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風邪ひとつ引くこともなく健康なだけが唯一の取り柄だったのに、とうとう大変な風邪を患ってしまった。大きな声ではいえないけれど「ノロウイルス(胃腸にくる風邪)」に掛かってしまい、3日間、水以外のものを口にすることは出来なかった。原因は?と考えると思い当たる「牡蠣フライ」を食べた。そういえば5,6年前に牡蠣にアタッテひどい思いをしたのに、懲りない私「喉もと過ぎれば」である。あああー。参った。辛かった!!それでも3日間「水」だけで過ごしたとき…あと、どのくらい水だけで生きていられるかな?なあんて、ふと他人事みたいな思いが頭をよぎった。この菌に対しての対策は「特別な治療薬はない!」とのこと。脱水にならぬように水分の補充と、ひたすら暖かにして寝ることだけ。寝ましたよ。寝ましたよー。もう3日間で1年分ぐらい寝てしまったかも知れない。仕事がら何事も体験すると患者さんの気持ちがわかる。と思わないでも無かったが、もういい!体験はこりごり!健康であることを「過信してはいけません」とは、他人には言えること。紺屋の白袴、鬼の霍乱σ(^◇^;)なんと言われても甘んじて受けねばなるまい。こんな時に俳句など、と思うけれどやっぱり歳時記から探す。 能面に見られてゐたり風邪心地 広瀬直人(ザ・俳句歳時記)所収
2008年01月27日
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小沢信男著「裸の大将一代記・山下清の見た夢」を読み終えたが、実に愉しい本であった。山下清の評伝ともいえるが、著者自身がとことん登場人物に惚れ込まない限り、こんなに愉しく書けないだろうと思うほど軽妙な筆運びで、山下清の語り口と相俟って何度かお臍がよじれる思い。山下清の生き様は、大正に生まれ戦前・戦後・そして高度経済成長期という慌ただしい時代を一気に駆け抜け、とてつもなく自由に生きた大放浪画家だったというから、誰でも共感を呼ぶところ。放浪したという1935年~54年は多分もののない時代、食べ物がようやく行き渡るようになった頃であろうにルンペン生活が出来たというから、今とは人情が大きく違う時代だったのでは無いだろうか。そういえば現代は日本全国が都会化してしまって、一頃のように田舎らしい田舎が無くなっているようにも思える。腰を掛けて話をする「縁側」というなつかしい場所もなくなってしまった。以下、徳川夢声との対談のひとこま。「…徳川さんてんだね。徳川さんというと、どんなひと?ちょっとわかるけどね。ラジオで放送するの、たいてい徳川さんかい。…ぼくの絵は、兵隊の位になおすと、どのへんですか?天皇陛下に、絵をかいてくれっていわれたら、ふつうのひととおなじ絵じゃあ、おかしいだろうな。どのくらいのおおきさかな。…そのタバコ兵隊の位になおすと、どのくらい?大将というと、どのタバコだろうな。…ぼくの知能は劣ってるの?どのくらい劣ってるの?ああ、くたびれたな、すこし。」羽田発(機内でスチュワーデスとの会話)「おばさん、おばさん、この飛行機はジェット機で、ジェット機はふつうの飛行機よりずっと早いので、ときどきかじを下にむけないと、地球のそとにとびだしやしませんか。ねえさん、ねえさん、それではそうじゅう士はたまには高さをはかる機かいを見るのわすれて、地球の外へとびだしかけたことはありませんか?…」というように。ああー。なんと純真な山下清殿。ものが有り余って人の心がすさんでしまった現代の世相を、山下清流に「兵隊の位になおすと、どのくらい?」、「さあ!二等兵」かも知れないけれど…。ああー。願わくばタイムスリップして山下清画伯に逢いたい!! バスを待ち大路の春をうたがわず 石田波郷
2008年01月17日
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我が町内には公園が2つあって片方は広さも環境も良く、夏休みにはプールから子供達の歓声が絶えない。ところがもう一つの「北口公園」は、ブランコと滑り台とお砂場はあるものの、半分は隣家の日陰になっているせいか、余り子供達の遊ぶ姿は見掛けない。それでもベンチが置かれていて花が植えられてあると、ほっとした空間ではある。その公園の道路側に面した出入り口の土が掘られて何やら工事が始まったようで、一郭が板で囲われてコンクリートが入り丁度表面が平らに均されたばかりだった。そのとき買い物袋を下げた私を追い越すように通り過ぎた男の人が公園口に近付く。ほんの一瞬の出来事だったが「嫌な予感!」がした。嫌な予感は見事に的中、コンクリートの上に運動靴の靴跡がくっきり。あ!思わず立ち去ったジャンバーの背中を見たが、声が出なかった。工事中の2人は一段落したのか休み時間に入る準備の様子で僅かな死角。嫌な現場を見てしまった私は、まるで自分が悪いことをしてしまったように急ぎ足でその場から遠ざかってきた。なんとういうやつだ!!。でも怖くて私も声が出なかった!どうしよう。σ(^◇^;)
2008年01月08日
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暮れから新年を旅先で過ごし駅前の喫茶店に寄った。折しも店内は琴の音がながれて厳粛な気分に浸る。それぞれに年越しの形があって、新しい年を迎えたばかりの華やいだ顔が出入りする。読みかけの本を開いていると、自動ドアから腰を曲げた白髪の男性が入ってきた。陳列されたケーキやパンを買うでもなく店内をウロウロして、やがて外に出たようだったが、間もなくまた入ってきて同じ距離を歩き回り店内から消えた。その間店員さんは、とがめることもなくカウンターで応対にいそがしい。斜め先のコーナーの若いカップルの声が大きくなった。諍いらしい。正月から困ったものだ。やがて二人も外へ出た。「あの、この手袋は違いますか?」妊婦さんらしい方が立ち上がって、帰りかけた毛皮の女性に声をかけた「済みません。近頃忘れっぽくなって!」知らないひと同士の会話。「おばあちゃんからもらったプラモデル出していい?」箱の中身が気になってしかたがないらしい。「家に帰ってからね!」そんな頬笑ましい親子の会話。たった一杯のコーヒーから広がる空間のドラマ、知らない街の空間。琴の調べは何時しか「さくらさくら…」に。はたまた厳粛な気分になる。明日から始まる仕事も趣味も、日常という空間のほんの一齣なのかも知れない。 庭隅の幹に日のある二日かな 桂信子(花神コレクション)所収
2008年01月02日
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