛していた女性は誰だったかを延々400ページ以上(文庫本の場合)もかけて明らかにするというものである。 確かに、ちょっとしたどんでん返しが続き、恩田ワールド全開といえばそうであるし内容も、確かに、ミステリーと言えなくもないのだが、このオチはどうかな。これも、恩田陸らしいといえばその通りなのだが。「まひるの月を追いかけて」(恩田陸:文芸春秋社) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 16, 2007
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内田センセの作品は、もう100冊位読んでいるはずだ。本の後ろについている刊行作品リストを見ても、ほとんど読んだ記憶がある。もっとも、その内容は既に、霧の彼方となっているものも多いのだが。 その内田センセのデビュー作がこれ。「死者の木霊」(内田康夫:講談社)である。この間、やっと読むことができた。デビュー作らしく、作者の入れ込みが感じられる。内田作品は、ミステリーなので、当然殺人事件を扱うのだが、大体がさらっと扱っている。男と女の間もあまり、セクシャルな場面があった記憶がない。本作品のように、バラバラ殺人を題材にしたり、ちょっとセクシャルな場面が織り込んであるというのは珍しいのではないかと思う。 ところで、本作品の主人公は、信濃のコロンボこと竹村巡査部長。この事件の後、事件解決の功績で、警部に2階級特進するらしい。バラバラ事件の犯人の自殺で一度は、落着したかに見えた事件。しかし、竹村は、捜査の鬼となり、独断で事件を追う。一度は、停職・減給の処分を受けた竹村だが、警視庁の名探偵岡部警部補の協力などにより、見事真犯人に迫る。 竹村と岡部の豪華共演で、内田ファンなら欠かせない作品であろう。「死者の木霊」(内田康夫:講談社) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 15, 2007
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少子高齢化で、それでなくても現在の年金制度があてにならないのに、次々に出てくる、犯罪にも等しい(完全な犯罪もあるが)社会保険庁の不祥事には本当に腹が立つ。 このような年金不審が加速する社会情勢の中で、「年金をあてにしない蓄財術」(落合和雄:アスキー新書)といった本が出てくるのも当然の流れであろう。しかし、年金があてにならないということは、国が国民の老後を守ってくれないと言うことであり、国民を守らない国など、国家とは言えない。いったいこの国はどうなってしまうのだろうか。 さて話をこの本に戻そう。この本は、別にお金儲けの方法を教えるといったような本ではない。当然のことであるが、豊かな老後をおくるには、ある程度の金銭的な基盤が必要である。あわててやっても無理があるので、現役時代から、少しずつ準備をしていく必要があるので、年金制度や税制、投資などについてきちんと知って、ちゃんと準備をしておこうと言う趣旨の本である。 ただ、タイトルかる受けるイメージとは違い、公的年金をまったく当てにしていないというわけではなく、しっかり老後生活のベース分としては考えている。要するに、不足分を補うために、どのように準備をしたらよいかについて、色々ヒントを与えてくれる本である。老後の生活に不安が一杯の今のご時勢、一読しておいても損はないであろう。 それにしても、年金、しっかりと当てにしているんだけど、ちゃんともらえるんだろうな?「年金をあてにしない蓄財術」(落合和雄:アスキー新書) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 14, 2007
