・・・

・・・

2005年05月17日
XML
カテゴリ: 本とか漫画とか
アニメで入って、その後少年少女文学全集で斜め読みして、NHKかなんかの実写版をみて、高校のとき、ハイジが好きで好きで仕方がないという隣のクラスの女の子の、英語翻訳本の翻訳につきあって、数ページで挫折して、それから十数年。


藤田さんという人は、主婦向けえろ系漫画や、自分の高齢出産記をかいている人だと思うのだが、似てもにつかない絵で、キャンディキャンディのころの、いがらしゆみこのアシスタントだったのかな、と思うような絵柄だ。
http://nathan-vasilisim.hp.infoseek.co.jp/04-02-05.html
によると、そのとおりだった。

それはさておき。
基督教の信仰に関する、色濃い話なのだなとあらためて思った。

1)生活でいっぱいいっぱいの叔母デーテに育てられたため、基督教の存在を知らないまま過ごしてきたハイジ。
2)叔母デーテは、山奥ひきこもり生活をしている義兄の父に、信仰に背を向けていることを非難する。

4)アルプスに帰りたくて、ふさぎこむハイジに、クララの祖母は、他人に話せないことは神様に話すようにと教える。
5)ハイジ自身の、信仰の動機付けは、神様にアルプスに帰りたいとお願いすることから。
6)精神を病んで夢遊病の症状が出たため、ようやくアルプスに帰れたハイジは、祖父に神様のおかげだ、アルプスにいる祖父と自分は神に一番近いところだとハイジは話す。
7)祖父、ハイジとともに、冬の間人里に下りて生活し、教会へ行く。
8)ハイジ、クララの足が治るようにと神に祈る。
9)クララとともに、アルプスの家で夜祈る。
10)クララが歩く姿をみて、クララの父が神に感謝する。

原作(に忠実な翻訳本)を読み直すべきだが、結びは、ハイジの「神様は私たちの祈りをちゃんと聞いてくれる。でも、神様は私たちの「ありがとう」という言葉をきいてくれているだろうか」祖父の「もちろんだとも。アルプスは神様に一番近いところだと、いつかハイジがそう言っただろう」というもの。

豊かな生活をしているゼーゼマン家の人々は、当然のように信仰心をもつ。
また、亡き姉の子を必死で育てた未婚の叔母も、孫のヤギ番で生計をたてているような貧乏な祖母も、自分自身は子供たちに信仰のための環境を与えてやるような余裕ができていないものの、信仰の大切さを重視している。

ハイジ自身は、祈りが成果となる体験を続けているため、信仰心を強くしていくのだが、祖父もハイジと暮らしたことで希望が持てるようになったことで、ハイジを与えてくれた神に感謝し、再び信仰するようになる。



してみると、基督教の信仰というものの役割は、社会性を持った人格の形成に直結したものだったのか。
喜びを、当たり前のものとして享受するのではなく、神に感謝する。
苦しみを、社会で解決してくれというものではなく、神に委ねる。
そんな信仰心を持つことを選択しているんだということを、聖書を読んだり、独特な仕草で祈ったり、教会に行くなど態度で具体的に表明することで、社会的人間であるということが、世間に理解されるという仕組み。
というか、ただ心の中だけで信仰心を持ち続けるというのは難しいので、特別な儀式なり、言葉なりが必要なんだろうけど。


日本全体では、仏教も含め、なぜ多神教でこられたのか考える。
(1)気候の変化が大きく、日々変化があるため、単調な生活の中、自分自身が何者であるかというようなことを落ち着いて考える時間をもてる者が少なく、神を個人の悩みを解決してくれるものとして位置づける必要があまりなかった。
(2)植物を共同作業で作り、分け合って暮らしてきたので、もともと最低限の社会性を持たないものは、生きていけなかったため、社会性があることの表明としての信仰は必要がなかった。
(3)大挙して攻められ、略奪されたり住んでいる土地を追われるような理不尽な出来事がほとんどなかったため、社会体制に不満を持つことが少なく、耐えたり戦ったりするために、神を交えて被害者同士が団結する必要がなかった。
(4)哺乳類の牧畜をしてこなかったので、日常の屠殺によって発生する罪悪感をどう処理するかというシステムを作り出す必要がなかった。

○○の乱とか、時々記録が残っているけど、おてんとさま次第の農業では、苦しいときはみんな苦しいのだと思え、全体に理不尽な不公平感を持つことが少なかったんじゃないかなあ。
不満を持った人たちは、生き延びることさえできなかったというのもあるんだろうけど。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005年05月17日 15時03分45秒
[本とか漫画とか] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: