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2026.09.30
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2026年7月刊ベリーズファンタジー著者:矢野りと(敬称略)敗戦国となった母国のために人質として隣国に送られた王妃ジュンリヤ。三年間の幽閉生活の末帰国したジュンリヤを待っていたのは夫の国王…と、その隣で微笑む側妃だった。ようやく母国に戻ってきたはずが、そこにジュンリヤの居場所はなく、さらにはあらぬ噂を立てられ孤立無援の状況に。しかし隣国での人質生活を経てジュンリヤには最強の味方がついていた! 彼らの協力を得たジュンリヤは王妃としての信念で、王の器ではなかった国王らの後ろ暗い真実を明らかにしていきーー!? 居場所を奪われたお飾り王妃が幸せを掴む大逆転ファンタジー! ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 ジュンリヤ=敗戦国の王妃。人質として三年間、元敵国で幽閉されていた。 レザム=リーディオン王国の騎士。ジュンリヤに好意を抱く。 アンレイ=フェルシナス国国王。ジュンリヤの夫。シャンナアンナ=アンレイの側妃。 ランダ=リーディオン王国第一王子。レザムの従兄弟。漸く戻ってくることが出来た。ゆっくりと馬車がフェルシナス国に入ると、王妃到着を心待ちにしていた民たちから歓声が上がった。同乗している侍女のクローナもこれには感無量のようで、姿勢を正すと正面に座る主に改めて労いの言葉をかけた。唯一傍に置くことを許された侍女のクローナは乳姉妹であり、気心の知れた仲だ。それ故に敵国での幽閉生活によく仕えてくれたと思う。三年と少し前のこと、寵愛する愛妾の我儘を叶えるため、先代の国王は隣国の鉱山を狙い無謀な戦を仕掛けた。しかし、隣国リーディオン王国は大国。当然ながら戦も強くこのフェルシナス国はあっさり負けた。それでも戦の元となった先代の王と愛妾の首を差し出したことでリーディオン王は矛を収め、和平にも応じてくれた。が、問題はそこからだ。命知らずにも一部の貴族がリーディオン王に刺客を放ち、暗殺を謀ったのだ。すぐに首謀者は取り押さえられ処分されたが、リーディオン王はカンカン。この件の落とし前としてフェルシナス国の王政の廃止か王妃を人質に差し出すか好きな方を選べと通告。当時、新たな王として第四王子アンレイが即位したばかり、差し出すよう言われたのはまだ年若い彼の妃・ジュンリヤであった。心から妃を愛していたアンレイはどうかそれだけはとリーディオン王に頭を下げた。しかしながら、飲まなければ王政は廃止され、この歴史ある国もリーディオン王国の属国になってしまう。反対する高位貴族は、王妃様は殺されるわけではないのだからとアンレイに王妃を引き渡すよう説得。結局、即位したばかりの気弱な王は彼らの意に従うことになった。リーディオン王はジュンリヤを離宮に幽閉し、最低限の生活は送れるよう手配した。使用人を置かなかったのは嫌がらせのためではない、この意味のない戦争でリーディオン側も多くの死傷者を出しているからだ。下手に使用人を置いてそれがジュンリヤたちを害さないとは限らない。自らの民たちに愚かなことはさせられないというの真意を知ったのは大分後のことだったが・・・。戦争で身内を失くしたのであろう民たちからの謗りや罵倒、石を投げられることも多かったが、それでもジュンリヤは皆に頭を下げ続けた。そう言えば、恩人さんは元気にしているだろうか。いつのころからか、見かねてジュンリヤを庇ってくれた騎士がいた。投げ込まれたごみの片づけを手伝っい、暴言を吐く民たちを宥め追い払ってくれた。いよいよ帰国が決まった日、達者でな、と短い言葉をかけて足早に去って行った後姿を思い出す。王宮の門を潜ると愛しい夫と臣下たちが勢ぞろいしていた。どうか気にしないで欲しい、涙を流して君を行かせたくないと縋りついていたアンレイは三年前より逞しくなっていた。戦火で荒れた都をここまで立て直すのは大変だったろう。元々、身分の低い側妃から産まれた彼は王位を継げるはずがなかった。が、あの戦に賛同した王子たちが軒並み捕らえられ継承権を剥奪されたことで、アンレイしか残っていなかった。臣下たちもごっそり入れ替わり、宰相は文官上がりだという何とも気弱そうな男。皆の労いに言葉に応えながら、アンレイの側に控える美しい女性に気付いた。宰相が言うにはジュンリヤが人質に行っている間に決まった彼の側妃だそう。はぁ!?シャンナアンナと名乗った側妃は、どこか挑戦的な眼差しでジュンリヤを見つめると臣下の礼を取った。この方にしてみれば、邪魔者が帰って来てしまった、って感じかしらね。それでも、国のために泣く泣く人質になっていた妃がいるのに側妃を宛がうなんてどういうこと!?困惑しているとクローナは部屋に帰るなり怒り狂っている。宰相の説明ではミヒカン公爵からゴリ押されたらしい。いい気はしないけれど、アンレイにものっぴきならない事情があったのだろう。その夜、当人からも事情が語られてジュンリヤも何とか自身を納得させた。しかも宰相からは向こう三ヶ月は陛下とのお褥はご遠慮いただくよう釘を刺された。皆疑っているのだ、三年も無事だったのはリーディオン国王か王子の寵愛を受け庇護下にいたのではと。元敵国の王族の子を陛下の子と偽られても困る。言外に言われてついにクローナがブチギレ。宰相に殴り掛かりそうな彼女を何とか押止め承諾を告げた。私、悔しいですっ。大泣きするクローナを抱きしめ、私は気にしてないからと微笑んで見せたが、空元気であることは見抜かれていそうだ。帰国して数か月、ジュンリヤは王妃でありながらもひっそりと暮らすのを余儀なくされていた。アンレイは辛い思いをして来たのだから暫くゆっくりしていればいいと言うけれど、まるでシャンナアンナが王妃のようだ。それに侍女達もほとんどが彼女のシンパで、ジュンリヤの扱いは二の次。そうこうするうち、延び延びになっていたクローナの結婚が決まった。ずっと誠実に待ち続けてくれていた婚約者と漸く結ばれるのだ。それでもジュンリヤ様をおひとりにするわけにはと、最後まで気に掛けてくれていた。そんな彼女に二度と会えなくなるわけじゃないから、とこれまでの忠義に感謝して送り出した。新しく侍女に付いたのはエリという大人しい娘だった。元はシャンナアンナ付きであったそうで、何となく監視されているように感じた。それから暫く経って、リーディオン王国から視察団が来訪。この国がまだ王政を築けているのは偏にリーディオン王の温情と辛い人質生活に耐えたジュンリヤのおかげだ。彼女の誠実さを信じたからこそ無傷で帰国もさせたが叛意あればたちまちフェルシナス王家は解体されてしまう。アンレイと宰相は緊張でガチガチの中、シャンナアンナは悠然と微笑んでいた。その後ろに控えるジュンリヤに気付き声をかけたのはリーディオンの第一王子・ランダだった。傍にはあの恩人さんもいて、やっぱりそこそこ地位のある人だったのだと思い知る。案の定、使節団のもてなしはシャンナアンナが取り仕切っていた。私にお任せくださいときっぱりと言われたら、王妃である私がと我を張るのも悪い気がして。でも、歓迎の夜会でアンレイとファーストダンスを踊る彼女の姿を見ると切なくなる。というか、もう疲れたしどうでもよくなっている。クローナが居たらきっと怒り狂ってるんでしょうけど・・・。バルコニーで黄昏ていると「元気か?」と声をかけられ振り向くと恩人さんがいた。ついそう呼ぶと、変な名前で呼ぶなと苦笑され「レザムだ、レザでいい」。そう言われて頭の中で練習する。いいのかよ、あれ、顎でホール内を示され、仕方ないのよと苦笑する。この国はあんたのおかげで今でもこうしてやってけてるのに、どこか悔しそうに吐き捨てる彼は、やっぱり良い人だと思う。実はこちらになんの報せも無く側妃を迎えていたのだと言ったら烈火のごとく怒りそうだったので止めた。言っておくが、と前置いて彼が言うには、フェルシナスには二度とバカなことをしでかさないよう幾人も間者を忍び込ませているらしい。要はジュンリヤの立場もしっかりバレているということか。あんたが望むならここから連れ出してやるとも言われたが、ゆっくりと首を横に振った。居場所がなくともまだ自分はこの国の王妃なのだ。何もかも捨てて一人だけ逃げることはできない。久しぶりにジュンリヤと会い、亡命をほのめかしたレザムは従兄弟の部屋に着くなり感情を爆発させた。あいつらはどうかしている!!誰の犠牲でこの国は成り立ってると思ってるんだっ。怒りに任せて殴った壁の漆喰がパラパラと零れてランダはレザムを窘めた。一目惚れしたお姫様が不当な扱いを受けていると知ったのだ冷静でいられるわけはない。リーディオン王家の男たちは惚れた女一人だけに尽くし溺愛すると言う、惚れられた方は若干迷惑な性質をしている。ジュンリヤも厄介な男に惚れられたものだ。同情しつつも、この国のヤバさにはランダも気付いていた。あの戦争で厄介な王と高位貴族はあらかた粛清できたが、それに成り代わろうとしている者たちがいる。シャンナアンナの義父・ミヒカン公爵だ。元々第四王子だという現王も頭は悪くないのだが、気が弱くあれではただの傀儡だ。宰相も文官上がりで得意なのは書類仕事だけと来てる。復興の裏で一部の貴族達がやりたい放題。民たちの不満が爆発するのも時間の問題だ。その前にレザムは何とかジュンリヤを助け出そうとしている。どのみち、彼女は不当な扱いを受けているのだ。何かきっかけがあれば一緒に来てくれるはず。自分達の首が薄皮一枚で繋がっているのも知らず、アンレイはジュンリヤの忠告を笑い飛ばし、心にもないことを言って傷付けた。もうだめかもしれない。そう覚悟していた矢先のこと、使節団が暗殺者の襲撃を受けた。幸いにもリーディオン側に手練れが多く、フェルシナスの護衛達も軽傷で済んだのだが、シャンナアンナの何気ない一言で、暗殺者の手引きをしたのがジュンリヤという疑惑がかけられ・・・。ザマア系かと思いきや・・・。ジュンリヤがひたすら可哀想で読んでてイライラしました。夫・アンレイも彼なりにジュンリヤを愛してはいたんですよ。でもやはり三年は長かった。シャンナアンナを好きになってた、とかではなく、不甲斐ないアンレイの態度に段々ジュンリヤが失望して行く様が何とも。別に恩に着ろと思ってるわけじゃない、蔑ろにされてるのが辛いと言ってるのに聞く耳持たず、面倒なことはシャンナアンナに任せておけばいいってさぁ。あんたなんにも判ってないよ、アンレイ。しかも結局ジュンリヤの不貞を疑ってたし。ランダ王子の暗殺未遂事件で犯人を差し出さないわけにはいかずに、ジュンリヤを突き出したりそこまでクズになったかと読んでて唖然。いやいや、シャンナアンナの証言と侍女達の話から怪しいのはお前だ、って普通なる?どう考えてもリーディオンをよく思ってない貴族の仕業やん。どれだけ無実を叫んでも聞き入れられず、こいつが犯人ですと彼女をランダの前に付き出したら、控えていたレザムが激昂。お前たちの目は節穴か、とリーディオン側の調査結果を読み上げます。レザムは自らの身分を明かし、人質ではなく客人としてジュンリヤを迎える旨を宣言し、心を決めた彼女もそれを受け入れます。俺たちはこの国をずっと見ているぞ、その言葉にアンレイたちは平身低頭し、ジュンリヤと使節団を見送り、その二十三年後、レザムの子・トルーザがフェルシナスを訪れます。お母君は息災でいらっしゃいますか?アンレイからの質問にトルーザは頷き、暑苦しい程父上に愛されて幸せそうだと告げ、いっけね、ジュンリヤ王妃は病死したことになってるんだったと渋い顔。それならばよかったと笑うアンレイも貴族たちの突き上げを食らいながらもなんとか王を続けているよう。フェルシナスを出たトルーザのモノローグで、レザムのめげないプロポーズに絆されたジュンリヤが結婚に応じた際、表向きは病死と発表したことなど、その後の事情が明かされ、家路を急ぐトルーザとその従者とのやり取りが描かれて物語は幕。レザムが結婚にこぎつけるまで五年かかったそうだけど、諦めない気持ちは大事。評価:★★★★☆
2026.09.29
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10月23日 レジーナブックス 二度目は貴方と 王太子妃を辞めさせられたその後は 桃井すもも 先に捨てたのはあなたですよね? 私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。 小野まい11月13日 ビーズログ文庫 なぜか執着してくる勇者様から逃げたい末端令嬢のお話 翡翠 理想の冷遇生活だと思ったら ミズメ11月28日 スターツ出版文庫 冷酷な軍神の純真花嫁(仮) 朝比奈希夜 補欠の花嫁は許嫁の愛に気付かない(仮) 桜月ことは 猛虎の若旦那と期限付きの婚約者(仮) 森田あひる12月15日 サーガフォレスト 冷遇された転生幼女は逆転する 「優秀すぎて気味が悪い」と婚約破棄したことを公爵は後悔しているようです 上下左右 婚約破棄されましたがおかげで聖女になれました 無自覚聖女は。もふもふ聖女と不器用王子に全力で愛される 瀬崎由美12月22日 蜜猫文庫 名もなき花は身分違いの恋をする(仮) 小山内慧夢 野獣系騎士団長の旦那様に毎晩抱かれて困っています(仮) ちろりん(敬称略)
2026.09.28
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2025年2月刊ヴァニラ文庫Miel著者:あかつきもも花(敬称略)ピアニストになる夢を諦めた栞里は、叔母に命じられた見合いの席に着く。そこに現れたのは、栞里の演奏を幼い頃から見守ってくれた、御曹司の暁彦だった!「可愛い、気持ちいいんだね」この結婚は搾取されてきた栞里を救うための契約上のもの。なのに、惹かれ合う気持ちは止められず、夫になった暁彦に優しく触れられ、快楽を覚えさせられて…!? ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 井沢栞里=飲料メーカーの社長令嬢。叔母の命令で暁彦と政略結婚する。 櫻庭暁彦=大企業の御曹司。長く栞里に想いを寄せていた。自分にとって最後のピアノコンクールが終わってしまった・・・。意外にあっさり終わってしまって、栞里はため息を吐いた。観に来てくれていた叔母が、これで漸くあなたのピアノ生活も終わるのねと嬉しそうに微笑むのを見て複雑な気持ちになる。十年に一度の天才と持て囃されるほどの腕前でも、叔母にとってピアノは騒音の元でしかないらしい。両親が不慮の事故で亡くなっていなければ、自分はこのまま大学院に進み、プロのピアニストを目指していたはずだ。大学卒業後は叔母夫婦が社長を務める飲料メーカー・井沢飲料への入社が決まっており、ピアノとは縁遠くなるだろう。それを寂しいと思いながらも、叔母の命令には従わなければならない。そのみっともない爪、ネイルサロンに行って綺麗にしてもらいなさい。深爪にならない程度に短く切り揃えられた栞里の爪を見て眉をしかめた叔母は、彼女の意見も聞かずさっさと駐車場に向かって歩き始めた。最優秀賞のトロフィーと賞状にも特に言うことは無いらしい。車に乗り込むと明日はお見合よと告げられ驚く。櫻庭グローサリーの御曹司がどうしてもあなたが良いとのご指名でね。ご機嫌な様子で説明する叔母にそういうことかと合点が行った。大企業の後ろ盾が出来れば井沢飲料も安泰だ。良かったわね、お義姉さんに似た美人に産まれて。これは誉め言葉ではなく完全な皮肉だ。俗に言う玉の輿で井沢家に嫁入りした母を叔母はバカにし、嫌っていたから。おかげで何かにつけて栞里がいたらないと母を責めるのだ。母を悪く言われたくなくて栞里はいつの間にか自分を卑下し、他人の顔色を窺がうようになってしまっていた。それはともかく、叔母の話しぶりでは結婚は確定なのだろう。翌日、精一杯着飾らされた栞里は叔母夫婦に挟まれ居心地悪くしていた。お相手は櫻庭グローサリーの社長の息子・櫻庭暁彦、子供時代、同じ音楽教室に通っており、今でもそのよしみでコンクールの度に花を贈ってくれていた。見知った相手ではあるが、会話しているのはお互いの親族のみ。そのうち、彼が二人で話したいと言うので連れ立って庭園に出た。その指、言われて「ああ」と苦笑し、もうピアノは辞めたのだと告げれば、彼は顔をしかめた。君ほどの才能の人がここで辞めるのは惜しい。そう言ってくれるのは嬉しいけれど、櫻庭の次期社長の妻になるのだ。覚えることは山ほどあるのにピアノの練習に充てる時間は無いだろう。元々、大学を出たらピアノを辞めて井沢飲料の社員になり約束だったので・・・。言いつつ宇俯くと、もう我慢しなくていいと彼は栞里の手を握った。見合いと言うより当人同士の顔合わせは恙無く終わった。暁彦の希望で入籍前からこの家に慣れておく方がいいだろうと、花嫁修業と称して栞里を櫻庭邸に呼び寄せた。暁彦の家族は両親と妹の大学院生・千春で、皆が栞里を歓迎した。特に義母の君子が栞里を気に入り、礼儀作法や社交の心得を直々に教えてくれると言う。この屋敷ではしょっちゅうその手の集まりがあるそうで、もの知らずを自認している栞里も気を引き締めた。部屋に案内されると見事なグランドピアノがあって驚いたが、音のことなら心配しなくていいから好きな時に弾けばいいの言葉に恐縮した。実家ではよく叔母に煩いと怒られていたから。でももうピアノは辞めたのだ、私にこんな立派なピアノは勿体ない。そう言えば暁彦はチェロを習っていたっけ、もう弾いていないのかと聞けば流石に忙しくて空き時間に少し嗜む程度だそう。君はよく俺と伴奏してくれたよね、の言葉に小さく頷く。当時は両親も健在で、物怖じしない子だった。八つも年上で高校生の暁彦に伴奏をせがんでは悦に浸っていたものだ。あの時は本当に失礼を、もじもじする栞里に、自分こそピアノの天才少女に誘って貰えて嬉しかったと暁彦は言う。そして彼女の肩に手を置くと、俺はね、君が不当に奪われたもの全てあいつらから奪い返してみせる。そう決意を露わにした。彼女がこんな卑屈になってしまったのはどう考えてもあの叔母のせいだろう。虐待はなにも身体への暴力だけではない、態度や言葉でいくらでも傷付けられる。近年はいくつも賞を採っている栞里ではあるが、それでも全盛期に比べるとはるかに少ない。昔は国外のコンクールの常連だったのに両親の死後三年は予選にすら入れず、ついに天才も地に落ちたかと一時話題になったものだ。が、ピアノを辞めろとしつこく言われ続け練習もし難い環境では仕方ない。もっと早く連れ出してやりたかったが、大学を卒業するまでと我慢した。入籍さえしてしまえば諸々準備していた計画を実行できる。大体、あの井沢飲料の株価格が何で半額になるほど落ちているんだ。あの叔母夫婦はよっぽどセンスが無いらしい。栞里との結婚を機に援助をチラつかせ書類にサインさせたが、碌に書面を読みもせずに署名しているのを見て吹き出しそうになった。弁護士にも確認させた方がとアドバイスもしたのに必要無いと言っていたり、経営者としてどうなのかとあきれるばかり。まぁいい、こちらはちゃんと忠告はしたからな。これから起こることを想像し暁彦はほくそ笑んだ。数か月後、ついに二人は結婚。互いの会社の兼ね合いで披露宴はかなりの規模になり、栞里はへとへと。それでももう少し付き合ってくれと暁彦に頼まれ、叔母夫婦と対面。彼は冷酷に二人を見据えると栞里の後見人から外すと告げた。もう彼女は成人している、もう後見は必要ないだろうと。後見人の権利返上は叔母夫婦にとって死活問題だ。今まで好き勝手やっていたこと全てが出来なくなる。彼らは青くなって栞里に助けを求めたが、彼女は首を横に振って二人を切り捨てた。今まで育ててくれたことは感謝している、でももう必要ないのだと。不当だと二人は最後まで足掻いていたが、署名済みの書類に全て記載されておりつくづく確認しなかった自分たちのせいと判るやガックリ。この数か月の間、ピアノを再び弾き始めたことと、義家族の優しさに触れ、栞里は本来の自分を取り戻し始めていた。それでもまだ叔母のことは怖い。でも暁彦さんが傍にいる。今までありがとうございました。栞里は叔母夫婦に深々と頭を下げた。あれから井沢飲料は社長が変わった。叔母夫婦は実家を出て行方は知らない。暁彦が相応の金を出したと言っているので地方にでも越したのか。新婚の二人はここじゃゆっくりできないからと櫻庭邸を出て、マンションに引っ越した。なるべく二人で家事をしようとハウスキーパーは雇わず、慣れないながらも和気藹々と楽しい日々を過ごせている。が、料理だけはお互いからっきしで初心者用の料理本を見てるのにどうしてこんな得体の知れないものが出来上がるのか頭を抱えた。それでも見た目はアレでも味はそこそこ良い。後は地道に行こうと凝りもせずせっせと挑戦し続けている。そんなある日、義父から創業記念祭でピアノ演奏を頼まれ、栞里は暫く練習に罹り切りになっていた。たまには息抜きをと切れていた洗剤を買いに夫婦で買い物に出ると、面変わりした叔母が立ちふさがり・・・。叔母さんにピアノを否定され、夢を断たれていたヒロインが初恋の人と結婚し、かつての自分を取り戻していくお話です。暁彦の作戦に見事にはまって後見人の権利を奪われた叔母夫婦は贅沢な暮らしから抜けられず、貰った金も早々に使い果たしていました。まぁ、この人達の場合、完全な自業自得なのと、これまでのモラハラで栞里を苦しめていた罪は暁彦にしてみればこれでも甘い。彼は、血液のガンで早逝した兄のことで苦しみ、罪悪感を感じていた自分を救ってくれた少女・栞里が何よりも大切で守りたい存在なのです。だからちゃんと書類を確認して弁護士にも見て貰えと言ったのに、と冷笑して追い返します。そして、創業記念祭で見事な演奏をした栞里はプロのピアニストになりたいのだと暁彦に相談。当然、彼は快諾し、義家族の協力の元、彼女は再びピアノに打ち込みます。五年後、海外でも成功をおさめ、あちこち引っ張りだこの妻のリサイタルを訪れる暁彦と栞里のやり取りが描かれて物語は幕。栞里を憧れだと会いに来た外国人の少女とのやり取りが読んでて、なんだかこみあげてくるものが( ;∀;)良い旦那さんと結婚して良かったねぇ、栞里ちゃん。余談ですが、口絵のイラストがかなり攻めててビックリ(苦笑)評価:★★★★
2026.09.27
