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全12件 (12件中 1-12件目)
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1、2に続くシリーズ第3弾。「24時間、365日対応」という看板を掲げ、年中無休、フル活動をする信州の本庄病院で微力ながらも崩壊寸前の地域医療の人柱を続けて、すでに5年半が過ぎた内科医・栗原一止。古狐先生を失った消化器内科にベテラン医師・小幡奈美がやってくる。彼女の医師としての覚悟を知った一止は・・・。一止の転機となる物語。過酷な医療現場の実態。----------------------------プロローグ指導医であり、内科部長の大狸先生のはからいで土曜の午後に研究会に参加し、久々にまともな時間に「御嶽荘」に帰ることができた一止は、細君・ハルと無頼の画家・男爵とひとときを過ごすが、呼び出しがかかってしまう。第一話 夏祭り相変わらず「引きの栗原」と救急部看護師長・外村や松本平広域救急隊の後藤隊長に言われつつ、当直でひっきりなしの急患に対応する一止。そこにアルコール性肝硬変で通院治療が必要なのに、外来にも来ないで酒ばかり飲んでいる横田が怪我で運ばれてくる。横田は仕事に復帰して酒はやめているというのだが、次の日、天神祭りで金魚屋を準備していた彼は酒を飲み、倒れてしまう。入院するも抜け出した横田は、祭りで金魚屋を出していた。この日だけは、別れた妻と横田が父親だとは知らない息子(小2)に会えるからだった。4月から血液内科医として勤めている進藤辰也は娘・夏菜(3)の面倒を見ながら、緊急呼び出しに応じることもあるように。砂山次郎も、外科学会で部長の甘利先生と次郎以外の外科医出てしまい、大忙し。忙しさの中、一止は30歳に。肺炎で入院中の開田ツネ(92)の見舞いにマメに来る妹・節子(88)だけで、入院以来ほとんど病院に孫夫婦がこないため、退院についての話もできないと看護師・東西はぼやく。最終的には節子が孫夫婦を説得し、ツネは退院することに。ハルと約束していた天神祭りには行けなかったが、電話でつながり、同時に花火だけはみることができる。第二話 秋時雨9月から新しい消化器内科・小幡が入る。彼女は第一線のベテラン(12年目)として活躍していたが、信州のゴッドハンドと言われる大狸(板垣)先生が信濃大学消化器内科にいたころ、彼女の研修医の時のオーベンだった繋がりから引っ張ってこれたらしい。ベテランで、人当たりが良く、技術もあって、最新の医療も勉強し、研究、論文もこなす美人な小幡は完璧に見えた。だが、外村の評価は違うようで・・・。救急で運ばれてきた、喘息で肝機能障害が目立つ患者・榊原信一(36)は、東西(28)となにやらかかわりのあった男らしく、噂に。穏やかで知的だったが、隠れて酒を飲み続けてしまう。東西の高校時代の音楽の先生だったという榊原は、彼女に影響を与え(看護師になったきっかけでもある)、作曲にも取り組んでいたが、些細なことから彼女と噂になり、教師としても、作曲家としても道を絶たれ、立ち上がれなかった。その後、東西の言葉を伝えられ、一止と相談の末、榊原は精神科のある病院へ転院する。御嶽荘に2か月前に屋久島へと旅立った大学生・屋久杉君が帰ってくる。第三話 冬銀河1月から大学病院に戻ることになった次郎のため、ささやかな送別会を開く辰也と一止。両親亡き後足を洗って孫の賢二を育てたという島内耕三(82)が入院、検査で膵癌の可能性がでる。小幡が当直の日、きちんと処置されない患者が出ていることに気付いた一止は、彼女がアルコール関係の患者の治療を意図的に避けてるのではと問うが、はぐらかされる。一止はハルに写真集完成のお祝いを兼ねてライカM9Pをプレゼント。その後、小幡がまた患者(横田)を放置したことから詰め寄ると、逆に小幡から診察に忙殺され、最新の医療から遠ざかる一止に失望し、偽善者タイプの医者だと、医者が無知であることは悪だという覚悟で自分は医者をやっていると言われてしまう。生きることに舐めきって、きちんと治療と向き合わない(酒を辞めないなどの)患者に時間を費やすつもりはないとも。衝撃を受けた一止は、旅をして活力を取り戻した屋久杉君(20)に励まされる。農学部の彼は、学部の関係で4月からは伊那に移るため、春には御嶽荘を出るという。第四話 大晦日診察もせずに患者を追い返した小幡と外村が、診療に関して正面衝突。直後、インフルエンザで外村が休み、救急部の雰囲気は最悪に。一止に諭された小幡は今回は非を認める。耕三に膵癌の診断を下した一止は、心配する孫と耕三に告げる。一止の率直な言葉を聞いた耕三は手術を決意。本庄病院の卒業試験として次郎が手術担当に。元本条病院の外科部長で、現在は松本市郊外の乾診療所院長・河馬親父先生のところに、休んでいるはずの外村の姿が。外村は医者になりたかったこと、なれなかったばかりに医者のやることに口を出すなと同年代の小幡に言われ、本気で腹を立てた自分の未熟さに腹が立っていたと一止に告げる。後藤と外村はいい雰囲気?小幡が診療と研究に加え、連日連夜ICU管理もしていたことを一止は知る。名だたる先生らが(次郎を)見守る中、耕三の手術は無事終わる。小幡と外村和解。一止は、信濃大学で研修医3年目で突然医局を辞め、札幌の大学病院へ移っていた小幡に理由を尋ね、学生結婚した小幡の夫(10歳上)が信州大の主治医の診断ミスもあって膵癌で亡くなっていたこと、夫が死んだ町で続ける自信がなかったこともあるが、知識のない医者は容易に人殺しになると、一流の医者になる決意をし、病院を移っていたことを知る。自分も本庄病院を一度出たほうがいいか迷いだす一止。第五話 宴ハルと初詣の最中、本条病院を辞めたばかりの次郎から連絡が入り、耕三が癌ではなかった(手術は必要なかった)と告げられる。検査から診断が難しかった症例で、誤診ではないかと会議に。一止の手落ちの検査をカバーし、診断に対しても(手術せずに手遅れになる可能性を示し)フォローする小幡。孫の賢二は憤るが、自分を案じてくれた一止の言葉が嬉しかったと、耕三は静かに受け入れる。小幡との力の差を痛感した一止は、4月から大学病院へ行く決意をする。(医者7年目。本庄病院には丸6年いた。)ハルは一止を支える。3月、一止を出迎えた、信濃大学消化器内科の准教授で医局長を務める雲之上先生は以前、大狸先生、小幡の3人で一つのチームを組んで働いていたという。また、小幡の夫の主治医は小幡自身だったこと、彼女が許せないのは彼女自身だった知る一止。小幡は救急患者もきちんと診断するように。ゆるぎない覚悟を持ち得てない自分の答えを探しに行くと一止は辰也に告げる。送別会の後、大狸先生に医者にとって一番大切なのは続けることだと言われる。エピローグ3月末日、本庄病院を辞め、大学病院に勤務する間の5日間、貴重な連休。屋久杉君は引っ越し、新しい入居者で、信濃大学の新入生だと現れたのは学士だった。
September 23, 2012
