むやみに剣を抜かれるのは
、
よろしくない
崖下に落ち気を失っていた 新吾が目をあけると納富一無斎の顔が
そこにありました。「あなたは・・・」と言い新吾が起き上がろうとするのを、「傷は浅いが動かぬ方がよい」と一無斎が言います。





新吾の「どうして私を」の問いに、一無斎は、崖の下にあの男の死骸の傍に気を失っているところに通り合わせた、というのです。あの男とは大賀陣蔵でした。
「傷口から察すると、相手は私の弟子の白根弥次郎」と言うのを聞いて、新吾が聞きます。
新吾 「では、 あなたは
、 納富一無斎先生
」
一無斎「 ご存じか
」



新吾は、真崎先生から、今の世に権勢といわれるのは納富一無斎唯一人だと、よく聞かされていたと。
新吾 「でも、納富先生は、ずっと以前に、山の中にお入りになったのでは」
一無斎「世を捨て山にこもった身が弟子に裏切られ、再びこの世に老醜をさら
す。・・・己の蒔いた種をかりとるために山を降りねばならんとは、
・・・業の深いことです」
といって立ち上がり「では、おだいじに」と言い小屋を出て行く 一無斎に
、 新吾が
「 納富先生
」 と
声をかけます。新吾はお願いするのです。
新吾「何卒、 一手御指南ください
」
「 体にさわるぞ
」と一無斎がいうと、
新吾「いえ、 かまいません
」



一無斎「あなたは日本一の剣士、我らごとき老いぼれの及ぶところではない」
と言い去りかける一無斎めがけ、「 御免
」と 抜打ちに斬りつけると
、一無斎の姿は目の前になく、振り返った新吾の前に現れると、



新吾の振り上げた剣
を おさえる一無斎の杖
が重く、新吾はどうすることも出来ないのです。












しばらく新吾はどうすることも出来ない苦痛を浴びるのです。それは新吾の剣士としての自信を根本から崩していくほどの凄まじい一無斎の剣の極意でした。
一無斎はそんな新吾に、「心正しく、精進おこたわざれば、天下無敵の剣、・・・ 自
愛され
」そして


一無斎「 むやみに剣を抜かれるのは
、 よろしくない
」
そう言いい杖をおろし去って行く一無斎の後姿を、呆然と見ているだけの新吾でした。





そして新吾は 一無斎の言葉を噛みしめ山に
登っていきます。



「情けない、これが自源流代将か。 天下第一の剣か
・・・
」
新吾は自分自身に投げかけるのです。

続きます。
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新吾二十番勝負・・・(17) 2025年12月22日
新吾二十番勝負・・・(16) 2025年12月17日
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