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裏閻魔、裏閻魔2 に続く完結編。閻魔と奈津の時を超えた想いはどうなるのか?二人の不死者が選んだ結末は?全方位に向けてかなり大団円なおさまり。刺青、彫り物師というところで規制はかかりそうだけれど、映像化・・・イメージや、結構な年代を通り過ぎるのでアニメの方がいいかも?・・・とにかく映像化したら面白そうだと思うのだが。----------------------------・序昭和41年に奈津が閻魔にしたためた、彼への想いを綴りつつも出すことのない手紙。・一幕 遠い夢 昭和32年(西暦1957年)日本を離れ、香港に渡り、資産家の華僑の男・リーに雇われていた鬼月(夜叉)は、リーに伴われ帰国。久しぶりの京は、百年以上前、江戸から梅幸と一緒に仕事に来て、最後に暮らした街だった。はるか遠くなった江戸の記憶がよみがえる・・・母が名づけた捨の名で、9つで母を亡くした後は捨て猫のように女を渡り歩きつつ騙し、金を盗んで暮らしていた。そこで男らにヤキを入れられそうになり、逃げている最中、夜叉の肌を気に入った梅幸に(刺青を)彫らせろと迫られ、彫らせるのと引き換えに彫り物師の弟子になることに。そんなかつての居場所を思い起こしつつ、なかなか探しに来ない弟弟子に招待状を出すことに。新聞に載った、李と写った夜叉の写真を見つけた閻魔は急いで京都へ向かう。同時に、夜叉を狙う皆藤浩一郎も豊田製薬の優秀な若手研究員・木下と共に京へ。浩一郎らをかわし、閻魔に奈津の居所のメモを渡す夜叉には寿命の兆候が見えてきていた。夜叉は再び姿を消し、彼のかわりに李の(彫り物の)仕事を請け負うことにした閻魔は仕事をするのと引き換えに、奈津がいると思われる米国占領下の沖縄へ渡ることに。沖縄で閻魔はタトゥー職人になったロブ・ガーランドと約10年ぶりに再会。ロブは奈津探しに協力する。・二幕 前夜祭 昭和39年10月上旬(西暦1964年)94歳になった奈津は、診療所を離れ、沖縄内を何度か引越し今帰仁にいた。奈津の閻魔にあてた手紙・・・首席で女子師範学校を卒業したが、医学校への門戸は閉ざされていた。浮世絵師ということにしても、自分がいるせいでますます奈津の道が閉ざされるのではと気に病む閻魔。東京に出て、医者・片岡の助手をしながら医学校へ入る道を探すことにした奈津だったが、片岡に襲われかけ、閻魔に助けられる。閻魔は踏ん切りがつかなかったことを詫び、牟田信正に頼ることに。信正の伝手と奈津の実力により、医学校に入学が決まる。また、昭和33年、閻魔より10歳年上になってしまったとき、若い看護婦・サトに弟かと聞かれ、認めざるをえなかったこと。だが、閻魔は絶対奈津を姉と言わないと言われ、そうなったら耐えられないと思ったこと。戦時中・昭和20年1月に夜叉に会い、彼の言葉につられ、鬼込めをしてしまったこと。数か月後、若く美しい惠子と年老いていく自分を考えるうちに鬼が目覚めたことに気付き、姿を消す決意をしたこと。30歳を超えた惠子は、会社を大きくし、忙しく働いていた。逆恨みした男が牟田家に強盗に入り、大河内が怪我をする。大河内は心配する閻魔に、惠子に求婚することを告げる。・三幕 後夜祭 昭和39年10月下旬(西暦1964年)夜叉の回想・・・欧州で若くする鬼込めをしたこと。帰国後、見事な年の取り方をしていた奈津に対して、妬みの感情とともに、もっと素直に生きないのかと苛立ちつつも、尊敬と驚嘆を感じていたそして、彼女に発動するかわからぬまま、鬼込めをする。オリンピックで身動きがとりにくくなりつつも、夜叉とは一蓮托生の身でもあるため、彼を狙う皆藤を探る閻魔。