東京六大学野球(日本最古の大学野球リーグ:慶應、東京、法政、明治、立教、早稲田:春と秋に明治神宮球場にてリーグ戦が開催される。)にスポットをあてた連作短編集。ありがちな野球小説なのだけれど、それでもいいかと思う。シリーズに一貫して登場(名前だけでも)する、高校野球優勝校のエースで早稲田に進学する”銀縁くん”のモデルはすぐわかる。開幕試合は前シーズンの優勝校と最下位校が対戦、「早慶戦」はシーズン最終週に組まれるなど、試合しているのは知っていたが、基本が分かるのも面白いかも。結末が記事になっていて、そこにオチがあったりするのも面白い。----------------------------第1週 赤門のおちこぼれ高校で楽しく野球をしたいだけだったのに、中学時代にそこそこの実績を残していたことから先輩から目を付けられ、野球を辞めた深町真澄。高3の夏休みに甲子園決勝戦(山藤学園:エース土田一成vs京浜高校:エース星隼人)を観て、銀縁くんと呼ばれる星が進学するという早稲田を倒したいと東大進学を目指すことに。驚くべき集中力(執念?)で東大に合格。野球部に入部するが、ブランクとめぐってきたチャンスに肘を痛め、一度もベンチ入りすることができずに迎えた4年の春。それでも腐らずトレーニングを続けていた真澄は、父からもらった「左投手の勝利学」を参考にアンダースローをマスター。最後のリーグ戦直前の夏、臨時コーチとして来たのははなんと「左投手~」の著者で、元プロ野球選手の矢野光二だった。矢野の指導を受け、アンダースローをマスターした真澄は星が投げる早稲田戦に登板することに。開幕戦、前回優勝校の早稲田と最下位だった東大の試合。そこで見事早稲田、星に勝つ東大、真澄。そのほかの話でもあるのだが、良い監督、コーチがいるだけでこんなに違うのかというところも。第2週 苦き日の誇り法政大学野球部監督・太田清郎を尊敬するマネージャー西宮五郎(大4)は、元は福岡の野球名門校で甲子園で星から3本のヒットを打ちながら、出場すれば大学推薦をとれるという監督のごり押しでポジションチェンジして出たが、自分のミスで敗北。メンバーとも溝ができ、手術を受けて入学した大学でも孤立してしまう。2年になるときにマネージャーにされた吾郎だったが、新しく監督になった太田からマネージャーの重要性を解かれ、真摯に取り組み、支えるように。最後のリーグ戦、監督のためにと選手を鼓舞し、チームは一つとなる。星の弱点を見抜き、チームにアドバイスするも早稲田に惜敗。だが、チームメイトは「監督のため」というよりも「吾郎のため」に勝とうとしていたというマネージャー冥利に尽きるコメントがほろりとさせ、また、監督を軽んじられ、吾郎が選手を鼓舞するきっかけともなる横暴なOB議員に法政の選手のファールボールが当たるというオチも。第3週 もう俺、前へ!早稲田を目指していたのに受験当日にインフルエンザにかかり、家庭環境から浪人できないと、進学したのは明治だった北島一雄は、就職活動に苦戦していた。推薦でバカなのに早稲田進学できる銀縁くんには歯ぎしりする思い。明治というのが恥ずかしいという明大生ら。野球部はウザいと思っていたりもする。その後、自分よりも偏差値が低い大学出身者の正直で体当たりで熱意ある面接を見た一雄は自分も体当たりすることに。その面接後、明大生らで明治vs早稲田戦を観に行くことに。OB訪問で会った大手企業の早大卒・笹部が一雄に冷たかったのは、彼が学生時代エースであり、そのころは明治の黄金期で屈辱を味わっていたからだというオチあり。試合は(早大では笹部が達成して以来20季ぶりの記録となる)ノーヒット・ノーランを星が達成。第4週 セントポールズ・シンデレラ基本的にはのんびりした性格の佐山明子は、立教に進学。友人に頼まれ参加した合コンで、何も知らなかったが、有名人だった星(1学年上)と出会い、付き合うように。だが、星には立ち入れない一線があった。友人から説得され、出場することになったミスコンは、星が臨むドラフト会議の日でもあった。野球を続ける理由だという北澤祐介、古傷、ストイックな生活、記録を出したり、注目されても自信ないという星の苦しみ、葛藤も垣間見える。星はドラフト会議で最多7球団の指名が集まり、東京ジャイアンツが交渉権。週刊誌にスクープされてしまう明子と星野その後はどうなってしまうのか・・・?はっきり描かれないが、別れの予感・・・かな。フィクションなので、六大学以外のプロ球団や会社などの名称は仮名なのだけれど、東京ジャイアンツって・・・もうひとひねりあっても・・・。第5週 陸の王者、私の王者ドラフト会議で星を引き当てた東京ジャイアンツの篠田監督と慶應大学に通っている頃付き合い、自分の学歴・仕事をとったために別れた山田紀子。学歴コンプレックスを持つ母に従い勉強を優先した自分はその後、母に反発したのに、息子・俊哉に勉強を強いて、野球から遠ざけていた自分は息子から距離を置かれてしまう。母親仲間になじめなかった少年野球チームの元チームメイト土田は甲子園に出場していた。俊哉は慶應合格後、再び野球部に入り、レギュラー入りは叶わないがチームメイトの柴田はプロに。最終戦、ムードメーカーとしてチームをまとめた功績で最後にベンチ入りすることになった俊哉は、昔母から聞いた言葉に支えられた(勘違い込み)と感謝し、両親で観戦するよう願う。慶應高校に落ち、俊哉が入学したのは星のいた京浜高校。そりゃ、野球部はいりたかっただろうなぁ!早慶戦、早大勝利。俊哉は怪我で途中退場。第6週 都の西北で見上げた空は最後の早慶戦の第1戦目、勝てたが調子が上がらず、熱くなれなかった星隼人。思い出すのは星を野球の道に引きずり込み、バッテリーを組んで早稲田を目指そうと言った北澤祐介のこと。隼人の10歳の誕生日にマウンドをプレゼントした祐介はその後、池に落ちたボールを探すうちにおぼれて死んでしまった。一緒におぼれた隼人も怪我を負う。祐介の母に野球を続け、早稲田を目指して夢を叶えてと泣き崩れられた隼人はそれから孤独に抗い、周囲と距離を置き、野球を楽しめないままプレーしていた。唯一忘れられたのは甲子園決勝の時。再び熱くなるのを熱望していた隼人は、支えてくれた学生トレーナーの庄司に過去を告白。祐介の墓参りをしてから最後の試合(第3戦)に臨む。庄司のセリフに(知らないけどと書いてはあるが)元カノというフレーズがあるのは、やっぱり明子と別れたということだろうか。何か吹っ切れたようにマウンドに立つ隼人が初めていうような不遜に聞こえる言葉に、チームメイトが返す「俺の人生ではお前の方が脇役なんだぜ」というのがいい。確かにこの流れでは試合結果はいらない。なので、記事は途中に挟み込まれている。ただ、大事な日にこのような記事を載せるのはどうかと。この話では結果としては悪くなかったけど、現実ではもう少し(マスコミが)気を配ってくれていることを願ってしまった。
September 22, 2012