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姫島は、国東半島の沖合い、周防灘に浮かぶ孤島である。面積は約7平方キロメートル、人口は約2400人。大分県で唯一の村となっている。古事記にも登場する島で、伊邪那岐命、伊邪那美命が国産みをした際に生まれた島のひとつとされる。黒曜石や姫島盆踊りで知られ、また島には、姫島七不思議などの観光スポットがある。 「姫島殺人事件」(内田康夫:新潮社)は、この姫島を舞台にした浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。姫島に代々続く庄屋の家のどら息子・属(さっか)優貴雄が殺される。更に、光彦の知人のカメラマン浦本智文の死体が流れ着く。この二つの殺人事件を追うのが我らが浅見光彦と言うわけだ。 その背景にあるのは、20年前の出来事と、米軍基地移転問題に関する利権である。実は、二つの事件は関連はあるものの、別々の事件なのである。浦本の事件については、うまく警察と協力して、解決に結び付けている。しかし、属の事件については、あえて追求しなくても良かったのではないかと思う。光彦は、自分なりの美学にそった解決の方法を取る。だが、この場合、追求すること自体が、彼の美学に反するのではないかと思うのだが。おまけに、肝心要のところでミスをしている。 そういった疑問はあるものの、島の美しい景色を背景に、親の子に対する愛情や基地問題に対する問題提起などを織り込んだ良質のミステリーとなっている。ぜひ映像化して欲しいものだ。「姫島殺人事件」(内田康夫:新潮社) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 13, 2007
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9月9日、10日の夜は、TBS系で2夜連続放送された「輪違屋糸里 ~女たちの新撰組~」を観ていた。浅田次郎の小説「輪違屋糸里」をドラマ化したものである。 時代は幕末、新撰組副長・土方歳三と島原の芸妓・糸里の恋とそれぞれの生き様を描いたドラマである。 上戸彩演じる糸里はきれいだった。最後に太夫となって花魁道中を行うシーンは、堂々としていて目を奪われた。でも男性陣はどうかな。土方を演じた伊藤英明は、どうも海猿のイメージがこびりついて離れない。私くらいの年代だと、土方歳三というと栗塚旭の「燃えよ剣」のイメージが強すぎるのかも知れない。芹沢や近藤もちょっとイメージが違うのだが。(原作)・浅田次郎(プロデューサー)・森下和清(出演者)・上戸彩(糸里) ・伊藤英明(土方歳三)・中村獅童(芹沢鴨) ・的場浩司(近藤勇)ほか 「輪違屋糸里」(浅田次郎:文芸春秋) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 12, 2007
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武運つたなく生き延びて、この身を国のために捧げることを宇佐八幡に誓った八人。そう、彼らは、かって、生き伸びることが、「武運つたない」時代に生きていたのだ。大部分の者は、「戦後の半世紀、頑なに盟約を守り通した。しかし、私利私欲に生きた者もいた。 やっと、「はちまん」(内田康夫:角川書店) の下巻を読んだ。八幡神社をモチーフにした浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。上巻で、飯島と言う老人が秋田で殺され、光彦は事件を調べるうち、八幡の盟約のことを知る。そして、次第に明らかになる、事件の真相と八幡菩薩の不思議な縁。 一方、この作品のもう一つのモチーフは「サッカーくじ」である。「サッカーくじ」に反対していた、小内美由紀の婚約者・松浦は、出向先の高知県で、利権を求める連中に殺害されてしまう。秋田の事件とこの事件は、「サッカーくじ」の利権がらみという根は一緒なのだが、別の事件である。光彦は、高知の方は、うまくかたずけた。それでは、秋田の方はどう後始末をするつもりかと思っていたら、なんと内田センセ、悪いやつらに、八幡菩薩の神罰をあててしまった。ミステリーとしては反則技臭い解決である。「はちまん」(内田康夫:角川書店) ★「はちまん(上)」の記事はこちら○応援してね。
September 11, 2007