また、大河内と結婚した際、惠子に実子ではないことを知らされ、悪くなる方へ踏み出しそうだった善彦を助け、忠告。その後、閻魔は浩一郎に捕まってしまうが、身を犠牲にして脱出。昭和24年、夜叉は信正から受け取った住所・沖縄中部を訪ねる。そこで2年前から信正の力を借りて沖縄に渡り、診療所で医師として働く、若返った奈津に会う。身体は年相応に老いていくが、外見が徐々に若返り、そのことに浅ましいと苦悩しながらも夜叉を責めず、鬼込めがあるうちは閻魔と繋がっている気がするし、閻魔も闘ってきたと言う奈津を見て感銘を受けつつ、自身がしたことの酷さを自覚。・四幕 終わらない 昭和41年(西暦1966年)不老不死を追い求める浩一郎は、研究に難色を示し始めた父を毒殺。病弱な娘と思われ、ウシの世話になっていた奈津は96歳に。ロブは余命短い父に会うため帰国を決意。最後の仕事に向かう途中、若い奈津に出会い、彫り物に心を動かされる彼女のことを閻魔に報告。手紙を読んだ閻魔は藁にもすがる思いで6月の沖縄へ。とうとう奈津と再会を果たす。奈津の手紙を読んだ閻魔は夜叉に怒りを覚えつつも、奈津のことを最優先に考える。惠子・大河内に力を借り、鎌倉で短いながらも幸せな新婚生活を送る2人。一方、夜叉は浩一郎に捕まり、研究材料としてえげつない扱いを受ける。最期に閻魔の妻となった奈津は、結婚写真を撮り、若返ったため夫婦と周囲に思ってもらえるから夜叉に感謝していると、彼を助けるようにと告げ、また、閻魔に幸せを貰ったと天寿を全う。奈津の真意を受け止め、遺言を果たすため、閻魔は研究所に乗り込む。研究所での死闘の末、浩一郎は自身の持つ爆弾と共に散る。瀕死の夜叉を助けた閻魔は、死にそうになった不死者を再生させることに・・・。その日、惠子は娘を出産するのと引き換えに、大事な人の痛みなどを感じる能力を失う。・結21世紀に入り、年老いた惠子は、あれから行方の分からぬ閻魔のことを考えていた。夫・大河内も2年前に亡くなった。60歳を過ぎた善彦は議員に。妹の夏子も40半ばで事業は夏子の夫が引き継いでいた。夏子の娘・志信が、(高見の描いた)油絵に描かれた閻魔に似た男に会ったと報告。惠子は志信に閻魔を見かけ、困っていたら牟田家の総力を挙げて助けるよう告げつつ、彼を見つけ出そうと決意。
July 31, 2012
初冬、左遷、島流しと言われる甲府勤番支配職を真摯に勤めていた速水左近はその任を解かれ、江戸復帰が決まる。左近が江戸復帰後に就くのは、田沼意次の息子・意知も務めている奏者番であるという。その背後には磐音と知り合い、同じく田沼を面白く思っていない御三家の動きがあり、意次に掛け合った結果だった。さまざまな思惑を感じつつ、左近は三人の供を従え江戸に向かう。一方、田沼一派は左近へ暗殺者を仕向けていた。弥助の知らせを受けた磐音は策を練りつつ、左近の息子ら、霧子と共に左近を迎えに向かう。左近の復帰によって、田沼意次との戦いが再び始まる。
July 29, 2012
古典部シリーズ第4弾と第5弾、かな?・遠回りする雛番外編短編集 :やるべきことなら手短に 古典部入部直後、千反田えるの好奇心から逃れ、最短時間で帰宅の途につくために 折木奉太郎は「月光を奏でるピアノ」の謎から目をそらさせ、 「秘密クラブの勧誘メモ」の謎を解いたふりをしてやり過ごす。 福部里志は気づいており、奉太郎のモットー”やらなくていいことなら、やらない。 やらなければいけないことなら、手短に”ならば、 他の謎でやり過ごさずとも、千反田に「そんなこと知らない」と言えばよかった、 奉太郎は彼女がいる古典部に不慣れで、対応を保留しただけだと指摘。 :大罪を犯す 授業中に千反田が数学教師に対して怒ったらしい。 