久々?エッセイ集はブログからではなく、雑誌や新聞に掲載されるものだったので「よそゆき仕様(自社比)」だそうな・・・よそゆきか・・・なぁ?確かに妄想は抑え目(控えめ)だったかもだけれど、日常はいつも通りの気が。一章は読売新聞に掲載されたマナーについてのエッセイと、いろいろな雑誌からの依頼があった単発、短期連載エッセイ。 しをん氏の父上が「ソフトモリカン(ソフトモヒカンのこと)」を目指しつつも、 手入れが必要との助言から単なる短髪になり、柴犬のようなさわり心地になったことや、 祖母の家の一つ下の階の部屋に侵入してしまった(鍵が開いていた)母上のこと、 担当編集者とのエア会話、いまだウォッシュレットを使ったことがないこと(弟も)、 テレビは蕎麦屋で見ていること、花粉症から鼻・鼻水についての考察、 降車マナーや年齢に対してのコメントについてなどなど。 売れない時代のしをん氏に友人が言った言葉はあたたかく頼もしい。二章は日本経済新聞のプロムナード欄に連載したエッセイ。 試す老婆、実家について、友チョコ、適正に欠けたタクシー運転手のこと、 局地的にせっかち(降車予定駅の一つ手前で切符を準備したりする)だということ、 言語感覚の違いについて、引っ越しした火宅2号について、などなど。 男女のグループの(成り立ちの?)違いについてはなるほどと思う。 (男子トップダウンで組織的→大人数も可、女子は横並びの調和を重視→少人数多し) 時代劇の画面が暗いくて見づらいと感じたら加齢の証では?と2007年に書いているが、 しをん氏が画面が暗いと評判の「平清盛」をどう見たのかは気になるところ。 また、文楽大好きのしをん氏が大阪市から助成金カットをどう思っているのかも気になる。三章はVISAの会報誌に連載中のエッセイ(「旅」がテーマ)。 青森にあるキリストの墓から地域住民のおおらかさについて、 駅弁を食べるタイミング、伊勢うどん、鰻などなど食べ物について、 川中島合戦戦国絵巻について、母上との二人旅(苦笑)、旅と掃除、 箱根、熊野、鳥取砂丘などなど。 自宅周辺では循環バス、公営プールでのこと、病院でのことなど。 久々にヴィゴ・モーテンセンで妄想旅行したりも。四章はいろいろな雑誌から依頼があった単発、短期連載エッセイ。 不特定多数が読むかもしれぬからと、喪中の人などを気遣い年始に書いた 事実を述べるだけの挨拶[あけました]に吹き出してしまった。 停電した時のこと、母親の理不尽、お坊さん、葬儀というものについて、 新宿、多摩川、町田のことなどなど。 電柱と電線、そんなになくなったかなぁ。
September 21, 2012
佐倉聖の事件簿2(アコギなのかリッパなのか続編)中学生の弟・拓を養うため、元大物政治家・大堂剛の事務所で事務員として働く佐倉聖(21)はW大学政治経済学部3年生。大堂のコネを使わずに、就職活動に励む日々を送っているのだが・・・。”大人”たちの無理難題を解決しつつも、自分の就職先について決断できずにいる聖の奮闘記?シリーズはまだ続きそうで楽しみ。----------------------------・序章 プレエントリー下手に大堂との縁を知られ、口利きを頼まれたらあとで自分が困るからと気を付けていた聖のもとに大堂との縁が欲しいコネ入社の案内が5通届く。また、弟の拓を無事成人させ、大学を卒業させるため、堅実、平凡、退職金、福利厚生を求め、経済優先してきたが、突然、糸の切れた凧である父親からちゃんと送金を受けるようになり、議員様方のおかげで奨学金を貰う目処もついたため、自分一人を養えばいいことになった途端、聖は就職先に迷いだしていた。なかなか就職を決めず、コネ入社の案内を受けた聖に、衆議院議員・加納らは2日で真相と就職先の結論を出さなければ勝手に就職先を決めると言い出す。・エントリーの一 ナイショナイショ大堂に内緒で、就職にもつながる有名広告企業のアルバイトの面接を受けに来た聖。だが、面接途中で停電に。停電で開かなくなった社外秘の部屋を開けられたら、面接の代わりにすると言われた聖は、同じく志願した奈々地と共に考えることに。聖は、情報を持ち出そうとした社員が停電を利用していた真相を明らかにする。社員を告発した形となり、ダメだと思ったアルバイトはなぜか採用に。大堂門下「風神雷神会」の加納議員の新しい秘書小菅(聖より2歳上。聖をライバル視)のデータが停電でパーになり、電話がかかってきたりも。アクシデントがあった選挙応援に行かなかった聖は、何をしていたか大堂らにばれてしまう。・エントリーの二 羊羹こわい日比谷にある「アキラ」は表向き大堂の持つ会社関連の事務所だとされているが、その実態は、大堂が趣味の宝塚観劇に通い詰めるための根城だと主張する聖。アルバイト採用になり、「アキラ」で働けなくなる日も出ることから、大堂の妻・沙代子議員の姪で秘書の真木が、「アキラ」を手伝いに来始めた。だが、家事が一切できない上に健啖家の真木は、羊羹をうまく切れずに自分で食べてしまい、大堂は食べられないのだとこぼす。真木の家事上達はその後も望めず。加納は地元事務所にストーカーが出、第一秘書・山根は教師になると、第二秘書の砂村は実家に戻って蕎麦屋を始めると、次々に辞めてしまったという。第三秘書の北本と若い小菅だけでは心もとないと聖に協力を頼みに来るが、大堂は、聖は学生とアルバイトの掛け持ち、家事、就職活動とオーバーワーク気味のうえ、弟の拓(14)が寝起きにふくれ面なのが気にかかっていて手一杯だという。だが、聖はストーカーについて(教師になれば政治と関係を持たずに公務員になれるかもと)調べることに。アルバイト先で、社員からコネ採用だと言われた聖はそれも疑問に思う。その後、第三秘書北本もサラリーマンになるため辞めてしまったとパニックになる加納は、地元出身の実業家・小城が次回出馬の噂があり、そうなったら選挙運営等相当きつくなるという。次回出馬を望んでいたのは小城の秘書・志賀で、加納陣営の切り崩しと、聖の知らぬ間にコネを使っていた(拓もそのことをからかわれていた。また怪我をしたため聖の怒りは大きい)。小城ではなく、志賀のコネだったため、秘書らの望みの仕事にはあと一歩で、山根と北本は加納の事務所に戻る。自分で使ったコネではないと誤解は解けるが、聖は広告会社のアルバイトを辞めることに。ブログを使って大堂を軽く脅し、羊羹ごときで文句が出ないようにする聖だった。・エントリーの三 聖、シューカツ中半年働く予定だったインターシップ先で、なぜか2ケ月で首になった真相が知りたいと、聖は加納に(その会社が加納の地元に近く、加納の後援会に入った小城と縁があるかもしれないと)調べてくれるよう頼む。貸しにして加納承諾。その代り、加納の代理として先日の参議院議員選挙で落選した4つの選挙事務所へ顔を出すことに。聖は発言を誤解され、また、女性上司に利用され、ひどい男認定されていたことが判明。落選候補者達のうち、誰なら次回当選できそうか調べる作業の一部を押し付けられていたことに気付いていた聖(当落を当てるのが得意)は、候補者全てがダメだと判断。高齢者候補の秘書・作田を推す。・エントリーの四 神、降臨大堂は政治家から引退した後も引き続き政治家秘書を側に置いていたが、最近、大堂の会社の社長秘書・前島に入れ替わった。だが、大堂の振る舞いは前島の手に余る。「アキラ」に大堂の元秘書で現都議会議員・小原が、ネットに降臨した国政選挙当落を高確率で当てる神を捜しに来たというプロの選挙参謀・佐々木を連れてきていた。真木は新しい恋に浮かれ冷却中、大堂は腹痛(その後、虫垂炎だと判明)、内々定を取った聖は佐々木らを連れて家に。