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2026年7月刊ベリーズ文庫著者:滝井みらん(敬称略)日本を牛耳る巨大財閥のひとつ『朝比奈財閥』。看護師の凛はその御曹司・颯介の祖母を担当中。皆に優しく太陽のような彼はどんな女性も魅了するが、凛は颯介が超苦手!ある日朝比奈家の財産問題に巻き込まれ、颯介の兄から狙われるように。凛を守るために颯介は契約結婚を持ち掛けて…。嫌いな男との結婚は最低最悪だったのにー「素直に俺のものになれ」余裕な表情の裏に隠された執着愛に絡めとられ!? ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 岸本凛=看護師。とある理由で颯介と契約結婚した。朝比奈颯介=朝比奈財閥の御曹司。 夜神仁=夜神財閥の御曹司。颯介の親友であり、凛の実の兄。 藤本椿=出版社社長令嬢。凛の親友。朝比奈龍海=颯介の異母兄。朝比奈幸恵=龍海と颯介の祖母。総合病院のホスピス病棟に転属して早ひと月。夜勤を担当した先輩看護師から引き継ぎ、VIPルームに入室すると、朝比奈幸恵は嬉しそうに微笑んだ。幸恵は日本を牛耳る巨大財閥のひとつ「朝比奈財閥」の現総帥の母親だ。末期がんで余命宣告を受け、こうしてホスピスに入院したのだが、最近はアイドル・紅瑠偉にどハマりして毎日楽しそうにしている。病は気からともいう、幸恵の性格ならもしかして、と薦めてみて良かった。後で一緒に瑠偉の所属するグループのライブ映像を観ようと約束していると、幸恵の孫の颯介が見舞いに現れた。手にはケージがあり、開けると幸恵の愛犬「ココ」が飛び出して来て久しぶりの愛犬との再会を喜んだ。当然ながら病院にペットは持ち込み禁止だ。ちゃんと院長には許可を取ったと彼が言うので、仕方ないなぁと苦笑した。元々、凛はオペ看だった。が、ひと月前、病院の近くで車に轢かれそうになったココを凛が助けたのを幸恵に感謝された。凛が朝比奈総合病院の看護師と知るや、お世話してもらうならこの人が良いと院長に直談判した結果、凛は幸恵専属の看護師になったのだった。颯介と顔を合わせるようになったのもその頃からだ。実は中学、高校時代の先輩なのだけれど、彼は大層な人気者だったからきっとその他大勢の私のことなんて憶えていないだろう。そして、彼の隣には凛の兄・仁がいた。お兄ちゃん、元気かな・・・。両親が火事で亡くなって、兄妹は児童養護施設に引き取られたのだが、ほどなくして兄は夜神財閥総帥夫妻の養子になった。その後、成績優秀だった凛は特待生として朝比奈系列の私立学校に入学。そこで数年ぶりに兄と再会することが出来た。しかし、仁に話しかけても思い切り無視されてしまい、もう兄とは他人になってしまったんだと思い知った。だが、学校では椿と言う親友も出来たし、こうして朝比奈病院で働くことも出来ている。じゃあ、そろそろ。朝比奈系列の会社で副社長をしている彼は多忙だ。今日もわざわざ時間を作って見舞いに来てくれたのだろう。ココの入ったケージを持った彼を見送ると、凛ちゃん、ばあさんを頼むよとウィンクして帰って行った。翌日、幸恵の好物だという高級料理店の松花堂弁当を持参した颯介は、わざわざ凛の分まで購入して来てくれたらしく、三人でランチタイムとなった。するとそこへノックもせずズカズカと入って来たのは颯介の兄・龍海だった。彼は幸恵を見下ろし「何の用だよ」と睨んだ。どうやらあまり良い内容ではないらしい。席を外そうとすると幸恵さんにここにいて頂戴と引き留められた。そして龍海を見据え「私の遺産は凛ちゃんに譲るから」ととんでもない発言を。颯介は涼しい顔をしていたが、龍海は見る見る顔を赤くしてついには激昂。ふざけんな!赤の他人に百億近い遺産を譲るとか正気かと息巻く孫をしら~っと睥睨して私の気持ちは変わらないとキッパリ。そもそも、私個人名義の遺産が無くともあなたには朝比奈の財産があるでしょうと取り付く島もない。何を言っても無駄だと悟ったのか龍海は足音荒く出て行った。私、いただけませんっ!と言うより、あまり折り合いの良くない孫に遺産を渡したくないから単にダシにされたのかと思わないでもないが、ダメよ、もう遺言書も書き換えちゃったしと涼しい顔。何と昨日、院長に保証人を頼んで手続きを終えたと言うから驚きだ。口をパクパクさせる凛に、颯介は「貰っておきなよ、凛ちゃん」とニッコリ。いや、さっき百億近いとか聞こえたんですけど!?ばあさんはうちの株を結構持ってるし、まぁそれくらいにはなるかな。幸恵と二人楽しげに話している彼を恨めしげに見て、どうしようと凛は途方に暮れた。退勤時間になり、取り敢えず何も考えずに寝たいと家路を急いでいると龍海が待ち構えており、遺産を放棄しろと迫られた。五百万でどうだ?と言うけれど、その態度にカッチン。そもそもどうして私に言うんです?お身内での問題でしょう。毅然と言い返すと龍海が手を振りあげ衝撃を覚悟していると、ダメですよ兄さん。涼しい声がして顔を上げると龍海は颯介に抑え込まれていた。彼女に手を挙げたらばあさんだけでなく夜神も敵に回しますよ。言われてビクついた彼は解放されるやアタフタと逃げて行った。後を追うボディーガードらしき男性も慌てて着いて行く様を見て、もしかして颯介さんが来てくれなかったら私、相当ヤバかった?今更ながら怖気立ちブルブルと震える。あの人の雰囲気からしてこれは拙いかもと思ってたと嘆息した彼は、面倒事に巻き込んでごめんと謝罪。でも、ばあさんなりの凛ちゃんへも好意の表れなんだ、どうかそれだけは判ってやって欲しい、とも言われ頷く。そうして少し考えこんだ彼は暫くうちに来ないかと告げるや、凛にお泊りの用意をさせるや自宅マンションへ。コーヒーを勧めながら、ケリがつくまで寮には帰らない方が良いと颯介は言う。腐ってもあの人は朝比奈の長男だ、ゴリ押されたら管理人は逆らえない。その言葉にゾッとする。龍海兄さんは俺とは腹違いでね、そうしてぽつりぽつりと彼が話した内容によると、現在彼とは後継者争いの真っ最中らしい。なるほど、それでか。今は異母弟に大きく差を付けられている龍海は、それならと幸恵の遺産に目を付けた。彼女の保有する株があれば、と。余命宣告されているのだからただ待てばいい。しかしそこに来て急に幸恵が赤の他人に遺産を譲渡すると言い出したのだそりゃあ焦るだろう。にしても、五百万で譲れはないよなぁ。苦笑する颯介の言葉に頷いていいものやら。そこでだ、彼に真っ直ぐ見つめられたと思うと「俺と結婚しよう」と、まさかのプロポーズ。は!?何がそこで、なんですか!!食って掛かると、君を守るためなんだ、俺の妻になれば兄もおいそれと手出しできない。俺も君を妻にすればばあさんの株が手に入る。言うなれば利害関係の一致だなとまたもやウインク。彼が言うには、ここひと月というもの、幸恵から凛ちゃんはどう?としつこく薦められていたらしい。遺産を譲ると言ったのも、天涯孤独の凛が将来困らぬようとの配慮だった。そこまで気に入ってくれてたんだ、と思うと涙が出そうになる。その幸恵が自分と颯介との結婚を望んでいる。取り敢えず、五年をめどでどうだろう?そう提案されて凛は、よろしくお願いしますと頭を下げた。親がいないことで反対されるかと思いきや、彼の両親は母(幸恵)から聞いているよ、と大歓迎。婚姻届けの証人欄にも気持ちよくサインして貰えて胸を撫で下ろした。親友の椿には事後報告になってしまい、驚きと共に少し怒られてしまったが、颯介のほうはもっと責められたようで辟易としている。実は龍海へも対策と幸恵のためなのだとは話してあるが、今度詳しく教えてと後日会うことに。一方、同じ頃、颯介は自室で夜神仁と電話をしていた。どういうことです?と淡々と詰められ、事情を話すと溜息の後、凛を泣かせたら承知しませんからと言い残して電話は切れた。凛を死ぬほど気にかけていると本人にも言えな良いものを。あちらにも事情があるとはいえ、兄妹揃って不器用だと思う。俺たちより、お前の方こそ椿とどうなんだよ?と突っ込みたくなったが、他人の色恋沙汰は放っておくに限る。案の定、幸恵は大喜びで、早速結婚祝いにと大事にしていたルビーの指輪を凛に譲っていた。現在は小康状態が続いており、先日は三人で紅瑠偉の舞台を観に行った。朝比奈のコネで当人に会わせて貰ったら十年若返ったみたいだと大はしゃぎしており、その様子に凛も嬉しそうだった。そうこうしているうちに凛と颯介の仲も深まり、五年と言わずずっと一緒に居ようと約束。そんな最中、朝比奈と夜神の共同プロジェクトの巨大テーマパークが遂に完成。その落成式に参加した凛はそこで漸く仁と会話することが出来た。今日はなんていい日、化粧直しに行っていた凛は、具合の悪そうな女性を見つけ介抱をした。水が飲みたいと言うので脱水症状かしらと水を買いに化粧室を出ると何者かに拘束されてしまい・・・。百億の遺産・・・、相続税どれくらい持ってかれるんだろ(^_^;)確か一括で払わないといけないはずなんで、龍海から守る以前に超お金持の旦那がいないと詰みますよね。まぁ、夢のない話ですが、その辺は朝比奈の優秀な税理士が整理してくれるんでしょう。そして、凛を拉致したのは当然龍海の手の者で、颯介と別れろと脅されます。しかし、仁も凛の捜索に手を貸していたのであっさり見つかって龍海は罰として後継者からはずされることに。その後、凛は改めて兄・仁と会い、どうして無視していたのかその真相を語ります。この辺はあまりバラしてもアレなので割愛しますが、彼は彼なりに妹を心配しずっと見守っていたのが判る内容でした。難しい立場だったからきっと苦しかったろうなぁ。数か月後、諸々片付いて颯介と凛は幸恵も参加しやすいようアットホームな挙式を挙げて本編は幕。おまけの番外編はその後日談。第一子の妊娠判明エピソードと、その四年後、第二子を妊娠中の凛を気遣う颯介目線のお話でした。評価:★★★★☆
2026.09.26
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10月13日 ノーチェブックス 醜いと言われて婚約破棄された侯爵令嬢ですが、 狂犬公爵様に溺愛されて幸せです 桜百合 エタニティ・赤 期間限定の契約結婚のはずが、冷徹御曹司の独占欲に孕まされました 白亜凛11月9日 オパール文庫 沼らせないで、メグルくん 元同級生の地味男子が激メロ内科医になって容赦なく迫ってきます! あさぎ千代春11月19日 ティアラ文庫 堅物教育係は躾もご褒美も甘すぎる!? 脱走王女は宰相令息の過保護な溺愛に抗えない 市尾彩佳11月25日 メディアワークス文庫 悪妻は退場しましたので<上> 中村くらら 角川文庫 帝都の禍嫁 真帆路12月1日 Celicaノベルス バッドエンド目前のヒロインに転生した私、 今世ではなぜか独占欲強めの王子様が離してくれません!? 琴子 辺境の魔女と白い竜の幸せな森暮らし ~めぐる季節を、最愛のあなたと共に~ 一ノ谷鈴(敬称略)
2026.09.25
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2025年7月刊ロサージュノベルス著者:森野みずうみ(敬称略)伯爵令嬢マーガレットには前世の記憶があった。-小国の王妃だったが、裏切り者により捕えられ、最期は愛する夫に冷たく見捨てられて絶望の中で処刑された、悲しい記憶が。今世では静かに暮らすことを望むマーガレット。しかし舞踏会で、同じく前世の記憶を持ち、生まれ変わっていた元夫のリチャードと再会する。前世の苦い思い出が過り拒絶するマーガレットだが、リチャードは記憶の中とは違い、切なげな表情で甘く縋るように迫ってきて…?「会いたかった。この瞬間を何度も待ち焦がれたー我が妃」さらには突然求婚され、家の為に断れず結婚することになってしまう。リチャードの豹変に戸惑いながらも、マーガレットはやがて彼の前世からの深い想いを知ることとなりー。「やり直しましょう。わたしたち。最初から」すれ違い夫婦が過去と運命を乗り越える、千年越しの執愛ラブファンタジー。 ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 マーガレット=前世の記憶を持つ伯爵令嬢。 リチャード=侯爵。前世の妻であるマーガレットに求婚する。 アン=前世時代のマーガレットの侍女。 イザベル=リチャードの妹。心臓を患っている。裏切り者によって塔の最上階から吊るされて死ぬ。リヴァージュ伯爵令嬢・マーガレットは、繰り返される悪夢に疲弊していた。だが、彼女には判る。これは私の前世だと。八百年前に滅亡したオレナ王国。その数代前の王リチャード・フェイデンの妃マーガレットは、隣国との戦争中、敵側に寝返った家臣によって囚われた。国境の砦を明け渡すこと。それがマーガレット解放の条件だった。聞き入れられなければ王妃を殺し、塔に遺体を吊るす。不器用な方だけれど、きっとあの方は何を置いてもわたしを助けに来て下さる。マーガレットは愛する夫を信じて待ち続けた。しかし、勧告は無視され、結果彼女は首に荒縄を掛けられて幽閉されていた部屋の窓から突き落とされることになる。首に衝撃と、耳に残る骨の折れる嫌な音でいつもマーガレットは飛び起きる。信じていたのに・・・。あの方にとって私より砦の方が大事なのだと思い知らされた。とはいえ、自分でもわかっている。あの砦は重要拠点、おいそれと渡せるはずがない。きっと廷臣たちからも猛反対されたのだろう。でもだからと言ってそう簡単に割り切れるはずもない。信じていた夫に見捨てられた。それだけが真実で、生まれ変わっても許せずにいる。おかげですっかり男性不審になって、祖母の遺産を相続したのを機に領地に引き籠った。そんなある日、王都のタウンハウスにいる母から手紙が届いた。内容は社交界の重鎮・エヴァレット公爵夫人のパーティーに出席しろというもの。両親にしてみればせっかくのお誘いを断って夫人に睨まれたくはないのだろう。元々家族仲は悪くなく、一生独り身でいいと宣う娘を見捨てず心配してくれているのだ。たまには会いに行かなければ。嫌々ながら王都に向かった彼女は、母から華やかなドレスを贈られてゲンナリ。元々華やかで美しい容姿の彼女には多くの縁談が来ていた。それらすべてを断り、今やマーガレットは二十二歳。貴族令嬢にしては結構な行き遅れになる。無理強いしても、と放っておいてくれてはいるけれどきっと気が気でないはずだ。ごめんなさい、お父様、お母様。心の中で謝罪しながら馬車に乗り込んだ。公爵夫人はマーガレットの顔を見ると本当に来てくださったのね、と上機嫌。その様子に嫌な予感がした。あなたのお相手にどうかと思って、夫人が手招きして黒髪の男性を呼び寄せ私の甥のリチャードよと紹介した。陛下・・・・。間違いない、あの人だ。信じて待ち続けたあの方が目の前に立っていて、マーガレットは眩暈を起こしてふらつく。それを支えてくれたのはリチャードで、いきなり抱きしめられた彼女は目を見開いた。マーガレット、漸く会えた。切なげな声に怒りがこみ上げ、マーガレットは彼に強烈な平手打ちをお見舞いすると、足早に屋敷を後にした。彼にも前世の記憶がある。そう確信した。翌日、伯爵邸の前に一台の馬車が停まった。グロスター侯爵リチャードは、昨夜の謝罪に来たと言う。しかも、マーガレットと結婚したいと両親に頼んでおり、身支度を済ませて降りて来たマーガレットは怒りに震えた。しかし、相手は侯爵。バックにエヴァレット公爵家も付いているとなるとこちらからは断り難い。両親も娘の意思を尊重しつつ、迂闊なことは言えないと困っているようだった。結婚してもあなたの好きにして構わない。だから結婚して欲しい。下手にでているようで、自分の立場を最大限利用しているあたり、狡猾だなと思う。でもまぁそこまでいうなら、とヤケクソ気味にマーガレットは結婚を承諾。式に纏わる面倒事も全て彼に丸投げしたい気分だったが、流石に母に怒られ嫁入り道具にせっせと家門の刺繍を刺す日々。そうこうしているうちに時は流れ、挙式の日はやって来た。侯爵家の結婚式にしてはこじんまりとしていた。あなたは派手な事がお嫌いなようでしたので。見透かされているようで少しイラっとしたが、任せると言ったのは自分だと大人しくしていた。リチャードには体の弱い妹がいた。それでもイザベルは明るく話好きで、あの人と二人だったら間が持たないと心配していただけにその存在がありがたかった。数日後、やはり精神的負担が大きかったのか、マーガレットが熱を出し寝込んだ。リチャードが滑稽に見える程取り乱して心配していたのが意外ではあった。もしかして前世の贖罪のつもりなのだろうか。三日もすると起き上がれるようになり、その翌日には庭を散策できる程度まで回復していた。そんな薄着ではいけないと、走って来たリチャードが自らの上着を掛け寄り添うと、とうとう彼女は爆発。どうして、私を見捨てたのですか?ずっと聞きたかったことを尋ねると彼は何とも言えない表情をして「すまない」と呟いた。謝ってほしいのではない。ただ、あの時のこの人の気持ちを知りたいのだ。そうでなければ自分は過去に囚われたまま。教えて欲しい、必死な形相の彼女に彼は観念したようにあの日のことを語った。戦争が激化し、危険だからとリチャードはマーガレットを彼女の故郷に逃がした。数名の侍女と護衛達、流石にあそこにいれば大丈夫だろう。朝議が長引き見送りに出られなかったが、この戦が終わればすぐ会えるそう思っていた。数日後、戦場に出ていたリチャードは敵の罠に嵌って重傷を負った。王宮で目を覚ますと三日も経っていて、もの言いたげな臣下たちの様子に何故か嫌な予感がした。王妃様が亡くなりました。その言葉に彼は我が耳を失い、どういうことだと激昂。なんと彼女は領地に着いてすぐ、裏切った臣下に囚われ、塔に幽閉されていたと言う。解放条件は国境の砦を明け渡すこと。だが、そんな話、こちらには届いていない。どうしてすぐ連絡しなかった、と問えば、前宰相の娘であるマーガレットの存在を疎んでいた者が報告をもみ消していたそうだ。敵国が指定した期限はリチャードが意識不明の日と被っていて、結果返事はノーと受け取られてマーガレットは殺された。遺体は晒されることなく回収され、今は塔に安置されていると聞き、彼は飛び出した。亡くなってから三日以上、遺体は既に腐臭がしていたが、構わずリチャードは妻の遺体を掻き抱き号泣した。どうして、助けて下さらなかったんですか?マーガレット様はずっと陛下の返事を待っていらっしゃいました。いつも彼女に付き従っていた侍女はアンと言ったか、そのうち興奮して、お前のせいでマーガレット様は死んだんだとリチャードを責めた。遺体は丁寧に王宮まで運ばれ、リチャードは妻の墓所に跪き涙に暮れた。臣下が裏切ったから、報告をもみ消された、そんなのは言い訳に過ぎない。アンはどうしても許せなかったのだろう。彼女に殺されかけたが罪には問わず修道院に送った。そこで静かに暮らせば悲しみも薄れるだろうと。政変により家族を殺され、一人生き残った自分の身元引受人になってくれたクローヴィス侯爵。あなたが王になれと手助けをしてくれて、大事な娘を差し出した。初恋の人でもあるマーガレットとの結婚に自分は喜んだが彼女の気持ちはどうなのだろうといつも不安だった。それでも心の底から愛していた。なのにあんな死に方をさせてしまってとずっと後悔していた。リチャードの話を聞いてマーガレットは泣いた。私は見捨てられたのではなかった。しかも、ずっと愛してくれていたのだと本音を聞きもう充分だと思った。そうだ、仕事人間ではあったけれど、この人はいつも私を気遣ってくれていた。どうして忘れていたのだろう。私もあなたを愛しています。自らの本音を打ち明けると彼は驚いていたが、せっかく二人で同じ時代に生まれ変わったのだ。これからやり直せばいい。他人行儀だった二人が突然仲睦まじくなり、屋敷の者たちは困惑していた。何はともあれ良かったわね、とイザベルに揶揄われたが、気にせず二人は千年ぶりの新婚生活を満喫していた。ある日の夜、寝苦しさに目覚めたリチャードは枕元にイザベルが立っていて飛び起きた。せっかく、あの方に悪夢を見せ続けてあなたを憎むよう仕向けたのに、まさか仲直りしてしまうなんて。あの方は優し過ぎる。私はいつまでも陛下を許せずにいるのに。妹だったその顔がいつのまにか別人に変わったと思うと、リチャードは深い眠りに陥り・・・。転生ものです。前世で悲惨な死を遂げたマーガレットが、同じく転生していた夫・リチャードと再び結婚することに。しかし、献身的な彼の様子に贖罪のつもりかと穿った見方をしていたんですが、漸くあの時の真相を知り、二人は和解。結婚生活をやり直していたわけですが、なんとそこにリチャードに深い恨みを抱いていたアンが悪魔と契約を交わし、千年の時を永らえて復讐の時を狙っていました。そしてその恨みはかつて敬愛していたマーガレットにも向けられ、という展開です。でも、アンのやるせない恨みの気持ちも理解できなくなくはないんですよ。どうしようもなかったと理由を知ってマーガレットは夫への恋情もあって許したけど、アンには憎しみだけが残り続け大事な主人まで悲しませることに。しかし、二人の愛の深さを知って結局自分もマーガレットの幸せを願っていたのだと思い知るのでした。おまけの後日談で二人とその子供たちのことを見守っているアンのエピソードが描かれてたんですが、読んでて泣けました。もう成仏して欲しい気もするけどこれが彼女の望みならそれもいいんじゃないかと。評価:★★★★☆ドロドロ系で切ないお話が好きな方にお勧めです。
2026.09.24
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J:COMの通信障害により、朝からネット繋がらず今日の更新は無理そうです。スマホの方はWiFiに繋がるんですけれど....。明日は無事だといいなぁ。
2026.09.23
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昨日(9月21日)までに購入した本です。レジーナブックス8月刊シリーズ2作目です。佐倉伊織さん、別名義のキャラブンの方も読めてなくて(しかもどちらも続き物)こちらも積みそうでヤバイです。 ベリーズ文庫9月刊4点。まだ7月刊も読めてないのに(^_^;) マーマレード文庫9月刊2点。まだあと1点予定に入れてたような・・・。蜜夢文庫9月刊。レジーナ文庫9月刊。このレーベルも最近あまり購入出来てません。講談社タイガ9月刊こちらは読了済み、感想記事UPしてます。仕事のシフト変更もあって、なかなか読書時間が取れないのが最近の悩みどころです。
2026.09.22
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2026年8月刊スターツ出版文庫著者:松田詩依(敬称略)穢れた力を持つ呪われた双子の妹として虐げられ、姉を唯一の味方と信じて崇拝し、洗脳されてきた千影。彼女は姉の命により敵国の最強軍神・夜神を暗殺するはずが失敗し、彼に囚われてしまう。しかし千影の強力な穢れの力は、不死身の夜神を癒やし力を与える唯一無二の存在だった。「俺の妻になれ」と全肯定され深く溺愛される中で、夜神は千影の心を縛る姉の洗脳を優しく解きほぐしていく。呪われた少女が歪んだ呪縛を打ち砕き、自らの意志で幸せをつかむまで。 ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 神垣千影=穢れを宿す「呪紋の子」として長らく幽閉されていたが、敵国の大 将・夜神との政略結婚が決まる。 夜神=常世国の大将。何もかも承知の上で千影を妻に迎えた。 神垣紫光=千影の双子の姉。煌都国を守る巫女として君臨する。 久守匡真=千影の元婚約者。紫光に心酔している。 志穂=夜神の世話係。煌都国の由緒ある神官の家で産まれながらも不吉な存在として千影は長く虐げられてきた。反対に双子の姉・紫光は「神に愛された娘」として大事にされている。姉と違って自分は穢れを宿す「呪紋の子」、生かされているだけでも感謝しなければ・・・。それに、この国の穢れを祓うと人々から崇められながらも姉は妹を見捨てなかった。紫光姉さまから貰う血は体の痛みを楽にしてくれる。皆が私を蔑み、触れたがらないのに姉さまは労わりの言葉をかけ頬を撫でてくれた。だから、代わりに私は浄化の儀式によって内に溜まった姉さまの穢れを引き受けるの。孤独な少女は唯一の味方である姉に心酔し、依存し切っていた。自分が姉から移された穢れに苦しめられていることに自覚がない程に。数年後、珍しく父に呼び出された千影は自分に婚約者が出来たと知らされた。お相手は元軍人の久守匡真。神垣家の分家筋であり、今は父の元で神官の仕事をしているらしい。巫女である紫光は生涯純潔を守らなければならない。だが、神垣家の血を絶やすわけにはいかない。そこで千影に後継を産ませる必要があった。忌み嫌われながらもこうして生かされていたのはそう言うわけだ。これも姉さまのため。千影は唯々諾々と受け入れた。匡真は婚約者でありながら千影を疎み、この結婚は飽くまで神垣の血を後世に残すためと割り切り、結婚しても馴れ馴れしくするなと彼女に言い含めた。それでも床入りはどうあっても回避できない。汚らわしいお前が妻などと、あの方の妹でなければとどうしようもない事で千影を責めた。そんな様子を知ってか知らずか、紫光は千影を宜しくねと彼に微笑みかける。途端に挙動不審になる彼を見て、匡真は姉が好きなのだと思い知る。自分との結婚に名乗りを上げたのも姉の側にいるため。仲良さげな二人を眺め疎外感を感じていると、紫光が一緒に出掛けない?と二人を誘った。輿入れはまだ先のことだが、それでもこうして出掛けられるのは最後かもしれない。妹の結婚に姉も感傷的になっているのだろう。数日後、聖域と呼ばれる山まで行くと見事な紅葉だった。が、一方ここは常世国との国境近く、度々邪鬼が現れると聞く。姉も満足したようだし、帰りを促すと運の悪いことに邪鬼と出くわしてしまった。匡真は必死に紫光を守ったが、千影を庇いケガを負ってしまった。傷口から穢れを吸い取り応急手当てをした千影は匡真に姉を託すと囮になるため別方向に駆け出した。しかしすぐ追い付かれて彼女は深手を負い、弾みで崖から転がり落ち気を失った。数時間後、目を覚ますと千影は病院に居た。誰かが「ごめん」と謝りながら背負って運んでくれた夢を見たのだが、あれは夢ではなかった?その後、紫光の我儘で出かけたと言うのに、巫女にケガをさせた上、邪鬼の攻撃で更に穢れを溜め込む羽目になった千影は罰として地下に幽閉されたのだった。三年後、突如牢から引き出された千影は常世国の大将・夜神に嫁ぐよう命じられた。煌都国と常世国は長く敵対していたのだが、この度和平条約が結ばれ、その証として決まった結婚だった。