その理由は、教師がまだ教えてないところををもうやったという前提で進めたから。 メモしていたa組とd組の小文字を読み違えたところが原因だと奉太郎。 :正体見たり 夏休み、「氷菓」事件解決後、伊原摩耶花の親戚が営む旅館へ来た古典部メンバー。 改装中な上、自殺者が出た後は物置となっていた本館2階の角部屋で、 幽霊を見たと摩耶花とえるが訴える。 摩耶花の従妹姉妹の妹の仕業 (姉に黙って借りた浴衣が雨でぬれ、慌てて乾かしていた)と判明。 温泉にのぼせる奉太郎の姿あり。 :心あたりのある者は 11月初めの日。えるが奉太郎の能力を誉めそやかしたため、 そんなことはないと証明するために、 いそぎの校内放送の真相を推理することになった奉太郎。 そんなことはないと証明するはずが、さらに評価を上げてしまった感あり。 :あきましておめでとう 摩耶花がバイトしている、十文字かほのいる荒楠神社へ初詣に来た奉太郎とえる。 手伝うはずが、手違いで納屋に閉じ込められてしまった携帯電話を持たない2人は、 寒さに凍えながら、落し物も管理している摩耶花と、 いったん帰宅したが、再び来るはずの里志に向けて、落し物にメッセージを託す。 (現状を千反田家の代理として誤解されぬため、知らぬ人は呼べなかった) :手作りチョコレート事件 一年越しのリベンジで摩耶花が用意したバレンタインチョコレートが消えた。 摩耶花のことは大事に想いつつ、こだわらないポリシーになった里志は 摩耶花にこだわってよいのか一年越しでも決心がつかなかったため、 チョコを盗まれたと装ってしまう。 真相に気づきながらも、何か理由があるはずだと チョコ探しをやめないえるに対し、別に犯人を仕立てる奉太郎。 里志には借りを返した(:やるべきことなら~の件)ということに。 里志の複雑な心境に触れる奉太郎の姿あり。 :遠回りする雛 春休み、水梨神社で行われる旧暦の雛祭りでの 生き雛(える)の傘持ちを頼まれた奉太郎。 準備の最中、ルート途中で止めてもらったはずの工事が開始されていると判明する。 結局、遠回りをするが、ルートを変更することに。 狂い咲きの桜の下を通るよう小細工した男がいたことに奉太郎は気付く。 また、奉太郎に芽生えた、えるへの、まだ言葉に出来ない気持ちは、 里志が摩耶花のチョコを砕いた理由につながると知る。・ふたりの距離の概算春を迎え高校2年生となった奉太郎たちの“古典部”に新入生・大日向友子が仮入部する。千反田えるたちともすぐに馴染んだ大日向だが、ある日、謎の言葉を残し、入部はしないと告げる。部室での千反田とのやりとりが原因のようで、えるは責任を感じている。千反田は他人を傷つけるような性格ではないと、納得できない奉太郎は入部締め切り日に開催されたマラソン大会を走りながら、心変わりの真相を推理する。-----------------------------各自に話を聞き、大日向が抱いた誤解を解く奉太郎。(大日向の秘密にしておきたい中学時代の友達のことを、交友の広いえるが知っているのではないかと思いこんで警戒していたこと。また、そのことでえるの何気ない発言を違う意味に捉え、その友達を見捨てたほうがいいとえるが言っていると解釈したことがきっかけで、仮入部を取り消していた)誤解だということは納得したが、今はまだ合わせる顔がないと、大日向は入部しないことに。えるは真相に全く気付いておらず、自分が大日向の携帯に勝手に触ったせいだと思っている。:遠回りの雛の後、奉太郎が風邪をひき、えるが見舞いに来たのだが、後日、奉太郎の誕生日をサプライズで祝いに古典部メンバーがそろって折木邸に集まった時、そのことを他のメンバーになんとなく二人とも隠すシーンが可愛らしい。里志はようやく摩耶花と付き合うように。
