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前回ご報告したサポートエクスプレス社のセミナーについては、まず、5月16日付けの『東京交通新聞』でご紹介いただいた。ちょうどタイムリーというか、1面トップが貸切バス新運賃制度についての記事で、同セミナーで私が訴えた内容もご紹介いただいた上に、それとは別に、2面でセミナーの様子が独立した記事になっている。上記リンク先から、1面だけは「立ち読み」できるのでお目通しを。合わせて、名古屋大学・加藤先生およびサポートエクスプレス社のご厚意により、当日の加藤先生のご講演資料を、参加者以外でもダウンロードできるよう段取りしていただいた。 → 資料のダウンロード(名古屋大・加藤先生のサイト。上から6行目くらい)繰り返すが、今回の運賃変更をレギュレーション(制度)と捉えるのではなく、オポチュニティ(ビジネス上の好機)と定義すれば、前向きに取り組むことができるはずである。自らの事業のあり方を見直すいい機会であるのでぜひ資料にも目を通していただきたい。さて翌週23日(金)はWILLER GROUP創立20周年の祝宴。3人から始めた小さな会社が、よくまあ大きく育ったものである。さらに主賓テーブルはそうそうたる顔触れ。実は事前に村瀬さんから電話があって、<お前を呼んでいいか?>という。要するに、それなりのメンバーをお招きしており、私が同社の宴席に参加しているのをその方々に見られることで、その方々から私が<やはり旧・ツアーバス側>とレッテルを貼られるのを心配してくれていたのだ。むろん、そんなことを気にする必要はなく喜んで参加させていただくと返答。私自身は、もう「ツアーバス陣営」などと決めつけられることもなくなったと思う(厳密にいうと、全国に数社数人だけ、まだ私を「敵方」と認識なさっている「既存組」の事業者およびご担当者さんがいる様子…)。逆にWILLERの方も、「既存組」その他のお顔ぶれから、単なる「敵方」と見なされるステージを実力で卒業したと言える(だからこそ、そういった方々もご出席されているのだ。もっともこちらもまた全ての「既存組」が理解しているわけではなさそうではあるが)。なにも、「既存組」に認められることだけが事業の目的ではないが、それだけのご来賓を宴席に招くことができるようになったことと、その方々の目を気にせず私がそれに参列できることは、ここ9年間、本当に多くのことを濃密に一緒に取り組んできた同社および村瀬さん、そして若干ではあるが私自身の、大きな大きな成果である。宴席に先だって行なわれた戦略発表会では、同社がウェブマーケティングを活用開始してから新高速乗合バスに移行完了するまでの過去10年を振り返ったうえで、次の10年の「絵」が説明された。私は最高列から皆さんの反応をうかがっていたが、目を輝かせる方、ただ感心する方など反応は様々。しかし、実は、その中身は決して突飛な内容ではない。いま「新高速乗合バス」制度として実現しつつある高速バスのあり方は、私が楽天への転職を迷っていた9年前、いや学生バイトとしてターミナルの現場にいた20数年前に、おぼろげながらも確実に見えていた未来の姿である。何も私は、未来を見通す超能力も、自分の力で未来を変えるほどの力強さも持ってはいないが、市場ニーズや業界の置かれた環境を考慮すれば、自ずと導かれる答えであった。戦略発表会で村瀬さんが語った未来も、驚くような内容ではなく、着実にしかし絶対に実現していくべき、わずかな選択肢の一つに過ぎない。もちろん、同社はまだまだ組織が身軽なので(身軽な組織であり続けようという明確な意思と、そのための仕組みが、同社最大の強みだろう)、その未来の実現に向けド真ん中に剛速球を投げ続けるだろう。対して私がお手伝いする「既存組」各社は、背負うものが大きいため変化球による上手いかわし方を見つけていかねばならないだろうが、目指すべきゴールが異なるわけではない。あの宴席に参加していた皆様には、もちろん是々非々で同社とは提携や協力を引き続き進めていただきたいが、一方で大きな視点で見れば、まだ20年の若い会社に負けることがないよう彼らと戦い続けていただきたい。そのために私は、(もちろんWILLERへのお手伝いも続くだろうが、一方で)「既存組」の皆様を最大限お手伝いするぞという宣言を、村瀬さんおよびWILLERの全社員への、最高の、私なりの賛辞としたい。さらに週が明けて27日(火)は、日本自動車工業会にて『新高速乗合バス制度の成果と課題』と題した講演を担当した。この場でお話しするのはちょうど3年ぶり。3年前といえば、独立した直後で、震災後の運行再開支援など多少はバタバタしていたが、ヒマもいっぱい、不安もいっぱいだった。それが翌年に関越道事故が発生し、緊急対策そして一本化作業。本当に生きた心地がしなかった2年を挟んで、私自身にも、業界にも本当に大きな3年間だったとあらためて感傷的な気分になった。「業界の黒子」として生きていくと決めてから3年。関越道事故が起こってしまったことは残念で悔しくて仕方がないが、あの忙しかった2年間は、しかし、多くの方々からの信頼と、小さな自信を与えてくれた。いただいた分は、必ずお返ししなくては。次の3年。次の10年。バス事業者の皆さんにいつもえらそうなことばかり言っているが、未来の絵をもっとちゃんと描かないといけないのは、実は私自身なのかもしれない。
2014.05.27