佐々木は聖らが議員当落予想ソフトを作ったと考え、データが入っていると思われるUSBを盗む。だが、聖にも質問しつつ制作したのは加納。うっかり外に漏れたのは小菅のせい。佐々木は「風神雷神会」メンバーの対立候補をサポートしており、真木の恋心も利用していた。小原は相手陣営から佐々木を引き離すため、偽のUSBを盗ませたのだった。・エントリーの五 電信柱は友か「アキラ」に来た新人事務員・森之下安夫(35)は、なぜか皆の弱みや失敗などを知っていた。皆と交流のある拓→大堂ルートで情報を得たらしいが、森之下のことが面白くない加納、真木、小原、聖は、彼のことを調べることに。奨学金取得した拓は、これで兄が自由に就職先を選べると喜ぶも、聖は決めきれず。聖は大堂に費用を出してもらっている関係で、勉強は頑張らざるをえず、大学の成績は良い。また、面白半分に強制されて、運転免許、簿記資格、調理師免許なども持つ。森之下は「風神雷神会」の一人、県議会議員高藤の古参事務員だった。高藤がなくした懇親会出席者の会社のマル秘データを取り返そうと、大堂にサポートを頼んだのだ。森之下も政治家志望者で、弱みを握られるのを避けようと聖らに協力を求めなかったのだが、それが裏目に出ていた。就活先を数値化したものだとして聖がデータ(メモ)奪還。・終章 さくら咲くそして、序章の結果・・・。先の選挙の借りを返すと、煮詰まる聖に小原が佐々木の存在を指摘。だが、佐々木の居場所を特定できず、聖の敗北が決定。聖に気付かれたと焦った佐々木は、先手を取って謝ろうと「アキラ」に来ていた。聖の就職先に名が出た、大堂商事、「アキラ」、加納の事務所、作田、沙代子の知り合いの政治家事務所、小城の会社。大堂の秘書にどうしても欲しい前島は、自分が用意したくじを大堂に引かせる。真面目な前島が、くじに細工していて、聖は大堂商事(試験はこれからだが)に決まる。作田は聖に有望な秘書を紹介してもらったと、はじめに希望した職に近い大堂商事がいいのではと前島に相談、協力していた。作田はその場で「風神雷神会」入会を希望。めったにない、聖のことをいいように動かしたのが面白かったと、大堂に許可される。作田に紹介した秘書とは佐々木。
September 20, 2012
第7回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作臨床心理士の佐久間美帆は、勤務先の医療機関で藤木司(20)の担当になる。司は、同じ福祉施設で暮らしていた失語症だったという少女・彩の死は自殺ではなく、他殺だという。彼が持つ、声が色に見えるという共感覚能力は、人の喜怒哀楽や嘘を見抜くという。はじめは彼から信用されなかったが、彼の治療のためにも調査する決意をした美帆は、かつての同級生で現在は警察官である栗原久志の協力をえて、福祉施設で何が起こったか探り始める。佐方貞人シリーズを読んでしまうと、微妙な感じがしてしまう。悪くはないのだろうけれど・・・。(審査員の評価は真っ二つだったらしいが。)----------------------------福祉施設による売春が明らかになり、また、彩の相手が美帆の上司だったことから、彼女も狙われることに。
September 19, 2012
佐方貞人が弁護士として活躍する「最後の証人」よりも前、検察官だったころを描く連作短編集。検事として優秀で、いずれ検察の正義を背負うだろうと佐方に期待していた筒井の姿が微笑ましく、それが叶わぬと知っているからこそ切ない。次作が弁護士でも検事でも、どちらでもよいから楽しみ。----------------------------・樹を見る警察学校の同期でライバルだった佐野茂は県警本部の刑事部長となり、同じ警視正だが、役職の重みとしては劣る米崎東警察署所長の南場輝久の管轄で起きた連続放火事件が未解決なことを会議のたびに責め立てる。胃痛に襲われながらも犯人の身柄をあげようと躍起になる南場ら東署。容疑者として名が挙がった新井友則、別件逮捕の後に裏付けを取ろうとし、佐野の妨害を避けるために、南場は郷里が同じ米崎地検刑事部副部長の筒井に家宅捜索令状取得を頼む。新井の件は任官して3年目、米崎地検に来たばかりだという佐方貞人が担当することに。放火犯の証拠は出、新井自身も17件の放火は自供。だが、唯一被害者が出た13件目のみ否認。南場らは少しでも罪を軽くするための悪あがきだとするが、他の様子からその13件目に違和感を抱いた佐方は、不倫の果てに放火した13件目の真犯人・安森礼子にたどり着く。新井の逮捕があったから、安森にも辿りつけたと、東署が解決したようなものだと、佐方は警察に手柄を譲る。筒井も出世だけにこだわる佐野に対していい薬になるから(そうしろ)と南場に声をかける。また、筒井は条件やデータだけではなく、事件を起こす人間を見るやつだと佐方を評価し、彼の将来を楽しみだと言う。・罪を押す筒井(40過ぎ)の同期、佐方の東京地検時代の元上司・南部哲夫(現静岡地検刑事部長)は、佐方が米崎地検に配属になったことを当たりくじを引いたと筒井に伝える。佐方は任官2年目の新人。佐方の事務官となるのは増田陽二(32)。筒井の立会い事務官は津川慎二。3年前に筒井が起訴し、有罪となった窃盗などの常習犯で、出所したその日に窃盗罪捕まり、警察から送致されてきた小野辰二郎(54)の担当を完落ちしているしすぐ終わるだろうと佐方に。だが、小野が認めているにもかかわらず、佐方は彼の犯行に疑問を持ち、調べなおす。分かりきっている事件に時間をかけず、さっさと片付けろと言う森脇部長の言葉も納得しながら、筒井は配点された事件を納得いくまで調べたいという佐方に現場時代の自分を思い出し、ぎりぎりまで待つことに。取り調べに異例の同席した筒井はそこで、小野の半生、最後だという息子からの手紙、小野が少年をかばっていたこと、少年が脅し取られた時計と同じ時計を万引きしたことを知る。佐方は少年がやり直すためには、罪がまっとうに裁かれなければいけないと小野を諭す。警察の落ち度もあったが、あわや冤罪となっていたと森脇、筒井はそれぞれ自分だったら常習犯であった小野の犯行に疑問を持って追求しただろうかと自問する。筒井は、他人の内面を読み取れ、深い人間性を持っている佐方が「優秀」だと認め、法だけで裁くものではなく、人として裁く検察の正義を背負える器だと考える。・恩を返す高校2年の3月、12年前に別れたきりの同級生・天根弥生から連絡を受けた佐方は、彼女が結婚目前にして、中学生時代に巻き込まれた時のビデオで呉西署の警官・勝野(44)から強請られていると助けを求められる。母子家庭で育ち、淋しさから一時素行が荒れていた弥生は、友人に裏切られ、その後転校した高校で佐方と出会う。優秀だが、孤高の存在だった佐方は、母親は子供のころに病気で他界、父親は広島市で弁護士事務所を開業していたが、逮捕され、有罪判決を受けていると噂が。人と距離を置く弥生は佐方と同じく昼休みなどに屋上にいることも多く、佐方と話すように。だが、2人が一緒にいた2年の夏休み前日に不良グループに絡まれ、弥生は男子生徒を刺してしまう。佐方は停学、弥生は放校処分となる。佐方は弥生をかばった面もあったが、弥生の声がなければ父親が逮捕されてからの鬱積から自分が男子生徒らを刺していたと、彼女に恩を感じ、いつか借りを返すと引っ越す弥生に約束していたのだ。佐方が勝野の情報を得たのは司法修習生時代同期で広島地検にいる木浦亨から。佐方は弥生を強請っているテープをたてに勝野に弥生から手を引き、警察を辞めるように要求。いくら警察内部の弱みも握っているからといって、そうしなければ自分が勝野を起訴すると自身の身分も明かす。感謝する弥生に佐方は何か困ったらいつでも連絡をと言い、死んだ父親の口癖「借りを返せば、恩が返せるわけじゃない」と思うのだった。・拳を握る山口地検の事務官・加東は、先崎検事(40代半ば)と一緒に東京地検特捜部が乗り出している、中経事業団とある与党議員の贈収賄容疑の捜査の応援に行くことに。米崎地検からの応援は若い検事・佐方と事務官・増田。行方をくらました参考人・葛巻の伯父・岩舘の取り調べをすることになったのは、佐方と、増田がヘルニアが悪化し入院したため、加東に。上部は(葛巻は否認していたが)彼が金を届けたというシナリオを描き、捜査を強行しようとする。だが、岩舘を担当し、岩舘の病の母を看取れるよう配慮した佐方は、岩舘の願いもあって葛巻の事情聴取もすることに。上部のシナリオに逆らい、葛巻の無実を明らかにした佐方は捜査から外されるが、真の金の受け渡しルートではないかと思われる人物を残して去る。その後、佐方が目を付けていたルートが当たりで、事件を立件できる。加東は、使えない奴としてラインから外された佐方だが、人として参考人と向き合った彼が岩舘を動かし、葛巻が再び事情聴取を受けることになったと、結果を出せれば無関係な人間を苦しめてもいいというような捜査のやり方に疑問を持ち、彼が外されたことに強い怒りを覚える。筋読みありきで見立て捜査に走り、事実を捻じ曲げようとしていた検察・・・そんな事件、実際あったような。・本懐を知るニュース週刊誌の専属ライター・兼先守は、特集のネタとして法を駆使して身内をかばうため、実刑をくらうことがめったにない弁護士のなかで、過去に実刑をくらったことがある弁護士がいたと取材を始める。業務上横領で逮捕され、実刑をくらったのは佐方陽世(逮捕当時47)。顧問弁護士を務めていた小田嶋建設の創業者・隆一朗の死後、彼の資産の一部が陽世の口座に移されていたことが発覚、業務上横領の罪で逮捕されたのだ。金は私財を処分して返還したが、遺族の処罰感情が大きかったこと、陽世が一貫して黙秘を貫き通したことの心証の悪さから実刑判決を受けた。陽世を知る人々はみな、何かの間違いだと言い、隆一朗の息子・一洋は陽世が子供のころ大病を患った時に、父親同士が友人だった縁から隆一朗が金を貸したのに、恩をあだで返したと憤る。現在、検事になっているという息子・貞人にも取材する兼先だったが、貞人はするりとかわし、去る。一洋の話から、いまだに隆一朗と陽世の墓に参っている元女子社員・清水亮子がいると聞き、取材する兼先。亮子の娘・沙代の言葉から、沙代が隆一朗の子供だと気付く。陽世は隆一朗から頼まれ、隠し子である沙代、亮子が生活に困らぬよう、金を秘密裏に託していた。遺族はそのことを知らなかったため、業務上横領で訴えられ、事実を秘するため、横領の汚名を着ても黙秘を貫いた陽世は出所前に病で死亡。返還する金は私財を処分、彼女らへ渡す隆一朗からの最後の金は、父から真相を伝えられ、託された当時高校3年生の貞人が渡しに来ていた。貞人は母の死後、陽世の両親に預けられている。父親逮捕当時15歳。人間を見る。裏の事情を知ろうとする佐方の原点。父親が人生をかけて恩を返そうとしたことを知った貞人、このことが後の生き方に強く影響を与えており、「恩を返す」の行動にもつながっている。佐方貞人:昭和42年生まれ、広島県出身。北海道大学卒業。初任地は東京地検。その後、米崎地検に配属。「本懐を知る」当時27,8歳。
September 18, 2012
しあわせなミステリーに載っていた短編が気になり、佐方貞人シリーズを借りてみることに。これからも楽しみなシリーズになりました。シリーズ第一作がこの「最後の証人」なのだが、時系列的には前述の短編やシリーズ短編集「検事の本懐」の方が前(検事時代)。で、その後検察を辞めて弁護士になったのが本書。まだ、その二冊しか単行本は出ていないようだが、検事時代、弁護士時代どちらも気になるところ。元検察官の佐方貞人は、刑事事件を専門に扱うヤメ検弁護士。佐方のもとにかつて在籍した地検の所在地で起きた殺人事件の弁護依頼が舞い込む。高層ホテルの一室で起きた刺殺事件、物的証拠、状況証拠共に依頼人が犯人であることを示しており、男女間の愛憎のもつれが引き起こした悲劇だと世間やマスコミの誰もが依頼人に勝ち目はないとみていたが、依頼人は犯行を否認。敗戦必至とみられる弁護を引き受けた佐方に勝算はあるのか?だらしなくてヘビースモーカー、「法を犯すのは人間。法よりも人間を見ろ」、「犯した罪をまっとうに裁かせるだけ」という佐方の人間像が魅力的。過去の事件(事故)と、裁判、事件の経緯が交差して展開。ミステリ?としては落ちというか、落としどころは容易に想像できるが、それでも十分楽しめる。---------------------------------佐方貞人~東京(中野)に法律事務所を持つやり手弁護士。 元検事。検事時代に最初に米崎地検に配属されていた。 12年前(検察官5年目の時)に、同僚が犯した罪を検察がもみ消したことから 検事を辞めた。その人間が犯した罪で裁かれなければ意味がない、が持論。 依頼を受ける基準は報酬の多寡ではなく、事件が面白いか否か。 単純な犯罪ではなく、ひと皮めくると別の顔をのぞかせるような案件のこと。 島津は本当の罪で裁かれるべきだと、今回の事件では無実を、 そして、事件の背後に過去の事故があったことを明らかにする。小坂千尋~佐方の弁護士事務所に勤める事務員。 弁護士を目指し、法科大学院の夜間に通っている。 弁護士になりたい理由は「結果ではなく理由が知りたいから」。 判決ではなく、事件の本質に向ける彼女の目を買い佐方は採用。 すべてが明らかになった後、真相を知る佐方に弁護をと高瀬に声をかける。筒井~佐方の検事時代、米崎地検の直属の上司。 現在再び米崎地検に配属されている公判部長。 検察官として優秀だった佐方に目をかけていた。 佐方が辞めるきっかけになったもみ消し事件では、 明るみに出れば検察全体の信用問題に関わるため、 「真実を暴くことだけが正義じゃない」と佐方をいさめる。 面倒見がよい。口癖は「法より人間を見ろ」庄司真生~今回の事件の検察官。推定年齢30代前半。 上司・筒井が目をかけていたという佐方を気にしている。 父を殺した通り魔が心神喪失状態だったとして不起訴になったことから、 罪人を裁かない法律を恨み、自分が裁かせる立場になればいいと検察官に。 重い病気になった母がいる。辺見 ~検事正。三宅晃~去年地検に採用された検察事務官。高瀬光治~開業医。38歳の時に独立。順調に経営が成り立っていた矢先、息子(小5)が事故死。 事故状況が改竄され、息子の過失とされ加害者が不起訴に。 7年後、加害者と居合わせところで事件の真相を確信。 余命わずかな妻の最期の願いを叶えるため、妻の計画に協力することに。 佐方の要請で証言台に立つが、真相は語らず。高瀬美津子~夫が息子の死の真相に確信を持ったこと、また、自身の余命を知ったことから、 島津に今度こそ罪を背負わせようと計画を立て、誘惑。 島津に殺されたように見せかけ、自殺する。 島津邦明~50代。建設会社の会社社長。今回の事件の被告。(佐方の依頼人) 飲酒運転により、高瀬夫婦の息子・卓を死なせた張本人だったが、 当時、県の公安委員長を務めていたことから事件の真相を改竄。不起訴に。 W不倫のもつれから美津子を殺したとみられていたが、 事件の真相は佐方により明かされ、推定無罪となる。 だが、過去の事故について再調査がなされることに。丸山秀雄~元警察官。上から命令され、認知症の母の介護もあり、家族を守り、 左遷・異動を避けるため、島津の事故改竄。だが、罪悪感に苛まれていた。 事故の真相をつかんでいた佐方の説得に最後には応じ、証言台に立つ。