July 28, 2012
装丁が凝ってるなー!!!というのが第一印象。絵や文字はもちろん、細部の色使いや、一部使用された和紙とか、使いやすいかどうかは別にして、細くて長い三本の栞が物語の何かを暗示しているのか・・・?など考えるだけで楽しい。細身で、年齢不詳、女のように長い髪、道中記「道中旅鏡」を書くために各地を旅をするが、迷い癖のある男・和泉?庵とお人好しなところもあるが、博打好きでしょっちゅう借金をこさえたり、スリに有り金を盗まれたりして一文無しになり、?庵の荷物持ちとして多くの旅に同行する耳彦が体験する不思議譚。二度と行けない温泉、村の数々、切なさ、恐怖、生死の狭間、などが織り込まれている。・エムブリヲ奇譚 旅先で小指くらいの大きさのエムブリヲ(人間の胎児)を拾った耳彦は、 それを育ててみることに。 だが、博打に手を出し、借金をこさえた彼は、 エムブリヲを見せものにして稼ぐようになってしまう。 借金の形にエムブリヲを奪われそうになるが、間一髪?庵に助けを求め、 子供のいない夫婦に引き取ってもらうことに (耳彦の借金も肩代わりしてもらうことに)なる。 のちにその妻の体内に入れられ生まれなおし(?)成長した少女と再会する。・ラピスラズリ幻想 16歳の時、書物問屋に住みこみで働いていた輪は、 親方の命で?庵と耳彦の旅に同行することに。 旅先で老婆の孫を助けた礼として、老婆から青色(ラピスラズリ)の石をもらう。 老婆の言いつけどおり肌身離さず身に着けていると、 何度も生まれ直すように。 過去の経験を思い出し、ある時は村人の命を救い、ある時は父の命を救う。 だが、以前と違う行動をするたびに少しずつ人生は変化していく。 生まれなおしても見聞きしたことは残るため、各人生で勉強を積み重ねるように。 かつての老婆からは自殺したら地獄に落ちるからと、自殺は止められていた。 だが、何度生まれなおしても、輪が生まれることで母が死んでしまう。 ついに母の胎内で輪は自殺する。 最後の段は輪のいない世界で、?庵が死産となった胎児の首に 三重に臍の緒が巻き付いていた上に、青い石が一緒に出てきた話をする。 切ない。・湯煙事変 夜に行ってはいけないという温泉を調べてこいと?庵に言われた耳彦。 その温泉による入ると、死んだ縁者があらわれた。 子供のころにいっしょに遊び、行方不明になっていた女の子・ゆのかによって耳彦は助かる。 旅ののちに彼女が死んだと思われる故郷の地で彼女の死骸を探し出す耳彦の姿が。・〆 旅についてくる鶏を小豆と名付けた耳彦。 だが、身を寄せた村で出てくる食事はすべて(米も魚も何もかも)人の顔に似ていた。 口にすることができずに衰弱する耳彦は、唯一食べられると小豆を〆てしまう。 回復し、自分のしたことに恐怖する耳彦。 何が残酷か考えさせられる。・あるはずのない橋 とうに落ちたという刎橋。 そこに人影を見た耳彦は、そこに連れて行ってほしいという老婆とともに橋へ。 橋の上で老婆の死んだ息子と思われる少年に出会い、老婆のもとへ。 老婆は息子の成仏を願うが、息子ら死んだ者の霊は老婆と耳彦を道連れにしようとする。 耳彦は老婆を蹴落とし、助けられる。 複雑な気持ちになる。 また、湯煙事変のゆのかのような存在ばかりではないとつきつけられる、 対照が際立つ一編。・顔無し峠 迷いこんだ村で耳彦は、彼が亡き喪吉にそっくりだというやゑに喪吉として対応される。 喪吉ではないと拒否し続ける耳彦だったが、 だんだんやゑとその息子・鼻太郎を受け入れる気持ちに。 実はやゑは分かっていて夫の死を受け入れられなかっただけだった。 