わたしのこだわりブログ(仮)

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2009年06月01日
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​古代ローマ水道橋 1  (こだわりの水道建築)
偉大な土木事業
ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)​

​偉大な土木事業
古代ローマ時代に建築された水道橋は、BC312年から3世紀にかけてローマの諸都市に水を供給するために建築された古代の土木建設 の中でも精巧かつ、偉大な事業の一つでもあった。
古代ローマ滅亡後1000年以上も、これに匹敵するものは造られなかったと言うが、この水道がもたらした諸文化発展の有益性は「人が生きる為だけにあらず。」と言う新しい境地を開いてくれたものでもあったと思う。
​つまり生きる為の水を2000年以上も前に娯楽やゆとり(浴場や泉)にまで利用していた古代人の叡知に驚いたのである。​

ローマ人は帝国内の大都市には、上下水道を建設した。中でも上水道の建築は、ローマ帝国最大の都市であるこのローマの街の市民に生活用水を供給し、多数の公共浴場に水を送る為に主な物だけでも13あった と言われている。いずれもローマより数10キロの所からの取水で、その工事は大規模な設備工事となったはずだ。(建設以後もメンテナンス工事は続いた。)

先に紹介したカラカラ浴場はアッピア水道より取水し、トレヴィの泉やバルカッチャの泉はヴェルジネ水道(乙女の水道)より取水していた事がわかっているが、そもそもヴェルジネ水道はアグリッパ(初代皇帝アウグストゥスの腹心)がローマ初の大規模な公共浴場に水を引くために建設したものだそうだ。

水道を運ぶ施設は、地上でさらされている高架橋より地下の方が圧倒的に多かった ようである。ローマの街中に水道橋の遺跡を見かけない事からも ローマ市内のほとんどが地下に埋められていたものと思われる 。メリットは地下に作られることで、動物の死骸が入り込まない事と、敵の攻撃から守られる事などの幾つかの要因があったからだ。
その仕組みは完全に重力に頼っており、非常に効率よく大量の水を運んでいたようである。

古代ローマ帝国の滅亡で、ローマ水道は敵により徐々に破 壊され、他の水路もメンテナンス不足により故障していった。 水路による水の供給が減り、濁ったテヴェレ川の水しかなくなった為古代では100万人以上いたローマの人口は、中世には激減したと言われている 。同時に水の無くなった浴場は廃墟となってしまう。
星 15世紀中頃、教皇ニコラウス5世は、この問題を解決すべく再びローマ水道の建築を再建 させる。アクア・ヴェルジネ(ヴェルジネ水道)の再建は 古代ローマの復活という意味においてルネッサンスの精神と一致した のだそうだ。
16、17世紀になるとさらに新規の水道建築に取り組みシクストゥス5世はフェリーチェ水道をテルミネ周辺にもたらし、パウルス5世はバオラ水道をトラステベレにもたらし、 3本の水道でローマの街は生き返った そうである。

これから幾つかのローマ水道を紹介して行きます。本家イタリアの写真が一つもないのですが、ローマ水道はかつてローマ帝国の属州(植民地)となった街に今も少し残っています。今回はフランスのポン・デュ・ガールから紹介。

ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)
このローマ水道は南仏の 古代都市ニーム(Nimes)の街に水を引いている
下はガール川の上にかかるポン・デュ・ガールである。
BC19年に完成。


3層のアーケード構造。全長約 50 km、平均斜度は 1 km

ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)の流量は1日に2万立方メートル(約600万ガロン)。
驚くべきは水源とニームの導水路の勾配で、水源とニームの高低差は17cmしかないので、全長50kmで計算すると1kmあたり34cmの傾斜である。しかし、勾配は均一ではなく、場所によって変えられている。
山間での勾配は1kmで67cmの傾斜であったり、勾配の小さい所では1kmあたり7cmの傾斜と、水がスムーズに流れる為のギリギリの計算(厳密な許容誤差内で建築されていた)がなされている。

アーチの列を三層に積み重ねた形となっており、導水路のある最上段には35のアーチが並んでいて、長さ275m、水面からの高さ49m川底の基礎からの高さ52m。(15階建てのビルより少し高い。)
中段には11のアーチがあり、長さ242m。
下段は人や馬の通る橋を兼ねており、アーチの数は6、長さ142m。


中下段で使われている大きな石材は重さ6トンと計算されていると言うことです。
橋の表面各所にある突起は、もともと足場用であり、通常は工事が終われば削り取っていたようですが、ここはほぼ完全に残っています。メンテナンスの為に残したか? デザインの為に残したかはわからないそうです。

最上部の導水路は、人がかがんで歩けるくらいの幅があるそうです。




そして水量も季節で異なるようで、鏡のように水面に映る橋によって全く違う感動がある。
つづく
リンク ​ 古代ローマ水道橋 2 (フランス)
リンク ​ 古代ローマの水道橋 3 (フランス・ニーム 2)
リンク ​ 古代ローマ水道橋 4 (水道管とエフェソス)
リンク ​ 古代ローマ水道 5 (チュニジア・ザグーアン)​
リンク ​ 古代ローマ水道 6 (イスラエル・カイザリア)
リンク ​ 古代ローマ水道 7 (スペイン・セゴビア)
リンク ​ 古代ローマ水道橋 8 (イングランド・バース編 1)
リンク ​ 古代ローマ水道 9 (イングランド・バース編 2)
リンク ​ 古代ローマ水道 10 (イングランド・バース編 3) 終章






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Last updated  2020年11月03日 06時01分49秒
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