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やっと、録画していた「男たちの大和」を観た。テレビ朝日系の日曜洋画劇場で、40周年記念として、今年の4月8日(日)に放映されたものだ。2005年の東映映画である。 平成17年4月、鹿児島県枕崎漁港で、大和の乗組員だった内田二兵曹の娘・真貴子が、大和が沈没した地点まで連れて行って欲しいと漁師たちに頼む。漁師の一人で、大和の生き残りであった神尾は、真貴子を船に乗せて、大和の沈没地点に向かう。そして舞台は、戦争時の大和へと移る。 私は、戦争は嫌いだが、大和にはなぜか心引かれる。軍艦に美しさという概念があれば、大和は、間違いなく美しい船であろう。しかし、それだけでない。大和は、桁外れの性能を持ちながら、時代の流れから取り残されて、その性能を活かすことなく滅んだ、悲劇の船である。当時は、もう巨大戦艦の時代ではなく、既に飛行機の時代であった。群がるアメリカ軍の飛行機に、なすすべもなく沈んでいった大和。その滅びの美学といったものが、何か心に訴えるものがあるのであろう。 だが、大和は、本当に、時代遅れの無用の長物にすぎなかったのか。そんなことはない。大和で培われた技術は、敗戦後の日本の発展のため大きな貢献をすることになるのだ。今の日本を見たら、海底に眠る大和はどう思うだろうか。 神尾は、年少兵として、15歳で志願し、大和の乗組員となった。多くの年少兵たちも同じような年頃であった。今ならまだ高校生の年頃である。東シナ海に沈んだ大和。乗組員約3000人のうち生存者は1割にも満たなかった。多くの若い命をただ散らすことしかなかった、当時の指導者の無策振りには腹立たしい思いがする。 無名の多くの男たちが、大和で共に過ごし、大和と共に戦った。この作品は、そんな男たちの物語である。(原作)・辺見じゅん(監督)・佐藤純彌 (出演)・反町隆史(森脇庄八:海軍二等主計兵曹) ・中村獅童(内田守:海軍二等兵曹) ・松山ケンイチ(神尾克己:海軍特別年少兵) ・仲代達矢(神尾克己:明日香丸船長) ・鈴木京香(内田真貴子) ほか★「男たちの大和」公式HPはこちら○応援してね。 「男たちの大和」DVDと戦艦大和の模型 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 10, 2007
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真庭市の中心が勝山地区であり、市役所の本庁舎も、ここに置かれている。勝山地区は、江戸時代は三浦氏の支配する勝山藩2万3千石の城下町であり、勝山町並み保存地区には、今でも白壁の町並みが残っている。「勝山の町並み」 時間の関係で、駆け足で見て回った。時間があれば、じっくりと時間をかけて歩きたいところである。写真は、大雲寺の天蓋松。大雲寺の山号は岩獄山。浄土真宗の寺である。「大雲寺天蓋松」 この町並みには、「勝山郷土資料館」もある。勝山の歴史民族関係の資料を展示している小さな博物館である。時間がないながらも、一応入館し、超特急で見る。後で考えると、何を見たか、さっぱり覚えていない。やはり博物館はゆったりと見て回りたい。「勝山郷土資料館」 真庭市への旅 完★真庭市への旅1の記事はこちら○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 9, 2007
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伝統とは、単に古いものをありがたがって、後生大事にすればよいのであろうか。伝統と革新は相容れないものであろうか。そんなことはない。伝統の美名の上に胡坐をかき、停滞の中にまどろんでいるだけでは、やがては衰退の運命を免れないのだ。 「華の下にて」(内田康夫)は、伝統芸能の一つ華道をモチーフにした浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。今回の舞台は京都だ。 丹野奈緒は、京都の丹生流生花家元の家に生まれた、才能豊かな高校一年生の少女である。彼女は、なぜか、もっとも先鋭的な現代華道と言われる日生会の創始者・牧原の作品に心引かれる。しかし、牧原は、家元制度の廃止を訴えており、丹生流を始めとする伝統生け花緒流にとっては敵のような存在であった。(もっとも、それには一応の理由があり、後の方で明らかになるのだが。)その牧原の秘書中瀬が殺される。 華やかな生花の世界の裏で起こった殺人事件。光彦は、事件の真相を追うが、最後の解決の方法は、やはり光彦流であった。 昔住んでいた一乗寺などの地名も出てきて、懐かしい思いで読むことができた。「華の下にて」(内田康夫) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 8, 2007
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私のように田舎で育った者は、子供の頃に、神社の境内で、暗くなるまで遊びまわった記憶があるだろう。その神社の多くは八幡様のはずである。地元の氏神様として、もっとも我々に身近な神様であり、日本全国いたるところに祀られている。しかし、八幡様とは何かについて、それほど知られているわけではないようだ。 全国に散らばる八幡様は、大分県宇佐市の宇佐神宮を総本社とする神社である。主神は応神天皇であるが、神功皇后、比売神なども共に祀られている。この八幡神社をモチーフにした浅見光彦シリーズの旅情ミステリーが「はちまん」(内田康夫:角川書店)である。上下2巻構成であり、今回読んだのはその上巻である。 この八幡様のひとつ、長野県中野市にある小内八幡神社で、フリーカメラマンに小内美由紀は、飯島と言う老人に出会う。彼は、全国にある八幡神社を礼拝していると言う。その飯島が、秋田県で死体となって発見された。光彦は、飯島の息子が、姪の担任だったことから、事件を調べ始める。 この作品も、事件の裏には、終戦時の因縁があるようだ。その因縁が、戦後50年経ったとき、サッカーくじ問題を契機に、封印が解けたように噴出する。 しかし、上巻の中ほどで、犯人が分かってしまうような場面があるのだが、まさか、このままこいつらが犯人ってことはないだろうね。下巻でどういう風に展開していくのかな?「はちまん」(上)(内田康夫:角川書店) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 7, 2007
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真庭市は、岡山県の北部にある、人口約53,000人の市で、鳥取県との県境に位置している。2005年3月に5町4村が合併して誕生したまだ新しい市だ。蒜山高原や湯原温泉など観光名所も多い、岡山県下で最大の面積を誇っている。 ちょっと前に、この真庭市に行く機会があった。 まず訪れたのが、「久世エスパスランド」である。「旧遷喬尋常小学校」跡地に建てられた文化施設である。ちなみに、旧遷喬尋常小学校は、明治に建てられた洋風建築の美しい建物で、実際に2000年まで小学校として使用されていた。国指定重要文化財である。実は、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のロケ地のひとつである。鈴木一平が通う学校は、この建物が使われている。このほか、テレビドラマの「火垂るの墓」のロケ地でも使用されていたらしい。 エスパスセンターは、雛には稀なと言ったら失礼になるが、立派なホールを持ち、多くの芸能人が公演をしている。中に飾られている、ここで公演を行った芸能人たちのポスターが目を引く。「エスパスセンター」「旧遷喬尋常小学校」外観「旧遷喬尋常小学校」教室 また、真庭市はバイオマスタウンを目指しており、様々な取り組みを行っている。その一環で、天ぷら廃油を集めてバイオ燃料にリサイクルしている。写真は、そのバイオ燃料で走る自動車である。エスパスの敷地内を走っていた。「バイオ燃料で走る自動車」○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 6, 2007
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八咫鏡(やたのかがみ)、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)の三つを三種の神器と呼ぶ。言うまでもなく、皇室継承のシンボルである。 八咫鏡は、天照大神を天岩戸から引き出す際に使われたと言われる鏡であり、伊勢神宮のご神体である。 天叢雲剣は、須佐之男命が八俣の大蛇を退治した時に、その尾から出てきた剣であり、熱田神宮のご神体となっている。別名、草薙剣とも呼ばれる。ただし、本来の天叢雲剣は、安徳天皇が壇ノ浦に入水されたときに、共に海底に沈んだとされ、現在のものは、再度作られたものだと言う。 八尺瓊勾玉もまた、天照大神を天岩戸から引き出す際に使われたと言われる勾玉で、これは宮中に安置されていると言う。 「QED 神器封殺」(高田崇文:講談社)は、この三種の神器について、壮大な薀蓄を傾けながら、ついでに現在に起こった殺人事件の方も解決するという、ちょっと変わった歴史薀蓄ミステリーである。