いつか借金を返済したらまたこの村に挨拶に来ると約束する耳彦。 約束が実現されると良い。・地獄 山賊に襲われ、?庵とはぐれ、見知らぬ夫婦と一緒に穴に落とされた耳彦。 干し肉を与えられていたが、のちに一人だけ穴から出され、 その日から新鮮な肉を与えられるようになり・・・ ただの話でも想像がつくが、乙一と思えばもう!の展開。 妻の敵を討つと次に出された男が奮闘する間に穴からはい出ることができた耳彦は、 山賊一家の娘を人質にとり、一家を穴に入れることに成功し、逃亡成功。 のちの穴の中は惨劇に・・・。 本当にこの一編は乙一だー、と思う。・櫛を拾ってはならぬ 前回の体験で家に引きこもっている耳彦の代わりに、?庵の旅に同行した男が死んだという。 旅中、自分の母の教えてくれた怖い話と、 ?庵の話を組み合わせて百話の怪談をしようと提案した男。 男は旅の途中から?庵の長い髪の抜け毛が我慢ならないと別室で休むように。 だが・・・。 櫛は「苦死」につながるから、拾ってはならない。拾うなら一度踏んでから。 拾ったという櫛を燃やした男は髪にまみれて死んだ。 だが、その髪は彼の死んだ母のもので、彼の死は自殺だったのではないかという推測を ?庵は耳彦に話す。・「さあ、行こう」と少年が言った 嫁ぎ先で苛め抜かれた私の前に、迷い癖のある少年が現れる。 少年の母は神隠しにあったことがあり、その間に妊娠、出産直後死んだという。 父も知らぬ少年は祖父母に育てられたが、赤ん坊のころから迷子になる癖があったという。 鍵がかかった土蔵の中にふらりと現れる少年に文字を習う私。 だが、嫁ぎ先の家族に見つかり、少年ともども折檻を受ける。 再び現れた少年は「さあ、行こう」と私を外に連れ出してくれた。 連れ出したのちも少年は迷い続け、見知らぬ地で少年とははぐれてしまったが、 その地で新たに、幸せな家庭を気付けた私。 のちに貸本屋で「道中旅鏡」を手に取った私に、 それを書いた作者は迷い癖があると聞く。(居合わせたのは耳彦だろう) かつての友人かもしれぬ彼に会いたいという私の前に、 ?庵は姿を見せるが、直前でふらりと姿を消して(迷いに出て)しまう。 迷子から戻り、私と?庵が再開するのが楽しみだという、希望で終わる一編。 主に被害にあうのは耳彦で、いつもひょうひょうとしている?庵の過去が垣間見れて良かった。地獄が一番乙一テイストだけれど、山白朝子名義は乙一よりもグロくない。文体なども書き分けている、と思う。次に乙一がどこに行くのかも気になるけれど、このテイストの山白朝子も続けて読んでいきたい。
July 21, 2012
a decade365×10+2=36522000年~2010年にかけての、10年分のエッセイ集。先日、仙台ぐらしを読み、読んだことあるエッセイ(峩々温泉で温泉仙人に会う)あるなー、と思い出して再読。伊坂氏による脚注解説?があって面白さ倍増!?干支エッセイが12年続いて、それがまとまったらそれも面白そうだなぁ。(初は2004年猿から)伊坂氏はどこまでが現実(エッセイ)で、どこからがお話か分からないけれど、そこもまた面白い。さまざまな健康療法に挑戦するお父上の経験は、物語のネタというか、影響を与えていそうだ。・・・家族全員が影響を与えてそうだけれども。小説の裏話もちょこちょこっとあったり。映画も興味深いし、伊坂氏と仕事をするアーティストの方々も気になる。けれども、なによりもおすすめの本が気になる。吉井由吉「槿」(あさがお)大江健三郎「叫び声」打海文三作品佐藤哲也「ぬかるんでから」佐藤亜紀「ミノタウルス」など機会があったら読んでみたい。
July 20, 2012
