全2件 (2件中 1-2件目)
1
<本当は「高速バスの観光シフト」について書き続けなければならないのですが後回しになってしまっています…申し訳ありません。一方、業界にとって大きなニュースが続き業界内外から意見を求められることが多いので、その件を先に書きます。前回は北陸道事故の話を書きました。今回はシステム連携の話です>高速乗合バス(主に「既存組」)の基幹システム(座席管理システム)と、集客発券を担う予約サイト(他社サイト)のシステム連携が加速している。発車オーライネット(以下:発オラ)は連携済みだった高速バスドットコム(ベア)、じゃらんに加え昨年10月に楽天トラベルと連携を開始し、京王のSRSは連携済みだった楽天に加え昨年末にベアと連携し、先週からWILLER(W)との連携も開始した(JTB高速バス予約と日本旅行バスぷらざは、楽天やベア、Wなどとはまた違うレイヤーなのでここでは省略)。これで、おおむね、私が楽天トラベルの高速バス予約事業に転職した際に漠然と頭に描き、かつ同事業の責任者として各事業者や基幹システム運営会社に提言してきた構図が完全に実現したことになる。この件に関し私の考え方の軸は一つだけ。各事業者にとって基幹システムは一つであるべきだし、販路は逆に多い方がいい。それだけだ。ただし条件がある。販路を広げることで無駄なオペレーションが発生するのは不合理なので避けたいし、一方で、どの販路でどれだけの席数を販売するかは事業者側が制御すべきということだ。運賃についても幅運賃制度の導入によりコントロールがかなり容易になった。要するに、<漫然と販路を広げるな。座席(在庫)と運賃は事業者側が常に握って、販売側より上位に立て>ということだ。そういう考えだから、まずは手運用により楽天で「既存組」の取扱いを開始した際も、当時の高速ツアーバス同様、楽天で販売したい在庫数は事業者側がリアルタイムにコントロールできるようにした。ただ、その考え方は「既存組」にはあまり理解してもらえず、実際には楽天に「出しっぱなし」になっている事業者が多かった。冒頭でご紹介したシステム連携により運用が簡単になることで、事業者がより積極的に在庫をいじることを期待していた。ところが、実際には(特に発オラで)少し違うことが起こっている。SRSの場合、他社サイト(楽天、ベア、W)で販売したい「席数の上限」を、SRS上の簡単な操作で設定できる。夜行なら金曜、昼行なら朝晩のように乗車率が高い便は他社サイトで販売する席数をゼロにし、逆に戦略的に新規開拓したい便(観光地へ向かう路線の、大都市を朝に出る便など)については多く販売させればいい。その席数はリアルタイムに変更することができるし、さらに言えば、他社サイトの売れ行きが悪く逆に自社サイト(ハイウェイバスドットコム)や電話等の自社販路が好調だった場合、自動的に他社サイトの販売可能数が減り自社販路を優先するようになっている(これをLast Seat Availabilityと呼ぶ)。この仕様であれば、事業者側は他社サイトに支払う手数料を制御しつつ販路を広げることができ、在庫は分断されるわけではないので販売機会ロスもほとんど発生しない。それに対し発オラは、ベア、じゃらん、楽天に対して在庫がフルオープンになっている。手運用時代に比べ、オペレーション負荷が低下し販売機会ロスがなくなったことは進歩だが、事業者側の最大の武器である「在庫配分」というカードが切れなくなってしまう。実は他社サイト側にとってもこの仕様は問題だ。一見、金曜の夜行便など「プラチナ在庫」を確保できるように見える。だが、何度も言うが高速バス市場の本丸は高頻度昼行路線であり、大都市側に大きな潜在需要が眠っている。一方それらの路線では地方側では十分なリピータが定着しており、そのリピータが他社サイトに流出してしまえば事業者側にとっても無駄な手数料負担が継続するので、そのリスクを思うと高頻度昼行路線については他社サイトと契約しないという選択が多いだろう。未知の大都市客のために、現在のリピータの分まで手数料を払えないのは当然の判断。せめて(リアルタイム変動やLast Seat Availabilityのような高度な機能はいらないから)便ごとに上限座席数を設定する機能が欲しい。結果、事業者にとっては大都市の新規需要開拓はまた遠のき、他社サイトにとっては取扱路線が増えない。それでは、高速バス市場の拡大は望めない。もっともだからと言って、私に対し、<なんで発オラはSRSのように作ってくれないんでしょうか>と愚痴をこぼされても困る。発オラはその性格上、各事業者の要望の最大公約数を仕様として実現するしかないシステムだ。私は、楽天勤務時代からもう8年くらい、今回SRSが実装した「販売可能(上限座席)数」という仕様を、SRSだけでなく、発オラやバスネット、また競合先であるベアやじゃらんに加え、「既存組」各事業者の皆さんに提言し続けてきた。発オラの開発側も、上記の理屈は理解してくれているはずである(たぶん…)。だからこそ、発オラユーザである各事業者は、積極的にヨコでつながりつつ声を上げていただきたい。本日はダイナミックプライシング(運賃コントロール)や他社サイト以外の販路拡大(ダイナミックパッケージやアフィリエイト、API公開など)についてはご説明しきれなかったが、いずれにせよIT側の支援を得て事業者が採れる戦略の幅は今後もっと広がるはずだ。ここまでは、急成長した旧・高速ツアーバスからの防衛のためにも夜行路線に意識が集まりがちだったが、今後は、本丸たる高頻度昼行路線の「積極的な防衛」に気持ちを切り替えていくべきだ。そのためには、大きな潜在需要が眠る大都市側の市場開拓が最も大きな課題であり、だからこそ、高速バスの観光シフトが求められている…って、けっきょくそこに行きつくので、なるだけ早くその課題の続きを書けるようにがんばります。