September 17, 2012
心臓と左手に続く、座間味くんの短編集。・・・いつまでも座間味くん(仮名)なのだなぁ・・・。さりげなく出てくる御飯も気になったり。操、座間味くん、大迫警視はそれぞれ10歳ずつくらい違う。----------------------------・傘の花科学警察研究所犯罪予防第二研究室で防犯について、事件の発生自体を抑えられないか成功と失敗の分かれ目を研究している津久井操は、同じ大学の大先輩である警視庁警備部大迫警視正に声をかけられ、一緒に飲みに行くことに。新宿の大型書店にいた30代半ばから後半くらいの男性と待ち合わせしてしたらしく、合流。紹介されたのは、警察官の愚痴を聞かせたら日本一(by大迫)の座間味くんだった。 議員暗殺事件の分かれ目は、雨が上がり、警備がしやすくなった油断からだと操は言うが、座間味くんは、事件は終わっておらず、犯人以外に共犯者がいた可能性を示す。今回は普通の居酒屋。・最強の盾おでんのおいしいお店に行くことになった一行。座間味くんの上の息子(5)は幼稚園、近々二人目が生まれるらしい。テロを未然に防げたのは、偶然見ていた幸運を生かした一人の警察官のスタンドプレーだった。似たような事例を収集したら何かわかるかもしれないと研究について話す操。座間味くんは助けられたベビーカーを押す主婦も、別のテロ犯だったかもと推理。・襲撃の準備餃子のおいしいお店に行く一行。高校で起きた殺人事件、軽んじられた交番勤務者(OB相談員)の意見に耳を傾けるべきだと話す操。座間味くんは、今回の事件は学校の姿勢に問題があると思った相談員が犯人の生徒が計画成功するよう誘導(生徒も警備体制に具申したことも)した可能性を指摘。・玩具店の英雄イタリアンの店に行く一向。話の流れから、玩具店に入ったストーカー男の話をする操。居合わせたのは勤務が終わって娘と店を訪れていた警官。だが、犯人を取り押さえたのはその警官ではなく、娘と同じ幼稚園に通う男の子の父親だった。しかし、その父親は強盗を殺してしまい、英雄とされながらも逮捕(執行猶予がつく)されてしまう。座間味くんは英雄となった父親の行動が不自然だと、万引きを誤魔化そうとした彼の行動が予想外の展開になってしまったのではないかと話す。・住宅街の迷惑鍋を食べることにした一行。建築した自宅には大きな仏像が埋め込まれ、周辺住民の反感を買った。新築祝いに敵対する宗教団体がらみの爆弾騒ぎが起きるが、何とかおさまり、周囲も落ち着いた。事なきを得たが、人を警護し、仏像を狙うと考えなかったことに落とし穴があったと操。座間味くんは犯行は人を利用した自作自演で、被害者となることで周囲の反感や敵対する宗教団体などの問題を一掃したのではないかと推理。・警察官の選択アメリカ料理を食べにいく一行。事故にあった子供の蘇生をしていた休日の警察官二人。事故者が坂で動きだした時の行動が問題視される。追い詰められた時の判断基準が必要かと思いつつ、評価に困る操。座間味くんは一人蘇生措置から離れ、素手でトラックを止めようとした警官は、(結局トラックは止まらず、突っ込まれた釣具店の癌に侵されていた店主は死亡する)普段から夫婦の話を親身になって聞き、妻に負担を賭けたくないと言っていたご主人の話もあり、奥さんに死亡保険金+事故補償金をと思い行動したのではないかと話す。・警察の幸運恋人の一二三智也からプロポーズされた操だったが、座間味くんと知り合い、自分の未熟さを痛感、答えを保留にする。火鍋の店に行く一行。新幹線で未然に防いだテロの話から、訓練マニュアルの見直しと判断ミスに注意が必要と考える操。座間味くんはテロ実行犯の目的と犯人と警護されていた大臣もしくは関係者の繋がりを推理し、問題は別にあったかも(警備する際には、警備の対象をも警戒が必要)と話す。改めて自分の未熟さを痛感する操だったが、他人と自分を比べ、対抗意識を持つ必要はないと気づき、また、未熟なら未熟なりに一緒にやっていけばいいと言ってくれた恋人の言葉を思い出す。そして、2人に結婚することを告げる。
September 6, 2012
自衛隊×広報。有川氏が好きそうなネタ・・・といったら各方面からお叱りがきてしまうか?でも、そもそもが航空自衛隊をネタに小説を書きませんか?と広報室から持ちかけられた(売り込まれた?)というのが発端というのがいかにもで面白い。一般にここまで知られていない、知らない自衛隊って、どんなところ?というかるい入門書にもなるかも。駐屯地〈陸自〉と基地〈空自・海自〉や、戦闘機と練習機の違いとか。不慮の交通事故に巻き込まれ、ブルーインパルスに乗るのを夢見ていたタックネーム(無線などで呼び合うための愛称)・スカイを持つ航空自衛隊の戦闘機パイロット・空井大祐二尉(28)は、右足骨折の重傷を負う。日常生活に支障がないほど回復したが、戦闘機パイロットとして職務を全うするまでの回復は難しく、パイロット資格剥奪の処遇・P免となり、夢断たれる。監理部総務班転属を経て、29歳の春に新たに配属されたのは防衛省内にある航空自衛隊航空幕僚監部広報室だった。曲者上司らに囲まれ、自衛隊を嫌悪する帝都テレビのディレクター・稲葉リカのアテンド役を任される。いわれのない非難、誤解を解きつつ、どこへ行くのか・・・!?企画、プレゼンの仕方などは社会でも通じる。空井の成長はちょっと違うが「県庁おもてなし課」にも通じる。官、公務員と一般感覚の距離、温度とか。以前、連作短編集でもあった気がするが、(あれは海自だったか??)テレビや映像関係の依頼、イベントなどに協力する自衛隊の内幕、内情が分かるのは面白い。自衛隊のことを知ってもらうためといっても、ただ映ればいいわけではなく、イメージが大事。依頼全てを受けるわけではもちろんない(罰ゲームに戦闘機などはダメ)。それを踏まえたうえでも、広報と現場(特に昔気質な隊員がいたりする)では思いがすれ違うことも。また、きっちり行動の自衛隊員とルーズな業界関係者。これはどこでも言われているんだろうなぁ。難を言えば、自衛隊を嫌悪していたリカの理由が、単なる無知というのは痛すぎるし、すぐに手のひら返したように自衛隊寄りになるのは安易というか、一般人に多くそういうタイプがいるということでの設定かもしれないけれど、警察担当の記者あがりにしてはあまりに安っぽい設定になってしまっているのがもったいない。