道尾版スタンド・バイ・ミーってところかな。父が有名作家の名前からとったという利一(小4)、活発な姉・悦子(小6)がいる慎司、いろいろなことを自慢したがる宏樹、祖母と二人暮らしをする清孝らの経験。第一章 夏の光 清孝が祖母に怪我をさせた野良犬・ワンダを殺したと宏樹に詰め寄られる。 利一は祖母思いの清孝の行動の本当の理由にたどり着く。 ワンダはのちにひょっこり戻ってくる。第二章 女恋湖の人魚 夏休み終了間近、教頭先生が言った「人魚」を捜しに洞窟探検しに行くことに。 真相は友達のいなかった教頭先生の子供の頃の悪戯(仕掛け)だったことが判明。第三章 ウィ・ワァ・アンモナイツ 清孝が用務員のガニーさんからアンモナイトの化石をもらったが、 もっといいやつを持っていると宏樹が自慢する。 宏樹に一泡吹かせてやろうと利一、慎司、清孝はアンモナイトの化石を作ることに。第四章 冬の光 秋の終わりに病気が発覚し、入院した清孝の祖母・通称キュウリー夫人が病院を抜け出した。 町を離れることを嫌がるキュウリー夫人を心配する清孝。 彼女がもう一度見たいと言った蛍の光を見せようとホタルの幼虫を探すことに。 クリスマスの日に見せる。第五章 アンモナイツ・アゲイン 市議会委員の息子・劉生(小3)と出会う。 清孝が引っ越すことに。清孝への選別として、 劉生の提案で百貨店の床の大理石の中からアンモナイトを掘ることにするが・・・。 清孝は実はおじだったガニーさんのところで暮らし、引っ越しても転校しないことが判明。 第六章 夢と入口と監禁 ワンダをける怪しい男をみたあと劉生が姿を消したことを知る。 次の日、劉生を洞窟前で見つけた利一らは、怪しい男らに捕まる。 自然保護を訴えて山林開発に反対する議員の息子である劉生を誘拐したのは、 倒産寸前の建設会社社長・ツノダ、専務・ミナクチ、係長・タミヤ。 実は社員を助けるためにというツノダと、 忙しい父が議員を辞めれば一緒にいてもらえると思った劉生が仕組んだ狂言誘拐だった。 だが、人質が増えてしまい警察も動き出すだろうと事態は悪化。 ツノダらは変心し、身の危険が迫る。終章 夢の途中と脱出 本当の誘拐になってしまった。 利一らは恐怖に震えながらも案を出し合い脱出を試みる。 そして・・・ またもや病院を抜け出したキュウリー夫人、ガニーさん、ワンダによって間一髪助かる。 その後、劉生の父は結局議員を辞職。山林開発が行われるように。 慎司は家具メーカーに就職し、企画部に。 宏樹は新聞記者に。 清孝は劇団に入り役者に。 利一は商社で事務員をしながらものがたりを作る仕事をしたいという夢を追っていたが、 諦めるつもりだと悦子に打ち明けていた。 この話は、悦子に読みたいと言われた利一が、 唯一読まれてもいいと思い彼女に送った原稿という設定。 途中に挟まれるのは悦子の(ふりかえった)記憶。本当にスタンド・バイ・ミーだなぁ。
July 18, 2012
ありそうでなさそうな。でも、普通の町に犯罪の種は眠っている。ふと魔が差す瞬間、転がり落ちる奈落。思ったよりもドロドロはしていない。でも、救いがないものも。・仁志野町の泥棒転校生だった友達の母親の悪癖。見て見ぬふりしていた町内。・石蕗南地区の放火結婚に対する焦り。実家前の消防団が放火された。犯人は自分に言い寄っていた消防団の男だった。犯行理由は自分のことを一目見たからだったのでは?と期待と不安に駆られ、違うと失望と新たな不安に駆られる笙子。・美弥谷団地の逃亡者DVにあいながらもなかなか別れることができなかった陽次と行動を共にする美衣。守ろうとした母を殺した陽次は警察に捕まり、美衣は保護される。それまでは普通に行動していたように見えた美衣が、最後につぶやく「本当に怖かった」が印象的。