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2021年04月06日
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テーマ: エッセイ(94)
カテゴリ: 過去のエッセイ
「ケガの功名」

 ガツッ!というような強い衝撃が額に走った。目の前が真っ白になった。次の瞬間、自分のおでこに当てた手のひらの妙な感触にドキッとした。続いて顔面に、ヌラーッと生温かいものがしたたった。
 大雪山系黒岳の頂上で、石に足を取られて転倒し、岩に頭をぶつけて額をパックリと切った瞬間である。
 私の転んだ気配に振り向いた夫は、「何やってんだ。どうした?」とかがみこんで私を覗き込み、「どら、見せてみろ」と言う。
 押さえた手を離すのには、かなりの勇気が必要だった。おでこはグニャッと陥没しているようで、(離したらヤバイかな? いや、そんなはずはない。意識はあるから大丈夫)と自問自答して自分を励まし、思い切って手を離す。
 さあ、それからが大変だ。傷口を見た夫はいまだかつてないほどうろたえながらも、必死で傷口をテーピングし、タオルでしっかりと縛り、私に「上から手できつく押さえろ」と指示した。
 縫合が必要だが、なにしろ山のてっぺんである。幸い意識ははっきりしているし、今のところ貧血にもなっていない。その時には私も、頭が陥没していないとわかって勇気凛々。
「大丈夫、歩けるから」と夫に支えられながらの下山が始まった。
 下り始めてから数分後、私はハッと気づいた。結婚以来初めて、夫と手をつないで歩いていることに。
 シャイな夫は、人前で手をつなぐなど考えられないのだが、今は私を無事に下山させることに必死のようだ。夫の手はその思いを表すように、きつくきつく私の手を握っている。額の傷よりも、そっちの方が痛いほどに…。その手は、(頑張れ、頑張れ、俺がついてる)と私を励まし労わっていた。
 子供も巣立ち二人の生活になって半年、何となく淡々・ひんやりとしていた私達に、神様は何と味なショック療法をしてくれたことか。
 これがホントの「ケガの功名」である。




私は気圧の変化で頭痛がすることがよくある。
この時も、途中から頭がガンガンする中をやっとのことで山頂に上ったのだが、体調が悪かったせいもあり自分で思うほどに足が上がらなくなっていて、ちょっとした石に躓いて転び、さらに反射神経も低下していたようで、咄嗟に手をしっかりつくことが出来ず、目の前の岩に頭をぶつけたのだった。
私のケガに気付いたパトロール隊員が、その後下山から救急車の手配をしてくれた。
黒岳は、7合目からはロープーウェイで下山できるのだが、この日は紅葉の季節でロープーウェイに乗るための人が長蛇の列になっていた。
しかし私は怪我人であることで優先的に乗せてもらうことが出来、降りたら救急車が待っていた。
私の救急車初乗り体験日である。救急車には妹が同乗し、夫はその後を自動車で追いかけた。
どこの病院に行ったのか忘れてしまったが、すぐに縫合処置をしてくれた当番医は外科医だった。
(妹があとで「当番医が外科の先生とわかって安心したよ。内科医だったら不安だもの」と言っていた)

しかし、痛みが走り始めてからは「これで終わりますように」と祈りながらだったのは言うまでもない。
先生からは、「帰ってから地元の病院で診察を受けてくださいね」と言われていたので、次の日には受診した。
すると先生は私の傷口を見て言った。
「あー、きれいに縫ってくれてますね。完璧です」。

その傷跡は今でも私の額に残っているが、きれいに縫ってくれたおかげだろう、言わなければ誰も気付かない程度だ。
あの時に縫ってくれた先生に、心から感謝するばかりだ。





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最終更新日  2021年04月06日 10時00分13秒
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