上司らの設定はありがちな曲者ぞろいの設定でも、十分魅力的なのに。ただ、たしかに自衛隊への国民全体の理解は薄く、それなのに災害時などは当たり前に頼りっぱなしの現状などは痛感。批判もあるかもしれないけれど、ことあるごとに存在意義を問われるにしては存在をよく知られていない自衛隊という組織を紹介する(知る)ことは大切なのだな・・・。最後に加えられたという、震災後の松島駐屯地のくだりを読んでさらにそう思った。「自衛官も人間なんです」という一言も残る。----------------------------空井大祐~ブルーインパルスに入る内示が出た数日後に事故にあう。 しかし、夢断たれた後も腐ることなく勤務し、逆に心配されていたが、 リカの発言に激怒したり、広報としてパイロットと接するうちに感情があふれ、 夢断たれた悔しさ、やるせなさを外に出せるように。 広報として航空自衛隊のことを理解してもらい、 パイロットらをバックアップ、魅力を伝えていこうと決意。 戦闘機の芸能人を乗せてアピール(体験搭乗)企画を立ち上げる。 後に、ブルーインパルス(練習機)にアイドルグループが乗り、大成功。 その後、ブルーインパルスの母基地・松島基地に異動となり、震災にあう。 稲葉リカ~「帝都イブニング」ディレクター。自衛隊特集担当となり、長期取材に来る。 報道部警視庁付き記者となり、新人ならではの強引さ、 取材相手が傷ついてもいいという体当たりの手法ではじめは高く評価されるが、 いつまでも手法ををかえなかったことから、だんだん抗議が入ったり、 トラブルが起きるなどうまくいかなくなり、記者から配置換えに。 実は、頭でっかちなところを粉砕してほしいと鷺坂に上司が頼んでいた。 高校教師の影響もあり、偏見から嫌悪していた自衛隊のことを実は何も知らず、 空井を傷つけたことから、反省し、少しずつ歩み寄りを見せる。 広報室に密着ドキュメンタリーを企画。(空井中心に構成) また、自分が無知だったことからさまざまな仕事の入門ミニコーナー・ 子供向け教育番組風「お母さんとぼくの社会科」を企画。 それが評価され、その後、子供向けに新規の教育番組を作る プロジェクトチ-ムにチーフプロデューサーとして抜擢され、 報道局から情報局へ異動。 震災後、空井のいる松島基地を取材に訪れる。鷺坂正司~一佐。ミーハー室長。またの名を詐欺師鷺坂。 航空自衛隊にまつわる物品・人員・ロケーションを 航空自衛隊の取り扱う”商品”といってはばからず、飄々としている。 いろんな物事を数字に換算するのがライフワーク。 一般の感覚を持ち、費用対効果の判断など早い。 広報は自衛隊を理解してもらうために存在し、 不本意なことを言われるのは広報の努力が足りてないせいだと空井を叱咤激励。 空井を稲葉につけたのは両方の荒療治のため。小暮 ~二佐。広報班長。教頭先生(by比嘉)片山和宣~一尉。広報班。鷺坂ファンクラブ2号。気ままなオレ様で周囲と衝突することあり。 民間の広告代理店研修を受けたことがあり、コンテが描ける。 百里広報班時代に仕事の手ほどきをしてくれた比嘉を指針に成長。 彼と対等な仕事をしたいと思っていたが、再会した彼が全く昇進してないことで、 志が低いやつだったと腹を立てていた。 もともとの強引な手法や、比嘉への反発や焦りからミスが目立っていたが、 誤解が解けた後、彼とまた最高の仕事がしたいと奔走。 ファッション雑誌のロケ企画などを立ち上げた実績あり。 比嘉と担当したPV企画が今でも代表企画。 それを越えようと強引に推し進めたイベント企画がボツとなり、 消沈するが、別のPV企画が入り、応用できることに。 漫画家・碓氷の取材日に出張、連絡不備であやうく問題になることろも。比嘉哲広~一曹。広報班。ベテラン広報官。空井の指導役。 鷺坂と同じような一般感覚を持つ。幹部になれば異動が頻繁になるため、 広報の後進指導と転属となる人間の仕事を引き継げるようにと昇進せず。 鷺坂に請われて配属されている。 周囲と衝突の多い片山のフォロー役に回ることも多い。天海 ~二佐。報道班長。柚木典子~三佐。報道班。尻を掻く紅一点。べらんめえ美人。 過去、任官して初めて配属された部隊で失敗。 部下に女だというだけでなめられ、うまくいかなかったトラウマから、 女らしさを捨て、残念な美人といわれる存在に。 直後、鷺坂の部隊に引き取られている。 だが、防大時代に淡い恋心を抱いた後輩・槙に指摘され、反発するも トラウマ克服。彼を受け入れる。初めはリカと反発しあうが、のちに仲良く。槙博巳 ~三佐。報道班。鷺坂ファンクラブ1号。風紀委員(by柚木) 過去を知っているだけに、変わり果てた柚木の態度をたびたび叱る。 今も彼女を想っており、その後、付き合うように。阿久津~稲葉の先輩ディレクター。稲葉のことを気に掛ける。 のちに「帝都イブニング」からバラエティへ異動。空井の企画を採用する。航空自衛隊のCMが一本目はクレームがついてしまい(飲酒に見えるシーンがあるため)、没になるが、亡き父を胸に自衛官になった女性隊員を題材にした二本目は話題に。だが、話題になったことから一部で非難の的に。非難も何もかもマスコミなどが注目するかどうか。それはなんでも同じだけれど、同じ名だけに大変だ。接待交際費が一切認められてなく、利益供与になるから、外部の人の懇親会などでも割り勘。各自衛隊の性質を表すという言葉も面白い。陸・・・用意周到・動脈硬化。海・・・伝統墨守・唯我独尊。空・・・勇猛果敢・支離滅裂。統幕・・・高位高官・権限皆無。内局・・・優柔不断・本末転倒。震災時の自衛隊のことはニュースでも見たけれど、そこで伝えられなかったこと、対応、自衛隊員の覚悟などが描かれている。ヒーローにするのではない伝え方を、という空井の言葉も深い。
September 5, 2012
3年前に妻ある男と不義密通し、そのことが世間に知れて師の衣笠春崖から破門されていた女絵師・春香(里緒)だったが、春崖を通じて亀屋藤兵衛から博多八景を依頼される。戻ってくると言った外記を待ちながら、博多八景に取り組む春香と、様々な事情で離ればなれになった男女の人生が交錯する。さまざまな哀切が描かれている。比翼屏風~青蓮寺からの依頼で江戸から博多を訪れた狩野門の守英(杉岡外記)。 同門の春崖は手伝いの絵師を頼まれ、春香とその兄弟子の春楼を推挙。 絵、才能を通して惹かれあった外記と春香は[鳥十種]を描くが、 二人の仲が露見し、二羽が描かれた千鳥屏風は破却されてしまう。 春香は破門、江戸に戻ることになった外記は、3年後に迎えに来ると残す。 その後、博多屏風の依頼を受けた春香は、お供に文をつけられる。 不義を働いた妻の男を殺したお文の父は流罪となっていた。濡衣夜雨~春楼から頼まれて手紙を渡した遊女が心中した。が、相手は春楼ではなかった。 叶わぬ恋。どうにもならないこと・・・。長橋春潮~春香付きの女中お葉が増えた。 彼女はかつて駆け落ちしたいと思い詰めた男の最期を看取り、 夫のもとへ戻る。箱崎晴嵐~江戸で太鼓持ちをしていた与三兵衛から聞く外記の話。 