夜神さまは私の体質をご存じなのだろうか。身支度を整えられ、迎えを待っていた千影に別れも挨拶に来た紫光は、あなたの身体中にあるその呪紋を見てあちらの大将はどう思うでしょうね、と嘲笑。あなたにはあれからも穢れを引き受けてもらってたけどそろそろ容量も限界そうだからもう要らない。その穢れで夜神を殺してきて?酷い事を言われているはずなのに、逆らう気持ちは無かった。暗殺をほのめかされた千影は静かに頷いていた。常世国はこんな狭い部屋で祝言を行うのね。四畳くらいの部屋で夜神と向かい合った千影は、言われた通りに盃を交わし彼の口づけを受け入れた。常人ならば穢れでひとたまりもないはず。が、彼は「人間兵器」とも呼ばれる超人。致命傷にはならないか、袂に隠し持っていた短刀で彼の胸を狙うがガッチリ手首を掴まれびくともしない。そればかりか再び口づけられたと思うと、どんどん穢れを吸われて行く。そのうち彼女は意識を失い倒れ込んだ。「俺の花嫁だ、丁重に使えよ」そう言って、入室してきた者たちに指示する声が聞こえた。目覚めると牢の中にいた。気付いたか?そう言われて目を向けると夜神が立っていて、咄嗟とはいえ大量に穢れを吸い出して済まなかったと詫びられた。千影は夜神の暗殺未遂犯として牢に入れられたらしい。自分は無事だったのだから必要ないと反対してくれたようだが聞き入れられず、上に掛け合い漸く釈放の許可が出たのだと言う。とにかく、しっかり休んで体に肉を付けろ、言いつつ千影を抱き上げるとすたすた歩き出した。表に停まっていた車に乗せられやって来たのは二階建ての洋館。迎えに出て来た志穂と言う名の使用人に千影を託すとさっさと奥に行ってしまった。この国の人たちは呪紋を怖がらないのね。夜神がかなり吸い出してくれたおかげで身体中にあった呪紋は大分薄れていた。それでも見ていて気持ちの良いものではないはず。なのに志穂は全く嫌がる素振りも無く、千影の身体を洗い着替えの手伝いをしてくれた。見ると志穂の手にも呪紋がある。思わずガン見してしまい、慌てて謝ると志穂は微笑み、これは夫と息子が生きていた証なのだと告げた。この国もやはり邪鬼は多く出現する。彼女もまた邪鬼に襲われ華族を失い自身も重傷を負った。邪鬼を倒した夜神に拾われ、ここで住み込みで働いているのだそう。奥様のお世話もお任せくださいと言われ、おずおずと頷いた。多分、お前は姉に洗脳されている。紫光に持たされた着替えには全て呪詛がかけられていて、それを燃やしながら夜神に告げられ、千影はショックを受けた。今思えば、どうしてあそこまで盲目的に姉を信じていたのだろう。まぁ、味方があの巫女様だけじゃぁ仕方ないさ。不器用な慰めだったけれど、彼は優しい人なのだなと思う。着替えを燃やしてしまったからな、そう言って彼は山ほどの洋服を千影に買い与え、美容室で髪を整えさせた。鏡を見れば美しい紫光とそっくりの顔があった。美容師には肩にある呪紋に気付いたろうにここでも気にされていなかった。故郷では穢れた者は全て国から追い出されていたのに・・・。帰りの車中で疑問を口にすれば、呪紋があっても普通に生活できるものを追い出したりはしないのだそう。本当にここは本当に煌都とは違うのね。そして、夜神は自らの体質を語った。彼は邪鬼の殲滅のため軍が生み出した人間兵器であるが、特質上、常に穢れを欲していた。じゃぁ、あの時私の穢れを吸ったのは?その疑問に頷くと、俺たちは互いにウインウインな体質なんだ。俺はお前の穢れを吸い取り力を増す。お前は体内の穢れで苦しむ必要は無くなる。それに、と付け加えられたのは彼が穢れの塊の存在であるがゆえに、不用意に素手で生物に触れられない事。お前には口づけても平気だったろう?聞かれて頷くと、それもお前の体質のおかげだと。利害関係の一致。取り敢えず、こんな自分でも必要としてくれる人がいる。そう思うと千影は嬉しかった。その頃、煌都では紫光が呪詛返しを食らい苦悶していた。さすがは常世国の切り札。あの子も失敗した割には生かされてるみたいだし腹が立つったら。それに、浄化儀式を望む者が多く、そろそろ穢れをどこかに移さないと拙い。やっぱりあの子を嫁に出したのは早まったかしら。とにかく、連れ戻さないと自分の身が持たない。それからというもの幾度か千影を返還するよう夜神と常世国に送ったが、すでに婚姻は結ばれているからと一向に応じない。仕方ないので、こちらの式典に二人を呼んだらとんだ恥をかかされる始末。そんな彼女に、私にお任せくださいと跪いたのは匡真だった。それから暫く経った頃、夜神が討伐に出ていた際、屋敷に侵入者が。急ぎ戻ったら、志穂が深手を負って倒れており、千影が何者かに攫われたと告げられ・・・。巫女でありながら腹黒の姉に洗脳された妹が、元敵国の大将との結婚で本来の自分を取り戻すお話です。紫光の意向に従い、千影を攫った匡真ですが、その身体は紫光により穢れを移され邪鬼になりかけていました。助けに来た夜神とも互角に戦い、若干押されかけていた所、姉の血で再び洗脳されかけた千影が彼の前に現れ、という展開です。姉がもう、とんでもない人でなしで絶対にけちょんけちょんにしてくれと読みながら思っていたら、まぁまぁプライドがズタズタになるような咎を受けたのでいい気味。匡真は紫光にのせられたようなものだけど、元からの性格がアレだったのもあり、順当な最期でありました。メイン二人の顛末ですが、実は夜神が三年前、千影を背負って人のいる所まで連れてってくれた張本人だったりで、二人が出会うべくして出会ったのだと判ります。「ごめん」と謝って意味は後に本人からも語られるんですけど、この辺は敢えて割愛します。その辺踏まえて、どちらかというと夜神の方が千影に惚れてる感じ。あの時の女の子に会えて嬉しさ反面、罪悪感反面と言った所でしょうかね。千影も姉の支配を脱却し、自分を一番に愛してくれる人に会えて良かった。評価:★★★★
2026.09.21
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2025年1月刊ティアラ文庫著者:桜舘ゆう(敬称略)『シンデレラ』として転生したアーティ。でも王子様とは結婚したくない!自立して夢を叶えるべく家出しようとしたら、ずっと好きだった幼馴染の魔法使い・シリウスに求婚され!?「君のいない世界は耐えられない」独占欲の滲む甘い囁き。巧みな愛撫で蕩けた最奥に愛楔を受け入れれば、心ごと抱きしめられているようで幸せいっぱいにー。運命を変えた乙女の、最高の溺愛婚! ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 アタナシア=童話「シンデレラ」のヒロイン。 実母の死をきっかけに前世を思い出す。 シリウス=アタナシアの幼馴染みで初恋の人。優秀な魔法使い。 ヴェルデル=オリスタリア王国王子。「シンデレラ」のヒーロー。 ヴァレッタ=シリウスの侯爵令嬢。 エルマ=アタナシアの意地悪な義姉。 ドルシア=エルマの妹。大人しく地味な性格。モルベルト男爵令嬢・アタナシアには前世の記憶がある。それを思い出したのは四年ほど前のこと。実母の病死がきっかけだった。突如流れ込んで来た二十九年に渡る前世の記憶。ファッションデザイナーだった自分は奇しくも「シンデレラ」をモチーフにした個展「シンデレラ展」に心血を注ぎこんでいた。が、個展開催が間近に迫った日、彼女は轢かれそうな猫を助けて事故死。デザイナーが急死したのだ、恐らく個展は中止になったんだろうなぁ。そう思うと後悔が残る。にしてもまさか自分が「シンデレラ」のヒロインに転生するなんて、これも心残りの影響なのだろうか。つくづく縁があるとしか思えない。せっかくならこの世界でもデザイナーになりたかったのだけど、自分が迎えるエンディングを思うとどう考えても無理な話だ。正直、彼氏いない歴年齢の自分からしてみれば一目惚れなんて信じていない。そんな私が初対面の王子に惚れて惚れられ王子妃になんてなれるんだろうか。王子様よりよほど王子様らしい幼馴染のシリウスを思い出して笑みが浮かぶ。とんでもないスパダリキャラのくせにこんな私と結婚したいと言ってくれる人。王弟であるベイフェルト公爵の嫡男で、少し前に将来の勉強のために公爵領の一つ・ブルクハウゼン領の領地に行ってしまった。もしかしてこれは彼がモブである証拠なのかもね。大筋は変わらないが、かの物語は翻訳や解釈、出版社によって微妙に内容が違っていたりする。シンデレラのシンボルともいえる靴がガラスでなかったり・・・。それでもヒロインには幼馴染なんていなかったはず。もうすぐ意地悪な継母と義姉妹が父の再婚によりやって来る。取り上げられないうちにお母様の遺品で金目の物は全部かくしておかなくちゃ。時は流れ、漸く長い勉強を終えシリウスは王都に戻るべく準備をしていた。当時は父に止められたが、こうしてブルクハウゼンの領地を受け継ぎ、新たに公爵となった今、アーティ(アタナシア)に正式に結婚を申し込むことが出来る。しかし、最初の一年は頻繁に返事をくれていた彼女だったが、今では精々年に数通返信があれば良い方。父によれば、モルベルト男爵家は没落寸前だと言う。彼女の家はそこそこ裕福だったはずだ。それが没落?それが傍から見ても傾いているとなれば、再婚相手が問題なのだろう。男爵は溺愛していた先妻を失くして以来、人が変わってしまったと聞く。それでも仕事だけは真面目にこなしているから下手に口を挟めず父も心配していた。きっと正面から尋ねたらごまかされるな。ならばと、空間移動の魔法を使い、身一つで男爵家の裏口に転移。だがそこでシリウスは信じられない者を見て絶句した。なんで、彼女が洗濯なんてしているんだ!?地味な灰色のワンピースを着た彼女は汗だくで、時たま洗濯物を広げては汚れが落ちているか確認している。すると、ドレス姿の若い女が現れ、明日のお茶会用に使うテーブルクロスの刺繍は終わったのか?とキンキン声で尋ねる。今日中には、と答えながらアーティは呆れたように溜息を吐きながら、毎日やることが多すぎです。テーブルクロスだけでなくバザー用の小物もお義姉さまに頼まれてるんですよ?家事全般私に丸投げされてるのに無理言わないでください。頭の良い彼女らしく、理路整然と状況を説明したが、それが気に食わないと義姉はアーティの頬を叩くと二日だけ洗濯以外の家事はしなくていいから、とにかく刺繍を仕上げろと告げると足早に去って行った。信じられない・・・。義姉があんな調子じゃ、継母はもっとひどいのだろう。男爵は何をやっているんだ!?とにかく、彼女の現状を見極めなければ。呪文を唱えたシリウスは一瞬で黒猫に変身すると、アーティの足に擦り寄った。動物好きの彼女はすぐさま猫を抱き上げ、自分の部屋に連れ帰った。ごめんね、私これから大急ぎで刺繍を仕上げなきゃ。猫(シリウス)をベッドに下ろすとアーティは裁縫道具を取り出した。テーブルクロスなのだろう、大きな布に繊細な刺繍が施されている。彼女は昔から刺繍が上手だった。貰って欲しいと恥ずかしそうに手渡されたガーベラが刺繍されたハンカチは今でもシリウスの宝物だ。あの義姉の口ぶりではこのテーブルクロスもバザーの品も全部自分が刺繍をしたと言うつもりのはず。しかも何だこの部屋は、屋根部屋じゃないか。怒りがこみ上げどうやって彼女を救うか頭を巡らした。転移魔法でアーティを連れ出すのは簡単だが、まだ彼女の気持ちを聞いていない。こんなことならもっと度々様子見に来るのだった。せめてまともな食事位は用意してやれたし、それこそ父に相談して彼女を助けることも出来たはず。つくづく当時まだ子供だった自分が悔やまれる。取り合えず、どうしたいのかアーティに聞くべきだな。シリウスは夢の中を装い、彼女の前に現れるとこれまでのことと、自分と結婚するつもりはあるのかを尋ねた。アーティが継母たちに受けた仕打ちは想像以上だった。だが、次女のドルシアだけは無理を言わずたまに食事の差し入れをしてくれたそう。要は酷いのは継母のカルラと義姉のエルマってことか。二人は邸中の金目の物を全て売り払い贅沢三昧、そのうち使用人を雇う金も無くなった。執事のセバスチャンだけは残ってくれているけれど彼にだって生活はある、そのうち出て行くのではと思っているとも。でもね、お母様の形見はここに隠してあるの。さすがにドレスは全部は無理だけど・・・。私、ドレスショップの店をやりたいんだ。お母様の遺品を売ってその頭金にしようって、嬉しそうに夢を語る彼女にストップをかけたシリウスは、僕のお嫁さんになってくれるんじゃないのかい?と問いかけた。恨めし気な視線に、私だってシリウスと結婚したいけど、無理よ。私は王子様に見初められて王子妃になるんだもの。王子!?はぁ?嘘だろ、あいつが君を見初めるだって!?従兄弟のヴェルデル王子の顔を思い出して、ぶるぶる拳が震える。それが「シンデレラ」のエンディングで、私がその主人公なの。ここは童話の世界なのよ。愛しい彼女がとんでもないことを言っている・・・。俄かには信じられないが、だからこそ父の再婚時期を知り母親の遺品を隠せたのだろう。王子妃になったらデザイナーにもなれないしドレスショップも出来ないわ。私それは嫌なのだから逃げようと思ってて。要はアーティはシリウスが迎えに来るのを信じていなかったのだ。期待もせず、決められた未来に抗う為一人で何とかしようとしていた。そんなことしなくていい!君は僕と結婚するんだ、あいつには渡さない。ドレスショップがやりたいなら協力するとも、シリウスの勢いに若干彼女は引いていたが、漸く信じてくれたのか涙を浮かべた。だが、後日開催される舞踏会は適齢期の貴族令嬢は全員参加が義務付けられている。それにはアタナシアも参加しなければならない。まぁ、着ていくドレスも無いんだけど、そんな彼女はまだこれが夢の中だと思っているようだ。それならそれで自分の魔法で飛び切りの装いと演出を用意しよう。舞踏会当日、魔法使いを装い、シリウスはアタナシアに素敵なドレスと、かぼちゃの馬車、そしてネズミの馭者にガラスの靴を用意した。奇しくも彼が用意したのは物語と同じもの。かくして彼女はしっかり王子に惚れられ追いかけられる羽目に。道中、シリウスに拾われ、彼こそが魔法使いと打ち明けられ驚いたが、あいつに見つかる前に籍を入れようと公爵家のタウンハウスに着くなりサインさせられた。さすがのヴェルデルも例えアーティを見つけだしても人妻に手出しはしないだろう。ホッとしたのも束の間、なんと王子はいつまでも見つからない令嬢にしびれを切らし、シンデレラに多額の懸賞金をかけ・・・。童話のヒロインである初恋の人を救うため奮闘する魔法使いのお話です。シリウスはヒロイン以外にはどうでもよいスタンスなので、こうなったら身代わりを仕立てるか、と画策していた頃、民の血税をそんなくだらないことに使うとは何事か、とヴェルデルによる懸賞金によるシンデレラ探しは猛反発をくらいます。そりゃ、一億もかけてたんじゃねぇ。おかげで懸賞金は撤回され、シリウスの案でもう一度舞踏会を開いてそこでお気に入りを見つけろと言う言葉に王子も渋々承諾。なぜなら、シンデレラの装いには認識阻害の魔法がかかっていたため、面影くらいしか覚えていなかったから。なのに、足が良かったから惚れたとか言うもんだから、そんなんで妃決めていいんかいっ、となりました。シリウスが「あいつ」と言ってたのも、そういう性格だと身に沁みてたからなんですね。結果、彼の案は功を奏し、アタナシア渾身のドレスを着た侯爵令嬢ヴァレッタが見事妃の座を射止めてめでたしめでたし。出来れば次女以外の継母たちには痛い目に遭って欲しかったけど、多分、このお話ではザマァにはあまり重きを置いていないんだろうなぁ。評価:★★★★☆
2026.09.20
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2026年9月刊講談社タイガ著者:友麻碧(敬称略)大妖怪ぬらりひょんが出現した。正体はーー夜行の母・朱鷺子。陰陽寮が総力を挙げて討伐に乗り出すも、ぬらりひょんは隊士を翻弄し、浅草は大混乱に陥る。英雄として母を斬る覚悟を固める夜行だが、それには大きな代償が待ち受けていた。一方、武井に攫われた菜々緒には大妖怪・天狗の魔の手が迫る。引き裂かれた夜行と菜々緒は、運命を乗り越えられるのか。五行結界動乱編、決着! ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 紅椿菜々緒=類稀な霊力を持ち、数年前猩猩に攫われ額に印を刻まれている。 紅椿夜行=菜々緒の夫。「皇國の守護神」の二つ名を持つ。 紅椿朱鷺子=夜行の母。 武井=本名・橙院武流。天狗の命で菜々緒を拉致した。 菊大路一成=六番隊隊長。夜行の同級生。 京極零時=十三番隊隊長。一成と夜行の同級生。武井に攫われた菜々緒が連れて来られたのは天狗の集落・天狗郷。どうやら武井は、これまでも天狗の命で幾人もの霊力の高い女を献上していたらしい。菜々緒を引き渡し、蛍流に会わせてくれと叫んでいた。が、外法と名乗る大和天狗の長が彼に寄越したのは、箱。こうしてあくせく武井が命令をこなしている間、蛍流は亡くなりその遺骸は外法に食われていた。箱の中に入っていたのは頭蓋骨と小さな骨がいくつか。茫然としていた武井は自らが騙されていたことを知るや、菜々緒を連れ天狗郷を脱出。激しい追手からの攻撃を躱し辿り着いたのは一時潜伏していた小屋だった。鷹夜がくれた籠目玉のおかげで何とか追手を巻いたけれど、武井が深手を負ってしまった。奇しくもここは五行結界の外。陰陽寮の助けは望めないかもしれない。程なくして武井が目を覚まし、菜々緒は蛍流が彼の妹だと知った。何があったのかは知らないが、妹が天狗に囚われて従わざるを得なかったのだろう。確かに武井は許されないことをした。それでも死んでほしくはないと思う。菜々緒は小屋の近くで採集した木の実をすりつぶして水に溶いたものを彼に飲ませた。きちんと儀式を踏んで作ったものだ、少しは回復の助けになるはず。数時間後、武井は予想以上に回復しており、誘拐の際に使用した打掛を菜々緒に手渡した。これを被っていれば追手にも見つからないと。自分が時間を稼ぐから夜行の元に返れということらしいが天狗の追手は中々に強く武井の奮闘があってもなかなか隙を作れない。結局見つかってしまった菜々緒だったが、必死の抵抗をしているうちに天狗の姿が消えていた。右の掌が熱い。見ると掌に×の字が浮かんでいる。そして足元にも×の字がいくつも散らばっていて何が何やら。困惑する彼女の耳に聞こえたのは自分を探す夜行の声。彼は菜々緒を見つけると無事でよかったと抱きしめた。彼の他に一成と零時が来ており、追手たちは次々倒されて行く。武井は救助と言うより捕縛されたようだが、一先ず彼も助かって良かった。菜々緒救出も成り、彼らはすぐにでも皇都に引き返すと言う。大妖怪ぬらりひょんが現れ、大暴れしているそうだが、その正体は朱鷺子。錯乱した彼女が飲んだぬらりひょんの丹丸のせいらしい。どちらにせよ、元に戻す手段がない。そうなればもう斬るしかないのだ。いくら嫌われていたにせよ、夜行にしてみれば朱鷺子は実の母だ。本音を言えばそんな辛いことはして欲しくない。だが、実の親だからこそ自分が手を下さなければならないと夜行は決意していた。一方、夜行の父・夜一郎は息子に咎を背をわせまいと、部下の緑川蓮太郎に特殊な銃弾を託し、ある頼みごとをしていた。夜一郎は自分が朱鷺子を押さえる。動きが止まったら自分ごと撃て、と。この作戦は鷹夜の乱入もあり、少し計画は狂ったが朱鷺子の自我を呼び覚ますのには成功。蓮太郎のライフルが放つ銃弾は全弾命中したが、断末魔の呪いが発動。夜一郎と蓮太郎が重傷を負うも仕留めるには至らなかった。結果、再び朱鷺子の意識はぬらりひょんに飲まれ、丁度その場に到着した夜行は母親だった大妖怪と対峙した。その頃、陰陽寮で菜々緒の話を聞いていた卑弥呼は、彼女に封印の才があると確信した。何匹もの天狗を一瞬で封じたのも彼女の霊力ならば不思議はない。もしかしてこれはぬらりひょんを倒す切り札になるかもしれない。迷っている暇はない、卑弥呼は武井もとい、橙院武流に菜々緒の力を呼び起こすよう指示。これは彼が橙院家でも類稀な力を持ち、呪法にも精通しているからだ。かくして、本来の力に目覚めた菜々緒は夜行の元へと急ぎ・・・。五行結界動乱編の後編です。武井さんにものっぴきならない事情があったようで、根っからの悪人では無かったのは良かった。でも、彼の大事な妹は天狗に食われ既にこの世を去っていました。生きる希望を失っていた武井ですが、騒動後に菜々緒に頼まれた沙羅の交霊術によってほんの少しだけでしたが妹と話すことが出来て、その遺言に従い生きると決意します。本来なら死刑になるほどの罪状でしたが、卑弥呼の計らいで五番隊に送り込まれ、そこで新たな人生を始めるのでした。一方、夜行は椿鬼の特性を生かしぬらりひょんとも戦えていましたが、ここにきて血縁の呪いが発動。朱鷺子が傷付けば夜行にも傷が出来、段々と劣勢に。そこに現れたのが菜々緒で、一成たちの援護のおかげで何とかぬらりひょんに辿り着き、という展開です。その際、ぬらりひょんの中にいた朱鷺子の意識と会話した彼女は義母の真意を知るんですけど、ホント、ぬらりひょん、許せんなという気持ちに。菜々緒のがんばりでなんとか朱鷺子は救えたものの、その後の顛末が何とも切ない。夜一郎も怪我と今回の事件の責任を取り引退したことで紅椿家の序列はかなり落ちることになりそう。そんな最中でも、夜行と菜々緒の祝言が挙げられたのは良かったのかもしれない。そして、夜行は卑弥子から菜々緒の額の印について語ります。あれはあやかしに付けられた傷ではない、と。菜々緒の傷の秘密については、次の「序列変動白宵編」で描かれるそうですが、小説の方はまたコミカライズ版で一区切りついてからの発売でしょうね。また二年くらい待たされるのかしら(^_^;)評価:★★★★★ダブルカバーの隊長たち&菜々緒の構図が良いです。
2026.09.19