2014.03.13
コメント(0)
<本当は「高速バスの観光シフト」について書き続けなければならないのですが後回しになってしまっています…申し訳ありません。一方、業界にとって大きなニュースが続き業界内外から意見を求められることが多いので、その件を先に書きます。もっとも、二つのニュース、つまり北陸道事故の話と、販売提携の話を同列に並べることはできないので2回に分けてアップします。まずは、北陸道事故の話です>非常に残念な事故がまた発生した。当該事業者においては、引き続き被害者に対し真摯に対応をいただきたいとともに、バス業界として再発防止を徹底する必要性を痛感している。同事故に際しては、多くのメディアのご取材にご協力させていただいた。私自身も、翌4日のテレビ朝日系『モーニングバード』にスタジオ生出演し、6日のフジテレビ系『とくダネ!』でコメントをご紹介いただいた。早朝に発生した夜行便の事故ということで、当然、誰もが一昨年の関越道事故を想起したはずだ(奇しくもどちらも加賀温泉、金沢駅関係の路線)。映像だけで事業者名を判別し、かつ関越道事故の当事者とは全くレベルの異なる会社であることを理解したのは私がバス業界の人間だからであり、一般の読者視聴者や、彼らにニュースを伝える社会部の記者さんや情報番組のディレクターさんにとっては、関越道事故と同じ構図に思えたことだろう。当日の昼頃から私はひたすら電話取材で構図の違いを説明し続けた(<前回は常態化した法令違反が問題><前回は過労と眠気による居眠りが原因。今回は健康起因と推察>など)。また私の立場として最初に感じたのは、テレビ(特に生)でのコメントは難しいなということ。事業者に明確な瑕疵があるとは思いづらいし、一方で、まさか、<事故が起こるのはしょうがないですよ>とは言えまい。出演のお話があればお断りしようと、いったんは決めた。それでも思い直したのは、前回、初期のテレビ出演のお話をお断りした結果(まあ、当時はテレビどころではなかったんだけど)、バスに詳しくない方や無用な規制強化を望む方が出演することになり、<国交省の怠慢>というストーリーが生まれ、業界として必要以上の対応が必要になってしまったことを思い出したからだ。実態を冷静に理解いただく必要があると考え、積極的に各媒体にご説明を続け、上記のように一部は出演もさせていただいた。その結果もあっただろうし、何よりも当該事業者の積極的な情報開示姿勢や素早い対応、そして日常の法令遵守状況などを見て、報道は急速に終息した(もっとも、柏の通り魔など他のニュースが続いたという背景もある)。もちろん、当該事業者においては被害者への対応などまだまだ続くであろうし、地元紙やバス専門の媒体などでは原因究明や再発防止策などを今後もきっちりと報じていただきたいが、瞬間風速的な報道に引きずられ業界として無用な対応まで求められる状況は過ぎ去ったようだ(メディア対応についてはさすがにここで書ききれない点も多いので、個別のコンサルティングや講演などの機会に、必要な情報は各事業者にお伝えしていきたい)。問題はこの後だ。私の方では、乗務員の健康管理などについて専門家の知見をより業界に共有させるスキームを作ることはできないか、あるいは業界全体の構造的な課題となっている乗務員不足の解消に寄与することはできないかなど、次の絵を描き始めている。一方で各事業者におかれては、今回の事故が、前回の事故ほど大きな社会的問題とならなかったことに、逆に強い危機感を感じていただきたい。つまり、今回の当該事業者の日々の運行管理や、事故が発生してしまった後の対応が、今後社会が求める合格基準点となっていくからだ。万が一、(たとえ事業者や乗務員自身に責任がないものであったとしても)同様の事故が発生した場合、それらの体制が今回の事業者と比較されることになる。高速バスや貸切バスが遠方で大事故を惹起した場合の現地対応、報道対応について予行演習が済んでいる会社が何社あろうか。もちろん、事故防止は決して、<社会の非難を浴びないように>という目的で行なわれるものではないが、片や関越道事故の当事者は旅行会社、貸切バス事業者ともに既に跡形もないことを考えれば、事業の継続のためにも、社会からどう見られるかという点をより意識してマネジメント力の向上に取り組んでいただきたい。
2014.03.13
コメント(0)
全2件 (2件中 1-2件目)
1