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「うるさいよー」聞き慣れた声に振り向くと「皆様おはようございます」、「みなさま揃った所であはようございます」と、丁寧に今朝もお辞儀をしている。これが配膳されるまでつづく。彼女は95歳、家を建て替える為に(?)入院させられたらしい。もう一年以上は過ぎているのに連れてかえるつもりはないらしい「しっかりしているように見えるんですけど、1人では置いておけないんですよ」と、お嫁さん。不思議な気もするが、面会には良く来ているので大事には思っているのでしょう。さて彼女の朝はお辞儀から始まる。洗面用具を渡すとお辞儀。終わってはお辞儀。朝食のスプーンを持ってはお辞儀。お茶のコップを持ってはお辞儀。箸を持ってはお辞儀。薬を飲むのにお辞儀。「えらいですねえー何にでも感謝するんですね」と私。「そう、神様に感謝しなければ…」という返事。転倒の注意をするくらいで手はかからない患者さんだけれど、夜中に「おはようございます」と、ナース室にくる。「あら!眠れないの?じゃーまたお手伝いをして貰おうかしら」と、前掛けを渡すと、隅々を几帳面に合わせて畳む。「働き者なんですねえー、あら!ここにもあった済みませんねえー」と、畳おえたばかりの前掛けを後ろ手で解して渡す。こうして朝になることも、しばしば。こんな日常の中で、車椅子で何度でもまねをしてお辞儀をする患者さんもいれば、クリアーな患者さんには、こう繰り替えされたのでは「うるさいなー」も仕方ないのかも知れないけれど…。 おかあさーんと呼ぶおとうさん稲光 池田澄子(句集・ゆく船)所収
2006年09月29日
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今日は休日出勤夜勤者の申し送りの最中「お願いしまーす!」ヘルパーさんのただならぬ声。酸素とモニター心電図管理になっている患者さんの病室に駆けつけると、眠るように呼吸停止したところだった。その患者さんは、明治40年7月生まれの99歳。身よりは居なかった。明治、大正、昭和、平成と激動の人生を生きたであろう彼女は、つい10日前までは終始穏やかで、歩行器を押してはマイペースに過ごされていた。無口な方で、2年間ついぞ怒った顔も笑った顔も見ることは無かったが、薄化粧をするとなぜか笑顔に見えた。遺品に愛用の大学ノートがあって、「かりんさん」と鉛筆で書かれていた。「あ!私が名前を教えたときの!」と介護福祉士の可林さん、うるうる。お迎えの車が来るまで、本人の作った「折り鶴」と未完成の「塗り絵」を抱かせてあげた。今日は彼岸のお中日。あちらに逝く人と、つかの間此方に来る人と。 鰯雲人に告ぐべきことならず 加藤楸邨
2006年09月23日
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9月16日と17日、大きなイベントがあった。どうやら終えて先ずは一息。随分と日記をさぼってしまったものよ。とほほほほσ(^◇^;) 振り返れば、嵐のように過ぎてしまった八月だったけれど、ふと、そんな日々が懐かしく思えたりするのも、これって何だろう。町内の祭りも顔を出すまもなく終わってしまった。奉納金返しの「神社札と豆絞りと清酒のワンカップ」が留守番を頼まれたように、玄関に置いてあった。思えば多くの人と関わり合えて、そして別れて…。こんな生き方もいいかも知れない。何だろう。少しネガティブ。祭りの後ってこんなものかも知れない。さあ!明日は、きっと晴マーク! 渡る鳥は渡らせておく握り飯 池田澄子(句集・ゆく船)所収
2006年09月19日
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