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2025年9月刊ノーチェブックス著者:無憂(敬称略)自国の平和のため、隣国へと嫁がされた姫、ジュスティーヌ。彼女を娶った大公は彼女をずっと虐げてきたが『とある事件』で死去し、ジュスティーヌは自国へ戻ることに。天真爛漫だった彼女は、男性への不信感に満ちていた。国王や王太子はそんな彼女を慰めるため、護衛騎士となったラファエルにジュスティーヌを降嫁させようとする。ラファエルも彼女を憎からず思っていたが彼には彼の事情があった。--ラファエルには婚約者がいたのだ。しかし、ジュスティーヌのことを知るごとに彼の心は揺らぎ、次第に強い独占欲を剥き出しにするようになってーー? これは、無垢な姫君と無自覚に巨大な執着を抱く騎士がいびつに淫らな夫婦になっていくまでの物語。 ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 ジュスティーヌ=ノール王家の末姫。和平のため隣国の大公に嫁いだが、加虐趣 味のある夫に長年虐待されていた。 ラファエル=近衛騎士。帰国したジュスティーヌの護衛を務める。 マルスラン=ノール王国王太子。 ミレイユ=ラファエルの恋人。 アギヨン侯爵=ミレイユの父。貴族派の重鎮。戦争を終わらせた立役者であるジュスティーヌ王女が帰国される。ノール王国の民たちは喜びに沸いていた。六年前、まだ十二歳だった末姫は隣国の大公に嫁いだ。停戦の条件が王女を貰い受けることだったからだ。だが、大公は当時五十を過ぎており、王女とは四十も歳の差がある。当然、ノール王家は渋ったが、ジュスティーヌ本人が自ら志願したことで話は決まった。自分が嫁ぐことでこの不毛な戦争が終わるなら、と。引き渡しの際、王女の護衛を務めたラファエルはまだ騎士になりたての新米だった。王女は笑顔で家族に手を振り、凛と前を向いた。だが、側にいたラファエルは王女の目に涙が光っていたのを見逃さなかった。まだこんなお歳の方が国のためにと思うと労しくてならない。どうか幸せであられるようにそう願わずにはいられなかった。ジュスティーヌ王女の帰国から数日後、王宮に呼び出されたラファエルは、王太子から直々に王女の護衛を依頼された。大公の死により帰国が適った王女が修道院に行きたいと願っているそうで、国王と二人必死に止めていると言う。お前もあの国で妹がどんな目に遭っていたか聞いているだろう?詳しくは存じ上げませんが、と前置き肯定すると、マルスランは隣国の大公への恨み言を吐き出した。六年もの間、ジュスティーヌは夫から受けた虐待で身も心もボロボロになっていた。ドレスの下は消えない傷跡が無数にあり、診察をした医師が絶句したほどのものだったと言う。あの男のせいで妹は男性恐怖症で再婚させるのも難しい。かといって修道院に行かせるのもな。ほとほと困り果てた王家は暫く静養させるのが良いだろうと、輿入れにも着いて行った侍女達と乳母と共に王女を離宮に送った。その護衛をラファエルに頼みたいのだと。まだ十八歳のはずだが、美しく成長はしていたものの、ジュスティーヌにはどこか危なげな雰囲気があった。家族との再会で多少は元気を取り戻したようだが、当然ながらあの頃のような天真爛漫さは影も形もない。幸いにも、ジュスティーヌは護衛騎士達を怖がる素振りは無かった。苦労を共にした乳母と侍女達が傍にいるおかげもあるだろう。マルスランも一番怖がるのは大公と同年代の男だと言っていたし、それは仕方ないことだ。なのに、後添えを欲しがる高位貴族達がジュスティーヌを妻に、と申し込んで来ているらしい。誰のおかげで戦争が終わったと思っているのだとラファエルは恥知らずな男たちに内心で悪態をついた。ひと月ほど経つと漸く彼女に笑顔が戻った。祖母である王太后との面会のため、数日離宮を離れたのも良い気分転換になったようだ。その頃から彼女は、水面に映る月が見たいの、そう言ってラファエルを伴い夜の散歩をするように。あの人が寝所を訪れる夜は辛くて堪らなかった。でも、来なければ来ないで幽閉同然の私はどこにも行けなかったの。そんな時はいつも窓から池に映る月を眺めていたのよ・・・。隣国で過ごしていた時、王女にとって水面に映る月だけが慰めだったのは理解した。だから、こうしてまた月を見たくなる夜は付き合ってくださいねと頼まれ、ラファエルは必ずと誓いを立てた。その頃から、ジュスティーヌはラファエルに対し好意を抱くようになっていた。だが、近衛騎士であり隊長、加えてあの容姿だ恋人位いるだろう。それにこんな体の自分が愛されるわけはない。そんな彼女の気持ちを他所に、休暇で実家に戻っていたラファエルは父からジュスティーヌが自分に降嫁すると聞いて驚いていた。王と王太子からの頼みなのだと言う。降嫁するにしたってラファエルは伯爵家の次男坊だ。兄がいるので爵位は継げない。それに俺にはミレイユと言う恋人がいるんだぞ。どういうことだと、父と兄に食って掛かれば、元々王女のお相手にお前をと、お考えだったらしいのだという予想外の答え。ラファエルは先の戦で勲功を挙げている。褒賞として長く席の空いているボーモン領の領主に据え、未亡人となり帰国したジュスティーヌを嫁がせる。護衛騎士に任命したのもラファエルに慣れさせるためだったのだろう。マルスランがラファエルを随分と買ってくれていたからこのジロント伯爵家も大層な名誉だと大喜び。それにミレイユ嬢との結婚は無理だ。アギヨン侯爵が許すはずがない、とも。数年前に手酷く断られているし、本当なら封爵はもっと早くに決まるはずだった。それを侯爵が猛反対して先送りになっていたのだと聞いてラファエルはショックを受けた。王女の都合で白い結婚になるかもしれないが、必ずお受けしろと言い含められ彼は頭を抱えた。ジュスティーヌが嫌いなのではない。寧ろ初恋の人だった。ミレイユと交際が始まったのもあの輿入れの直後、やさぐれていた時期に庶子だと侮られ泣いていた彼女に同情したからだ。それでも一度は結婚を決意し求婚までしたのに、侯爵は爵位も無ければ手柄も立てていない男に娘はやれないと門前払い。そこで奮起した彼は数々の武功を立てわざわざマルスランも褒賞として叙爵できるよう取り計らってくれたのにそれさえ横やりを入れて潰されていたとは。腹が立って段々ミレイユへの想いもしぼんでいくのも判る。元々は初恋を忘れるための関係だったのもあり卑怯だと思いながら自然消滅を図ってしまった。先輩で友人の騎士・セルジュに散々詰られたがどうしろと言うのだ。それに、ジュスティーヌ様は俺との結婚を承知しておられるのだろうか・・・。一方、ジュスティーヌもまたついに兄からラファエルとの結婚話を聞かされ仰天していた。お前との結婚、ボーモン伯爵領領主ボーモン伯爵に封ずる。それがラファエルへの褒賞だ。ジロント伯爵家も了承している。これが最善の策なんだ。判っている、家族は皆自分の幸せだけを願っているのだ。兄のお墨付きのラファエルならば白い結婚になってもきっと大事にしてくれると。でも、こんな私が降嫁したら迷惑にならないだろうか。それに彼には恋人がいるとも聞いている。そのことを兄に聞けば、ミレイユ嬢のことなら気にしないでいいと言う。どのみちアギヨン侯爵が許さないとも。お前をまた意に添わぬ男の元にやりたくないんだ。悲痛な兄の言葉に彼女の心は揺れ動いた。だが、そんな時に事件が。なんと思いつめたミレイユが夜会の夜、ジュスティーヌの目の前で自殺を図ったのだ。城内は騒然となり、色恋沙汰でとんでもない事件を起こしたとラファエルとアギヨン侯爵家は処罰を受けた。不幸中の幸いか未遂だったためマルスランの口利きでラファエルは謹慎で済んだ。そして王家はこれ幸いとアギヨン侯爵側は領地の一部の返還を要求。それを隣接するボーモン領に併合させるとラファエルに伯爵位を叙爵。図らずもジュスティーヌの降嫁がスムーズに決まったのだった。こうして正式に決まった結婚。だがどうしても彼女には蟠りが残り・・・。心身ともに傷付いた王女とその護衛騎士との恋物語です。まぁ、中盤揉めに揉めながらも結婚に至るんですけど、ヒーローのラファエルがジュスティーヌ以外には割とクズ男ムーブをかましててですね(^_^;)まぁそれだけお姫様に一途ってことなんでしょうけど、ミレイユへの態度と言い、そりゃセルジュにも叱責されますわ。でもまぁ、ミレイユと駆け落ちしたとしても上手く行かなかったと思う。だって、この人元々ジュスティーヌのことが好きだったんだもの。そんな彼に心惹かれていくジュスティーヌですが、十二で五十過ぎの大公に嫁いでから虐待され続けてすっかり男性恐怖症に。ラファエルと再婚が適うも恐怖心から彼を受け入れることが出来ずに苦悩の日々を過ごします。そんな調子なので二人の不仲説が流れ、ラファエルの前にボーモン領の税金を管理していたバルテルが再び私腹を肥やすためアギヨンの指示で姪のカトリーヌを送って二人の離婚を目論み、という展開です。しかしその頃にはラファエルの努力の甲斐あってか、ジュスティーヌも大分本来の自分を取り戻してきていたので、夫の浮気疑惑を一笑に付します。理由はあんな下品な女をこの人が選らぶとは思わなかったから。騒動後、自らの身体に残った虐待の痕を見せた彼女はあの戦争が自分を手に入れるために大公が起こしたのだと吐露。ずっと言えなかったと泣く彼女をラファエルは抱きしめ・・・。翌年屋敷の使用人たちも目のやり場に困るほどの仲睦まじい二人のやり取りが描かれて物語は幕。あんなクズで最悪なロリコン男は実は不能だったというオチはアレでしたが、初体験が愛する人で本当に良かったと思う。跡継ぎは望めないかもしれないと王家の人々は悲観してたけど、あの熱々ぶりでは割と早く子宝に恵まれそう。評価:★★★★★結構ドロドロな内容でしたが、ヒロインの過去を思うとそれも仕方なし。最後は怒涛のハッピーエンドで本当に良かったです。
2026.09.18
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9月下旬 アルファポリス 不老長呪にまつわる怪取材録 ウェルザード10月上旬 エタニティ文庫・赤 冷徹外科医のこじらせ愛は重くて甘い 伊東悠香10月中旬 アルファポリス文庫 白蛇様の婿入り婚 恋を煎じて、愛を呑む あぐつ11月2日 Kラノベブックスf 貧乏で凡人な転生令嬢ですが、王宮で成り上がってみせます! 小針ゆき子 記憶を失ったらあなたの恋心も消えました ごろごろみかん11月13日 富士見L文庫 捨てられ聖女、魔王城を改築してホテル経営はじめます 茨木野 獅子王と羅針盤の乙女 異世界で❝偽物❞と言われた少女は、極悪非道な海賊に見いだされる 坂合奏 どうせ愛されないのならこれが最初で最後の我儘です 忍丸11月20日 アース・スター文庫 桃果の花嫁 水野沙彰 皇帝陛下のあやかし調理人 夢見里龍11月30日 GCノベルズ 裏方聖女は逃げ出した 1 ~カフェハウスを経営したいので チート薬師になってお金を稼ぎます~ 柚屋志宇12月10日 ムーンドロップス文庫 くじ引きで過保護なイケメン奴隷が当たりました(仮) 季邑えり 公爵閣下の専従次女は愛され甘い夢を見る 別人なのに主人が溺愛してきます(仮) かほなみり(敬称略)
2026.09.17
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2026年8月刊スターツ出版文庫著者:あまぞらりゅう(敬称略)人間、妖、神が共存する瑞穂皇国。高い霊力を持つ秋葉は、名誉ある白龍神の花嫁候補だった。しかしある日、双子の妹・春菜の命を救うために、その霊力を代償として失ってしまう。しかも、秋葉の力は全て春菜へと移り、花嫁の座まで奪われてしまった。以来、ずっと無能と蔑まれ、生きてきた秋葉を救ったのは、もうひとりの龍神である黒龍神・憂夜。彼は秋葉の魂を見初め、妻にしたいと言う。最初は戸惑う秋葉だったが、次第に彼のもとで居場所を見つけていき…。しかも、何故か奪われたはずの力が戻り始めて!? ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 四ツ折秋葉=無能の娘として虐げられている四ツ折家の長女。 憂夜=黒龍。秋葉を花嫁に迎える。 四ツ折春菜=秋葉の双子に妹。白龍の花嫁となる。 光河=白龍。 紫流=光河の側近。千年に一度と言われる程の霊力を持って産まれた秋葉は、偶然助けた龍に印を付けられ将来は龍の花嫁になると期待されていた。しかし、それから程なくして双子の妹の春菜が重傷を負い、妹を救うため力を注いだ彼女には少しの霊力も残っていなかった。死にかけた妹の命を救ったのだ。本来なら感謝されるべき所だが、秋葉が無能に成り下がってしまったと知るや両親の態度は一変。春菜でさえも命の恩人である姉を蔑み、以来使用人以下の扱いを受けている。しかも、今まで中の上がいい所だった春菜の霊力が格段に上がり、額には龍神の花嫁の印が。まさか、私の力や印が春菜に移ってしまったの?残りカスすら残っていない今の身体に秋葉は途方に暮れた。数年後、先触れがありいよいよ白龍が春菜を迎えに来る日がやって来た。娘を褒めそやす両親とまんざらでもなさそうな表情の妹。あまり見ていると難癖を付けられてまた殴られてしまう。春菜を救ったことに後悔は無い。でも龍神には自分が印を付けた者が判るのではないか。淡い期待は見事に裏切られ、美しい衣装を纏った春菜を恭しく迎える白龍の姿に茫然。あなたが印をつけたのは私です!悔しくてつい声を上げると、印のないものが戯言を、と一蹴され取り付く島もない。そこにふいに第三者の声が割り込んだ。お前がその女を連れて行くならこの女は俺が貰う。そう言って秋葉を引き寄せた男はニヤリと笑った。白龍によればこの男は黒龍らしい。友人が花嫁を娶るというので寿ぎに来てくれたようだが、随分面白いことになっていると事の成り行きを見守っていたそう。そして、お前の目は節穴だなぁ、と呟く。聞き捨てならんと白龍が文句を付けようとしたが一方的に会話を終わらせた黒龍は、両親に異論はないなと問いかけた。図らずも娘二人が龍神に嫁ぐことになり二人は大喜び。一層の繁栄を期待したが、お前たちがこいつをどう扱っていたか俺は知っているぞ、とキッパリ。流石は神、色々見透かされていると知って特に父は蒼白になっていた。そんな両親に絶縁宣言した秋葉は、よく言ったとばかりに大ウケしている黒龍の住処へ連れて行かれたのだった。ふざけんなっ!あんな無能が黒龍の花嫁!?幼い頃から何でもできた姉が妬ましかった。ある日産まれた邪悪な心の声に従い、自らケガをして死にかけた彼女は姉の霊力と白龍の花嫁の印を根こそぎ奪ってやった。実際死にかけたし危険な賭けだったけどその甲斐あって春菜は全てを手に入れた。そうよ、神こそが私の伴侶に相応しいの。実のところ、皇太子の婚約者に内定していた春菜は皇后になるよりも白龍の伴侶の方が格上だと思い込んでいたのだ。でも、あの黒龍も美しい方だったわね・・・。どうにか、あの方も私のものにならないかしら。邪悪な笑みを浮かべた春菜の思惑に、白龍は全く気付いていなかった。あれから半月。黒龍の屋敷にも慣れて、彼の眷属たちとも親しくなった。狐のあやかしだと言う狐宵からはあまり歓迎されていない感はあったが邪険にされているわけでは無いからと割り切っている。神の花嫁のお役目は神のサポートだ。それ故に霊力の高いものが選ばれる。本来なら秋葉を娶るのは論外なのだが、黒龍・憂夜は彼女の可能性を信じていた。それもそのはず、秋葉は霊力回復のための鍛錬を欠かさない。それは使用人扱いされていた頃から変わらず続けていたことでいずれ実を結ぶことだろう。まぁとんでもない脳筋娘なのは否定できないが。とにかく見守ってやってくれという主の言葉に狐宵は渋々承諾した。一方、娘たちが嫁に行った途端、村の結界が揺らぎ、二人の父・夏純は焦っていた。恥を忍んで娘婿になる白龍に頭を下げたらそれは黒龍の管轄だからとにべもなく断られて愕然。黒龍!?あいつはヤバイ、秋葉を虐待していたのを知っていたし、花嫁をそんな目に遭わせたものは許さないだろう。秋葉にも絶縁されているしどの面下げて頼めばいいのだ!が、いよいよあやかしの侵入が始まり、そのうち対処が追い付かなくなって来た。背に腹は代えられないと夏純は憂夜に土下座して頼み込んだのだが案の定知らぬと追い返された。白龍と春菜に泣きついても申し訳ないが範疇外だと断られ、苦渋の決断で秋葉を呼び出しどうにかしろと命令。当然ながらその行為は憂夜の怒りを買い万事休すとなった所を仲裁したのは秋葉だった。うちはともかく村の皆が気の毒だから。鶴の一声とは正にそのことで憂夜の力で結界は強化された。心なしか夏純の霊力も上がった気がする。そうして天狗になった夏純は調子に乗り、後にしっぺ返しを食らうのだが、それが散々虐げた娘による試しと仕返しだったことに全く気付いていなかった。秋葉の霊力復活の自主練が続く中、白龍・光河の屋敷は横暴すぎる花嫁のせいでぎすぎすしていた。確かに霊力は高いのだが、何故光河さまはあんな性格の悪い娘を選ばれたのだ。春菜に虐げられる使用人たちを庇い続け紫流はへとへとだった。どれだけ何とかして欲しいと進言しても春菜のしたいようにというばかり。お優しい光河さまらしからぬ対応だ。それに度々感じる揺らぎというか邪悪なる気配を感じるのは気のせいか。屋敷の周囲は光河の結界で守られており、害ある者は入って来られないはずなのに。異変が起き始めたのは正に春菜がやって来てからだ。やはり、何かある。一方、その頃、秋葉は春菜の放った式神の襲撃を受けていた。眷属のクロを救うため、彼女の力がついに戻り・・・。ドアマットヒロインと黒龍の恋物語です。が、このヒロイン、脳筋すぎてイマイチ悲壮感を感じられず、妹との決着もまぁそうなるよねって感じでした。姉を羨むあまり邪悪なものに心を乗っ取られてしまった妹・春菜。正直、皇太子の婚約者に選ばれた時点で凄い事なのに私に相応しい夫は神よ、と欲望は止まることを知らず。ああいう手合いは全てを手に入れても決して満たされない。憂夜の言う通り、春菜の欲望は自分自身をも取りかえしのつかない状況へと追い込んでいきます。秋葉の力で何とか龍玉に閉じ込め心の浄化を図るみたいだけど、邪心は消えてもあの性格は治らないと思う。自分の責任でもあるからと春菜のいる龍玉ともども結界に籠るという光河さんの覚悟も立派ですが、ホント、そもそもあなたがちゃんと見極めてればねぇ。上記の通り、脳筋ヒロイン・秋葉ちゃんのおかげで危機的状況でも何とか行きそうな感じが、この手のジャンルでは珍しいな、と思いました。評価:★★★★☆
2026.09.16
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2026年7月刊ムーンドロップス文庫著者:屋月トム伽(敬称略)ある日、妖精の住まう国ベルハイム王国の王女と判明したリーゼ。不幸な境遇から一転、彼女は妖精姫と二つ名をつけられて、エクルース王国の王太子リヒトの後宮へと入ることになる。次期国王でありながら人前に姿を現わさないリヒトは、冷酷非情という噂があった。なのにいきなりキスしたかと思うと、何かとリーゼのことを気に掛け、毎夜彼女のもとを訪れる。だが、後宮にはもう一人令嬢がいて…。 ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 リーゼ=ベルハイム王国王女。従兄のルーセルの頼みでリヒトの花嫁候補とし てエクルース王国までやって来た。 リヒト=エクルース王国王太子。魔力暴走に悩んでいる。 ルーセル=ベルハイム王国王太子。リヒトの友人。 シエラ=リヒトの従妹の公爵令嬢。足が不自由。 エセル=エクルース王宮女官長。リーゼを敵視している。 王妃=リヒトの母。リーゼを気に入り後押しする。妖精の住まう国・ベルハイム王国。王女リーゼは数少ない妖精の愛し子だ。おかげで魔法も数多く使えるが、生まれつき魔力をコントロールするための「魔法の核」に欠陥があり、外から魔力の補充をしないと魔力枯渇により死んでしまうという厄介な体質だった。今は妖精たちがくれた魔法の弓が補充の手助けをしてくれているものの、一時は本当に危なかったのよね。実は、元々リーゼはオルエーヴル伯爵家の生まれだ。両親を早くに亡くし、代わりに後を継いだ伯父から使用人以下の扱いを受けていた。その際、妖精の弓まで取り上げられて当然ながら魔力不足で毎日ふらふら。しかも亡き父が決めた婚約者まで従姉妹のローラに横取りされ正にどん底だった頃、王宮から迎えが来て亡き母・マリサが王妹であると知らされたのだ。妖精のいたずらにより取り換えられた子、それがマリサで王は亡き妹の忘れ形見だとリーゼを引き取ってくれたのだ。あれから一週間、一応令嬢としての教育は受けているけれど、使用人として過ごした期間が長く正直、王女と呼ばれてもまったくピンと来ていない。皆さん、とてもよくしてくださるんだけどね・・・。そんな彼女が従兄で王太子のルーセルからエクルース王国の王太子に嫁いでくれないかと頼まれた。少々事情があってね、彼には君が必要なんだ。優し気な笑みを浮かべるルーセルだったが、目が笑っていない。友人のためと言いつつ多分何か思惑があるのだろう。彼が言うには一先ずリーゼはリヒトの花嫁候補になるらしい。ということは選ばれない可能性もあるわけだ。その場合は側妃としてでも居座ってほしいんだけどね。要はエクルースとどうあっても姻戚関係を結びたいと言うことか。それも無理そうなら仕方ない。その時は遠慮せずに帰っておいで。そう言ってルーセルはリーゼを送り出したのだった。エクルース王国はベルハイム王国の隣国にはなるが、海路でしか行き来できない。陸路では両国間に巨大な妖精の森が鎮座し、妖精の許しが無いと入ることはできても一生出られないと言う。船で数日かけて上陸するとリックと名乗る竜騎士が迎えに来ていた。リヒトは魔族討伐の指揮を取っており、会えるのは翌日になるらしい。花嫁候補は後宮に棲むのが仕来りだそうで王宮に着いて早々、後宮の管理を任されている女官長エセルに引き合わされた。って、なんで睨まれてるの!?生家のオルフェーヴルと名乗ったからか、本当にベルハイム王家の方ですか?とじろじろ見られ、その不躾な態度をリックが叱責した。どこぞの伯爵夫人らしいが仮にも王女への受け答えではない。ここでは女官長が一番偉いのだろうかと勘違いしてしまいそうなほどエセルの態度は尊大だった。だが流石にそうではないらしい。リックがブチ切れ、リヒト様に報告すると口にしたら、こちらですと漸く部屋に案内してくれた。にしても随分と地味な部屋ね、寝台は豪華だけど・・・。おまけにお茶どころか着替えを手伝う侍女も現れない。まぁ、使用人生活が長かったせいで何でも一人でできますが。さっさと風呂に入ると疲れていたのか食事も採らず寝てしまっていた。なんか息苦しい・・・。気付くと誰かにキスされていてリーゼはビックリして魔法を放っていた。随分なご挨拶だな、頬を流れる血を拭った青年は「お前は今夜の夜伽係だろう?」と不遜な態度。まさか、この人。リヒト様ですか?恐る恐る尋ねるとそうだと頷いたので慌てて謝罪し、リーゼは自分がベルハイム王国から来た花嫁候補だと名乗った。彼はリーゼの言葉になんで花嫁候補が夜伽部屋にと考え込んでいる。女官長に案内されたと言えば納得いったようで嘆息すると明日部屋を変えさせると言って出て行った。翌日、リヒトから叱責されたのか女官長が迎えに現れ、新たな部屋に案内された。でもあれ?ここって離れじゃ・・・。見るからに何年も放置されている感のある建物で中は荒れ放題。ちょっと、殿下は本当にここに棲めって仰ったの!?と食って掛かったが、このエクルースの後宮で暮らせる方はお一人のみです。そう言ってさっさと立ち去った。この寒いのに暖炉は埃だらけで薪も見当たらない。おまけに朝食もまだなんですけど~~~~!?とにかく掃除しなきゃ。掃除道具を借りに王宮に向かうととリックと遭遇。新しい部屋はどうでしょうか?と満面の笑みで聞くので手を引き離れに連れて行くと唖然としていた。まさか、そんなはず、殿下はちゃんととオロオロ。その様子にやっぱり女官長の独断かと大きく溜息を吐いた。別に私はここでも構いません。侍女も結構、女官長に何を言い含められてるか怖いですから。きっぱり言い切ると、掃除道具を貸してください、あと薪を戴けると。これは拙い事になったと汗ダラダラのリックに矢継ぎ早に頼み、ふと気になって食事は自分で作るのがこの後宮のしきたりですかと尋ねる。昨夜からお茶の一杯どころか食事も出ないんですけど。そこまで言うとついにリックの堪忍袋の緒が切れたようだ。お待ちくださいと駆け出していく。多分、リヒト様に報告に行ったのね。大事にはしたくなかったが仕方ない。離れに厨房も完備されてはいたが食材も薪もないのでは何もできないんだから。それから暫くすると離れには大勢の使用人たちが集まって作業していた。近くのガゼボで王宮から届いた食事を食べ、食後のお茶を飲んだリーゼはホッと一息吐く。あれから女官長は相当絞られたらしい。なのに一切こちらに一言も謝罪がないとは相当舐められている。作業を見ながらまったりしていると、リーゼさんと気安く声をかけられ振り返る。そこには車いすに乗った綺麗な女性と女官長が。ってか、リーゼ「さん」って・・・。どちら様でしょう?と尋ねれば無礼ですよと、と女官長が声を上げた。それを制してシエラと名乗った女性はリヒトの従妹だと言う。彼は私と結婚するの、この足の責任を取る。彼はそう言ったの。だから王妃になるのは諦めて頂戴ね。言うだけ言うと女官長に車いすを押させてシエルは去って行った。なるほど、彼女が今の後宮の主ってわけね。色々納得がいった。後でリックに話を聞けばシエルは王弟・ネーベル公爵の娘なのだそう。昔からリヒトにベッタリだったが事故で歩けない身体に。それ以上は彼の口からは言えないと言う。まぁ彼女の口ぶりからして何となく事情の察しは付く。女官長が怖いもの知らずなのも。バックに王弟が付いてるんじゃ強気にもなるか。にしても、なんでこの人は毎日私の部屋に来るわけ?隣で眠るリヒトはいつもリーゼにキスをするととても機嫌がよくなる。お前のおかげで伽をしなくて済むと微笑まれ胸が高鳴った。ある夜、どういうことだと尋ねると彼は自らの体質を語った。七年前、妖精の森近くを視察していた彼は水の精霊に襲撃され、魔力の核を壊されたらしい。幸いにもその場に居合わせた見知らぬ女性の治癒の力によって命は取り留めたものの、視察に同行していたシエラは足に重傷を負い彼は魔力の核の損傷によって魔力が不安定に。そのうち膨大な魔力が発散場所を求め身体中を暴れまわり、そのうち周囲の者の体調にも悪影響が。ならば魔力をどこかで吐き出せば良い、そうして効率の良い発散場所として伽が始まったのだと言う。特に女好きでもない彼にとって伽は相当苦痛だった。ストレスは溜まり、シエラには事故の責任を取れと結婚を迫られる。そりゃ気も休まらないわ。でもシエラ様の足は別にリヒト様のせいではないのでは?疑問を口にすると、核が損傷し初めて魔力暴走を起こしたのがあの時だったそう。ネーベル公爵に責任を取れとガン詰めされたが、彼の両親は頑として認めなかった。