以前紹介した、「QED~ventus~熊野の残照」の続きの物語となっている。殺人事件の犯人の方は、途中で分かってしまうので、誰が犯人かを推理する楽しみはあまりない。そもそも薀蓄の方が主体なので、この部分には、あまり重きを置いていないのだろう。 登場人物は、レギュラーの桑原崇、棚旗奈々、詩織の姉妹、小松崎良平の4名と前作の中心人物神山禮子の他に強烈な人物が出てくる。その名を「毒草師」御名形史紋と言う。桑原崇以上に無愛想で、彼に負けず薀蓄を語れる。「御名形」という名は、明らかに、和歌山の生んだ知の大巨人・南方熊楠から取っている。 でも、今回の薀蓄、結局何が言いたかったんだ?「QED 神器封殺」(高田崇史:講談社) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 5, 2007
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「赤い靴 はいてた 女の子 異人さんにつれられって 行っちゃった」 良く知られた童謡「赤い靴」である。 ところで、もう一つ有名な童謡がある。「青い目の人形」である。 「青い目をした お人形は アメリカ生まれの セルロイド」と言った歌である。2つはまったく別の歌である。それにも関わらず、「赤き靴」と聞いて、もう一つの「青い目の人形」とつい混同したりはしないだろうか。かく言う私もつい混同してしまう。それもそのはず、実は、二つの歌は、どちらも野口雨情(作詞)と本居長世(作曲)によりほぼ同時期に作られた、対を成す歌だとのことである。「横浜殺人事件」(内田康夫)は、この錯覚をうまく織り込んだ浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。さわりをごく簡単に紹介すると、赤い靴について取材していた女性レポーターが殺された。一方、金沢八景の一つであった称名寺で男が殺されていた。浅見は、二つの事件に興味を持ち関連を調べ始めるというものだ。 しかし、最後の終わり方はどうも気に入らない。光彦は、犯人周辺の人々の名誉などを守るため、あえて犯人が死出の旅へ赴くのを見ぬふりをするということが良くあるが、今回は、全くそれとは異なる。裏社会の方法でけじめをつけられてしまったのである。光彦も半ば不本意だったようだが、こんな時こそ、兄陽一郎の出番を仰いででも正義を実現すべきではないかと思うのだが。「横浜殺人事件」(内田康夫:角川書店) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 4, 2007
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昨日の記事でも触れたが、金曜日の夜は、日本テレビ系の金曜ロードショーで「デスノート完全決着版」をやっていた。「多摩湖畔殺人事件」の方を観ていたので、こちらの方は録画しておいたのだが、ちょっとトラブルがあった。古いビデオ付のテレビを使って録画したのだが、テープが中に入ったまま出てこない。おまけに、電源を入れても、すぐに切れてしまうようになった。何回やってもだめだ。 これは、分解して取り出すしかないかと思ったが、こんなときに限って、ドライバーが見当たらない。しかたがないので、カセットの挿入口から手を入れてがちゃがちゃやっても、全然ダメだ。しかし、不思議なことに、もう一度電源を入れたら、取り出せるようになった。 さて、本題に入ろう。内容はご存知の通り、名前を書かれた人間が死ぬという死神のアイテム「デスノート」を拾った夜神 月の物語である。しかし、色々ツッコミどころが多い。 夜神 月は、まるで、お気に入りのおもちゃを手に入れた子供のように、「デスノート」を使っている。更に、こともあろうに、事件を捜査する捜査員まで殺し始めるのだ。完全に本来の目的から外れて暴走している。 「おまえが殺人鬼になってどうする!」 夜神 月は、非常に知性が高いと言う設定であるが、結局のところ、根本のところで、理性や判断力に欠けているとしか思えないのだが。 そうこう思いながら、観ていたら、途中でテープが終わっていた。3倍速のつもりが、ノーマルで録画していたようだ。まあ別にいいか。(原作)・大場つぐみ/小畑 健(監督)・荒木哲郎(出演)・宮野真守(夜神 月) ・山口勝平(L/竜崎) ・中村獅童(リューク) ほか★「デスノート」の公式HPはこちら○応援してね。 「デスノート」(大場つぐみ/小畑 健:集英社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 3, 2007
