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イヴの日、ジェームズ・ロリンズの「マギの聖骨」を読み始めた。
クリスマスにふさわしいネタだと思った。
(文庫上下巻800ページもので実はまだ読み終わってはいない。)
「マギの聖骨」のマギ(magi)は、キリストの生誕の時に贈り物を渡した東方から来た賢者の事である
。
このマギ(magi)のお骨がケルンの大聖堂に置かれている
と言う。
(ケルンの大聖堂には行った事はあるが知らなかった。)
このお骨を見つけて来たのも実はコンスタンティヌス1世の母ヘレナ(Helena)(246年/250年~330年)だったそうだ
。
(「十字軍(The crusade)と聖墳墓教会(The Church of the Holy Sepulchre) 1」 の中で紹介。)
リンク 十字軍(The crusade)と聖墳墓教会(The Church of the Holy Sepulchre) 1
ヘレナ(Helena)の聖遺物収拾はハイ・クラスの遺物ばかりであるが、ぶっちゃけ信憑性はかなり低そうな気がする。
(もちろんカトリック教会ではヘレナ(Helena)の集めてきた遺物を本物として扱っている。)
マギ(magi)の正体
マギ(magi)
プレゼピオ(Presepio)
実は聖書の中でマギについて語ってるのはマタイによる福音書のみである。
(マルコやヨハネによる福音書には生誕の話すら無い。)
マギ(magi)
マギ登場のくだりを簡単に説明すると
イエスがベツレヘムで生まれた時 にそれを 星により知った者達が東方からヘロデ王を訪ねて来た。
「ユダヤ人の王はどこか?」
ヘロデ王はかなり驚いたはずだ。なぜなら自分の周りにベビーは生まれていない。
彼は自分にとって変わる王の出現を恐れ、後にベツレヘム周辺で生まれた2歳以下のベビーを皆殺しにしている。
三博士の旅
サセッタ(Sassetta)(1392年~1450or1451年)
預言書には、メシアはベツレヘムで誕生するとあったので、それを聞いた東方から来た者達はベツレヘムに向かった
。
ベツレヘムでは 星の導きにより、彼らはイエス(キリスト)を見つける事ができベビー・、イエスを拝み、宝の箱を開けると、乳香、没薬、黄金を献げた
。
「乳香、没薬、黄金」の贈り物のくだりが、ソロモン王を訪問したシヴァの女王が持って来た贈り物と同じだったような記憶が・・。(シヴァは現在のイエメンあたりとされる。)
あえて、ソロモン王をなぞったのかもしれない。イエスはアブラハムから始まり、ダビデ、ソロモン王を先祖に持つ子孫であるとされるからだ。
アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)(1471年~1528年)
星によって導かれた・・と言うくだりより、東方から来たのは占星術者か? 天文学者か? とにかく学者とか、博士とか、賢者・・と訳される事になる。
(英語のMagicの語源はマギ(magi)から由来しているそうだ。)
一般的には「東方三博士」と聞いた事があると思うが、聖書にマギの人数についての下りは無い。
後に 3人とされたのは、贈り物である乳香、没薬、黄金の3点から来ている
そうだ。
しかも、 後世(7世紀頃)
ご丁寧に 名前が与えられた
。
メルキオール(黄金・・・王権の象徴、青年の姿の賢者)
バルタザール(乳香・・・神性の象徴、壮年の姿の賢者)
カスパール(没薬・・・将来の受難である死の象徴、老人の姿の賢者)
三博士の礼拝
ピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel)(1525年-1530年頃生~1569年)
では マギはどこから来たか? 何人か? 東方とはどこか?