シエルは王妃の器ではないし、息子には彼自身が望んだ妃を迎えて欲しいからと。良いご両親ですね。頷く彼はお前といると安らぐんだと呟いた。伽で発散せずとも暴走していた魔力が落ち着き、淀みが吸い取られて行くようで。言われてはたと気付く、それ気のせいじゃないかもしれませんと。リーゼは自分も魔力核に障害があること、そのせいで外から魔力を補充する必要があるのだと。説明を聞いて、知らず二人はお互い体質がマッチしていたことに気付き目を丸くした。合点が行ったのか、お前は俺の妖精姫だ、ときつくリーゼを抱きしめた。以来、リヒトは足繫く離宮に通った。そのうち、一線を越え度々結婚をほのめかされるように。でも、リヒト様は七年前の命の恩人を忘れられないみたいなのよね。聞けばリーゼに似ていたそうだが、心情的には複雑だ。彼から貰った婚約指輪代わりのピアスをいじりながら悶々としていると怒りの形相のシエラに難癖を付けられた。それを止めたのはなんと王妃。無礼は許しませんよ、と控えていた女官長にさっさと部屋に連れ帰れと目配せした。慌てた様子で車いすを押す女官長とまだ何か喚いているシエラを見送ると、お茶にしましょうか?と王妃は優雅に微笑んだ。王妃はリーゼに心から感謝していると告げ、どうか一生あの子を支えて欲しいと頭を下げた。シエラが目障りなら自分がリーゼの後ろ盾になるとも。きっと息子があんな体になってずっとやきもきしていたのだろう。王妃に励まされ、リーゼは自分に出来ることをしようと決意した。王妃が言うにはあの体質からリヒトは王太子に相応しくないとネーベル公爵を推す一派があるらしい。おかげで彼はずっと難しい立場だった。なのに今は精力的に表に出て公務をこなしているおかげでネーベル公爵派は劣勢になっていた。シエラを焚き付けているようだし、目障りでしょうがない。舌打ちせんばかりの王妃に苦笑いしつつ、リーゼには気になることがあった。精霊は滅多なことでは人を襲わない、よほど怒らせたのなら別だが果たしてリヒトがそんなへまをするだろうか。もしあの事故が仕組まれたもので、それがネーベル公爵の企てなら今相当焦っているはず。そうならないためにも彼の魔法核、直すことはできないかしら。そこで彼女は妖精の知恵を借りるため、一人妖精の森に行くため準備を始めた。その最中、リーゼを王妃にと推してくれていたリヒト派の重鎮・リティス公爵が呪いに倒れ・・・。訳ありの王太子の花嫁候補になった、これまた訳あり王女のお話です。黒幕は勿論ネーベル公爵なんですけど、やり方が汚い。その行為は精霊をも怒らせてそれが娘のシエラの足の自由を奪っていました。そう、あの足はリヒトのせいでは無かったのです。妖精の森に入ったリーゼは不可抗力で過去に飛び、あの事故現場に遭遇。公爵によって奪われていた彼の魔法の核を取り戻しますが、タイムリミットもあってそれを彼に戻すのは無理でした。ケガの応急手当だけしか間に合わず泣く泣く時空を飛んだ彼女の姿をリヒトがおぼろげに覚えていたと言うのが似ている云々の真相。自分に嫉妬していたと知ってリーゼはガックリ。妖精の助けで精霊の怒りを解いた彼女はリヒトの魔法の核の修復を手伝ってくれると言う精霊に感謝して彼の元に戻り、という展開です。多分、リヒトの恩人はリーゼのことだろうと思ってたので予想通りでニヤリ。追い詰められてリヒトとリーゼに暗殺者を送っていたネーベル公爵もシエラ共々捉えられ、シエラの足はリーゼが治して後顧の憂いを断つのでした。ネーベル公爵家はお取り潰しとなり、当然首謀者の公爵は処刑。加担していたシエルへの処罰は王妃が下したんですがこれがまた相当エグくてその恨みの深さが知れます。その心情を知り、普段なら例えシエルにも情けをかけていたはずのリーゼも口を噤むのも判る。それだけの苦しみをリヒトに与えてたんですもん。あ、あとあの女官長も結構な報いを受けシエル共々とんでもない目に合いそうなのにはスッキリしました。リーゼへのあの態度、王妃とリヒトが見逃すはずないので、ご愁傷様。諸々片付いて怒涛のハッピーエンドな〆でした。思いっきりTLながら設定とか話の流れは結構ラノベ寄りなので、ファンタジー系統がお好きな方はかなり楽しめる内容かと。評価:★★★★☆
2026.09.15
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2026年8月刊レジーナ文庫著者:亜綺羅もも(敬称略)高校でいじめられ引きこもっていた里奈は、ある日、自分をイジメた張本人と共に異世界に転移してしまう。彼女に悪く言われ、また転移時に授かったスキルも戦闘に一切役立たない【マイホーム】であったことから、転移先の貴族からも見放され、一人で異世界をさまようことに。そんなリナ(里奈)を助けたのは、人嫌いで有名な龍のイド。人の姿になった彼と共に始まった生活の中で、リナの持つスキルが、チートともいえるものだったことが発覚し…… ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 江藤里奈=異世界召喚された女子高生。元の世界では引きこもりだった。 イド=邪竜ヴォイドドラゴン。リナと行動を共にする。 クマ=リナの使い魔。スキル【マイホーム】のサポーター役。 結城姫乃=リナを虐めていた同級生。共に異世界召喚される。 サリア=異世界人。後にリナの友人になる。自分の部屋にいたはずが、ふと気づくと異世界に召喚されていた里奈(リナ)。その場にいた王様が言うにはここはメロディアと言う国らしい。度々の魔族の侵攻にほとほと困り果てた王様は異世界から魔族王に勝てる力を持つ者たちを召喚したと言う。そう、呼ばれたのはリナだけではなかった。クラスメイトの結城姫乃と見知らぬ男子高生。最悪にも散々リナを虐めて不登校に追い込んだ姫乃が一緒に異世界召喚されてきてしまうとは。早速冴えないジャージ姿とストレスによる肥満で見る影もない彼女を姫乃は指をさして嘲笑った。誰のせいで、と怒りが湧いたが言い返せる度胸も無く顔を上げることもできないリナをその場にいる者たち皆が嘲笑する。まぁ、とにかくそななたちのスキルが知りたいと言われ、渋々応じて順番に鑑定アイテムに手を当てるた。下柳勝也と名乗った男子高生のスキルは【勇者】、姫乃のスキルは【大魔導】と出て周囲が素晴らしいと盛り上がっている中、鑑定されたリナのスキルは【マイホーム】?????皆がポカンとする中、再び姫乃の笑い声が響き渡り、役立たずのデブはここにいる理由は無いと指を突きつけた。居た堪れなくなったリナはその場を逃げ出し、右も左も判らないメロディアの城下を彷徨った。充分追い付けたはずなのに誰も止める者はいなかった。あの人達も自分を必要としていない・・・。あてもなく、町で聞いた親子の会話を元に危ないと言われていた東の崖近くまでやって来た。別に死にたいと思ったわけじゃないのに、瘴気で溢れていると言う崖下は黒く淀んでいて何も見えない。だが、突如リナのいた地面が割れて彼女は真っ逆さまに落下していた。崖下には巨大な竜がいた。ヴォイドドラゴンと呼ばれる邪竜は目の前に落ちて来た少女が虫の息なのを見て、気まぐれに己の血を与えた。見る見る消えていく無数の傷。少女の呼吸が落ち着いて目を覚ました。信じられないことに少女は彼を見ても恐れなかった。そればかりか自分を助けてくれてありがとうと感謝され、他の人間たちとはあからさまに違う対応に戸惑った。リナは自らの名を名乗ると自分が異世界人であること、外れスキルだったせいで討伐メンバーに相応しくないと追い出されたのだと事情を語った。捨てられて一人ぼっち。お前は俺と同じだな。ポツリと呟いた竜の真意は判らなかったが、彼もこの世界では孤独な存在なのだろう。似た者同士で意気投合した二人。お前のスキルって何なんだ?と聞かれ、【マイホーム】って言うの。でも、どういう効果か謎で。困り顔のリナに、なら口で唱えてみろという竜のアドバイスに従い、【マイホーム】!と唱えた。すると現れたのはどこかもとの世界の住宅に似た建物が現れてビックリ。中に入ると水回り全て現代風のものが完備されている。トイレなんてウォシュレット付き!やっぱりこの世界って汲み取り式だと思っていたのでこれはありがたい。おまけに浴槽はジェットバス!? いや、これホントどういう仕様?これがリナ様のスキルですよ。そう言ってって声をかけて来たのは、可愛らしいクマのぬいぐるみ。背中にちょこんとついている羽をパタパタさせてふよふよと浮かんでいる。誰???僕はリナ様の使い魔。スキルのサポートを務めます。どうか名をお与えくださいと請われ、見たまんまで「クマ」と名付けた。どうやらこれで主従関係が成立したらしい。あの竜から聞いた話ではこの地は瘴気に覆われているそう。彼の血によりリナには耐性が出来てはいるけれど人間の身体である。浴び続けているのは流石に良くない。この家に入ったらあの纏わりつく嫌な感じが無くなった。疑問を口にすればクマがそれはあなたのスキルの影響ですと答える。ステータスを確認しろと言うので目の前にウィンドウらしきものが現れ、そこに記載されていた文字を読む。まだレベルは1だけど横に空気清浄とあって、これのおかげかと納得した。取り敢えずここに居れば一先ず安心ってことね。クマによればレベルが上がれば様々な機能が追加されると言う。この建物だけでも充分ありがたいが、他の力も興味がある。あ、でもさすがにイドは入れないわよね?彼の巨体を見つめ残念に思う。足一本位ならなんとか玄関に入れそうといったサイズで残念に思う。せっかく渾名まで付けて友達になれたのに・・・。俺にも住んで欲しいのか?落ち込むリナの様子から察した彼の身体が光に包まれ急速に縮んでいき、光が治まると褐色の肌をした美青年が現れた。これくらい造作もない。キャッキャと喜ぶ彼女に照れながら顔をそむけるイドが何だか可愛らしく見えた。翌朝、目を覚ますとリナは見事に痩せていて驚きの声を上げた。イドによればこれは彼の血の効果らしい。姫乃からの虐めに遭うまでの自分の姿を懐かしく思う。もう少し肉が落ちれば完全にあの頃の体型になるだろう。しかも身体が軽い。これもイドの血のおかげか。あと、あれ?レベルが上がって機能が増えてる。ショップ?ああこれはね、クマの説明でこの機能がまんまネットショッピングと判り感動。今のところ空腹感は無いが、彼の血の効果がいつまで続くのかは謎。いずれ食べ物も必要になる。なら調理用のコンロに鍋、やかん、フライパン。食器類にあとは冷蔵庫も要るわよね。ショップ機能を起ち上げると見覚えのある某通販サイトに似た画面に。操作画面も元の世界と同じ。次々商品をカートに入れてはた、と気付く。これ支払いどうするの?あやふたしているとクマがモンスターを狩ればいいとこともなげに言う。なんでもモンスターを倒すと心臓が残り、それを換金できるそうだ。この世界の通貨単位はエリム。サイトの金額と照らし合わせると大体日本の円と同等の価値らしい。レベルも上げなきゃいけないしいっちょ狩に行きますか。とはいえ、自分にどれだけ戦闘力があるのか。ステータスを見ても今イチピンとこない。大物ほどその心臓の値は跳ね上がる。その辺りはイドが狩ってくれると言うのでリナは一先ず最弱のゴブリンで腕試し。あれ?私結構強くない?拾いものの小剣で次々ゴブリンを葬り、石のような鉱物(モンスターの心臓)を回収する。やはり、だが弱いモンスターの心臓は安いと言う。ある程度狩ってゴブリンの姿が視えなくなるとここから動くなよ、とイドは大物のいる狩場へ。一先ず休憩しようと座り込むと、前方から泣きながらやって来る若い女性が。お人好しの血が騒ぎ、どうしたの!?と声をかければ、女性はサリアと名乗り父が亡くなり多額の借金が発覚したが返す当てがないのだと語った。こうなったら私も死ぬしか無いと崖に向かっていたそうで慌てて止める。これで足りない?持っているすべての心臓を見せたが彼女は首を振る。やっぱり、イドも安いって言ってたもんね。なら申し訳ないけど、彼の帰りを待って大物の心臓を譲ってもらうしかない。案の定、帰って来たイドは渋った。しかし、人に優しくしたらいつか倍になって自分に返って来るんだよっ。ウルウルとしたリナの瞳に負け、イドはどれでも好きなのをもってけとそっぽを向く。立派な心臓にサリアは聊かビビっていたが、これだけのものがあれば十分よ。そう言って一つだけ取り出し、何度も礼を言って町に帰って行った。借金、ちゃんと返済できたらいいな。お前はお人好しだな。呟く彼に良くお母さんに言われてたの、人には優しくって。ニコッと笑うリナに赤面したイドはお前の頼みや願いなら何でも聞いてやる!お前だけだぞ!!見事なツンデレを発揮する彼は本当に可愛い。それから数日後、鍛錬の甲斐あってレベルも上がり、周囲の瘴気はかなり薄れて来ていた。それに伴いクマ以外の使い魔が二人増えた。キツネっぽい雰囲気の妖艶な女性のレンは家事担当。ライオンフェイスの筋肉マンはライオウと名付け家廻りの開拓を頼んだ。彼らも狩に加わり、オーク程度なら束で現れても脅威にもならない。まぁ、一番の稼ぎ頭はイドなのだが・・・。もう億以上の金を稼いでおり、生活に必要な家具家電、開拓に必要な重機も購入できた。やはり人間の食べ物もイケるイドは元の世界の料理が甚く気に入り、賑やかな食卓が心を和ませる。加えて、リナのお人好し精神が縁を呼び、町にも何人かの知り合いが出来た。最初の友人はサリアで、無事借金を返済しかなり余ったからと残りを返しに来てくれたのだが思い切り辞退した。そうこうするうちに浄化もどんどん進み、家の周りはライオウ力作の見事な庭園に。この近くに住みたいなぁ、ポツリと呟いたサリアの願いをかなえるため、少し離れた場所に彼女用の家を建てたら、以前より頻繁に交流は続いている。しかし、平穏な日々は続かない。噂を聞きつけたのか、メロディアから姫乃と勝也、兵士を引き連れた王がリナの前に現れて・・・。異世界転移ものです。リナと邪竜イドとの恋もありますが、大筋は完全にラノベ寄りの内容です。外れスキルとバカにされた【マイホーム】がとんでもないチート系なのに、イドがまた規格外の強さで向かう所敵無しな状態のリナ達。一方、魔族王討伐に出ていた姫乃達はまったく歯が立たずで、国王は焦っていました。おい、追い出した奴の方が強くて使えるではないかと今になってリナを囲い込もうとやってきます。姫乃の高圧な態度にトラウマを刺激され弱腰になりかけたリナですが、彼女から姫乃の行いを聞いていたイドがふざけんなと大激怒。彼の力によって姫乃は精神を刺激されもがき苦しむことに。王達はその様子にビビり散らかしすごすごと撤退していきますが、メロディアの町が攻撃を受けていると知っていつもの持論が発動。皆と民たちを救いに行きます。ほぼイドのお手柄でしたが、リナ達の活躍を人々が称える中、すっかり王の信頼は失墜。彼女を脅かす者はいなくなる中、サリアの案で孤児たちの支援に力を入れます。共に過ごすうち、心を通わせたリナとイドが夫婦になり、仲睦まじい姿が描かれて本編は幕。文庫版のおまけの短編はイドの浮気疑惑のエピソードでした。実はイドはこの世界でも異質で上位の存在らしいのですが、匂わせだけで正体が明かされなかったのはちょっと残念。続編がある場合、このレーベルはナンバリング表示があるのでそれが無いってことはこれ一冊で完結なんですね。不自由な生活を強いられるならちょっと御免被りたい異世界転移ですが、もしかしてプラ〇ムビデオも見れる?みたいなモノローグもあったので、電気ガスも要らずに電化製品が使えるみたいなスキルならいいかもしれない。(現金)とにかく、イドとリナの初々しいカップルが可愛かったです。評価:★★★★★
2026.09.14
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2026年8月刊ベリーズ文庫著者:蓮美ちま(敬称略)火事で自宅を失ったOLの野々花。そんな時、勤め先の社長・一哉が幼い双子を連れている場面に遭遇!彼は女嫌いで独身のはず。まさか隠し子!?と慌てる野々花に、一哉は「甥っ子たちの面倒を見てほしい」とベビーシッターとしての同居を提案してきて…。双子のママ役として奮闘する野々花に一哉の態度が豹変!?「君を逃がしたくなくなった」-甘え下手な野々花を極上の愛で包み込み…。 ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 宮部野々花=IT企業広報部チーフ。一哉の甥っ子たちの世話を頼まれる。 白河一哉=野々花の勤め先の社長。白河李月&維月=双子の兄弟。一哉の甥っ子たち。 白河美月=双子の母。フリーライターで外国に取材に行っている。 益田亜沙美=証券会社の社長令嬢。一哉を狙っている。IT企業ネイバークリフトの広報部チーフになって早数か月。公園でサンドイッチにかぶりつきながら物件情報を眺めていた野々花は頭を抱えた。部下のミスで残業になり、くたくたになって辿り着いたマンションは火事で立ち入り禁止になっていた。出火元は野々花の部屋の上の階らしい。すぐに火は消し止められたみたいだが消火のための放水で下の階は水浸し。とても住める状態ではなかった。大家さんの話では検分後はすぐ修理に入るそうで、その間、住人は出て行かなければならない。建て替えするほどでもないけれどやはり数か月はかかるらしく、仕方なしにこうして側入居可で家賃お安めの物件を探している次第だ。ネイバークリフトは元々給料が良いし、チーフになったおかげで役職手当も出る。本来ならセキュリティ対策もしっかりしている駅近のマンションにも棲めそうなのだが、野々花が自身の生活に使える金額は少ない。とはいえ、こういう事態になっても仕送りは減らせないのよね。野々花には年の離れた弟妹が四人いる。一番下の弟はまだ小学生でまだまだ金はかかる。五年前に父が事故死して以来、女手一つで子供たちを育てる母の負担を少しでも減らしたくて家賃と生活費以外の金額を実家に送金しているのだ。こうなったら事情を話して実家に暫く居させてもらうか・・・。いや、群馬から会社まで通勤に二時間よはキツ過ぎるでしょ!早晩バテる未来しか見えない。ビジネスホテルでの宿泊も少ない貯金では数日が限界だ。ネカフェの方が割安なのでそっちに移って物件探しをしているが、家賃の折り合いがつかず手詰まりになっている。やっぱり、今まで住んでたところが破格だったんだよねぇ。気の好い大家さんでずっと更新し続けていただけに残念でならない。おまけに家具家電のほとんどが水を被ってパァ。こっちは火災保険で何とかなりそうだが、やることが山積みで頭が痛い。不動産屋を回って休憩がてら遅い昼食だったわけだが、幼児特有の笑い声が聞こえて顔を上げた。可愛いっ、双子ちゃんだ。お揃いのTシャツを着た男の子たちが止める父親の声を無視して走り回っている。奥さんの代わりに子守をしているのか、慣れない様子が微笑ましい。子どもって本当に急に駆け出したりするから目が離せないのよね。弟たちの幼い頃を思い出しついその様子を眺めていると一人がトイレに行きたいと騒いでいる。もう一人は鬼ごっこするんだと父親の手を引っ張るわでほとほと困り果てている様子だ。すると元気な方がサイクリングロードの方に走り出したので、咄嗟に野々花が男の子の手を掴み引き戻した。勢いで尻もちをついてしまったが目の前をロードバイクが走り抜けていくのを認め冷や汗が出た。キョトンとしている男の子に腕を引っ張ったことを詫びていると父親が走って来て礼を言われた。でも、あれこの声。白河社長!?声を上げると彼も気付いたようで、驚いていた。女嫌いで有名な白河は独身だ。じゃぁこの子たちは。まさか隠し子!?しかし、プライベートなことを詮索するのも悪い。一先ずこの子は自分が見ているから、その子をトイレにと促し、少しだけ子守を引き受けた。十数分後に戻って来た白河は、楽しそうに維月を遊ぶ野々花に目を奪われていた。大人しい李月もすぐに懐き、帰るぞと促しても離れようとしない。私、誰にも言いませんから、と言われあらぬ誤解をされていると気付いた。翌日、回って来た書類で彼女の自宅マンションで火災被害に遭っていたことを知った。しかもまだ次の部屋が決まっていないらしい。ふと思いつき、秘書に頼んで彼女を社長室に呼んだ彼はある依頼を口にした。部屋を提供する代わりに甥っ子のシッターを引き受けてくれないか、と。李月と維月は姉の子なんだ。白河の説明によれば、彼の姉・美月は夫の浮気が発覚して双子の誕生と同じくして離婚したのだそう。だが、フリーライターをしている美月から一生に一度の仕事なんだと、とある国に二ヶ月ほど行きたいと相談を受けた。そしてその間だけ子供たちを預かって欲しいと。美月が行くのは少々情勢が不安定な地でまだ二歳にならない子供、ましてや二人も連れてはいけない。姉は父とは険悪でね、苦笑した彼の様子を思うに、実家に預けるのは無理で結果弟に頼んだってわけかと納得した。が、子育て経験のないものに幼児の世話はハードルが高い。精魂尽き果てた頃、子供の扱いが見事な野々花を見て、これは、と思ったらしい。会社にいる間は保育園に預けているからいいとして、それ以外の世話を手伝って欲しいと言う。火事のことは聞いた、部屋も決まってないならうちの一室を提供する。報酬も弾むから。確かにかなり美味しい話だ。家賃も要らないと言うし、食費込みで生活費もロハ。その間、浮いたお金を取って置けば引っ越しも出来る。しかし、問題はこの見目麗しい社長と同居ということ。まぁ、相当モテるだろうし、私なんかに興味は無いと思うけど・・・。でも何で私?疑問を口にすると、君は浮ついた女たちとは違うと思ったからだときっぱり。実は、美月はシッターを手配してくれたらしい。が、いざ家に来ると途端に白河に熱を上げ、仕事そっちのけで迫って来たそう。頭に来て即クビにしたと憤慨。そういう者ばかりではないのは承知しているが、以来頼めていないと溜息を吐いた。なるほど、モテ過ぎても大変なのね。白河は副社長の相澤と二人でこの会社を起ち上げた。今や一流企業となり、ビジネス誌の取材も多いが顔出しNGを貫いている。おかげで表に出る場合は相澤が対応しているのだが、彼がまたかなりの色男でその手の話が絶えない。取り敢えず、事情は分かった。住まわせていただく上に生活費も出していただけるんですから、報酬は要りません。暫くお世話になります。そう言って野々花は頭を下げた。野々花が暫く同居すると告げると双子たちは大喜び。弟妹達の世話で培ったスキルを遺憾なく発揮し、その手腕を白河は尊敬した。が、少しすると魔のイヤイヤ期がやって来た。さすがの野々花も手を焼いたが白河も丸投げはぜず、根気よく付き合ってくれる。先日は動物とのふれあいコーナーもある公園に出掛け、美月に送る用の写真をたくさん撮った。数日後、お前、宮部さんとデートしてたんだって?そう聞いて来た相澤によれば、たまたま社員が目撃したらしい。おまけに双子も見られていたようでどういうことだとその話で持ち切りだとも。わざわざ足を延ばして出掛けた先で社員に見られるとは世間は意外に狭い。そんなことを考えながら、相澤には何か聞かれたら双子は姉の子だとだけ答えておいてくれと頼んだ。当然、噂話は野々花の耳にも入った。直接聞きに来る者はいなかったが、聞こえよがしに言うのは止めて欲しい。だが、年下のくせにチーフになったのが気に食わないのか何かと自分にケチを付けて来る後藤が、身体使って昇進したのかよと中傷して来た時には猛然と抗議した。後輩達も後藤に食って掛かって撃退してくれたのに感謝し、ため息を吐く。いつの間にか白河に心惹かれていた野々花はこんなことになっちゃってと混乱している。白河本人が望まずとも縁談は山のように来るし、今は益田証券の社長令嬢でモデルの益田亜里沙がしつこく迫っていると聞く。私なんかに好きなられても困るよね。悶々とする中、白河から野々花とは結婚を前提に交際していると公表され・・・。本人自覚無しだけど美人で性格も良く子供好きの子が惚れられないわけがない。お互い両想いだったのに、双子がいるうちは不埒な真似は出来ないと白河は想いを打ち明けられずにいました。しかし、こうして目撃情報が出てしまった今、双子は姉の子でを預かっていること、野々花とは結婚を前提の付き合いだと皆に公表します。ただこの時は彼女が無用な悪意に晒されないためと言う言い訳でしたが、後藤みたいなクズに誹謗中傷されてたのを後で知って激怒。丁度、美月が帰国し双子を引き取ったのを機に野々花に告白します。彼女もまた気持ちを告げ晴れて二人は交際を始めますが、白河を狙っていた亜里沙が自分と婚約していたのに社員の女に取られた、という内容のでっち上げをゴシップ誌にリークしたおかげで野々花が矢面に立たされ、という展開です。まぁ、これは白河を本気で怒らせただけで亜里沙共々、娘を使って彼の後ろ盾を得ようとしていた証券会社共々停滞制裁を受ける羽目に。ネイバークリフト社を震撼させた騒動も終わりを告げるのでした。その後、白河からのプロポーズを受け、本編は幕。おまけの番外編では、二人の挙式の様子とその後日談、三年後の白川家の日常が描かれていました。最近のこの作家さんにしては珍しくほのぼのファミリーものって感じでしたが、後半はやっぱりトラブル発生。ヘイトキャラも登場したけれど、ヒーローが万能過ぎてあっという間に解決したのが流石と思いました。評価:★★★★★