実際にこんな事件があったような記憶が・・・。・芹葉大学の夢と殺人サッカー選手と医者と、夢を語りつつも医大受験は落ち続け、留年を続ける工学部を卒業できなかった雄大は教授を殺す。かつて雄大と付き合っていた未玖は、別れた彼からの電話に会いに行ってしまう。叶わぬ夢ばかり語り、理想を追い、現実も、こちらを見てくれなかった雄大は、人を殺してしまっても変わらず現実を、美玖を受け入れてくれなかった。それでも彼を想ってしまう美玖は、彼が生きる世界はこの世のどこにもないと彼が自分を殺したように見せかけ自殺。(一人殺したくらいじゃ死刑にならないと雄大が言ったため)どちらも狂気、になるのだろうか。淡々と静かに進むだけに静かに怖い。・君本家の誘拐ショッピングセンター内で良枝がふと気付くと、ベビーカーに乗った咲良の姿がなかった。子供を望んでいたが、夫・学との意識の差、友人の結婚式での焦燥、ようやく赤ちゃんを授かったが、夫の非協力、周囲になじめない新居での生活、望んだはずの子育てに追い詰められてしまい・・・家に子供を置いて出かけ、ふと気づいて(誘拐されたかと)錯乱してしまう良枝。追い詰められた様子から、咲良を殺してしまっていたらと不安になったが、そうではなくてほっと一息。子を望み、自分のことだけを考えて周りが見えなくなってしまう良枝の姿も描かれ、なるべくしてなったようにも思える育児ノイローゼ、だが、環境の変化や夫との意識の差など、この話が一番日常で起こっていそうだと思った。
July 11, 2012
鉄国との戦争に負けたこの国に、占領軍の先発隊が見たこともない馬という動物に乗ってやってきて、兵長が王である冠人を銃というもので殺したとトムと名乗る猫が、仙台から小舟に乗っていたはずの僕に語った。猫たちはみていた。横暴な冠人の息子・酸人の暴挙、素直な弦、気の強い枇枇、頼りになる号豪、思い立ったら行動の丸壺、冷静な医医雄、生き字引のような存在の頑爺たちを・・・クーパーという変態した杉の木を倒すために派遣されていた兵士は、クーパーを倒した際に透明になってしまうが、この国の危機に現れるという。クーパーの兵士を選ぶ複眼隊長のこと。猫と鼠のこと、関係は変えられるか?童話のようなお話?どうということはないのだけれど、するすると読み終わってしまった。----------------------------この国はもうずっと前に鉄国に負けており、クーパーの兵士として送り出されていた人々は、鉄国に差し出されていた。だが、鉄国はあまりに小さなこの国にさして興味はなかった。ある時に複眼隊長がクーパーの兵士を連れて帰ろうとしたが、冠人が激怒。それから複眼隊長はクーパーの兵士を鉄国に差し出さず、村を作って彼らと住んでいた。鉄国で代替わりがあり、方針が変わると知った複眼隊長は鉄国の先遣隊の振りをしてこの国に戻り、冠人を殺し、本隊が来る前に対策をたてようとしていた。良い王だとされていた冠人の実態、この国に伝わっていた歴史、伝説の虚偽があかされていく。最後はいきなりガリバー旅行記。鉄国の本隊到着、襲撃の時に現れたのはトムの話を聞き、この国を救うために立ち上がった(仙台から来た妻に浮気された公務員の)私。なぜかこの国の人々良い4,5倍の大きさで、クーパーだとの誤解を受けつつも鉄国の兵士を一蹴。人々と交流し、この国のそばに滞在するも、ある日遠出をした際に乗ってきた小舟を発見。
July 10, 2012