聖書には東方から来た・・とだけ書かれている。
中世の絵画にはマギの一人に黒人が描かれていて、3人は3つの大陸の王だ・・と言う解釈がされていた。(私もずっとそうだと思っていた。)
しかし、 東方の占星術をあやつる者・・分析すると当時中東、西アジアを納めていたパルティア王国(Parthia) (BC247年頃~228年)のゾロアスター教の司祭達だった可能性が高い
ようだ。
「マギ(magi)の名はゾロアスター教の司祭「マジュース مجوس majūs」から由来? 」
と言う説があるからだ。
ドレの聖書より
ギュスターヴ・ドレ(Gustave Doré)(1832年~1888年)
ギュスターヴ・ドレ(Gustave Doré)
因みにこのゾロアスター教は後にササン朝ペルシャ(Sassanian Persia)に引き継がれ、宗教政策の主軸になるとミトラ(Mitra)神が祀られる。ミトラの神官もマギ(magi)である。
プレゼピオ(Presepio)
キリスト降誕の情景を表すフィギュア
がある。
イタリアではプレゼピオ(Presepio)と呼ばれ、欧州ではツリーを飾るよりプレゼピオを飾る方がポピュラーだと聞く。
サン・シュルピス教会(Saint-Sulpice)に飾られていたプレゼピオ(Presepio)・・・たぶん
サン・シュルピス教会はダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」の中で紹介されていたローズ・ライン(日時計)のある教会です。
マギ(magi)はプレゼピオ(Presepio)の中に絶対存在している。
プレゼピオ(Presepio)を飾るのは12月8日(無限罪の御宿り日)~翌年の1月6日(公現祭)まで。
西方教会では、1月6日がマギの来訪日とされている
からだそうだ。
それ故、欧米ではクリスマスの飾りは年明け6日までまで飾られている。
ところで、 キリストの誕生日はいつか?
実は 聖書に誕生日を特定する記述は無い・・
が、345年にはすでに12月25日に決まっていたらしい。
ローマ帝政期、ローマとその属州で広く信奉されていたミトラ教
は前述の ミトラ(Mitra)神(太陽神)を祀る宗教
冬至の祭り
。それが 12月25日
だったようで、 どうやらそれがキリストの誕生日決定の由来
だったようだ。
うちのプレゼピオ(Presepio)
※ カトリック系の病院に寄附したので今は無い。毎年サロンで飾られています。
ベビー・イエス、マリア、ヨセフ、東方からの3博士、天使、羊飼い、牛、ロバ、ヒツジ、ラクダ
うちのマギ(magi)にも黒人がいる。3大陸の王説はかなり浸透してしまっているようです。
基本的にはプレゼピオ(Presepio)の中のマギは異教徒を象徴
しているのでどこの出身でも良いのかもしれないが・・。
ルカによる福音書では
マリアとヨセフが住民登録の為にベツレヘム入りをする。
しかもマリアは出産状態に入ってしまったが宿屋は無かった。
マリアはどこかの小屋で出産し、ベビーは飼い葉桶(家畜のエサ箱)に寝かされた
。
プレゼピオ(Presepio)はイタリア語でベビー・ベットの意味もあるらしい。
飼い葉桶から馬小屋だった・・と言う絵もあるが 、飼い葉桶を使うのは馬だけではない。
プレゼピオ(Presepio)では牛かロバがアイテムである
。
小説・・マギの聖骨
ところで、前述、Magicの語源はマギ(magi)と紹介したが・・。
ジェームズ・ロリンズの「マギの聖骨」は「マギの骨」ではなく、「Magicの骨」であった。
つまり本物のマギの骨ではなく、骨のようにマギが造り出した特殊な物質・・と言う話であったのだ。
ダン・ブラウンの小説が史実的にもリアルなのに対し、ジェームズ・ロリンズの作品はアン・リアルすぎた。
史実の解釈にも疑問が多く、話が非現実な方向の展開になり、完全なるフィクションが逆に興味に対しての面白みに欠けてしまった。
サスペンス小説・・と言う観点で考えればそれなりだが・・。私的にはちょとガッカリだった。
それにしてもマギの骨がどうして見つかったのか? 不思議である。
どこともわからない東方の国の、しかも数世紀たった人間の骨がDNAでも調べない限り本物と断定できるわけがないのだから・・。
ヘレナ(Helena)はカモにされて騙されたのかもね・・。
ちょっと変わり種系のリンク先
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