2026.09.13
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11月2日 ヴァニラ文庫 悪女の取り巻き、王子様に溺愛される(仮) 高遠すばる ヴァニラ文庫Miel キャリア署長とゼロ日婚 ~甘美な制服姿にメロメロです~(仮) 玉紀直11月10日 Mノベルスf 貧乏令嬢のポジティブすぎる契約婚 ~継母としてもがんばります!~ やきいもほくほく マーマレード文庫 家なし無職の崖っぷち女がママになったら、 元極道のスパダリ弁護士に滅入られました~(仮) 真彩-mahya- 転生陰陽師の最愛花嫁 2(仮) 若菜モモ11月12日 ルネッタブックス 薄幸令嬢ですが、愛しちゃいけないαと禁断の恋に落ちてしまいました(仮) 春日部こみと EyleNOVELS 聖女の姉が棄てた元婚約者に嫁いだら、 蕩けるほどの溺愛が待っていました【新装版】 1 瑪々子11月13日 アース・スターノベル 私、曇りの聖女と呼ばれたけれど! ~トンデモギフトの悪役令嬢は暴れん坊~ 川崎悠11月20日 一迅社文庫アイリス 狼伯爵の愛されご主人様 テイム契約相手が領主様だなんて聞いてません 黒湖クロコ(敬称略)
2026.09.12
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2026年6月刊ヴァニラ文庫著者:七里瑠美(敬称略)「俺はあなたに求婚する」-。悪女とされ、周囲から疎まれているコーデリアは、王弟で公爵のヴィクターから突然契約婚を持ちかけられて!?戸惑いつつも受け入れるが、冷徹な彼から思いがけず優しく丁寧に扱われ、心惹かれていく。偽りの夫婦だからと気持ちを抑えようとするも、甘く愛おしそうに迫ってくる彼に、心も身体も奪われていき…? ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 コーデリア=何かと悪評の絶えない伯爵令嬢。 ヴィクター=公爵。コーデリアに契約婚を申し込む。 サンドラ=コーデリアの異母妹。 ジェイン=コーデリアの継母。王宮で開催されていたお茶会に参加していたコーデリアは、自分にぶつかって来た挙句ドレスを汚した貴族令嬢を宥めながら漏れそうになる溜息を何とか我慢していた。正直、この程度の染みならば伯爵家の洗濯メイドが綺麗に落としてくれるはず。大丈夫だから、と恐縮する令嬢の肩に手を添えたらいきなり大声で泣き始めて批難の視線が自分に突き刺さるのを感じる。いや、どう見ても私責めたりしていないでしょ!あなたも周囲に誤解されるような泣き方をしないで頂戴っ。だがまあ、仕方ないか。だって私は悪名高い悪女ですものね。人目があるから取り敢えず穏便に済ませて後で報復されると思い怖がっているのか。とにかく困ったわ~、いい加減泣き止んでくれないかしら。途方に暮れていると背後から男性の声が。視線を向けると国王の弟・エルバート公爵ではないか。ギョッとして慌てて挨拶する彼女のドレスについた紅茶の染みが見えたのか公爵は眉を潜めた。ここは私が預かる。そう言って使用人たちを呼ぶと一人に泣いていた令嬢を控室に案内させ、残りはコーデリアの替えのドレスの用意と着替えの手伝いを指示した。公爵様のおかげで助かったわ。染み抜きは王宮で手配してくれるそうで、着替えを済ませたコーデリアは早々に引き上げることに。帰宅すると早速父に見咎められちょっとしたトラブルがあったと報告するや叱責された。こちらは被害者だと言うのに何故自分は責められているのか。理不尽さに腹を立てるより悲しくなった。お父様にとって家族は後妻のジェインと異母妹のサンドラだけだものね。元々父はジェインを妻にしたかったそうだ。しかし、亡き祖父母に猛反対され泣く泣くコーデリアの母・メラニーと結婚。ほどなくコーデリアが産まれた。だが、父は祖父母の目が無くなるやジェインと既に産まれていたサンドラを屋敷の離れに住まわせ、自らもそちらで生活するように。よく母も許可したものだと思うが、彼らにしてみればメラニーやコーデリアの方が異物だったのだろう。メラニーが病死すると父は早速ジェインを後妻にし、サンドラ共々母屋で暮らし始めた。疎外感はあったが、体裁を気にしてかコーデリアもきちんと伯爵令嬢として扱われていたし、社交界デビューもさせてもらった。父と継母は異母妹に家を継がせたいだろうから嫁に出されるのは私よね。それならそれでもかまわない。寧ろその方が肩身の狭い思いをせずに済む。でも、問題は私にまともな縁談が来るかどうかよね。どうしたわけか、今年になってからというもの覚えのない事で恨まれ、悪し様に言われることが増え今では立派な悪女呼ばわりだ。仮面舞踏会で男漁りしているとか、先ずそんなところに出入りした覚えがない。きつい顔立ちをしているが本人は至って大人しく従順な性格だ。出掛けるより読書と刺繍をしていたいくらいでいつの間にか独り歩きしている悪評に困惑するばかり。しかもそんなことは決してしていないとはっきり否定しても誰も信じてくれないのが一層状況を悪くしている。こうなったらいっそ修道院に行くのもありなのかしらね。そう呟くと大きく溜息を吐いた。それから暫く経った頃、王宮での夜会に参加していたコーデリアはまたしても因縁を付けられさすがにブチキレ。会ったこともない貴族令息に近づき婚約者を奪ったと言うが、どこに証拠がと詰め寄ると令嬢達の方がビビッてアタフタと逃げ出した。またもや集まる批難の視線を振り切りバルコニーに行くと腕を掴まれ振り向いた。公爵様・・・?戸惑っていると彼は徐に「あなたに求婚する」と告げた。は?唖然としていると、君もこの状況を変えたいのだろう?囁かれ不承不承頷く。私は君の母上の実家・ペングリア侯爵家と繋がりを持ちたいんだ。公爵の鋭い視線にああそういうこと、と納得する。母の生家であるペングリア侯爵家は国境の領地を任されている武門一族だ。後で知ったのだが、母が父に嫁いだのも政治的な思惑が絡んだものらしい。今この国では南の新興貴族と歴史ある貴族が集まる北が勢力争いをしている。というより、正確には北が南を忌み嫌っているだけのようだが、王家としては頭が痛い状況だ。そこで彼は貴族の重鎮であるペングリア侯爵家と姻戚になり、南だけを優遇しているわけでは無いと意思表示したいようだ。なるほど、そういうことなら。まともな縁談は厳しいと考えていた先に降ってわいたようなとんでもない良縁話を彼女は粛々と受け入れた。気に入らないな・・・。エルバート公爵ヴィクターは、結婚の許しを得にベネット伯爵家を訪れた際に感じた彼女の家族の態度に鼻白んだ。後妻が継子に愛着が無いのはまぁ判る。しかし、実の父まであんな調子ではさぞかしこの家は居心地が悪かったに違いない。大体、コーデリアを妻にしたいと言っているのになぜ次女のサンドラを勧めて来るんだ!不愉快極まりない。しかも当のサンドラは本人を目の前にしながら姉の至らなさをベラベラと。腹に据えかねて許可も得ずに私に話しかけるなと王族の特権で黙らせたがまだ何か言いたげにしている。流石に拙いと思ったのか伯爵がサンドラを諫めたので、そこからはスムーズに話は進んだ。数日後に迎えを寄越す。そう言うとコーデリア以外の面々は驚いていたが入籍前に婚約者の家で作法を学ぶのは珍しくないと押し切った。この家は以前から北の筆頭・モーガン侯爵家と繋がっていると耳にしている。彼は王が南贔屓だと思い込んでいる節があり、それが逸脱して色々問題行動が目につき叛意の意思ありとマークされていた。自分とコーデリアとの結婚でモーガンも何か動きを見せるかもしれない。彼女には黙っていたが、反逆者一派の動向を探ることもヴィクターの目論見であった。エルバート邸で暮らし始めた頃は悪評を信じていた使用人たちから遠巻きにされていたコーデリアだったが、物静かで心優しい彼女の態度にやがて誤解も解けて行った。今ではまだ入籍前だと言うのに新しい公爵夫人として敬われている。ヴィクター自身も単に最初は猫を被っているだけかと疑っていたのだが、そんな疑いはすぐに解けた。健気で愛らしい、それが彼女に対する評価に変わり、誰があんな噂をと犯人の炙り出しに躍起になっていた。数日後、渡したいものがあると実家から呼び出された彼女に付き添うと決めたのはヴィクターで、いざ一緒に馬車から降り立つと伯爵は明らかにビビっていた。まさかコーデリア一人で来ていたら無理難題を押し付ける気だったんじゃないだろうな。三人を睥睨するとジェインは縮こまっていた。相変わらずサンドラは姉を貶めようとするのに余念がない様で、これも伯爵を睨み黙らせた。コーデリアに渡すものがあるのだろうと促せば渋々物置代わりになっている屋根裏部屋のカギを差し出した。母から自分宛ての手紙が入った箱があるのだと彼女は喜び勇んで取りに行き、帰りの馬車では大事そうに箱を抱えていた。見事な寄木細工の箱は開け方にコツがあると言う。六年前に亡くなったメラニーは一年ずつ開けるよう娘に六通の手紙を残していたと言う。細工を開けられなかった伯爵はメラニーが何か拙いものを隠していないか気が気でなかったらしい。娘を呼び出し箱を開けさせ抜き取るつもりだったのだろう。今頃ビクビクしているはずだ。内心でほくそ笑んでいるとコーデリアからお話したいことが、と声をかけられ頷いた。屋敷に戻り、早速自室で話を聞くと、これをと差し出されたのは書きかけの便せんが数枚。箱の底板に隠されていたらしいそれはメラニーが死の間際に記したもので、自分が死んだらコーデリアをお父様たちが養育して欲しいと嘆願する文章が綴られていた。この家は狙われている、ジェインはモーガン侯爵の庶子云々とある。恐らくこれはメラニーがペングリア侯爵宛に書いていたものだ。それに、やはりモーガン侯爵か。ジェインは元メイドでベネット伯爵に見初められたと言う。もしこれもモーガンの差し金なら?色々繋がって来たな。ヴィクターは心配げなコーデリアに微笑むと、ペングリア侯爵に会いに行こうと翌日使者を送った。三週間後、二人はペングリア侯爵領にいた。祖父母は初めて会うコーデリアをメラニーにそっくりだと抱きしめ涙を流していた。祖父母は何度も孫に合わせて欲しいと父に頼んでいたらしい。が、その度に断られ、コーデリアも会いたがっていないのではと思い込んでいた。しかし、例の書きかけの手紙を渡すと祖父は悔しそうにしていた。ヴィクターのおかげでこうして祖父母にも会えた。それに悪評の出所まで探り出し処罰すると言い切ったのを見て祖父母も感涙。良い方に巡り会えたなと喜んでくれた。二週間ほど滞在したがヴィクターの仕事もあるので惜しまれつつも侯爵家を後にした。しかし、道中馬車が何者かに襲われ・・・。知らず反逆に巻き込まれそうになっていた伯爵令嬢と、黒幕を探っていた王弟との恋物語です。ここまでくればもう解決までまっしぐら。生き残った暗殺者がアレコレ喋ってくれたおかげであとは断罪に追い込むだけ。でもまだ横やりが入るかもと、二人は死を装い王宮の一角に隠れていました。そして数日後、予定通り開かれた夜会で無事な姿を見せたヴィクターとコーデリアの姿に貴族達は騒然。やがてヴィクターの口から事件の真相が暴かれ、という展開です。もう黒幕自体の名前は序盤から上がっていたので、ここではぐうの音も出ない程追い詰められるだけなんでクライマックスらへんは消化試合と言った感じ。コーデリアの後ろ盾は祖父母がなるみたいだし、挙式の日を心待ちにする二人の様子が描かれて本編は幕。おまけの番外編はヴィクターのために、彼の好物のクッキー作りに奮闘するコーデリアのお話でした。タイトルほど虐げられてはいませんでしたが、見覚えのない悪評で悪し様に言われてたのはひたすらに気の毒に思いました。まぁ悪評を流していたのは姉を妬んでいたサンドラに頼まれたモーガンの手の者の仕業だったんですけど、ヴィクターが激怒していたのもあってそりゃ厳しい罰(母共々修道院送り)を食らうのは仕方なしかと。バレたらどうしようかと考えない辺り頭が悪いんだろうなぁ、この妹。評価:★★★★☆よくあるシンデレラストーリーですが、陰謀もあったりで面白かったです。あと、ヴィクターがチョロすぎw
2026.09.11
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9月下旬 アルファポリス 桜見荘302号室に関する怪異報告 三嶋トウカ10月7日 レジーナ文庫 うそっ、侯爵令嬢を押し退けて王子の婚約者(仮)になった女に転生? しかも今日から王妃教育ですって? 天富七緒 愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす リオール10月15日 アルファポリス文庫 龍神の生贄(仮) 高瀬百合10月27日 ノーチェ文庫 見逃してください、邪神様 落ちこぼれ聖女は推しの最凶邪神に溺愛される イシクロ11月5日 ベリーズファンタジー 雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。 無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです! 三沢ケイ 私の人生にあなた達の居場所はありません 琴乃葉 隣の薔薇は美しく見えるものです 楽歩 未練なんてありませんが? 九条睦月11月10日 マックガーデンノベルス 悪妃は余暇を楽しむ ごろごろみかん ベリーズ文庫 花嫁候補は完璧主義の理系御曹司!? ~彼の独占欲には抗えません~ 滝井みらん 無自覚シンデレラが幸せになる方法 田崎くるみ 藤堂彬の誤差だらけの結婚生活 【極上のギャップ男子シリーズ】 皐月なおみ ブルームーンと甘やかな呪縛婚 玉紀直12月17日 オークの樹の下 6(敬称略)映画もですが、ホラー小説が結構好きでちょこちょこ購入してます。
2026.09.10
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2026年8月刊スターツ出版文庫著者:霧内杳(敬称略)先野家の双子の姉・千月は、新月の夜に生まれ、精神干渉の力を持つ穢れと虐げられてきた。ある夜、番の子を宿している証である“紋”が手の甲に突然現れる。身に覚えのない千月だったが、その“紋”は最強軍神・威一朗の番に選ばれた証だったーー。威一朗に救い出された千月。番の子を産むためだけの『とつきとおか』のお役目のはずが、宝物のように愛されて…「俺が一生、愛する」。彼の子を宿した千月は特別な加護を受ける。一方、嫉妬に狂った妹の千陽は、懐妊を画策し二人の運命を切り裂こうとするがーー。 ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 先野千月=新月に産まれた不吉な娘だと母と姉から虐げられていた。 精神感応能力を持つ。虎渡威一郎=皇衛府大将。鬼のあやかしで、千月を花嫁に迎える。 先野千陽=千月の双子の妹。治癒能力者。 白峰威子=威一郎の姉。 白峰晃雅=白峯家当主。威子の夫。人とあやかしが共存する世界。帝を頂点に、人間筆頭の白峯家とあやかし筆頭の虎渡家が都を守護していた。しかし、人間とあやかしは過去に幾度も戦を繰り広げた者同士。和平を結び、共に守護の役目を請け負っても完全に蟠りが消えたわけではない。今も絶えずトラブルは起こり、精鋭で結成された皇衛府が対処に当たっている。隊を率いる大将・虎渡威一郎は、虎渡家の次期当主として、力を得るべく番を探していた。あやかしが厳しい条件の元行う儀式は、自身と番うべく存在と魂を結ぶ。妖力の強い威一郎でさえも骨が折れた儀式は何とか終わり、無事魂は結ばれた。まだ名前も顔も判らないが、霊力を辿れば労せず見つかるだろう。それに番の左手には威一郎のものだと一目で分かる紋が浮かび上がっているはず。だが、ひとつ気になるのは番が辛い目に遭っているらしいということ。魂が結びついた時に聞こえた悲鳴と嘆き・・・。一日でも早く迎えに行ってやりたい。威一郎はまだ見ぬ花嫁の無事を祈った。新月をまたいで産まれた娘は禍を呼ぶ。双子として産まれながら、両親にとっての娘は千陽だけらしい。新月に産まれた千月を疎んだ母は、顔も見たくないと離れにある掘っ立て小屋に放り込んだ。産まれて十八年、少ないながらも食事を運んでくれる使用人のおかげで何とか生きて来られた。でももうだめかもしれない。相変わらず理不尽な言いがかりで千月を鞭打つ母と、それを見ながら嘲笑う千陽。今日は何を理由に仕置きを受けているんだっけ?気を失いそうなほどの痛みの中、懸命に許しを請うた。何でお姉さまに威一郎さまの紋が浮かんでいるのよ!こんな穢れた女があの方の子を宿しているなんて!!怒り心頭の様子の千陽が植木ばさみを取り出したので流石にぎょっとして落ちかけていた意識が浮上。すると何者かの制止の声が。軍服姿の青年は傷だらけの千月を抱き起すとその唇にキスをした。傷はそのままだけれど痛みが薄れていく。迎えが遅くなって済まない。そう言ってそのまま抱き上げると二人を睥睨。千月の手の甲に紋が浮かんでいるのを確認すると虎渡家次期当主の番と承知で酷い暴行を加えていたのなら万死に値する。新月、穢れと少女に似た娘が喚いていたが成程、大体の事情は察した。だからこそもっと早く番探しの義を行っていればと自分を責めた。喚き散らす母子を完全無視した威一郎は千月を連れ先野鄭を後にした。虎渡家はとんでもなく広い屋敷だった。こんな自分を連れてきたらこの方のご家族に叱責されてしまうのでは、と千月はドキドキ、しかし、当主夫妻は千月を歓迎し、身体中に残る傷や痣を見るや傷ましげな表情を見せた。うちの可愛い娘に随分なことをしてくれたものね。ああ、きっちり落とし前は付けるとも。当主夫妻の言葉は予想外過ぎて千月はポカン。新月産まれはあやかしの世界では吉兆の象徴なのだそう。お前の産む子は一族を繁栄に導き、父親(威一郎)に新たな力を授けると言う。でも本当にもう私のお腹の中に赤ちゃんがいるんですか?恐る恐る尋ねると魂が結びつくと番には子が宿る。番との最初の子は処女懐妊となるが、子も両親のいいとこ取りの強い子が生まれると説明され目を丸くする。学のない自分には難しい話は半分も理解できなかったが、せめて子が無事に生まれるよう頑張ろうと思った。数週間後、自分こそが威一郎の妻だと千陽は大暴走。あまりにもしつこいので威一郎が友人の検査員・泰成の協力を仰ぎ、間違いなく千月が自分の番であることを証明。千陽の方がバッシングを受ける羽目に。あの男の言う通りに怪しげな薬を飲んで妊娠したって言うのに恥をかきに行ったようなものじゃないの!物の当たり散らしながら千陽は白峰家現当主の姿を思い浮かべる。とにかく、お姉さま一人を幸せにはさせないから。そう呟くと自らの左手に浮かんだ紋をうっとりと見つめた。威一郎の頼みで、嫁に出ていた姉の威子が千月の教育係を務めてくれた、行儀作法に読み書きなど、千月はどんどん知識を吸収して行く。おぼつかなかった箸使いも上手くなり、今では当主夫妻と仲良く食事を共にできるくらいに成長。まぁ、卑屈な性格はまだまだ治りそうもないが・・・。威子もなんだか元気がない。理由を聞けば夫と上手く行っていないそうだ。嫁いでもう何年も経つのに子に恵まれないのも溜息の原因らしい。威子の夫・晃雅は白峰家の現当主だ。その彼が千月と虎渡の結婚を猛反対して威一郎は大激怒。威子には悪いが顔も見たくないと息巻く彼を宥めた。そうこうしているうちに皇衛祭が開催。いよいよ千月が威一郎の番として公表され・・・、タイトルがなんか昨日の作品と被ってますが、内容は全然違います。テンプレなヘイトキャラが妹でラストの方ではザマァ展開も。嫁ぎ先は皆良い人ばかりで、千月の心も徐々に回復。妹とそれを影で操っていた晃雅の介入によってついに眠っていた千月の力が目覚め、という展開です。大筋自体は割とよくある内容なんですが個性豊かなキャラも多く読んで面白かったです。評価:★★★★☆
2026.09.09
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2026年7月刊ベリーズファンタジー著者:浅岸久(敬称略)幼少期から完璧であれと育てられてきた侯爵令嬢・カティアは、素性を一切明かさず引きこもる王太子と望まぬ結婚を控えていた。息苦しい日々を送る中で、ある日自身と似た境遇の青年・セオと出会う。思わぬ展開で一夜をともにしてしまい…良心の呵責から家を出るも、その後妊娠が発覚! 遠く離れた街で平民として、子と慎ましくも穏やかに暮らしていた。それから四年、偶然再会したセオは国王となっており、かつての政略結婚の相手だったと判明し…!? 互いを知らぬまま別れた二人が再び出会い、すれ違いながらも愛を紡ぐ極上シークレットベビー! ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 カティア=港町で息子と暮らすシングルマザー。セルジュリウス=シュタルド王国国王。 ラピス=カティアの息子。 アビゲイル=商会の娘。カティアを敵視している。リーヴィス侯爵=カティアの父で厳格な人物。 ルーカス=公爵。アビゲイルを養女に迎える。 ノーラ=カティアが働く雑貨屋の店主。リーヴィス侯爵家の一人娘・エルカティアは、厳格な父により厳しく育てられた。その甲斐あってか、王太子・セルジュリウスの婚約者に選ばれるまでになったのだが、彼女の心は晴れなかった。他の貴族からの嫌がらせか、エルカティアの悪評が広まり、覚えのないことで悪し様に言われるようになったのだ。必死に努力して学園で主席を取ってもカンニングを疑われる始末。おかげで父はカンカン。お前がしっかりしていないから付け込まれるんだと平手打ちを食らい、理不尽さに泣きたくなった。望んでもいない立場を妬む人達。娘の言い分を聞こうともしない父。極めつけは公の場に一度も姿を現さない王太子。そんな人の妃になったとて幸せになれるとは到底思えない。その夜、カティアは質素なワンピースに着替えて町に繰り出した。四年前から彼女はミドルネームの「イヴ」を名乗り、市井について勉強していた。行きつけの食堂に顔を出すと歓迎され、せっかく先日成人したのだしと薦められるまま酒を飲んだ。イヴのお守り、評判いいんだってね?常連客の一人に声をかけられ、おかげさまで、と微笑む。夢魔を加護に持つカティアは、その特性を生かして石に夢魔の力を注ぎ、それを小さな袋に入れたお守りを雑貨屋で販売していた。安眠効果だけではなくリラックスできると人気が出て追加注文で大忙しだ。夢魔を低級妖魔だと罵り、父はカティアに隠し通せと厳命した。が、こんなにもみんなを笑顔にしている夢魔は凄いと思う。つい感慨に浸っていると背の高い青年が入店。セオ、と店主に呼ばれているのを見るに彼も常連なのだろう。ほぼ満員なで丁度空いていたカティアの隣の席に着いた彼は何か嫌な事があったのかヤケ酒したい気分だと言う。ついに結婚するのかい?苦笑いする店主にセオは肯定すると頭を抱えた。父さんがもう長くないんだ。自分が生きているうちにとせっつかれて・・・。しかし、どうやら婚約者はとんでもない悪女らしい。政略結婚なのはいい、だが性格が悪い女は嫌だ。そう言って強い酒を煽った。この人、貴族なのかしら。口を吐くワードで何となく状況は察せられた。きっと私みたいに息抜きに来ていたのね。そう思うと親近感がわいて、判るわよ、その気持ちっ。そう言って話に割り込むとかく言う自分も顔も知らない人に近々嫁ぐのだと打ち明けた。どれだけ飲んだだろう。意気投合してセオに宿屋に誘われたのは覚えている。気付くと裸でカティアは真っ青。隣には同じく裸で寝ているセオが。パニくった彼女は一人屋敷に戻ったのだが、夜に抜け出しののが父に見つかって大目玉。しかも行きずりの男性と関係を持ったことを自白させられ、結果カティアは手切れ金と共に屋敷から追い出されたのだった。ひと月ほど経った頃、王都から南西にある港町レイネで暮らしていた彼女は体調不良に。何日も具合が悪く医師の元に行くとなんと妊娠していると言う。どうしよう、セオに知らせるべき?でも彼の本名も知らないし、もうすぐ結婚すると言っていた。あの夜、彼は婚約は破棄する、結婚しようと言っていたけれどどこまで信用して良いものか。子どもを産むなら手切れ金は残しておいた方が良い。仕事を探していたら丁度店番が欲しかったと雑貨屋の店主のローラが住み込みで雇ってくれるそう。彼女には本当に世話になった。時は流れて翌年、カティアは元気な男のを産んだ。一方、その頃。執務室で山と積まれた釣書にうんざりしていたセルジュリウスは南西から星の鼓動を感じて立ち上がった。「星の子が生まれた」主君の呟きに腹心のレスターは目を見開き、陛下の御子と言うことですかと驚いている。「星の子」とはこのシュタルト王家を継ぐ者のことだ。瞳の中にオクタグラムを宿し、強大な加護を持つ。セオ、もといセルジュリウスは、まだ王太子だった頃、身分を隠して行動していた。「星の子」は暗殺や誘拐の危険を回避するため、二十歳になるまで軟禁状態で過ごすのが習わしだった。しかし、そんな生活は息が詰まる。レスターともう一人の腹心・フロウの協力でしばしば息抜きをしていた時、出会ったのがイヴという女性。目を覚ますと彼女はすでにおらず、必死に探したが行方はようとして知れなかった。それが一年近く経って「星の子」の気配を感じた。これはイヴがあの夜授かった子をどこかで産んでくれたに違いない。縁談はすべて断ってくれ。そうレスターに命じるとフロウにイヴと赤ん坊の捜索を頼んだ。三年後、ローラの店で住み込みの仕事をしながら子育てをしていたカティアは、息子の成長を感慨深く思っていた。段々あの方に似て来ている。ラピスが産まれる直前、新聞の一面を飾っていた新国王の写真は、髪色は違うがセオだった。この方が引きこもりの王太子・・・。しかし、セオは健康そのものの体つきだったし、これまで姿を見せなかったのは何かわけがあったのだろう。しかも彼はカティアの悪評を鵜呑みにしてあの女との結婚だけは嫌だと吐き捨てていた。当時はまさか自分のこととは思わず同意してあんなことになってしまったが、今思うと複雑な気分だ。とにかく、お守りをもっとたくさん作らなきゃ。もうすぐ海商祭。観光客も大勢くるので稼ぎ時だ。カティアのお守りはここでも大人気でローラから追加で補充を頼まれていた。が、そのローラから今年は王様が来るんですって、と大はしゃぎ。大丈夫、こんな下町にまで来ないわよ。祭りの当日、彼女は戦々恐々。祭りを見て来なさいよとローラに言われ、観念してラピスと大通りへ。そこでカティアは、セルジュリウスと遭遇し・・・。シークレットベビーものです。元々婚約者同士だったのに、ややこしい出会い方をしたおかげで離れ離れに。再会に至ったのは四年も経ってから。しかし、セルジュリウスもここで逃がしてなつものかと交流を重ね、ラピスも懐いたことでカティアも絆され共に王都に帰ることを決意します。しかし、ルーカス・グレンソン公爵が下町の娘・アビゲイルを使い、セルジュリウスの妃にすべく奔走。果たしてカティアは幸せな結婚が出来るのか、という内容です。ここにリーヴィス侯爵との再会もありまして、親子関係の修復についても描かれて行きます。ぶっちゃけこのお父さんも厳しいだけで娘想いの人だったので和解できてよかった。実は凄かった夢魔の力とか、割と怒涛の展開だったのもあり面白かったです。あと、身の安全のためとはいえ王太子を軟禁していたのはともかく、せめて婚約者には面会させておくべきだとしみじみ思いました。評価:★★★★☆
2026.09.08
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昨日(9月6日)までに購入した本です。蜜猫文庫8月刊。 スターツ出版文庫8月刊4点このレーベルの本も少しずつ積読になって来ているような・・・。ヴァニラ文庫9月刊佐倉紫さんの最新作です。 ベリーズファンタジー9月刊2点。仕事の都合で月曜日も感想記事を書き難くなってしまったので、予約投稿をうまく使っていかないとなぁ。とは言え、休日は休日で微妙に忙しいのが悩みどころ(^_^;)
2026.09.07
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2025年7月刊BKブックスf著者:茨木野(敬称略)魔法が全ての国において魔力を持たずに生まれたレイ・サイガは「無能令嬢」と言われ、家族からも周囲からも虐げられる毎日を送っていた。ある日、サイガ家に縁談が舞い込むが、その相手は【極東の悪魔】と呼ばれる悪名高い男、一乗寺護だった。レイを良く思っていない父は、義妹・アリアルの身代わりとして一乗寺家へ嫁ぐことをレイに命じる。レイは地獄のような家から抜け出したい一心で縁談を受け入れることを決意する。しかし、恐ろしい人物だと噂されていた護は意外にも温かく優しい旦那様だった!?そして護との出会いにより、魔力がないはずのレイにある力が秘められていることが判明し、彼女の生活は大きく変わっていくー。 ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 レイ=西の大陸の伯爵令嬢。 魔力を持たないため無能令嬢と呼ばれている。 一乗寺護=極東の五華族の一つ・一乗寺家の当主。魔法が全ての西の大陸で魔力を持たず産まれたレイは、伯爵家の長女でありながら家族から虐げられていた。いつもは屋敷の離れにある物置小屋で暮らしているレイだったが、今日は珍しく母屋に呼び出された。久しぶりに会う家族。一体何の用だろう。また理不尽な理由で暴力を振るわれるのだろうか・・・。しかし、父から発せられたのは極東の華族に嫁げという意外な言葉。王家から送られて来た勅書をレイに渡し、読むよう言われて中身を見ると確かに王家の印がある。内容は先程父が言っていた通りのもの。勅書にはサイガ伯爵家の娘としか指定されていない。ああ、そういうことか。どこか納得したような表情のレイを見て、父は可愛いアリアルを野蛮人の国に嫁がせるわけにはいかんからなとほくそ笑んだ。どうせもう決まったこと。それにここで生きていくのも疲れた。無能を産んだからといじめられ続けながらも母はいつも自分を守ってくれていた。その母ももういないのだ。この縁談、謹んでお受けいたします。そう言って彼女は深々と頭を下げた。極東までは十日ほどの船旅になる。一乗寺家からの支度金を両親は一銭たりともレイに渡さず、船賃は母の形見を売って工面する羽目に。そうして十日目の朝、極東の港が見えて来た。長く鎖国をしていた国らしいが一体どんな所なんだろう。着いたら一乗寺様のお屋敷を探さなければ。だが、船が突如現れた魔物に襲われ、レイも海に落ちた。流されそうな船員を何とか助けようとしているとそこに一人の青年が飛び込んで来て魔物を倒した。そして青年によって二人は救われなんとか港に着くことが出来た。あんた、もしかして!レイの瞳の色ですぐに西の大陸の者と判ったのだろう。サイガ伯爵のお嬢さん?助けてもらった礼の言葉を遮られたものの、彼が一乗寺護と名乗ったのでビックリ。この方が。あんた勇敢だな、しかもあの海坊主のこと見えてたんだろ?うみぼうず、あの魔物のことだろうか。勇敢かはともかく魔物の姿がはっきり見えたのは確かで、おずおずと頷いた。見鬼の才があるのは珍しい、そう言った彼の話では大抵の人間は魔物を視認できないらしい。それに、俺に触れられる者は母以外に居なかったとなんだかとてもうれしそう。極東には魔法の概念自体が無いのだそう。その代わりに異能力を持っており、力の強い者たちがこの国を守護している。護は「霊亀」という異能で最強の盾を展開し戦うらしいのだが、強い力にはリスクもある。常に体の周りにバリアが張られている状態で他人との接触が困難なのだと。なのに、あんたには触ることが出来た。凄いな、見鬼の才だけでなく「異能殺し」の力もあるなんて!聊か興奮気味の彼に圧倒されつつ、自分は魔力を持たない無能であると打ち明けた。出来損ないがこの人の妻になんて烏滸がましい。父の話では護は「極東の悪魔」と呼ばれているそうだが、それも強すぎる故の異名なのだろう。こんなに良い方なのに。しかし、彼女の告白に護はきょとんとして、確かに魔力は無いのかもしれないが異能力を二つも持ってて無能なわけないだろう。自分を卑下するなと卑屈になっていた態度を窘められた。多分、レイは転生型能力者なんだろうなと一人納得している彼を見て、知らないワードの羅列に彼女は混乱。だが、そのすぐあと、護が言うようにレイは自分の異能力の凄さを目の当たりにすることに。護が来ているからと助けを求めて来た市民が連れていた女児は妖魔に噛みつかれたままぐったりしていた。護の力で妖魔は祓えたが体内に毒が残り女児は痙攣。それを心配そうに見ていたレイが無意識に女児に触れるとその身体が光りを帯びた。少しするとけいれんが治まり女児は目を覚ましたのだった。感謝しきりの女児の家族の様子に戸惑っていると、多分「異能殺しの力だ」と護がポツリと呟いた。自分にこんな力があったなんて・・・。俄かには信じられないけれど、何だか救われた気がする。一乗寺の屋敷には沢山の寄生型異能者がいた。妖魔に寄生された者はその力を使える代わりに異形に変化してしまうと言うリスクがあると言う。レイの世話係に任命された朱乃は鬼を身体に宿し、年頃の娘とは思えない体格と容姿をしていた。本人もそれを気にして顔を隠して生活していると聞き、居た堪れなくなる。その夜、護と男たちが夜回りに出ている間に屋敷が襲撃され、レイを守って朱乃が大怪我を負ってしまった。治癒の力など無いくせに!それでも朱乃が治るよう、西の大陸の守り神に彼女は祈りを捧げた。すると見る見る傷は塞がり、そのうちに光と共に朱乃の身体が変化し始めた。収まると床にはレイと同じ年ごろに見える少女がいて、屋敷の者たちも驚愕。目覚めた彼女は自分の変化に戸惑いつつも、私、力を制御できるようになったんだとボロボロ涙を溢した。朱乃の弟・蒼次郎も姉に抱き着き大号泣。数刻後に戻った護たちも驚いていて、これも「異能殺し」の力なのか?と茫然。数日後、レイの異能を調べることになり、結果判ったのはレイにはザシキワラシとトウテキという万象を消すと言われる妖魔の力があることが判明。異能力の高さも護の亡き母・守美以上と判り、レイの身辺警護をすべきと皆の意見も一致した。他の五家に狙われる可能性があるからだそうだが当人はピンと来ていない。寄生型の能力を安定させるなんて、レイの力は本当に「異能殺し」なのだろうか、これはもっと詳しく調べる必要がある。護は伝手があるからと専門家に頼んでくれると言い、その間に自分でできることを、とレイは屋敷にいる寄生型能力者すべてを治療。力が安定したことで彼らは皆人と変わらない姿を取り戻し、彼女に感謝した。亡き母が苦しんでいた姿を思い出し、困っている人を放っておけない気性の彼女はあちこちで人助けに奔走。やがてその活躍は極東の王の耳にも入った。王城に招かれたレイは先祖返りで妖魔ハクタクに侵食されかかっていた国王を救うことになり、その褒賞として「大能力者」の称号を得た。それから暫くして、護の友人・四月一日百春の検査によってレイには三つの異能があることが判り・・・。不遇ヒロインが嫁ぎ先で才能を開花させ愛情も信頼も得ると言うシンデレラストーリーです。しかしながら、ほぼヒロインのアゲアゲ展開なのでヘイト部分は序盤のみ。それと、作中色々匂わせだけして全て中途半端なのがちょっと。どうせなら幸運をもたらしていた娘が去って後悔しきりの愚かな家族の断罪話とか、どれか一つでも解決して欲しかったなぁ。ラスボスらしい「白面」は、行方不明(?)らしい護の父親じゃないかと踏んでるんだけど、どうなんだろう。総合的に見て、設定とかは面白かったんですが、色々と惜しいお話でした。続編が発売されたらまた印象は変わるかも。評価:★★★☆
2026.09.06
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2026年8月刊マーマレード文庫著者:木登(敬称略)旧華族の令嬢・紅子は、冷徹な外科医・壮之助と政略結婚をすることに。壮之助には亡き妻との間に娘がおり、秘密を抱える紅子は離婚を望んでいた。そんな愛なき夫婦だったが、共に暮らすうち、紅子の明るさと健気さに触れた壮之助は次第に惹かれていく。別れるはずだったのに、甘い独占欲と極上の愛に包まれ、紅子は幸せな家族へと迎え入れられ…!? ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 久遠寺紅子=壮之介の再婚相手。旧華族・早乙女家の令嬢。久遠寺壮之助=総合病院の医療部長。父の命で紅子と再婚する。久遠寺あかり=壮之助の娘。 早乙女律=紅子と元カレの間に産まれた息子。 早乙女順三=内科医。紅子のまたいとこで一時彼女の主治医をしていた。父が院長を務める久遠寺総合病院の医療部長を務める壮之助は、八歳になる娘と暮らすシングルファザーだ。と言っても外科医として多忙の日々を送っている彼がまともに子育てできるはずもなく、同僚の紹介で雇い入れたナニーの佳代に娘の世話は任せきりになってしまっている。自分の子であるのだから愛情が無いわけではない。しかし、亡くなった妻との関係を思うと娘にどう接して良いのか判らないと言うのが本音だ。どんな経緯であれ、夫婦になったのなら妻と打ち解けられていれば良かったのだが・・・。そんな息子の気持ちを知ってか知らずか、ある日の午後、院長室に呼ばれた彼は再婚を命じられた。お相手は旧華族の名家・早乙女家の次女紅子。語学も堪能な美人とのことだが、引く手あまたであろう令嬢が地方病院の外科医の再婚相手という立場に納得したのか。まぁ、うちの病院にしてみれば大層なメリットに違いない。こうして命じて来たと言うことはもう決定事項なのだ。亡き妻との結婚もこうして父による鶴の一声で決まった。だが、また当時のようなことが起こったら堪らない、本当に先方のお嬢様は承知しているのか尋ねれば、彼女も少々難ありの人なんだと父にしては珍しく歯切れが悪い。週末顔合わせをするからと言うので承諾すると壮之助はさっさと部屋を後にした。数日後、割烹料理の店で両家の顔合わせが行われた。早乙女紅子は写真よりも美しく儚げな女性だった。壮之助もあまり話すタイプではないので自然と互いの親(主に父親)同士の会話だけが弾んでいる。それにしてもさすがは旧華族の血筋と独特のオーラを漂わせていた早乙女氏だが、なんでこんなに紅子さんを下げるようなことばかり言うんだ?聞いてるうちに彼がどんどん俗物に見えて来て辟易とする。親父もなんだってこんなのにペコペコしてるんだ。かく言う壮之助の父も長男に比べて次男のこいつはと話題に乗っかり、互いの母はまた始まったと言う表情。父は長男の慎之介を溺愛していた。容姿も自分に似ていて頭も良い。希望通りに優秀な成績で医師になり、次期院長だと期待していた矢先のこと兄は失踪した。原因は賭博による借金。人を雇って探しても行方はようとして知れず、結果、今まで無視していた次男に漸く目を向けた。お前しか残っていないから。父には何の期待もしていなかったから、そんなことを言われても別にショックではなかった。それからあれよあれよという間に相手を宛がわれ結婚したのは製薬会社の社長令嬢の小百合。妻になった人が慎之介の元交際相手と知ったのは籍を入れて数か月後のことで、それでも妊娠に至った時は少しは関係も変わると思っていた。が、彼女はずっと兄を思い続けており、好きでもない人との子どもは産みたくないと大暴れ。今思えば妊娠期によるノイローゼだったのかもしれない。それでもなんとか宥めて、子供さえ無事に産んでくれたら離婚に応じると約束。しかし、一日でも早く出て行きたいからと退院後に住む部屋を探していた小百合は無理をし続け脳梗塞を起こし救急搬送された数時間後に亡くなった。帝王切開で生まれたあかりが無事だったのだけが不幸中の幸いだった。小百合の実家は娘の死がショック過ぎたのかあかりを引き取ることを拒否。壮之助が親権を持つことになった。妻の実家の人たちの気持ちはまだわかる、が父はせっかく生まれたあかりを女の子だからと興味を持たず知らんふり。母も父に気兼ねして会いに来れずで、父親の壮之助に至っては生活サイクルが合わず同居しているのに余り会えていないのだから寂しい思いをさせている自覚はある。是非、紅子さんには男の子を生んでもらいたい!ガハハと笑いながらデリカシーのない事を言う父を冷めた目で見ながら、彼女と二人で話したいと許可を貰いドライブに連れ出した。車を走らせながらこちらの事情をどの程度知っているのか問えば、全て承知していると返答が。そこで、と彼女が話したのは別居婚の提案だった。紅子はあかりの複雑な心境を慮ってくれているようだ。佳代も交えてあかりには自分が再婚すること、あかりには新しい母親が出来るとは話してある。後で佳代からも説明してくれたらしい。不安もあるが母親が出来るのは嬉しいと言っていた。別居となるとあかりは寂しがるかな?だが、彼女の方も心の折り合いを付けたいのかもしれない。数週間後、二人は入籍。東京から大きなトランク一つを持ってやって来た紅子は、暫くビジネスホテルに滞在すると言う。そんな彼女に一目でも娘に会ってやって欲しいと頼むと少し迷いながらも承諾してくれて家に連れ帰った。あかりは若干人見知りを発動していたが、お土産のシールを貰うと大喜び。彼女が帰る時間になると「帰らないで、こうこちゃん」と泣いて引き留めていた。正直こんなに懐くとは思っていなかったので驚いたが、同居となればまた変わるかもしれない。慣れさせるためには少しずつの方が良いと心を鬼にして紅子をホテルに送った。しかし、その数日後、いつものように佳代を交えマンションであかりと遊んでいた紅子が貧血を起こして倒れ救急搬送されるという出来事が。数年前から酷い貧血症らしいが、どうりで顔色が悪いわけだ。目ざとい父から大事なお嬢様を、と叱責されたが、その父が出て行くと紅子の方がブチギレ。あんな言い方酷いです!と憤慨する姿が何だか可愛くて久しぶりに声を上げて笑った。私、素は大人しいだけのお嬢様じゃないんですよ!もう夫婦なんだし、壮之助さんの前では本性出しちゃいます!!ぷりぷりとまだ父に怒っている紅子が彼には初めて愛しく思えた日だった。一人の時に倒れたら大変だ、と壮之助に説得され、翌日には紅子は久遠寺家にいた。これまでのように数時間ほどの滞在ではなく一緒に暮らすと決まってあかりは大喜び。一緒に寝たいとまで言い出して、本当に彼女を受け入れてくれたんだなと思う。このままずっと家族でいてくれたらいいのに・・・。既に彼女に心惹かれていた壮之助は結婚の継続を願っているが、入籍前に紅子から数年での離婚を希望されていた。どうやらのっぴきならない事情があるらしい。別居を申し出たのもあかりに懐かれてしまってからでは別れにくいからかもしれない。早いもので紅子がやって来てから三ヶ月。早乙女側の意向で二人の医師がこの病院にやって来た。どちらも大学病院務めのエリート。なんでわざわざこんな地方の病院に、と考えはたと気付く。父さん、このままではこの病院、早乙女に乗っ取られますよ。紅子が言っていた数年というリミット、多分それはそれくらいには計画が完了していると言う意味だろう。旧華族と縁戚関係になり良い後ろ盾が出来たと父は大喜びだが、気付いた時には取り返しのつかないことになっていそうだ。紅子もまた早乙女氏に何か弱みを握られているのかもしれない。そんな矢先のこと、早乙女家の遠縁だという早乙女順三と話す機会があり、衝撃の事実を知った。きっかけは順三からの問いかけだ。律君も引き取って下さったんでしょう?と聞かれて疑問符が。誰のことです?神妙な表情の壮之助の様子に、あちゃ~と言った表情の順三は芳次さん(紅子の父)に僕から聞いたと言わないでくださいね、と念押しして語り始めた。当主を務める兄に対してコンプレックスを拗らせていた芳次は何よりも早乙女の血を重んじていた。長女と長男の結婚も思う通りに運び、残るは次女の紅子のみ。美人で頭の良い子だから政治家の二世にでも嫁がせるか・・・。芳次が相手をピックアップし始めた頃、なんと紅子が家出。一年近く経って見つかった娘はなんと子供を産んでいた。隠れて付き合っていた恋人との子で、相手が浮気の末に山の事故で死亡。その直後に妊娠に気付きバレたら堕胎させられると逃げ出したらしい。しかし、紅子は出産時に大量出血により死の淵を彷徨い暫く寝たきりになっていた。実家に戻された彼女を診ていたのが順三なのだと言う。芳次は紅子を激しく叱責し暴力も振るったそう。しかも産まれた孫を雑種の子など早乙女の血筋と認めないと家人に赤ん坊の世話をするのを禁じた。ふらふらになりながらも子供をあやす紅子が不憫でならなかったと順三は言葉を詰まらせた。が、紅子の母か姉が見かねて本家に助けを求め、当主の意向で理不尽な扱いは無くなったが赤ん坊は遠縁に預けることに。以降、紅子は息子・律に会えずで三年後、壮之助との結婚が決まり、後はあなたの知る通りです。順三の話で漸く色々と合点がいった。彼女はきっと壮之助と結婚すれば、数年後に息子と暮らせるようにしてやると言われたのだろう。順三は乗っ取り要員に違いないが、紅子への気遣いは本物に見える。事情が分かった今、紅子と話をしなければならない。帰宅した彼は全て判っていると前置き、彼女からどうしたいのかを尋ねた。あなたさえ良ければこのままここにいて欲しい、律くんのことも引き取りたいのだと本音を語ると観念したのか彼女もこれまでのことを話し始めた。ほぼ順三の話の通りだったが紅子もまた横暴な父に苦しめられてきたこと、壮之助を愛し始めていると語った。なんとしても家族を守る。そう決意した壮之助はこれからのための行動を始め・・・。お互い、ワンマンな父親に振り回され続けていたヒーローとヒロインが子供たちと幸せのために奮闘するお話です。ジャンルとしてはステップファミリーものになるそう。全編通してヒーロー・壮之助目線で語られているので、主役は彼だと思うんですが、マーマレード文庫の人物紹介は紅子がトップなのでそちらに習っています。さて、紅子の憂いを晴らすため、先ず壮之助が始めたのは家族問題に強い弁護士を探すこと。そして見つけた弁護士からのアドバイスで必要書類を集め、紅子に頼んで早乙女本家の当主にも面会。姪っ子を不憫に思っていた彼は全面的に協力することを約束。もし弟が何か言って来たらこちらに回せ、と力強い返事を得て、次は律を迎え入れるための準備を始めます。当初はあかりの反発を食らったものの、後に打ち解け、年明けには律を養子に迎え久遠寺家は四人家族に。しかしこの行為はどちらの父からの怒りを食らい大騒動に、という展開です。ちゃんとハッピーエンドでしたが、テーマがテーマなのもあって恋愛要素はかなり少な目。二人の恋模様を期待するとがっかりするかも。正直、タイトル詐欺に近いものが(^_^;)無愛想なヒーロー目線だし甘い要素もほぼゼロ。壮之助が紅子を好きだと気付いた時が可愛かったけど、ほんとそれくらいです。ただ、お話自体は薄暗い雰囲気ながらも良かったです。飽く迄期待しちゃいけないのはラブラブ部分だけですので。評価:★★★★★
2026.09.05
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9月下旬 レジーナブックス 出来損ない令嬢に転生したギャルが見返すために努力した結果、 溺愛されてますけど何か文句ある? 2 やきいもほくほく10月6日 小学館文庫キャラブン! 黒百合姫は破産フラグを回避したい 腹黒王子は誘惑対象ではありません マチバリ10月19日 HJノベルス ラスボスの継母に転生したけど、 手作り魔道具とお菓子で家族円満です! 木崎優11月5日 一二三文庫 花薬師の恋契り 1 日埜和なこ11月10日 DREノベルス 辺境のお菓子番 ~無能と追放された主席宮廷菓子師、 知らぬ間に王都で評判になっていました~ 歩人11月26日 SB文庫 みだりに怪異と決めつけてはいけません 峰守ひろかず 実業日本社 処刑された悪女、回帰してしたたかに生きる 2 ~死の元凶(呪われた公爵)に凸ったら、溺愛運命ルートに!?~ 蒼伊12月10日 ツギクルブックス 追放令嬢に転生したゲーム好きのOL、世界最強の魔法剣士になる。 てるゆぬ(敬称略)近いうちに月ごとにまとめた購入リストを作ろうと思ってます。一応、忘れないうちにと買いたい本を書き出してたんですけど、見返すにしても少し見難いなぁと、今更ながら思いまして。多分、9月期は追加含めてこれでもう無いと思うので、纏められるかな?