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金曜日の夜は、フジテレビ系の金曜プレステージで、「多摩湖畔殺人事件」を観ていた。内田康夫原作の同名小説をドラマ化した旅情サスペンスである。 それにしても、岡部警部がマッチ? 橋本千晶が安達由美?原作を知らない人のために説明すると、岡部警部は、警視庁きっての名探偵という知性派なのである。う~んどうだろうね。ちょっとイメージが違うんだけど。知らなかったが、2006年9月に、既に近藤真彦主演で初ドラマ化されているそうなので、評判は悪くなかったんだろうけど。また、橋本千晶は、車椅子の美少女と言う設定である。安達祐実が美しいのは否定しないが、ママさんなのに少女の役とは。 この裏番組が「デスノート」だったので、どちらを観ようかと思ったが、一応内田センセの原作だったので、「デスノート」の方は録画をして、こちらを観ることにした。内田センセの作品は大部分読んでいるが、たまたま、この作品は、読んでいなかったため、興味があったということもあるのだが。 内容を、ごく簡単に紹介しよう。商談で丹波笹山に行ったはずの千晶の父圭一が、多摩湖畔で死体で見つかった。手がかりは、「寺131588」と書かれた紙切れのみ。千晶は、これが、山形県の酒田市にある寺の電話番号であることをつきとめる。岡部達は、酒田に飛び、事件の真相を追究するというもの。 何かにつけ、赤いスポーツカーを飛ばすマッチ。そんな警官見た事ないぞ。あんたは、両さんの漫画に出てくる中川巡査か。時折、無意味にポーズをつけているところも目立つし。 泉谷しげる扮する神谷部長刑事が、病院でレントゲン写真を前に、医者から癌か胃潰瘍か分からないので即刻入院と言われていたが、普通その前に、内視鏡検査をするだろう。また、解決の手がかりを見つけて、犯人のところに一人で乗り込んで反対にやられてしまう。警察って、こんな大事なところで、一人で行動してはいけないんじゃないか。 思ったほど悪くは無かったが、色々ツッコミどころの多いドラマではあった。(原作)・内田康夫(監督)・武藤数顕(出演)・近藤真彦(岡部警部)・安達祐実(橋本千晶)・泉谷しげる(神谷部長刑事) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 2, 2007
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「通じるはずの心なんか、最初からどこにも存在しなかったんだ。」 青木淳子は孤独だった。誰にも理解されず、ひっそりと目立たずに、孤独の中に生きてきたのだ。念力放火能力(パイロキネシス)という恐ろしい力を持って生まれた彼女は、誰にも理解されないと思っていた。彼女は寂しかったのだ。 やっと、「クロスファイア」(宮部みゆき:光文社)の下巻を読むことができた。上巻では、淳子にガーディアンと名乗る謎の組織から接触があったが、下巻では、そのメンバーで、人を「押す」能力を持つ、木戸浩一という青年が彼女に近づいてくる。「押す」能力とは、人を思ったように操る能力のことらしい。 次第に浩一に引かれていく淳子。同じ異能力を持った者同志、やっと自分を理解してくれる人が現れたという喜び。もう自分は孤独ではないのだという思い。 しかし、それは仮初の幸せだった。最強の火竜のごとき力を持つものは、人並みの幸せを求めてはいけないのだろうか。忌み嫌われ、滅び去る運命なのか。ラストは、あまりにも哀しい。 上下2巻の長編だが、途中で飽きがくることなく最後まで面白く読める作品である。★「クロスファイア」(上)の記事はこちら★「鳩笛草」の記事はこちら○応援してね。 「クロスファイア」(宮部みゆき:光文社)&DVD 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
September 1, 2007
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