また、師匠の妻を奪ってしまったという与三兵衛の子供を助ける。奈多落雁~奈多海岸に付き添う清吉は、実は歌舞伎役者の子で、舞台に立っていたが 義父とうまくいかず、役者仲間からいじめられ、このままでは殺されると 亀屋のもとに身を寄せていた。 だが、弟が同じく役者になり、毒を盛られたところの遭遇。 さまざまな真実を知り、弟共に役者を続けることを決意。博多を離れる。名島夕照~追放となっていたお文の母が、再婚相手を連れて博多に。 お文に一緒に長崎に行こうという。初めは反発しはねのけるが、 母の幸せを願えるように。一緒に長崎にはいかず、父を待つことに。香椎慕雪~春崖の最期の願いをかなえるため、春香は武家の奥方で後に出家した 師の想い人に会いに行く。横岳晩鐘~師亡き後寝込む春香。 高僧の紹介で行った寺で、春香に執着する青年僧に会い、危ない目に合う。博多帰帆~離縁の話が進まない外記は、筆のすすまない春香の話を聞き、 想いを込めた博多帰帆を描き、江戸に来た春楼に託す。 絵を見た春香は外記を待つ心願を描く。挙哀女図~狩野門から破門されていた外記が一門に戻り、加賀藩お抱え絵師になることに。 途中、博多によるという手紙が着き、待っていた春香だったが、 離縁を拒む妻によって外記が毒殺されたと知らされる。 哀しみを乗り越え、また、福岡藩の変動で謹慎した藤兵衛に代わり、 加瀬屋の援助を受け、博多八景図屏風は完成する。 そして、お文の父が戻ってくるとの連絡が入る。
September 4, 2012
童話のような、川上版ネバーエンディングストーリ―風味のような。物語よりもと言ったら語弊があるが、酒井駒子さんの挿絵が小さいがたくさんあって、それが何より世界観を表現、素敵な雰囲気を作り上げていて、物語がすとんと入ってきたのは挿絵の効果が大きいと思う。小学校四年生のさよは、母親と二人暮らし。離婚した父とは、以来、会っていない。両親が離婚し、父親、祖父母と暮らす同じクラスの仄田くんは、いつも一人で本を読んでいる。ある日、さよは町の図書館で何度読んでも内容を覚えていられない『七夜物語』という不思議な本にふれる。また、くちぶえの上手い定時制高校に通う南生と麦子と出会う。導かれたかように、同級生の仄田くんと共に『七夜物語』の世界へと迷い込んでゆく。大ネズミ・グリクレルとの出会い、お手伝いをし、ミエルを退け、試験を受ける一夜、眠りの家での誘惑と戦い一夜、さよは若かりし両親に会い、仄田くんは自分がクラスのリーダーとなった世界を体験する一夜、生まれたばかりのちびエンピツ、あちらを引っ張って来いと言うウバとの戦い考える一夜、皆で食事をする楽しい一夜、うつくしい子供たちに出会い、マンタ・レイに乗って海底へ行き、光と影との戦う最後の一夜、・・・七つの夜をくぐりぬけた二人の冒険の行く先は?両親とのこと、自分、クラスメイトとの関係、現実世界と夜の世界を体験しながら成長する2人。雰囲気はあって、悪くなかったのだけれど、あっけなかったような・・・。でも、そんな微妙な気持ちも、挿絵を見てるとまぁいいか、と思えてしまう。原画をカラーで見てみたい。----------------------------南生と麦子がもっと二人に関わるかと思ったけれど、そこまでではなかったり。10年後もあっさり。七夜物語が覚えてられないのが前提だから?地球物理学者となった仄田くんとのことも覚えてない模様。でも、さよが書こうとしているのは七夜物語の書き出し。
September 2, 2012
資金難から大学を休学し、伯父の元に身を寄せ、彼が営む菅生書店(古書店)を手伝う芳光。客である北里可南子から、亡き父が書いたという結末の伏せられた5つの小説についての調査を高額の報酬で、アルバイトの笙子の協力のもと、伯父に秘密で請け負うことに。調べるうちに、未解決のままに終わった事件「アントワープの銃声」の存在を知る。作中作である短編がリドルストーリー(読者に委ねて結末を書いていない小説)で、可南子が結末である最後の一行を持っている。それが・・・。という設定が面白い。----------------------------父の死後、大学を休学せざるを得なかった芳光は復学を目指して資金稼ぎ。伯父は今は書店経営に意欲を見せず。アントワープの銃声~アントワープで可南子の母・斗満子が亡くなった事件。首をつって自殺した状態だったが、そのころ銃声が聞こえたとのことから、可南子の父・参吾が脅して自殺を装わせたのではと疑われた。幼い可南子の記憶はほとんどない。帰国後もいわれのない中傷を受け、父子二人でひっそり田舎で暮らした。だが、それに対する短編を参吾は残していた。真実を違えるように結末の一行を指定していたが、芳光はおそらく正しいであろう組み合わせを示す。それは、斗満子の死に可南子が関わっていた。という結論にたどり着くものだった。参吾は娘のために沈黙を守る。可南子に「母は自殺だった」と思わせるために最後の一行を入れ替えたのではと彼女は思う。以下、~※は物語に対し、参吾が後から指定した(入れ替えたと思われる)結末。~~その通りに読むと、参吾の追想と考えられ、結末は重要ではなく感じられる。 ・・・結末が入れ替わると考えると、物語は参吾を批判した記事に対する答えに様変わりする。結末は極めて重要に。→は対応する事件で問われた内容。→→※は入れ替えたら変わる結末、事件の概要。奇蹟の娘~眠ったままの娘。実は目覚めているか否か? ~眠ったまま=※1 焼死体が見つかる。 (~~母による娘への溺愛の物語に読める) →事件当夜、可南子は眠っていたか?目覚めていたか? →→※4→目覚めていた転生の地~殺人よりも死体損壊のほうが罪が重い村。処刑は男だけか、妻子も道連れか? ~※2 幼子もろとも命を奪われる。(後) (~~夫の罪で妻と娘が巻き添えに /帰国時の娘を巻き込まんと沈黙した行動反映?) →銃は飛び降りる前に撃たれたか、後で撃たれたか? →→※3→前だった。小碑伝来~最期の選択を迫られた男。自分の首か、妻の焼死か? ~※3 男の首が落ちる。(駆け寄れた) (~~男の二者択一、参吾はベルギーのホテルで何か選択をした?) →母に父は駆け寄れたか? →→※1 駆け寄れなかった。 死んでやると叫んだ母に可南子が分からず抱きついてしまった? 結果として、椅子から落ち、首つり状態に? 母が遠くに行くと感じたのは父のせいだと近寄らせなかった? 銃はシーツを切るため、もしくは、可南子を離すため撃たれた?暗い隧道~隧道を妻子は無事に抜けられたか? ~※4 女の子が現れる。(自殺) (~~夫は妻子を見捨てるのか、救われようとしているのか? /妻亡き後、参吾が娘をどうしようかと迷った心理状態を描いた?) →事件は他殺か自殺か? →→※2 他殺。雪の花 ~夫の誕生日の花を捜しに行って妻はクレバスに落ちたのか? ~真実は永遠に凍りつく。 →夫婦に愛はあったのか?→→結末変わらず。結末を入れ替えても通じるんじゃないか?と途中で思ったが、実際に入れ替えると全く違う景色を見せる仕組みが面白かった。
September 1, 2012
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