2026.09.04
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2025年4月刊ガガガブックスf著者:マチバリ(敬称略)巫女のレティーシャが嫁ぐことになったのは『狂犬』と名高い公爵様。その正体は、レティーシャが貴族だった子供の頃、わがままの限りに虐げてきた元使用人のヴィンセントだった!…きっとひどい復讐をされるんだわ!そんなレティーシャの思いとは裏腹に、毎夜、彼から注がれる甘美な熱情に、レティーシャは抗うこともできず溺れていく。「俺から逃げられると?あなたは俺の妻だ!」これは復讐、それとも愛?ヴィンセントの真の目的とはーあぶない公爵様の重たい愛に悶える、偏愛ラブファンタジー! ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 レティーシャ=没落貴族の娘。両親の死後、巫女として神殿に居た。 ヴィンセント=レティーシャの元使用人。 パウロ=司祭。仮面で顔の大半を隠している。 ミーガン=ヴィンセントの自称婚約者。 ノエル=神殿の先輩巫女。巫女として神殿で働くレティーシャは、「外れ巫女」と呼ばれ、巫女仲間から虐げられていた。「外れ巫女」とは、産まれてすぐ神殿に預けられた者たちとは違い、ある程度の年齢まで外界で暮らしていた者を指す別称だ。要はただの僻みのようなものだが、レティーシャ自身はこの扱いも甘んじて受け入れている。彼女は元々貴族の生まれだった。そこそこ裕福な子爵家の一人娘で、今思えばかなりの我儘娘だったと思う。しかし、十二の年、父が事業に失敗。多額の借金を抱える中、母が流行病で亡くなり、後に父も家令と共に馬車の事故であっけなくこの世を去った。残されたのは返済し切れていない借金とレティーシャただ一人。屋敷と家財を売ってもまだ足りず、レティーシャは娼館に売られることが決まった。使用人たちからも見限られ誰も助けてはくれない。だが、たった一人ヴィンセントだけはどこにでも着いて行くと言って聞かなかった。これまで散々バカにして犬扱いまでしていた私に尽くそうなんて本当にバカな子。彼女は隠し持っていた母のネックレスを退職金代わりにヴィンセントに握らせると引き留める彼を振り切り、取立人の馬車に乗り込んだ。その後、彼女は娼館に連れて行かれはしたのだが、用心深い支配人は念のためとレティーシャの魔力属性を鑑定。結果は聖属性。この子は娼婦にはなれないよ、支配人は取立人に彼女を神殿に連れて行くよう指示した。巫女なら支度金を出してくれるはず、それで手を打ちな。支配人の言葉に取立人は舌打ちしたが、法律では聖属性持ちの女児は巫女になる決まりだ。それを無視して娼婦にしては厳しい罰を受ける。従うしかない。こうして、レティーシャは神殿に預けられたのだった。あれから六年、相変わらず他の巫女たちは自分にだけ厳しい。特に貴族の生まれだと言うノエルから当たりは日に日に強くなり、何かと難癖を付けては嫌味を言われている。ホント、もういい加減にして欲しいわね。まぁ、口が裂けても文句は言えないのだが。そんなある日ののこと、大司祭に呼び出されたレティーシャは、自分がガーデン公爵のつがいに選ばれたと聞いて唖然としていた。私が公爵様の!?この国では皆多かれ少なかれ魔力を持っている。高位貴族になるほどその魔力量は膨大で、強すぎるが故に自らの身体にも影響を及ぼしていた。放っておけばそのうち死に至る。そんな彼らを唯一救えるのが聖神力を持つ巫女たち。彼女たちは夫婦の営みによって相手の魔力を受け止め体内で中和することが出来る得難い存在だ。つがいと言いつつ要は結婚相手なので、貴族は髪や瞳の色など好みのタイプを選んで指名してくる。で、今回選ばれたのがレティーシャと言うわけだ。なんて物好きな。ため息交じりの大司祭の呟きに今回ばかりは同意する。まぁ、あの狂犬公爵だからな。狂犬?エライ言われように困惑していると件の公爵が現れた。背の高い黒髪の青年の顔を見てレティーシャは愕然。ヴィンセント・・・思わずつぶやくと、様を付けないかっ、と大司祭に叱責された。が、誰に向かっての物言いだ!とブチ切れたのはまさかの公爵。その勢いにビビる大司祭はどうして自分がと疑問に思いつつ謝罪したのを認めると、彼は「お嬢様・・・・」と膝をついた。ヴィンセントは遅くなってすまないと詫び、私たちの屋敷に帰ろうと彼女の手を取った。連れて行かれたのはガーデン公爵邸。馬車の中で聞いた話によれば、ヴィンセントはれっきとした公爵家の嫡男だそう。じゃあ、なんでうちで使用人をしてたのだろう。疑問を口にすると、まぁ色々ありまして・・・。どこにでもあるお家騒動です。前公爵夫人は後妻なので、自分が産んだ子を後継にしたかった。命の危険を感じた彼は公爵邸から出奔。街を彷徨っていた所をレティーシャの家の庭師に拾われたのだそう。そこから先は彼女も知っている話だ。あなたは私の犬よ、一生私だけのために生きるの。生意気な子爵令嬢の言葉はヴィンセントに生きる理由を与えてくれた。だからどんな我儘にも従ったし、子爵家が没落しても彼女の側にいた。だから、娼館にだって着いて行くつもりだった。なのにあなたは奥様の形見を握らせ、僕を置いて行った。恨みがましい彼の表情に何とも言えない気持ちになる。レティーシャに置いて行かれた彼は絶対に助けると心に誓い、そのためには金と力がいるとガーデン公爵家に戻った。ヴィンセントは巫女の子だ。権力が集中しないよう、大抵の貴族は迎え入れたつがいと子を成し、後に後妻を迎えてもつがいと子に家督を継がせている。ガーデン公爵家も例に漏れずで、いくら後妻と異母弟が主張しようとヴィンセントが後継者だ。前公爵も肯定し、数年後、ヴィンセントが公爵となり、無駄な足搔きをしていた継母は前公爵に連れられ領地に引っ込み、異母弟のパーヴェルは遠縁の貴族の養子になった。これで漸くお嬢様を助けに行ける。しかし、国中の娼館をしらみつぶしにしてもレティーシャは見つからなかった。まさか外国に売られた!?焦り始めていた彼は王太子の命で出かけた神殿で奇跡的に探し続けていた人を見つけたのだ。丁度、自らの魔力に苦しめられていた彼がつがいにレティーシャを指名したのはそれから数日後のことだった。彼は彼で苦労していたのね。ヴィンセントは事情は語ったが、本心は言わなかった。おかげで、レティーシャがとんでもない誤解をし続けることになることも知らずにいた。これは仕返しに違いないわ。ヴィンセントは私を恨んでいて当然だもの。こんないい暮らしをさせながら、あとでどん底に叩き落とすつもりに違いない。子どもが生まれたらすぐ引き離されて追い出すとか?一番有り得そうな復讐方法を考えて背筋が凍る。もしそうなったら謝り倒して、せめて年に何回かは会わせてもらえるよう頼まないと。と、考え込んでいけないいけないと首を振る。暇だからつい余計なことを考えてしまう。ヴィンセントがくれた資産は使い切れないくらいあるし、商売でも始めようかな。売り物は巫女時代で培った護符。ちょっとした災難なら跳ね返せる護符や、保温機能を付与したもの。製作は作り方をレクチャーした養護院に委託し、材料費を除いた額が養護院の運営費に充てられる。慈善事業にもなって一石二鳥。別に護符の販売は神殿の専売特許ではないし、あちらとは効果が被らない者をを売っている。まぁ、予想以上に当たったから後で抗議が来るかもだけど。それから数か月経った頃、屋敷に一人の女性が訪れた。ボルティア伯爵令嬢・ミーガンは、ヴィンセントの婚約者なのだと言う。彼女はつがいの役割を知らないのか早く出て行けと捲し立てた。が、多分、私が役目を終えるとすれば子供を産んでからかと。そう言うとミーガンはポカン。少しして気を取り直すと、とにかく私と彼は結婚するからっ、そう言って出て行った。メイドからミーガンの訪問を聞き、ヴィンセントは歯噛みした。ガーデン公爵家の財産目当ての意地汚い女。レティーシャの天然な返しに毒気を抜かれてすごすご帰ったようだが、流石に見過ごせないとボルティア家に厳重抗議した。潰されたくなければ娘が馬鹿なことをしないよう見張っておけ。ヴィンセントの忠告にボルティア家の者たちはすくみ上り、ミーガンにも約束させたからもう凸って来ることは無いだろう。が、数日後、今度は神殿からパウロ司祭とノエルが来訪。ヴィンセントの使命は何かの間違いだととんでもないことを言い出したパウロは、ノエルこそが彼のつがいだとゴリ押し。勝ち誇ったようなノエルに困惑していると丁度ヴィンセントが帰宅し、俺が指名したのはレティーシャで間違いないと宣言し、擦り寄るノエルを追い出した。そのやりとりを見ていた執事は、二人が帰った後、あの司祭に見覚えがあると言う。火傷を隠すため目元を覆う仮面をしているが、顔立ちも声もどこかで。近年会ったことがある者ではないはずだが、何か引っかかる。思い出したら教えて欲しいと執事に頼み、今回の件でいよいよ神殿の闇を暴く時とヴィンセントが力を入れ始めた矢先のこと、レティーシャが行方不明になり・・・。復讐ものと思いきや?なお話です。高位貴族の魔力暴走を鎮めるために考え出された「つがい」というシステム。魔力が強い貴族にしてみればありがたい存在の巫女なのですが、神殿がぼろ儲けする仕組みにもなっていて、実はあちこちでトラブル続出。それを憂いた王太子の頼みでヴィンセントが動いていた時、彼は探し求めていたレティーシャを見つけたのです。あんなことを言っておきながら自分を捨てた彼女を憎みつつそれ以上に愛していたヴィンセントは神殿の件が片付くまでは、と本心を隠していました。幸いにもレティーシャは神殿にはいたものの、闇の部分には関わっていなかったので問題なかったのですが、なぜかパウロが彼女を神殿に戻したがっているのを知って不審に思います。そんな最中、神殿に居た者しか知り得ない暗号で呼び出されたレティーシャは、パウロの正体を知って愕然。執事が既視感を覚えたのもそのはず、パウロこそヴィンセントが戻ったことで追い出された彼の異母弟・パーヴェルと判明。同じ頃、執事の話で黒幕が異母弟と知ったヴィンセントは神殿に向かい、という展開です。主役CPが最後の方まですれ違ってたのもあって結構じれじれしてます。事件解決後、彼が本心を語ったことで誤解も解けお互い両想いでハッピーエンドで幕。この作家さんらしい内容で面白かったです。あと、初めて読んだレーベルですが、行間が広くて読み易いのが助かりました。評価:★★★★☆
2026.09.03
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2026年7月刊ベリーズ文庫著者:朝永ゆうり(敬称略)大病院の理事を務める父の紹介で外科医の瑞樹と結婚した万智。「結婚したのは院長になるためだ」と言う瑞樹とは、愛など一切ない完璧な仮面夫婦。もとから恋愛に夢を見ていない万智は、院長を目指す彼のため妻の役目に徹していたが…。周囲の嫌がらせにも屈せず夫を守る万智の姿に、瑞樹の庇護愛が燃え上がり!?「俺が愛の存在を教えてやる」-溢れる激情に万智も心を揺さぶられ…。 ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 望田万智=病院理事長の娘。政略結婚相手の瑞樹に尽くす。 持田瑞樹=エリート心臓外科医。次期院長の座を狙っている。鴎川沙久良=病院長の娘。 鴎川翼=外科医。鷗川家に婿入りして副院長になった。 トキ=VIP室に入院している老婦人。光前寺総合病院の理事長の娘・万智は、父の命令で心臓外科医の望田瑞樹と政略結婚をした。現在、光前寺総合病院は理事長派と院長派に分かれている。外科医を娘婿に迎えたり、働き方改革を積極的に行っている事から院長派が一歩リードと言った所。ならばこちらも、と父が考えたのがこの結婚。とにかくお前は彼が次期院長になれるようサポートに徹しろ。と厳しく言い含められた。お母さんのように、ね。万智の母は碌に父とは口も聞かないくせに、家事は一切手を抜かず、父を支え続けた。両親もまた政略結婚だったそう。母はいつも夫をサポートするのが妻の務めと口を酸っぱくして言っていた。それほど尽くしても愛情も感謝の言葉も貰えないのに?子供のころはそれが不思議でならなかったが、大人になってこうして政略結婚を受け入れている辺り自分も染まっていると思う。だって、夫となった瑞樹からも万智と結婚したのは院長になるためだと初日から釘を刺されているのだ。元より愛情を求めるだけ無駄なこと。やはり宣戦布告に取られていたか。結婚披露パーティーに現れた鷗川夫妻は、晴れの日に嫌味たっぷりのコメントを言うとさっさと帰って行った。院長の娘・沙久良は底意地の悪い女だ。有明会というこの病院に勤める医師の夫人たちの集まりで頂点に立ち、気に入らない者はいびり倒して追い出していた。その会に万智を勧誘しているのを耳にして瑞樹はギョッとした。つい嫌なら断ってもいいんだぞ、と柄にもない事を言ってしまい押し黙る。その態度にどう思ったのか、瑞樹さんの立場が悪くなってはいけませんから。そう言って入会を希望していた。彼女との結婚で実質鷗川の婿養子・翼と瑞樹はライバルになった。腕で瑞樹には敵わないと向こうも熟知しているはず。万智が酷い目に遭わなければいいが・・・。瑞樹の嫌な予感は的中。沙久良によって万智は幾度も嫌な思いをさせられることに。会の集まりでは主旨を詳しく教えて貰えず恥をかかされ、望田家で集まりたいと言うので頑張ってもてなしの用意をすれば難癖を付けられ大事に活けたフラワーアレンジメントを台無しにされた。そして、病院内の花の管理を任されたのはいいものの、花のチョイスを馬鹿にされた挙句、花瓶の水に細工をされたのか花は夕方には枯れていて大ショック。せっかくトキさんにも褒めてくれたのにな。VIPルームに入院している夫人は花と華道に詳しい様で、万智の活けた花によく感想を言ってくれていた。今日の花もこういうアレンジの仕方いいと思うわと微笑んでいた。その表情を思い出すと申し訳なくなる。ため息を吐きつつ新しい花に取り換え、何とか無事だった分は持ち帰り自宅に活けなおした。綺麗だな。病院に飾ってあった花だろ?珍しく瑞樹に話しかけられ、はいと肯定する。自分の管理不足で大半を枯らしてしまったのだと話せば、あの女に嫌がらせされてるんじゃないのかと問われ慌てて否定する。嘘が下手だなと思うが本人が言いたがらないのを無理に聞き出すのは悪手だろう。理事長から鷗川が横領をしていると聞いて尚更これ以上のさばらせておけないと思う。しかも、夫の立場が悪くなると黙って嫌がらせをされている万智のことも気掛かりだった。彼女はどこか亡くなった瑞樹の母を想起させる。大手製薬会社社長の父は仕事人間で兄二人も似たような性質。そんな父を支え続けた母は瑞樹が高校生の時に心臓病で亡くなった。父や息子たちに迷惑をかけたくないからと入院もせずに。母の死をきっかけに瑞樹は心臓外科医の道を目指したことで父と絶縁。体面上、式には呼んだが出席だけして挨拶したいと言う万智の挨拶も断って帰って行った。無駄口を聞かず、リラックスが出来ればと瑞樹の為に気分が落ち着く香を毎晩焚き、家事も一切手を抜かない。母と彼女の姿が重なって何とも言えない気持ちになる。その日を境に瑞樹の態度が軟化。実は美術館巡りが好きなんだ、と彼が連れて行ってくれたのはアート系美術館。人気作品をモチーフにしたイヤリングも買ってもらい、万智の胸は高鳴った。しかも、有明会の会合にも付いて来て、沙久良の嫌味な物言いに眉を潜めていた。時間が合えば今後も一緒に行く。彼女にそう告げながら、沙久良への怒りが募る。あれでも今日は瑞樹がいたからソフトだったんだろう。それでもあの言い方は無い。家柄的には上になる万智をまるで貧乏人扱いまでしていたのを思い出し更に腹が立った。これは早々に調査を勧めないと。そう決意した矢先のことトラブルが。元大物政治家の胆嚢結石の切除は翼の担当だった。研修医でもこなせる簡単な手術なのに、名乗りを上げたのは患者が元大物政治家だから。しかし、手術日前日に結石の裏に大動脈瘤があるのが判りそれが破裂寸前。患者も体調不良を訴え、瑞樹が手術することに。結果手術は成功したのだが、翼は家族にいいように説明し手柄を横取り。瑞樹も業腹だったが、ここはいい気にさせておいた方が後の逆転が生きると判断。これまでに揃えた院長たちの不正の証拠を揃えて告発の日を待った。だが、数日後の病院の創立記念パーティー当日、万智が何者かに攫われ・・・。次期院長の座を巡っての争いが激化する中、瑞樹は万智を愛しく思うようになっていました。そして、万智もまた。そんな中、翼のミスを瑞樹がフォローしたことで形勢逆転されそうな鷗川サイドは大焦り。こうなったら万智が不貞をしたとでっち上げてスキャンダルで瑞樹を追い落とそうと画策して実行に移します。もうね、どうせ沙久良の案なんでしょうが、やることが下種過ぎてドン引き。これまでの嫌がらせを思うとあなたの方がよっぽどお育ちが悪いですよ?万智が無事救助された後、怒り心頭の瑞樹によって鷗川院長による横領が暴露され、彼らは退陣に追い込まれるのでした。当然、沙久良は醜い悪あがきをしましたが、会のメンバーにも見放された上、実は華道の家元だったトキさんに完膚なきまでに叩きのめされます。これまで散々、万智の花に文句付けてたからこのシーンはスッキリ。ってか、人の作品にケチ付けられるほどの腕じゃなかったのかいぃっ。騒動後、理事長の推薦で瑞樹が次期院長に決まり、思いが通じた二人の仲睦まじい様子が描かれて物語は幕。じれじれ系なかぁと思いきや、ヒーローが割と早くヒロインに心を許したので、優しくなるのも早かった。判り易いヘイトキャラへのザマァもあってテンプレながら面白かったです。評価:★★★★☆
2026.09.02
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9月25日 レジーナブックス はっきり言ってカケラも興味はございません 身勝手な婚約者とはお別れします 桜みおな 破滅予定の悪女ですが、 天使な双子の継母になったので心を込めて育てます! 氷雨そら10月28日 スターツ出版文庫 鬼の花嫁 新婚編 六 (仮) クレハ クチナシの花嫁(仮) 琴織ゆき 貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されてます いずみ 涙の治癒師 ~無能と呼ばれた私を、若き当主だけが信じてくれました~ 樹花奈10月30日 角川ビーンズ文庫 あなたの好きにしてください 私が偽物の番でも愛してくれますか? 鳥村居子 eロマンスロイヤル 厄災の魔女、魔力を失ってこじらせ王弟殿下のお嫁さんにされる かな11月5日 フロースコミックス 今世は当主になります 9 公爵夫人の50のお茶レシピ 12 悪女は砂時計をひっくり返す 1212月1日 Mノベルスf 傷物の人形令嬢は隣国のワケあり辺境伯に囚われ、心の中まで愛でられる かのこ(敬称略)鬼の花嫁、ついに本編の続きがっ
2026.09.01
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