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2016年07月18日
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テーマ: 葬儀(191)
カテゴリ: 仕事
「フミさん」との出会いは、もう35年くらいも前になる。

まず名簿で「山〇 文」という氏名を見て、てっきり女性だと思いこんだ。
しかし、理事会に出席していたのは、全員男性だった。
不思議に思った私は、「ひょっとして奥さんが来れないので、ご主人が代理で来たのかな!?」と思った。
しかし、次の理事会も出席しているのは男性ばかり。
さすがに変だと思った私は、事務局長に「山〇さんって、どの方ですか?」と聞いた。
「フミさんかい? あの人だよ」と教えられた人は、小柄で細身の体の、白髪の男性だった。

「えっ、やっぱりフミさんっておっしゃるのですか!? てっきり女性だと勘違いしてました」と驚く私に、

「そういえば女の名前だなあ。昔からフミさんって呼んでるから、俺たちは変だとも思ってなかったよ」。

性が分かりづらい名前というのは今ではよくあるけれど、
大正前期生まれの男性で、「文(フミ)」というのは珍しい。
親しく話ができるようになってから、私は直接聞いてみた。
「フミって、ご本名ですよね? 男性のお名前としては珍しいと思うのですが、何かいわれがあるのですか?」。
すると、穏やかな笑顔でちょっといたずらっぽく教えてくださった。
「最初は文男って言ったんだよ。でも、小さい頃に津軽海峡を渡った時に、男を落としてきちゃったんだよ」。
あまりウイットに富んだ会話が得意でない私は、
一瞬わけがわからず、返す言葉も持たずキョトンとするばかり。
そんな私を面白そうに見ながら、それでもちゃんと説明してくださった。
「北海道に移住した時、戸籍の届けを間違ったのか、間違えられたのか、文になっちゃってたのさ」。

「まあ、ずっとフミって呼ばれていたしね、それでもいいかと思ってね」。
納得できるようなできないような不思議な気持ちだったが、ご本人が納得しているのだからいいのだろう。
そんな大らかなお人柄を、私はそれ以後ずっと尊敬してきた。

「フミさんの怒った顔は見たことがない」と、彼を知る人は口を揃える。
私が出会った頃は、老人クラブの会長や民生委員、保護司などをなさっていて、

私自身も、山〇さんが不機嫌そうな顔を想像できないし、目に浮かぶのは優しい笑顔だけだ。
その頃はすでに奥さんを亡くされて、お一人暮らしと聞いていた。
でも、近所にご長男も住んでいるとのことで、
きっとお子さんたちがお世話をしているのだろうと想像していたのだが。

フミさん(私は、いつも山〇さんとお呼びしていたが、今日はフミさんと書かせていただく)が亡くなったと知り、
私は随分お会いしてはいなかったけれど、仕事をしていた頃に随分可愛がっていただいたし、
お別れに行こうと思い、葬儀に参列した。
そして、フミさんの経歴を知り、本当に驚いたしとても感動した。
それを、覚書として書いておこうと思う。

フミさんは福井県で生まれたのだが、四歳の時にお父さんが亡くなり、
親戚を頼って北海道にわたってきたそうだ。
四歳の子どもが自分で遠い親戚を頼ったわけではあるはずもない。
多分母親と別れてきたのだろうが、最初は札幌の親戚宅、次に現在の地にやってきた。
養子になったわけではないようで、いわば「里子」状態だったのだろう。
その家は農業を営んでいたので、小学校卒業後農業に従事し、20歳ころに結婚。
私はその頃の生活事情を、昔々実家の祖母から聞いたことを思い出した。
どちらかというと、幼少期から農業で生活が安定するまでは、ご苦労が多かっただろうと思う。
そんな中で、フミさんはとても家族を大切になさっていたそうだ。
葬儀での経歴説明の中で、こんなことが語られた。
「ご自分が家族に恵まれないお育ちだったせいか、大変家族を大切にする子煩悩なお父様だったそうです。
雨が降って農作業ができない日は、お子さんたちと汽車で札幌にでかけ、映画を見たことが楽しい思い出で、
お子さんたちはいつも、雨が降らないかと思っていたそうです」。

フミさんは100歳まで一人暮らしをしていたのだが、全て身の回りのことは自分でなさっていたとか。
近所に住む娘さんが、惣菜を持って行くと
「甘えてしまうから、気を使わなくていいよ」とおっしゃったとか。
100歳を超え、体調を悪くしたことをきっかけに、近くの特別養護老人ホームのショートステイ、
そして入所をしてからは、お子さんたちが毎日面会に行かれていたそうである。
ホームの職員が「毎日面会に来る家族は、本当に珍しいし、ほとんどいない」と言っていた。

102年のご生涯であった。
他人にはもとより、ご家族にも思いやり深く優しい父親でありおじいちゃん、ひいおじいちゃんだったようだ。
奥様を亡くされてからの一人暮らしは長かったけれど、
自分で出来ることは自分でと、生活はもとより地域のお世話役、相談役として、
ずっと尊敬され信頼された人生は、ご本人の口癖「おかげさまで、ありがたい」が本音の、
充実した幸せな人生となったのだろうと思う。
しかし、親と離れて暮らすことになった幼少時代から、結婚し子どもを育てる日々には、
口には出せない寂しさや悔しさ、悲しみを心にしまいこみ耐えた日もあっただろうと想像する。
それを全てご自分の糧に変えてきたであろう生き方を思うとき、
そのような人としてのお手本のような人と出会ったことを、本当にありがたいと思う。

山〇フミさん、本当にお疲れ様でした。
今頃は、先立たれた奥様やご長男と再会して、
ご一緒に残されたお子さんやお孫さんたちを見守られているのでしょうね。
仕事をしていた頃には、優しく励ましてくださってとても嬉しかったです。
本当にありがとうございました。






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最終更新日  2016年07月21日 16時32分59秒
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