弁護士・御子柴礼司は、ある土砂降りの晩、記者の死体を遺棄した。死体を調べた警察は、御子柴に辿りつき事情を聴く。だが、彼には死亡推定時刻は法廷にいたという「鉄壁のアリバイ」があった。過去、関東医療少年院、罪を償うということ、少年の更生、裁判員裁判の心証、刑事訴訟法の大原則・一事不再理の悪用、障碍者、刑事らとの攻防・・・描きたいことが詰め込みすぎのような・・・。裁判は裁判、医療少年院でのことはこれだけで小説にした方がまとまったのでは?----------------------------どんな罪状で起訴されようと、必ず執行猶予を勝ち取ってくれる無敵の弁護士とウラの筋でも有名な御子柴は、そんな悪辣な依頼者からは法外な報酬を要求する。(→その金は過去に殺した幼女の母に振り込んでいるようだ。)だが、一方で国選弁護士として一文の得にもならないような事件を引き受けてもいる。今回、国選で弁護を引き継いだ裁判は、妻・東條美津子が事故で意識不明となり、入院していた夫・彰一を殺したというものだった。息子・幹也は車椅子に乗り、唯一動く左手で操る携帯電話でコミュニケーションをとる。先天性の脳性麻痺だったが、左手と視聴覚、思考能力は健常者と同じであり、オートメーション化した東城製材所を亡くなった父に代わって経営していた。殺された記者はネズミと呼ばれ、フリーランスで仕事をしていたが、出版不況のあおりを喰らうようになると、当事者自身にネタを売る(強請る)ようになっていた。御子柴も過去をネタに付きまとわれていたが、相手にしていなかった。その後、東條事件の真相に気付き、強請ろうとした幹也に殺される。裁判を有効に進めるため、幹也に呼び出された御子柴が死体遺棄に手を貸す。御子柴は26年前に福岡市内で起きた幼女バラバラ殺害事件の犯人・園部信一郎だった。「殺してみたいから殺した」と答えた少年は関東医療少年院に収容された。少年が心を取り戻したのは当時の担当教官・稲見、御子柴と交流があった院生の嘘崎雷也(仮名)と夏本次郎(仮名)らの影響と矯正教育の一環で弾く少女・島津さゆり(仮名)のピアノの音色。その後、彼は改名して5年後、仮退院。担当教官・柿里と折り合い悪く、結果、自殺した雷也の語った弁護士志望だった。(次郎は雷屋の死後に脱走し、事故死)少女の担当医官・御前崎もシリーズに登場していたような気が。弁護士には成績が良ければ(試験に通りさえすれば)なれ、人格は、もちろん過去も審査されない・・・ならば、本書の御子柴ように殺人犯が弁護士になることも可能なのだろうか?障碍者であるということで容疑者から見事にすり抜けたように見せる幹也。御子柴は美津子の行動は、彰一の病院での死の原因ではない(同時に殺意の否認)と裁判で証明。幹也に幹也自身が犯人である真相に気付いているを伝える。直後、御子柴は以前弁護した依頼者のイジメを受けて自殺した息子・晃を思う母親・安武里美に逆恨みされ、刺される。製材所には借金があり、彰一には多額の保険金がかけられていた。事件の真相は彰一につながっていた医療機器に幹也が携帯電話を押し付け、誤作動を起こしていた。幹也は金のため父を殺し、自分がこんな体になったのは母のせいだと美津子に罪をなすりつけつつ、母を心配するふりをしていた。埼玉県警捜査一課班長の渡瀬と古手川はシリーズに出てきてた刑事だよね?御子柴をマークし彼の過去を追っていた彼らだが、幹也の犯行に、その前の事故の真相に気付く。そもそも彰一が入院することになった事故は美津子と不倫していた工場主任・高城の共謀。御子柴自身も死体遺棄の罪に問われるだろうし、そうすると最悪過去を探られて公になると裁判が心証悪いどころではなくなるのだけれど・・・。御子柴の仕事を引き継ぐのは東京弁護士会会長・谷崎。盛り込みすぎたために突っ込みどころが多く、まとまりのない印象がぬぐえない。
July 9, 2012
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