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去る16日は、業務提携先である「サポートエクスプレス」社が、セミナー「高速バス・貸切バスはどう変わるのか」を開催。全国から、バス事業者を中心に車両メーカー、リース会社など約140人にお越しいただき、私は運営全般のお手伝いのほか、講演を1本担当した。同社の代表を務める飯島氏は、大手私鉄系事業者の本社および営業所でキャリアを積み、行政書士の資格を取り一昨年に独立、さらに同社を起業したという、業界では珍しい経歴の持ち主(運輸局などを退職し行政書士事務所を開設する例は聞くけれど)。年齢が近く話も合うことから、業務提携先というより友人といった方が正しいかも。ちょうど独立した時期が高速ツアーバスの乗合移行と重なったこともあり、比較的大手を含む、かなりの数の事業者の移行を支援され、彼がいなかったら一本化は完了していなかったと心から信じている。さてセミナーでは、私はここ2年間の報道対応を振り返り、報道という「アウトプット」から遡って、バス事業者に求められる安全性について皆様に考えていただいた。そして名古屋大学の加藤先生が、貸切バスの新運賃・料金制度についてご説明。予想通り加藤先生への質問が止まず、運営側としては時計を見ながらヒヤヒヤ。正直なところ、バス関係の会で、あれだけ熱い質疑応答は初めて見た。私の講演などではみんな黙ってしまうのに…※加藤先生のプレゼン資料については、参加していない方も、まもなく本ブログからダウンロードできるように準備中貸切バスの運賃問題は、(旧)バス事業のあり方検討会から重要なテーマであった。ただその割には、事務局が「本日のテーマは貸切バス」と言い切っていても、いつの間にか話は高速ツアーバスの問題に流れ、十分な議論がなされないまま(旧)が終了し、関越道事故が発生した。社会の注目を大きく浴びる中で昨年度中に新制度決定まで導くことは、「貸切バス運賃・料金WG」で座長であった加藤先生にとって大変なご苦労があったと思う。さまざまな背景があって貸切バス業界内、旅行業界内で周知も遅れ気味であったので、今年3月の発表を聞いて驚いたというのが各事業者の本音ではあろう(もっとも、会議の進捗は常に発表されていたから、自社の生き様にかかわることだけに常にウォッチしておいてほしかったとは思うが)。「形の上では」実は大きな変化ではないが、実態としては大きく事業環境が変化するので、受け止める方にすれば身構えてしまう気分はよくわかる。しかし、明らかにポジティブな変化なので、その変化をうまく活用してほしい。現実には、B to B取引の価格を制度で縛ろうというのだから、現場から見た場合に<このケースはどうなるのか?>、<抜け駆けして安売りで仕事を奪っていくヤカラがいるのではないか?>など疑問や不信は消えないだろうが、そんな疑問や事業者間の相互不信に引きずられるのはナンセンスだ。今回の制度は、(形の上ではともかく実態として)貸切バスの実勢価格を上げる大きな、かつ最後のチャンスなのだから、レギュレーション(制度)というよりも、営業上のオポチュニティ(絶好の機会)として理解した方が健全だろう。また、貸切バスの運賃について制度的な縛りを強くすべきかどうかについては議論もある。私の前々職であるホテル業界では、国際観光ホテル整備法に基づき宿泊料金を行政(奇しくも運輸局。私も「馬車道」に届出書を持参したことがある)に届け出ているが、その料金でホテルを予約する人はまずいない。その程度でいいような気もしないでもないが、現実を見ると、ホテルの場合は値崩れが激しいといいながらもまだ「大人の競争」が展開されているのに対し、今日の貸切バス運賃の決定メカニズムは末期的であり、やむを得ないところか。バス業界は、つまり、制度に縛ってもらわないと自分たちが生きていけなくなったことを恥ずかしいと感じたうえで、それでも新制度をチャンスと捉えるべきである。一部の規制強化論者の方々は、規制を強化すればさえ「よかった頃」が戻ってくるという認識をお持ちのようだが、旅行形態が団体から個人へシフトした今、残念ながら貸切バス事業はそんなにいい思いはできるはずがないことを、まずは理解する必要がある。一方で、長期的な収益性をいっさい無視し目先の仕事のために値崩れを引っ張っている一部の事業者も、業界ひいては自社の首を自ら絞めているということを認識すべきだ。ビジネスというものは、規制に守ってもらえばさえ長生きできるほど甘くないし、目の前にあるものだけを見て刀を振り回すようなやり方で勝ち残れるほど簡単なものではない。新制度を前にいま最も求められているのは、自社の貸切バス事業を永続、成長させたいという「経営の意志」である。日車単価の上昇額×自社車両数×稼働率×365日と計算すると、バス事業者は年間何百万、何千万の収益(粗利)のアップになるはずだ。そこで得た新たな収益を何に投資するか。そして、その投資(例えばハードソフト両面における安全性向上の取組であり、例えば営業力の強化であり、例えば利用者の満足度向上であり、例えば乗務員の待遇改善である)から、翌年はさらなる収益増を得て、それをまた新しい投資に回していく…そのサイクルを回しながら一歩ずつ、会社としてのリスクを低減し、体力をつけ、一つ上のステージへ上がっていく。そのシナリオを書いていくのが経営というものだ。その上り坂への最初の一歩を、制度が助けてくれるとは貸切バス業界は幸運だ。道路運送法改正から間もなく15年。その間、毎日の生き残りに必死で先のことなど見えていなかった「新免」側も、逆に攻め込まれるばかりで守り方を見つけられなかった既存側も、いま初めて、本当の意味での「経営」の力が問われているのである。※サポートエクスプレス社は、主に貸切専業者様を中心に、「安全性向上のために何をどう取り組めばいいかわからない」「セーフティバスを取得したい」などのご相談をお受けしていますので、ご興味のある方は直接または成定までご連絡ください。
2014.05.26
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